マイクロRNAアンチセンスPNA、これを含む組成物、及びその使用及び評価方法
本発明は、マイクロRNA(microRNA)の活性や機能を抑制できるペプチド核酸(PNA)、これを含む、マイクロRNAの活性や機能を抑制するための組成物、これを利用してマイクロRNAの活性や機能を抑制する方法、及びその効果を評価する方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロRNAアンチセンスPNA(microRNA antisense PNA)、これを含む組成物、及びその使用及び評価方法に関し、より詳細には、siRNA(small interfering RNA)と知られたマイクロRNAの活性や機能を抑制することができるマイクロRNAに対するアンチセンスPNA、これを含む、マイクロRNAの活性や機能を抑制するための組成物、これを利用してマイクロRNAの活性や機能を抑制する方法、及びその効果を評価する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1993年Caenorhabditis elegansで発生時期を調節する一部遺伝子が明かされたが、これらの中、let−7とlin−4は、蛋白質を生産しない小さいRNA片(non-coding RNA)であることが明かされた。これらRNAは、特定発生段階で発現されて発生を調節するといって、stRNA(small temporal RNA)と呼ばれた。マイクロRNAは、21−25ヌクレオチドの単一鎖(single-stranded)RNA分子であって、真核生物の遺伝子発現を制御し、特定遺伝子のmRNA 3’ UTR(untranslated region)に結合して、遺伝子の翻訳過程を抑制すると知られている。実質的に動物で研究されたあらゆるマイクロRNAは、特定遺伝子のmRNA濃度に影響を与えることなく、蛋白質発現量を減少させる。また、マイクロRNAは、RISC(RNA-induced silencing complex)に連結されて特定mRNAに相補的に結合するが、マイクロRNA中央部分は、ミスマッチ(mismatch)に残っており、既存のsiRNAとは異なって、mRNAを分解しない。動物マイクロRNAとは異なって、植物マイクロRNAは、標的mRNAと完全に一致(perfect match)し、mRNA分解を誘導することにより、RNA干渉現象を誘導する。種々の植物マイクロRNAは、動物マイクロRNAのように翻訳調節に関与したりもする。また他の研究は、動植物を含んだ酵母において、マイクロRNAが染色質(chromatin)のメチル化を誘導することにより、転写抑制に関与するという証拠を提示している。このようなマイクロRNAの一部は、種間の保存度が非常に高く、これらが重要な生命現象に関与するという推測を可能にする。
【0003】
マイクロRNAは、二つの段階の過程で生成されるが、最初のマイクロRNA転写体(primary miRNA/pri-miRNA)が、核内でDroshaというRNaseIIIタイプ酵素により70−90ヌクレオチド程度のステム−ループ(stem-loop)構造のpre−miRNAになり、その後pre−miRNAは細胞質に移動し、Dicerという酵素により切断され、21−25ヌクレオチドの成熟マイクロRNA(mature microRNA)になる。最近、多くの研究陣により、マイクロRNAが癌細胞と幹細胞(stem cell)において重要な役割をするだけではなく、細胞増殖、細胞分化、細胞死滅及び脂肪代謝調節などで重要な作用をすることが明かされた。しかしながら、未だマイクロRNAのより多い機能が明かされておらず、これに対する研究が活発に進行されている。
【0004】
現在マイクロRNAに対する研究は、レポーター(reporter)遺伝子の分析、マイクロアレイ(Microarray)、ノーザンブロット(Northern blot)、実時間PCR(real-time polymerase chain reaction)などを利用して発現様相を調べるか、アンチセンスDNAやRNAを利用してなされてきた(文献[Boutla A, Delidakis C, and Tabler M. (2003) Developmental defects by antisense-mediated inactivation of micro-RNAs 2 and 13 in Drosophila and the identification of putative target genes. Nucleic Acids Res. 31(17):4973-4980])。最近は、メチル基によりRNAよりさらにRNAに対する結合力が高く、核酸分解酵素に安定的な2’−O−メチル(2’−O−Me)RNAや、2’−O−Meよりさらに高い結合力を有した2’−O−メトキシオリゴヌクレオチドを合成し、マイクロRNAに対するアンチセンスとして使用したりもした(文献[Weiler J, Hunziker J and Hall J. (2006) Anti-miRNA oligonucleotides (AMOs): ammunition to target miRNAs implicated in human disease? Gene Therapy 13:496-502])。また、核酸分解酵素により分解されやすいDNAの欠点を補完するために、LNA(Locked Nucleic Acid)をDNAと混合したオリゴヌクレオチドを使用したりもするが、これらは、DNAより敏感性と選択性に優れていると知られている(文献[Cha J A, Krichevsky A M and Kosik K S. (2005) microRNA-21 is an antiapoptotic factor in human glioblastoma cells. Cancer Res. 65:6029-6033])。さらに、コレステロールが結合されたRNA 類似物質(antagomir)を合成し、マイクロRNAの機能を調べる研究が行われた(文献[Krutzfeldt J, Rajewsky N, Braich R, Rajeev K G, Tuschl T, Manoharan M and Stoffel M. (2005) Silencing of microRNAs in vivo with 'antagomirs'. Nature 438:685-689])。これらは、マイクロRNAに対するアンチセンスとして、マイクロRNAの機能を遮断し、その機能を行うが、これらは、マイクロRNAの機能研究において非常に重要である。
【0005】
上記のように、DNAとRNAの欠点を克服するために、LNAや2−O−メチルオリゴヌクレオチドなどのように化学的に変形されたオリゴヌクレオチドが使用されたが、これらは、細胞内で依然としてエンドヌクレアーゼ(endo-nucelase)やエキソヌクレアーゼ(exo-nuclease)により分解されるか、変形により特異性が低下されるか、細胞内毒性を引き起こすなどの問題がある(文献[Crinelli R, Bianchi M, Gentilini L, and Magnani M. (2002) Design and characterization of decoy oligonucleotides containing locked nucleic acids. Nucleic Acids Res. 30(11):2435-2443]及び文献[Hutvagne G, Simard MJ, Mello C C, Zamore P D. Hutvagner G, Simard M J, Mello C C, and Zamore P D. (2004) Sequence-specific inhibition of small RNA function. PLoS Biol. 2(4):E98])。したがって、マイクロRNAの機能を遮断するより、効率的なアンチセンスオリゴヌクレオチドの開発が必要である。
【0006】
一方、PNA(Peptide Nucleic Acids)は、DNAと類似した構造の高分子化学物質であって、DNA及びRNAと結合可能な蛋白質形態の核酸である(Nielsen P E, Buchardt O, Egholm M, Berg R H, US Patent 5,539,082, Peptide nucleic acids)。PNAの基本バックボーン(backbone)は、ポリペプチド構造を形成している(図1)。DNAがリン酸基により陰性電気を帯びている反面、PNAは、ペプチド結合により電気的に中性である。既存知られた核酸分解酵素は、PNAの構造を認識できないため、PNAは生体内で核酸分解酵素により分解されず、高い安定性を有する。その他にも、PNAは、様々な長所を有するが、DNA及びRNAと高い結合力を有し、必要に応じて蛍光物質を付着するか、イオンを結合させて溶解度を増加させることが容易であり、ただ一つの塩基配列差があっても、全体遺伝体から検出できるくらいの特異性を有して、ペプチドを結合することにより新しい機能を導入することができるという長所を有している。このような長所を基に、PNAは、遺伝病を起こす突然変異の追跡や病原性細菌及びウイルス感染の初期診断手段として、癌細胞抑制研究、病原微生物学、ウイルス学などで幅広く応用できる。さらに、過去何年間PNAを利用したアンチセンス開発に関する研究が活発に進行されてきた。しかしながら、マイクロRNAに対するアンチセンスとしてPNAを利用しようとした試みは知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、上記のような従来技術の問題点を解決するために、上記の長所を有するPNAを利用して、マイクロRNAと特異的に結合し、これらの活性や機能を抑制できるアンチセンスを製作するために持続的な研究を行った。その結果、既存のアンチセンスDNA及びRNAより優れた効果を有して、細胞内で長い期間その効果を持続させることができるアンチセンスPNAを発明した。
【0008】
したがって、本発明の目的は、マイクロRNAと相補的に結合することにより、マイクロRNAの活性や機能を抑制するマイクロRNAアンチセンスPNAを提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、有効成分として前記マイクロRNAアンチセンスPNAを含む、マイクロRNAの活性や機能を抑制するための組成物を提供することである。
【0010】
本発明のまた他の目的は、前記マイクロRNAアンチセンスPNAを利用して、マイクロRNAの活性や機能を抑制する方法を提供することである
【0011】
本発明のまた他の目的は、マイクロRNAアンチセンスPNAの効果を評価する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第一は、10〜25塩基からなり、マイクロRNAと相補的に結合することによりマイクロRNAの活性や機能を抑制する、マイクロRNAアンチセンスPNAに関する。
【0013】
本発明の第二は、有効成分として前記マイクロRNAアンチセンスPNAを含む、マイクロRNAの活性や機能を抑制するための組成物に関する。
【0014】
本発明の第三は、前記マイクロRNAアンチセンスPNAを細胞内に導入する段階を含む、マイクロRNAの活性や機能を抑制する方法に関する。
【0015】
本発明の第四は、アンチセンスPNAの存在及び不在下で、それぞれマイクロRNAの発現量を測定して比較する段階を含む、マイクロRNAアンチセンスPNAの効果を評価する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】DNA及びPNAの基本構造の差異を示した図である。
【図2】標的マイクロRNAに対する結合配列をクローニングするためのベクターの構造を概略的に示した図である。
【図3】Kペプチドが結合されたアンチセンスPNA(上部)と、変形されたTatペプチド(Rペプチド)が結合されたアンチセンスPNA(下部)の効果を比較したグラフである。
【図4】変形されたTatペプチド(Rペプチド)がアンチセンスPNAの細胞内導入に及ぼす影響を示すグラフである。
【図5】標的miR16に対する既存アンチセンスとアンチセンスPNAの効果を比較したグラフである。
【図6】標的miR16に対するアンチセンスPNAの濃度別効果を比較したグラフである。
【図7】標的miR16に対するアンチセンスPNAの時間別効果を比較したグラフである。
【図8】標的miR221に対する既存のアンチセンスとPNAアンチセンスの効果を比較したグラフである。
【図9】標的miR222に対する既存のアンチセンスとPNAアンチセンスの効果を比較したグラフである。
