説明

マイクロ流体化処理によって作製された難溶性薬物のナノ懸濁液

提供されるものは、生物学的利用能が向上している難溶性薬物の経口用のナノ懸濁液の調製および投与のための組成物および方法である。当該方法は、界面活性剤の非存在下で水溶性の重合体賦形剤を用いたマイクロ流体化によって最適化される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、その全体の内容が参照によって本明細書に援用される、米国仮出願第61/259,903号(出願日:2009年11月10日)の優先権を主張する。
【0002】
〔技術分野〕
本書において提供されるものは、生物学的利用能が向上している難溶性薬物のナノ懸濁液組成物、およびそのような組成物を調製する方法である。
【0003】
〔背景〕
多くの新規な化学成分は、非常に強力であるか、非常に毒性が強いか、または非常に水不溶性であるため、それらを望ましくない開発候補にする。効能および毒性は分子設計に本質的であり、一般的に、化学構造を変更または改良することによって、最も改善される。一方、難溶性は一般的に、経口による不十分な生物学的利用能、生物学的利用能における摂食/絶食の差、扱いにくく不便な剤形を招来させ、良くない効果に関連する刺激の強い可溶化剤の使用を必要とし得る。これら難水溶性化合物に関連する調合の問題点を解決するために特に設計された、新世代のナノ粒子の薬物送達系は、この問題を解決し得る(例えば、Liversidge G, Cundy K. “Particle size reduction for improvement of oral bioavailability of hydrophobic drugs: I. Absolute oral bioavailability of nanocrystalline danazol in beagle dogs”, Int. J. Pharm. 1995, 125:91-97を参照)。
【0004】
ナノ粒子は、微粉化した薬物粒子と比較して、顕著に大きな表面積を有している。表面積の増加は溶解速度を促進し、それによって最も一般的に用いられる投与経路に関して送達効率が向上する(Jinno J, et al. “Effect of particle size reduction on dissolution and oral absorption of a poorly water-soluble drug, cilostazol, in beagle dogs”, J. Cont. Rel. 2006, 206(111):56-64)。
【0005】
薬物のナノ粒子を製造するために多数の方法が利用でき、磨砕に基づく下降型処理、または分子の沈殿に基づく上昇型処理の何れかを含んでいる。後者の例として、液化冷凍スプレー法(SFL)、液化ガス溶液からの急速膨張法(rapid expansion from a liquefied-gas solution)(RESS)、および気体逆溶剤再結晶化法(gas antisolvent recrystallization)(GAS)が挙げられる。RESSおよびGASは、超臨界流体技術に基づく発展における2つの手法を代表する(Pathak P, Meziani MJ, Sun Y-P., “Supercritical fluid technology for enhanced drug delivery”, Expert Opin. Drug Deliv. 2005(2):747-761)。RESSは超臨界流体に可溶な化合物のために利用される。得られる溶液は、圧力における急速低下および/または温度における急速上昇を受け、溶液からの溶質の出現を引き起こす。最適条件下において、サブミクロン粒子が生成され得る。GAS処理は超臨界流体に可溶ではない化合物のために利用される。化合物をまず有機溶媒に溶解し、次いで超臨界流体との混合によって再結晶化する。ごく最近では、Microfluidics (Newtown, マサチューセッツ州)は、結晶ナノ粒子を作製するために衝突ジェット結晶技術(impinging-jet crystallization technology)を採用した(Panagiotou T, Fisher RJ. “Form Nanoparticles via Controlled Crystallization”, Chemical Engineering Progress 2008:33-39)。
【0006】
薬物ナノ粒子を生成するための代替経路は下降型処理を必要とする。大きな薬物の結晶(典型的には、直径が>5ミクロン)は、基本的に水を含んでいる流体相において、高圧均質化または高エネルギー湿式粉砕の何れかに供され、ナノメートルの大きさの範囲において薬物粒子が得られる(Merisko-Liversidge E, Liversidge GG, Cooper ER. “Nanosizing: a formulation approach for poorly -water -soluble compounds”, Eur.J.Pharm. Sci. 2004,18:113-20)。
【0007】
両方の処理の成功のカギは、流体相における表面修飾の包含である。表面修飾は、処理の間および処理の後における、ナノ粒子の凝集および/またはオストワルト成長を妨げる。表面修飾は、薬学的に許容可能な物質のリストから選択され、かつ、大きな薬物の結晶を湿潤すること、ならびに得られるナノメートルサイズの薬物粒子に立体的安定性および/またはイオン的安定性を提供することができる表面活性特性を一般的に有している。最も一般的に利用される安定剤としては、ポビドン、リン脂質、ポリソルベート、ポロキサマー、セルロース性物質、および陰イオン界面活性剤(例えば、SLSおよびDOSS)が挙げられる。
【0008】
マイクロフルダイザー技術はマイクロフルダイザー(4000バールに至る圧力下で高速(100m/秒に至る)の、前面が黒くなった2つの流体流のジェット流ホモジェナイザーである)の利用に基づいている。乱流および高剪断力は粒子の衝突を引き起こし、ナノメートルの範囲まで粒子を小さくする。また、適用される高圧および脂質の高流速は、キャビテーションを引き起こし得、サイズの縮小にさらに寄与し得る。粒径の維持するために、リン脂質または他の界面活性剤および安定剤による安定化が必要とされる。この処理の大きな短所は、必要とされる製造時間である。多くの場合、時間のかかる50から100のパスが、十分な粒径の減少に必要である(米国特許第6,018,080号および第5,091,187号)。高圧の均質化/マイクロ流体化の手法は、何年にもわたって研究されてきた(Muller R.H., “Nanosuspensions as particulate drug formulations in therapy: rationale for development and what we can expect in the future”, Adv. Drug Delivery Rev. 2001, 47:3-19;Rabinow B.E., “Nanosuspensions in drug delivery”, Nature Reviews: Drug Delivery 2004, 3:785-796;Pace S. et al., “Novel injectable formulations of insoluble drugs”, Pharm. Tech, 1999, 23:116-134;およびPanagiotou T. et al., “Production of stable nanosuspensions using mircofluidics reaction technology”, Nanotech. 2007, 4:246-249)。また、高エネルギー湿式粉砕処理が知られている(Bottomley K, “NanoTechnology for Drug Delivery: a Validated Technology?”, Drug Delivery Report, 2006:20-21)。
