説明

マグネトロン駆動用電源

【課題】通電検査時に制御基板のアースを取るためのアースリード線が、どこにも固定されていないため、アースリード線が他部品もしくは他のアース箇所へ接触し、アースとしての機能が失われ、制御基板の部品が壊れてしまう。
【解決手段】制御基板上にアースリード線を固定させるための固定用部材を用いることにより簡単にアースリード線を固定させることでき、アースリード線を他部品もしくは他のアース箇所へ接触させず、通電検査を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジなどに使用されるマグネトロンを負荷とするマグネトロン駆動用電源に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のマグネトロン駆動用電源について図面を用いて説明する。図5は従来のマグネトロン駆動用電源の構成を示すブロック構成図である。
【0003】
この図に示されるマグネトロン駆動用電源は、単方向電源部1と、インバータ回路部2と、駆動回路3と、高圧整流回路4と、マグネトロン5及び制御手段6から構成されている。
【0004】
単方向電源部1は、商用電源101からの交流電源を全波整流するダイオードブリッジ102と、チョークコイル103及びコンデンサ104よりなるローパスフィルター回路であり、インバータ部2の高周波スイッチング動作に対するフィルターの役割を果たすものである。
【0005】
インバータ回路部2は、共振コンデンサ201と、スイッチング素子202と、転流ダイオード203と、昇圧トランス204から構成される。スイッチング素子202は、駆動回路3より、与えられる20〜50kHzのスイッチング制御信号によってスイッチング動作する。これにより、昇圧トランス204の一次巻線には高周波電圧が発生する。
【0006】
高圧整流回路4は、コンデンサ401及び402とダイオード403及び404とから構成されており、昇圧トランス204の二次巻線で発生した電圧を半波倍電圧整流することで高圧直流電圧を発生し、マグネトロン5に印加する。
【0007】
マグネトロン5には、昇圧トランス204のヒータ巻線からヒータ用の交流電圧も印加される。マグネトロン5は、ヒータ用の交流電圧が印加されることで、陰極が傍熱されて発振可能な状態となり、この状態で高圧電流電圧が印加されると電磁波エネルギーを発生する。
【0008】
この高圧整流回路4及び昇圧トランス204のアース接続方法は、例えば、特許文献1の図6に示されるようにアースリード線6を使用している。この制御基板7のアースが取れていない場合は、人に感電してしまう恐れがある。また制御基板上の部品の基準電位がぶれてしまうため、正常な動作をしなかったり、基板上の部品が壊れたりしてしまう。
【0009】
また、この制御基板7を作成するときには図7のように、このアースリード線6からアースを取るのではなく、通常は、基板の半田面側にあるアース部のパターン701に直接通電検査機器、例えばインサーキットテストピン9を接触させることにより、容易にアースを取ることができ、そして検査時間を短く検査を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭62−190692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、制御基板にアースリード線を用いている場合、この制御基板を作成する時にはこのアースリード線が邪魔になってきてしまう。
【0012】
特に、通電検査を行とき、基板の半田面側でアースを取っているにも関わらず、このアースリード線がどこにも固定されておらず、アースリード線が他部品もしくは他のアース箇所へ接触した場合には、アースとしての機能が失われてしまう。このため、制御基板の部品が壊れてしまうという不具合が生じてしまうという問題があった。
【0013】
本発明は、このような課題に鑑みてなしたものであり、容易に制御基板にアースリード線を固定させることができるマグネトロン駆動用電源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記従来の課題を解決するために、本発明のマグネトロン駆動用電源は、制御基板と、前記制御基板上に電源の電力を高周波に変換するための半導体スイッチング素子およびコンデンサを含むインバータ回路と、前記インバータ回路により高周波化された電力を高圧に変換しかつ高圧を必要とするマグネトロンに電力を供給する昇圧トランスと、前記制御基板のアースを取るためのアースリード線が制御基板に実装されており、前記アースリード線を固定させるための固定用部材が前記制御基板上に備えたものである。これにより、アースリード線を簡単に固定することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のマグネトロン駆動用電源によれば、制御基板上にアースリード線を固定させるための固定用部材を用いることにより、簡単にアースリード線を固定させることでき、アースリード線を他部品もしくは他のアース箇所へ接触させずに通電検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1におけるマグネトロン駆動用電源の固定用部材の構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態2におけるマグネトロン駆動用電源の固定用部材の構成を示す図
