説明

マイクロ波式濃度計、及びその液温補正方法

【課題】本発明は、新たな受信アンテナや、送受信アンテナ周辺部を覆う恒温制御部を設けることなく、液温の急変があっても測定誤差を軽減することが可能なマイクロ波濃度計、及びその液温補正方法を提供することを目的とする。
【解決手段】被測定液体の濃度を測定するマイクロ波式の濃度計であって、前記被測定液体の液温t2を測定し、予め測定しておいた被測定物質を含まない前記液体の液温t1との温度差Δt(=t2−t1)に基づき前記位相差Δθを補正する液温補正値を求め、さらに、前記送受信アンテナのいずれかのアンテナ温度taを測定し、前記液温t2と当該アンテナ温度taとの温度差を求めて前記位相差を補正する液温・アンテナ温度差補正値を求め、前記液温補正値と前記液温・アンテナ温度差補正値とから前記位相差Δθを補正し、前記被測定液体の濃度を求める温度補正演算部を供えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波の伝播時間遅れに基づいて、被測定液体の濃度を測定するマイクロ波式濃度計、及びその液温補正方法に係り、特に、被測定液体の液温が急変した場合の濃度の測定誤差を軽減したマイクロ波式濃度計、及びその液温補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被測定物質を含む被測定液体の流れる配管又は被測定液体を収納した容器を介して対向配置されたマイクロ波の送受信器を備え、この送信器から発射され被測定液体を通過し受信器にて受信されたマイクロ波の位相遅れθ2と、予め被測定物質を含まない液体を用いて測定しておいた位相遅れθ1との位相差Δθを求めることにより被測定液体の濃度を測定する、マイクロ波式濃度計がある。(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このようなマイクロ波式濃度計は、被測定液体の誘電率が温度によって変化し、位相差△θに影響を与えることから、液温を測定して位相差Δθを補正する液温補正が行なわれている。
【0004】
この液温補正は、予め液温を測定して記憶しておいた被測定物質を含まない濃度ゼロの基準液体の温度twと被測定液体の測定時の温度tsとの温度差Δt(=ts−tw)と、位相差補正値Δθεとの関係を予め求めておき、位相差Δθと位相差補正値Δθεとの差Δθt
Δθt=Δθ−Δθε
を求め、この補正された位相差Δθtと濃度との関係を予め検量線として求めておき、被測定液体の濃度を求める様にしている。
【0005】
この検量線は、被測定液体の濃度が高い場合や、濃度ゼロの基準液体との液温差が大きい場合には、ゼロ点の平行移動だけの補正では不充分であることから温度に応じて誘電率が変化する被測定用液体に対し、検量線をある幅の温度範囲で分割して、その分割された範囲において所定の直線関係で近似した検量線の傾きや、検量線の切片を補正する方法がある(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
また、最近では、被測定用液体の液温が急変した場合、基準位相Δθ1を求める基準系経路の周囲温度と被測定液体の位相Δθ2を求める測定系経路の被測定用液体の液温とに温度差が発生した場合に、送信アンテナ、受信アンテナの温度応答特性の相違、及び、送受信アンテナ自身の温度ドリフトによって、マイクロ波の伝播速度が変動し測定誤差が発生する問題がある。
【0007】
さらに、受信アンテナ、送信アンテナの温度時定数は、測温抵抗体等の小熱容量金属の時定数と異なり、セラミックスなどの熱伝導率の低い誘電体で構成されるため、通常、数分〜60分程度の時定数を有するので、液温が急変すると測定誤差が長時間発生する問題がある。
【0008】
そこで、送信アンテナからのマイクロ波の伝播距離が異なる2台の受信アンテナへの伝播位相差を求めて、送信アンテナ及び受信アンテナ間での温度変化によるマイクロ波の伝播速度の変動を除去して濃度を測定するようにしたマイクロ波式濃度計がある(例えば、特許文献3参照。)。
【0009】
また、送受信アンテナ、及び基準経路及び測定経路を含む装置の容器または配管を含む周囲を断熱材質のカバー部材により囲み、この部材の内側に設けられた温度センサにより周囲温度を測定し、該温度センサにより測定された温度測定値に基づいて、カバー部材内側の温度を一定値に調整するための発熱体または吸熱体を制御するようにしたマイクロ波式濃度計が開示されている(例えば、特許文献4。)。
