マイクロ流体試料採取器ならびにそれらを製造および使用する方法
本発明は、一つまたは複数の正確なマイクロリットル量またはナノリットル量の試料を採取するためのマイクロ流体試料採取器を提供する。本発明は、統合されたポリ(ジメチル-シロキサン)(PDMS)マイクロフルイディックスを含む微細加工自動システムを提供する。試料は、動物または植物からの試料を含む生物学的試料であることができる。試料は流体または気体であることができる。試料は、試験対象、たとえばヒトまたはマウスからの生物学的流体、たとえば血液、涙、脳脊髄液(CSF)等を含むことができる。本発明はまた、本発明のマイクロ流体試料採取器を製造および使用する方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、一つまたは複数の正確なマイクロリットル量またはナノリットル量の試料を採取するためのマイクロ流体試料採取器を提供する。本発明は、統合されたポリ(ジメチル-シロキサン)(PDMS)マイクロフルイディックスを含む微細加工自動システムを提供する。試料は、動物または植物からの試料を含む生物学的試料であることができる。試料は流体または気体であることができる。試料は、試験対象、たとえばヒトまたはマウスからの生物学的流体、たとえば血液、涙、脳脊髄液(CSF)などを含むことができる。本発明はまた、本発明のマイクロ流体試料採取器を製造および使用する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
背景
マウスにおける組織生物学的機能のモニタリングにおいてマイクロPET撮像がますます一般的になりつつある。その最大の能力の一つである、生物学的/生理学的プロセスをインビボで定量する能力は、少量の血液量(20gのマウスの場合で約2ml)および採血の難しさのせいで、挑戦的な課題である。定量的マイクロPET試験では、通常、20〜25の動脈血試料から60分で有効な時間放射能曲線(TAC)が構成される。これは、入力関数と呼ぶことができ、生物学的絶対単位に換算した生物学的組織機能の信頼しうる計測のために必要になることがある。ヒト疾患を研究するための一般的な動物モデルとしてのトランスジェニックマウスの試験における関心が増大している。頻繁で正確なマイクロおよびナノリットル量の血液試料採取が可能である装置は、マウスからの入力関数の測定を可能にし、マイクロPET撮像を新たなレベルの精度および利用度まで持っていくであろう。
【0003】
近年、小動物におけるマイクロPET撮像が、生物学の研究ならびに癌およびAIDSを含む多くの疾病のための薬物評価および開発のために重要なインビボ撮像技術になった。稼働中のマイクロPETスキャナの数は世界中で急増している。しかし、生物学的機能の計測に高い精度を提供する能力なしでは、マイクロPET技術の潜在能力をフルに発揮させることはできない。マウスからの血液試料採取は、小さな血管径(約1mm)、少量の血液量(20gのマウスの場合で約2ml)および急速な代謝(図1および2)のせいで、きわめて困難である。手作業の血液試料採取を使用して導出した図1は、マウス心臓を通過するPET放射性トレーサ(色付き)の大静脈からの急速な通過(右心室から大動脈左心室まで3秒以内に起こる)が手作業の血液試料採取からの入力関数導出を困難にするということを示す。図2は、定量的マイクロPET試験でマウス入力関数のために使用することができる血中時間放射能曲線の最初の7秒間の典型的な例を示す。各曲線の形を決定するためには、1秒以内に多数の血液試料を採取する必要がある。
【0004】
定量的PET試験は、ヒト疾病に関する膨大な量の情報を提供してきた。動脈血試料採取の侵襲性のせいで、PET画像の左心室の血液貯留からの入力関数の導出を含む代替法が開拓された。しかし、ヒトPET画像からの入力関数の導出に好結果をもたらすような方法は、限られたマイクロPET解像度および小さなマウス心臓のせいで、マウスのマイクロPET撮像には適用不可能であることを研究が証明した。
【0005】
今日まで、マイクロPET撮像を実行することができる施設のうち、動物、たとえばマウスから入力関数を確実に取得することに成功した経験を報告した施設はない。高速マイクロ量測定血液試料採取器に対する要求は世界中でうっ積している。
【発明の開示】
【0006】
概要
本発明は、一つの局面では統合されたポリ(ジメチル-シロキサン)(PDMS)(または同等物)マイクロフルイディックスを含むマイクロ流体試料装置を含む微細加工自動システム、たとえば多重化システムならびにそれらを製造および使用する方法を提供する。一つの局面で、これらの製品は、液体または気体を含む少量の試料、たとえば生物学的または環境的試料を採取するために使用され、装置の動作の各局面(入力、分析、出力、データ解析)は、適切なコンピュータおよびソフトウェアとで統合されることができ、一部の態様では全自動化される。一つの局面では、多数のアッセイ(たとえば生物学的アッセイ)を並行的(同時)に実施することができる。
【0007】
本発明は、下記を含むマイクロ流体試料装置を提供する:
(a) 流体試料または気体試料を含む試料のための少なくとも一つの入口(たとえば複数の入口)、
(b) 試料(たとえば流体試料または気体試料)を移動させるための流体流をもたらす流路によって入口(または複数の入口)に動作可能に連結している、容量測定された(たとえば自動化または遠隔制御することができる計量)流体試料を試料ウェルに向けて送ることができる少なくとも一つまたは複数のスイッチ、
(c) 流体試料または気体試料を移動させるための流体流をもたらす流路によって複数のスイッチに動作可能に連結している少なくとも一つまたは複数の試料ウェル、
(d) 流体試料または気体試料を移動させるための流体流をもたらす流路によってスイッチの少なくとも一つに動作可能に連結している、試料流体をシステムからパージすることができる少なくとも一つまたは複数の計量ループ、および
(e) 流体試料または気体試料を移動させるための流体流をもたらす流路によって試料ウェルに動作可能に連結している少なくとも一つまたは複数の排出(出力)口。
これらの構成部品の一つ、いくつかまたはすべては、適切なソフトウェアを用いて電子センサならびにコンピュータへの出力およびコンピュータからの入力を介して遠隔制御することができ、これらの動作は、完全または部分的に自動化することができる。
【0008】
本発明の装置(製品)の代替態様では、マイクロ流体試料装置は、一つまたは複数の樹脂材料、たとえばポリ(ジメチル-シロキサン)(PDMS)または同等物、たとえば任意のポリ(アルキル-シロキサン)または任意のシロキサンを含む。マイクロ流体試料装置スイッチは、容量測定された流体試料を試料ウェルに導くことができる(すべての動作と同様に、これらの動作もまた、完全または部分的に自動化することができる)。
【0009】
本発明の装置(製品)の代替態様では、装置は、試料ウェル中の試料を撮像することができるように、撮像装置に動作可能に連結しており、たとえば、撮像装置は、陽電子放射断層撮影(PET)撮像装置もしくは同等物、カメラまたは任意の撮像もしくは検出装置(たとえば放射性同位元素からの放射線を検出)を含むことができる。
【0010】
一つの局面では、装置は、洗浄物の流れの管理を含め、装置に流れ込み、装置内を流れる液体試料または気体試料の量および方向を制御するための、および/または装置に流れ込む、装置内を流れる、および/または装置から出る液体試料または気体試料の動きを制御するためのソフトウェアを含むコンピュータに動作可能に連結している。装置の動作は部分的または完全に自動化することができ、データ照合およびユーザへの出力は全自動化することができる。
【0011】
本発明の装置(製品)の代替態様では、装置は、図3〜9および図12〜14に示す構成またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0012】
本発明のマイクロ流体試料装置によって処理される試料は、任意の供給源からの試料であることができ、たとえば、生物学的な流体もしくは気体または人工の流体もしくは気体、たとえば毒素、殺虫剤および毒薬、たとえば合成物質、たとえば神経ガス、たとえばVX剤、マスタードガス(H剤)、サリンガスおよび他のG剤等ならびに毒性の生物学的ガスを含むことができる。一つの局面では、本発明の装置を使用する薬剤の検出は、たとえば、国防または自国安全保障用途におけるV剤、G剤、H剤および/または生物学的薬剤もしくは殺虫剤のために使用することもできるし、あるいは建造物、郵便局、通気ダクト、カーペット、衣服および電子設備などにおける薬剤の検出を含む民間用途に使用することもできる。
【0013】
試料は、ヒト、動物または植物から採取された生物学的流体(液体)もしくは気体または流体(液体)試料もしくは気体試料へと変性された生物学的試料を含むことができる。生物学的流体または固体生物学的試料は、流体(液体)試料もしくは気体試料へと変性(加工)することができる。試料は、血漿、血清、血液、涙、脳脊髄液(CSF)、尿、唾液、精液、糞便、粘液、痰または単離、培養、粉砕もしくは溶解させた細胞もしくは組織を含む溶液を含むことができる。
【0014】
少なくとも一つの入口、スイッチ、試料ウェルおよび排出口は、ナノリットル量範囲またはマイクログラム(μg)からナノグラム(ng)までの量範囲の試料を取り扱い、移動させるように、構成され、サイズ決めされることができる。装置は、一つまたは複数の正確なマイクロリットル量またはナノリットル量の試料を動物または植物から自動的に採取し、その試料を装置の少なくとも一つの入口に送達するための装置に動作可能に連結していることができる。
【0015】
本発明の装置(製品)の代替態様では、試料は変性、加工または処理され、たとえば、PETプローブを含み、たとえば2-デオキシ-2-[18F]フルオロ-D-グルコース([18F]FDG)(「FDG」)または同等物をマイクログラム(μg)からナノグラム(ng)までのレベルで含むPETプローブを使用することができる。
【0016】
一つの局面で、少なくとも一つの(または複数の)入口、スイッチ、試料ウェルおよび排出口は、1試料あたり約1、2、3、4、5、10、20、30、40、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950もしくは1000ナノリットルまたはそれ以上の量または1試料あたりマイクロリットルの量を取り扱い、移動させるように、構成され、サイズ決めされる。少なくとも一つの(または複数の)入口、スイッチ、試料ウェルおよび排出口は、概ね1秒あたり2試料の速度での量において試料を取り扱い、移動させるように、構成され、サイズ決めされることができる。
【0017】
装置はさらに、気体試料または流体試料を少なくとも一つの入口、スイッチ、試料ウェルおよび/または排気口を通って移動させるための装置に動作可能に連結したポンプおよび/または圧力輸液タンクを含むことができる。少なくとも一つの(または複数の)スイッチは、バイナリ(開または閉)スイッチであることもできるし、複数の流路への部分的分流が可能である、より複雑なスイッチであることもできる。
【0018】
樹脂マイクロ流体試料装置は、樹脂、たとえばシロキサン、たとえばポリ(ジメチル-シロキサン)(PDMS)を含むことができる。したがって、一つの局面では、本発明の製品はPDMSマイクロ流体試料装置である。マイクロ流体試料装置の樹脂は、ガラス、ケイ素または同等の基材に接合されていることができる。
【0019】
一つの局面では、正確に計量された量の多数の試料を、個々のウェルの中に捕集し、分析に備えて回収することができる。装置は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39もしくは40またはそれ以上の試料を同時に取り扱うように構成されていることができる。装置は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39もしくは40またはそれ以上の試料を同時および/または逐次にアッセイするように構成されていることができる。
【0020】
一つの局面では、装置は、コンピュータおよびソフトウェアに動作可能に連結した、および/またはコンピュータおよびソフトウェア内に統合された使いやすいインタフェースによって遠隔制御される。装置は、使いやすいインタフェースおよび/またはコンピュータおよびソフトウェアを介して、特定の時間間隔で試料を採取および/または処理するようにプログラムすることができる。装置およびその中の任意またはすべての構成部品は、コンピュータおよびソフトウェアを介して完全または部分的に自動化することができる。
【0021】
一つの局面では、少なくとも一つの入口が、多数の流路接続を有する蹄鉄形のウェルを含むか、または装置が、多数の流路接続を有する蹄鉄形のウェルをさらに含み、かつその多数の流路接続が入口および/または試料ウェルに動作可能に連結しており、かつ蹄鉄形のウェルが装置中の液体試料または気体試料の拡散時間の遅延を最小限にする。本発明のマイクロ流体試料装置はさらに、装置中の液体試料または気体試料の流量を正確に計量するための少なくとも一つのループ化流路を含むことができ、少なくとも一つのループ化流路は、入口と試料ウェルとの間におよび/または試料ウェルと排出口との間に位置している。一つの局面では、少なくとも一つのループ化流路は、ループの清浄またはパージを可能にするために、パージ/フラッシュ/清浄溶液の供給源に動作可能に連結している。