【図3】本発明の実施の形態2におけるマグネトロン駆動用電源の固定用部材の形状を示す図
【図4】本発明の実施の形態3におけるマグネトロン駆動用電源の固定用部材の構成を示す図
【図5】従来のマグネトロン駆動用電源の構成を示すブロック構成図
【図6】従来のマグネトロン駆動用電源のアースを取るためのアースリード線の構成を示す図
【図7】従来のマグネトロン駆動用電源の通電検査方法を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1の発明は、制御基板上に電源の電力を高周波に変換するための半導体スイッチング素子およびコンデンサを含むインバータ回路と、前記インバータ回路により高周波化された電力を高圧に変換しかつ高圧を必要とするマグネトロンに電力を供給する昇圧トランスと、前記昇圧トランスのアースを取るためのアースリード線が制御基板に実装されており、前記アースリード線を固定させるための固定用部材が前記制御基板上に備えている構成としたものである。これにより、アースリード線を簡単に固定することができる。
【0018】
第2の発明は、特に第1の発明において、固定用部材の構成がタブ端子を用いたものである。これにより、アースリード線の先端部がリセクタプルタイプの場合にアースリード
線を容易に固定させることができる。
【0019】
第3の発明は、特に第1の発明において、固定用部材の上方部に隙間を設けたものである。これにより、アースリード線の端子部を収納でき、アースリード線を容易に固定させることができる。
【0020】
第4の発明は、特に第1の発明において、固定用部材のアースリード線を挿入させる箇所が二つに割れて弾力性を持たせる構成としたものである。これにより、容易にアースリード線を挿入しやすく固定することができる。
【0021】
第5の発明は、特に第1の発明において、制御基板に孔を設けており、この孔に固定用部材を係合する構成としたものである。この固定用部材が孔と結合する先の部分が割れて弾力性を持たせたことより、基板への取り付け、取り外しを容易に行うことができる。
【0022】
第6の発明は、特に第1から第5のいずれか一つの発明において、制御基板のアースを取るためのアースリード線の端子部がリセプタクルタイプを用いたものである。これにより、固定用部材をタブ端子にするなどの工夫により容易に基板に固定することができる。
【0023】
第7の発明は、特に第1から第5のいずれか一つの発明において、制御基板のアースを取るためのアースリード線の端子部が丸型端子を用いている構成としたものである。これにより、固定用部材に丸型端子を挿入できる形にするなどの工夫により容易に基板に固定することができる。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態は、本発明を具現化した単なる例示に過ぎず、本発明は特許請求の範囲に記載した構成の範囲で変更を加えた種々の態様を含むものである。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる電気機器の構成を示した図であり、図1(a)は、アースリード線6を固定用部材8に実装していない状態、図1(b)は、アースリード線6を固定用部材8に実装した状態をそれぞれ示す。
【0026】
本実施の形態の電気機器の構成は、制御基板7のアースを確実に取るためにアースリード線6の先端部はタブ端子(固定用部材)に直接固定できるリセクタプルタイプを使用している。また、この同一制御基板上7に、この制御基板の性能とは関係しない、もしくは制御基板7のアースパターンに接続されている固定用部材8が実装されている。
【0027】
この固定用部材8がアースリード線の固定用部材8として使用される。つまり、このアースリード線6を使用しない場合、通電検査を行ときなどは、固定用部材8にアースリード線をそのままこの固定用部材8に挿入することにより、アースリード線6を固定することができ、たとえ通電検査時においても、他部品もしくは他のアース箇所へ接触させず、通電検査を行うことができる。
【0028】
(実施の形態2)
図2は、図1に示した上記実施の形態1のアースリード線6とアースリード線6の固定用部材8の種類を変更した、本発明の実施の形態2のマグネトロン駆動用電源を示した図であり、図2(a)は、アースリード線6を固定用部材8に実装していない状態、図2(b)は、アースリード線6を固定用部材8に実装した状態をそれぞれ示す。
【0029】
図2を参照して説明する。本実施の形態の電気機器の構成は、制御基板7のアースを確
実に取るためにアースリード線6の先端部は丸型端子を用いており、この丸型端子の穴にビスを挿入しアースをとる構成としている。
【0030】