【0009】
それぞれの手法に対して、利点および欠点がある。均質化処理についての公知の粒径データは、この手法が一般に、湿式粉砕法を用いて達成できているものと比較して、わずかに広い粒径分布を有している分散を生み出すということを示す(Shah J, Wisniecki P, Wagner D, Shah P. “Case study: development of parenteral nanosuspensions: stability, manufacture and performance”. At 42nd Annual Technology Arden Conference: Best Practices for Parenteral Dogage Forms: Formulation, Process, Development, Package Selection and Manufacturing. AAPS Meetings and Expositions, West Point, N.Y. 2007)。また、高エネルギー湿式粉砕は一般に、溶媒と薬物粒子との接点が粒径の減少を引き起こす有標の粉砕溶媒を使用する。Elan’s NanoCrystal技術の手法において用いられる溶媒は、例えば、高剪断に耐えるよう設計されている高度に架橋したポリスチレン球を含んでおり、それゆえ製造の間の溶媒の耐久力についての懸念を最小限に抑える(Merisko-Liversidge E, Liversidge GG, “Drug Nanoparticles: Formulating Poorly Water-Soluble Compounds”, Toxicology Pathology 2008, 36:43-48)。得られるものは、高純度および再現可能な狭い粒径分布プロファイルによって特徴付けられる薬物のナノ粒子の集まりである。
【0010】
ナノサイズ化の種々の手法を用いて難水溶性分子を調合することは、薬剤開発サイクルの全体にわたって、途方もなく大きな価値を加える。NanoCrystal調合物は、わずか(as a little as)10mgの活性成分を用いて調製され得、しばしば、生物学的利用能および効能に基づく最適な開発候補を同定するためのクリップとして用いられる(米国特許第5,091,187号)。これらの調合物は複数の投与経路を介して投与され得る。当該調合物は良好な耐容性を示し、難水溶性化合物に最大の暴露を与えるため、それらは毒物動態学研究および標的製品プロファイルのための非常に貴重なツールである。
【0011】
完全な商業の可能性のあるナノサイズ化の実現における主要な挑戦は、許容可能な剤形への安定的な薬物ナノ粒子の成功的な改変である。さらに、ナノ流体化処理は注射可能な調合物に関して使用されてきた一方、その処理の利用は経口用の調合物に関してはるかに一般的ではない。ナノサイズ化技術の発展における成功にかかわらず、存在する欠点は、生物学的利用能が向上している難溶性薬物の経口用ナノ懸濁液を得るために、より洗練された(sofisticated)方法の必要性を誘引する。
【0012】
〔要約〕
一実施形態において、提供されるものは、マイクロフルダイザー処理を用いた、生物学的利用能が向上している難溶性薬物の経口用のナノ懸濁液を調製する方法である。ある実施形態において、難溶性薬物の経口用のナノ懸濁液を調製する方法は、微粉化されている薬物を、界面活性剤の非存在下、湿潤および分散のための水性の重合体賦形剤溶液中で攪拌する工程と、次いで得られた混合物を高剪断マイクロフルダイザー処理装置に通す工程とを含んでいる。
【0013】
一実施形態において、提供されるものは、界面活性剤の非存在下において、マイクロ流体化処理を用いて作製された、生物学的利用能が向上している難溶性薬物のナノ懸濁液であって、当該ナノ懸濁液は長期保存に適しているナノ懸濁液である。ある実施形態において、経口用のナノ懸濁液は5℃において少なくとも6ヶ月間安定である。
【0014】
別の実施形態において、提供されるものは、界面活性剤の非存在下で難溶性薬物のナノ懸濁液をマイクロ流体化する工程と、投与の直前に界面活性剤の存在下でナノ懸濁液を希釈する工程とを含んでいる、生物学的利用能が向上している難溶性薬物の経口用のナノ懸濁液を投与する方法である。界面活性剤の例としては、ビタミンE−TPGS、LabrasolおよびTween−20が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、界面活性剤はイオン性界面活性剤である。ある実施形態において、イオン性界面活性剤として、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)(すなわち、SDS)が挙げられるが、これに限定されない。
【0015】
一実施形態において、提供されるものは、生物学的利用能が向上している難溶性薬物のナノ懸濁液の調合物である。
【0016】
さらに別の実施形態において、提供されるものは、解凝集して粒径が調節された、生物学的利用能が向上しているナノ懸濁液を含んでいる、難溶性薬物の調合物である。
【0017】
特定の実施形態において、生物学的利用能が向上している経口用のナノ懸濁液は、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドのナノ懸濁液である。別の特定の実施形態において、生物学的利用能が向上している新規な経口用のナノ懸濁液は、(+)−{2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオン}のナノ懸濁液である。
【0018】
別の実施形態において、提供されるものは、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドまたは(+)−{2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオン}のナノ懸濁液の調合物を用いた、種々の疾患を治療、予防または管理する方法である。
【0019】
〔詳細な説明〕
(図面の簡単な説明)
図1は、マイクロ流体化処理の前および後における微粉化したAPI(a)およびナノ懸濁液A(b)、ならびに可溶化剤を用いて処理した懸濁液(c)の画像を表す。
【0020】
図2は、ナノ懸濁液A(a)、ナノ懸濁液B(c)、これらから希釈した凝集したナノ懸濁液C(25mg/ml)(b)の画像を表す。
【0021】
図3は、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドの平均血漿濃度−時間プロファイルを標準偏差と共に表す。
【0022】
図4は、同じ分散媒において調製した、粉砕したAPI(a)、微粉化したAPI(b)およびナノ懸濁液F(c)の外観を表す。
【0023】
図5は、0.1%SLS分散媒における、ナノ懸濁液F(a)、微粉化した(b)および粉砕した(c)シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドの溶解プロファイルを表す。
【0024】
図6は、開始時間におけるナノ懸濁液(a)、分散媒中で30分間攪拌したナノ懸濁液(b)、および分散媒中で120分間攪拌したナノ懸濁液(c)の体積/規定を下回る寸法における粒径の重ね合わせ(overlay)を表す。
【0025】
(薬物物質)
