説明

マグネトロン駆動電源

【課題】マグネトロン駆動用電源を小型化すること。
【解決手段】放熱板6と放熱板6に取り付けられた整流素子101とスイッチング素子205との間にシャント抵抗5が配設され、放熱板6の基板7側の切片601が前記シャント抵抗5側になっていることを特徴とすることにより、これによって、放熱板6と整流素子101、スイッチング素子205との間隔を広く取ることができ、その間にシャント抵抗5を配設しても十分な絶縁距離を確保することができ、マグネトロン駆動電源の小型化に寄与することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインバータ方式のマグネトロン駆動電源の小型化とその絶縁距離確保に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のマグネトロン駆動電源はシャント抵抗を用いることにより電源の小型化を図っている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図2は、特許文献1に記載された従来のマグネトロン駆動電源を示すものである。図2に示すように、整流素子101を含む単方向電源部1と、スイッチング素子205を含むインバータ部2と、高圧整流部3と、マグネトロン4と、シャント抵抗5から構成されている。
【0004】
またこれらは図3に示すように整流素子101、スイッチング素子205(図示せず)が放熱板6に取り付けられている。
【特許文献1】特開2004−319134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、スペース効率を上げるためにシャント抵抗5が放熱板6と整流素子101とスイッチング素子205の間に配設された場合、特に200V系などの絶縁距離を100V系よりも必要とされる場合など、必要な絶縁距離がとりにくいという課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、小型でかつ必要な絶縁距離を確保したマグネトロン駆動電源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明のマグネトロン駆動電源は、商用電源を単方向に変換する単方向電源部と、前記単方向電源部の交流電源を全波整流する整流素子と、少なくとも1個の半導体スイッチング素子と、前記整流素子と半導体スイッチング素子を取り付けた放熱板と、前記単方向電源部の出力電流を測定できる個所に対して直列に介挿されるシャント抵抗と、前記半導体スイッチング素子をオン/オフすることにより前記単方向電源部からの電力を高周波電力に変換するインバータ部と、前記インバータ部の出力電圧を昇圧する昇圧トランスと、前記昇圧トランスの出力電圧を倍電圧整流する高圧整流部と、前記高圧整流部の出力を電磁波として放射するマグネトロンとを具備するマグネトロン駆動電源において、前記放熱板と前記放熱板に取り付けられた前記整流素子とスイッチング素子との間に前記シャント抵抗が配設され、前記放熱板の基板側の切片が前記シャント抵抗側になっていることを特徴としたものである。
【0008】
これによって、放熱板と整流素子、スイッチング素子との間隔を広く取ることができ、その間にシャント抵抗を配設しても十分な絶縁距離を確保することができ、マグネトロン駆動電源の小型化に寄与することができる。
【0009】
また、本発明のマグネトロン駆動電源は、前記放熱板が前記整流素子の端子の根元部から間隔を有してU字型の構成になるようにしたことを特徴としたものである。
【0010】
これによって、前記整流素子の端子根元と放熱板との絶縁距離を確保しつつ、かつ、前記構成による放熱性の阻害を改善することが可能となる。
【0011】
また、本発明のマグネトロン駆動電源は、前記放熱板の基板上の曲率をR1mm以上としたものである。
【0012】
これによって、シャント抵抗と放熱板との絶縁距離を確保しながら、マグネトロン駆動用電源の運搬中などの落下振動時における基板のクラックなどを防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のマグネトロン駆動用電源は、電源の小型化を実現しつつ必要な絶縁距離を確保した安全なマグネトロン駆動用電源を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
第1の発明は商用電源を単方向に変換する単方向電源部と、前記単方向電源部の交流電源を全波整流する整流素子と、少なくとも1個の半導体スイッチング素子と、前記整流素子と半導体スイッチング素子を取り付けた放熱板と、前記単方向電源部の出力電流を測定できる個所に対して直列に介挿されるシャント抵抗と、前記半導体スイッチング素子をオン/オフすることにより前記単方向電源部からの電力を高周波電力に変換するインバータ部と、前記インバータ部の出力電圧を昇圧する昇圧トランスと、前記昇圧トランスの出力電圧を倍電圧整流する高圧整流部と、前記高圧整流部の出力を電磁波として放射するマグネトロンとを具備するマグネトロン駆動電源において、前記放熱板と前記放熱板に取り付けられた前記整流素子とスイッチング素子との間に前記シャント抵抗が配設され、前記放熱板の基板側の切片が前記シャント抵抗側になっていることを特徴とすることにより、これによって、放熱板と整流素子、スイッチング素子との間隔を広く取ることができ、その間にシャント抵抗を配設しても十分な絶縁距離を確保することができ、マグネトロン駆動電源の小型化に寄与することができる。
【0015】
第2の発明は、特に、第1の発明の放熱板を前記整流素子の端子の根元部から間隔を有してU字型の構成になるようにしたことを特徴とすることにより、前記整流素子の端子根元と放熱板との絶縁距離を確保しつつ、かつ、前記構成による放熱性の阻害を改善することが可能となる。
