説明

マイクロ流体装置とマイクロ流体装置とを結合する方法

本発明の局面は、少なくとも第一の面が少なくとも一つの開放マイクロチャネル構造を有する平坦な基板と、第一の面が該平坦な基板の該第一の面に取り付けられたふた形成シート材料であって、該少なくとも一つのマイクロチャネル構造の少なくとも一部分を覆うふた形成シート材料とを含み、該ふた形成シート材料が、該基板と該ふた形成シート材料との間の間隔を制御するための粒子を含む結合材料によって該平坦な基板に取り付けられている、マイクロ流体アセンブリを含む。本発明の他の局面は、詳細な説明、図面および請求の範囲に反映されている。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロチャネルおよびマイクロキャビティ系の製造ならびにそのようなものとしてのマイクロチャネルおよびマイクロキャビティ系に関し、より具体的には、ふたを基板に結合する改良された方法であって、該基板および/またはふたの少なくとも一方が該マイクロチャネル系の少なくとも一部を含むものである方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
マイクロチャネルまたはマイクロキャビティ構造は、とりわけ、化学分析技術、たとえば電気泳動法およびクロマトグラフィー法で使用される。マイクロ流体装置とは、反応体を含有し、μl範囲の量を有する一つまたは複数の液体アリコートが、μm範囲にある深さおよび/または幅を有するマイクロチャネル構造中で輸送され、処理される装置と定義される。μl範囲は、≦1000μl、たとえば≦25μlであり、nl範囲を含み、このnl範囲は逆にpl範囲を含む。nl範囲は、≦5000nl、たとえば≦1000nlである。pl範囲は、≦5000pl、たとえば≦1000plである。μm範囲は、≦1000μm、たとえば≦500μmである。
【0003】
マイクロ流体装置は一般的に、複数の上記マイクロチャネル構造を含む。すなわち、二つ以上のマイクロチャネル構造、たとえば≧10、たとえば≧25または≧90個のマイクロチャネル構造を有する。上限は一般的に≦2000である。
【0004】
マイクロチャネル構造内で液体を輸送するためには様々な原理を使用することができる。たとえば、ディスクを回転させることによって慣性力を使用することができる。他の有用な力は、界面動電力および遠心力以外の非界面動電力、たとえば毛管力、静水圧力、一つまたは複数のポンプによって生成される圧力などである。
【0005】
マイクロ流体装置は一般的にはディスクの形態にある。好ましいフォーマットは、ディスク平面に対して垂直である、またはディスク平面と合致する対称軸(Cn)を有し、nは、≧2、3、4または5の整数、好ましくは∞(C)である。したがって、ディスクは、長方形など、様々な多角形を有することができる。好ましいサイズおよび/または形態は、従来のCDフォーマットに類似し、たとえば、従来のCD半径(12cm)の円形ディスクの10%〜300%の間隔のサイズである。マイクロチャネル構造が正しく設計され、配向されるならば、ディスク平面に対して一般的に垂直または平行である回転軸を中心とする装置の回転が、構造内で平行な液体輸送を生じさせるために必要な遠心力を発生させることができる。優先日の時点でのもっとも自明な変形態様において、回転軸は上記対称軸と合致する。
【0006】
好ましいマイクロチャネル構造では、液体を入口に導入して第一の毛管弁に到達させるために毛管力が使用され、その後、弁位置における液流のための抵抗に打ち勝つために遠心力または他何らかの非受動的駆動手段が適用される。同じ類の力/駆動手段はまた、他の位置で毛管弁に打ち勝つためにも使用される。
【0007】
マイクロ流体装置は円形であることができ、従来のCD (compact disc)と同じ寸法であることができる。
【0008】
異なる機能部品の間での液体の効率的な輸送を促進するために、部品の内面は湿潤性(親水性)である、すなわち、≦90°、好ましくは≦60°、たとえば≦50°または≦40°または≦30°または≦20°の水接触角を有するべきである。これらの湿潤性値は、マイクロ導管の内壁の少なくとも一つ、二つ、三つまたは四つに当てはまる。特に入口構造における湿潤性または親水性は、ひとたび水性液体が所期のマイクロキャビティ/マイクロ導管に進入し始めると、毛管作用(自己吸引)によってそのキャビティ/マイクロ導管を満たすことができるように適合されるべきである。マイクロチャネル構造における親水性内面は、一つまたは複数の局所的疎水面破壊(水接触角≧90°)を含むことができる。このような破壊が、受動/毛管弁、抗吸上げ手段、周囲環境への通気口などを完全または部分的に画定することができる。接触角とは、使用温度、一般的には+25℃における値を指し、静的である。WO00056808(特許文献1)、WO01047637(特許文献2)およびWO02074438(特許文献3)(すべてGyros AB社)を参照すること。