【図10】標的miR31に対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図11】標的miR24に対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図12】標的miR21に対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図13】標的miR181aに対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図14】標的miR23aに対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図15】標的miR19bに対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図16】標的miR20aに対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図17】標的let7gに対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図18】標的miR34aに対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図19】標的miR30aに対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図20】標的miR146aに対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図21】標的miR130aに対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図22】標的miR155に対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図23】標的miR373に対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図24】標的miR122aに対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図25】標的miR145に対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図26】標的miR191に対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図27】標的miR193bに対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図28】標的miR802に対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明は、マイクロRNAと相補的に結合することにより、マイクロRNAの活性や機能を抑制するマイクロRNAアンチセンスPNAに関する。本発明のアンチセンスPNAは、10〜25merの塩基からなるもので、特に15塩基からなるが、10〜14mer程度の短い長さのPNAや16〜25mer程度のPNA、マイクロRNAのシード(seed)部分である5’部分と3’部分の一部を含むPNAも、マイクロRNAに対するアンチセンスとしての機能が十分行えると予想されるため、これらは全て本発明の範囲内に含まれる。本発明において、マイクロRNAは、特に制限されず、あらゆる種類のマイクロRNAを含み、例えば、miR16、miR221、miR222、miR31、miR24、miR21、miR181a、miR23a、miR19b、miR20a、let7g、miR34a、miR30a、miR146a、miR130a、miR155、miR373、miR122a、miR145、miR191、miR193b及びmiR802を含むが、これらに限定されるものではない。本発明によるアンチセンスPNAは、マイクロRNAと相補的に結合してその活性や機能を抑制する限り、その塩基配列に特に制限はなく、例えば、下記表1に示した配列番号1乃至82、好ましくは、配列番号1乃至4、7、11、19、21、23、26、29乃至32、34乃至36、44、47、48、51、52、54、55、59、63、65、66、68乃至80、及び82のいずれかの塩基配列を有することができるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
【表1−1】
【表1−2】
【0020】
本発明によるPNAは、それ自体が細胞内に導入され、マイクロRNAの活性や機能を抑制するに使用できる。しかしながら、PNAは電気的に中性であるため、細胞の脂質成分により、細胞内に導入される際に障害を受ける。これを克服するために、細胞内への伝達システムに対する研究がよく行われたが、例えば、細胞透過蛋白質(cell penetrating protein, CPP)(文献[Pooga M, Hallbrink M, Zorko M, and Langel U. (1998) Cell penetration by transportan. Faseb J. 12: 67-77])、インシュリン様成長因子I−受容体(Insulin-like growth factor I-receptor)(文献[Basu S, and Wickstrom E. (1997) Synthesis and characterization of a peptide nucleic acid conjugated to a D-peptide analog of insulin-like growth factor 1 for increased cellular uptake. Bioconjug. Chem. 8: 481-488])、アシアログリコプロテイン受容体(Asialoglycoprotein receptor)(文献[Zhang X, Simmons C G, and Corey D R. (2001) Liver cell specific targeting of peptide nucleic acid oligomers. Bioorg Med. Chem. Lett. 11: 1269-1271])を付着して細胞内導入を誘導するか、電気穿孔(electroporation)(文献[Wang G, Xu X, Pace B, Dean D A, Glazer P M, Chan P, Goodman S R, and Shokolenko I. (1999) Peptide nucleic acid (PNA) binding-mediated induction of human gamma-globin gene expression. Nucleic Acids Res. 27(13):2806-2813])またはリポソーム(文献[Faruqi A F, Egholm M, and Glazer P M. (1998) Peptide nucleic acid-targeted mutagenesis of a chromosomal gene in mouse cells. Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 95(4):1398-1403])を利用して、細胞内導入を誘導する方法が知られている。一般に、CPPは大きく3種類に分類できる。第一、後天性免疫欠乏症候群を起こすHIV−1の転写関連蛋白質であるTat蛋白質の49−57番の間に存在するTatペプチドである。第二、ホメオドメイン(homeodomain)由来のペプチドであるペネトラチン(penetratin)であって、これは、ショウジョウバエ(Drosophila)のホメオプロテイン(homeoprotein)であるアンテナペディア(antennapedia)のホメオドメインから発見された。第三、膜転移配列(membrane translocating sequence, MTS)または信号配列(signal sequences)に基礎したペプチドである。PNAを細胞内に効率的に導入するに使用できるペプチドとしては、下記表2に示したものが知られているが、本発明では、これらのペプチドのいずれか一つまたはこれら由来のものをPNAに連結して使用できる。
【0021】
【表2】
【0022】
その他にも、PNAに有用な他のペプチドや新しいペプチドもPNAに連結して使用できる。これらのペプチドは、PNAに直に連結されてもよいが、8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸(8-amino-3,6-dioxaoctanoic acid)リンカー(O−リンカー)、化学式1のE−リンカー、化学式2のX−リンカーなどのような適切なリンカーを介してPNAに連結できる。
【0023】
[化学式1]
[化学式2]
【0024】
前記ペプチドの他にも、ポリアルギニン、ペネトラチン、α−アミノアクリジンなどがPNAの細胞内導入を増進させると知られているが、本発明では、PNAに、これらのいずれも連結することができる。本発明の具体例において、PNAの細胞内導入を増進させるためのペプチドは、変形されたTatペプチド、特に配列番号83のアミノ酸配列(RRRQRRKKR)を有するもの(Rペプチド)と、配列番号84のアミノ酸配列(KFFKFFKFFK)を有するもの(Kペプチド)である。
【0025】
本発明では、前記マイクロRNAアンチセンスPNAを細胞内に導入することにより、マイクロRNAの活性や機能を抑制することができる。マイクロRNAアンチセンスPNAは、例えば、陽イオン性脂質、特にリポフェクタミン(Lipofectamine)2000(インビトロゲン(Invitrogen))を利用して細胞内に導入することができる。陽イオン性脂質を利用すること以外の方法(例えば:電気穿孔、リポソーム)を利用して、アンチセンスPNAを細胞内に導入する場合は、ペプチドと結合されたPNAの他に、ペプチドと結合されなかったPNAも、マイクロRNAに対するアンチセンスとしての機能を行うことができる。
【0026】
また、本発明は、有効成分として前記マイクロRNAアンチセンスPNAを含む、マイクロRNAの活性や機能を抑制するための組成物を提供する。本発明によるマイクロRNA活性または機能抑制用組成物は、例えば、マイクロRNA−媒介疾患の予防または治療剤としても使用できるが、マイクロRNAアンチセンスPNAの有効容量は、対象の年齢、性別、健康状態、疾患の種類及び重症度などによって適宜決定できるが、例えば、大人を基準に、1回当たり0.1〜200mg容量で投与できて、一日1回または2〜3回分割投与できる。このために、通常的な遺伝子療法(Gene therapy)、例えば、体外(ex vivo)療法や体内(in vivo)療法を使用することができる。
【0027】
本発明では、アンチセンスPNAの存在及び不在下で、それぞれマイクロRNAの発現量を測定して比較することにより、アンチセンスPNAの効果を評価することができる。この際、発現量を測定するためには、当業界に知られた通常の方法のいずれも使用できるが、例えば、レポーター(reporter)遺伝子、ノーザンブロット、マイクロアレイ、実時間PCR、インビボ/イン・シチュ混成化(in vivo/in situ hybridization)または標識化(labeling)を使用することができる。一例として、レポーター遺伝子を使用して遺伝子発現量を測定する場合は、
(a)アンチセンスPNAを、レポーター遺伝子(例えば、Renilla luciferase)を含むベクター(対照ベクター)と、レポーター遺伝子(例えば、firefly luciferase)及び標的マイクロRNAに対する結合配列(binding sequence)を含むベクター(実験ベクター)と混合した後、細胞内に導入し、
(b)段階(a)の対照ベクターと実験ベクターからレポーター遺伝子の発現量をそれぞれ測定して比較することにより、マイクロRNAアンチセンスPNAの効果を評価することができる。
【0028】
前記実験ベクターは、レポーター遺伝子(例えば、firefly luciferase)を含むベクターに、標的マイクロRNAに対する結合配列を導入して製造することができる。
【0029】
以下、本発明を具体的な実施例によりさらに詳細に説明するが、これは、本発明の理解を助けるためのもので、これらにより本発明の範囲が限定されるわけではない。
【0030】
実施例1:アンチセンスPNAの合成
