説明

マスク製造方法

【課題】 従来数ナノメートル線幅を有するマスクを作る金型を、電子線露光法にて製作していたが、電子ビームのゆれのため製作が困難で又その検査も難しかった。又マスク自体をレジスト膜としては使用できなかった。
【解決手段】 拡大した金型を電子線露光法で製作し、高分子化合物の溶液を塗布し凍結して拡大した金型より剥離し、凍結乾燥した後溶液を再度含ませ、溶液が凍らない温度で乾燥する方法により乾燥縮小したマスクを製作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノインプリントリソラフイーに使用するマスク製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のナノインプリントリソラフイーに使用するマスクは、電子線露光装置にて製作していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2010−43249号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】 ナノインプラントのはなし 日刊工業新聞社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のナノインプリント用マスクを製作する金型は、電子線露光装置で製作していたので、線幅がナノ単位となると、電子ビームの正確な位置制御が困難であった。又そのマスクをレジスト膜に押し当てる速度、圧力の制卸が難しく、ひずみが生じたり又マスク製造やレジスト膜にマスクを押しあてる課程でランダムに破損箇所が発生していた。又マスクのあまりに微細パターンを検査するのが難しかった。
【0006】
本発明は、従来のナノインプリントリソラフイー用のマスクの持つこの問題に対処するもので、極めて軽く、マスク膜厚を精度よく制御しかつナノ単位の線幅のパターンが精度よくつくられるマスク製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして本発明は上記目的を達成するため、電子線露光装置で拡大した金型をまず作り、そこに強磁性体たとえば塩化鉄IIを含む高分子化合物又はオリゴマー溶液を塗布し、その溶液を凍結し、磁力により金型より剥離して、凍結した高分子化合物又オリゴマー溶液を真空中で凍結乾燥さす。次にここで使用している溶液の蒸気を吸収さし、溶液が液体の温度でゆっくり乾燥さして、縮小したマスクを得ている。
【発明の効果】
【0008】
本発明マスク製造方法は上記の様な形態をとっているので、拡大した金型に塗布した強磁性体を含有する高分子化合物又はオリゴーマ溶液を凍結し、いったん拡大した金型から剥離し、凍結乾燥した粗密度の高分子化合物又はオリゴマーに、同じ溶液を含ませ、この溶液が液体でいる温度で乾燥しているので、液体を介した高分子化合物又はオリゴマー間の分子間力にて一様に縮小したマスクが得られている。
【0009】
拡大した金型とマスク保持機構間に満たした強磁性体を含有する高分子化合物又はオリゴマーを凍結して拡大した金型から剥離し、凍結乾燥しているので、マスクの厚さと表面形状は正確に制御でき、又マスクにナノメートル級の線幅パターンも正確に製作できる効果がある。
【0010】
本発明方法によるマスクは極めて軽量であり、又マスク保持機構側の磁力又は電気力により、ウエハ又金型を製作する材料表面に、圧力をほとんどかけることなく密着できるので、この時マスクパターンの倒れや変形が生じない。そしてウエハ又は本発明方法によるマスクに紫外線硬化接着剤を極めて薄く塗布し、全面に紫外線を照射してウエハとこの本発明方法によるマスク又金型を製作する材料表面と本発明方法によるマスクとを固着することができる。
【0011】
ウエハが何回もの重ね合わせ作業により反り等の歪が生じても、表面の距離は変化しないので、本発明方法によるマスクは極めて薄く、ウエハの回路製作中心とマスクの中心部の位置合わせとそれぞれの直交2方向の方向性だけを合わせれば、ウエハの表面の起伏にそって本発明方法によるマスクが密着し、正確に位置合わせができる。
【0012】