【0009】
マイクロチャネル/マイクロキャビティは、基板の片側に配設されたのち、密閉キャビティを形成するために、ふたによって覆われることができ、当然、該マイクロキャビティおよび/または該マイクロチャネルは、少なくとも一つの入口および少なくとも一つの出口を設けられることができる。該基板は、通常のコンパクトディスクと同じ厚さ、すなわち1mmの範囲であることができる。該基板は、半可撓性であるとみなすことができる。すなわち、ディスクは、曲げることはできるが、異なるトポロジーによって支持されるとしても、形態を変えることはできない。
【0010】
ふたは、可撓性であるとみなすことができる。すなわち、ふたを二つの異なるトポロジー上に置くならば、ふたは二つの異なる形態をとる。マイクロチャネルを画定することができるところの厚めの基板を使用し、該基板上に、存在しうる基板のカールおよび/または凹凸に容易に適合することができる、フィルムの形態の可撓性のふたを使用することが有利である。このようにして、ふたを、取り付けることを望む基板のあらゆる部分に取り付ける確率を高めることができる。
【0011】
チャネルサイズおよび液量が減少するにつれ、信頼性、再現性および精度が高い結果を得るために、異なるマイクロチャネル構造の間のチャネル均一性に対する要求がきわめて厳しくなる。
【0012】
本発明者らは、従来の方法が、実際の結合過程で基板どうしが押し合われるとき、結合材料、特に接着剤を、制御されないやり方でマイクロチャネル中に延展させやすいということを認識した。不規則に発生するマイクロチャネル構造の狭窄および/または完全な目詰まりの形成の危険は有意であり、結合材料、特に液状接着剤の量および二つの基板の間の接触面積とともに増大する。
【0013】
さらには、当技術分野では、基板へのふたのより良い取付けを達成するために、および/または生じうる凹凸のある基板および/またはふたを平らにするために、結合圧を増す必要性がある。しかし、圧力を増すことが、より小さなマイクロチャネル構造と相まって、目詰まり構造、不均等なキャビティ容積、制限された流動性および/または不均等な流動性などのような問題を生じさせるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】WO00056808
【特許文献2】WO01047637
【特許文献3】WO02074438
【発明の概要】
【0015】
本発明の目的は、基板および/またはふたの少なくとも一方がマイクロチャネルの少なくとも一部を含む場合、結合によって基板とふたとを取り付けるとき、目詰まりしたマイクロチャネル構造、不均等なキャビティ容積、制限された流動性および/または不均等な流動性などに伴う問題を解消または少なくとも軽減することである。
【0016】
前記目的および本開示から当業者には明らかである他の目的は、請求項に係わる発明によって達成される。
【0017】
本発明の態様の第一の例では、マイクロ流体アセンブリは、少なくとも第一の面が少なくとも一つの開放マイクロチャネル構造を有する平坦な基板、第一の面が該平坦な基板の該第一の面に取り付けられたふた形成シート材料であって、該少なくとも一つのマイクロチャネル構造の少なくとも一部分を覆うふた形成シート材料を含み、該ふた形成シート材料が、結合剤および該基板と該ふた形成シート材料との間の間隔を制御するための粒子を含む結合材料によって該平坦な基板に取り付けられている。
【0018】
本発明の態様のもう一つの例において、該粒子は、0.1〜20μmの範囲内の粒径を有する。
【0019】
本発明の態様のさらに別の例において、該粒子は透過性である。
【0020】
本発明の態様のさらに別の例において、該接着剤中の粒子の濃度は1〜90%の範囲である。
【0021】
本発明の態様のさらに別の例において、該粒子は球形である。
【0022】
本発明の態様のさらに別の例において、該基板および/または該ふた形成シート材料はポリマー材料でできている。
【0023】
本発明の態様のさらに別の例において、該ふた形成シート材料および/または該平坦な基板は透過性である。
【0024】
本発明の態様のさらに別の例において、該結合材料は感熱性である。
【0025】
本発明の態様のさらに別の例において、該粒子は、無機材料、ポリマー材料または誘導応答性材料でできている。
【0026】
本発明の態様のさらに別の例において、該結合材料は、IR、UV、EUVまたはDUV波で硬化する。