難水溶性薬物は、毒物学および毒物動態学研究ならびに臨床試験のための曝露がしばしば制限されていた。特定の平均粒径を有している薬物粒子がマイクロ流体化処理によって調製され得ること、およびこれら粒子が比較的安定であることが見出された。これら粒子は薬学的組成物中へ配合され、生物学的利用能の向上を示す。得られる薬学的組成物は毒物学の調合物において用いられ得る。
【0026】
本明細書において提供される方法および組成物は、広範囲の薬物物質を用いて実施され得る。当該薬物物質は典型的には難溶性であり、少なくとも1つの液体溶媒中で分散できる。一実施形態において、「難溶性」とは、薬物物質が液体分散媒において約10mg/ml未満の溶解度を有していることを意味する。別の実施形態において、「難溶性」とは、1mg/ml未満の溶解度を意味する。さらに別の実施形態において、「難溶性」とは、10μg/ml未満の溶解度を意味する。
【0027】
本明細書において提供される方法および組成物は、水などの液体分散媒、および薬物物質が難溶でありかつ分散できる他の液体溶媒(塩水溶液、ヒマワリ油および溶剤が挙げられるが、これらに限定されない)を用いて実施され得る。溶剤としては、エタノール、t−ブタノール、ヘキサンおよびグリコールが挙げられるが、これらに限定されない。水性の分散媒のpHは、当業者に公知の技術によって調節され得る。
【0028】
本発明の実施において用いられ得る、代表的で例証的な薬物物質としては、下記の式(I)で示されるシクロプロピル−N−{2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミド:
【0029】
【化1】

【0030】
または薬学的に許容可能なその塩もしくは立体異性体、
および下記の式(II)で示される{2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオン}:
【0031】
【化2】

【0032】
または薬学的に許容可能なその塩もしくは立体異性体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
一実施形態において、化合物は、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドである。別の実施形態において、化合物は、(+)−{2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオン}である。
【0034】
(マイクロフルダイザーおよびマイクロ流体化処理)
マイクロ流体化は任意の適当なマイクロフルダイザーを用いて行われ得る。マイクロフルダイザーの例としては、マイクロフルダイザーのM-110Pファミリー(Microfluidics, マサチューセッツ州, 米国)が挙げられるが、これに限定されない。
【0035】
本明細書において提供されるマイクロ流体化処理は、マイクロフルダイザー処理装置による難溶性化合物の分散の処理工程を含んでいる。当該処理およびそのようにして得られる粒径は、適用される圧力および化合物がマイクロフルダイザーを通過するパス数によって左右される。適用される圧力が比較的高い場合、パス数は低下し得、その逆もまた同じである。
【0036】
一実施形態において、提供されるものは、マイクロ流体化処理を用いて、難溶性薬物の経口用のナノ懸濁液を調製する方法であって、適用される圧力が5〜35K psiの範囲内である方法である。別の実施形態において、適用される圧力は10〜35K psiの範囲内である。別の実施形態において、適用される圧力は15〜30K psiの範囲内である。別の実施形態において、適用される圧力は25〜30K psiの範囲内である。
【0037】
一実施形態において、提供されるものは、マイクロ流体化処理を用いて、難溶性薬物の経口用のナノ懸濁液を調製する方法であって、パス数が10〜200の範囲内である方法である。別の実施形態において、パス数は20〜200の範囲内である。別の実施形態において、パス数は30〜200の範囲内である。別の実施形態において、パス数は40〜200の範囲内である。
【0038】
(難水溶性薬物のナノ懸濁液の作製方法)
一実施形態において、提供されるものは、界面活性剤を用いず、マイクロ流体化処理を用いて難溶性薬物の経口用のナノ懸濁液を調製する方法であって、当該方法は、湿潤および可溶化のために水性の重合体賦形剤溶液中で微粉化した化合物を攪拌する工程と、次いで高剪断マイクロフルダイザー処理装置(Microfluidics, マサチューセッツ州, 米国; Model M 110P)に通す工程とを含んでいる。適当な賦形剤としては、PVP、CMC、HPMC、PEG、PEO、トランスクトールおよびグリセリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
一実施形態において、水性の重合体賦形剤は、低分子量の重合体賦形剤である。本明細書に使用されるとき、別段の定めがない限り、「低分子量の重合体賦形剤」という用語は、20℃において2重量%水溶液として測定した場合に2000CPS未満の見かけ粘度を呈する重合体賦形剤を指す。あるいは、ある実施形態において、「低分子量の重合体賦形剤」という用語は、分子量が50,000未満である重合体賦形剤を指し得る。
【0040】
別の実施形態において、提供されるものは、界面活性剤を用いず、マイクロ流体化処理を用いて作製された、難溶性薬物の経口用のナノ懸濁液であって、長期保存に適しているナノ懸濁液である。本明細書に使用されるとき、「長期保存」は、ナノ懸濁液が安定である期間(例えば、1ヶ月以上、3ヶ月以上、6ヶ月以上、1年以上、または2年以上)として定義される。
【0041】
一実施形態において、難溶性薬物のナノ懸濁液の安定性は、70%、80%または90%以上のAPIが劣化していないままである(当該技術分野において公知である任意の従来の方法を用いて評価される)期間によって定義される。
【0042】
提供されるものは、マイクロ流体化処理を用いた難溶性薬物のナノ懸濁液であって、得られるナノ懸濁液は低温(例えば、5℃)において長期保存に対し安定的であるもの、およびその調製方法である。同様に提供されるものは、マイクロ流体化処理を用いた難溶性薬物のナノ懸濁液であって、得られるナノ懸濁液は室温(22℃)において長期保存に対し安定的であるもの、およびその調製方法である。
【0043】
ある実施形態において、提供されるものは、マイクロ流体化処理を用いた難溶性薬物のナノ懸濁液の調製方法であって、得られるナノ懸濁液は低温(例えば、5℃)において1、5、10、15、20または25日より長い間安定的である。ある実施形態において、提供されるものは、マイクロ流体化処理を用いた難溶性薬物のナノ懸濁液の調製方法であって、得られるナノ懸濁液は低温(例えば、5℃)において1、2、3または4週間より長い間安定的である。ある実施形態において、提供されるものは、マイクロ流体化処理を用いた難溶性薬物のナノ懸濁液の調製方法であって、得られるナノ懸濁液は低温(例えば、5℃)において1、3、6、12、18または24ヶ月より長い間安定的である。
【0044】
ある実施形態において、提供されるものは、マイクロ流体化処理を用いた難溶性薬物のナノ懸濁液の調製方法であって、得られるナノ懸濁液は室温(22℃)において1、5、10、15、20または25日より長い間安定的である。ある実施形態において、提供されるものは、マイクロ流体化処理を用いた難溶性薬物のナノ懸濁液の調製方法であって、得られるナノ懸濁液は室温(22℃)において1、2、3または4週間より長い間安定的である。ある実施形態において、提供されるものは、マイクロ流体化処理を用いた難溶性薬物のナノ懸濁液の調製方法であって、得られるナノ懸濁液は室温(22℃)において1、3、6、12、18または24ヶ月より長い間安定的である。