【0022】
本発明の装置はさらに、隣接する試料ウェルの群に動作可能に連結した分配ノードを含み、試料ウェルが分配ノードから試料を選択的に受けることを可能にする。
【0023】
装置はさらに、少なくとも一つの(または複数の)自動注入流路を含むことができ、たとえば、少なくとも一つの(または複数の)自動注入流路は、使用可能ソフトウェアを含むコンピュータに動作可能に連結している。
【0024】
本発明は、本発明のマイクロ流体試料装置(チップ)および試料流体を動物から取り出すための装置を含み、すべての構成要素が、使用可能ソフトウェアを含むコンピュータに動作可能に連結している、マイクロ流体試料分析のための多重化システムを提供する。本発明の多重化システムは、試料流体を動物から取り出すための装置を含むことができ、血液試料採取器であり、たとえばカテーテルを含み、カテーテルは、ユーザの介入なしに血液試料を自動的に採取することができるように、血液試料採取器に接続されていることができる。一つの局面では、血液試料の量およびタイミングは、使用可能ソフトウェアを含むコンピュータにインタフェースされた血液試料採取器によって制御される。
【0025】
本発明の多重化システムは、検出または撮像システム、たとえばCATまたはPET、たとえばマイクロPET撮像システムに動作可能に連結していることができる。多重化システムは、動物からマイクロ流体チップへの血液捕集のタイミングを制御するコンピュータインタフェースおよびプログラムに動作可能に連結していることができ、プログラムにより、ユーザが血液試料採取時間間隔および血液試料の数を指定することができる。多重化システムはさらに、少なくとも一つの自動注入装置を含むことができ、自動注入装置は、試料装置(チップ)から切り離されているか、または試料装置に統合されており、かつ自動注入装置は試料を入口に投入する。
【0026】
多重化システムは、使用可能ソフトウェアを含むコンピュータに動作可能に連結していることができる少なくとも一つの(または複数の)自動注入流路を含むことができる。
【0027】
本発明の例示的装置は、図3〜9および12〜14で描写され、説明されている装置およびそれらの変形を含む。一つの局面では、本発明は、マウスにおける血液試料採取に理想的な特性である非常に小さなスケール、たとえばナノリットル範囲の反応物/試薬を扱うための微細加工自動システムを提供する。図3の例示的装置を参照すること。一つの局面では、本発明は、陽電子放射断層撮影(PET)スキャンを生成し、一つの局面で、PETプローブ、たとえば2-デオキシ-2-[18F]フルオロ-D-グルコース([18F]FDG)(「FDG」)または同等物をマイクログラム(μg)からナノグラム(ng)までのレベルで使用するためのポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)ベースのマイクロ流体システムの使用を含むマイクロ流体技術および装置を提供する。本発明は、マウスからマイクロおよびナノリットル血液試料を採取するための集積マイクロ流体プラットフォーム上に血液試料採取システムを開発するために使用することができる。FDG血液試料(約250ナノリットル/試料)を1秒あたり2試料の速度で一貫した量(ばらつき<1.5%標準偏差(s.d.))で採取することができる。
【0028】
本発明の一つまたは複数の態様の詳細を、添付の図面および以下の記載で述べる。本発明の他の特徴、目的および利点は、明細書および図面ならびに請求の範囲から明らかになるであろう。
【0029】
本明細書で引用されるすべての刊行物、特許および特許出願は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0030】
発明の詳細な説明
本発明は、統合されたポリ(ジメチル-シロキサン)(PDMS)マイクロフルイディックスを含む微細加工自動システムを提供する。本発明の、マイクロ流体試料採取器を含むシステムおよび方法は、一つまたは複数の正確なマイクロリットル量またはナノリットル量の試料、たとえば生物学的流体を含む試料の採取をするために提供する。生物学的流体は、ヒトおよび他の哺乳動物、たとえば大きな生物学的流体試料が問題になりうる小型哺乳動物、たとえばマウスまたは他の齧歯類を含む任意の対象から採取することができる。体液は、たとえば、尿、血液、血漿、血清、唾液、精液、糞便、痰、脳脊髄液、涙、粘液等であることができる。
【0031】
本発明の統合されたポリ(ジメチル-シロキサン)(PDMS)マイクロフルイディックスは、一つの局面では動作のデジタル制御を含む、同じ装置における逐次的な物理的、化学的および生物学的プロセスの実行および自動化を可能にする流体流および制御流路を提供する。
【0032】
本明細書で記載する研究は、この例示的な態様ではマウス血液試料を含む小さな流体量を分析する際の本発明のマイクロ流体試料採取器の有効性を実証する。本明細書に記載する研究は、本発明の例示的なマイクロ流体血液試料採取装置を使用してマウスから入力関数を導出する実施可能性を実証する。本明細書で記載する研究では、全失血量(約60μl)およびそのような失血によるマウスの生理学的変化に対する影響が本新規な発明によって許容しうるレベルまで最小化される。
【0033】
本発明の態様は、ヒトからの少量の生物学的流体、たとえば多量の流体を得ることが困難である試料、たとえば涙または新生児のCSFまたは法医学的試料から入力関数を決定することを可能にする。
【0034】
ヒト疾患を研究するためのポピュラーな動物モデルとしてのトランスジェニックマウスにおける関心が増大している。本発明の態様は、マウスからの入力関数の決定を可能にし、マイクロPET撮像を最小侵襲マイクロおよびナノ量生理学的流体試料採取の新たなレベルまで持っていく。高速血液試料採取器の要求は、世界中で、特にトランスジェニックマウスを生産する技術が非常に急速に進んでいるところで非常に高い。
【0035】
例示的な装置は、本明細書の図面、たとえば図3〜9および12〜14で描写され、説明されている装置およびそれらの変形を含む。
【0036】
一つの局面で、本発明の装置は、採取された多数の血液試料を1秒以内に処理することができる。この態様は、マウス心臓を通過するPET放射性トレーサの大静脈からの急速な通過(右心室から大動脈左心室まで3秒以内に起こる)が手作業の血液試料採取からの入力関数の導出を困難にするということを示す、手作業の血液試料採取を使用して導出した図1に示す問題を解決する。本発明のこの態様を使用すると、定量的マイクロPET試験で入力関数として使用することができる血中時間放射能曲線を処理することができる。図2は、定量的マイクロPET試験におけるマウス入力関数として使用することができる血中時間放射能曲線の最初の7秒間の典型的な例を示し、各曲線の形を決定するためには、多数の血液試料を1秒以内に採取しなければならないこと(本発明によって提供される)に留意すること。
【0037】
一つの局面では、本発明は、統合されたポリ(ジメチル-シロキサン)(PDMS)マイクロフルイディックスを含む。この技術は、動作のデジタル制御により、同じ装置における逐次的な物理的、化学的および生物学的プロセスの実行および自動化を可能にする流体流および制御流路を提供する。特に、PDMS材料の弾性が、マイクロおよびナノスケール機能化モジュール、たとえば弁、ポンプおよびカラムの並行製造を可能にすることができる。
【0038】
さらには、この技術を使用する本発明の装置の製造は、比較的簡単な施設しか要しない。流体および制御ネットワークは、コンピュータ援用設計/コンピュータ援用製造(CAD/CAM)技術を含む標準的なソフトウェアおよびコンピュータ援用検出(CAD)システム、たとえばCADソフトウェア(たとえばCAD Australia Pty. Limited.)を使用してマッピングされ、透明なフォトマスクに転写される(たとえば米国特許第6,982,134号、第6,340,543号、第6,165,649号を参照すること)。
【0039】
樹脂ベースまたはシロキサンベース、たとえばPDMS樹脂ベースの本発明の装置を製造するためには、フォトリソグラフィー技術を使用することができる。たとえば、米国特許第7,111,635号(マイクロ流体装置の流路中に狭窄領域を製造する)、第6,932,951号、第6,752,966号(二つの平面基材の間の中間ポリマー層中にマイクロスケール構造要素を有する微細加工法および装置)、第5,965,237号、第5,534,328号を参照すること。
【0040】
ポリ(ジメチル-シロキサン)(PDMS)は疎水性を有するため、一部の用途では、PDMSの処理が望ましいかもしれない。たとえば、PDMSは、簡単な空気プラズマ処理を使用して親水性にすることもできるし、空気中での長期的安定性を有する親水性PDMSを生成する場合には、2ステップ抽出/酸化法を使用することもできる。第一に、バルク相から未反応オリゴマーを除去するように設計された一連の溶媒中でPDMSを抽出し、第二に、オリゴマーを含まないPDMSを簡単な空気プラズマ中で酸化させて、安定な親水性SiO2層を生成する。たとえば、Vickers (October 5, 2006) Anal. Chem., ASAP Article 10.1021/ac0609632 S0003-2700(06)00963-2を参照すること。一部の局面では、本発明の装置は、混合または成層材料で作られる。たとえば、紫外線を使用して本発明のPDMSマイクロ装置の表面に混合モノマー溶液を重合させることができる。たとえば、異なる化学的性質を有するモノマーを使用することができる。一部の局面では、本発明の装置をシラノール基のイオン化によって処理して湿潤性を改善することができる。たとえば、Hu (2003) Electrophoresis 24:3679-3688を参照すること。
【0041】
本発明の装置を製造するためには、任意のPDMSプレポリマー、たとえばSYLGARD 184(商標)(Dow Corning, Midland, MI)を使用することができる。PDMSポリマー製造物は、別の材料、たとえば窒化ケイ素コートされたシリコンウェーハ(たとえばWAFERNET(商標)San Jose, CA, USA)に裏当てすることができる。
【0042】
一つの局面では、フォトリソグラフィー技術を使用して再使用できる型を製造し、その上にPDMS樹脂を注加し、ベーキングによって硬化させる。流体流および制御流路へのアクセスは、皮下針、トロカール等を使用して、製造された装置に穴を打ち抜くことによって達成することができる。製造された装置は、当業者に周知である多様な技術を使用してガラス、ケイ素または類似した基材に容易に接合することができる。個別に製造した多数の層を積み重ね、接合することにより、弁およびポンプのような活動部品の大きなアレイを創製することができる。空気または他のガス混合物またはガスで加圧されると、流れ層上の流路と交差する制御層上の流路がたわみ、流路を封止し、その中の流体動を停止させる。この弁作動法は、マイクロフルイディックスチップのバイナリスイッチ(たとえば開または閉)を含む。
【0043】
図3aは、本発明の代替局面で、流体試料または気体試料を含む試料を、生物学的供給源を含む任意の供給源から採取するために適合されることができるマウス用の統合されたマイクロ流体血液試料採取器の態様としての例示的な装置を示す。本発明の一つの例示的な態様では、正確に計量された量の多数の(たとえば2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10またはそれ以上の)血液試料を個々のウェルの中に捕集し、さらなる分析を受けさせるために回収することができる。図は、流体試料または気体試料を含む試料がウェルから導かれる流路を示す。チップは、試料パージおよび/または清浄のために、試料捕集の合間にフラッシュおよび/または媒体(たとえば、Heparin Lock Flush Solution、USP、たとえばHepFlush (登録商標)-10、Hep-Lock (登録商標) U/P、Hep-Pak (登録商標) Lock Flush)でパージすることができる。
【0044】
この例示的な装置または本発明の任意の装置は、使いやすいインタフェースによって遠隔制御することができ、特定の時間間隔で試料を採取するようにプログラムすることができる。
【0045】
食塩水およびPETプローブの両方を含む血液試料、たとえばFDG含有血液試料を、たとえば1試料あたり約250ナノリットルで、一貫した量だけ(ばらつき<1.5% s.d.)1秒あたり少なくとも1試料の速度で採取することができる。量は小さいが、血液試料中のPETプローブ(たとえばFDG)放射能は検出可能であり、一貫している(<1.2% s.d.)
