説明

マスク

【課題】耳に痛みが生じず、顔面との間に隙間ができず、ウイルスや微粉の人体への侵入を防止するマスクを提供する。
【解決手段】マスク部1と、該マスク部に接続された帯状のバンドと、該バンドにおけるマスク側に近い基端部に設けた基端側止着部と、自由端部に設けた自由端側止着部からなる止着部を有しており、バンド10が、首または後頭部を一回りし、さらに顔面にも巻付けうる長さを有している。バンド10における顔面に巻付けうる部位に、スリット3が形成されている。スリット3より上の上細帯8がマスクの上部を押え、かつ頬との隙間を塞ぎ、スリットより下の下細帯9が顎を押え、顎との間の隙間を塞ぐので、ウイルスや微粉の侵入防止効果が高い。しかも、人の口の前面は押えないので、息苦しくなることはない。しかも、バンドの締付け力は着用者が自分で自在に調整できるので、最適の締付け力が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクに関する。さらに詳しくは、ウイルスや微粉の侵入を阻止しやすいマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からあるマスクは、耳かけ用の紐を耳にかけて使用するもの(特許文献1)がほとんどである。
しかるに、耳かけタイプは、長時間使用したり、隙間を無くすように強く締めると耳に痛みが生じ、不快感を伴うことが多い。
【0003】
また、マスクには顔面との隙間を生じないようにするため立体的に成形したものがある(特許文献2)。
しかし、立体的に成形したマスクであっても、頬と鼻との間は谷間になった隙間ができやすく、ウイルスや微粉などが入りやすい。とくに、頬骨の出っ張った人や頬のこけた人には、隙間が生じやすいので、耳かけを強く締めても、隙間が無くならないばかりか、耳の痛みが更にひどくなるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−34618号公報
【特許文献2】特開2007−54381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、耳に痛みが生じず、締付け力を自在に調整でき、顔面との間に隙間ができず、ウイルスや微粉の人体への侵入を防止するマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明のマスクは、マスク部と、該マスク部に接続された帯状のバンドと、該バンドにおけるマスク側に近い基端部に設けた基端側止着部と、自由端部に設けた自由端側止着部からなる止着部を有しており、前記バンドは、少なくとも首または後頭部を一回り巻き付ける長さを有していることを特徴とする。
第2発明のマスクは、第1発明において、前記バンドが、首または後頭部を一回りし、さらに顔面にも巻付けうる長さを有していることを特徴とする。
第3発明のマスクは、第2発明において、前記バンドにおける顔面に巻付けうる部位に、人の口の前を避けて前記マスクの上部と下部を押えるように長手方向に沿って形成されたスリットにより分離された上細帯と下細帯が形成されていることを特徴とする。
第4発明のマスクは、第1発明において、前記バンドが、その長手方向に伸縮する伸縮性素材で作られていることを特徴とする。
第5発明のマスクは、第1発明において、前記止着部が、着脱自在かつ繰返し使用可能な面状ファスナ−で形成されていることを特徴とする。
第6発明のマスクは、第1発明において、前記止着部が、着脱自在に接着できる接着剤層で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
第1発明によれば、帯状のバンドを首または後頭部に一巻きしてマスクを顔面に固定できるので、耳を傷めることはない。また、バンドの締付け力は着用者が自分で自在に調整できるので、最適の締付け力が得られる。
第2発明によれば、帯状のバンドを首または後頭部に巻き、さらに顔面にも巻き付けるので、マスクをしっかり固定でき、かつマスクと頬との間の隙間も塞ぐことができる。よって、ウイルスや微粉の侵入防止効果が高い。
第3発明によれば、バンドに形成されたスリットより上の上細帯がマスクの上部を押えて頬との隙間を塞ぎ、スリットより下の下細帯が顎を押えて、顎との間の隙間を塞ぐので、ウイルスや微粉の侵入防止効果が高い。しかも、人の口の前面は押えないので、息苦しくなることはない。
第4発明によれば、バンドが伸び縮みするので、マスク部を顔面にしっかり押えつけ保持することができる。
第5発明によれば、面状ファスナ−を着脱することで、マスクの付け外しを容易に行え、かつ繰返し使用もできる。
第6発明によれば、接着剤層で接着したり剥離することで、マスクの付け外しを用意に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態に係るマスクの形状説明図である。