【0045】
得られる懸濁液の粒径分布は任意の計測器を用いて測定され得る。例えば、Cilas Particle Size Analyser 1190を用いたレーザー回折がある。粒子の画像は、例えば顕微鏡「Olympus」を用いて撮影され得る。解像比は、例えばρION μDISS Profilerによって決定され得る。
【0046】
一実施形態において、経口用のナノ懸濁液は、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドのナノ懸濁液である。別の実施形態において、ナノ懸濁液は、(+)−{2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオン}のナノ懸濁液である。
【0047】
マイクロ流体化による難溶性化合物の分散の処理において、重合体賦形剤の濃度はマイクロフルダイザー処理のつまりを避けるために適切に調節されるべきである。さらに、高分子量の賦形剤は、一般に、低分子量の賦形剤と比較して大きいサイズの粒子を生じさせる。より高分子の化合物にはより強い遮蔽力が必要であるという事実が部分的に原因となっている。それゆえ、賦形剤の適切な分子量は、所望の粒径に応じて決定されるべきである。一般に、溶媒混和は、粒径の増大に対して、より少ない影響しか与えない。
【0048】
ある場合において、マイクロ流体化した粒子の凝集が起こり得る。この観点では、凝集を最小限にするために、適当な分散剤が、単独でまたは界面活性剤と組み合わせて用いられ得る。そのような分散剤および/または界面活性剤は概して、マイクロ流体化した溶液を投与のために希釈する際に加えられる。ある実施形態において、凝集した粒子の溶解のために、補助溶剤が用いられ得る。適当な補助溶剤としては、トランスクトール、PEG300−8000、グリセロール、およびエタノールが挙げられるが、これらに限定されない。界面活性剤は本明細書の他の箇所において、より詳細に記載されている。
【0049】
したがって、同様に提供されるものは、安定な濃縮したナノ懸濁液にさせる特定の調合物の流体化の処理である第一段階;および、生物学的利用能が向上している、解凝集して粒径が調節されたナノ粒子を形成させる、分散剤、補助溶剤および/または界面活性剤の存在下における、濃縮したナノ懸濁液の希釈の処理である第二段階、を含んでいる難溶性薬物のナノ懸濁液を作製する方法である。
【0050】
(難水溶性薬物のための界面活性剤)
一実施形態において、マイクロ流体化処理を用いて作製されるナノ懸濁液の調合物は、投与の直前に希釈される。別の実施形態において、希釈された溶液は1または2以上の界面活性剤を含んでいる。
【0051】
界面活性剤は、液体の表面張力を弱めてより広がり易くし、かつ2つの液体間の界面張力を弱める湿潤剤である。界面活性剤は通常、両親媒性の有機化合物であり、したがって、それらは有機溶媒および水の両方に可溶である。界面活性剤は液体−気体の界面において吸着することによって水の表面張力を減少させる。また、それらは液体−液体の界面において吸着することによって油と水との間の界面張力を減少させる。
【0052】
界面活性剤は、2つの基本的なグループに分類される:イオン性(陰イオン性、陽イオン性および両性イオン性)(二重の電荷)および非イオン性。
【0053】
非イオン性界面活性剤の例としては、アルキルポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)とポリ(プロピレンオキシド)との共重合体、アルキルポリグリコシド(オクチルグルコシドなど)、デシルマルトシド、脂肪アルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、コカミドMEA、コカミドDEA、ポリソルベート(Tween20、Tween80など)、およびドデシルジメチルアミンオキシドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
イオン性界面活性剤の例としては、レルフルオロオクタノエート(PFOAまたはPFO)、ペルフルオロオクタンスルホン酸塩(PFOS)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、アルキルベンゼンスルホン酸塩、石鹸、または脂肪酸塩(陰イオン性)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)別名:臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、および他のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化セチルピリミジニウム(CPC)、ポリエトキシレート化獣脂アミン(Polyethoxylated tallow amine)(POEA)、塩化ベンザルコニウム(BAC)、塩化ベンゼトニウム(BZT)(陽イオン性)、ドデシルベタイン、コカミドプロピルベタインおよびココアンフォグリシナート(coco ampho glycinate)(両性イオン性)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
一実施形態において、界面活性剤は非イオン性界面活性剤である。別の実施形態において、非イオン性界面活性剤はビタミンE−TPGS、LabrasolまたはTween−20である。一実施形態において、界面活性剤はイオン性界面活性剤である。別の実施形態において、イオン性界面活性剤はSLSである。
【0056】
(難水溶性薬物のナノ懸濁液の投与の方法)
提供されるものは、界面活性剤の非存在下でナノ懸濁液をマイクロ流体化する工程と、界面活性剤の存在下でナノ懸濁液の投与の直前にナノ懸濁液を希釈する工程と、希釈したナノ懸濁液の調合物を対象に投与する工程とを含んでいる、生物学的利用能が向上している難水溶性薬物の経口用のナノ懸濁液を投与する方法である。
【0057】
本明細書に使用されるとき、「投与の直前」とは、ナノ懸濁液が対象に投与される前の、約2分から約10分の期間、または約5分から約5時間の期間、または約30分から約4時間の期間においてナノ懸濁液が希釈されることを意味する。
【0058】
特定の実施形態において、界面活性剤は非イオン性界面活性剤である。特定の実施形態において、非イオン性界面活性剤として、ビタミンE−TPGS、LabrasolおよびTween−20が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、界面活性剤はイオン性界面活性剤である。別の実施形態において、イオン性界面活性剤はSLSである。
【0059】
難水溶性薬物のナノ懸濁液の生物学的利用能の向上を達成するために、ナノ懸濁液の濃縮物は投与の前に希釈され得る。一実施形態において、希釈の処理は、賦形剤および界面活性剤の存在下で濃縮物から難溶性薬物のナノ懸濁液を希釈することを含んでいる。特定の実施形態において、賦形剤はHPMC E5である。別の特定の実施形態において、界面活性剤はSLSである。賦形剤および界面活性剤の量は、調合したい薬物物質の特性、所望の粒径、および賦形剤または界面活性剤の個々の種類に応じて変更され得る。ある実施形態において、賦形剤の量は0.05%〜20%であり得る。ある実施形態において、賦形剤の量は0.1%〜10%であり得る。ある実施形態において、賦形剤の量は0.2%〜5%であり得る。非イオン性界面活性剤が用いられるある実施形態において、界面活性剤の量は0.1%〜25%、0.5%〜15%または1%〜10%であり得る。イオン性界面活性剤が用いられるある実施形態において、界面活性剤の量は0.02%〜10%、0.1%〜8%または0.5%〜5%であり得る。