【0027】
本発明のもう一つの局面は、第一のほぼ平坦な基板Iの基板面Iを第二のほぼ平坦な基板IIの基板面IIに結合材料によって接合することを含む、少なくとも一つの密閉型マイクロチャネル構造を含むマイクロ流体装置を製造する方法であって、基板面Iおよび/またはIIの一方の少なくとも一部の上に該結合材料を提供する行為、該結合材料中に数多くの粒子を提供する行為、基板Iの該面Iを該基板IIの該面IIに結合する行為、該結合材料中の粒子の粒径によって基板Iと基板IIとの間に空間を画定する行為を含む方法を提供する。
【0028】
本発明の方法の態様のもう一つの例において、マイクロ流体装置中の少なくとも一つのマイクロチャネルは、幅および/または深さが200μm未満である部品を含む。
【0029】
本発明の方法の態様のもう一つの例において、該結合材料は接着剤を含む。
【0030】
本発明の方法の態様のさらに別の例において、該方法は、基板Iの該面Iを基板IIの該面IIに結合する間に磁場を提供して、該結合材料中の誘導応答性材料でできている粒子が加熱されるようにする行為をさらに含む。
【0031】
本発明の他の局面は、詳細な説明、図面および請求の範囲に反映される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1a】本発明のマイクロ流体アセンブリの一部の態様の第一の例の断面図である。
【図1b】本発明のマイクロ流体アセンブリの一部の態様の第二の例の断面図である。
【図1c】マイクロ流体アセンブリの態様の例の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
詳細な説明
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら行う。好ましい態様は、請求の範囲によって定められる本発明の範囲を限定するためではなく、本発明を例示するために記載される。当業者は、以下の説明に基づいて多様な等価の変形態様を認識するであろう。
【0034】
図1aおよび1bは、本発明のマイクロ流体アセンブリ10の一部の態様の例の断面図を示す。該アセンブリ10は、基板16、ふた形成シート材料14、マイクロチャネル13および結合材料19を含む。
【0035】
基板は、様々な材料、たとえばエラストマーをはじめとするプラスチック、たとえばシリコーンゴム(たとえばポリジメチルシロキサン)などをはじめとするゴム、(ポリメチルメタクリレート) PMMA、ポリカーボネートおよび他の熱可塑性材料、すなわち、重合性炭素−炭素二重結合もしくは三重結合および飽和分岐直鎖または環式アルキルおよび/またはアルキネン基を含む、モノマーに基づくプラスチック材料でできていることができる。典型的な例は、日本ゼオン社のZeonex(商標)およびZeonor(商標)である。
【0036】
基板16およびふた形成シート材料14は、結合によって取り付けることができる。結合材料は、該基板16の面の一部である、または該基板16の面に別個に適用されることもできるし(図1a)、該ふた形成シート材料14の面の一部である、または該ふた形成シート材料14の面に別個に適用されることもできる(図1b)。結合材料は、結合材料として作用することができるものであるならば、基板16中に存在するものと同じプラスチック材料であってもよい結合剤を含む。他の有用な結合剤は、基板16およびふた形成シート材料14中の材料に接着するのに適し、かつ、最終装置の所期の用途に適した様々な種類の接着剤である。一般的な接着剤は、溶融接着剤および硬化接着剤などから選択することができる。硬化接着剤は、熱硬化性、湿分硬化性、UV硬化性ならびに二液型、三液型及び多液型の接着剤であることができる。
【0037】
該結合材料は、基板16とふた形成シート材料14とが結合されたときそれらの間に空間を画定する機能をとりわけ有する粒子11を含む。図1aおよび1bの例示的態様では、該粒子は球形である。しかし、立方体、四面体、楕円、不規則、繊維状など、該粒子のいかなる形状を使用してもよい。該基板と該ふた形成シート材料との間の間隔を良好に画定するために、該粒子11は、多少なりとも同じ粒径でなければならない。たとえば、基板16とふた形成シート材料14との間に20μmである間隔を要するならば、各粒子は、たとえば0.1μm〜20μmの粒径範囲になければならない。求められる間隔が5μmであるならば、たとえば1〜5μmの粒径範囲の粒子を使用することができる。該基板と該ふた形成シート材料との間に別の間隔が必要であるならば、それらの層の間の空間の厚さを規定する目的を果たす別の粒径の粒子を選択することができる。
【0038】