【0046】
この例示的なマイクロ流体血液試料採取装置の態様を使用してマウス用の高精度入力関数を計測する実施可能性は実証されている。図3bは、試験アッセイから撮られたポリ(ジメチル-シロキサン)(PDMS)マイクロ流体チップのリアルタイムスナップショットを示す。図4は、10セル態様の略図である。流体試料が入口901ならびにスイッチ906および908から吸入されて計量ループ912に達する。スイッチ908、910、909、903および905が試料流体をシステムからパージするように働く。スイッチ904a〜904jが、容量測定された試料流体を、PET撮像に備えて、試料ウェル913a〜913jそれぞれに向けて送る。試料ウェル913a〜913jは、それぞれポート903a〜903jを介して空にされることができる。
【0047】
図5は、本発明のもう一つの例示的なマイクロ流体試料採取装置を例示的な設計の態様として示す。21の血液試料をこの態様の指定のウェルで捕集することができる。図6は、この態様の対応する略図である。ブロック601回路は、上記で説明した10試料ウェル態様に似ている。ブロック602が3個の試料ブロック603a、603bおよび603cの1個を選択し、各試料ブロックが、マイクロPET撮像のための7個の選択可能な試料ウェルを有している。
【0048】
また、様々なPETトレーサ(たとえばFDG、FLT、FHBGおよびN-13アンモニア)を使用してマウスにおけるマイクロPET撮像を実施することができる。マウスマイクロPET試験ごとに多数の血液試料を採取することができる。統合ソフトウェアシステムKIS (Kinetic Imaging System)(UCLA Molecular & Medical Pharmacology Department, Regents of the University of California)を使用して、本発明の方法および/または装置とともに使用されるマイクロPET試験の計画、設計およびデータ解析を支援することができる。KISシステムは、多数の機能―教育、仮想実験、実験設計および模擬実験/実験データの画像解析―に役立つ。たとえば、Huang (2005) Mol Imaging Biol. 7(5):330-41を参照すること。
【0049】
KISは、マイクロPET、たとえばマイクロPET試験、たとえばマウスマイクロPET試験の学習、計画、設計およびデータ解析を支援するための完全統合ソフトウェアシステムである。KISは、マウス1匹全体の全組織器官におけるトレーサ動態のコンピュータシミュレーションおよびアニメーションを通して(リアルな3Dマウスアトラスに基づく)、ユーザが、マウスマイクロPET画像に影響するおそれのある多数の生物学的、化学的および実験的要因を簡便に学習し、評価することを可能にする。KISは、Javaで完全にコード化され、サーバからウェブを介して稼働させることもできるし、独立型ステーション上で稼働させることもできる。KISを用いると、試験、たとえばマウスマイクロPET実験を実際に実施する前に、放射性トレーサの特性、投与法、用量レベル、撮像シーケンス、画像再構成(たとえば解像度vsノイズの兼ね合い)を評価することができる。様々な運動データ解析法(モデルフィッティングを含む)を審査して、信頼しうる生物学的情報を得ることができることを保証することができる。
【0050】
一つの局面では、動物、たとえば齧歯類(マウスまたはラット)またはヒトから血液試料を採取するためには、カテーテルを動物、たとえば齧歯類の血管、たとえばマウスの大腿動脈またはラットの尾動脈に挿入することができる。カテーテル実施は、薬物導入または採血を要する齧歯類試験に係わる研究室スタッフにとって通常の外科的処置である。ひとたびカテーテルが血液試料採取器に接続されると、ユーザの介入なしに血液試料を自動的に採取することができる。血液試料の量およびタイミングは、ラップトップにインタフェースさせた血液試料採取器によって制御することができる。使いやすいプログラムによってユーザが血液試料のタイミングおよび数を決定することができる。血液試料のさらなる分析、たとえば血液中の放射能または薬物濃度の定量のために、マイクロ流体チップ試料ウェル中に捕集した血液試料の他の容器(たとえば試験管またはEppendorf (登録商標)管)への移送を血液試料採取器のコンピュータインタフェースによって制御することができる。
【0051】
試験対象(たとえばマウス)の定量的マイクロPET撮像とともに、代替方法を使用して血液試料中の放射能を定量することもできる。血液捕集ののち、血液試料を含むマイクロ流体チップをユニットから取り外し、マイクロPETスキャン法を使用してスキャンし、定量することができる。
【0052】
マウスにおける従来の手作業血液試料採取法に伴う困難および課題のせいで、血液試料採取器からの注入後血中濃度曲線を比較または立証するための正確な基準が文献には存在しない。本発明の前には、齧歯類試験からの血液試料の大部分は、そのような手作業の採血から得られる血液試料であった。本発明者らは、マイクロPET定量撮像試験の対照として、手作業の採血を使用するマウス血液試料採取法を実施してきた。本発明者らは、本発明のマイクロ流体チップ装置を使用して分析した血液試料を手作業の採血からの血液試料と比較して、マイクロPET画像導出血液曲線によって解析した。血液試料採取器から得られた注入後血中濃度曲線は、従来法の結果と比較して、はるかに正確であり(たとえばデッドスペースおよび時間遅延の問題がない)再現精度の高い結果である。本発明の態様からのFDG血液曲線のピークおよび形(たとえば図11c)は、文献では一度も達成または証明されていない。
【0053】
一つの局面では、新規な特徴は、頻繁かつ反復的な血液試料採取を要するインビボ生物学的試験、たとえば、上記で説明したような多くの理由のせいで従来の血液試料採取技術が困難である齧歯類(マウスまたはラット)試験へのマイクロ流体技術の適用を含む。
【0054】
一つの局面では、コンピュータインタフェースおよびプログラムがマイクロ流体チップ中の血液捕集のタイミングを制御することができる。一つの局面では、使いやすいプログラムを統合して、ユーザが血液試料採取時間間隔および血液試料の数を指定することを可能にすることもできる。
【0055】
拡散による過度な時間遅延、デッドスペースおよび試料汚染の問題は、たとえば図7に示すような例示的なマイクロ流体チップ設計で最小化され、組み込まれる。この図では、左側(黄色)の円が、採取部位からチップまでの血液試料の遅延時間および拡散を最小化するための多数の流路接続を有する蹄鉄形のウェルを指定する。この部位は、とりわけ二つの目的に働くことができる:(1) マイクロ〜ナノリットル範囲の血液試料を他の目的(たとえば代謝産物分析)のためのこの部位の出力から採取することができる;(2) 上記で説明したように、各血液試料採取の前に、血管とチップとを接続する管(すなわちデッドスペース)中の血液をパージまたはフラッシュによって速やかに除去することができる。中間(または緑)の円は、各血液試料の量(マイクロ〜ナノリットル範囲)を正確に計量するためのループ化流路を指定する。パージ/フラッシュ/清浄溶液へのループの接続は、ループの清浄またはパージを可能にし、直前の採取試料からの汚染を防ぐ。右側(またはマゼンタ色)の円は、分配ノードから血液を選択的に受けるための隣接する試料ウェルの群を指定する。試料ウェル間の距離は、血液試料放射能を計測するために使用されるPET撮像のために部分容積効果(すなわちあふれ放射能)を最小化するために最大化される。
【0056】
齧歯類における定量的マイクロPET撮像とともに、マイクロPET撮像を使用して血液試料の放射能を直接的に定量することができる。図8は、本発明のマイクロ流体血液試料採取器の態様を使用して血液試料を捕集するマウス定量的マイクロPET試験を示す。少量の血液試料量(ナノリットル範囲の小ささ)の捕集のおかげで、血液試料採取による失血を最小化し、無視しうる程度にすることができる。齧歯類は、安定な生理学的条件下、インビボで試験することができる。
【0057】
高速血液試料捕集能力(注入後、最初の10秒間で多数のスナップショット試料)は、手作業の採取によっては達成することができない正確な血中濃度曲線(入力関数)の決定を可能にする。血液試料採取法の自動化はまた、必要な人間の介入を最小限にする。マイクロPET試験では、自動化は技術者/研究者の放射線暴露を最小化し、それに伴って健康被害が減少した。
【0058】
マイクロPET撮像とともに、本発明の方法および装置を使用すると、真の血中時間放射能曲線(すなわち入力関数)が動物試験、たとえば齧歯類試験から得られることができ、定量的マイクロPET撮像(たとえば、生理学的に意味ある指数を提供する真の機能的撮像技術)を実施可能にすることができる。
【0059】
図9は、カナダのUniversity of Sherbrookeのグループによる以前の血液試料採取器設計を示す例であり、検出器に動作可能に連結した試料採取器(薬用空気を吸入する)に動作可能に連結したシリンジポンプを示す。図10aは、静脈FDG注射を用いた対応するマウス試験からの血液曲線である。緑の矢印は、直前の血液試料からカテーテル中に残留した血液のせいで過大評価された各血液試料中のFDG濃度を示す(デッドスペース問題)。図10bは、本発明の例示的な設計がカテーテルデッドスペース血液汚染を解消および/または排除する方法を示す。
【0060】
図11aは、画像導出血液曲線で見られた二つの問題を示す:(i) あふれ放射能(「左心室からの問題ある、あふれ放射能」)(赤矢印);および (ii) FDG濃度の過小評価を示す。図11bは、ポンプ駆動連続採血システムが抱える時間(Δt)遅延問題。大動脈曲線(「大動脈TACのピーク」)(図11aの緑の矢印)に比較して、図11bの曲線は遅延し、右にシフトしていた。図11cは、本発明の例示的なマイクロ流体チップ設計を使用する結果を示し、本発明の装置の使用が時間遅延問題を解消し、真の濃度曲線を得ることができることが実証されたことを示す。
【0061】
各血液試料の正確で一定の血液量(マイクロ〜ナノリットルの範囲)が血液量正規化の必要性を除く。従来の手作業採血法の場合、手作業で採取された各血液標本は異なる量を有することができる。そのような血液試料は、精密スケールを使用して重量測定され、放射線比較のために固定量に対して正規化されなければならない。
【0062】
本発明の例示的な局面では、正確なデジタル制御が、従来の血液試料採取技術では不可能であった速度で試料が採取されることを可能にする。加えて、デジタル制御はまた、時間領域における不確かさを排除する。時間はミリ秒範囲まで正確であることができる。
【0063】
試験対象のマイクロPET撮像とともに、血液試料中の放射能をマイクロ流体チップの直接マイクロPET撮像によって評価することができる。したがって、従来法によって求められた擬似模型試験およびシンチレーションウェルカウンタを使用した従来の定量法を除くことができる。
【0064】
一つの局面では、本発明の流体試料採取器、たとえば血液試料採取器のコアは、図面に示すようなマイクロ流体チップである。本発明のさらなる態様は、他のマイクロ流体技術を使用することができ、それらは、特に上記のようなデッドスペース排除および試料採取計測の時間遅延を含む場合、同様な作動システム(チップ内の流路間で弁を開閉するため)を備えた同様な小さなスケールのマイクロ流体流路を製造する当業者には周知であり、本発明の一部とみなされる。並行的な生物学的試験(たとえば、試験対象の定量的マイクロPET撮像)に干渉することなく血液試料採取器を位置決めし、支持することができる支持フレームワークもまた、本発明の一部である。
【0065】
上記のマイクロPET撮像に関連して先に述べたように、真の血中時間放射能曲線(すなわち入力関数)が齧歯類試験から得られることができ、定量的マイクロPET撮像(たとえば、生理学的に意味ある指数を提供する真の機能的撮像技術)を実施可能にすることができる。マイクロ流体チップの直接マイクロPET撮像によって血液試料の放射能を推定することができるため、従来法によって求められた擬似模型試験およびシンチレーションウェルカウンタを使用する較正法を除くことができる。図12は、本発明の態様のマイクロ流体チップを用いた動的PET撮像によるマイクロPET試験を示す。同時マウスおよびチップ撮像がPETスキャナとウェルカウンタとの間の較正比較を回避させる。
【0066】
図13は、マイクロPET撮像によって得られた本発明の態様のマイクロ流体チップの画像を示す。青ドットは、マウスに注入された用量と同程度の濃度を有する18FDG溶液から捕集された18FDG試料を示す。血液試料採取器の少量の血液量および高速タイミング精度の特徴は、特に未熟児および乳児の血液試験のためのヒト疾病の研究への応用を提供することができる。
【0067】
本発明はまた、本発明の装置を使用する方法を提供する。上記で説明したように、生物学的供給源からの試料を含み、いかなる試料をも本発明の装置によって分析することができる。初期試料は、固体、液体または気体であることができ、試料は、下処理および/または操作する、たとえば流体試料に転換する、溶解させる、希釈する等をしたのち、分析のために本発明の装置に入れることができる。試料は、個体または植物から直接採取されたものをを含み、いかなる生物学的試料であることもできる。試料は、微生物からの試料であることもできる。試料は、個体から、たとえば法医学的試料、保存試料または組織学的に調製した試料から事前に単離または誘導することもできる。
【0068】
本発明はまた、図15に示すような自動注入マイクロ流路をさらに含む装置を提供する。左下(黄色)の円が、図示される例示的な自動注入部品を強調する。これは、PET撮像によって求められる放射性撮像プローブを含む試料の注入を自動化する。(現在、PET分野のすべての注入法は、手作業の注入を使用する(>95%)または機械的かん流ポンプを使用する(<5%)のいずれかである。)
【0069】
この態様では、自動注入流路は、同じチップ中に具現化され、同じ制御システムによって制御され、したがって、自動注入流路とシステムコンピュータとの動作的連結によって装置への試料の注入(血液試料の注入)を同期化することができる。
【0070】
図16は、本発明の例示的なマイクロ流体血液試料採取システムの概観を示す。図16(A)は、この例示的なマイクロ流体チップ設計およびチップとその動作環境との接続の青写真を示す図画である。チップ中には二つの主要な層がある。チップ中の線(黒線)(蹄鉄形のウェルに接続されている)は流動層中の流路である。制御層(青)中のスイッチが血流を制御し、流路内でフラッシュする。1個のオン/オフスイッチ(−符号のある円)、2個の3路スイッチ(T形)および1個の18路スイッチ(矢印のある円)がある。この例示的な装置では、18個の血液試料流路(赤いウェルのある黒線)があるが、わかりやすくするため、11個しか示していない。図16(B)に示す画像は、具現化された設計の本発明の例示的なPDMSチップを示す。画像を撮影するとき制御流路を青の染料で満たして制御流路を強調した。黒い金属ピンが制御流路を空気弁マニホルドに接続している。これらの接続は図16(A)に示されている(黄色の線)。図16(C)に示す画像は、この例示的なPDMSチップ(図16(B))の小さな一部分を示す。制御流路の端部にある10個の弁は、オン/オフスイッチおよび3路スイッチの機能を実行する実際の部品である。図16(D)に示す画像は、制御流路の弁が流体流路を開閉する機構を説明する。
【0071】
コンピュータシステムおよびコンピュータプログラム製品