【0060】
得られるナノ懸濁液は溶解度および生物学的利用能が増加しているということが見出された。いくつかの実施形態において、ナノ懸濁液に溶解度は、40分にわたって40倍に増加する。また、本明細書において提供される方法を用いると、ナノ粒子は解凝集し、適切な平均直径に到達するまで大きくなるということが見出された。
【0061】
いくつかの実施形態において、濃縮したナノ懸濁液および希釈剤(例えば、界面活性剤)は投与の前に混合されないが、濃縮したナノ懸濁液および希釈剤は順次投与されて、両者はin situで混合される。したがって、本明細書において同様に提供されるものは、(1)本明細書において提供される方法を用いて作製された濃縮したナノ懸濁液を投与する工程;(2)界面活性剤を含んでいる希釈剤を投与し、それによって濃縮したナノ懸濁液と希釈剤とをin situで混合する工程、を含んでいる、難水溶性薬物の経口用のナノ懸濁液を投与する方法である。
【0062】
いくつかの実施形態において、難溶性薬物の安定的なナノ懸濁液は、再結晶化することなく、安定剤によって得られる。最適な処理圧力および時間は、最適な粒径を得るために決定され得る。いくつかの実施形態において、界面活性剤を用いてマイクロ流体化処理したナノ懸濁液を再調合することによって、粒径がわずかに増大する一方、溶解度が向上し得る。処理圧力および処理時間における増加は、粒径のさらなる減少を引き起こし得る。いくつかの実施形態において、最適な処理は界面活性剤の非存在下で得られる。懸濁液の溶解度は、マイクロ流体化処理後にナノ懸濁液へ界面活性剤を加えることによってさらに向上し得る。
【0063】
(難溶性薬物のナノ懸濁液を用いた、疾患の治療、予防および管理の方法)
本明細書において提供される、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドもしくは(+)−{2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオン}、または薬学的に許容可能なそれらの塩、溶媒和物、水和物もしくはクラスレート化合物を含んでいる調合物は、種々の疾患を治療、予防および/または管理するために用いられ得る。当該疾患としては、鬱血性心不全、心筋症、肺水腫、内毒素で仲介される感染性ショック、急性ウイルス性心筋炎、慢性同種移植拒絶、および心筋梗塞などの心臓疾患;肉腫、がん腫、繊維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、子宮頚部癌、精巣癌、肺癌、肺小細胞癌、膀胱癌、上皮性癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、カポジ肉腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、希突起神経膠腫、髄膜腫(menangioma)、黒色腫、神経芽細胞腫および網膜芽腫を包含する(これらに限定されない)充実性腫瘍;急性リンパ芽球性白血病、B細胞急性リンパ性白血病、T細胞急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性単芽球性白血病、急性赤血白血病(acute erythroleukemic leukemia)、急性巨核芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ性白血病、急性未分化性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、有毛状細胞性白血病、多発性骨髄腫、急性および慢性白血病(リンパ芽球性、骨髄性(myelogenous)、リンパ性、および骨髄性(myelocytic)白血病を包含する)を包含する(これらに限定されない)血液由来の腫瘍;喘息;炎症;慢性または急性閉塞性肺疾患;慢性または急性肺炎症性疾患;結節性痒疹、皮膚狼瘡;皮膚筋炎;慢性皮膚サルコイドーシスを包含するサルコイドーシス;疼痛;リウマチ性関節炎;急性痛風性関節炎;ぶどう膜炎;酒土性座瘡、強直性脊椎炎、乾癬;乾癬性関節炎;扁平苔癬;アトピー性皮膚炎;接触皮膚炎;骨関節炎;座瘡; 炎症性腸疾患;クローン病;ベーチェット病;大腸炎;潰瘍性大腸炎;再潅流が原因の関節炎または炎症、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
一実施形態において、疾患は乾癬である。別の実施形態において、疾患は乾癬性関節炎である。
【0065】
別の実施形態において、疾患はサルコイドーシスである。別の実施形態において、疾患は慢性皮膚サルコイドーシスである。
【0066】
別の実施形態において、疾患は皮膚狼瘡である。
【0067】
疾患または病気の急性的または慢性的な管理における難溶性薬物のナノ懸濁液の予防的または治療的な投与量の程度は、当該疾患または病気の性質および重篤度によって変わる。また、投与量、およびおそらく投与頻度は、年齢、体重、および個々の患者の反応に応じて変わる。適当な投与計画は、そのような因子を考慮して、当業者によって直ちに選択され得る。
【0068】
一実施形態において、本明細書に記載された症状に対する推奨される1日量の範囲は、1日1回の単回投与の場合または1日にわたる複数回投与の場合に、1日あたり約1mg〜約1000mgの範囲内である。別の実施形態において、1日量は、均等な複数回投与において1日2回投与される。ある実施形態において、1日量は約5mg〜約500mgの範囲である。ある実施形態において、1日量は約10mg〜約250mgの範囲である。一実施形態において、1日量は5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mgまたは500mgの剤形として投与される。
【0069】
一実施形態において、患者の管理において、治療はより少ない量(例えば、約1mg〜約25mg)において開始し、必要であれば、患者の全体的な反応に応じて、例えば、単回投与または複数回投与の何れかとして、1日あたり約200mg〜約1000mgに増加するべきである。別の実施形態において、1日量は、例えば、約250mg/kgである。
【0070】
当業者によって直ちに知られ得る場合、異なる治療上効果的な量が、異なる疾患および病気に対して適用され得る。
【0071】
本発明は、以下の限定されない実施例によってさらに説明される。
【0072】
〔実施例〕
(実施例1.難溶性薬物のマイクロ流体化処理)
シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドの水性分散液(0.5% HPMC E5中に200mg/mlまで)を、マイクロフルダイザー処理装置によって処理することができた。低濃度の重合体賦形剤(0.2% HPMC E5)は、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドの湿潤を不十分なものにし、処理装置のつまりを引き起こした。27K psiにおいて100パスにわたって処理することによって、体積による平均粒径は8.0μmから0.39μmまで減少した。一方、15Kpsiにおいて処理することによって、平均サイズは0.91μmとなった。数による粒径のD90は0.09μmであった。高分子量の賦形剤の使用は低分子量の賦形剤と比較して大きいサイズの粒子を生じさせたが、溶媒混和は粒径の増大に対して、より少ない影響しか与えないことに気付いた。
【0073】