【特許文献1】特許第2965712号公報
【特許文献2】特開2001−242099号公報
【特許文献3】特開2005−83821号公報
【特許文献4】特開2006−184223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献3に開示されたマイクロ波式濃度計の構成では、新たにもう1つの受信アンテナを備えることが必要となる問題がある。また、特許文献4で開示された方法では、周囲温度を一定に制御する恒温制御部が必要となる問題がある。
【0011】
本発明は、このような従来の問題点を解決するためになされたもので、新たな受信アンテナや、送受信アンテナ周辺部を覆う恒温制御部を設けることなく、液温の急変があっても測定誤差を軽減することが可能なマイクロ波濃度計、及びその液温補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明のマイクロ波式濃度計は、被測定物質を含む被測定液体の流れる配管又は前記被測定液体を収納した容器を介して対向配置されたマイクロ波の送受信アンテナと、この送信アンテナから発射され前記被測定液体を通過し前記受信アンテナにて受信されたマイクロ波の位相遅れθ2と、予め前記被測定物質を含まない液体を用いて測定しておいた位相遅れθ1との位相差Δθ(Δθ=θ2−θ1)を求めることにより前記被測定液体の濃度を測定するマイクロ波式の濃度計であって、前記被測定液体の液温t2を測定し、予め測定しておいた被測定物質を含まない前記液体の液温t1との温度差Δt(=t2−t1)に基づき前記位相差Δθを補正する液温補正値を求め、さらに、前記送受信アンテナのいずれかのアンテナ温度taを測定し、前記液温t2と当該アンテナ温度taとの温度差を求めて前記位相差を補正する液温・アンテナ温度差補正値を求め、前記液温補正値と前記液温・アンテナ温度差補正値とから前記位相差Δθを補正し、前記被測定液体の濃度を求める温度補正演算部を供えたことを特徴とする。
【0013】
また、上記目的を達成するために、本発明のマイクロ波式濃度計の液温補正方法は、被測定物質を含む被測定液体の流れる配管又は前記液体を収納した容器を介して対向配置されたマイクロ波の送受信アンテナと、この送信アンテナから発射され前記被測定液体を通過し前記受信アンテナにて受信されたマイクロ波の位相遅れθ2と、予め前記被測定物質を含まない液体を用いて測定しておいた位相遅れθ1との位相差Δθ(Δθ=θ2−θ1)を求めることにより前記被測定液体の濃度を測定するマイクロ波式の濃度計において、前記被測定液体の液温が急変した場合の液温補正方法であって、前記被測定液体の液温t2を測定し、予め測定しておいた被測定物質を含まない前記液体の液温t1との温度差Δt(=t2−t1)に基づき前記位相差Δθを補正する液温補正値を求める第1のステップと、前記送受信アンテナのいずれかのアンテナ温度taを測定し、前記液温t2と当該アンテナ温度taとの温度差を求めて前記位相差を補正する液温・アンテナ温度差補正値を求める第2のステップと、前記液温補正値と前記液温・アンテナ温度差補正値とから前記位相差Δθを補正し、前記被測定液体の濃度を求める第3のステップとから成る。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、新たな受信アンテナや、送受信アンテナ周辺部を覆う恒温制御部を設けることなく、液温の急変があっても測定誤差を軽減することが可能なマイクロ波濃度計、及びその液温補正方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1乃至図5を参照して説明する。図1はマイクロ波式濃度計の構成図である。図1に示す構成が、特許文献1等に示される従来の構成と異なる点は、送信アンテナ2に自身の温度を測定するアンテナ温度センサ6を設け、さらに温度補正演算部14に、液温・アンテナ温度差補正テーブル14bを備えるようにした点にある。
【0016】
本実施例によるマイクロ波式濃度計の構成は、被測定液体を流す検出部10と、検出部10からの信号を受信して被測定液体の濃度を求める信号処理部20とから成る。
【0017】