本発明の装置は、コンピュータおよび機械実行可能な命令を含む機械読み取り可能な媒体を含むコンピュータプログラム製品、コンピュータシステムならびに本発明の方法を実施し、本発明の装置を使用するためのコンピュータ具現化法を含む。たとえば、本発明は、装置内を流れる液体試料または気体試料の量を制御するための、および/または装置中の液体試料または気体試料の動きを制御するためのソフトウェアを含むコンピュータに動作可能に連結したマイクロ流体試料装置を提供する。コンピュータおよび機械実行可能な命令を含む機械読み取り可能な媒体を含むコンピュータプログラム製品はまた、下記を制御することができる:個体から採取される試料(たとえばマウスから採取される血液試料)の頻度および量;本発明に装置に投入される試料の頻度および量;たとえば流路および構成部品中の流量を制御することによる装置中の試料(液体または気体)の動き;「フラッシュ」または清浄液の移動のタイミング、量および方向;装置からの試料の出力のタイミング;リアルタイムであることもできるし、自動化されていることもできる、これらすべての動作モードへの制御アクセスをオペレータに提供すること;データ記憶を提供すること;出力および/または視覚化をオペレータに提供すること;機械実行可能な命令を含む機械読み取り可能な媒体を提供してデータを解析し、かつ解析したデータをユーザに提供すること。
【0072】
したがって、本発明は、本発明の方法を実施するための、そこに記録または記憶された機械実行可能な命令を有するコンピュータ、コンピュータシステム、コンピュータ読み取り可能な媒体、コンピュータプログラム製品等を提供する。「記録」および「記憶」は、コンピュータ媒体に情報を格納するプロセスをいうことができる。当業者は、コンピュータに情報を記録するための公知の方法を容易に適用して本発明の方法を実施し、本発明の装置を使用することができる。本発明の方法は、任意のプログラム言語またはコンピュータ/プロセッサを任意の公知ソフトウェアまたは方法論とともに使用して実施することができる。
【0073】
本発明のもう一つの局面は、本発明の方法を実施し、本発明の装置を使用するための、そこに記録された機械実行可能な命令を有するコンピュータ読み取り可能な媒体である。コンピュータ読み取り可能な媒体は、磁気的に読み取り可能な媒体、光学的に読み取り可能な媒体、電子的に読み取り可能な媒体および磁気/光学媒体を含む。たとえば、コンピュータ読み取り可能な媒体は、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープ、CD-ROM、デジタル多用途ディスク (DVD)、ランダムアクセスメモリ (RAM)または読み出し専用メモリ (ROM)および当業者に公知の他のタイプの媒体であることができる。
【0074】
本発明の方法を実施し、本発明の装置を使用するために使用されるコンピュータ/プロセッサは、従来の要素、たとえばマイクロプロセッサおよびデータ転送バスを含む従来の汎用デジタルコンピュータ、たとえばパーソナル「ワークステーション」コンピュータであることができる。コンピュータ/プロセッサはさらに、任意の形態のメモリ要素、たとえばダイナミックRAM、フラッシュメモリ等または大容量記憶装置、たとえば磁気ディスクオプション記憶装置をさらに含むことができる。たとえば、従来のパーソナルコンピュータ、たとえばIntelマイクロプロセッサに基づき、Windowsオペレーティングシステムで稼働するものを使用することができる。任意のハードウェアまたはソフトウェア構成を使用して本発明の方法を実施することができる。たとえば、他の周知のマイクロプロセッサに基づき、UNIX、Linux、MacOSおよびその他のようなオペレーティングシステムソフトウェアで稼働するコンピュータが考慮される。本明細書で使用する「コンピュータ」、「コンピュータプログラム」および「プロセッサ」は、そのもっとも広義な一般的意味で使用され、すべてのそのような装置を含む。
【0075】
記載した態様の変形および拡張が当業者には明らかである。本明細書を熟読する当業者には本発明の他の用途、特徴および利点が明らかになるであろう。
【0076】
本発明の一つまたは複数の態様の詳細が添付図面および本明細書の詳細な説明に記載されている。明細書および図面ならびに請求の範囲から本発明の他の特徴、目的および利点が明らかになるであろう。
【0077】
本明細書で引用されるすべての刊行物、特許、特許出願、GenBank配列およびATCC寄託番号は、すべての目的のために参照により本明細書に明確に組み入れられる。本発明の態様が数多く記載されている。それにもかかわらず、本発明の本質および範囲を逸することなく様々な改変を加えることができることが理解されよう。したがって、他の態様もまた請求の範囲に入る。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】詳細に説明した、手作業血液試料採取を使用して導出したマウス心臓内のPET放射性トレーサを示す。
【図2】詳細に説明した、定量的マイクロPET試験におけるマウス入力関数として使用することができる血中時間放射能曲線の最初の7秒間の典型的な例を図示する。
【図3】図3Aは、詳細に説明した、生物学的供給源を含む任意の供給源から流体試料または気体試料を含む試料を採取するように適合することができる、マウス用の統合マイクロ流体血液試料採取器の態様として例示的な装置を示す。図3Bは、詳細に説明した、本発明の例示的なポリ(ジメチル-シロキサン)(PDMS)マイクロ流体チップのリアルタイムスナップショットを示す。
【図4】詳細に説明した、図3bに図示するような例示的な装置の10セル態様の略図である。
【図5】詳細に説明した、本発明の例示的なマイクロ流体試料採取装置の略図である。
【図6】詳細に説明した、図5に図示する態様の対応する略図である。
【図7】詳細に説明した、本発明の例示的なマイクロ流体試料採取装置の略図である。
【図8】詳細に説明した、マウス定量的マイクロPET試験における本発明のマイクロ流体血液試料採取器を示す。
【図9】本発明の例示的なマイクロ流体試料採取装置を示す、図5の略図の拡大図を示す。
【図10】図10Aは、詳細に説明した、静脈FDG注射を用いる血液試料採取器設計を使用してマウス試験から得られた血液曲線を図示する。図10Bは、詳細に説明した、本発明の例示的なマイクロ流体試料採取装置を使用してマウス試験から得られた血液曲線を図示する。
【図11】図11Aは、(公知の)ポンプ駆動システムを使用する画像導出血液曲線を図示する。図11Bは、(公知の)ポンプ駆動連続血液採取システムが抱える時間(Δt)遅延問題を図示する。図11Cは、詳細に説明した、本発明の例示的なマイクロ流体チップ設計を使用した結果を示す。
【図12】詳細に説明した、本発明の例示的なマイクロ流体チップを使用する動的PET撮像の使用を含む本発明の多重化システムを使用するマイクロPET試験を示す。
【図13】詳細に説明した、マイクロPET撮像によって得られた本発明の例示的なマイクロ流体チップの画像を示す。
【図14】本発明の例示的なマイクロ流体試料採取装置を示す、図15の略図の拡大図を示す。
【図15】詳細に説明した、自動注入装置を含む本発明の例示的なマイクロ流体血液試料採取システムを示す。
【図16】本発明の例示的なマイクロ流体血液試料採取システムを示す。図16Aは、この例示的なマイクロ流体チップ設計およびチップとその動作環境との接続の青写真を示す図画である。図16Bは、具現化された設計を有する本発明の例示的なPDMSチップを示す。図16Cは、この例示的なPDMSチップ(図16(B))の小さな部分を示す。図16Dは、詳細に説明した、制御流路中の弁が流体流路を開閉する機構を示す。
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、一つまたは複数の正確なマイクロリットル量またはナノリットル量の試料を採取するためのマイクロ流体試料採取器を提供する。本発明は、統合されたポリ(ジメチル-シロキサン)(PDMS)マイクロフルイディックスを含む微細加工自動システムを提供する。試料は、動物または植物からの試料を含む生物学的試料であることができる。試料は流体または気体であることができる。試料は、試験対象、たとえばヒトまたはマウスからの生物学的流体、たとえば血液、涙、脳脊髄液(CSF)などを含むことができる。本発明はまた、本発明のマイクロ流体試料採取器を製造および使用する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
背景
マウスにおける組織生物学的機能のモニタリングにおいてマイクロPET撮像がますます一般的になりつつある。その最大の能力の一つである、生物学的/生理学的プロセスをインビボで定量する能力は、少量の血液量(20gのマウスの場合で約2ml)および採血の難しさのせいで、挑戦的な課題である。定量的マイクロPET試験では、通常、20〜25の動脈血試料から60分で有効な時間放射能曲線(TAC)が構成される。これは、入力関数と呼ぶことができ、生物学的絶対単位に換算した生物学的組織機能の信頼しうる計測のために必要になることがある。ヒト疾患を研究するための一般的な動物モデルとしてのトランスジェニックマウスの試験における関心が増大している。頻繁で正確なマイクロおよびナノリットル量の血液試料採取が可能である装置は、マウスからの入力関数の測定を可能にし、マイクロPET撮像を新たなレベルの精度および利用度まで持っていくであろう。
【0003】
近年、小動物におけるマイクロPET撮像が、生物学の研究ならびに癌およびAIDSを含む多くの疾病のための薬物評価および開発のために重要なインビボ撮像技術になった。稼働中のマイクロPETスキャナの数は世界中で急増している。しかし、生物学的機能の計測に高い精度を提供する能力なしでは、マイクロPET技術の潜在能力をフルに発揮させることはできない。マウスからの血液試料採取は、小さな血管径(約1mm)、少量の血液量(20gのマウスの場合で約2ml)および急速な代謝(図1および2)のせいで、きわめて困難である。手作業の血液試料採取を使用して導出した図1は、マウス心臓を通過するPET放射性トレーサ(色付き)の大静脈からの急速な通過(右心室から大動脈左心室まで3秒以内に起こる)が手作業の血液試料採取からの入力関数導出を困難にするということを示す。図2は、定量的マイクロPET試験でマウス入力関数のために使用することができる血中時間放射能曲線の最初の7秒間の典型的な例を示す。各曲線の形を決定するためには、1秒以内に多数の血液試料を採取する必要がある。
【0004】
定量的PET試験は、ヒト疾病に関する膨大な量の情報を提供してきた。動脈血試料採取の侵襲性のせいで、PET画像の左心室の血液貯留からの入力関数の導出を含む代替法が開拓された。しかし、ヒトPET画像からの入力関数の導出に好結果をもたらすような方法は、限られたマイクロPET解像度および小さなマウス心臓のせいで、マウスのマイクロPET撮像には適用不可能であることを研究が証明した。
【0005】
今日まで、マイクロPET撮像を実行することができる施設のうち、動物、たとえばマウスから入力関数を確実に取得することに成功した経験を報告した施設はない。高速マイクロ量測定血液試料採取器に対する要求は世界中でうっ積している。
【発明の開示】
【0006】
概要
本発明は、一つの局面では統合されたポリ(ジメチル-シロキサン)(PDMS)(または同等物)マイクロフルイディックスを含むマイクロ流体試料装置を含む微細加工自動システム、たとえば多重化システムならびにそれらを製造および使用する方法を提供する。一つの局面で、これらの製品は、液体または気体を含む少量の試料、たとえば生物学的または環境的試料を採取するために使用され、装置の動作の各局面(入力、分析、出力、データ解析)は、適切なコンピュータおよびソフトウェアとで統合されることができ、一部の態様では全自動化される。一つの局面では、多数のアッセイ(たとえば生物学的アッセイ)を並行的(同時)に実施することができる。
【0007】
本発明は、下記を含むマイクロ流体試料装置を提供する:
(a) 流体試料または気体試料を含む試料のための少なくとも一つの入口(たとえば複数の入口)、
(b) 試料(たとえば流体試料または気体試料)を移動させるための流体流をもたらす流路によって入口(または複数の入口)に動作可能に連結している、容量測定された(たとえば自動化または遠隔制御することができる計量)流体試料を試料ウェルに向けて送ることができる少なくとも一つまたは複数のスイッチ、
(c) 流体試料または気体試料を移動させるための流体流をもたらす流路によって複数のスイッチに動作可能に連結している少なくとも一つまたは複数の試料ウェル、
(d) 流体試料または気体試料を移動させるための流体流をもたらす流路によってスイッチの少なくとも一つに動作可能に連結している、試料流体をシステムからパージすることができる少なくとも一つまたは複数の計量ループ、および
(e) 流体試料または気体試料を移動させるための流体流をもたらす流路によって試料ウェルに動作可能に連結している少なくとも一つまたは複数の排出(出力)口。
これらの構成部品の一つ、いくつかまたはすべては、適切なソフトウェアを用いて電子センサならびにコンピュータへの出力およびコンピュータからの入力を介して遠隔制御することができ、これらの動作は、完全または部分的に自動化することができる。
【0008】
本発明の装置(製品)の代替態様では、マイクロ流体試料装置は、一つまたは複数の樹脂材料、たとえばポリ(ジメチル-シロキサン)(PDMS)または同等物、たとえば任意のポリ(アルキル-シロキサン)または任意のシロキサンを含む。マイクロ流体試料装置スイッチは、容量測定された流体試料を試料ウェルに導くことができる(すべての動作と同様に、これらの動作もまた、完全または部分的に自動化することができる)。
【0009】
本発明の装置(製品)の代替態様では、装置は、試料ウェル中の試料を撮像することができるように、撮像装置に動作可能に連結しており、たとえば、撮像装置は、陽電子放射断層撮影(PET)撮像装置もしくは同等物、カメラまたは任意の撮像もしくは検出装置(たとえば放射性同位元素からの放射線を検出)を含むことができる。
【0010】
一つの局面では、装置は、洗浄物の流れの管理を含め、装置に流れ込み、装置内を流れる液体試料または気体試料の量および方向を制御するための、および/または装置に流れ込む、装置内を流れる、および/または装置から出る液体試料または気体試料の動きを制御するためのソフトウェアを含むコンピュータに動作可能に連結している。装置の動作は部分的または完全に自動化することができ、データ照合およびユーザへの出力は全自動化することができる。
【0011】
本発明の装置(製品)の代替態様では、装置は、図3〜9および図12〜14に示す構成またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0012】
本発明のマイクロ流体試料装置によって処理される試料は、任意の供給源からの試料であることができ、たとえば、生物学的な流体もしくは気体または人工の流体もしくは気体、たとえば毒素、殺虫剤および毒薬、たとえば合成物質、たとえば神経ガス、たとえばVX剤、マスタードガス(H剤)、サリンガスおよび他のG剤等ならびに毒性の生物学的ガスを含むことができる。一つの局面では、本発明の装置を使用する薬剤の検出は、たとえば、国防または自国安全保障用途におけるV剤、G剤、H剤および/または生物学的薬剤もしくは殺虫剤のために使用することもできるし、あるいは建造物、郵便局、通気ダクト、カーペット、衣服および電子設備などにおける薬剤の検出を含む民間用途に使用することもできる。
【0013】
試料は、ヒト、動物または植物から採取された生物学的流体(液体)もしくは気体または流体(液体)試料もしくは気体試料へと変性された生物学的試料を含むことができる。生物学的流体または固体生物学的試料は、流体(液体)試料もしくは気体試料へと変性(加工)することができる。試料は、血漿、血清、血液、涙、脳脊髄液(CSF)、尿、唾液、精液、糞便、粘液、痰または単離、培養、粉砕もしくは溶解させた細胞もしくは組織を含む溶液を含むことができる。
【0014】
少なくとも一つの入口、スイッチ、試料ウェルおよび排出口は、ナノリットル量範囲またはマイクログラム(μg)からナノグラム(ng)までの量範囲の試料を取り扱い、移動させるように、構成され、サイズ決めされることができる。装置は、一つまたは複数の正確なマイクロリットル量またはナノリットル量の試料を動物または植物から自動的に採取し、その試料を装置の少なくとも一つの入口に送達するための装置に動作可能に連結していることができる。
【0015】
本発明の装置(製品)の代替態様では、試料は変性、加工または処理され、たとえば、PETプローブを含み、たとえば2-デオキシ-2-[18F]フルオロ-D-グルコース([18F]FDG)(「FDG」)または同等物をマイクログラム(μg)からナノグラム(ng)までのレベルで含むPETプローブを使用することができる。