ビタミンE−TPGS、Tween−20、LabrasolまたはSLSなどの界面活性剤を含んでいる調合物は、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドの過飽和、およびマイクロ流体化処理を用いたインハビタントニードル(inhabitant needles)へのその再結晶化を引き起こしたことが観察された。マイクロ流体化処理の前後における界面活性剤を含んでいないナノ懸濁液の画像、および処理後におけるTween20を含んでいる懸濁液の画像を図1に示す。200mg/mlのナノ懸濁液Aは、室温において少なくとも2ヶ月間、および5℃において少なくとも6ヶ月間、物理的に安定であった。
【0074】
難水溶性薬物の安定的なナノ懸濁液を、再結晶化なしに安定剤を用いることによって得られたことを実証した。最適な処理圧力および時間により、0.05μmの平均粒径を得た。最適な処理は界面活性剤の非存在下において得られる。マイクロ流体化処理後に界面活性剤をナノ懸濁液に加えることによって、懸濁液の溶解度はさらに向上し得る。得られたシクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドのナノ懸濁液は、溶解速度および生物学的利用能の向上を示した。
【0075】
(実施例2.難溶性薬物のナノ懸濁液の調合)
ナノ懸濁液Aの粒径を測定した際、凝集する傾向がみられた(図2)。この問題を回避するために、さらなる調合物において分散剤を用いた。ナノ懸濁液BおよびCを、1.5%のLabrasolおよび1.5%のビタミンE−TPGSを用いて、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドが25mg/mlになるまで最終的に希釈した(異なる方法で添加した)。ナノ懸濁液Bは、0.5% HPMC E5におけるAと界面活性剤とを300rpmにおいて一晩攪拌して得られた混和物である。一方、ナノ懸濁液Cは、0.5 HPMC E5中で強制経口投与によって投与され、次いで10mlの界面活性剤を用いて管をすすいだ。ナノ懸濁液Dは、室温において30分間攪拌した、ナノ懸濁液Aと0.2%のSLSとの混和物である。ナノ懸濁液Eは、ナノ懸濁液Aと別の賦形剤との混和物である。
【0076】
(実施例3.難溶性薬物のナノ懸濁液の希釈)
1.5%のLabrasolおよび1.5%のビタミンE−TPGSを用いて、ナノ懸濁液Aを200mg/mlから25mg/mlに希釈した後、得られたナノ懸濁液Bの溶解度は40分にわたって40倍に増加した(図2)。図2における画像は、ナノ粒子が0.10μm(数によるD90)になるまでわずかに大きくなりながら、解凝集したことを示す。体積による平均サイズは0.39μmから0.73μmまで増大した。
【0077】
希釈は、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドのナノ粒子の解凝集を引き起こし、以下の生物学的利用能の増大を引き起こした:0.2%のSLSによって希釈して30分間攪拌した25mg/mlのナノ懸濁液は相対的暴露(relative exprosure)が147%向上した;0.6のSLSによって希釈して60分間攪拌した25mg/mlのナノ懸濁液は溶解速度の向上を示した;1.5%のビタミンE−TPGSおよび1.5%のLabrasol中に希釈した25mg/mlのナノ懸濁液は相対的暴露が129%向上した(表1)。
【0078】
【表1】

【0079】
(実施例4.マイクロ流体化処理によって得られるシクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドのナノ懸濁液)
まず、微粉化したシクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドを水性の賦形剤溶液(PVP、CMC、HPMC、PEG、PEO、トランスクトール、グリセリン、ならびに/または湿潤および可溶化のための種々の界面活性剤を含んでいる)中で攪拌し、次いで高剪断マイクロフルダイザー処理装置に通すことによって、ナノ懸濁液を形成させた。得られた懸濁液の粒径分布を、レーザー回折粒径分析器によって測定した。粒子の画像を、顕微鏡を用いて撮影した。
【0080】
可溶化剤(ビタミンE−TPGS、Tween20、またはSLSなど)を含んでいる調合物の画像は、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドの過飽和およびマイクロ流体化処理を用いたインハビタントニードル(inhabitant needles)への再結晶化を示した。重合体賦形剤において200mg/mlまでのシクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドの水性分散液を、この手法を用いて処理した。200mg/mLのナノ懸濁液は、画像および粒径分析によると、室温で2ヶ月間物理的に安定であった。数による粒径のD90は0.09μmであった。ナノ懸濁液を27K psiにおいて130パスにわたって処理することによって、平均粒径が0.05μmまで減少した。一方、15K psiにおいて処理することによって、平均粒径は0.08μmとなった。高分子量の賦形剤の使用は、低分子量の賦形剤の使用と比較して、大きな粒子を生じさせた。一方、溶媒混和は粒径の増大に対して、より少ない影響しか与えない。重合体賦形剤が低濃度の場合、200mg/mlのシクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドの湿潤は不十分であり、処理装置のつまりを引き起こした。特定の界面活性剤を用いて200mg/mlから25mg/mlに希釈した後、溶解度は40分にわたって40倍に増加した。画像は、ナノ粒子が0.10μm(D90)になるまでわずかに大きくなりながら、解凝集することを示した。
【0081】
シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドの安定的なナノ懸濁液は、再結晶化なしに安定剤によって得られた。最適な処理圧力および時間によって0.05μmの平均粒径を得た。マイクロ流体化処理したナノ懸濁液を、界面活性剤を用いて再調合することによって、溶解度が向上した。一方、粒径はわずかに増大した。
【0082】
(実施例5.マイクロ流体化処理によって得られる(+)−{2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオン}のナノ懸濁液)
微粉化した化合物を水性の賦形剤溶液(PVP、CMC、HPMC、PEG、PEO、トランスクトール、もしくはグリセリン、ならびに/または湿潤および可溶化のための界面活性剤(ビタミンE−TPGS、Tween20またはSLSなど)を含んでいる)中で攪拌し、次いで高剪断マイクロフルダイザー処理装置に通す工程によって、(+)−{2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオン}のナノ懸濁液を形成させる。得られた懸濁液の粒径分布を、レーザー回折粒径分析器によって測定する。粒子の画像を、顕微鏡を用いて撮影する。
【0083】
200mg/mlの(+)−{2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオン}のナノ懸濁液は、画像および粒径分析によると、室温で2ヶ月間物理的に安定である。ナノ懸濁液を27K psiにおいて130パスにわたって処理することによって、15K psiの圧力の使用に比べて、さらに顕著に平均粒径を減少させる。重合体賦形剤が低濃度の場合、200mg/mlの(+)−{2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオン}の湿潤は不十分である。特定の界面活性剤を用いて200mg/mlから25mg/mlに希釈した後、溶解度は顕著に増加する。
【0084】
