説明

マスカラ下地化粧料

【課題】マスカラを塗布する前にまつ毛に塗布することにより、マスカラを用いた時に、よりまつ毛にボリューム感やカール力、ロング効果を付与することができ、しかも白残りがないマスカラ下地化粧料を提供する。
【解決手段】(a)黒色着色ナイロンファイバーを0.1〜4.0質量%と、(b)シリコーン化多糖化合物を0.03〜6質量%と、(c)ワックスを3〜30質量%と、(d)デキストリン脂肪酸エステルを3〜30質量%と、を配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマスカラ下地化粧料に関し、さらに詳しくは、マスカラの下地として用いることで、マスカラを用いた時のまつ毛のボリューム感やカール力、ロング効果を向上させるマスカラ下地化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
まつ毛をより魅力的に魅せるには、まつ毛のカールアップやボリュームアップによる印象的なまつ毛を作り上げることが必須である。そのためマスカラ下地化粧料が好まれて使用されており、種々の原料の配合が検討されてきた。
しかし、まつ毛のカール力・カールキープ力を得るためにはワックスを多量配合する必要があり、その結果基剤がより白くなるという欠点があった。また、上に乗せるマスカラをより印象的に魅せるためにある程度多くの量が付かなくてはならない。そのボリューム感を得るために多くのマスカラ下地化粧料はナイロン繊維を配合しているが(例えば特許文献1参照)、下地の量が多くなるほどマスカラをきちんと塗布できないと白残りしてしまったり、多くのマスカラ液で被覆しようとするとダマ付きしてしまうなどの問題点があった。
このため、下地基剤に黒色剤を配合することが考えられるが、単純に黒色剤と繊維を配合するだけでは滲んでしまったり、黒色剤の重さによって、満足できるカール力を維持することが出来ないという欠点があった。また繊維を配合しないマスカラ用下地化粧料も開発されているが(例えば特許文献2)、上からマスカラを塗布した時のカール効果、ボリューム効果、ロング効果が不十分であった。
一方、黒色着色短繊維が開発され(特許文献3参照)、マスカラ等の化粧料に応用することが試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−322913
【特許文献2】特開2002−334819
【特許文献3】特開2007−39861
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記のような事情に鑑み、マスカラのツキがよくてボリューム効果およびロング効果に優れ、しかも白残りを改善したマスカラ下地化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
マスカラ下地を繊維未配合で用いた場合、下地そのものは白く、まつ毛へのツキも少なく、その上に重ねるマスカラをより魅力的に魅せるためのボリューム感を得ることが出来ない。繊維を加えることによってボリューム感といった効果を得ることは出来るが、そのボリュームのある下地をきちんとマスカラ液でコーティング出来なければ、白さがより目立ち、ダマ付きといった他の問題を起こす結果になる。
そこで配合する繊維を従来用いられていた白いナイロンファイバーではなく、黒繊維を配合し、併せて特定成分の組み合わせとすることで、下地化粧料自身の白さが目立たなくなり、しかもボリューム感やカール力はそのままのマスカラ下地化粧料を得ることができることを見出し、本願発明を完成するに至った。
【0006】
本発明は、
(a)黒色着色ナイロンファイバーを0.1〜4.0質量%と、
(b)シリコーン化多糖化合物を0.03〜6質量%と、
(c)ワックスを3〜30質量%と、
(d)デキストリン脂肪酸エステルを3〜30質量%と、
を含有することを特徴とするマスカラ下地化粧料である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のマスカラ下地化粧料は、マスカラを塗布する前にまつ毛に塗布することにより、マスカラを用いた時に、よりまつ毛にボリューム感やカール力、ロング効果を付与することができ、しかも白残りが改善されたものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
黒色着色繊維を用いることで、上からマスカラを用いた時に、ボリューム感やカール力はそのままで、白残りしないマスカラ下地化粧料を得ることができ、さらにシリコーン化多糖化合物を併せて配合することで、まつ毛とマスカラ下地液と繊維の密着性を高め、ボリューム効果やカール効果、ロング効果をより高めることができる。
【0009】
((a)黒色着色ナイロンファイバー)
