説明

マスタ携帯装置およびスレーブ携帯装置を備える通信システム

本発明は、第1の近距離通信機器および第1の無線通信機器を備え、カレントセッションを保持するマスタ携帯装置(100)と、第2の近距離通信機器および第2の無線通信機器を備え、第1および第2の無線通信機器間の通信リンク(140)を起動するために第1および第2の近距離通信機器が識別情報を交換するよう前記第1および第2の近距離通信機器を適合させ、前記通信リンク(140)を通じてカレントセッションに参加するのを第1および第2の無線通信機器によって可能にするスレーブ携帯装置(130)とを備えることを特徴とする通信システムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カレントセッションが保持するマスタ携帯装置と、このカレントセッションへの参加を希望する少なくとも1つのスレーブ携帯装置とを備える通信システムに関するものである。
【0002】
本発明は、また、この通信システムに備えられたマスタ携帯装置およびスレーブ携帯装置に関するものである。
【0003】
最後に、本発明は、マスタ携帯装置とスレーブ携帯装置との間の通信方法に関するものである。
【0004】
本発明は、例えば、携帯電話や、PDA(Personal Digital Assistant)の分野のアプリケーションが存在し、カレントセッションとは電話会議または音声/映像の再生である。
【背景技術】
【0005】
マスタ携帯電話と遠隔の通信装置との間で予め確立された通話にスレーブ携帯電話が参加するための従来の解決法では、通信事業者によって提供される電話会議といった追加のサービスを使用する必要がある。全ての通信事業者がこのサービスをサポートしているわけではない。ほとんどの場合、このサービスは、定期利用料や追加料金が必要である。
【0006】
このような解決法においては、電話会議を使用可能にしたいマスタ携帯電話が、
‐予め確立した通話を一時停止し、
‐参加するスレーブ携帯電話の電話番号を取得し、
‐このスレーブ携帯電話にダイアルし(この機能が、マスタ携帯電話および通信事業者によってサポートされていると仮定する。)、
‐このマスタ携帯電話とスレーブ携帯電話との間の第2の通話が確立するまで待機し、
‐通信事業者が提供する機構によってこの2つの通話をつなぐことが必要になる。
【0007】
同様の状況が、マスタ携帯電話の使用者が写真を撮り、それを送信したいときに起こりえる。以下のステップを実行する必要がある、すなわち、
‐マスタ携帯電話上で転送アプリケーションを読み込み/起動するステップ(ボタンを押しメニューから実行する)と、
‐スレーブ携帯電話を、「写真を受信する受け入れ状態」にするステップ(ボタンを押しメニューから実行する)と、
‐マスタ携帯電話とスレーブ携帯電話との間の通信リンクを確立するステップと、
‐通信が確立されたら、例えばボタンを押すことで、写真を送信するステップとを行う必要がある。
【0008】
上記の解決法は、使用者からの大きな介入を必要とするので、使用者の観点から、満足のいくものではなく、非常に複雑である。電話会議の例によると、現在のほとんどの携帯電話において第2の通話を確立することは、既に難題であり、この複雑さに加え、使用者が、通信事業者の電話会議のサービスをどのように起動するかを知らなければならない。実際、携帯電話の使用者は、ダイアル呼び出しや応答といった携帯電話が提供する基本的な機能についてはよく知っているものの、転送や電話会議といった高度な機能については、非常に不慣れである。
【0009】
さらに、これらの解決法は高価である。実際、追加の第2の通話は、呼び出し主に料金請求される。このような解決法は、マスタ携帯電話およびスレーブ携帯電話が一緒の場所にない場合には受け入れられるが、この2つの携帯電話が物理的に近くにある場合には、この限りではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、マスタ携帯装置の近くにあるスレーブ携帯装置が、このマスタ携帯装置が保持するカレントセッションに、従来技術より使用者にとって簡便な方法で参加するのを可能にする通信システムを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明により、第1の近距離通信機器および第1の無線通信機器を備え、カレントセッションを保持するマスタ携帯装置と、