【0016】
一つの局面で、少なくとも一つの(または複数の)入口、スイッチ、試料ウェルおよび排出口は、1試料あたり約1、2、3、4、5、10、20、30、40、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950もしくは1000ナノリットルまたはそれ以上の量または1試料あたりマイクロリットルの量を取り扱い、移動させるように、構成され、サイズ決めされる。少なくとも一つの(または複数の)入口、スイッチ、試料ウェルおよび排出口は、概ね1秒あたり2試料の速度での量において試料を取り扱い、移動させるように、構成され、サイズ決めされることができる。
【0017】
装置はさらに、気体試料または流体試料を少なくとも一つの入口、スイッチ、試料ウェルおよび/または排気口を通って移動させるための装置に動作可能に連結したポンプおよび/または圧力輸液タンクを含むことができる。少なくとも一つの(または複数の)スイッチは、バイナリ(開または閉)スイッチであることもできるし、複数の流路への部分的分流が可能である、より複雑なスイッチであることもできる。
【0018】
樹脂マイクロ流体試料装置は、樹脂、たとえばシロキサン、たとえばポリ(ジメチル-シロキサン)(PDMS)を含むことができる。したがって、一つの局面では、本発明の製品はPDMSマイクロ流体試料装置である。マイクロ流体試料装置の樹脂は、ガラス、ケイ素または同等の基材に接合されていることができる。
【0019】
一つの局面では、正確に計量された量の多数の試料を、個々のウェルの中に捕集し、分析に備えて回収することができる。装置は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39もしくは40またはそれ以上の試料を同時に取り扱うように構成されていることができる。装置は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39もしくは40またはそれ以上の試料を同時および/または逐次にアッセイするように構成されていることができる。
【0020】
一つの局面では、装置は、コンピュータおよびソフトウェアに動作可能に連結した、および/またはコンピュータおよびソフトウェア内に統合された使いやすいインタフェースによって遠隔制御される。装置は、使いやすいインタフェースおよび/またはコンピュータおよびソフトウェアを介して、特定の時間間隔で試料を採取および/または処理するようにプログラムすることができる。装置およびその中の任意またはすべての構成部品は、コンピュータおよびソフトウェアを介して完全または部分的に自動化することができる。
【0021】
一つの局面では、少なくとも一つの入口が、多数の流路接続を有する蹄鉄形のウェルを含むか、または装置が、多数の流路接続を有する蹄鉄形のウェルをさらに含み、かつその多数の流路接続が入口および/または試料ウェルに動作可能に連結しており、かつ蹄鉄形のウェルが装置中の液体試料または気体試料の拡散時間の遅延を最小限にする。本発明のマイクロ流体試料装置はさらに、装置中の液体試料または気体試料の流量を正確に計量するための少なくとも一つのループ化流路を含むことができ、少なくとも一つのループ化流路は、入口と試料ウェルとの間におよび/または試料ウェルと排出口との間に位置している。一つの局面では、少なくとも一つのループ化流路は、ループの清浄またはパージを可能にするために、パージ/フラッシュ/清浄溶液の供給源に動作可能に連結している。
【0022】
本発明の装置はさらに、隣接する試料ウェルの群に動作可能に連結した分配ノードを含み、試料ウェルが分配ノードから試料を選択的に受けることを可能にする。
【0023】
装置はさらに、少なくとも一つの(または複数の)自動注入流路を含むことができ、たとえば、少なくとも一つの(または複数の)自動注入流路は、使用可能ソフトウェアを含むコンピュータに動作可能に連結している。
【0024】
本発明は、本発明のマイクロ流体試料装置(チップ)および試料流体を動物から取り出すための装置を含み、すべての構成要素が、使用可能ソフトウェアを含むコンピュータに動作可能に連結している、マイクロ流体試料分析のための多重化システムを提供する。本発明の多重化システムは、試料流体を動物から取り出すための装置を含むことができ、血液試料採取器であり、たとえばカテーテルを含み、カテーテルは、ユーザの介入なしに血液試料を自動的に採取することができるように、血液試料採取器に接続されていることができる。一つの局面では、血液試料の量およびタイミングは、使用可能ソフトウェアを含むコンピュータにインタフェースされた血液試料採取器によって制御される。
【0025】
本発明の多重化システムは、検出または撮像システム、たとえばCATまたはPET、たとえばマイクロPET撮像システムに動作可能に連結していることができる。多重化システムは、動物からマイクロ流体チップへの血液捕集のタイミングを制御するコンピュータインタフェースおよびプログラムに動作可能に連結していることができ、プログラムにより、ユーザが血液試料採取時間間隔および血液試料の数を指定することができる。多重化システムはさらに、少なくとも一つの自動注入装置を含むことができ、自動注入装置は、試料装置(チップ)から切り離されているか、または試料装置に統合されており、かつ自動注入装置は試料を入口に投入する。
【0026】
多重化システムは、使用可能ソフトウェアを含むコンピュータに動作可能に連結していることができる少なくとも一つの(または複数の)自動注入流路を含むことができる。
【0027】
本発明の例示的装置は、図3〜9および12〜14で描写され、説明されている装置およびそれらの変形を含む。一つの局面では、本発明は、マウスにおける血液試料採取に理想的な特性である非常に小さなスケール、たとえばナノリットル範囲の反応物/試薬を扱うための微細加工自動システムを提供する。図3の例示的装置を参照すること。一つの局面では、本発明は、陽電子放射断層撮影(PET)スキャンを生成し、一つの局面で、PETプローブ、たとえば2-デオキシ-2-[18F]フルオロ-D-グルコース([18F]FDG)(「FDG」)または同等物をマイクログラム(μg)からナノグラム(ng)までのレベルで使用するためのポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)ベースのマイクロ流体システムの使用を含むマイクロ流体技術および装置を提供する。本発明は、マウスからマイクロおよびナノリットル血液試料を採取するための集積マイクロ流体プラットフォーム上に血液試料採取システムを開発するために使用することができる。FDG血液試料(約250ナノリットル/試料)を1秒あたり2試料の速度で一貫した量(ばらつき<1.5%標準偏差(s.d.))で採取することができる。
【0028】
本発明の一つまたは複数の態様の詳細を、添付の図面および以下の記載で述べる。本発明の他の特徴、目的および利点は、明細書および図面ならびに請求の範囲から明らかになるであろう。
【0029】
本明細書で引用されるすべての刊行物、特許および特許出願は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0030】
発明の詳細な説明
本発明は、統合されたポリ(ジメチル-シロキサン)(PDMS)マイクロフルイディックスを含む微細加工自動システムを提供する。本発明の、マイクロ流体試料採取器を含むシステムおよび方法は、一つまたは複数の正確なマイクロリットル量またはナノリットル量の試料、たとえば生物学的流体を含む試料の採取をするために提供する。生物学的流体は、ヒトおよび他の哺乳動物、たとえば大きな生物学的流体試料が問題になりうる小型哺乳動物、たとえばマウスまたは他の齧歯類を含む任意の対象から採取することができる。体液は、たとえば、尿、血液、血漿、血清、唾液、精液、糞便、痰、脳脊髄液、涙、粘液等であることができる。
【0031】
本発明の統合されたポリ(ジメチル-シロキサン)(PDMS)マイクロフルイディックスは、一つの局面では動作のデジタル制御を含む、同じ装置における逐次的な物理的、化学的および生物学的プロセスの実行および自動化を可能にする流体流および制御流路を提供する。
【0032】
本明細書で記載する研究は、この例示的な態様ではマウス血液試料を含む小さな流体量を分析する際の本発明のマイクロ流体試料採取器の有効性を実証する。本明細書に記載する研究は、本発明の例示的なマイクロ流体血液試料採取装置を使用してマウスから入力関数を導出する実施可能性を実証する。本明細書で記載する研究では、全失血量(約60μl)およびそのような失血によるマウスの生理学的変化に対する影響が本新規な発明によって許容しうるレベルまで最小化される。
【0033】
本発明の態様は、ヒトからの少量の生物学的流体、たとえば多量の流体を得ることが困難である試料、たとえば涙または新生児のCSFまたは法医学的試料から入力関数を決定することを可能にする。
【0034】
ヒト疾患を研究するためのポピュラーな動物モデルとしてのトランスジェニックマウスにおける関心が増大している。本発明の態様は、マウスからの入力関数の決定を可能にし、マイクロPET撮像を最小侵襲マイクロおよびナノ量生理学的流体試料採取の新たなレベルまで持っていく。高速血液試料採取器の要求は、世界中で、特にトランスジェニックマウスを生産する技術が非常に急速に進んでいるところで非常に高い。
【0035】
例示的な装置は、本明細書の図面、たとえば図3〜9および12〜14で描写され、説明されている装置およびそれらの変形を含む。
【0036】
一つの局面で、本発明の装置は、採取された多数の血液試料を1秒以内に処理することができる。この態様は、マウス心臓を通過するPET放射性トレーサの大静脈からの急速な通過(右心室から大動脈左心室まで3秒以内に起こる)が手作業の血液試料採取からの入力関数の導出を困難にするということを示す、手作業の血液試料採取を使用して導出した図1に示す問題を解決する。本発明のこの態様を使用すると、定量的マイクロPET試験で入力関数として使用することができる血中時間放射能曲線を処理することができる。図2は、定量的マイクロPET試験におけるマウス入力関数として使用することができる血中時間放射能曲線の最初の7秒間の典型的な例を示し、各曲線の形を決定するためには、多数の血液試料を1秒以内に採取しなければならないこと(本発明によって提供される)に留意すること。
【0037】
一つの局面では、本発明は、統合されたポリ(ジメチル-シロキサン)(PDMS)マイクロフルイディックスを含む。この技術は、動作のデジタル制御により、同じ装置における逐次的な物理的、化学的および生物学的プロセスの実行および自動化を可能にする流体流および制御流路を提供する。特に、PDMS材料の弾性が、マイクロおよびナノスケール機能化モジュール、たとえば弁、ポンプおよびカラムの並行製造を可能にすることができる。
【0038】
さらには、この技術を使用する本発明の装置の製造は、比較的簡単な施設しか要しない。流体および制御ネットワークは、コンピュータ援用設計/コンピュータ援用製造(CAD/CAM)技術を含む標準的なソフトウェアおよびコンピュータ援用検出(CAD)システム、たとえばCADソフトウェア(たとえばCAD Australia Pty. Limited.)を使用してマッピングされ、透明なフォトマスクに転写される(たとえば米国特許第6,982,134号、第6,340,543号、第6,165,649号を参照すること)。
【0039】
樹脂ベースまたはシロキサンベース、たとえばPDMS樹脂ベースの本発明の装置を製造するためには、フォトリソグラフィー技術を使用することができる。たとえば、米国特許第7,111,635号(マイクロ流体装置の流路中に狭窄領域を製造する)、第6,932,951号、第6,752,966号(二つの平面基材の間の中間ポリマー層中にマイクロスケール構造要素を有する微細加工法および装置)、第5,965,237号、第5,534,328号を参照すること。
【0040】
ポリ(ジメチル-シロキサン)(PDMS)は疎水性を有するため、一部の用途では、PDMSの処理が望ましいかもしれない。たとえば、PDMSは、簡単な空気プラズマ処理を使用して親水性にすることもできるし、空気中での長期的安定性を有する親水性PDMSを生成する場合には、2ステップ抽出/酸化法を使用することもできる。第一に、バルク相から未反応オリゴマーを除去するように設計された一連の溶媒中でPDMSを抽出し、第二に、オリゴマーを含まないPDMSを簡単な空気プラズマ中で酸化させて、安定な親水性SiO2層を生成する。たとえば、Vickers (October 5, 2006) Anal. Chem., ASAP Article 10.1021/ac0609632 S0003-2700(06)00963-2を参照すること。一部の局面では、本発明の装置は、混合または成層材料で作られる。たとえば、紫外線を使用して本発明のPDMSマイクロ装置の表面に混合モノマー溶液を重合させることができる。たとえば、異なる化学的性質を有するモノマーを使用することができる。一部の局面では、本発明の装置をシラノール基のイオン化によって処理して湿潤性を改善することができる。たとえば、Hu (2003) Electrophoresis 24:3679-3688を参照すること。
【0041】
本発明の装置を製造するためには、任意のPDMSプレポリマー、たとえばSYLGARD 184(商標)(Dow Corning, Midland, MI)を使用することができる。PDMSポリマー製造物は、別の材料、たとえば窒化ケイ素コートされたシリコンウェーハ(たとえばWAFERNET(商標)San Jose, CA, USA)に裏当てすることができる。
【0042】
一つの局面では、フォトリソグラフィー技術を使用して再使用できる型を製造し、その上にPDMS樹脂を注加し、ベーキングによって硬化させる。流体流および制御流路へのアクセスは、皮下針、トロカール等を使用して、製造された装置に穴を打ち抜くことによって達成することができる。製造された装置は、当業者に周知である多様な技術を使用してガラス、ケイ素または類似した基材に容易に接合することができる。個別に製造した多数の層を積み重ね、接合することにより、弁およびポンプのような活動部品の大きなアレイを創製することができる。空気または他のガス混合物またはガスで加圧されると、流れ層上の流路と交差する制御層上の流路がたわみ、流路を封止し、その中の流体動を停止させる。この弁作動法は、マイクロフルイディックスチップのバイナリスイッチ(たとえば開または閉)を含む。
【0043】
図3aは、本発明の代替局面で、流体試料または気体試料を含む試料を、生物学的供給源を含む任意の供給源から採取するために適合されることができるマウス用の統合されたマイクロ流体血液試料採取器の態様としての例示的な装置を示す。本発明の一つの例示的な態様では、正確に計量された量の多数の(たとえば2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10またはそれ以上の)血液試料を個々のウェルの中に捕集し、さらなる分析を受けさせるために回収することができる。図は、流体試料または気体試料を含む試料がウェルから導かれる流路を示す。チップは、試料パージおよび/または清浄のために、試料捕集の合間にフラッシュおよび/または媒体(たとえば、Heparin Lock Flush Solution、USP、たとえばHepFlush (登録商標)-10、Hep-Lock (登録商標) U/P、Hep-Pak (登録商標) Lock Flush)でパージすることができる。
【0044】
この例示的な装置または本発明の任意の装置は、使いやすいインタフェースによって遠隔制御することができ、特定の時間間隔で試料を採取するようにプログラムすることができる。
【0045】
食塩水およびPETプローブの両方を含む血液試料、たとえばFDG含有血液試料を、たとえば1試料あたり約250ナノリットルで、一貫した量だけ(ばらつき<1.5% s.d.)1秒あたり少なくとも1試料の速度で採取することができる。量は小さいが、血液試料中のPETプローブ(たとえばFDG)放射能は検出可能であり、一貫している(<1.2% s.d.)