又ウエハの回路製作部位の一辺の中心部と、本発明方法によるマスクの対応する一辺の中心部の位置合わせを行い、それぞれの直交2方向の方向性だけを合わせれば、ウエハの表面の起伏にそって本発明方法によるマスクが密着し、正確に位置合わせができる。
【0013】
球状半導体は、安価に製作できかつシリコンを有効に利用できる方法であるが、光学露光方法では線幅が1μm程度であった。
本発明方法によるマスクは、柔軟性を有するので、拡大球状金型からマスクを剥離する時、又球状シリコンにマスクを被せる時も、本発明方法によるマスク周辺縁を少し広げる事で、本発明方法によるマスクの周辺回路パターンの損傷なく実施でき、球状半導体にナノインプリントリソグラフイーが利用でき、球状半導体の集積度向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】 拡大した金型とマスク保持機構との間にある高分子化合物又はオリゴマー溶液の位置関係説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下本発明マスク製造方法の実施例を図1に基づいて説明する。
【実施例】
【0016】
拡大した金型1の表面とマスク保持機構2との間に塩化鉄IIを微量含んだポリビニールアルコール水溶液3を満たし
【0017】
マスク保持機構2内部にある多数の中空管4に、液体窒素より発生さした冷却用窒素ガスを流す。
このため、塩化鉄IIを微量含んだポリビニールアルコール水溶液3は瞬時に凍結し、水分はアモルフアス状態の氷となる。
【0018】
マスク保持機構2の背後にある電磁石5の磁力により、塩化鉄IIを微量含んだポリビニールアルコール水溶液3の凍結マスクを拡大した金型1より剥離する。
次にこの凍結された塩化鉄IIを微量含んだポリビニールアルコール水溶液からなるマスクを、磁力によりマスク保持機構2より剥離し、磁力か電気力により空中に保持する。そこで、この凍結マスクを凍結乾燥し、次いで、水が凍らない程度の温度の水蒸気雰囲気で包み、この凍結乾燥したマスクに水分を補給する。そして水が凍らない温度で乾燥さす。
【0019】
このようにして、拡大した金型より厚さが一定で、背面が平坦な均一に縮小したマスクが得られる。この時、マスク保持機構2と拡大した金型1にレーザー光を照射し、その両者より反射したレーザー光がなす干渉縞を測定して、その両者の距離を割りだして、マスク保持機構2の外側においている多数の素子とマスク保持機構2とに電気力又は磁力を発生さすことにより生じる引力又は反発力によりマスク保持構2と拡大した金型1間の距離を補正することで、より厚さが一定で均一に縮小したマスクが得られている。
【0020】
この乾燥縮小したマスクを、四辺に縁がある透明なマスク保持機構で持ち変えて乾燥縮小したマスクとマスク保持機構とを正確に位置合わせて保持し、このマスク保持機構の四辺の縁が、ちょうど入る大きさと深さの溝を有するウエハ上に移動さす。このウエハの溝は予め作っておき、その溝の中に位置合わ用マークも作製されている。
【0021】
このマスク保持機構の四辺の縁にも位置合わせ用マークが設定されていて、乾燥縮小したマスクの中央とウエハの重ね合わせる部分の中央が一致し、この乾燥縮小したマスクと重ね合わせるウエハの部分のX−Y軸方向が一致するように位置合わせしている。
又乾燥縮小したマスクの辺縁の一辺と対応するマスク保持機構の一辺が一致し、その両者のX−Y軸方向が一致するようにした実施例がある。
【0022】
この時乾燥縮小したマスクとウエハの露光表面とは約60μm程度離れているので、両者は接触せずに相対している。そしてこの乾燥縮小したマスクを電気力又は磁力で、マスク保持機構と平行にゆっくりと離され、ウエハ表面に接触さす。乾燥縮小したマスクとウエハがそれぞれの中央が一致するように重ね合わせを行った場合は、乾燥縮小したマスク中央が一番に、又それぞれの一辺の中央が一致するように重ね合わせを行った場合は、乾燥縮小したマスクの一致さした中央部が一番にウエハに接触さしている。
【0023】