第2の近距離通信機器および第2の無線通信機器を備え、第1および第2の無線通信機器間の通信リンクを起動するために第1および第2の近距離通信機器が識別情報を交換するよう前記第1および第2の近距離通信機器を適合させ、前記通信リンクを通じてカレントセッションに参加するのを第1および第2の無線通信機器によって可能にするスレーブ携帯装置とを備えることを特徴とする通信システムが提供される。
【0012】
結果として、近距離通信機器を互いに近づけると、携帯装置の使用者がこれ以外の介入をせずに、マスタ携帯装置とスレーブ携帯装置との間の通信が開始される。これは、従来技術のものより、使用者に対して非常に簡便な解決法である。
【0013】
第1および第2の近距離通信機器がNFC型のものであり、第1および第2の無線通信機器がBluetooth(登録商標)またはWi−Fiの送受信インターフェイスを備えていると有益である。こうして確立されるBluetooth(登録商標)またはWi−Fiの通信リンクは使用者に費用請求されないため、この解決法は高価ではない。
【0014】
また、本発明は、この通信システムに含まれるマスタ携帯装置と、この通信システムに含まれるスレーブ携帯装置と、このマスタ携帯装置およびスレーブ携帯装置間の通信方法とに関係が及ぶ。
【0015】
本発明の実施例により、マスタ携帯装置またはスレーブ携帯装置は、携帯装置に関連するコンテキストパラメータを保存するメモリを更に備え、前記コンテキストパラメータは、前記通信リンク上を送信されるデータを定め、前記コンテキストパラメータに応じてカレントセッションに参加する。
【0016】
本発明のこれらのおよび他の態様を、本明細書にて説明する実施例に関して明確に説明する。
【0017】
本発明を、一例として、添付の図面を参照して詳述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1を参照して、本発明による通信システムを電話会議の場合で示す。
【0019】
この通信システムは、例えば携帯電話であるマスタ携帯装置100を備える。無線接続125を介して、通信ネットワーク120上でこのマスタ携帯装置100と遠隔の通信装置との間に予め確立した通話が行われている。この遠隔の通信装置は、無線接続126を介して通信ネットワーク120に接続する他の携帯電話110か、固定線接続127を介して通信ネットワーク120に接続する固定電話又はワイヤレス電話111とすることができる。図示しないが、マスタ携帯装置は、第1の近距離通信機器および第1の無線通信機器を備える。
【0020】
また、本通信システムは、マスタ携帯装置の近くに、例えば携帯電話であるスレーブ携帯装置130または131を備える。図示しないが、このスレーブ携帯装置は、第2の近距離通信機器および第2の無線通信機器を備える。
【0021】
本発明の実施例によると、第1および第2の近距離通信機器は、NFC型のものである。NFCとは、例えば、2002年12月付けの「NFCのインターフェイスとプロトコル(NFCIP−1)」に関する標準ECMA340や、「NFCのインターフェイスとプロトコル−2(NFCIP−2)」に関する標準ECMA352において記載されている。しかしながら、本発明は、この実施例に限定されない。代わりに、近距離通信機器を、色光や、LED光に基づくものや、スレーブ携帯装置がマスタ携帯装置に近づいたときに、このマスタ携帯装置との通信を可能にする他の技術に基づくものとすることができる。
【0022】
本発明の実施例によると、第1および第2の無線通信機器は、当業者にとって公知の原理に従い動作するBluetooth(登録商標)の送受信インターフェイスを備える。これらの無線通信機器には、例えば802.11bや802.11gのような802.11標準規格に基づくWi−Fiの送受信インターフェイスといったものを、代替物として備えることが可能である。
【0023】
本発明による通信システムは、以下の通りに作動する。第1および第2の近距離通信機器が互いに近づくと、これら2つの機器間に、数cmという短距離の第1の通信リンクが確立され、これら2つの装置は識別情報の交換をすることができる。この第1の通信リンクによって、第1および第2の無線通信機器の間で、数mのより広域な第2の通信リンクを開始することが可能になり、この第2の通信リンクを通じて、スレーブ携帯装置130が予め確立してある通話に参加することができる。
【0024】
図示しないが、マスタ携帯装置は、スレーブ携帯装置に伴うコンテキストパラメータを保存するためのメモリを備えることができる。このコンテキストパラメータは通信リンク上を送信されるデータを定め、以下に詳述するが、このコンテキストパラメータに基づいてスレーブ携帯装置は予め確立された通話に参加することが可能になる。