本発明で用いられる(a)黒色着色ナイロンファイバーは、特にカーボンブラック着色ナイロンファイバーが好ましい。
また、本発明のナイロンファイバーはさらに各種の表面処理をすることが可能である。撥水化表面処理の例としては、例えばメチルハイドロジェンポリシロキサン処理、シリコーンレジン処理、シリコーンガム処理、アクリルシリコーン処理、フッ素化シリコーン処理などのオルガノシロキサン処理、ステアリン酸亜鉛処理などの金属石鹸処理、シランカップリング剤処理、アルキルシラン処理などのシラン処理、有機チタネート処理、有機アルミネート処理、パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロアルキルリン酸エステル塩、パーフルオロポリエーテル処理などのフッ素化合物処理、N−ラウロイル−L−リジン処理などのアミノ酸処理、スクワラン処理などの油剤処理、アクリル酸アルキル処理などのアクリル処理などが挙げられ、これらの1種以上を組み合わせて使用することが可能である。
また、親水化表面処理の例としては、寒天処理、デオキシリボ核酸処理、レシチン処理、ポリアクリル酸処理、シリカ処理、アルミナ処理、ジルコニア処理などが挙げられる。
【0010】
本発明で用いられるナイロンファイバーとしては、例えば、ブラックファイバーR(1mm/3.3T)(大東化成工業社製)、ブラックファイバーR(2mm/11T)(大東化成工業社製)が挙げられる。本発明においては、これらの黒色着色ナイロンファイバーの長さの異なる組み合わせを用いるのが好ましく、特に、長さ0.8〜1.2mmのものと長さ1.8〜2.2mmのものを、0.8〜1.2mm:1.8〜2.2mm=8.5〜9.5:1.5〜0.5の割合で用いるのが良い。
【0011】
本発明において、黒色着色ナイロンファイバーの合計配合量は0.1〜4.0質量%であり、好ましくは0.5〜3.0質量%であり、最も好ましくは2〜4質量%である。(e)ファイバーの配合量が0.5質量%未満では白残りがしたり、あるいは黒色色剤を使って白残りを防ごうとするとにじみが生じる。(e)ファイバーの配合量が10質量%を超えると、パサつきが生じてツキが悪くなる。
【0012】
((b)シリコーン化多糖化合物)
本発明において用いられるシリコーン化多糖化合物は、下記一般式(1)で示される。
【0013】
【化1】

【0014】
(式中、Gluは多糖化合物の糖残基、Xは2価の結合基、Yは2価脂肪族基を意味し、R1は炭素数1〜8の1価有機基、R2、R3、R4はそれぞれ炭素数1〜8の1価有機基又は−OSiR567で示されるシロキシ基を意味する。ただし、R5、R6、R7はそれぞれ炭素数1〜8の1価有機基、aは0、1又は2を意味する。)
【0015】
一般式(1)において、Gluは多糖化合物の糖残基を表すが、このような多糖化合物としては、公知の各種多糖化合物を用いることができ、例えば、セルロース、ヘミセルロース、アラビアガム、トラガントガム、タマリンドガム、ペクチン、デンプン、マンナン、グアーガム、ローカストビーンガム、クインスシードガム、アルギン酸、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、デキストラン、プルラン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸の他、これら多糖化合物の誘導体、例えば、カルボキシメチル化、硫酸化、リン酸化、メチル化、エチル化、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの付加、アシル化、カチオン化、低分子量化等を行った多糖化合物誘導体が挙げられる。これらの内、好ましくはエチルセルロース又はプルランであり、特に好ましくはプルランである。なお、本発明において多糖化合物の平均分子量は多糖化合物の種類により異なるが、通常約1,000〜5,000,000が好ましい。
【0016】
これらの多糖化合物はその種類に応じて水酸基、カルボキシル基等の反応性官能基の1種又は2種以上を少なくとも1つ以上含有している。Xで示される2価結合基は、この多糖化合物の有する反応性官能基と、下記一般式(2)で示されるシリコーン化合物とを反応させることにより形成されるA由来の結合基である。なお、このようなシリコーン化合物と多糖化合物との反応には、従来より公知の方法を用いることができる。
【0017】
【化2】

【0018】
上記式中、Y、R1、R2、R3、R4及びaは前記一般式(1)と同じである。また、Aは多糖化合物の反応性官能基と反応しうる官能基であり、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アミノ基、イミノ基、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基等が挙げられる。