粒子は、該結合材料を該基板および/または該ふた形成シート材料に提供する前に結合剤に適用することができる。結合剤はまた、まず、該粒子なしで該基板および/または該ふた形成シート材料に適用することもでき、その後、結合材料が該基板および/または該ふた形成シート材料に付着したとき、該粒子がそれに付着して該結合材料を形成する。該粒子は、表面上でランダムに延展させることもできるし、たとえばデカルト格子にしたがって規則的に延展させることもできる。
【0039】
結合材料は、当技術分野で周知の方法、たとえば結合材料の積層、スクリーン印刷、オフセット印刷、結合材料への基板の浸漬、スピン適用などにしたがって、該基板および/または該ふた形成シート材料に適用することができる。ふたを基板に結合する間に過剰な結合材料が構造中のマイクロチャネルおよびキャビティに押し込まれる危険を減らすために、ふたと基板との間に適用される結合材料の層の深さ、結合材料中の粒子の粒径および結合材料中の粒子の容量割合が制御されるべきである。マイクロチャネルおよびキャビティが基板中に最大深さDまで延びる場合、結合材料は、好ましくは深さDの50%未満である層として適用される。より好ましくは、結合材料は、深さDの40%未満である層として適用される。さらに好ましくは、結合材料は、深さDの30%未満である層として適用される。さらに好ましくは、結合材料は、深さDの20%未満である層として適用される。より好ましくは、結合材料は、深さDの10%未満である層として適用される。また、深さ100μm以上である深い構造、たとえばチャネル、チャンバなどでは、結合材料層の深さは深さDの1%であってもよいと考えられる。
【0040】
好ましくは、粒子は、結合材料の少なくとも20容量%、より好ましくは結合材料の少なくとも30容量%、さらに好ましくは結合材料の少なくとも40容量%、より好ましくは結合材料の少なくとも50容量%を含む。所望の結合層厚さと呼称的に同じ直径、たとえば厚さ10μmの結合層に対して10μmの直径を有する球形粒子が使用され、粒子の集団が実質的に同じ粒径の粒子のみを含むならば、そして、粒子間の空間を避けなければならないならば、結合材料中の粒子の理論的最大容量%は、充填理論によって許される理論的最大値―およそ52%―に制限される。しかし、様々な粒径の粒子を適切な比率で提供することにより、より高い粒子容量%を達成することができる。たとえば、厚さ20μmになる予定の結合層の場合、粒子混合物の本発明の態様は、公称直径20μmの第一の粒子集団50容量%、大きめの粒子の粒径の1/4、すなわち5μm以下の公称直径を有する第二の粒子集団25容量%および結合剤25容量%を含むことができる。これら小さめの粒子が、結合層中に生じる大きめの粒子の間の空間を部分的に満たすことができる。好ましくは、粒子の全容量%は結合材料の容量の90%を超えない。また、結合材料中の粒子集団の他の割合、たとえば第一の公称粒径の粒子を含む第一の集団20〜50容量%、第一の公称粒径の1/3以下である第二の公称粒径の粒子を含む第二の集団20〜50容量%、第二の公称粒径の1/3以下である第三の公称粒径の粒子を含む第三の集団5〜20容量%および接着剤または他の結合剤少なくとも1%が考えられる。
【0041】
粒子は、基板および/またはふた形成シート材料で使用される材料と同じ材料で製造されることもできる。該粒子はまた、基板および/またはふた形成シート材料で使用される材料以外の別の材料、たとえばセラミック材料、金属、半導体材料、ガラス、誘導応答性材料などでできていることもできる。粒子は、可視光線または所与の波長範囲、たとえば赤外線、UV、DUV、EUVなどに対して透過性であることができる。粒子はまた、該波長に対して半透過性または該波長に対して非透過性であってもよい。
【0042】
誘導応答性粒子をサーモグルーと組み合わせて結合材料として使用する場合、結合過程で、結合器具の通常の加熱、すなわち抵抗性加熱の代わりに磁場を印加することもできる。磁場は、誘導応答性粒子と相互作用し、サーモグルーを加熱し、それによって結合材料をアセンブリ内側から溶着させる。結合過程に必要である、良好に規定されたサーモグルーの温度を達成するためには、磁場の強さを適合させることができる。
【0043】
該結合材料中の粒子の数は、容量%として規定することができる。本発明の態様の一例では、該結合材料中の粒子の容量%は1〜90%の範囲である。もう一つの態様では、該範囲は20〜80%であり、さらに別の態様では、該範囲は30〜70%であり、さらに別の態様では、該範囲は10〜50%であり、さらに別の例示的態様では、該範囲は50〜90%である。
【0044】