【0025】
図2において、現在行われているサービス(例えば、マスタ携帯装置と遠隔の通信装置との間の予め確立された通話)に対し、マスタ携帯電話はこれにスレーブ携帯装置を参加させ、スレーブ携帯装置はこれに参加することを可能にする通信方法の詳細な実装例についてのブロック線図を示す。
【0026】
第1のステップ201においては、2つの携帯装置のそれぞれが、新たな携帯装置を検出する。このステップの間、携帯装置130および100は、互いに近づけられたとき、それぞれの近距離通信機器に基づいて、携帯装置130は携帯装置100の通知を受けるか、携帯装置100は携帯装置130の通知を受ける。NFC技術を用いる場合には、一方の近距離通信機器が、NFC起動装置として作動し、他方の近距離通信機器が、NFC受動モードで作動する。更に詳細には、ステップ201は、2つの携帯装置100および130の初期化と、NFC接続を行うためにパラメータの要求を行うNFCプロトコルの起動を含む。そして、このNFCプロトコルによって、携帯電話のそれぞれの役割(受動または起動)に従い、近距離通信機器が起動される。そして、この2つのNFC機器は、データ交換プロトコル(DEP:Data Exchange Protocol)として、データの交換を行うことができる。
【0027】
ステップ202においては、それぞれの携帯装置は、他方の携帯装置のアドレスや通信パラメータを取得する。このステップの間、NFC起動装置は、無線通信機構に応じたアドレスを送信する。Bluetooth(登録商標)の通信機構を用いる場合には、アドレスBD_ADDR(Bluetoothデバイスのアドレス)が送信される。このアドレスBD_ADDRは、Bluetooth(登録商標)のネットワークにおいて、各携帯装置に特有の識別を行う。つまり、各Bluetooth送受信装置は、特有の48ビットのデバイスアドレスを割り振られている。この48ビットのデバイスアドレスは、24ビットのLAP(Lower Address Portion)領域と、16ビットのNAP(Nonsignificant Address Portion)領域と、8ビットのUAP(Upper Address Portion)に分けられる。また、受動モードで作動している近距離通信機器は、NFC起動装置に対して、同一の情報の組を送信する。この段階で、双方の近距離通信機器が、それぞれのアドレスを交換したことになる。
【0028】
このステップにおいて、任意で追加のパラメータの交換を行うことが可能である。この追加の情報は、以下で詳述する特定のパラメータに伴う、携帯装置がサポートするサービスの識別が含まれる。
【0029】
無線通信機構上でのデータ交換の守秘性を保証するために暗号を用いる場合には、このステップで、暗号キーや例えばBluetooth(登録商標)の暗証番号のような他の関連データを交換することが可能である。
【0030】
ステップ203においては、各携帯装置は、最も有得るサービスを選択することが可能である。最も有得るサービスを選択するために、携帯装置100は、この携帯装置のメモリに保存されているサービス登録表を参照する。
【0031】
このサービス登録表は、サービス(例えば、「通話に参加」や、「音楽/映像の再生」等)の項目に加え、パラメータと称する以下の項目を含む。つまり、サービス登録表は、
‐例えば、Bluetooth(登録商標)やWi−Fiといった、サービスをサポートする通信機構と、
‐例えば、音声、映像および/またはテキストが利用能力といった、1次プロファイルと、
‐2次プロファイルとを含む。
1次プロファイルが利用できない場合に、2次プロファイルを定める。例えば、携帯装置130がテレビ会議への参加を招待されたが、「Bluetooth(登録商標)を通じた音声/映像」という1次プロファイルをサポートしておらず、「Bluetooth(登録商標)を通じた音声」という2次プロファイルのみをサポートしている場合に、携帯装置間の後続の通信ステップにおいて2次プロファイルが選択される。
さらに、サービス登録表は、
‐サービス登録表中の調べる順番を示す優先番号と、
‐例えば、バッテリの状態といった携帯装置の現在の状態を考慮に入れる規則とを含む。