【0019】
Xを例示すると、カルバモイル基、−CH2CH(OH)−、カルボニル基、アミノ基、エーテル基等が挙げられるが、反応性の点から、Aがイソシアネート基(O=C=N−)である前記一般式(2)の化合物と、多糖化合物の水酸基が反応して形成される、カルバモイル基(−CONH−)であるものが好ましい。なお、この場合の多糖化合物の糖残基はイソシアネート基と反応している水酸基の水素原子を除いた多糖化合物の残り部分を意味する。また、その他の反応の場合にも、多糖化合物の糖残基とはこれに準ずるものを意味する。
【0020】
Yで示される2価の脂肪族基としては、アルキレン基、主鎖中に酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有するアルキレン基、主鎖中にフェニレン基等のアリーレン基を有するアルキレン基、主鎖中にカルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基を有するアルキレン基を挙げることができる。これらの2価脂肪族基はヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基等の置換基を有することができ、また、脂肪族基の末端原子が酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子であってもよい。Yを例示すると、−(CH22−、−(CH23−、−(CH24−、−(CH26−、−(CH28−、−[CH2CH(CH3)]−、−(CH22O(CH23−、−CH2CH(OH)−CH2−等が挙げられるが、好ましくは−(CH23−で示されるプロピレン基である。
【0021】
前記一般式(1)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7に見られる炭素数1〜8の1価有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、3,3,3-トルフロロプロピル基等のフッ化アルキル基等を例示することができる。
【0022】
また、R2、R3、R4はそれぞれ−OSiR567で示されるシロキシ基であってもよい。このようなシロキシ基としては、トリメチルシロキシ基、エチルジメチルシロキシ基、フェニルジメチルシロキシ基、ビニルジメチルシロキシ基、3,3,3-トリフルオロプロピルジメチルシロキシ基等が例示される。なお、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7は同一又は異なっていても良いが、本発明のシリコーン化多糖化合物においては、a=0で、R2、R3、R4がメチル基であることが特に好ましい。
【0023】
本発明において用いるシリコーン化多糖化合物として、特に好ましいものは下記式(3)で示されるトリ(トリメチルシロキシ)シリルプロピルカルバミド酸プルランである。なお、式(3)中、PLはプルランのグルコース残基を表す。
【0024】
【化3】

【0025】
なお、本発明の(b)シリコーン化多糖化合物において、多糖化合物の反応性官能基に対するシリコーン化合物の結合割合はその種類によって異なるが、通常、多糖化合物の構成糖1単位当たりのシリコーン化合物の平均結合数(置換度)が0.5〜3.0であることが好適である。なお、本発明において置換度は化合物中のSi含有量(質量%)から換算したものである。
なお、(b)シリコーン化多糖化合物の配合の際には、低分子量シリコーン油や軽質イソパラフィンに溶解して配合すると、配合のし易さや使用感等を高めることができる。
【0026】
これらの(b)シリコーン化多糖化合物は必要に応じて1種又は2種以上用いることができる。またシリコーン化多糖化合物の市販品としては、例えばTSPL−30−D5(トリ(トリメチルシロキシ)シリルプロピルカルバミド酸プルラン、信越化学工業社製、30wt%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)が挙げられる。
【0027】
(b)シリコーン化多糖化合物の好ましい配合量は、実分で、0.03〜6質量%であり、好ましくは0.15〜3質量%であり、最も好ましくは0.15〜0.6質量%である。(b)シリコーン化多糖化合物の配合量が少なすぎると、ツキが悪くなる。また多すぎると、ゲルに強い曳糸性が現れ、操作性状での不具合が生じ、またペタペタとした質感が強くなり乾きの遅さや二次付着などの原因となる。
【0028】
((c)ワックス)