【0046】
この例示的なマイクロ流体血液試料採取装置の態様を使用してマウス用の高精度入力関数を計測する実施可能性は実証されている。図3bは、試験アッセイから撮られたポリ(ジメチル-シロキサン)(PDMS)マイクロ流体チップのリアルタイムスナップショットを示す。図4は、10セル態様の略図である。流体試料が入口901ならびにスイッチ906および908から吸入されて計量ループ912に達する。スイッチ908、910、909、903および905が試料流体をシステムからパージするように働く。スイッチ904a〜904jが、容量測定された試料流体を、PET撮像に備えて、試料ウェル913a〜913jそれぞれに向けて送る。試料ウェル913a〜913jは、それぞれポート903a〜903jを介して空にされることができる。
【0047】
図5は、本発明のもう一つの例示的なマイクロ流体試料採取装置を例示的な設計の態様として示す。21の血液試料をこの態様の指定のウェルで捕集することができる。図6は、この態様の対応する略図である。ブロック601回路は、上記で説明した10試料ウェル態様に似ている。ブロック602が3個の試料ブロック603a、603bおよび603cの1個を選択し、各試料ブロックが、マイクロPET撮像のための7個の選択可能な試料ウェルを有している。
【0048】
また、様々なPETトレーサ(たとえばFDG、FLT、FHBGおよびN-13アンモニア)を使用してマウスにおけるマイクロPET撮像を実施することができる。マウスマイクロPET試験ごとに多数の血液試料を採取することができる。統合ソフトウェアシステムKIS (Kinetic Imaging System)(UCLA Molecular & Medical Pharmacology Department, Regents of the University of California)を使用して、本発明の方法および/または装置とともに使用されるマイクロPET試験の計画、設計およびデータ解析を支援することができる。KISシステムは、多数の機能―教育、仮想実験、実験設計および模擬実験/実験データの画像解析―に役立つ。たとえば、Huang (2005) Mol Imaging Biol. 7(5):330-41を参照すること。
【0049】
KISは、マイクロPET、たとえばマイクロPET試験、たとえばマウスマイクロPET試験の学習、計画、設計およびデータ解析を支援するための完全統合ソフトウェアシステムである。KISは、マウス1匹全体の全組織器官におけるトレーサ動態のコンピュータシミュレーションおよびアニメーションを通して(リアルな3Dマウスアトラスに基づく)、ユーザが、マウスマイクロPET画像に影響するおそれのある多数の生物学的、化学的および実験的要因を簡便に学習し、評価することを可能にする。KISは、Javaで完全にコード化され、サーバからウェブを介して稼働させることもできるし、独立型ステーション上で稼働させることもできる。KISを用いると、試験、たとえばマウスマイクロPET実験を実際に実施する前に、放射性トレーサの特性、投与法、用量レベル、撮像シーケンス、画像再構成(たとえば解像度vsノイズの兼ね合い)を評価することができる。様々な運動データ解析法(モデルフィッティングを含む)を審査して、信頼しうる生物学的情報を得ることができることを保証することができる。
【0050】
一つの局面では、動物、たとえば齧歯類(マウスまたはラット)またはヒトから血液試料を採取するためには、カテーテルを動物、たとえば齧歯類の血管、たとえばマウスの大腿動脈またはラットの尾動脈に挿入することができる。カテーテル実施は、薬物導入または採血を要する齧歯類試験に係わる研究室スタッフにとって通常の外科的処置である。ひとたびカテーテルが血液試料採取器に接続されると、ユーザの介入なしに血液試料を自動的に採取することができる。血液試料の量およびタイミングは、ラップトップにインタフェースさせた血液試料採取器によって制御することができる。使いやすいプログラムによってユーザが血液試料のタイミングおよび数を決定することができる。血液試料のさらなる分析、たとえば血液中の放射能または薬物濃度の定量のために、マイクロ流体チップ試料ウェル中に捕集した血液試料の他の容器(たとえば試験管またはEppendorf (登録商標)管)への移送を血液試料採取器のコンピュータインタフェースによって制御することができる。
【0051】
試験対象(たとえばマウス)の定量的マイクロPET撮像とともに、代替方法を使用して血液試料中の放射能を定量することもできる。血液捕集ののち、血液試料を含むマイクロ流体チップをユニットから取り外し、マイクロPETスキャン法を使用してスキャンし、定量することができる。
【0052】
マウスにおける従来の手作業血液試料採取法に伴う困難および課題のせいで、血液試料採取器からの注入後血中濃度曲線を比較または立証するための正確な基準が文献には存在しない。本発明の前には、齧歯類試験からの血液試料の大部分は、そのような手作業の採血から得られる血液試料であった。本発明者らは、マイクロPET定量撮像試験の対照として、手作業の採血を使用するマウス血液試料採取法を実施してきた。本発明者らは、本発明のマイクロ流体チップ装置を使用して分析した血液試料を手作業の採血からの血液試料と比較して、マイクロPET画像導出血液曲線によって解析した。血液試料採取器から得られた注入後血中濃度曲線は、従来法の結果と比較して、はるかに正確であり(たとえばデッドスペースおよび時間遅延の問題がない)再現精度の高い結果である。本発明の態様からのFDG血液曲線のピークおよび形(たとえば図11c)は、文献では一度も達成または証明されていない。
【0053】
一つの局面では、新規な特徴は、頻繁かつ反復的な血液試料採取を要するインビボ生物学的試験、たとえば、上記で説明したような多くの理由のせいで従来の血液試料採取技術が困難である齧歯類(マウスまたはラット)試験へのマイクロ流体技術の適用を含む。
【0054】
一つの局面では、コンピュータインタフェースおよびプログラムがマイクロ流体チップ中の血液捕集のタイミングを制御することができる。一つの局面では、使いやすいプログラムを統合して、ユーザが血液試料採取時間間隔および血液試料の数を指定することを可能にすることもできる。
【0055】
拡散による過度な時間遅延、デッドスペースおよび試料汚染の問題は、たとえば図7に示すような例示的なマイクロ流体チップ設計で最小化され、組み込まれる。この図では、左側(黄色)の円が、採取部位からチップまでの血液試料の遅延時間および拡散を最小化するための多数の流路接続を有する蹄鉄形のウェルを指定する。この部位は、とりわけ二つの目的に働くことができる:(1) マイクロ〜ナノリットル範囲の血液試料を他の目的(たとえば代謝産物分析)のためのこの部位の出力から採取することができる;(2) 上記で説明したように、各血液試料採取の前に、血管とチップとを接続する管(すなわちデッドスペース)中の血液をパージまたはフラッシュによって速やかに除去することができる。中間(または緑)の円は、各血液試料の量(マイクロ〜ナノリットル範囲)を正確に計量するためのループ化流路を指定する。パージ/フラッシュ/清浄溶液へのループの接続は、ループの清浄またはパージを可能にし、直前の採取試料からの汚染を防ぐ。右側(またはマゼンタ色)の円は、分配ノードから血液を選択的に受けるための隣接する試料ウェルの群を指定する。試料ウェル間の距離は、血液試料放射能を計測するために使用されるPET撮像のために部分容積効果(すなわちあふれ放射能)を最小化するために最大化される。
【0056】
齧歯類における定量的マイクロPET撮像とともに、マイクロPET撮像を使用して血液試料の放射能を直接的に定量することができる。図8は、本発明のマイクロ流体血液試料採取器の態様を使用して血液試料を捕集するマウス定量的マイクロPET試験を示す。少量の血液試料量(ナノリットル範囲の小ささ)の捕集のおかげで、血液試料採取による失血を最小化し、無視しうる程度にすることができる。齧歯類は、安定な生理学的条件下、インビボで試験することができる。
【0057】
高速血液試料捕集能力(注入後、最初の10秒間で多数のスナップショット試料)は、手作業の採取によっては達成することができない正確な血中濃度曲線(入力関数)の決定を可能にする。血液試料採取法の自動化はまた、必要な人間の介入を最小限にする。マイクロPET試験では、自動化は技術者/研究者の放射線暴露を最小化し、それに伴って健康被害が減少した。
【0058】
マイクロPET撮像とともに、本発明の方法および装置を使用すると、真の血中時間放射能曲線(すなわち入力関数)が動物試験、たとえば齧歯類試験から得られることができ、定量的マイクロPET撮像(たとえば、生理学的に意味ある指数を提供する真の機能的撮像技術)を実施可能にすることができる。
【0059】
図9は、カナダのUniversity of Sherbrookeのグループによる以前の血液試料採取器設計を示す例であり、検出器に動作可能に連結した試料採取器(薬用空気を吸入する)に動作可能に連結したシリンジポンプを示す。図10aは、静脈FDG注射を用いた対応するマウス試験からの血液曲線である。緑の矢印は、直前の血液試料からカテーテル中に残留した血液のせいで過大評価された各血液試料中のFDG濃度を示す(デッドスペース問題)。図10bは、本発明の例示的な設計がカテーテルデッドスペース血液汚染を解消および/または排除する方法を示す。
【0060】
図11aは、画像導出血液曲線で見られた二つの問題を示す:(i) あふれ放射能(「左心室からの問題ある、あふれ放射能」)(赤矢印);および (ii) FDG濃度の過小評価を示す。図11bは、ポンプ駆動連続採血システムが抱える時間(Δt)遅延問題。大動脈曲線(「大動脈TACのピーク」)(図11aの緑の矢印)に比較して、図11bの曲線は遅延し、右にシフトしていた。図11cは、本発明の例示的なマイクロ流体チップ設計を使用する結果を示し、本発明の装置の使用が時間遅延問題を解消し、真の濃度曲線を得ることができることが実証されたことを示す。
【0061】
各血液試料の正確で一定の血液量(マイクロ〜ナノリットルの範囲)が血液量正規化の必要性を除く。従来の手作業採血法の場合、手作業で採取された各血液標本は異なる量を有することができる。そのような血液試料は、精密スケールを使用して重量測定され、放射線比較のために固定量に対して正規化されなければならない。
【0062】
本発明の例示的な局面では、正確なデジタル制御が、従来の血液試料採取技術では不可能であった速度で試料が採取されることを可能にする。加えて、デジタル制御はまた、時間領域における不確かさを排除する。時間はミリ秒範囲まで正確であることができる。
【0063】
試験対象のマイクロPET撮像とともに、血液試料中の放射能をマイクロ流体チップの直接マイクロPET撮像によって評価することができる。したがって、従来法によって求められた擬似模型試験およびシンチレーションウェルカウンタを使用した従来の定量法を除くことができる。
【0064】
一つの局面では、本発明の流体試料採取器、たとえば血液試料採取器のコアは、図面に示すようなマイクロ流体チップである。本発明のさらなる態様は、他のマイクロ流体技術を使用することができ、それらは、特に上記のようなデッドスペース排除および試料採取計測の時間遅延を含む場合、同様な作動システム(チップ内の流路間で弁を開閉するため)を備えた同様な小さなスケールのマイクロ流体流路を製造する当業者には周知であり、本発明の一部とみなされる。並行的な生物学的試験(たとえば、試験対象の定量的マイクロPET撮像)に干渉することなく血液試料採取器を位置決めし、支持することができる支持フレームワークもまた、本発明の一部である。
【0065】
上記のマイクロPET撮像に関連して先に述べたように、真の血中時間放射能曲線(すなわち入力関数)が齧歯類試験から得られることができ、定量的マイクロPET撮像(たとえば、生理学的に意味ある指数を提供する真の機能的撮像技術)を実施可能にすることができる。マイクロ流体チップの直接マイクロPET撮像によって血液試料の放射能を推定することができるため、従来法によって求められた擬似模型試験およびシンチレーションウェルカウンタを使用する較正法を除くことができる。図12は、本発明の態様のマイクロ流体チップを用いた動的PET撮像によるマイクロPET試験を示す。同時マウスおよびチップ撮像がPETスキャナとウェルカウンタとの間の較正比較を回避させる。
【0066】
図13は、マイクロPET撮像によって得られた本発明の態様のマイクロ流体チップの画像を示す。青ドットは、マウスに注入された用量と同程度の濃度を有する18FDG溶液から捕集された18FDG試料を示す。血液試料採取器の少量の血液量および高速タイミング精度の特徴は、特に未熟児および乳児の血液試験のためのヒト疾病の研究への応用を提供することができる。
【0067】
本発明はまた、本発明の装置を使用する方法を提供する。上記で説明したように、生物学的供給源からの試料を含み、いかなる試料をも本発明の装置によって分析することができる。初期試料は、固体、液体または気体であることができ、試料は、下処理および/または操作する、たとえば流体試料に転換する、溶解させる、希釈する等をしたのち、分析のために本発明の装置に入れることができる。試料は、個体または植物から直接採取されたものをを含み、いかなる生物学的試料であることもできる。試料は、微生物からの試料であることもできる。試料は、個体から、たとえば法医学的試料、保存試料または組織学的に調製した試料から事前に単離または誘導することもできる。
【0068】
本発明はまた、図15に示すような自動注入マイクロ流路をさらに含む装置を提供する。左下(黄色)の円が、図示される例示的な自動注入部品を強調する。これは、PET撮像によって求められる放射性撮像プローブを含む試料の注入を自動化する。(現在、PET分野のすべての注入法は、手作業の注入を使用する(>95%)または機械的かん流ポンプを使用する(<5%)のいずれかである。)
【0069】
この態様では、自動注入流路は、同じチップ中に具現化され、同じ制御システムによって制御され、したがって、自動注入流路とシステムコンピュータとの動作的連結によって装置への試料の注入(血液試料の注入)を同期化することができる。
【0070】
図16は、本発明の例示的なマイクロ流体血液試料採取システムの概観を示す。図16(A)は、この例示的なマイクロ流体チップ設計およびチップとその動作環境との接続の青写真を示す図画である。チップ中には二つの主要な層がある。チップ中の線(黒線)(蹄鉄形のウェルに接続されている)は流動層中の流路である。制御層(青)中のスイッチが血流を制御し、流路内でフラッシュする。1個のオン/オフスイッチ(−符号のある円)、2個の3路スイッチ(T形)および1個の18路スイッチ(矢印のある円)がある。この例示的な装置では、18個の血液試料流路(赤いウェルのある黒線)があるが、わかりやすくするため、11個しか示していない。図16(B)に示す画像は、具現化された設計の本発明の例示的なPDMSチップを示す。画像を撮影するとき制御流路を青の染料で満たして制御流路を強調した。黒い金属ピンが制御流路を空気弁マニホルドに接続している。これらの接続は図16(A)に示されている(黄色の線)。図16(C)に示す画像は、この例示的なPDMSチップ(図16(B))の小さな一部分を示す。制御流路の端部にある10個の弁は、オン/オフスイッチおよび3路スイッチの機能を実行する実際の部品である。図16(D)に示す画像は、制御流路の弁が流体流路を開閉する機構を説明する。
【0071】
コンピュータシステムおよびコンピュータプログラム製品