粒子を結合材料に導入することは、基板とふた形成シート材料との間に空間を画定する機能を果たすだけではない。粒子の機能はまた、基板とふた形成シート材料とを押し合わせるとき狭いマイクロ流体チャネル/キャビティを塞ぐおそれのある結合材料の量を減らすことでもある。接着剤がマイクロチャネルに流れ込む場合の制限として粒子が作用するため、基板とふた形成シート材料とを接合するとき、より高い圧力を使用することが可能であろう。より高い圧力を使用することにより、比較的平坦ではない、または望ましくない欠陥区域を有するマイクロ構造化材料、たとえば基板をプラスチック材料なしで結合することも可能になる。結合材料中の粒子はさらに、該結合材料が一定の%の粒子を含むため、より少量の結合材料を適用することを可能にする。結合材料中の該粒子が果たすことができるさらに別の機能は、結合材料の物理的性質、たとえば粘度を制御することである。より高い容量%の粒子によってより高い粘度を達成することができる。
【0045】
ふた形成シート材料14は、基板16と同じタイプの材料で製造することができる。この材料は、接着剤成分などとで適合性である限り、決定的ではない。しかし、基板16中の1タイプの材料をふた形成シート材料14中の別のタイプの材料と結合させることを選択することもできる。ふた形成シート材料は、積層シートの形態にあり、基板16に比較して相対的に薄くてもよく、この基板16がマイクロチャネル構造13を含む。一つの態様では、ふた形成材料14の厚さは基板16の厚さの半分である。もう一つの態様では、ふた形成材料14の厚さは基板16の厚さの1/4である。さらに別の態様では、ふた形成材料14の厚さは基板16の厚さの1/8である。一つの態様では、ふた形成材料14の厚さは基板16の厚さの10%である。ふた形成材料は、10μm〜2mm、より好ましくは20μm〜400μmの厚さ範囲を有することができる。半可撓性のふた形成シート材料を有するためには、異なる厚さ範囲を異なる材料に適用することができる。基板は、100μm〜10mm、より好ましくは400μm〜2mmの厚さ範囲を有することができる。
【0046】
マイクロ流体アセンブリの形状は、例示的な態様にしたがって、円形である。しかし、該マイクロ流体アセンブリの適当な形態、たとえば三角形、長方形、八角形または多角形を使用することができる。
【0047】
液流は、毛管力および/または求心力、外部からマイクロチャネル構造に適用される圧力差ならびに外部から適用され、液体の輸送を生じさせる他の非界面動電力によって駆動することができる。また、液流を発生させるために電気浸透を使用してもよい。
【0048】
マイクロ流体構造が円形である場合、マイクロチャネル構造は、所期の流れ方向で、内側の適用区域からディスクの周縁に向けて放射状に配設されることができる。この変形態様では、流れを駆動するもっとも実用的な方法は、毛管作用、求心力(ディスクを回転させる)による方法である。
【0049】
ディスクのサイズは、通常のCDと同じであることができるが、より大きいまたは小さいサイズを使用してもよい。
【0050】
マイクロチャネルは、異なる特性、たとえば疎水性および親水性ならびに異なる用途を有する異なる区分、たとえば、当技術分野で周知である計量供給、容量規定区分、アフィニティー結合区分および検出区域などを有することができる。
【0051】
マイクロチャネルおよびマイクロキャビティの幅および深さがその構造に沿って変化することもできる。マイクロ流体構造中の少なくとも一つのチャネルは、1〜800μmの範囲内にある深さおよび/または幅を有することができる。
【0052】
図1cに示すマイクロ流体アセンブリ100は円形であり、中央の穴18を中心に回転するように適合されている。この態様では、流体入口は、アセンブリ100の中央の穴18の近くに配設されることができる。流体タンクがアセンブリ100の円周の近くに配設されることができる。チャネル14は、毛管力がチャネル内の流体に作用することを可能にするのに適した寸法であることができる。
【0053】
疎水弁が一つまたは複数のチャネルに配設されることもできる。流体は、入口に供給されたのち、毛管作用によって吸い寄せられてチャネル中を移動して弁に達し、この弁を過ぎると、さらなるエネルギーが適用されるまで流れることはできない。このエネルギーは、たとえば、マイクロ流体アセンブリ100を回転させることによって発生する遠心力によって提供されることができる。
【0054】
マイクロ流体アセンブリのRPM(毎分回転数)が増すと、第二の流体キャビティ406の表面に作用する流体の圧力が増す。一定のRPMで、圧力は、基板へのふた形成シート材料の結合を破壊し、それにより、該第二の流体キャビティから該第一の流体タンク410への漏れ414を生じさせるのに十分な高さになるかもしれない。一般的なRPM範囲は0〜8000RPMであるが、より高いRPM、たとえば10000、15000または20000を使用してもよい。