バッテリの状態が低いと、十分なサービス品質を保つが電力をより消費しない通信機構を特別に扱う。この規則は、ブール演算式の利用に基づくか、最も有得るサービスを選択する前の各サービスに対する得点の割り当てに基づく。後者の場合においては、同一の得点を持つサービスを区別するために優先番号を用いることが可能である。
【0032】
それぞれの携帯装置は、調べる順番および/または規則に従い、サービス登録表中でサービスを調べることで、最も有得るサービスと関連のパラメータとを選択する。
【0033】
本実施例においては、携帯装置100は、現在通話中であるので、すなわち、最も有得るサービスは、「通話に参加」であり、他の携帯装置130にこの通話への参加を招待する。
【0034】
他の携帯装置130が停止状態の場合、テスト211により、サービス登録表中に最も有得るサービスを見つけることができず、通信方法は、他の携帯装置130のためのステップ221に進む。このステップ221において、他の携帯装置130は、待ち状態で、ステップ201および202で特定した携帯装置100のサービスの要求に応答する準備が出来ている。装置が、表中に特定されたサービスの1つを実行するのに至る状態に無い場合、装置は停止状態になるようになっている。
【0035】
携帯装置130が、停止状態に無い場合、この装置のサービス登録表に基づき、この装置に対して最も有得るサービスが特定され、通信方法はステップ204に進む。
【0036】
このステップ204において、この2つの携帯装置間の通信が確立される。この目的のために、一方の携帯装置の無線通信機器が、他方の携帯装置の無線通信機器との通信リンク140を確立する。この通信は、ステップ202でNFC接続によって得られた特有のアドレスを使用することで確立される。
【0037】
Bluetooth(登録商標)の通信機構に従うと、これら無線通信機器は、同一のピコネットの一部になる。ピコネットは、Bluetooth(登録商標)を介して、アドホック接続で接続する機器の集合である。ピコネットは、2台の接続から始まり、8台の接続まで拡張できる。一旦、接続が確立されると、ピコネット接続の継続する間、ある1台がマスタとして作動し、その他がスレーブとして作動する。マスタ携帯装置100は、ピコネットに参加するようにスレーブ携帯装置130を招待することで、スレーブ携帯装置130はピコネットに参加する。
【0038】
テスト212において、選択した通信機構により2つの装置間で通信を確立できない場合、テスト213において、携帯装置は、選択のサービスをサポートしている他の通信機構を特定する必要がある。このために、ステップ205においては、サービス登録表の様々なパラメータを更新し、ステップ203を、最も有得るサービスおよび関連のパラメータを選択するために実行する。
【0039】
もし、テスト213によって、2つの装置間の通信機構が、いずれのものでも確立に成功しなかったら、本通信方法は、ステップ209において終了し、通信に関する資源が開放される。
【0040】
一旦、通信リンク140が確立されると、ステップ206においてサービス要求が開始される。Bluetooth(登録商標)の通信機構によると、マスタ携帯装置100は、スレーブ携帯装置130のアドレスBD_ADDRを使用して、スレーブ携帯装置130の無線通信機器のSDP(Service Discovery Protocol)サーバへの接続を確立する。スレーブ携帯装置130が、「通話に参加する」というサービスに関連のプロファイルをサポートしている場合は、マスタ携帯装置100が、スレーブ携帯装置130と、このサービスの接続を確立する。
【0041】
電話会議の例においては、マスタ携帯装置100は、Bluetooth(登録商標)のAG(Audio Gateway)として作動し、スレーブ携帯装置130は、HS(Head Set)として作動する。この構成においては、マスタ携帯装置100のマイクとスピーカは作動している。選択の通信機構や、サービスに参加する装置の数に応じて、他のプロファイルの組み合わせを利用することが出来る。
【0042】
テスト214によって、マスタ携帯装置が、通信リンク140上で、サービスに対する接続を確立しようとしたが失敗した場合、ステップ207において、マスタ携帯装置およびスレーブ携帯装置は、第2のプロファイルに基づく接続用の新たなパラメータを交渉する。テスト215において、別のパラメータの組によって、サービスが確立可能なら、ステップ206で、マスタ携帯装置は再びサービス要求を開始しようとする。
【0043】
サービス要求を実行できず、代替手段が利用できない場合は、ステップ205で、マスタ携帯装置はサービス登録表を更新し、そして、ステップ203で、最も起こり得るサービスを再評価する。