PNAのマイクロRNAに対するアンチセンス効果を確認するために、特定マイクロRNA(miR16、miR221、miR222、miR31、miR24、miR21、miR181a、miR23a、miR19b、miR20a、let7g、miR34a、miR30a、miR146a、miR130a、miR155、miR373、miR122a、miR145、miR191、miR193b、miR802)に対して相補的な配列を有するアンチセンスPNAを合成した。マイクロRNAは、通常21乃至25個のヌクレオチドからなっているが、その中、塩基配列2から8までは、シード配列(seed sequence)と知られている。マイクロRNAに相補的に結合できるように、標的マイクロRNAの塩基配列1番から15番まで、2番から16番まで、3番から17番までなど、異なる配列の15個の塩基からなるPNAを合成した。これらのPNAに、Oリンカーを使用して、変形されたHIV−1 Tatペプチド(R−ペプチド,RRRQRRKKR)を結合させた。また、変形されたTatペプチドの効果を比較評価するために、動物細胞ではないE. coliでPNAの細胞内導入を増加させると知られているK−ペプチド(KFFKFFKFFK)を結合させたアンチセンスPNAを合成した。また、アンチセンス活性を有しない対照PNA(con−K,con−R及びcon−2R)を合成した。合成したアンチセンスPNA及び対照PNAを下記表3に示した。
【0031】
【表3−1】
【表3−2】
【表3−3】
【0032】
実施例2:アンチセンスPNAの機能及び結合ペプチドの種類がアンチセンス機能に及ぼす影響の評価
アンチセンスPNAの機能及びそれに結合されるペプチドの種類がアンチセンス機能に及ぼす影響を評価するために、HeLa細胞を24ウェルプレートにウェル当たり6×104個で塗抹した後、24時間培養した。陽イオン性脂質物質であるリポフェクタミン2000(インビトロゲン)を利用して、miR16に対する結合配列がクローニングされているpGL3−対照ベクター(firefly luciferase遺伝子含有、プロメガ(Promega)、図2参照)とRenilla luciferase遺伝子を含有するベクター、pGL3−対照ベクターを、miR16用アンチセンスPNAと共に形質転換させた。miR16用アンチセンスPNAの代わりに対照PNA(con−K及びcon−R)を同じ方法で形質転換させた。レポーター遺伝子の発現量を調べて、アンチセンスPNAの効果を確認した。
【0033】
その結果を図3に示した。図3に示したように、本発明で合成した15塩基長のmiR16用アンチセンスPNAの全てが、マイクロRNA 16の機能を抑制するアンチセンス効果を示した。また、変形されたTatペプチド(Rペプチド)が結合されているアンチセンスPNAが、Kペプチドが結合されているアンチセンスPNAに比べ、より高い効率を有することが確認された。
【0034】
実施例3:ペプチド結合がアンチセンス機能に及ぼす影響評価
変形されたTatペプチドが結合されたアンチセンスPNAと、ペプチドが結合されなかったアンチセンスPNAの効果を比較するために、まずHeLa細胞を24ウェルプレートにウェル当たり6×104個で塗抹した後、24時間培養した。リポフェクタミン2000(インビトロゲン)を利用して、miR16に対する結合配列がクローニングされているpGL3−対照ベクター(前記図2参照)とRenilla luciferase遺伝子を含有するベクターを、200nM miR16用アンチセンスPNAと共に形質転換させた。miR16用アンチセンスPNAの代わりに、対照PNA(con−R)も同じ方法で形質転換させた。形質導入後、48時間培養した後、二重ルシフェラーゼアッセイシステム(Dual luciferase assay system)(プロメガ)を利用して、firefly luciferaseとRenilla luciferaseの発現量を測定した。
【0035】
その結果を図4に示した。図4に示したように、変形されたTatペプチドが結合されたmiR16用アンチセンスPNA(modified PNA)は、マイクロRNA 16に対するアンチセンス効果を示して、Tatペプチドが結合されなかったmiR16用PNA(unmodifided PNA,300 nM)は、変形されたTatペプチドが結合されたmiR16用アンチセンスPNAよりは低いものの、アンチセンス効果を示した。
【0036】
実施例4:標的miR16に対するPNAの効果の評価
マイクロRNAに対するアンチセンスPNAの効果を確認するために、miR16マイクロRNAに対する結合配列を含む実験ベクターを使用した。このために、firefly luciferase遺伝子を含むpGL3−対照ベクター(プロメガ)を利用した。形質導入水準を比較するために、Renilla luciferase遺伝子を含む対照ベクター(プロメガ)を使用した。
【0037】
miR16に対する結合配列を、pGL3−対照ベクターのluciferase遺伝子の3’ UTR部分のXbaI内に挿入して実験ベクターを製造した。miR16マイクロRNAの配列は、miR塩基配列データベース(miRBase Sequence Database)(http://microRNA.sanger.ac.uk/sequences/)を参照して定めた(表4)。
【0038】
【表4】
【0039】
マイクロRNA配列と同じ長さで対応する相補的なDNAを、5’と3’にXba位置が入れるように合成して(表5)、pGL3−対照ベクターにクローニングした。
【0040】
【表5】
【0041】
既存のマイクロRNAに対するアンチセンスとPNAアンチセンスの効率を比較するために、Exiqon社のmiR16用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブ(Knockdown probes)と、Dharmacon社のマイクロRNA阻害剤であるmiR16用miRIDNAを購入して、200nM濃度でその効果を比較した。PNAの場合、図3において200nM濃度で効率が高く表れた2種のPNA(1番と7番)を、それぞれ100nMを混合して使用した。
【0042】
HeLa細胞を24時間培養した後、miR16に対する結合配列が導入された実験ベクターとRenilla luciferase遺伝子を含む対照ベクターを、miR16用マイクロRNAアンチセンスPNA、Exiqon社のmiR16用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブ、Dharmacon社のmiR16用miRIDNAの一つと共にHeLa細胞に形質導入した。形質導入は、リポフェクタミン2000(インビトロゲン)を利用して行った。マイクロRNA阻害剤の効果を確認するために、核酸塩基配列がmiR16と全く異なる対照PNA(con−R)、Exiqon社のmiRNA181b用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブ、Dharmacon社のmiRNA181b用miRIDNAを、同じ方法で形質転換させた。形質導入後48時間培養して、二重ルシフェラーゼアッセイシステム(プロメガ)を利用して、firefly luciferaseとRenilla luciferaseの発現量を測定し、その結果を図5に示した。miR16用アンチセンスPNAに対しては、その対照PNA(con−R)に対する相対的な測定値を、miR16用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブに対しては、miRNA181b用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブに対する測定値を、miR16用miRIDNAに対しては、miRNA181b用miRIDNAに対する相対的な測定値を表示した。図5に示したように、アンチセンスPNAは、miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブとmiRIDIANに比べ、マイクロRNA 16に対して2.5倍以上のアンチセンス効果を示した。
【0043】
実施例5:濃度によるmiR−16アンチセンスPNAの効果の評価
マイクロRNA 16に対するアンチセンスPNAの効果を濃度別に確認するために、HeLa細胞を24時間培養した後、miR16に対する結合配列が導入されたベクターとRenilla luciferase遺伝子を含む対照ベクターを、それぞれ50,100,200及び300nM濃度のアンチセンスPNA(1番と7番の混合物)と共にHeLa細胞に形質導入した。形質導入は、リポフェクタミン2000(インビトロゲン)を利用して行った。 miR16用アンチセンスPNAの代わりに、対照PNA(con−R)も同じ方法で形質転換させた。形質導入後48時間培養して、二重ルシフェラーゼアッセイシステム(プロメガ)を利用して、firefly luciferaseとRenilla luciferaseの発現量を測定した。その結果を図6に示した。図6に示したように、200nM以上の濃度でmiR16用アンチセンスPNAを処理した時、miR16に対するアンチセンスの効果が最も高かった。
【0044】
実施例6:時間によるmiR−16アンチセンスPNAの効果の評価
マイクロRNA 16に対するアンチセンスとしてのPNAの効果を時間別に確認するために、HeLa細胞を24時間培養した後、miR16に対する結合配列が導入されたベクターとRenilla luciferase遺伝子を含む対照ベクターを、200nMのmiR16用アンチセンスPNA(miR16−1 100nMとmiR16−7 100nMの混合物)及び200nMのmiR16用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブと共にHeLa細胞に形質導入した。形質導入は、リポフェクタミン2000(インビトロゲン)を利用して行った。マイクロRNA阻害剤の効果を確認するために、核酸塩基配列がmiR16と全く異なる対照PNA(con−R)、Exiqon社のmiRNA 181b用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブを同じ方法で形質転換させた。形質導入後、それぞれ24、36及び48時間培養した後、二重ルシフェラーゼアッセイシステム(プロメガ)を利用して、firefly luciferaseとRenilla luciferaseの発現量を測定した。
【0045】
その結果を図7に示した。miR16用アンチセンスPNAに対しては、その対照PNA(con−R)に対する相対的な測定値を、miR16用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブに対しては、miRNA181b用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブに対する相対的な測定値を表示した。図7に示したように、miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブは、48時間後にやっと効果を示したのに対し、アンチセンスPNAは、24時間後に既にmiRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブの48時間後と等しいアンチセンス効果を示し、36時間後は、アンチセンス効果がさらに増加した。したがって、マイクロRNAアンチセンスPNAを使用すると、既存のマイクロRNAアンチセンスプローブを使用した場合に比べ、1/2時間にアンチセンス効果を確認することができるため、研究開発に必要な時間を大きく減らすことができる。
【0046】
実施例7:標的miR221に対するPNAの効果の評価
miR221マイクロRNAに対する結合配列を有するベクターを製造するために、変形されたpGL3−対照ベクターを使用した。即ち、5’側にEcoRI制限位置を含み、3’側にPstI制限位置を含む、合成されたオリゴマーを、変形されたpGL3−対照ベクターのEcoRI/PstI位置にクローニングした(表6及び表7参照)。
【0047】
【表6】
【0048】
【表7】
【0049】
既存のマイクロRNAに対するアンチセンスとPNAアンチセンスを比較するために、Exiqon社のmiRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブと比較した。HeLa細胞を24時間培養した後、miR221に対する結合配列が導入されたベクターとRenilla luciferase遺伝子を含む対照ベクターを、200nMのmiR221用アンチセンスPNA(miR16−1 100nMとmiR16−7 100nMの混合物)及び200nMのmiR221用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブと共にHeLa細胞に形質導入した。マイクロRNA阻害剤の効果を確認するために、核酸塩基配列がmiR221と全く異なる対照 NA(con−R)、 Exiqon社のmiRNA 181b用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブを同じ方法で形質転換させた。形質導入は、リポフェクタミン2000(インビトロゲン)を利用して行った。 形質導入後48時間培養して、二重ルシフェラーゼアッセイシステム(プロメガ)を利用して、firefly luciferaseとRenilla luciferaseの発現量を測定した。