【図2】第1実施形態のマスクの使用状態説明図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係るマスクの形状説明図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係るマスクの形状説明図である。
【図5】第3実施形態のマスクの使用状態説明図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係るマスクの形状説明図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係るマスクの形状説明図である。
【図8】第5実施形態のマスクの使用状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
つぎに、本発明の各実施形態を図面に基づき説明する。
以下に第1〜第5実施形態のマスクを説明するが、これらは例示であって、本発明の技術思想を内包する限り、例示以外のものでも本発明に含まれるものである。
【0010】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態のマスクは、マスク部1とバンド10と止着部2(2a,2b)とからなる。
マスク部1は、不織布やガーゼその他の布からなり、平面的に裁断されたものでも、立体的に裁断されたものでもよい。本実施形態では、裁断は平面的であるが、縦形の2本のマチ1aを付けて立体的に構成している。また、マスク部1は複層構造にし、内部にウイルスや微粉をからめとる防菌素材を内蔵したものでもよい。
【0011】
バンド10は、マスク部1の片側から長く延びた帯状の部材である。
バンド10の素材はマスク部1と同じ素材を用いると、一体的に製造できるので、好ましく、たとえば不織布などが用いられる。
【0012】
バンド10の長さは、マスク部1を口に当てた状態で首あるいは後頭部を一巻きし、かつマスクを押えて、さらに頬まで届く長さである。
つまり、バンド10の基部(すなわちマスク部1につながる部分)から自由端までの長さが、バンド10が首と後頭部を一巻きして、さらに自由端が基端部に届く長さである。
【0013】
止着部2は、基端部側止着部2aと自由端側止着部2bとからなる。両止着部2a,2bとも面状ファスナ(商品名「マジックテープ(登録商標)」または「ベルクロ」など)を縫い付けたものである。
【0014】
バンド10には、その途中から自由端に向けてスリット3が形成されている。スリット3はバンド10の長手方向に沿っており、この部分のバンド10を上細帯8と下細帯9に分けている。
この上細帯8と下細帯9は、装着時に人の口の上と下に巻き付ける部分である。
【0015】
図2に基づきマスクAの使用方法を説明する。マスク部1を顔面の口に当て、バンド10を首の後または後頭部に回し掛け、さらにマスク部1の上から押えるように回し掛けて、自由端側止着部2bを基端側止着部2aに押し当てて止める。このとき、上細帯8はマスク部1の上部を押え、下細帯9はマスク部1の下部を押えるので、マスク部1と顔面との間に隙間が生じず、ウイルスや微粉が侵入することはない。
また、上細帯8と下細帯9は口の前を避けているので、息苦しくなることはない。
さらに、バンド10は耳の下を通り、耳を押えることもなく、耳の付け根に強く当ることもないので、バンド10をきつく締めても面圧が低く、耳の痛みも生じない。
しかも、バンドの締付け力は着用者が自分で自在に調整できるので、最適の締付け力が得られる。
【0016】
(第2実施形態)
図3に基づき第2実施形態のマスクを説明する。
本実施形態のマスクは、マスク部1とバンド10と止着部4とからなる。
止着部4は、第1実施形態と異なり接着剤層で構成されている。すなわち、基端側止着部4aも自由端側止着部4bも、接着剤(たとえば、ホットメルト接着剤など)を塗布したもので、使用前にはその上面に剥離紙を積層して保護するようにしている。用時には、剥離紙を剥がし取り、接着剤層同士を圧接すると、簡単には外れない程度に止着できる。
その余の構成は、第1実施形態と同様であるので、同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
【0017】
(第3実施形態)
図4に基づき第3実施形態のマスクを説明する。
本実施形態のマスクは、マスク部1とバンド10と止着部2とからなる。バンド10は伸縮性を有する素材であり、たとえば、伸縮性不織布などが用いられている。このように、伸縮性のあるバンド10であると、バンド10が伸び縮みするので、マスク部1を顔面にしっかり押えつけ保持することができる。
【0018】
バンド10に入れられたスリット5は短いもので、バンド10の自由端に至らず、両端が閉じたものである。このため、上細帯8と下細帯9が自由端側で離れることなく、一体となっている。このような形状であっても、口の前でマスク部1の上部と下部を押えることができる。