(実施例6.薬物動態学研究に基づく、難溶性薬物の生物学的利用能の向上)
オスのカニクイザルにおける、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドの4つの調合物の、経口投与後の薬物動態学的評価を行った。強制経口投与の調合物を、投与の間中、連続的に攪拌した。投与後、胃管用チューブ(gavage tube)を10mlの水道水または界面活性剤溶液を用いてすすいだ。1%のCMCにおける対照の微粉化した懸濁液Eに対するナノ懸濁液B、CおよびDの、個々のおよび平均の血清濃度および薬物動態学的パラメーターを表1に記載している。吸収は、Tmaxが2時間であるナノ懸濁液Dにおいて最も速かった。ナノ懸濁液DについてのCmaxおよびAUC0−24hr値は、それぞれ1169ng/mlおよび18793ng h/mlであった。対照の懸濁液EのAUC0−24hr(12780ng h/ml)を、相対的暴露(relative exposure)を算出するために基準として用いた。250mg/kgの投与レベルにおいて、ナノ懸濁液B、CおよびDによる相対的暴露の向上が、それぞれ107%、129%および147%であることを、AUC0−24hrデータは示している。シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドの平均血漿濃度−時間プロファイルを、標準偏差と共に図3に示している。
【0085】
(実施例7.生物学的利用能に対する粒径の減少の効果)
ナノ懸濁液BおよびCは、25mg/mのシクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドを1.5%のLabrasolおよび1.5%のビタミンE−TPGSと共に含んでいるが、ナノ懸濁液Bを界面活性剤中に一晩分散させた一方、ナノ懸濁液Cを界面活性剤と順次投与した。ナノ懸濁液Cの粒径が一晩でわずかに大きくなったことが観察された。粒径の減少は生物学的利用能の向上に対して良い影響を与えた。体積によって分析したナノ懸濁液CのD50は、0.73μmであった(数によるもの−0.04μm)。一方、ナノ懸濁液BのD50は、0.46μmであった(数によるもの−0.04μm)。元の200mg/mlのナノ懸濁液AのD50は、0.39μm(0.03μm)であった。より小さい粒径を有するナノ懸濁液Bは、ナノ懸濁液Cよりも生物学的利用能の向上をもたらした。
【0086】
(実施例8.溶解プロファイルの比較)
200mg/mlのナノ懸濁液Aを0.6%のSLSを用いて希釈し、4時間にわたって攪拌することによって、ナノ懸濁液Fを調製した。微粉化した(micronized)物質および粉砕した(milled)物質に関して、同じ条件を同じAPI量に適用した。ナノ懸濁液F、微粉化したAPI懸濁液および粉砕したAPI懸濁液の外観を図4に示している。
【0087】
ナノ懸濁液F、微粉化したAPI懸濁液および粉砕したAPI懸濁液の一部を、0.1%のラウリル硫酸ナトリウムを含んでいる容器に移した。これら3つの懸濁液の溶解プロファイルを、PionμDissolutionによって評価した。その結果は、溶解の速度は次のような順番であることを示した:ナノ懸濁液F>微粉化したAPI>粉砕したAPI(図5)。
【0088】
(実施例9.難溶性薬物のナノ粒子の解凝集)
元のナノ懸濁液A(0.2%のSLSによって25mg/mlに希釈し、300rpmにおいて30分間および120分間攪拌した)の体積における粒径プロファイルを、Cilas粒径分析器によってモニターした。結果を図6に示している。0.2%SLS濃度におけるナノ粒子の解凝集が30分間の攪拌において最適であったことを、測定の重ね合わせ(overlay)は示している。調合物の状態は実際のナノ懸濁液Dであり、それはインビボにおける147%の相対的暴露の向上に対応する。
【0089】
それぞれ個々の公知文献または特許出願が参照によって援用されることを明確に個々に指示されるように、本明細書中に記載されている全ての公開、特許および特許出願が本明細書に参照によって援用される。明確化および理解の目的のために図面および実施例の方法によって、先行の発明がいくらか詳細に記載されているが、ある種の変更および変形が、付随の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなくなされ得ることが、本発明の技術に照らして、当業者にとって直ちに明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】マイクロ流体化処理の前および後における微粉化したAPI(a)およびナノ懸濁液A(b)、ならびに可溶化剤を用いて処理した懸濁液(c)の画像を表す図である。
【図2】ナノ懸濁液A(a)、ナノ懸濁液B(c)、これらから希釈した凝集したナノ懸濁液C(25mg/ml)(b)の画像を表す図である。
【図3】シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドの平均血漿濃度−時間プロファイルを標準偏差と共に表す図である。
【図4】同じ分散媒において調製した、粉砕したAPI(a)、微粉化したAPI(b)およびナノ懸濁液F(c)の外観を表す図である。
【図5】0.1%SLS分散媒における、ナノ懸濁液F(a)、微粉化した(b)および粉砕した(c)シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドの溶解プロファイルを表す図である。
【図6】開始時間におけるナノ懸濁液(a)、分散媒中で30分間攪拌したナノ懸濁液(b)、および分散媒中で120分間攪拌したナノ懸濁液(c)の体積/規定を下回る寸法における粒径の重ね合わせ(overlay)を表す図である。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図2A】

【図2B】

【図2C】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的利用能が向上している難溶性薬物のナノ懸濁液を調製する方法であって、
a)微粉化されている上記薬物を、界面活性剤の非存在下、水性の重合体賦形剤溶液中で攪拌すること;および
b)ナノ懸濁液を得るために、工程a)において得られた濃縮物を高剪断マイクロフルダイザー処理装置に通すこと
を含んでいる方法。
【請求項2】
上記ナノ懸濁液は経口投与用である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記難水溶性薬物は、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
上記難水溶性薬物は、(+)−{2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオン}である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
上記水性の重合体賦形剤は、低分子量の重合体賦形剤である、請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
上記低分子量の重合体賦形剤は、HPMC E5である、請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
難溶性薬物の安定的なナノ懸濁液であって、
a)微粉化されている上記薬物を、界面活性剤の非存在下、水性の重合体賦形剤溶液中で攪拌すること;および
b)工程a)において得られた濃縮物を高剪断マイクロフルダイザー処理装置に通すこと:によって得られ、
長期保存に適している、ナノ懸濁液。
【請求項8】
5℃において2週間より長い間安定である、請求項7に記載のナノ懸濁液。