検出部10は、金属管で成形される配管3の管外壁側から被測定液体に接液して設けられるマイクロ波の送信アンテナ4及び受信アンテナ5と、これらの送信アンテナ4及び受信アンテナ5は配管3を介して、配管3の管軸と直交する方向の配管管壁面で、互いに対向位置に配置されている。
【0018】
また、送信アンテナ4には、自身の温度を計測するアンテナ温度センサ6が設けられ、被測定液体の液温を測定する液温温度センサ7が、配管3の管壁を貫通して設けられる。
【0019】
送受信アンテナ4、5は、設置される外気温が異なる場合、後述する理由により、夫々の温度が一様となる様に外気と断熱されるように断熱材等で覆うようにすることが望ましい。
【0020】
また、アンテナ温度センサ6と液温温度センサ7とは、同じタイプの温度センサとしておくことが望ましい。
【0021】
信号処理部20は、マイクロ波発信器1と、当該マイクロ波発信器1から送信されるマイクロ波は信号を2系統に分岐ずるパワースプリッタ2と、パワースプリッタ2から送信されたマイクロ波信号を送受信アンテナ4、被測定液体、及び受信アンテナ5を介して送信される一方の測定系経路のマイクロ波信号と、他方のパワースプリッタ2から直接出力された基準系経路のマイクロ波信号との位相差を測定する位相差測定部11と、当該位相差測定部11の出力から液温、及び液温とアンテナ温度との温度差による位相差の補正演算を行なう温度補正演算部14と、温度補正された位相差と濃度との関係を求める濃度演算部15とから成る。
【0022】
また、アンテナ温度センサ6及び液温温度センサ7からの信号を受信して、温度補正演算部14に温度信号を出力する変換器12及び変換器13を備える。
【0023】
また、このように構成された信号処理部20は、測定系路と基準経路の同じ温度環境に維持するため、検出部10と一体の構造としておくことが望ましい。
【0024】
次に、送信アンテナの詳細構造について、図2を参照して説明する。図2(a)は、送信アンテナ4の断面図で、配管3の管軸と直交する方向から見たものである。
【0025】
アンテナ温度センサ6は、送受信アンテナ4、5の温度が一様と見なせる状態を確保して、いずれか一方に設ける。送信アンテナ4と受信アンテナ5とが異なる点は、アンテナ温度センサ6を備えているか否かにあるので、以下、送信アンテナ5について説明し、受信アンテナ5の説明を省略する。
【0026】
送信アンテナ4は、金属管等で成形される配管3の開口部で被測定液体に接液するように外壁側から挿入して配管3に固定される合成樹脂部材4aと、セラミックス等の絶縁体の板に設けられ、同軸ケーブル4dからマイクロ波信号を供給されて、マイクロ波信号を配管3内の方向に合成樹脂部材4aを介して送信するアンテナ4cと、このアンテナ4cから送信されるマイクロ波信号を送信する開口部を備え、配管3の開口部の外壁位置に固定されるアンテナ固定部材4b1と、アンテナ固定部4b1上にアンテナ4c固定するアンテナ固定部材4b2とから成る。
【0027】
そして、合成樹脂部材4aとアンテナ4cとが対面する面間は、合成樹脂部材4a及びアンテナ4cが、周囲温度の変化で変形した場合でもアンテナ4cが機械的なストレスを受けないように所定の間隙を備えるように、予め当該アンテナ固定部材4a、または前記合成樹脂部材4b1を所定の厚さで成形しておく。
【0028】
さらに、アンテナ4cは、温度変化による変形以外に、合成樹脂部材4aが被測定流体の圧力を受けて変形する恐れがないような隙間としておく。
【0029】
また、アンテナ固定部材4b2にはメネジ部Aを備え、アンテナ温度センサ6は、測温抵抗体6bとその保護管6aとからなり、該保護管6aの先端部にはメネジ部Aに嵌合するオネジ部を備え、該オネジ部の内部に測温抵抗体6bの感温部を密着させ、このメネジ部Aに保護管6aのオネジ部をねじ込みして固定する。
【0030】
また、配管3内の被測定液体の液温は、配管3の管壁に貫通して設けられる挿入型の液温度センサ7で検出する。
【0031】
以上のような構成とするので、被測定液体の液温は、配管3、アンテナ固定部材4b1及び4b2とから成る熱伝導の良い金属を介してアンテナ4cに効率よく伝熱される。また、測温抵抗体6bは、アンテナ4cと密着して設けられるので、アンテナ4c自身の温度が精度良く素早く検出できる。
【0032】
次に、このように構成されたマイクロ波式濃度計の信号処理部20の動作について説明する。先ず、従来の液温補正テーブル14a及び本発明による液温・アンテナ温度差補正テーブル14bの生成方法について説明する。