【0050】
その結果を図8に示した。miR221用アンチセンスPNAに対しては、その対照PNA(con−R)に対する相対的な測定値を、miR221用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブに対しては、miRNA 181b用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブに対する相対的な測定値を表示した。図8に示したように、miR221アンチセンスPNAが、miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブに比べ、マイクロRNA 221の機能を抑制するアンチセンス効果にさらに優れていた。
【0051】
実施例8:標的miR222に対するPNAの効果の評価
miR222マイクロRNAに対する結合配列を有するベクターを製造するために、変形されたpGL3−対照ベクターを使用した。即ち、5’側にEcoRI制限位置を含み、3’側にPstI制限位置を含む、合成されたオリゴマーを、変形されたpGL3−対照ベクターのEcoRI/PstI位置にクローニングした(表8及び9参照)。
【0052】
【表8】
【0053】
【表9】
【0054】
既存のマイクロRNAに対するアンチセンスとPNAアンチセンスを比較するために、Exiqon社のmiRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブと比較した。HeLa細胞を24時間培養した後、miR222に対する結合配列が導入されたベクターとRenilla luciferase遺伝子を含む対照ベクターを、200nMのmiR222用アンチセンスPNA(miR16−1 100nMとmiR16−7 100nMの混合物)及び200nMのmiR222用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブと共にHeLa細胞に形質導入した。形質導入は、リポフェクタミン2000(インビトロゲン)を利用して行った。マイクロRNA阻害剤の効果を確認するために、核酸塩基配列がmiR222と全く異なる対照PNA(con−R)、 Exiqon社のmiRNA 181b用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブを同じ方法で形質転換させた。形質導入後48時間培養して、二重ルシフェラーゼアッセイシステム(プロメガ)を利用して、firefly luciferaseとRenilla luciferaseの発現量を測定した。
【0055】
その結果を図9に示した。miR222用アンチセンスPNAに対しては、その対照PNA(con−R)に対する相対的な測定値を、miR222用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブに対しては、miRNA 181b用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブに対する相対的な測定値を表示した。図9に示したように、miR222アンチセンスPNAが、miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブに比べ、マイクロRNA 222の機能を抑制するアンチセンス効果にさらに優れていた。
【0056】
実施例9:標的miR31,miR24,miR21,miR181a,miR23a,miR19b,miR20a,let7g,miR34a,miR30a,miR146a,miR130a,miR155,miR373,miR122a,miR145,miR191,miR193b,miR802に対するPNAの効果の評価
miR塩基配列データベースで見つけたmiR31,miR24,miR21,miR181a,miR23a,miR19b,miR20a,let7g,miR34a,miR30a,miR146a,miR130a,miR155,miR373,miR122a,miR145,miR191,miR193b,miR802マイクロRNA配列と同じ長さで対応する相補的なDNAを、実施例3と同様な方法によりpGL3−対照ベクターにクローニングした。
【0057】
HeLa細胞を24時間培養した後、それぞれのマイクロRNAに対する結合配列が導入された実験ベクターとRenilla luciferase遺伝子を含む対照ベクターを、200nMのマイクロRNAアンチセンスPNAと共にHeLa細胞に形質導入した。形質導入は、リポフェクタミン2000(インビトロゲン)を利用して行った。マイクロRNAアンチセンスPNAの効果を確認するために、核酸塩基配列が全く異なる対照PNA(con−2R)も同じ方法で形質転換させた。形質導入後48時間培養して、二重ルシフェラーゼアッセイシステム(プロメガ)を利用して、firefly luciferaseとRenilla luciferaseの発現量を測定した。
【0058】
その結果を図10乃至図28に示した。対照PNA(con−2R)に対する相対的な測定値を表示した。前記図に示したように、miR31−1R,miR31−2R,miR31−3R,miR31−5R,miR31−6R,miR31−7R,miR24−8R,miR21−8R,miR181−1R,miR23a−2R,miR19b−1R,miR20a−1R,miR20a−2R,let7g−4R,miR34a−1R,miR30a−1R,miR146a−1R,miR130a−1R,miR130a−2R,miR155−1R,miR155−2R,miR373−1R,miR373−2R,miR122−1R,miR122−2R,miR145−1R,miR145−2R,miR191−1R,miR191−2R,miR193b−1R,miR802−2RアンチセンスPNAを使用した場合、対照PNAに比べ、2倍以上の優れたmiRNA機能抑制効果を示した。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、人工的に合成されたDNA類似体として、DNA及びRNAより高い強度と特異性及び敏感度でDNA及びRNAと相補的に結合し、核酸分解酵素、蛋白質分解酵素などの生物学的分解酵素に対して安定性が高いだけではなく、pH及び熱のような化学的条件に対する安定性に優れたマイクロRNAアンチセンスPNAを使用するため、 DNAやRNAを使用する既存のアンチセンス製剤より、細胞内で長期間その効果を持続させることができて、保存期間が長く、効率的に使用できるという長所がある。本発明のアンチセンスPNAは、マイクロRNAの機能研究に使用されて、真核生物の遺伝子発現の調節を理解する研究に使用できるだけではなく、マイクロRNAの代謝または機能の欠陥により発生する疾病の研究と治療のための新薬としても使用できる。
(配列番号プリテキスト)
配列番号1乃至82は、miRNAアンチセンスPNAの塩基配列を示して;
配列番号83は、Rペプチドのアミノ酸配列を示し;
配列番号84は、K ペプチドのアミノ酸配列を示して;
配列番号85及び86は、対照PNAの塩基配列を示し;
配列番号87乃至89は、miRNAの塩基配列を示して;
配列番号90乃至95は、miRNA標的配列クローニングオリゴマーの塩基配列を示している。
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロRNAアンチセンスPNA(microRNA antisense PNA)、これを含む組成物、及びその使用及び評価方法に関し、より詳細には、siRNA(small interfering RNA)と知られたマイクロRNAの活性や機能を抑制することができるマイクロRNAに対するアンチセンスPNA、これを含む、マイクロRNAの活性や機能を抑制するための組成物、これを利用してマイクロRNAの活性や機能を抑制する方法、及びその効果を評価する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1993年Caenorhabditis elegansで発生時期を調節する一部遺伝子が明かされたが、これらの中、let−7とlin−4は、蛋白質を生産しない小さいRNA片(non-coding RNA)であることが明かされた。これらRNAは、特定発生段階で発現されて発生を調節するといって、stRNA(small temporal RNA)と呼ばれた。マイクロRNAは、21−25ヌクレオチドの単一鎖(single-stranded)RNA分子であって、真核生物の遺伝子発現を制御し、特定遺伝子のmRNA 3’ UTR(untranslated region)に結合して、遺伝子の翻訳過程を抑制すると知られている。実質的に動物で研究されたあらゆるマイクロRNAは、特定遺伝子のmRNA濃度に影響を与えることなく、蛋白質発現量を減少させる。また、マイクロRNAは、RISC(RNA-induced silencing complex)に連結されて特定mRNAに相補的に結合するが、マイクロRNA中央部分は、ミスマッチ(mismatch)に残っており、既存のsiRNAとは異なって、mRNAを分解しない。動物マイクロRNAとは異なって、植物マイクロRNAは、標的mRNAと完全に一致(perfect match)し、mRNA分解を誘導することにより、RNA干渉現象を誘導する。種々の植物マイクロRNAは、動物マイクロRNAのように翻訳調節に関与したりもする。また他の研究は、動植物を含んだ酵母において、マイクロRNAが染色質(chromatin)のメチル化を誘導することにより、転写抑制に関与するという証拠を提示している。このようなマイクロRNAの一部は、種間の保存度が非常に高く、これらが重要な生命現象に関与するという推測を可能にする。
【0003】
マイクロRNAは、二つの段階の過程で生成されるが、最初のマイクロRNA転写体(primary miRNA/pri-miRNA)が、核内でDroshaというRNaseIIIタイプ酵素により70−90ヌクレオチド程度のステム−ループ(stem-loop)構造のpre−miRNAになり、その後pre−miRNAは細胞質に移動し、Dicerという酵素により切断され、21−25ヌクレオチドの成熟マイクロRNA(mature microRNA)になる。最近、多くの研究陣により、マイクロRNAが癌細胞と幹細胞(stem cell)において重要な役割をするだけではなく、細胞増殖、細胞分化、細胞死滅及び脂肪代謝調節などで重要な作用をすることが明かされた。しかしながら、未だマイクロRNAのより多い機能が明かされておらず、これに対する研究が活発に進行されている。
【0004】
現在マイクロRNAに対する研究は、レポーター(reporter)遺伝子の分析、マイクロアレイ(Microarray)、ノーザンブロット(Northern blot)、実時間PCR(real-time polymerase chain reaction)などを利用して発現様相を調べるか、アンチセンスDNAやRNAを利用してなされてきた(文献[Boutla A, Delidakis C, and Tabler M. (2003) Developmental defects by antisense-mediated inactivation of micro-RNAs 2 and 13 in Drosophila and the identification of putative target genes. Nucleic Acids Res. 31(17):4973-4980])。最近は、メチル基によりRNAよりさらにRNAに対する結合力が高く、核酸分解酵素に安定的な2’−O−メチル(2’−O−Me)RNAや、2’−O−Meよりさらに高い結合力を有した2’−O−メトキシオリゴヌクレオチドを合成し、マイクロRNAに対するアンチセンスとして使用したりもした(文献[Weiler J, Hunziker J and Hall J. (2006) Anti-miRNA oligonucleotides (AMOs): ammunition to target miRNAs implicated in human disease? Gene Therapy 13:496-502])。また、核酸分解酵素により分解されやすいDNAの欠点を補完するために、LNA(Locked Nucleic Acid)をDNAと混合したオリゴヌクレオチドを使用したりもするが、これらは、DNAより敏感性と選択性に優れていると知られている(文献[Cha J A, Krichevsky A M and Kosik K S. (2005) microRNA-21 is an antiapoptotic factor in human glioblastoma cells. Cancer Res. 65:6029-6033])。さらに、コレステロールが結合されたRNA 類似物質(antagomir)を合成し、マイクロRNAの機能を調べる研究が行われた(文献[Krutzfeldt J, Rajewsky N, Braich R, Rajeev K G, Tuschl T, Manoharan M and Stoffel M. (2005) Silencing of microRNAs in vivo with 'antagomirs'. Nature 438:685-689])。これらは、マイクロRNAに対するアンチセンスとして、マイクロRNAの機能を遮断し、その機能を行うが、これらは、マイクロRNAの機能研究において非常に重要である。