本発明の装置は、コンピュータおよび機械実行可能な命令を含む機械読み取り可能な媒体を含むコンピュータプログラム製品、コンピュータシステムならびに本発明の方法を実施し、本発明の装置を使用するためのコンピュータ具現化法を含む。たとえば、本発明は、装置内を流れる液体試料または気体試料の量を制御するための、および/または装置中の液体試料または気体試料の動きを制御するためのソフトウェアを含むコンピュータに動作可能に連結したマイクロ流体試料装置を提供する。コンピュータおよび機械実行可能な命令を含む機械読み取り可能な媒体を含むコンピュータプログラム製品はまた、下記を制御することができる:個体から採取される試料(たとえばマウスから採取される血液試料)の頻度および量;本発明に装置に投入される試料の頻度および量;たとえば流路および構成部品中の流量を制御することによる装置中の試料(液体または気体)の動き;「フラッシュ」または清浄液の移動のタイミング、量および方向;装置からの試料の出力のタイミング;リアルタイムであることもできるし、自動化されていることもできる、これらすべての動作モードへの制御アクセスをオペレータに提供すること;データ記憶を提供すること;出力および/または視覚化をオペレータに提供すること;機械実行可能な命令を含む機械読み取り可能な媒体を提供してデータを解析し、かつ解析したデータをユーザに提供すること。
【0072】
したがって、本発明は、本発明の方法を実施するための、そこに記録または記憶された機械実行可能な命令を有するコンピュータ、コンピュータシステム、コンピュータ読み取り可能な媒体、コンピュータプログラム製品等を提供する。「記録」および「記憶」は、コンピュータ媒体に情報を格納するプロセスをいうことができる。当業者は、コンピュータに情報を記録するための公知の方法を容易に適用して本発明の方法を実施し、本発明の装置を使用することができる。本発明の方法は、任意のプログラム言語またはコンピュータ/プロセッサを任意の公知ソフトウェアまたは方法論とともに使用して実施することができる。
【0073】
本発明のもう一つの局面は、本発明の方法を実施し、本発明の装置を使用するための、そこに記録された機械実行可能な命令を有するコンピュータ読み取り可能な媒体である。コンピュータ読み取り可能な媒体は、磁気的に読み取り可能な媒体、光学的に読み取り可能な媒体、電子的に読み取り可能な媒体および磁気/光学媒体を含む。たとえば、コンピュータ読み取り可能な媒体は、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープ、CD-ROM、デジタル多用途ディスク (DVD)、ランダムアクセスメモリ (RAM)または読み出し専用メモリ (ROM)および当業者に公知の他のタイプの媒体であることができる。
【0074】
本発明の方法を実施し、本発明の装置を使用するために使用されるコンピュータ/プロセッサは、従来の要素、たとえばマイクロプロセッサおよびデータ転送バスを含む従来の汎用デジタルコンピュータ、たとえばパーソナル「ワークステーション」コンピュータであることができる。コンピュータ/プロセッサはさらに、任意の形態のメモリ要素、たとえばダイナミックRAM、フラッシュメモリ等または大容量記憶装置、たとえば磁気ディスクオプション記憶装置をさらに含むことができる。たとえば、従来のパーソナルコンピュータ、たとえばIntelマイクロプロセッサに基づき、Windowsオペレーティングシステムで稼働するものを使用することができる。任意のハードウェアまたはソフトウェア構成を使用して本発明の方法を実施することができる。たとえば、他の周知のマイクロプロセッサに基づき、UNIX、Linux、MacOSおよびその他のようなオペレーティングシステムソフトウェアで稼働するコンピュータが考慮される。本明細書で使用する「コンピュータ」、「コンピュータプログラム」および「プロセッサ」は、そのもっとも広義な一般的意味で使用され、すべてのそのような装置を含む。
【0075】
記載した態様の変形および拡張が当業者には明らかである。本明細書を熟読する当業者には本発明の他の用途、特徴および利点が明らかになるであろう。
【0076】
本発明の一つまたは複数の態様の詳細が添付図面および本明細書の詳細な説明に記載されている。明細書および図面ならびに請求の範囲から本発明の他の特徴、目的および利点が明らかになるであろう。
【0077】
本明細書で引用されるすべての刊行物、特許、特許出願、GenBank配列およびATCC寄託番号は、すべての目的のために参照により本明細書に明確に組み入れられる。本発明の態様が数多く記載されている。それにもかかわらず、本発明の本質および範囲を逸することなく様々な改変を加えることができることが理解されよう。したがって、他の態様もまた請求の範囲に入る。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】詳細に説明した、手作業血液試料採取を使用して導出したマウス心臓内のPET放射性トレーサを示す。
【図2】詳細に説明した、定量的マイクロPET試験におけるマウス入力関数として使用することができる血中時間放射能曲線の最初の7秒間の典型的な例を図示する。
【図3】図3Aは、詳細に説明した、生物学的供給源を含む任意の供給源から流体試料または気体試料を含む試料を採取するように適合することができる、マウス用の統合マイクロ流体血液試料採取器の態様として例示的な装置を示す。図3Bは、詳細に説明した、本発明の例示的なポリ(ジメチル-シロキサン)(PDMS)マイクロ流体チップのリアルタイムスナップショットを示す。
【図4】詳細に説明した、図3bに図示するような例示的な装置の10セル態様の略図である。
【図5】詳細に説明した、本発明の例示的なマイクロ流体試料採取装置の略図である。
【図6】詳細に説明した、図5に図示する態様の対応する略図である。
【図7】詳細に説明した、本発明の例示的なマイクロ流体試料採取装置の略図である。
【図8】詳細に説明した、マウス定量的マイクロPET試験における本発明のマイクロ流体血液試料採取器を示す。
【図9】本発明の例示的なマイクロ流体試料採取装置を示す、図5の略図の拡大図を示す。
【図10】図10Aは、詳細に説明した、静脈FDG注射を用いる血液試料採取器設計を使用してマウス試験から得られた血液曲線を図示する。図10Bは、詳細に説明した、本発明の例示的なマイクロ流体試料採取装置を使用してマウス試験から得られた血液曲線を図示する。
【図11】図11Aは、(公知の)ポンプ駆動システムを使用する画像導出血液曲線を図示する。図11Bは、(公知の)ポンプ駆動連続血液採取システムが抱える時間(Δt)遅延問題を図示する。図11Cは、詳細に説明した、本発明の例示的なマイクロ流体チップ設計を使用した結果を示す。
【図12】詳細に説明した、本発明の例示的なマイクロ流体チップを使用する動的PET撮像の使用を含む本発明の多重化システムを使用するマイクロPET試験を示す。
【図13】詳細に説明した、マイクロPET撮像によって得られた本発明の例示的なマイクロ流体チップの画像を示す。
【図14】本発明の例示的なマイクロ流体試料採取装置を示す、図15の略図の拡大図を示す。
【図15】詳細に説明した、自動注入装置を含む本発明の例示的なマイクロ流体血液試料採取システムを示す。
【図16】本発明の例示的なマイクロ流体血液試料採取システムを示す。図16Aは、この例示的なマイクロ流体チップ設計およびチップとその動作環境との接続の青写真を示す図画である。図16Bは、具現化された設計を有する本発明の例示的なPDMSチップを示す。図16Cは、この例示的なPDMSチップ(図16(B))の小さな部分を示す。図16Dは、詳細に説明した、制御流路中の弁が流体流路を開閉する機構を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 流体試料または気体試料のための少なくとも一つの入口、
(b) 流体試料または気体試料を移動させるための流体流をもたらす流路によって入口に動作可能に連結している、容量測定された流体試料を試料ウェルに向けて送ることができる複数のスイッチ、
(c) 流体試料または気体試料を移動させるための流体流をもたらす流路によって複数のスイッチに動作可能に連結している複数の試料ウェル、
(d) 流体試料または気体試料を移動させるための流体流をもたらす流路によってスイッチの少なくとも一つに動作可能に連結している、試料流体をシステムからパージすることができる計量ループ、および
(e) 流体試料または気体試料を移動させるための流体流をもたらす流路によって試料ウェルに動作可能に連結している複数の排出(出力)口を含む、
マイクロ流体試料装置。
【請求項2】
樹脂材料を含む、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項3】
スイッチが、容量測定された流体試料を試料ウェルに導く、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項4】
試料ウェル中の試料を撮像することができるように、撮像装置に動作可能に連結している、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項5】
撮像装置が陽電子放射断層撮影(PET)撮像装置を含む、請求項4記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項6】
装置内を流れる液体試料または気体試料の量を制御するための、および/または装置中の液体試料または気体試料の動きを制御するためのソフトウェアを含むコンピュータに動作可能に連結している、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項7】
図3〜9および図12〜14に示す構成またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項8】
試料が生物学的流体または気体を含む、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項9】
試料が、ヒト、動物または植物から採取された生物学的流体(液体)もしくは気体または流体(液体)試料もしくは気体試料へと変性された生物学的試料を含む、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項10】
生物学的流体または流体(液体)試料もしくは気体試料へと変性された生物学的試料が、血漿、血清、血液、涙、脳脊髄液(CSF)、尿、唾液、精液、糞便、粘液、痰または単離、培養、粉砕もしくは溶解させた細胞もしくは組織を含む溶液を含む、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項11】
少なくとも一つの入口、スイッチ、試料ウェルおよび排出口が、ナノリットル量範囲またはマイクログラム(μg)からナノグラム(ng)までの量範囲の試料を取り扱い、移動させるように、構成され、サイズ決めされている、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項12】
一つまたは複数の正確なマイクロリットル量またはナノリットル量の試料を動物または植物から自動的に採取し、該試料を装置の少なくとも一つの入口に送達するための装置に動作可能に連結している、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項13】
試料がPETプローブを含む、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項14】
PETプローブが、2-デオキシ-2-[18F]フルオロ-D-グルコース([18F]FDG)(「FDG」)または同等物をマイクログラム(μg)からナノグラム(ng)までのレベルで含む、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項15】
少なくとも一つの入口、スイッチ、試料ウェルおよび排出口が、1試料あたり約5、10、20、30、40、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950もしくは1000ナノリットルまたはそれ以上の量を取り扱い、移動させるように、構成され、サイズ決めされている、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項16】
少なくとも一つの入口、スイッチ、試料ウェルおよび排出口が、概ね1秒あたり2試料の速度での量において試料を取り扱い、移動させるように、構成され、サイズ決めされている、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項17】
気体試料または流体試料を少なくとも一つの入口、スイッチ、試料ウェルおよび/または排気口を通って移動させるための装置に動作可能に連結したポンプおよび/または圧力輸液タンクをさらに含む、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項18】
スイッチの少なくとも一つがバイナリ(開または閉)スイッチである、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項19】
樹脂マイクロ流体試料装置がポリ(ジメチル-シロキサン)(PDMS)マイクロ流体試料装置である、請求項2記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項20】
樹脂マイクロ流体試料装置がガラス、ケイ素または同等の基材に接合されている、請求項2記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項21】
正確に計量された量の多数の試料を、個々のウェルの中に捕集し、分析に備えて回収することができる、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項22】
少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39もしくは40またはそれ以上の試料を同時に取り扱うように構成されている、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項23】
少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39もしくは40またはそれ以上の試料を同時にアッセイするように構成されている、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項24】
コンピュータおよびソフトウェアに動作可能に連結した、および/またはコンピュータおよびソフトウェア内に統合された使いやすいインタフェースによって遠隔制御される、請求項6記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項25】
使いやすいインタフェースおよび/またはコンピュータおよびソフトウェアを介して、特定の時間間隔で試料を採取および/または処理するようにプログラムされている、請求項24記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項26】
少なくとも一つの入口が、多数の流路接続を有する蹄鉄形のウェルを含むか、または装置が、多数の流路接続を有する蹄鉄形のウェルをさらに含み、かつ該多数の流路接続が入口および/または試料ウェルに動作可能に連結しており、かつ蹄鉄形のウェルが装置中の液体試料または気体試料の拡散時間の遅延を最小限にする、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項27】