図3は、本実施の形態におけるマグネトロン駆動用電源の固定用部材の形状を示す図であり、図3(a)はその正面図、図3(b)はその上面図である。
【0031】
図3に示すように、この同一制御基板上7にアースリード線6の固定用部材8が実装されている。この固定用部材8の形状は、上方部に隙間を設けており、さらにバネ性を持った構造となっていることにより、アースリード線6の丸型端子をそのまま収納でき、容易には外れない構造となっている。
【0032】
アースリード線6を使用しない通電検査を行ときなどは、アースリード線6をそのままこの固定用部材8に挿入することにより、アースリード線6を固定することができ、たとえ通電検査時においても、他部品もしくは他のアース箇所へ接触させず、通電検査を行うことができる。
【0033】
(実施の形態3)
図4は、図1、図2に示した上記実施の形態1、2のアースリード線の固定用部材の種類を変更した、本発明の実施の形態2のマグネトロン駆動用電源を示した図であり、図4(a)は、アースリード線6を固定用部材8に実装していない状態、図4(b)は、アースリード線6を固定用部材8に実装した状態をそれぞれ示す。
【0034】
図4を参照して説明する。本実施の形態の電気機器の構成は、制御基板上に制御基板7のアースリード線6とこのアースリード線6を固定するための固定用部材8が実装されおり、この固定用部材8が制御基板7の孔と結合する先の部分が割れて弾力性を持たせていることより、制御基板7への取り付け、取り外しが可能である。
【0035】
さらに、固定用部材8にアースリード線6を挿入させる箇所は、二つに割れており弾力性を持たせる構成としていることにより、容易にアースリード線6を固定用部材8へ挿入しやすく容易に固定することができる。
【0036】
また、爪のようなストッパーを設けていることにより、挿入はしやすいが、容易にはずすことが出来ないような構成となっている。
【0037】
以上、本発明の各種実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更・応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上のように、本発明にかかるマグネトロン駆動用電源は、電子レンジ等のマイクロ波加熱装置に適用できるものであり、制御基板上にアースリード線を固定させるための固定用部材を用いることにより簡単にアースリード線を固定させることでき、アースリード線を他部品もしくは他のアース箇所へ接触させずに通電検査を行うことができる。
【符号の説明】
【0039】
1 単方向電源部
2 インバータ回路部
3 駆動回路
4 高圧整流回路
5 マグネトロン
6 アースリード線
7 プリント基板
8 固定用部材
9 インサーキットテストピン
101 商用電源
102 ダイオードブリッジ
103 チョークコイル
104 コンデンサ
201 共振コンデンサ
202 半導体スイッチング素子
203 転流ダイオード
204 昇圧トランス
205 半導体スイッチング素子
401、402 コンデンサ
403、404 ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御基板と、前記制御基板上に電源の電力を高周波に変換するための半導体スイッチング素子およびコンデンサを含むインバータ回路と、前記インバータ回路により高周波化された電力を高圧に変換しかつ高圧を必要とするマグネトロンに電力を供給する昇圧トランスと、前記制御基板のアースを取るためのアースリード線が制御基板に実装されており、前記アースリード線を固定させるための固定用部材が前記制御基板上に備えたマグネトロン駆動用電源。
【請求項2】
前記固定用部材がタブ端子である請求項1に記載のマグネトロン駆動用電源。
【請求項3】
前記固定用部材が、上方部に隙間を設けていることにより、アースリード線の端子部を収納できる請求項1に記載のマグネトロン駆動用電源。
【請求項4】
前記固定用部材が、アースリード線を挿入させる箇所が二つに割れて弾力性を持たせた請求項1に記載のマグネトロン駆動用電源。
【請求項5】
前記固定用部材が、制御基板の孔に係合する部分が割れて弾力性を有する請求項1、3または4に記載のマグネトロン駆動用電源。
【請求項6】
前記制御基板のアースを取るためのアースリード線の端子部がリセプタクルタイプである請求項1から5のいずれか1項に記載のマグネトロン駆動用電源。
【請求項7】
前記制御基板のアースを取るためのアースリード線の端子部が丸型端子である請求項1から5のいずれか1項に記載のマグネトロン駆動用電源。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図1】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−60628(P2011−60628A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210074(P2009−210074)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】