本発明のマスカラ下地化粧料で用いられるワックスとしては、例えば、例えば、オゾケライト,パラフィン,セレシン,マイクロクリスタリンワックス,ポリエチレンワックス等の炭化水素系ワックス、モクロウ,硬化ヒマシ油等の固体油脂、ミツロウ,キャンデリラワックス,カルナバロウ,綿ロウ,鯨ロウ,モンタンロウ,ヌカロウ,ジョジョバロウ等の動植物系ワックス、シリコーンワックス等が挙げられる。これらのワックスは、一種又は二種以上が用いられる。このうち特に、ポリエチレンワックスおよびマイクロクリスタリンワックスが好ましい。
【0029】
(c)ワックスの好ましい配合量は、3〜30質量%であり、好ましくは8〜20質量%であり、最も好ましくは12〜16質量%である。(c)ワックスの配合量が3質量%未満では、マスカラとして好ましいチキソトロピー性(ブラシへの中味液の採取性と塗布時の引き伸ばし性)が得られず、また30質量%を越えると、中味液が強固となり、均一に塗布することが困難となるのと同時につやも減少しマットな質感となる。
【0030】
((d)デキストリン脂肪酸エステル)
本発明で用いられる(d)デキストリン脂肪酸エステルは、特に炭素数8〜24の脂肪酸と、平均重合度10〜50のデキストリンとのエステル化合物からなるゲル化剤であって、そのエステル置換度が1グルコース当たり0.5以上であることが好ましい。例えば、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリンパルミチン酸ステアリン酸エステル、デキストリンオレイン酸エチル、デキストリンイソステアリン酸エステル等が挙げられ、これらの一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。
(a)デキストリン脂肪酸エステルとしては特にデキストリンパルミチン酸エステルが好ましく、例えば市販品として、レオパール KL(千葉製粉株式会社製)を用いることが出来る。
【0031】
(d)デキストリン脂肪酸エステルの含有量は、マスカラ下地化粧料全量の3〜30質量%であり、好ましくは7〜20質量%であり、より好ましくは11〜15質量%である。(d)デキストリン脂肪酸エステルの配合量が3質量%未満ではツキが悪く、安定性にも欠けるようになり、30質量%を越えるとダマができるようになる。
【0032】
本発明のマスカラ下地化粧料においては、上記必須成分の他に、揮発油分、不揮発油分、粉末が用いられる。また、上記(b)成分以外の皮膜剤を配合することができる。
【0033】
(b)成分以外の皮膜剤としては、例えば、トリメチルシロキシケイ酸、トリメチルシロキシシリルプロピルカルバミド酸、フッ素変成シリコーン、アクリルシリコーン等のシリコーン系樹脂やポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸アルキルのラテックス類、デキストリン、アルキルセルロースやニトロセルロース等のセルロース誘導体が挙げられる。
このうちトリメチルシロキシケイ酸が好ましく、市販品として例えばSSD−R2およびSSD−R2−H(信越化学社製)が挙げられる。
【0034】
揮発油分としては、環状シリコーン、揮発性直鎖状シリコーン、軽質イソパラフィン、塩化メチレン、フルオロカーボン、ヘキサン、シクロヘキサン、エーテル、トルエン、キシレン、アセトン、ベンゼン、テルペン類、水、1,3ブタンジオール、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどが挙げられ、このうち特に環状シリコーン、揮発性直鎖状シリコーン、軽質イソパラフィンが好ましい。軽質イソパラフィンとしては、例えば、アイソパーH(エクソンモービル有限会社製)が挙げられる。
【0035】
揮発油分の好ましい配合量は、10〜60質量%であり、特に30〜40質量%が好ましい。
【0036】
不揮発油分としては、例えば、アボガド油,ツバキ油,タートル油,マカデミアナッツ油,トウモロコシ油,ミンク油,オリーブ油,ナタネ油,卵黄油,ゴマ油,パーシック油,小麦胚芽油,サザンカ油,ヒマシ油,アマニ油,サフラワー油,綿実油,エノ油,大豆油,落花生油,茶実油,カヤ油,コメヌカ油,シナギリ油,日本キリ油,ホホバ油,胚芽油,トリグリセリン,トリオクタン酸グリセリン,トリイソパルミチン酸グリセリン等の液状油脂、流動パラフィン,スクワレン,スクワラン,プリスタン等の炭化水素油、オレイン酸,トール油,イソステアリン酸等の高級アルコール脂肪酸、ラウリルアルコール,オレイルアルコール,イソステアリルアルコール,オクチルドデカノール等の高級アルコール、ジメチルポリシロキサン,メチルフェニルポリシロキサン,メチルハイドロジェンポリシロキサン,デカメチルポリシロキサン等のシリコーン、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルなどのエステル油等が挙げられ、好ましくはポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルなどのエステル油、およびイソステアリン酸である。