【0033】
液温補正テーブル14aは、送信アンテナから送信されて配管3内の被測定用液体を伝搬して前受信アンテナにて受信されたマイクロ波の位相遅れθ2を測定し、また、予め配管3内に基準用液体(例えば、濃度0%見なせる水道水)を充填して測定用液体と同じ条件で測定したときのマイクロ波の位相遅れとを比較し、その位相差Δθ=(θ2−θ1)を測定し、この位相差Δθを、測定用液体の液温t2と基準用液体の液温t1との温度差Δt(=t2−t1)に基づいて補正し、位相差Δθtと温度差Δtの関係を一次式で近似し、この一次の傾斜角αをテーブル化しておく。
【0034】
この時の濃度Xは、一般的に、この液温補正テーブルを参照して、下記検量線で求められる。
【0035】
X=a×(Δθ(=θ2-θ1)−α×(t2−t1))+b
ここで、a及びbは、一次式で示される検量線の傾きa及び切片bで、被測定液体の濃度や液温差(t2−t1)が大きい場合、零点の補正のみで不十分である場合の補正値である。
【0036】
次に、液温・アンテナ温度差補正テーブル14bの生成方法について図3及び図4を参照して説明する。図3は、液温t2を65℃から17℃に急変させたときの液温補正テーブルのみを備えたマイクロ波式濃度計の測定誤差εxと、アンテナ温度taの応答を図示したものである。
【0037】
この実験に用いたマイクロ波式濃度計の場合、液温温度センサ7の出力がほぼ一定の17℃に安定する時間(約7分)を経過した後の濃度の測定誤差εx(%)は、液温補正が除かれた後の誤差要因に因るもの見なせる。
【0038】
この測定誤差εxは、液温t2と送受信アンテナ温度taとの温度差Δtaが減少すれば減少し、温度差Δtaが無ければ0%と見なせる。そこで、図4に示すように、この温度差Δtaと測定誤差εxとの関係を一次式で近似して、その傾きβを求め、この傾きβ(=−0.849)をテーブル化して、液温・アンテナ温度差補正テーブル14bとする。
【0039】
このようにして求めた液温・アンテナ温度差補正テーブル14bを使用して、図3の測定値を補正すると、図5に示すように液温補正後の測定誤差がεxは、測定誤差εxcに示すように補正される。
【0040】
即ち、このような温度補正演算部14によれば、濃度の測定誤差は、下記検量線で求められる。
【0041】
X=a×(Δθ−α×(t2−t1)−β(t2−ta))+b
ここで、a及びbは、夫々、検量線の傾き及び切片の値である。また、液温とアンテナ温度差を補正する傾きβは、配管3の口径、肉厚等の形状及び材質により、また、測定する被測定液体の液温温度範囲によって変わるので、配管3を含む検出部10と被測定液体の測定する液温範囲毎に液温・アンテナ温度差補正テーブル14bを作成しておく。
【0042】
以上述べたように、本実施例に拠れば、液温とアンテナとの温度差による測定誤差を予め記憶しているので、測定する被測定液体の液温が急変して、測定誤差を液温温度センサ、アンテナ温度センサの応答速度で素早く補正することが出来る。
【0043】
本発明は、上述したような実施例に何ら限定されるものではなく、アンテナ温度センサ及びその固定方法は、送信アンテナまたは受信アンテナの温度を近接して測定できるものであれば良く、その構造により本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の構成図。
【図2】送信アンテナ、または、受信アンテナの構造図。
【図3】従来の液温補正時の測定誤差。
【図4】本発明の液温・アンテナ温度差補正(β)を求める例。
【図5】本発明の液温及び液温・アンテナ温度差補正時の測定誤差。
【符号の説明】
【0045】
1 マイクロ波発信器
2 パワースプリッタ
3 配管
4 送信アンテナ
4a 合成樹脂部材
4b1、4b2 アンテナ固定部材
4b2 温度センサ取り付けネジ穴
4c アンテナ
4d 同軸ケーブル
5 受信アンテナ
6 アンテナ温度センサ
6a 保護管
6b 測温抵抗体
7 液温温度センサ
10 検出部
12、13 変換器
14 温度補正演算部
15 濃度演算部