【0044】
テスト214によって、一旦、2つの携帯装置間の接続が確立されると、ステップ208において、サービスが開始される。「通話に参加する」というサービスに対しては、スレーブ携帯装置は、選択の通信機構によって、通話への参加する準備がある。このステップの間、安全や他の目的のために、使用者との更なるやりとりを要求することが可能である。「通話に参加する」というサービスに対しては、スレーブ携帯装置が通話に参加するのを可能にするために、または、使用者が聞き手としてのみ通話に参加するかを確認するために、肯定応答を求めることが可能である。また、“消音の任意選択”といった使用者との更なるやりとりは、この段階で行うことができる。
【0045】
最後に、携帯装置の一方の要求に応じて、ステップ209において、接続を終了する。この場合、通信と接続に関する資源は解放される。それに伴い、変更を反映するためにマスタ携帯装置の状態を更新する。
【0046】
ステップ221で、携帯装置が待ち状態のとき、ステップ222で、この携帯装置は、通信およびサービスの要求を受ける。この場合、携帯装置は、通信リンクを確立しようとし、一旦通信リンクが確立されると、サービスへの接続を確立しようとする。このサービスへの接続の間に、ステップ207において説明する交渉が可能である。
【0047】
テスト216により、要求のサービスへの接続が状態と資源とに適合する場合、ステップ223において、携帯装置は、サービス要求を受け入れサービスを開始する。
【0048】
もしくは、ステップ224においてサービス要求が拒否される。携帯装置は、その通信機構でそれが可能であれば、他方の携帯装置に通知を行う。
【0049】
一旦、携帯装置がサービス要求を拒否すると、通信方法は、終了ステップ209に進む。
【0050】
電話会議が確立するときに、マスタおよびスレーブ装置の役割が決まることに留意する必要がある。初期設定では、マスタは、予め確立した通話を行っている装置である。通話中の装置がない場合には、2つの装置の間で、ローカルな通話を確立することができ、一方がマスタ、他方がスレーブとして作動する。
【0051】
本発明は、電話会議の例に限定されない。マスタ携帯装置100は、スレーブ携帯装置130が参加する通話を行っている必要は無い。マスタ携帯装置およびスレーブ携帯装置間において、全2重のウォーキートーキーのようなローカルな通話を開始することが可能である。例えば、マスタ携帯装置が、ローカルな通話に対応するカレントセッションを開き、スレーブ携帯装置が、図2に示した方法に従い、そのローカルな通話に参加する。
【0052】
図3に示す他の例によると、スレーブ携帯装置130は、映像や音声の再生の可能な携帯電話またはPDAで、マスタ携帯装置上では再生が行われている。そして、第1および第2の近距離通信機器を互いに近づけると、これらの近距離通信機器は、短距離の第1の通信リンク135を使用し識別情報を交換する。結果として、第1および第2の無線通信機器間の第2の通信リンク140が起動する。そして、この第2の通信リンク140を通じて、スレーブ携帯装置130は、音声/映像の再生をするカレントセッションに参加することが可能になる。
【0053】
なお、他の例によると、音声信号に加え、映像を送信することが可能である。
【0054】
上記の実施例は、本発明の範囲を限定するものではなく、当業者は、添付の請求項によって定義する本発明の範囲から逸脱することなく、多くの他の実施例を設計することが可能であることに留意されたい。
【0055】
請求項においては、丸括弧で括った参照符号は、請求項を限定するものとして解釈されるものではない。「備える」という動詞およびその活用は、請求項において定める構成要素やステップ以外の構成要素やステップの存在を除外するものではない。1つのものとして記載した構成要素やステップは、この構成要素やステップが複数存在することを除外するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、本発明による通信システムの実施例を示す。
【図2】図2は、本発明による通信方法のブロック図である。
【図3】図3は、本発明による通信システムの他の実施例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の近距離通信機器および第1の無線通信機器を備え、カレントセッションを保持するマスタ携帯装置(100)と、