【0037】
粉末としては、例えば体質顔料、白色顔料、有色顔料、有機粉末、パール剤、有機色素等が使用可能である。具体的には、タルク、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、亜鉛華、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ナイロン粉末、シルクパウダー、ウレタンパウダー、球状シリコーン樹脂粉末のようなシリコンパウダー、雲母チタン、タール色素等が挙げられ、これらの粉体は本発明の効果を妨げない範囲で一般油剤、シリコーン油、フッ素化合物、界面活性剤等で処理したものも使用することができる。このうち特に、球状シリコーン樹脂粉末が好ましく、かかる球状シリコーン樹脂粉末としては、トスパール2000B(東芝シリコーン社製)が挙げられる。ただし、色剤については、カール力の維持、にじみ防止の観点から配合しないほうが好ましい。
【0038】
更に、本発明のマスカラ下地化粧料には、剤型の保持やモイスチュア効果等を付与するために、水、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1、3ーブチレングリコール、ポリエチレングリコール等の水性成分、及び塩基性物質、香料、防腐剤、美容剤、増粘剤等、通常化粧品に配合される他の成分を配合することができる。
【0039】
本発明によるマスカラ下地化粧料の剤型は特に限定されないが、油性化粧料であることが好ましい。
【実施例】
【0040】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。配合量については特に断りのない限り質量%を示す。
実施例の説明に先立ち本発明で用いた効果試験方法について説明する。
【0041】
(1)使用性の評価試験
10名の専門パネルによる実使用性試験を行った。各試料をマスカラ下地化粧料として使用し、その上からマスカラを使用した時の使用性を評価した。
使用性項目は、マスカラ下地化粧料のツキ、まつ毛のカール力、マスカラ下地化粧料のにじみ、マスカラ下地化粧料の白残りのなさであり、それぞれの評価項目について、下記の評価点基準に基づいて5段階官能評価(スコア)した。そのスコア平均値により、下記評価基準で判定した。
【0042】
(スコア)
5点:非常に優れている。
4点:優れている。
3点:普通。
2点:劣る。
1点:非常に劣る。
【0043】
(評価基準)
◎:評価値(平均値)4.0以上5.0点以下
○:評価値(平均値)3.0以上4.0点未満
△:評価値(平均値)2.0以上3.0点未満
×:評価値(平均値)1.0以上2.0点未満
【0044】
(2)安定性の評価試験
25℃、1ヶ月保存後の被験試料の状態を下記評価基準に従って目視にて評価した。
(評価基準)
◎:非常に安定
○:安定
△:やや分離がみられる
×:分離している
【0045】
試験例1〜16
次の表1、表2に示すような種々のマスカラ下地化粧料を常法により調製し、上記の方法で使用性および安定性を評価した。その結果を併せて表1、表2に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
※1:レオパール KL(千葉製粉株式会社製)
※2:SSD−R2(信越シリコーン株式会社製)
※3:TSPL−30−D5(トリ(トリメチルシロキシ)シリルプロピルカルバミド酸プルラン(30質量%)−デカメチルシクロペンタシロキサン(70質量%)溶液、信越化学工業社製、)
※4:ブラックファイバーR(1mm/3.3T)(大東化成工業社製)+ブラックファイバーR(2mm/11T)(大東化成工業社製)(9:1の質量比)
※5:ナイロンファイバー3.3T−1.0MM(コスメテリアルズ社製)
※a:ダマになる。
※b:パサつく。
※c:バサついて、繊維が落ちる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)黒色着色ナイロンファイバーを0.1〜4.0質量%と、
(b)シリコーン化多糖化合物を0.03〜6質量%と、
(c)ワックスを3〜30質量%と、
(d)デキストリン脂肪酸エステルを3〜30質量%と、
を含有することを特徴とするマスカラ下地化粧料。
【請求項2】
(b)シリコーン化多糖化合物がトリ(トリメチルシロキシ)シリルプロピルカルバミド酸プルランであることを特徴とする請求項1記載のマスカラ下地化粧料。

【公開番号】特開2011−46656(P2011−46656A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196991(P2009−196991)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】