この乾燥縮小したマスク又はウエハ露光表面に極めて薄い紫外線硬化接着樹脂を塗布しているので、マスク保持機構の背後より紫外線を照射すると、乾燥縮小したマスクを直接透過する場合と、照射された紫外線波長より細かなパターンを近接場光として紫外線硬化接着剤に到達して、乾燥縮小したマスクをウエハ露光面に固着さしている。
【0024】
このような作業をウエハ全面で繰り返して実施し、最後にOガスでドライエッチングし、乾燥縮小したマスクパターンをウエハ露光面に転写している。
【0025】
特許文献1に開示された有機溶剤たとえばトルエンに溶解した導電性ポリマーを拡大した金型1に塗布し、凍結して電気力で剥離又電気力でマスク保持機構2より剥離して空中に保持する。そして凍結乾燥さす、次にトルエン蒸気にてトルエンを含ませ、そして乾燥縮小したマスクを得る実施例がある。
【0026】
強磁性体として塩化鉄IIのかわりに、コバルト、ニツケル、ガドリウム等の強磁性体を使用した実施例がある。
【0027】
拡大した金型1とマスク保持機構2との間にある高分子化合物又はオリゴマー液を凍結し、これら全体を回転さすことによる遠心力で、拡大した金型1より凍結した高分子化合物又はオリゴマーを剥離する方法の実施例がある。
【0028】
拡大した球型金型に、電子線露光装置で回路を作製し、高分子化合物又はオリゴマー溶液を塗布し凍結して、磁力又は電気力で周辺から剥離し、おわん状のマスク保持機構で保持し、凍結乾燥後使用した溶液を含ませ乾燥縮小したマスクを、磁力又は電気力でもって周辺を少し広げて、球状半導体に被せる実施例がある。
【0029】
レーザー走査型露光装置で拡大した金型を作り、本発明方法を繰り返す事で、ナノ単位の回路パターンを有するマスクを製作する実施例がある。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明方法は、数ナノから数十ナノ単位の線幅を有する回路パターンのリソグラフイーに利用できる。
【符号の説明】
1 拡大した金型
2 マスク保持機構
3 塩化鉄IIを微量含んだポリビニールアルコール水溶液
4 中空管
5 電磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子化合物又はオリゴマーを溶媒に溶かして金型に塗布して凍結し、そして凍結乾燥した後に溶媒を吸収さして乾燥して作るマスク製造方法。
【請求項2】
高分子化合物又はオリゴマーを溶媒に溶かして金型に塗布し、その表面にふたを置き、金型とふたとの間にある高分子化合物又はオリゴマーの厚さとその表面の形状を制御している請求項1記載のマスク製造方法。
【請求項3】
金型を覆うふたの内部に中空のパイプを有し、そのパイプ内に冷却した気体又は液体を循環させる請求項2記載のマスク製造方法。
【請求項4】
高分子化合物又はオリゴマーの溶液中に強磁性体金属を含ませ凍結して磁力で、電導性高分子化合物又電導性オリゴマーを凍結して電気力で、又金型を回転さすことによる遠心力で、金型から凍結した高分子化合物又はオリゴマーを剥離する請求項1記載のマスク製造方法。
【請求項5】
高分子化合物又はオリゴマーを溶媒に溶かして金型に塗布し、急速凍結することで上記溶媒をアモルフアス状態とする特許請求項1記載のマスク製造方法。
【請求項6】
金型から剥離した凍結高分子化合物又はオリゴマー溶液を電気力又は磁力で空中に浮かして凍結乾燥し、そして溶媒を吸収さして、その後乾燥さす清求項1記載のマスク製造方法。
【請求項7】
金型とその表面のふたの間の距離を測定し、ふたの外側においている素子とふたの間に電気力又は磁力による力を働かせ、金型とその表面のふたの間の距離を補正して、マスクの厚さを一定に保っている請求項2記載のマスク製造方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−101527(P2012−101527A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280978(P2010−280978)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000181538)
【Fターム(参考)】