【0016】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の放熱板を基板上の曲率をR1mm以上とすることにより、シャント抵抗と放熱板との絶縁距離を確保しながら、マグネトロン駆動用電源の運搬中などの落下振動時における基板のクラックなどを防止することが可能となる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1、2、3の実施の形態におけるマグネトロン駆動用電源の要部側面図を示すものである。
【0019】
図1において、整流素子101とスイッチング素子205(図示せず)はアルミニュームなどの押出しで製造される放熱板6に配設され、スペース効率を上げるためにシャント抵抗5を前記整流素子101とスイッチング素子205(図示せず)の延長線上と放熱板6との間に略並行に配置した構成となっている。
【0020】
以上のように構成されたマグネトロン駆動用電源について、以下その動作、作用を説明する。
【0021】
まず、放熱板6の基板7側の切片601を整流素子101とスイッチング素子205(図示せず)の端子部に向けて対向させる事によりプリント基板7の制約の範囲内で放熱板6と整流素子101とスイッチング素子205(図示せず)の端子部の距離をとることができ、その空隙に必要な絶縁距離を確保しつつシャント抵抗5が配置できる。
【0022】
以上のように、本実施の形態においては放熱板6の基板7側の切片601を整流素子101とスイッチング素子205(図示せず)の端子部に向けて対向させる事とすることにより、放熱板6と整流素子101とスイッチング素子205(図示せず)の端子部の距離をとることができシャント抵抗5をその間に配置することにより、効果的な基板配置が可能となり電源の小型化が実現できる。
【0023】
(実施の形態2)
図1において、整流素子101のSIPパッケージは端子の根元から放熱板までの距離が短いため、従来から図3のように端子の突き出している面と放熱板6との面に段差をつけることにより絶縁距離(この場合沿面距離)を確保していた。しかしながら、図3の放熱板6の屈曲部602のように熱抵抗を上昇させるとともに、その構成上下側への熱伝達が少なかった。本発明の実施の形態2では、図1のようにこの部分603を基点に放熱板6をU字状に構成することで絶縁距離確保とともに、下側への熱伝達がU字状の部分の肉厚が従来例より厚くすることができ、放熱効果も優れる結果となる。
【0024】
以上のように、本実施の形態においては放熱板6を前記整流素子101の端子の根元部から間隔を有してU字型の構成になるようにすることにより、整流素子101と放熱板6の絶縁距離を確保しつつ整流素子6の冷却性能改善を図ることができる。
【0025】
(実施の形態3)
図1において、放熱板6の基板7側の切片601の基板面の曲率をR1以上にすることで、シャント抵抗5と基板7上を通した放熱板6までの絶縁距離(この場合沿面距離)を、曲率をとらない場合よりも多くとることができる。ここでR1の根拠は、通常使用される線状のシャント抵抗の直径は1mm程度であり、半径ではR0.5mmとなり、放熱板6側はその曲率よりも大きくとらなければこの効果は得ることができない。
【0026】
以上のように、本実施の形態においては放熱板6の基板7側の切片601の基板面の曲率をR1以上にすることで、沿面距離の確保と、またマグネトロン駆動電源の運搬時等の落下振動による基板のクラックなどを防止する効果もある。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上のように、本発明にかかるマグネトロン駆動用電源は、シャント抵抗を用いた電源の小型化、絶縁距離の確保が可能となるので、部品点数が多く、かつ、必要となる200V系の電源等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態1、2、3におけるマグネトロン駆動用電源の要部側面図
【図2】本発明、および従来の技術のマグネトロン駆動用電源の回路図
【図3】従来のマグネトロン駆動用電源の要部側面図
【符号の説明】
【0029】
5 シャント抵抗
6 放熱板
7 基板
101 整流素子
205 スイッチング素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源を単方向に変換する単方向電源部と、前記単方向電源部の交流電源を全波整流する整流素子と、少なくとも1個の半導体スイッチング素子と、前記整流素子と半導体スイッチング素子を取り付けた放熱板と、前記単方向電源部の出力電流を測定できる個所に対して直列に介挿されるシャント抵抗と、前記半導体スイッチング素子をオン/オフすることにより前記単方向電源部からの電力を高周波電力に変換するインバータ部と、前記インバータ部の出力電圧を昇圧する昇圧トランスと、前記昇圧トランスの出力電圧を倍電圧整流する高圧整流部と、前記高圧整流部の出力を電磁波として放射するマグネトロンとを具備するマグネトロン駆動電源において、前記放熱板と前記放熱板に取り付けられた前記整流素子とスイッチング素子との間に前記シャント抵抗が配設され、前記放熱板の基板側の切片が前記シャント抵抗側になっていることを特徴とするマグネトロン駆動電源。
【請求項2】
放熱板は前記整流素子の端子の根元部から間隔を有してU字型の構成になるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のマグネトロン駆動電源。
【請求項3】
放熱板は基板上の曲率をR1mm以上とした請求項1または2に記載のマグネトロン駆動電源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−324027(P2006−324027A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−143762(P2005−143762)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】