【請求項9】
5℃において2ヶ月より長い間安定である、請求項7または8に記載のナノ懸濁液。
【請求項10】
5℃において6ヶ月より長い間安定である、請求項7〜9の何れか1項に記載のナノ懸濁液。
【請求項11】
室温において2週間より長い間安定である、請求項7に記載のナノ懸濁液。
【請求項12】
室温において2ヶ月より長い間安定である、請求項7または11に記載のナノ懸濁液。
【請求項13】
室温において6ヶ月より長い間安定である、請求項7、11または12に記載のナノ懸濁液。
【請求項14】
経口投与に適合した、請求項7〜13の何れか1項に記載のナノ懸濁液。
【請求項15】
上記難水溶性薬物は、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドである、請求項7〜14の何れか1項に記載のナノ懸濁液。
【請求項16】
上記難水溶性薬物は、(+)−{2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオン}である、請求項7〜14の何れか1項に記載のナノ懸濁液。
【請求項17】
上記水性の重合体賦形剤は、低分子量の重合体賦形剤である、請求項7〜16の何れか1項に記載のナノ懸濁液。
【請求項18】
上記低分子量の重合体賦形剤は、HPMC E5である、請求項7〜17の何れか1項に記載のナノ懸濁液。
【請求項19】
生物学的利用能が向上している難溶性薬物のナノ懸濁液を対象に投与する方法であって、
a)微粉化されている上記薬物を、界面活性剤の非存在下、水性の重合体賦形剤溶液中で攪拌すること;
b)工程a)において得られた濃縮物を高剪断マイクロフルダイザー処理装置に通すこと;
c)投与の直前に、工程b)において得られた濃縮物を、1または2以上の界面活性剤を含んでいる希釈液を用いて希釈すること;および
d)希釈した調合物を対象に投与すること
を含んでいる方法。
【請求項20】
上記水性の重合体賦形剤は、低分子量の重合体賦形剤である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
上記低分子量の重合体賦形剤は、HPMC E5である、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
上記界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である、請求項19〜21の何れか1項に記載の方法。
【請求項23】
上記非イオン性界面活性剤は、ビタミンE−TPGS、LabrasolまたはTween−20である、請求項19〜22の何れか1項に記載の方法。
【請求項24】
上記界面活性剤は、イオン性界面活性剤である、請求項19〜21の何れか1項に記載の方法。
【請求項25】
上記イオン性界面活性剤は、SLSである、請求項19〜21および24の何れか1項に記載の方法。
【請求項26】
上記希釈液は、補助溶剤をさらに含んでいる、請求項19〜25の何れか1項に記載の方法。
【請求項27】
上記補助溶剤は、トランスクトール、PEG300−8000、グリセロールまたはエタノールである、請求項19〜26の何れか1項に記載の方法。
【請求項28】
上記ナノ懸濁液は経口によって投与される、請求項19〜27の何れか1項に記載の方法。
【請求項29】
上記難溶性薬物は、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドである、請求項20〜29の何れか1項に記載の方法。
【請求項30】
上記難溶性薬物は、(+)−{2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオン}である、請求項19〜28の何れか1項に記載のナノ懸濁液。
【請求項31】
生物学的利用能が向上している難溶性薬物のナノ懸濁液を対象に投与する方法であって、
a)微粉化されている上記薬物を、界面活性剤の非存在下、水性の重合体賦形剤溶液中で攪拌すること;
b)工程a)において得られた濃縮物を高剪断マイクロフルダイザー処理装置に通すこと;
c)工程b)において得られた濃縮物を対象に投与すること;および
d)1または2以上の界面活性剤を含んでいる希釈液を対象に投与すること
を含んでおり、
上記濃縮物および希釈液はin situで混合される、方法。
【請求項32】
上記水性の重合体賦形剤は、低分子量の賦形剤である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
上記低分子量の重合体賦形剤は、HPMC E5である、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
上記界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である、請求項31〜33の何れか1項に記載の方法。
【請求項35】
上記非イオン性界面活性剤は、ビタミンE−TPGS、LabrasolまたはTween−20である、請求項31〜34の何れか1項に記載の方法。
【請求項36】
上記界面活性剤は、イオン性界面活性剤である、請求項31〜33の何れか1項に記載の方法。
【請求項37】
上記イオン性界面活性剤は、SLSである、請求項31〜33および36の何れか1項に記載の方法。
【請求項38】
上記希釈液は、補助溶剤をさらに含んでいる、請求項31〜37の何れか1項に記載の方法。
【請求項39】
上記補助溶剤は、トランスクトール、PEG300−8000、グリセロールまたはエタノールである、請求項31〜38の何れか1項に記載の方法。
【請求項40】
上記難溶性薬物は、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドである、請求項31〜39の何れか1項に記載の方法。
【請求項41】
上記難溶性薬物は、(+)−{2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオン}である、請求項31〜39の何れか1項に記載の方法。
【請求項42】
下記a)およびb)を含んでいるプロセスによって得られる、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドのナノ懸濁液:
a)微粉化されている上記化合物を、界面活性剤の非存在下、低分子量の水性の重合体賦形剤溶液中で攪拌すること;および
b)工程a)において得られた濃縮物を高剪断マイクロフルダイザー処理装置に通すこと。
【請求項43】
下記a)およびb)を含んでいるプロセスによって得られる、(+)−{2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオン}のナノ懸濁液:
a)微粉化されている上記化合物を、界面活性剤の非存在下、低分子量の水性の重合体賦形剤溶液中で攪拌すること;および
b)工程a)において得られた濃縮物を高剪断マイクロフルダイザー処理装置に通すこと。

【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−510855(P2013−510855A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538876(P2012−538876)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/055897
【国際公開番号】WO2011/059931
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(500026935)セルジーン コーポレイション (41)
【Fターム(参考)】