【0019】
止着部2は、面状ファスナを用いた、第1実施形態と同様である。
その余の構成は、第1実施形態と同様であるので、同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
【0020】
図5に基づきマスクAの使用方法を説明する。マスク部1を顔面の口に当て、バンド10を首の後または後頭部に回し掛け、さらにマスク部1の上から押えるように回し掛けて、自由端側止着部2bを基端側止着部2aに押し当てて止める。このとき、上細帯8はマスク部1の上部を押え、下細帯9はマスク部1の下部を押えるので、マスク部1と顔面との間に隙間が生じず、ウイルスや微粉が侵入することはない。しかも、バンドの締付け力は着用者が自分で自在に調整できるので、最適の締付け力が得られる。
また、上細帯8と下細帯9は口の前を避けているので、息苦しくなることはない。
さらに、バンド10は耳の下を通り、耳を押えることもなく、耳の付け根に強く当ることもないので、バンド10をきつく締めても面圧が低く、耳の痛みも生じない。
【0021】
(第4実施形態)
図6に基づき第4実施形態のマスクを説明する。
本実施形態は、第3実施形態において、止着部4として接着剤型を用いたものである。
その余の構成は、第3実施形態と同様であるので、同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
【0022】
(第5実施形態)
図7に基づき第5実施形態のマスクを説明する。
本実施形態のマスクは、マスク部1とバンド部11,12と止着部2(2a,2b)とからなる。
マスク部1は第1実施形態と同じである。
ハンドは、マスク部1の片側の短いバンド部11と反対側から延びる長いバンド部12からなる。バンド部11には面状ファスナ型の基端側止着部2aが設けられており、バンド部12の自由端にも面上ファスナ型の自由端側止着部2bが設けられている。
なお、止着部2は接着剤型であってもよい。また、バンド部11,12は伸縮性があってもなくてもよい。
その余の構成は、第1実施形態と同様であるので、同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
【0023】
図8に基づきマスクAの使用方法を説明する。マスク部1を顔面の口に当て、バンド10を首の後または後頭部に回し掛け、自由端側止着部2bを基端側止着部2aに押し当てて止める。このとき、マスク部1はマチ1aによって膨らむので、マスク部1の上縁と顔面との間に隙間が生じず、ウイルスや微粉が侵入することはない。
また、バンド10は耳の下を通り、耳を押えることもなく、耳の付け根に強く当ることもないので、バンド10をきつく締めても面圧が低く、耳の痛みも生じない。しかも、バンドの締付け力は着用者が自分で自在に調整できるので、最適の締付け力が得られる。
【符号の説明】
【0024】
1 マスク部
2 止着部
3 スリット
4 止着部
5 スリット
8 上細帯
9 下細帯
10 バンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク部と、
該マスク部に接続された帯状のバンドと、
該バンドにおけるマスク側に近い基端部に設けた基端側止着部と、自由端部に設けた自由端側止着部からなる止着部を有しており、
前記バンドは、少なくとも首または後頭部を一回り巻き付ける長さを有している
ことを特徴とするマスク。
【請求項2】
前記バンドが、首または後頭部を一回りし、さらに顔面にも巻付けうる長さを有している
ことを特徴とする請求項1記載のマスク。
【請求項3】
前記バンドにおける顔面に巻付けうる部位に、人の口の前を避けて前記マスクの上部と下部を押えるように長手方向に沿って形成されたスリットにより分離された上細帯と下細帯が形成されている
ことを特徴とする請求項2記載のマスク。
【請求項4】
前記バンドが、その長手方向に伸縮する伸縮性素材で作られている
ことを特徴とする請求項1記載のマスク。
【請求項5】
前記止着部が、着脱自在かつ繰返し使用可能な面状ファスナ−で形成されている
ことを特徴とする請求項1記載のマスク。
【請求項6】
前記止着部が、着脱自在に接着できる接着剤層で形成されている
ことを特徴とする請求項1記載のマスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−92348(P2011−92348A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248168(P2009−248168)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(390018832)東亜機工株式会社 (14)
【Fターム(参考)】