【0005】
上記のように、DNAとRNAの欠点を克服するために、LNAや2−O−メチルオリゴヌクレオチドなどのように化学的に変形されたオリゴヌクレオチドが使用されたが、これらは、細胞内で依然としてエンドヌクレアーゼ(endo-nucelase)やエキソヌクレアーゼ(exo-nuclease)により分解されるか、変形により特異性が低下されるか、細胞内毒性を引き起こすなどの問題がある(文献[Crinelli R, Bianchi M, Gentilini L, and Magnani M. (2002) Design and characterization of decoy oligonucleotides containing locked nucleic acids. Nucleic Acids Res. 30(11):2435-2443]及び文献[Hutvagne G, Simard MJ, Mello C C, Zamore P D. Hutvagner G, Simard M J, Mello C C, and Zamore P D. (2004) Sequence-specific inhibition of small RNA function. PLoS Biol. 2(4):E98])。したがって、マイクロRNAの機能を遮断するより、効率的なアンチセンスオリゴヌクレオチドの開発が必要である。
【0006】
一方、PNA(Peptide Nucleic Acids)は、DNAと類似した構造の高分子化学物質であって、DNA及びRNAと結合可能な蛋白質形態の核酸である(Nielsen P E, Buchardt O, Egholm M, Berg R H, US Patent 5,539,082, Peptide nucleic acids)。PNAの基本バックボーン(backbone)は、ポリペプチド構造を形成している(図1)。DNAがリン酸基により陰性電気を帯びている反面、PNAは、ペプチド結合により電気的に中性である。既存知られた核酸分解酵素は、PNAの構造を認識できないため、PNAは生体内で核酸分解酵素により分解されず、高い安定性を有する。その他にも、PNAは、様々な長所を有するが、DNA及びRNAと高い結合力を有し、必要に応じて蛍光物質を付着するか、イオンを結合させて溶解度を増加させることが容易であり、ただ一つの塩基配列差があっても、全体遺伝体から検出できるくらいの特異性を有して、ペプチドを結合することにより新しい機能を導入することができるという長所を有している。このような長所を基に、PNAは、遺伝病を起こす突然変異の追跡や病原性細菌及びウイルス感染の初期診断手段として、癌細胞抑制研究、病原微生物学、ウイルス学などで幅広く応用できる。さらに、過去何年間PNAを利用したアンチセンス開発に関する研究が活発に進行されてきた。しかしながら、マイクロRNAに対するアンチセンスとしてPNAを利用しようとした試みは知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、上記のような従来技術の問題点を解決するために、上記の長所を有するPNAを利用して、マイクロRNAと特異的に結合し、これらの活性や機能を抑制できるアンチセンスを製作するために持続的な研究を行った。その結果、既存のアンチセンスDNA及びRNAより優れた効果を有して、細胞内で長い期間その効果を持続させることができるアンチセンスPNAを発明した。
【0008】
したがって、本発明の目的は、マイクロRNAと相補的に結合することにより、マイクロRNAの活性や機能を抑制するマイクロRNAアンチセンスPNAを提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、有効成分として前記マイクロRNAアンチセンスPNAを含む、マイクロRNAの活性や機能を抑制するための組成物を提供することである。
【0010】
本発明のまた他の目的は、前記マイクロRNAアンチセンスPNAを利用して、マイクロRNAの活性や機能を抑制する方法を提供することである
【0011】
本発明のまた他の目的は、マイクロRNAアンチセンスPNAの効果を評価する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第一は、10〜25塩基からなり、マイクロRNAと相補的に結合することによりマイクロRNAの活性や機能を抑制する、マイクロRNAアンチセンスPNAに関する。
【0013】
本発明の第二は、有効成分として前記マイクロRNAアンチセンスPNAを含む、マイクロRNAの活性や機能を抑制するための組成物に関する。
【0014】
本発明の第三は、前記マイクロRNAアンチセンスPNAを細胞内に導入する段階を含む、マイクロRNAの活性や機能を抑制する方法に関する。
【0015】
本発明の第四は、アンチセンスPNAの存在及び不在下で、それぞれマイクロRNAの発現量を測定して比較する段階を含む、マイクロRNAアンチセンスPNAの効果を評価する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】DNA及びPNAの基本構造の差異を示した図である。
【図2】標的マイクロRNAに対する結合配列をクローニングするためのベクターの構造を概略的に示した図である。
【図3】Kペプチドが結合されたアンチセンスPNA(上部)と、変形されたTatペプチド(Rペプチド)が結合されたアンチセンスPNA(下部)の効果を比較したグラフである。
【図4】変形されたTatペプチド(Rペプチド)がアンチセンスPNAの細胞内導入に及ぼす影響を示すグラフである。
【図5】標的miR16に対する既存アンチセンスとアンチセンスPNAの効果を比較したグラフである。
【図6】標的miR16に対するアンチセンスPNAの濃度別効果を比較したグラフである。
【図7】標的miR16に対するアンチセンスPNAの時間別効果を比較したグラフである。
【図8】標的miR221に対する既存のアンチセンスとPNAアンチセンスの効果を比較したグラフである。
【図9】標的miR222に対する既存のアンチセンスとPNAアンチセンスの効果を比較したグラフである。
【図10】標的miR31に対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図11】標的miR24に対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図12】標的miR21に対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図13】標的miR181aに対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図14】標的miR23aに対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図15】標的miR19bに対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図16】標的miR20aに対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図17】標的let7gに対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図18】標的miR34aに対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図19】標的miR30aに対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図20】標的miR146aに対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図21】標的miR130aに対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図22】標的miR155に対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図23】標的miR373に対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図24】標的miR122aに対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図25】標的miR145に対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図26】標的miR191に対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図27】標的miR193bに対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【図28】標的miR802に対するPNAアンチセンスの効果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明は、マイクロRNAと相補的に結合することにより、マイクロRNAの活性や機能を抑制するマイクロRNAアンチセンスPNAに関する。本発明のアンチセンスPNAは、10〜25merの塩基からなるもので、特に15塩基からなるが、10〜14mer程度の短い長さのPNAや16〜25mer程度のPNA、マイクロRNAのシード(seed)部分である5’部分と3’部分の一部を含むPNAも、マイクロRNAに対するアンチセンスとしての機能が十分行えると予想されるため、これらは全て本発明の範囲内に含まれる。本発明において、マイクロRNAは、特に制限されず、あらゆる種類のマイクロRNAを含み、例えば、miR16、miR221、miR222、miR31、miR24、miR21、miR181a、miR23a、miR19b、miR20a、let7g、miR34a、miR30a、miR146a、miR130a、miR155、miR373、miR122a、miR145、miR191、miR193b及びmiR802を含むが、これらに限定されるものではない。本発明によるアンチセンスPNAは、マイクロRNAと相補的に結合してその活性や機能を抑制する限り、その塩基配列に特に制限はなく、例えば、下記表1に示した配列番号1乃至82、好ましくは、配列番号1乃至4、7、11、19、21、23、26、29乃至32、34乃至36、44、47、48、51、52、54、55、59、63、65、66、68乃至80、及び82のいずれかの塩基配列を有することができるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
【表1−1】
【表1−2】
【0020】