20 濃度演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物質を含む被測定液体の流れる配管又は前記被測定液体を収納した容器を介して対向配置されたマイクロ波の送受信アンテナと、この送信アンテナから発射され前記被測定液体を通過し前記受信アンテナにて受信されたマイクロ波の位相遅れθ2と、予め前記被測定物質を含まない液体を用いて測定しておいた位相遅れθ1との位相差Δθ(Δθ=θ2−θ1)を求めることにより前記被測定液体の濃度を測定するマイクロ波式の濃度計であって、
前記被測定液体の液温t2を測定し、予め測定しておいた被測定物質を含まない前記液体の液温t1との温度差Δt(t2−t1)に基づき前記位相差Δθを補正する液温補正値を求め、さらに、前記送受信アンテナのいずれかのアンテナ温度taを測定し、前記液温t2と当該アンテナ温度taとの温度差を求めて前記位相差を補正する液温・アンテナ温度差補正値を求め、前記液温補正値と前記液温・アンテナ温度差補正値とから前記位相差Δθを補正し、前記被測定液体の濃度を求める温度補正演算部を供えたことを特徴とするマイクロ波式濃度計。
【請求項2】
前記配管は金属で成形され、該配管の管軸と直交する管壁面の対向する位置には、前記送受信アンテナを取り付ける開口部を備え、
前記送受信アンテナは、セラミックス等の絶縁体の板に設けられるアンテナと、前記配管の前記開口部で前記被測定液体に接液するように外壁側から挿入して当該配管に固定される合成樹脂部材と、当該開口部の外壁に固定され、該外壁側から前記アンテナを固定する金属から成るアンテナ固定部材とから成り、
当該アンテナ固定部材または前記合成樹脂部材は、前記合成樹脂部材と前記アンテナが周囲温度の変化による変形と前記合成樹脂部材が前記被測定流体の圧力による変形とが同時に、または、夫々が個別に発生しても、当該アンテナと当該合成樹脂部材とが接触しない隙間を確保できるように夫々の厚さを成形し、
いずれかの前記アンテナ固定部材には、当該アンテナ固定部材に密着して設けられるアンテナ温度センサを備えた請求項1に記載のマイクロ波式濃度計。
【請求項3】
前記アンテナ固定部材にはメネジ部を備え、前記アンテナ温度センサは、測温抵抗体とその保護管とからなり、該保護管の先端部に前記メネジ部に嵌合するオネジ部を備え、前記オネジ部の内部に前記測温抵抗体の感温部を密着させ、前記メネジ部に前記保護管6aのオネジ部をねじ込みしたことを特徴とする請求項2に記載のマイクロ波式濃度計。
【請求項4】
前記温度補正演算部は、前記被測定液体を予め定められる第1の液温として、予め求められた前記液温補正値を使用して液温補正演算を実行し、
その後、前記被測定液体を第2の液温に急変させた時の濃度の測定誤差と、当該被測定液体の液温と前記送受信アンテナの温度との温度差との応答関係を一次式で直線近似して当該一次式の傾きを求めて液温・アンテナ温度差補正値としてテーブル化したことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波式濃度計。
【請求項5】
被測定物質を含む被測定液体の流れる配管又は前記液体を収納した容器を介して対向配置されたマイクロ波の送受信アンテナと、この送信アンテナから発射され前記被測定液体を通過し前記受信アンテナにて受信されたマイクロ波の位相遅れθ2と、予め前記被測定物質を含まない液体を用いて測定しておいた位相遅れθ1との位相差Δθ(Δθ=θ2−θ1)を求めることにより前記被測定液体の濃度を測定するマイクロ波式の濃度計において、前記被測定液体の液温が急変した場合の液温補正方法であって、
前記被測定液体の液温t2を測定し、予め測定しておいた被測定物質を含まない前記液体の液温t1との温度差Δt(=t2−t1)に基づき前記位相差Δθを補正する液温補正値を求める第1のステップと、
前記送受信アンテナのいずれかのアンテナ温度taを測定し、前記液温t2と当該アンテナ温度taとの温度差を求めて前記位相差を補正する液温・アンテナ温度差補正値を求める第2のステップと、
前記液温補正値と前記液温・アンテナ温度差補正値とから前記位相差Δθを補正し、前記被測定液体の濃度を求める第3のステップとから成るマイクロ波式濃度の液温補正方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−2268(P2010−2268A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160526(P2008−160526)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】