第2の近距離通信機器および第2の無線通信機器を備え、第1および第2の無線通信機器間の通信リンク(140)を起動するために第1および第2の近距離通信機器が識別情報を交換するよう前記第1および第2の近距離通信機器を適合させ、前記通信リンク(140)を通じてカレントセッションに参加するのを第1および第2の無線通信機器によって可能にするスレーブ携帯装置(130)とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の通信システムにおいて、前記カレントセッションが、通信ネットワーク(120,125)上で前記マスタ携帯装置(100)および遠隔の通信装置(110,111)の間に予め確立された通話であることを特徴とする通信システム。
【請求項3】
請求項1に記載の通信システムにおいて、前記第1および第2の近距離通信機器が、NFC型のものであることを特徴とする通信システム。
【請求項4】
請求項1に記載の通信システムにおいて、前記第1および第2の無線通信機器がBluetooth(登録商標)またはWi−Fiの送受信インターフェイスを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項5】
第1の近距離通信機器および第1の無線通信機器を備えるマスタ携帯装置(100)が保持するカレントセッションに参加するためのスレーブ携帯装置(130)であって、
該スレーブ携帯装置(130)が、第2の近距離通信機器および第2の無線通信機器を備え、前記第1および第2の無線通信機器間の通信リンク(140)を起動するために前記第1および第2の近距離通信機器を互いに近づかせたときに前記第1の近距離通信機器と識別情報を交換するよう前記第2の近距離通信機器を適合させ、前記通信リンク(140)を通じて前記スレーブ携帯装置(130)がカレントセッションに参加するのを前記第1および第2の無線通信機器によって可能にすることを特徴とするスレーブ携帯装置(130)。
【請求項6】
第1の近距離通信機器および第1の無線通信機器を備えるマスタ携帯装置(100)であって、前記マスタ携帯装置(100)が、第2の近距離通信機器および第2の無線通信機器を備えるスレーブ携帯装置(130)と通信するのに適切であり、カレントセッションがマスタ携帯装置(100)によって保持、第1および第2の無線通信機器間の通信リンク(140)を起動するために前記第1および第2の近距離通信機器を互いに近づかせたときに前記第2近距離通信機器と識別情報を交換するよう第1の近距離通信機器を適合させ、前記通信リンク(140)を通じて前記スレーブ携帯装置(130)がカレントセッションに参加するのを前記第1および第2の無線通信機器によって可能にすることを特徴とするマスタ携帯装置(100)。
【請求項7】
請求項5または6に記載の携帯装置(100)において、前記携帯装置に関連したコンテキストパラメータを保存するメモリを更に備え、前記コンテキストパラメータが、前記通信リンク(140)上で送信されるデータを定め、コンテキストパラメータに応じて前記カレントセッションに参加することを特徴とする携帯装置。
【請求項8】
第1の近距離通信機器および第1の無線通信機器を備えるマスタ携帯装置(100)と、第2の近距離通信機器および第2の無線通信機器を備えるスレーブ携帯装置(130)との間の通信方法であって、カレントセッションが前記マスタ携帯装置(100)によって保持され、
第1および第2の近距離通信機器を互いに近づかせると、これら近距離通信機器が識別情報の交換を行い、
第1および第2の無線通信機器の間で通信リンク(140)を起動し、
前記通信リンク(140)を通じてスレーブ携帯装置(130)をカレントセッションに参加可能にすることを特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−524906(P2008−524906A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546290(P2007−546290)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【国際出願番号】PCT/IB2005/054242
【国際公開番号】WO2006/064480
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(507219491)エヌエックスピー ビー ヴィ (657)
【Fターム(参考)】