本発明によるPNAは、それ自体が細胞内に導入され、マイクロRNAの活性や機能を抑制するに使用できる。しかしながら、PNAは電気的に中性であるため、細胞の脂質成分により、細胞内に導入される際に障害を受ける。これを克服するために、細胞内への伝達システムに対する研究がよく行われたが、例えば、細胞透過蛋白質(cell penetrating protein, CPP)(文献[Pooga M, Hallbrink M, Zorko M, and Langel U. (1998) Cell penetration by transportan. Faseb J. 12: 67-77])、インシュリン様成長因子I−受容体(Insulin-like growth factor I-receptor)(文献[Basu S, and Wickstrom E. (1997) Synthesis and characterization of a peptide nucleic acid conjugated to a D-peptide analog of insulin-like growth factor 1 for increased cellular uptake. Bioconjug. Chem. 8: 481-488])、アシアログリコプロテイン受容体(Asialoglycoprotein receptor)(文献[Zhang X, Simmons C G, and Corey D R. (2001) Liver cell specific targeting of peptide nucleic acid oligomers. Bioorg Med. Chem. Lett. 11: 1269-1271])を付着して細胞内導入を誘導するか、電気穿孔(electroporation)(文献[Wang G, Xu X, Pace B, Dean D A, Glazer P M, Chan P, Goodman S R, and Shokolenko I. (1999) Peptide nucleic acid (PNA) binding-mediated induction of human gamma-globin gene expression. Nucleic Acids Res. 27(13):2806-2813])またはリポソーム(文献[Faruqi A F, Egholm M, and Glazer P M. (1998) Peptide nucleic acid-targeted mutagenesis of a chromosomal gene in mouse cells. Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 95(4):1398-1403])を利用して、細胞内導入を誘導する方法が知られている。一般に、CPPは大きく3種類に分類できる。第一、後天性免疫欠乏症候群を起こすHIV−1の転写関連蛋白質であるTat蛋白質の49−57番の間に存在するTatペプチドである。第二、ホメオドメイン(homeodomain)由来のペプチドであるペネトラチン(penetratin)であって、これは、ショウジョウバエ(Drosophila)のホメオプロテイン(homeoprotein)であるアンテナペディア(antennapedia)のホメオドメインから発見された。第三、膜転移配列(membrane translocating sequence, MTS)または信号配列(signal sequences)に基礎したペプチドである。PNAを細胞内に効率的に導入するに使用できるペプチドとしては、下記表2に示したものが知られているが、本発明では、これらのペプチドのいずれか一つまたはこれら由来のものをPNAに連結して使用できる。
【0021】
【表2】
【0022】
その他にも、PNAに有用な他のペプチドや新しいペプチドもPNAに連結して使用できる。これらのペプチドは、PNAに直に連結されてもよいが、8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸(8-amino-3,6-dioxaoctanoic acid)リンカー(O−リンカー)、化学式1のE−リンカー、化学式2のX−リンカーなどのような適切なリンカーを介してPNAに連結できる。
【0023】
[化学式1]
[化学式2]
【0024】
前記ペプチドの他にも、ポリアルギニン、ペネトラチン、α−アミノアクリジンなどがPNAの細胞内導入を増進させると知られているが、本発明では、PNAに、これらのいずれも連結することができる。本発明の具体例において、PNAの細胞内導入を増進させるためのペプチドは、変形されたTatペプチド、特に配列番号83のアミノ酸配列(RRRQRRKKR)を有するもの(Rペプチド)と、配列番号84のアミノ酸配列(KFFKFFKFFK)を有するもの(Kペプチド)である。
【0025】
本発明では、前記マイクロRNAアンチセンスPNAを細胞内に導入することにより、マイクロRNAの活性や機能を抑制することができる。マイクロRNAアンチセンスPNAは、例えば、陽イオン性脂質、特にリポフェクタミン(Lipofectamine)2000(インビトロゲン(Invitrogen))を利用して細胞内に導入することができる。陽イオン性脂質を利用すること以外の方法(例えば:電気穿孔、リポソーム)を利用して、アンチセンスPNAを細胞内に導入する場合は、ペプチドと結合されたPNAの他に、ペプチドと結合されなかったPNAも、マイクロRNAに対するアンチセンスとしての機能を行うことができる。
【0026】
また、本発明は、有効成分として前記マイクロRNAアンチセンスPNAを含む、マイクロRNAの活性や機能を抑制するための組成物を提供する。本発明によるマイクロRNA活性または機能抑制用組成物は、例えば、マイクロRNA−媒介疾患の予防または治療剤としても使用できるが、マイクロRNAアンチセンスPNAの有効容量は、対象の年齢、性別、健康状態、疾患の種類及び重症度などによって適宜決定できるが、例えば、大人を基準に、1回当たり0.1〜200mg容量で投与できて、一日1回または2〜3回分割投与できる。このために、通常的な遺伝子療法(Gene therapy)、例えば、体外(ex vivo)療法や体内(in vivo)療法を使用することができる。
【0027】
本発明では、アンチセンスPNAの存在及び不在下で、それぞれマイクロRNAの発現量を測定して比較することにより、アンチセンスPNAの効果を評価することができる。この際、発現量を測定するためには、当業界に知られた通常の方法のいずれも使用できるが、例えば、レポーター(reporter)遺伝子、ノーザンブロット、マイクロアレイ、実時間PCR、インビボ/イン・シチュ混成化(in vivo/in situ hybridization)または標識化(labeling)を使用することができる。一例として、レポーター遺伝子を使用して遺伝子発現量を測定する場合は、
(a)アンチセンスPNAを、レポーター遺伝子(例えば、Renilla luciferase)を含むベクター(対照ベクター)と、レポーター遺伝子(例えば、firefly luciferase)及び標的マイクロRNAに対する結合配列(binding sequence)を含むベクター(実験ベクター)と混合した後、細胞内に導入し、
(b)段階(a)の対照ベクターと実験ベクターからレポーター遺伝子の発現量をそれぞれ測定して比較することにより、マイクロRNAアンチセンスPNAの効果を評価することができる。
【0028】
前記実験ベクターは、レポーター遺伝子(例えば、firefly luciferase)を含むベクターに、標的マイクロRNAに対する結合配列を導入して製造することができる。
【0029】
以下、本発明を具体的な実施例によりさらに詳細に説明するが、これは、本発明の理解を助けるためのもので、これらにより本発明の範囲が限定されるわけではない。
【0030】
実施例1:アンチセンスPNAの合成
PNAのマイクロRNAに対するアンチセンス効果を確認するために、特定マイクロRNA(miR16、miR221、miR222、miR31、miR24、miR21、miR181a、miR23a、miR19b、miR20a、let7g、miR34a、miR30a、miR146a、miR130a、miR155、miR373、miR122a、miR145、miR191、miR193b、miR802)に対して相補的な配列を有するアンチセンスPNAを合成した。マイクロRNAは、通常21乃至25個のヌクレオチドからなっているが、その中、塩基配列2から8までは、シード配列(seed sequence)と知られている。マイクロRNAに相補的に結合できるように、標的マイクロRNAの塩基配列1番から15番まで、2番から16番まで、3番から17番までなど、異なる配列の15個の塩基からなるPNAを合成した。これらのPNAに、Oリンカーを使用して、変形されたHIV−1 Tatペプチド(R−ペプチド,RRRQRRKKR)を結合させた。また、変形されたTatペプチドの効果を比較評価するために、動物細胞ではないE. coliでPNAの細胞内導入を増加させると知られているK−ペプチド(KFFKFFKFFK)を結合させたアンチセンスPNAを合成した。また、アンチセンス活性を有しない対照PNA(con−K,con−R及びcon−2R)を合成した。合成したアンチセンスPNA及び対照PNAを下記表3に示した。
【0031】
【表3−1】
【表3−2】
【表3−3】
【0032】
実施例2:アンチセンスPNAの機能及び結合ペプチドの種類がアンチセンス機能に及ぼす影響の評価
アンチセンスPNAの機能及びそれに結合されるペプチドの種類がアンチセンス機能に及ぼす影響を評価するために、HeLa細胞を24ウェルプレートにウェル当たり6×104個で塗抹した後、24時間培養した。陽イオン性脂質物質であるリポフェクタミン2000(インビトロゲン)を利用して、miR16に対する結合配列がクローニングされているpGL3−対照ベクター(firefly luciferase遺伝子含有、プロメガ(Promega)、図2参照)とRenilla luciferase遺伝子を含有するベクター、pGL3−対照ベクターを、miR16用アンチセンスPNAと共に形質転換させた。miR16用アンチセンスPNAの代わりに対照PNA(con−K及びcon−R)を同じ方法で形質転換させた。レポーター遺伝子の発現量を調べて、アンチセンスPNAの効果を確認した。
【0033】
その結果を図3に示した。図3に示したように、本発明で合成した15塩基長のmiR16用アンチセンスPNAの全てが、マイクロRNA 16の機能を抑制するアンチセンス効果を示した。また、変形されたTatペプチド(Rペプチド)が結合されているアンチセンスPNAが、Kペプチドが結合されているアンチセンスPNAに比べ、より高い効率を有することが確認された。
【0034】
実施例3:ペプチド結合がアンチセンス機能に及ぼす影響評価
変形されたTatペプチドが結合されたアンチセンスPNAと、ペプチドが結合されなかったアンチセンスPNAの効果を比較するために、まずHeLa細胞を24ウェルプレートにウェル当たり6×104個で塗抹した後、24時間培養した。リポフェクタミン2000(インビトロゲン)を利用して、miR16に対する結合配列がクローニングされているpGL3−対照ベクター(前記図2参照)とRenilla luciferase遺伝子を含有するベクターを、200nM miR16用アンチセンスPNAと共に形質転換させた。miR16用アンチセンスPNAの代わりに、対照PNA(con−R)も同じ方法で形質転換させた。形質導入後、48時間培養した後、二重ルシフェラーゼアッセイシステム(Dual luciferase assay system)(プロメガ)を利用して、firefly luciferaseとRenilla luciferaseの発現量を測定した。
【0035】
その結果を図4に示した。図4に示したように、変形されたTatペプチドが結合されたmiR16用アンチセンスPNA(modified PNA)は、マイクロRNA 16に対するアンチセンス効果を示して、Tatペプチドが結合されなかったmiR16用PNA(unmodifided PNA,300 nM)は、変形されたTatペプチドが結合されたmiR16用アンチセンスPNAよりは低いものの、アンチセンス効果を示した。
【0036】
実施例4:標的miR16に対するPNAの効果の評価
マイクロRNAに対するアンチセンスPNAの効果を確認するために、miR16マイクロRNAに対する結合配列を含む実験ベクターを使用した。このために、firefly luciferase遺伝子を含むpGL3−対照ベクター(プロメガ)を利用した。形質導入水準を比較するために、Renilla luciferase遺伝子を含む対照ベクター(プロメガ)を使用した。
【0037】
miR16に対する結合配列を、pGL3−対照ベクターのluciferase遺伝子の3’ UTR部分のXbaI内に挿入して実験ベクターを製造した。miR16マイクロRNAの配列は、miR塩基配列データベース(miRBase Sequence Database)(http://microRNA.sanger.ac.uk/sequences/)を参照して定めた(表4)。
【0038】
【表4】
【0039】
マイクロRNA配列と同じ長さで対応する相補的なDNAを、5’と3’にXba位置が入れるように合成して(表5)、pGL3−対照ベクターにクローニングした。
【0040】
【表5】
【0041】