装置中の液体試料または気体試料の流量を正確に計量するための少なくとも一つのループ化流路をさらに含み、少なくとも一つのループ化流路が、入口と試料ウェルとの間におよび/または試料ウェルと排出口との間に位置している、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項28】
少なくとも一つのループ化流路が、ループの清浄またはパージを可能にするために、パージ/フラッシュ/清浄溶液の供給源に動作可能に連結している、請求項27記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項29】
隣接する試料ウェルの群に動作可能に連結した分配ノードをさらに含み、試料ウェルが分配ノードから試料を選択的に受けることを可能にする、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項30】
少なくとも一つの自動注入流路をさらに含む、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項31】
少なくとも一つの自動注入流路が、使用可能ソフトウェアを含むコンピュータに動作可能に連結している、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項32】
請求項1〜31のいずれか一項記載のマイクロ流体試料装置(チップ)および試料流体を動物から取り出すための装置を含み、
すべての構成部品が、使用可能ソフトウェアを含むコンピュータに動作可能に連結している、
マイクロ流体試料分析のための多重化システム。
【請求項33】
試料流体を動物から取り出すための装置が、血液試料採取器およびカテーテルであり、カテーテルが、ユーザの介入なしに血液試料を自動的に採取することができるように、血液試料採取器に接続されている、請求項32記載の多重化システム。
【請求項34】
血液試料の量およびタイミングが、使用可能ソフトウェアを含むコンピュータにインタフェースされた血液試料採取器によって制御される、請求項33記載の多重化システム。
【請求項35】
マイクロPET撮像システムに動作可能に連結している、請求項32記載の多重化システム。
【請求項36】
動物からマイクロ流体チップへの血液捕集のタイミングを制御するコンピュータインタフェースおよびプログラムに動作可能に連結しており、プログラムにより、ユーザが血液試料採取時間間隔および血液試料の数を指定することができる、請求項33記載の多重化システム。
【請求項37】
少なくとも一つの自動注入装置をさらに含み、
自動注入装置が、試料装置(チップ)から切り離されているか、または試料装置に統合されており、かつ自動注入装置が試料を入口に投入する、
請求項33記載の多重化システム。
【請求項38】
少なくとも一つの自動注入流路が、使用可能ソフトウェアを含むコンピュータに動作可能に連結している、請求項37記載の多重化システム。
【請求項1】
(a) 流体試料または気体試料のための少なくとも一つの入口、
(b) 流体試料または気体試料を移動させるための流体流をもたらす流路によって入口に動作可能に連結している、容量測定された流体試料を試料ウェルに向けて送ることができる複数のスイッチ、
(c) 流体試料または気体試料を移動させるための流体流をもたらす流路によって複数のスイッチに動作可能に連結している複数の試料ウェル、
(d) 流体試料または気体試料を移動させるための流体流をもたらす流路によってスイッチの少なくとも一つに動作可能に連結している、試料流体をシステムからパージすることができる計量ループ、および
(e) 流体試料または気体試料を移動させるための流体流をもたらす流路によって試料ウェルに動作可能に連結している複数の排出(出力)口を含む、
マイクロ流体試料装置。
【請求項2】
樹脂材料を含む、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項3】
スイッチが、容量測定された流体試料を試料ウェルに導く、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項4】
試料ウェル中の試料を撮像することができるように、撮像装置に動作可能に連結している、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項5】
撮像装置が陽電子放射断層撮影(PET)撮像装置を含む、請求項4記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項6】
装置内を流れる液体試料または気体試料の量を制御するための、および/または装置中の液体試料または気体試料の動きを制御するためのソフトウェアを含むコンピュータに動作可能に連結している、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項7】
図3〜9および図12〜14に示す構成またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項8】
試料が生物学的流体または気体を含む、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項9】
試料が、ヒト、動物または植物から採取された生物学的流体(液体)もしくは気体または流体(液体)試料もしくは気体試料へと変性された生物学的試料を含む、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項10】
生物学的流体または流体(液体)試料もしくは気体試料へと変性された生物学的試料が、血漿、血清、血液、涙、脳脊髄液(CSF)、尿、唾液、精液、糞便、粘液、痰または単離、培養、粉砕もしくは溶解させた細胞もしくは組織を含む溶液を含む、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項11】
少なくとも一つの入口、スイッチ、試料ウェルおよび排出口が、ナノリットル量範囲またはマイクログラム(μg)からナノグラム(ng)までの量範囲の試料を取り扱い、移動させるように、構成され、サイズ決めされている、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項12】
一つまたは複数の正確なマイクロリットル量またはナノリットル量の試料を動物または植物から自動的に採取し、該試料を装置の少なくとも一つの入口に送達するための装置に動作可能に連結している、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項13】
試料がPETプローブを含む、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項14】
PETプローブが、2-デオキシ-2-[18F]フルオロ-D-グルコース([18F]FDG)(「FDG」)または同等物をマイクログラム(μg)からナノグラム(ng)までのレベルで含む、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項15】
少なくとも一つの入口、スイッチ、試料ウェルおよび排出口が、1試料あたり約5、10、20、30、40、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950もしくは1000ナノリットルまたはそれ以上の量を取り扱い、移動させるように、構成され、サイズ決めされている、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項16】
少なくとも一つの入口、スイッチ、試料ウェルおよび排出口が、概ね1秒あたり2試料の速度での量において試料を取り扱い、移動させるように、構成され、サイズ決めされている、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項17】
気体試料または流体試料を少なくとも一つの入口、スイッチ、試料ウェルおよび/または排気口を通って移動させるための装置に動作可能に連結したポンプおよび/または圧力輸液タンクをさらに含む、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項18】
スイッチの少なくとも一つがバイナリ(開または閉)スイッチである、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項19】
樹脂マイクロ流体試料装置がポリ(ジメチル-シロキサン)(PDMS)マイクロ流体試料装置である、請求項2記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項20】
樹脂マイクロ流体試料装置がガラス、ケイ素または同等の基材に接合されている、請求項2記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項21】
正確に計量された量の多数の試料を、個々のウェルの中に捕集し、分析に備えて回収することができる、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項22】
少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39もしくは40またはそれ以上の試料を同時に取り扱うように構成されている、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項23】
少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39もしくは40またはそれ以上の試料を同時にアッセイするように構成されている、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項24】
コンピュータおよびソフトウェアに動作可能に連結した、および/またはコンピュータおよびソフトウェア内に統合された使いやすいインタフェースによって遠隔制御される、請求項6記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項25】
使いやすいインタフェースおよび/またはコンピュータおよびソフトウェアを介して、特定の時間間隔で試料を採取および/または処理するようにプログラムされている、請求項24記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項26】
少なくとも一つの入口が、多数の流路接続を有する蹄鉄形のウェルを含むか、または装置が、多数の流路接続を有する蹄鉄形のウェルをさらに含み、かつ該多数の流路接続が入口および/または試料ウェルに動作可能に連結しており、かつ蹄鉄形のウェルが装置中の液体試料または気体試料の拡散時間の遅延を最小限にする、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項27】
装置中の液体試料または気体試料の流量を正確に計量するための少なくとも一つのループ化流路をさらに含み、少なくとも一つのループ化流路が、入口と試料ウェルとの間におよび/または試料ウェルと排出口との間に位置している、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項28】
少なくとも一つのループ化流路が、ループの清浄またはパージを可能にするために、パージ/フラッシュ/清浄溶液の供給源に動作可能に連結している、請求項27記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項29】
隣接する試料ウェルの群に動作可能に連結した分配ノードをさらに含み、試料ウェルが分配ノードから試料を選択的に受けることを可能にする、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項30】
少なくとも一つの自動注入流路をさらに含む、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項31】
少なくとも一つの自動注入流路が、使用可能ソフトウェアを含むコンピュータに動作可能に連結している、請求項1記載のマイクロ流体試料装置。
【請求項32】
請求項1〜31のいずれか一項記載のマイクロ流体試料装置(チップ)および試料流体を動物から取り出すための装置を含み、
すべての構成部品が、使用可能ソフトウェアを含むコンピュータに動作可能に連結している、
マイクロ流体試料分析のための多重化システム。
【請求項33】
試料流体を動物から取り出すための装置が、血液試料採取器およびカテーテルであり、カテーテルが、ユーザの介入なしに血液試料を自動的に採取することができるように、血液試料採取器に接続されている、請求項32記載の多重化システム。
【請求項34】
血液試料の量およびタイミングが、使用可能ソフトウェアを含むコンピュータにインタフェースされた血液試料採取器によって制御される、請求項33記載の多重化システム。
【請求項35】
マイクロPET撮像システムに動作可能に連結している、請求項32記載の多重化システム。
【請求項36】
動物からマイクロ流体チップへの血液捕集のタイミングを制御するコンピュータインタフェースおよびプログラムに動作可能に連結しており、プログラムにより、ユーザが血液試料採取時間間隔および血液試料の数を指定することができる、請求項33記載の多重化システム。
【請求項37】
少なくとも一つの自動注入装置をさらに含み、
自動注入装置が、試料装置(チップ)から切り離されているか、または試料装置に統合されており、かつ自動注入装置が試料を入口に投入する、
請求項33記載の多重化システム。
【請求項38】
少なくとも一つの自動注入流路が、使用可能ソフトウェアを含むコンピュータに動作可能に連結している、請求項37記載の多重化システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2009−515146(P2009−515146A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535757(P2008−535757)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/040276
【国際公開番号】WO2007/044938
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.WINDOWS
3.UNIX
4.Linux
5.フロッピー
【出願人】(508111165)ザ・レジェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・カリフォルニア (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/040276
【国際公開番号】WO2007/044938
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.WINDOWS
3.UNIX
4.Linux
5.フロッピー
【出願人】(508111165)ザ・レジェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・カリフォルニア (1)
【Fターム(参考)】
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