【0055】
マイクロチャネルおよびマイクロキャビティは、当技術分野で周知の方法、たとえばEP1121234で説明されている方法にしたがって製造することができる。
【0056】
上記で詳述した好ましい態様および例を参照することによって本発明を開示するが、これらの例は、限定的な意味を意図するものではなく、例示的な意味を意図するものであることが理解されよう。当業者には、本発明の本質および以下の請求の範囲に入る改変および組み合わせが容易に察知されると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第一の面が少なくとも一つの開放マイクロチャネル構造を有する平坦な基板、
第一の面が該平坦な基板の該第一の面に取り付けられたふた形成シート材料であって、該少なくとも一つのマイクロチャネル構造の少なくとも一部分を覆うふた形成シート材料
を含み、該ふた形成シート材料が、該基板と該ふた形成シート材料との間の間隔を制御するための粒子を含む結合材料によって該平坦な基板に取り付けられている
マイクロ流体アセンブリ。
【請求項2】
粒子が0.1〜20μmの範囲内の粒径を有する、請求項1記載のマイクロ流体アセンブリ。
【請求項3】
粒子が透過性である、請求項1または2記載のマイクロ流体アセンブリ。
【請求項4】
結合材料中の粒子の割合が1〜90容量%の範囲内にある、請求項1〜3のいずれか一項記載のマイクロ流体アセンブリ。
【請求項5】
粒子が球形である、請求項1〜4のいずれか一項記載のマイクロ流体アセンブリ。
【請求項6】
粒子が二つの異なる公称粒径の粒子の混合物を含む、請求項1〜5のいずれか一項記載のマイクロ流体アセンブリ。
【請求項7】
ふた形成シート材料および/または平坦な基板が透過性である、請求項1〜6のいずれか一項記載のマイクロ流体アセンブリ。
【請求項8】
結合材料が感熱性である、請求項1〜7のいずれか一項記載のマイクロ流体アセンブリ。
【請求項9】
結合材料がIR、UV、EUVまたはDUV波で硬化する、請求項1〜8のいずれか一項記載のマイクロ流体アセンブリ。
【請求項10】
粒子が無機材料でできている、請求項1〜9のいずれか一項記載のマイクロ流体アセンブリ。
【請求項11】
粒子が誘導応答性材料でできている、請求項1〜10のいずれか一項記載のマイクロ流体アセンブリ。
【請求項12】
粒子がポリマー材料でできている、請求項1〜11のいずれか一項記載のマイクロ流体アセンブリ。
【請求項13】
第一のほぼ平坦な基板Iの基板面Iを第二のほぼ平坦な基板IIの基板面IIに結合材料によって接合する段階を含む、少なくとも一つの密閉型マイクロチャネル構造を含むマイクロ流体装置を製造する方法であって、
i) 基板面Iおよび/またはIIの一方の少なくとも一部の上に該結合材料を提供する行為、
ii) 該結合材料中に数多くの粒子を提供する行為、
iii) 基板Iの該面Iを該基板IIの該面IIに結合する行為、
iv) 該結合材料中の粒子の粒径によって基板Iと基板IIとの間に空間を画定する行為
を含む、方法。
【請求項14】
マイクロ流体装置中の少なくとも一つのマイクロチャネルが、幅および/または深さが200μm未満である部品を含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
結合材料が接着剤である、請求項13または14記載の方法。
【請求項16】
基板Iの面Iを基板IIの面IIに結合する間に磁場を提供して、結合材料中の誘導応答性材料でできている粒子が加熱されるようにする行為をさらに含む、請求項13〜15のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
行為ii)が、少なくとも二つの粒子集団を提供するステップをさらに含み、第一の粒子集団の粒子の公称粒径が第二の粒子集団の粒子の公称粒径と異なる、請求項15〜16のいずれか一項記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【公表番号】特表2010−510516(P2010−510516A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538371(P2009−538371)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【国際出願番号】PCT/SE2007/050862
【国際公開番号】WO2008/063124
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(508285101)
【Fターム(参考)】