既存のマイクロRNAに対するアンチセンスとPNAアンチセンスの効率を比較するために、Exiqon社のmiR16用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブ(Knockdown probes)と、Dharmacon社のマイクロRNA阻害剤であるmiR16用miRIDNAを購入して、200nM濃度でその効果を比較した。PNAの場合、図3において200nM濃度で効率が高く表れた2種のPNA(1番と7番)を、それぞれ100nMを混合して使用した。
【0042】
HeLa細胞を24時間培養した後、miR16に対する結合配列が導入された実験ベクターとRenilla luciferase遺伝子を含む対照ベクターを、miR16用マイクロRNAアンチセンスPNA、Exiqon社のmiR16用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブ、Dharmacon社のmiR16用miRIDNAの一つと共にHeLa細胞に形質導入した。形質導入は、リポフェクタミン2000(インビトロゲン)を利用して行った。マイクロRNA阻害剤の効果を確認するために、核酸塩基配列がmiR16と全く異なる対照PNA(con−R)、Exiqon社のmiRNA181b用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブ、Dharmacon社のmiRNA181b用miRIDNAを、同じ方法で形質転換させた。形質導入後48時間培養して、二重ルシフェラーゼアッセイシステム(プロメガ)を利用して、firefly luciferaseとRenilla luciferaseの発現量を測定し、その結果を図5に示した。miR16用アンチセンスPNAに対しては、その対照PNA(con−R)に対する相対的な測定値を、miR16用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブに対しては、miRNA181b用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブに対する測定値を、miR16用miRIDNAに対しては、miRNA181b用miRIDNAに対する相対的な測定値を表示した。図5に示したように、アンチセンスPNAは、miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブとmiRIDIANに比べ、マイクロRNA 16に対して2.5倍以上のアンチセンス効果を示した。
【0043】
実施例5:濃度によるmiR−16アンチセンスPNAの効果の評価
マイクロRNA 16に対するアンチセンスPNAの効果を濃度別に確認するために、HeLa細胞を24時間培養した後、miR16に対する結合配列が導入されたベクターとRenilla luciferase遺伝子を含む対照ベクターを、それぞれ50,100,200及び300nM濃度のアンチセンスPNA(1番と7番の混合物)と共にHeLa細胞に形質導入した。形質導入は、リポフェクタミン2000(インビトロゲン)を利用して行った。 miR16用アンチセンスPNAの代わりに、対照PNA(con−R)も同じ方法で形質転換させた。形質導入後48時間培養して、二重ルシフェラーゼアッセイシステム(プロメガ)を利用して、firefly luciferaseとRenilla luciferaseの発現量を測定した。その結果を図6に示した。図6に示したように、200nM以上の濃度でmiR16用アンチセンスPNAを処理した時、miR16に対するアンチセンスの効果が最も高かった。
【0044】
実施例6:時間によるmiR−16アンチセンスPNAの効果の評価
マイクロRNA 16に対するアンチセンスとしてのPNAの効果を時間別に確認するために、HeLa細胞を24時間培養した後、miR16に対する結合配列が導入されたベクターとRenilla luciferase遺伝子を含む対照ベクターを、200nMのmiR16用アンチセンスPNA(miR16−1 100nMとmiR16−7 100nMの混合物)及び200nMのmiR16用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブと共にHeLa細胞に形質導入した。形質導入は、リポフェクタミン2000(インビトロゲン)を利用して行った。マイクロRNA阻害剤の効果を確認するために、核酸塩基配列がmiR16と全く異なる対照PNA(con−R)、Exiqon社のmiRNA 181b用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブを同じ方法で形質転換させた。形質導入後、それぞれ24、36及び48時間培養した後、二重ルシフェラーゼアッセイシステム(プロメガ)を利用して、firefly luciferaseとRenilla luciferaseの発現量を測定した。
【0045】
その結果を図7に示した。miR16用アンチセンスPNAに対しては、その対照PNA(con−R)に対する相対的な測定値を、miR16用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブに対しては、miRNA181b用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブに対する相対的な測定値を表示した。図7に示したように、miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブは、48時間後にやっと効果を示したのに対し、アンチセンスPNAは、24時間後に既にmiRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブの48時間後と等しいアンチセンス効果を示し、36時間後は、アンチセンス効果がさらに増加した。したがって、マイクロRNAアンチセンスPNAを使用すると、既存のマイクロRNAアンチセンスプローブを使用した場合に比べ、1/2時間にアンチセンス効果を確認することができるため、研究開発に必要な時間を大きく減らすことができる。
【0046】
実施例7:標的miR221に対するPNAの効果の評価
miR221マイクロRNAに対する結合配列を有するベクターを製造するために、変形されたpGL3−対照ベクターを使用した。即ち、5’側にEcoRI制限位置を含み、3’側にPstI制限位置を含む、合成されたオリゴマーを、変形されたpGL3−対照ベクターのEcoRI/PstI位置にクローニングした(表6及び表7参照)。
【0047】
【表6】
【0048】
【表7】
【0049】
既存のマイクロRNAに対するアンチセンスとPNAアンチセンスを比較するために、Exiqon社のmiRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブと比較した。HeLa細胞を24時間培養した後、miR221に対する結合配列が導入されたベクターとRenilla luciferase遺伝子を含む対照ベクターを、200nMのmiR221用アンチセンスPNA(miR16−1 100nMとmiR16−7 100nMの混合物)及び200nMのmiR221用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブと共にHeLa細胞に形質導入した。マイクロRNA阻害剤の効果を確認するために、核酸塩基配列がmiR221と全く異なる対照 NA(con−R)、 Exiqon社のmiRNA 181b用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブを同じ方法で形質転換させた。形質導入は、リポフェクタミン2000(インビトロゲン)を利用して行った。 形質導入後48時間培養して、二重ルシフェラーゼアッセイシステム(プロメガ)を利用して、firefly luciferaseとRenilla luciferaseの発現量を測定した。
【0050】
その結果を図8に示した。miR221用アンチセンスPNAに対しては、その対照PNA(con−R)に対する相対的な測定値を、miR221用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブに対しては、miRNA 181b用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブに対する相対的な測定値を表示した。図8に示したように、miR221アンチセンスPNAが、miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブに比べ、マイクロRNA 221の機能を抑制するアンチセンス効果にさらに優れていた。
【0051】
実施例8:標的miR222に対するPNAの効果の評価
miR222マイクロRNAに対する結合配列を有するベクターを製造するために、変形されたpGL3−対照ベクターを使用した。即ち、5’側にEcoRI制限位置を含み、3’側にPstI制限位置を含む、合成されたオリゴマーを、変形されたpGL3−対照ベクターのEcoRI/PstI位置にクローニングした(表8及び9参照)。
【0052】
【表8】
【0053】
【表9】
【0054】
既存のマイクロRNAに対するアンチセンスとPNAアンチセンスを比較するために、Exiqon社のmiRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブと比較した。HeLa細胞を24時間培養した後、miR222に対する結合配列が導入されたベクターとRenilla luciferase遺伝子を含む対照ベクターを、200nMのmiR222用アンチセンスPNA(miR16−1 100nMとmiR16−7 100nMの混合物)及び200nMのmiR222用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブと共にHeLa細胞に形質導入した。形質導入は、リポフェクタミン2000(インビトロゲン)を利用して行った。マイクロRNA阻害剤の効果を確認するために、核酸塩基配列がmiR222と全く異なる対照PNA(con−R)、 Exiqon社のmiRNA 181b用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブを同じ方法で形質転換させた。形質導入後48時間培養して、二重ルシフェラーゼアッセイシステム(プロメガ)を利用して、firefly luciferaseとRenilla luciferaseの発現量を測定した。
【0055】
その結果を図9に示した。miR222用アンチセンスPNAに対しては、その対照PNA(con−R)に対する相対的な測定値を、miR222用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブに対しては、miRNA 181b用miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブに対する相対的な測定値を表示した。図9に示したように、miR222アンチセンスPNAが、miRCURY(登録商標) LNAノックダウンプローブに比べ、マイクロRNA 222の機能を抑制するアンチセンス効果にさらに優れていた。
【0056】
実施例9:標的miR31,miR24,miR21,miR181a,miR23a,miR19b,miR20a,let7g,miR34a,miR30a,miR146a,miR130a,miR155,miR373,miR122a,miR145,miR191,miR193b,miR802に対するPNAの効果の評価
miR塩基配列データベースで見つけたmiR31,miR24,miR21,miR181a,miR23a,miR19b,miR20a,let7g,miR34a,miR30a,miR146a,miR130a,miR155,miR373,miR122a,miR145,miR191,miR193b,miR802マイクロRNA配列と同じ長さで対応する相補的なDNAを、実施例3と同様な方法によりpGL3−対照ベクターにクローニングした。
【0057】
HeLa細胞を24時間培養した後、それぞれのマイクロRNAに対する結合配列が導入された実験ベクターとRenilla luciferase遺伝子を含む対照ベクターを、200nMのマイクロRNAアンチセンスPNAと共にHeLa細胞に形質導入した。形質導入は、リポフェクタミン2000(インビトロゲン)を利用して行った。マイクロRNAアンチセンスPNAの効果を確認するために、核酸塩基配列が全く異なる対照PNA(con−2R)も同じ方法で形質転換させた。形質導入後48時間培養して、二重ルシフェラーゼアッセイシステム(プロメガ)を利用して、firefly luciferaseとRenilla luciferaseの発現量を測定した。
【0058】
その結果を図10乃至図28に示した。対照PNA(con−2R)に対する相対的な測定値を表示した。前記図に示したように、miR31−1R,miR31−2R,miR31−3R,miR31−5R,miR31−6R,miR31−7R,miR24−8R,miR21−8R,miR181−1R,miR23a−2R,miR19b−1R,miR20a−1R,miR20a−2R,let7g−4R,miR34a−1R,miR30a−1R,miR146a−1R,miR130a−1R,miR130a−2R,miR155−1R,miR155−2R,miR373−1R,miR373−2R,miR122−1R,miR122−2R,miR145−1R,miR145−2R,miR191−1R,miR191−2R,miR193b−1R,miR802−2RアンチセンスPNAを使用した場合、対照PNAに比べ、2倍以上の優れたmiRNA機能抑制効果を示した。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、人工的に合成されたDNA類似体として、DNA及びRNAより高い強度と特異性及び敏感度でDNA及びRNAと相補的に結合し、核酸分解酵素、蛋白質分解酵素などの生物学的分解酵素に対して安定性が高いだけではなく、pH及び熱のような化学的条件に対する安定性に優れたマイクロRNAアンチセンスPNAを使用するため、 DNAやRNAを使用する既存のアンチセンス製剤より、細胞内で長期間その効果を持続させることができて、保存期間が長く、効率的に使用できるという長所がある。本発明のアンチセンスPNAは、マイクロRNAの機能研究に使用されて、真核生物の遺伝子発現の調節を理解する研究に使用できるだけではなく、マイクロRNAの代謝または機能の欠陥により発生する疾病の研究と治療のための新薬としても使用できる。
(配列番号プリテキスト)
配列番号1乃至82は、miRNAアンチセンスPNAの塩基配列を示して;
配列番号83は、Rペプチドのアミノ酸配列を示し;
配列番号84は、K ペプチドのアミノ酸配列を示して;
配列番号85及び86は、対照PNAの塩基配列を示し;
配列番号87乃至89は、miRNAの塩基配列を示して;
配列番号90乃至95は、miRNA標的配列クローニングオリゴマーの塩基配列を示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
10〜25塩基からなり、マイクロRNAと相補的に結合することによりマイクロRNAの活性や機能を抑制する、マイクロRNAアンチセンスPNA(Peptide Nucleic Acid)。
【請求項2】
マイクロRNAが、miR16、miR221、miR222、miR31、miR24、miR21、miR181a、miR23a、miR19b、miR20a、let7g、miR34a、miR30a、miR146a、miR130a、miR155、miR373、miR122a、miR145、miR191、miR193b及びmiR802のいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載のアンチセンスPNA。
【請求項3】
配列番号1乃至4、7、11、19、21、23、26、29乃至32、34乃至36、44、47、48、51、52、54、55、59、63、65、66、68乃至80、及び82のいずれかの塩基配列を有することを特徴とする、請求項2に記載のアンチセンスPNA。
【請求項4】
ペプチドがさらに結合されていることを特徴とする、請求項1に記載のアンチセンスPNA。
【請求項5】
ペプチドが、PNAの細胞内導入を増進させるためのものであることを特徴とする、請求項4に記載のアンチセンスPNA。
【請求項6】
ペプチドが、オクトレオチド(Octreotide)、Tatペプチド、NLS(Nuclear Localization Signal)、陽イオン性ペプチド、H部位、C−myc tag配列、PTD(Protein Transduction Domain)−4、トランスポータン(Transportan)、細菌細胞膜活性ペプチド、NL1.1結合チロシンキナーゼ受容体、NL4c結合チロシンキナーゼ受容体、最小転写活性剤、pAntp/ペネトラチン、Gal 80 BP、信号−配列基礎ペプチド(I)、信号−配列基礎ペプチド(II)、99mTcキレーティングペプチド、IGF1、ミトコンドリア獲得ペプチド、YDEGE、M918及びR6−Penからなる群から選択されるか、これら由来のものであることを特徴とする、請求項5に記載のアンチセンスPNA。
【請求項7】
ペプチドが、配列番号83または84のアミノ酸配列を有するものであることを特徴とする、請求項6に記載のアンチセンスPNA。
【請求項8】
有効成分として、請求項1乃至7のいずれかに記載のマイクロRNAアンチセンスPNAを含むことを特徴とする、マイクロRNAの活性や機能を抑制するための組成物。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれかに記載のマイクロRNAアンチセンスPNAを細胞内に導入する段階を含むことを特徴とする、マイクロRNAの活性や機能を抑制する方法。
【請求項10】
マイクロRNAアンチセンスPNAを、陽イオン性脂質を利用して細胞内に導入することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
マイクロRNAアンチセンスPNAの存在及び不在下で、それぞれマイクロRNAの発現量を測定して比較する段階を含むことを特徴とする、マイクロRNAアンチセンスPNAの効果を評価する方法。
【請求項12】
レポーター遺伝子、ノーザンブロット、マイクロアレイ、実時間PCR、インビボ/イン・シチュ混成化または標識化を利用してマイクロRNAの発現量を測定することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
(a)アンチセンスPNAを、レポーター遺伝子を含む対照ベクターと、レポーター遺伝子及び標的マイクロRNAに対する結合配列を含む実験ベクターと混合した後、細胞内に導入し、
(b)段階(a)の対照ベクターと実験ベクターからレポーター遺伝子の発現量をそれぞれ測定して比較する段階を含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
24〜36時間細胞を培養した後、マイクロRNAの発現量を測定することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項1】
10〜25塩基からなり、マイクロRNAと相補的に結合することによりマイクロRNAの活性や機能を抑制する、マイクロRNAアンチセンスPNA(Peptide Nucleic Acid)。
【請求項2】
マイクロRNAが、miR16、miR221、miR222、miR31、miR24、miR21、miR181a、miR23a、miR19b、miR20a、let7g、miR34a、miR30a、miR146a、miR130a、miR155、miR373、miR122a、miR145、miR191、miR193b及びmiR802のいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載のアンチセンスPNA。
【請求項3】
配列番号1乃至4、7、11、19、21、23、26、29乃至32、34乃至36、44、47、48、51、52、54、55、59、63、65、66、68乃至80、及び82のいずれかの塩基配列を有することを特徴とする、請求項2に記載のアンチセンスPNA。
【請求項4】
ペプチドがさらに結合されていることを特徴とする、請求項1に記載のアンチセンスPNA。
【請求項5】
ペプチドが、PNAの細胞内導入を増進させるためのものであることを特徴とする、請求項4に記載のアンチセンスPNA。
【請求項6】
ペプチドが、オクトレオチド(Octreotide)、Tatペプチド、NLS(Nuclear Localization Signal)、陽イオン性ペプチド、H部位、C−myc tag配列、PTD(Protein Transduction Domain)−4、トランスポータン(Transportan)、細菌細胞膜活性ペプチド、NL1.1結合チロシンキナーゼ受容体、NL4c結合チロシンキナーゼ受容体、最小転写活性剤、pAntp/ペネトラチン、Gal 80 BP、信号−配列基礎ペプチド(I)、信号−配列基礎ペプチド(II)、99mTcキレーティングペプチド、IGF1、ミトコンドリア獲得ペプチド、YDEGE、M918及びR6−Penからなる群から選択されるか、これら由来のものであることを特徴とする、請求項5に記載のアンチセンスPNA。
【請求項7】
ペプチドが、配列番号83または84のアミノ酸配列を有するものであることを特徴とする、請求項6に記載のアンチセンスPNA。
【請求項8】
有効成分として、請求項1乃至7のいずれかに記載のマイクロRNAアンチセンスPNAを含むことを特徴とする、マイクロRNAの活性や機能を抑制するための組成物。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれかに記載のマイクロRNAアンチセンスPNAを細胞内に導入する段階を含むことを特徴とする、マイクロRNAの活性や機能を抑制する方法。
【請求項10】
マイクロRNAアンチセンスPNAを、陽イオン性脂質を利用して細胞内に導入することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
マイクロRNAアンチセンスPNAの存在及び不在下で、それぞれマイクロRNAの発現量を測定して比較する段階を含むことを特徴とする、マイクロRNAアンチセンスPNAの効果を評価する方法。
【請求項12】
レポーター遺伝子、ノーザンブロット、マイクロアレイ、実時間PCR、インビボ/イン・シチュ混成化または標識化を利用してマイクロRNAの発現量を測定することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
(a)アンチセンスPNAを、レポーター遺伝子を含む対照ベクターと、レポーター遺伝子及び標的マイクロRNAに対する結合配列を含む実験ベクターと混合した後、細胞内に導入し、
(b)段階(a)の対照ベクターと実験ベクターからレポーター遺伝子の発現量をそれぞれ測定して比較する段階を含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
24〜36時間細胞を培養した後、マイクロRNAの発現量を測定することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公表番号】特表2011−504110(P2011−504110A)
【公表日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534896(P2010−534896)
【出願日】平成20年11月24日(2008.11.24)
【国際出願番号】PCT/KR2008/006926
【国際公開番号】WO2009/066967
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(310007128)パナジェン インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】PANAGENE INC.
【住所又は居所原語表記】Ssangyong Technology Research Center, 100, Sinseong−dong, Yuseong−gu, Daejeon 305−804 Republic of Korea
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月24日(2008.11.24)
【国際出願番号】PCT/KR2008/006926
【国際公開番号】WO2009/066967
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(310007128)パナジェン インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】PANAGENE INC.
【住所又は居所原語表記】Ssangyong Technology Research Center, 100, Sinseong−dong, Yuseong−gu, Daejeon 305−804 Republic of Korea
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]