説明

マッサージ椅子

【課題】
常時リラックスした状態で使用でき、背凭れ部のリクライニング角度に応じた適正な位置で手部または腕部等の被施療部位に適格な施療を施すことができるマッサージ椅子を提供する。
【解決手段】
座部11a後部で起倒自在に設けられた背凭れ部12aを有するマッサージ椅子1aであり、座部11a両側の各肘掛部5aを、下部の起立壁501aと、該起立壁501a上部位置で、人体の手部または腕部を載置装入し得る凹部52aと膨縮袋4aが配設してある腕揉み機構51aを配備した可動肘掛部502aとに分割し、これら起立壁501a上前部と可動肘掛部502aの下前部間に摺動体7aを介設すると共に該可動肘掛部502a後部と背凭れ部12a側部を枢着して可動肘掛部502aを揺動可能に構成し、背凭れ部12aの起倒動作に両肘掛部5aの各可動肘掛部502aが追従するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の手部または腕部を載置して該手部または腕部に適度な施療を行い得るようにした肘掛部を椅子本体に設けたマッサージ椅子であって、詳しくは、該肘掛部に腕揉み機構を備えると共に、背凭れ部のリクライニング角度に応じた適正な位置で使用者の手部または腕部に対して施療を施すことが可能なマッサージ椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、椅子に座した状態でマッサージ効果が得られるマッサージ椅子が知られている。この種のマッサージ椅子としては、椅子本体の背凭れ部に内蔵してあるマッサージ機構により使用者の背部に対して揉みや叩き等のマッサージを行うものが代表的であるが、近年はこのようなマッサージ椅子の左右に配した肘掛部において、使用者の手部または腕部をマッサージし得る腕揉み機構を備えたものが市場でもよく見られるようになった。
【0003】
例えば、椅子本体の左右の肘掛部に腕揉み機構を備えたマッサージ椅子としては、図40に示したようなマッサージ椅子(特許文献1)が開示されており、このマッサージ椅子は、肘幅方向一側に弧状形成された立上り壁211を設けた肘掛部21を両側に設けた椅子本体2の上面適所に人体手部を各々載脱自在で該人体手部に膨縮施療を付与し得る圧縮空気給排気手段(膨縮袋12と、各膨縮袋12・12に各々ホース13・13を介して連通される圧縮空気給排装置14)を配設しており、施療者が着座状態で人体手部を両肘掛部21・21上面に安定的に保持させて、人体手部及び腕部の上側面から効率良く空圧施療することができるよう構成したものである。
【特許文献1】特開2003−180774号公報(第6頁、図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この種従来例のマッサージ椅子は、背凭れ部を後方へリクライニングさせる場合、肘掛部に載置していた手部または腕部を該肘掛部の後方へ移動せざるを得なくなるため、肘掛部に備えた腕揉み機構における施療適正位置から手部または腕部がずれてしまい、背凭れ部をリクライニングさせた椅子本体に仰臥した姿勢では、手部または腕部に対する適正な施療が行えないという問題があった。
【0005】
また、従来例のマッサージ椅子は、肘掛部の高さが背凭れ部のリクライニングに関係なく固定されたものであるため、手部または腕部を肘掛部に載置したまま背凭れ部をリクライニングさせると、仰臥した胴体に対して手部または腕部が高く上がってしまい、使用者は窮屈な姿勢で手部または腕部に対する施療を受けざるを得ず、該姿勢での施療では、かえって疲労感をもたらすという課題もあった。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を解消する為に成されたものであり、使用者が常時リラックスした状態で使用でき、しかも背凭れ部のリクライニング角度に応じた適正な位置で手部または腕部等の被施療部位に適格な施療を施すことができるようにしたマッサージ椅子を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明のマッサージ椅子は、座部の後部に起立状態から倒伏状態へ起倒自在に設けられた背凭れ部を配備すると共に、該座部の左右両側部には各々肘掛部を配設したマッサージ椅子であって、前記各肘掛部は、下部の起立壁と、該起立壁の上部位置に配備され、人体の手部または腕部を載置装入し得る凹部が形成されていると共に該凹部内に手部または腕部を施療し得る膨縮袋が配設してある腕揉み機構を配備した可動肘掛部に分割されており、これら起立壁上前部と可動肘掛部下前部間に摺動体を介設すると共に該可動肘掛部後部と背凭れ部側部を枢着して可動肘掛部を移動可能または揺動可能にし、背凭れ部の起倒動作に従って両肘掛部の各可動肘掛部が追従し得るようにしたものとしている。
【0008】
また、本発明のマッサージ椅子は、前記可動肘掛部後部と背凭れ部側部との枢着位置は、背凭れ部のリクライニング回動軸よりも上位置である構成にしたものとしている。
【0009】
さらに、本発明のマッサージ椅子は、前記可動肘掛部の後部における背凭れ部側部との枢着位置に、可動肘掛部位置を前後に位置調節し得るスライド機構が設けてあるものとしている。
【0010】
また、本発明のマッサージ椅子は、前記背凭れ部側部における可動肘掛部の後部との枢着位置に、可動肘掛部後部位置を上下に位置調節し得るスライド機構が設けてあるものとしている。
【0011】
さらに、本発明のマッサージ椅子は、前記摺動体又は前記スライド機構に、可動肘掛部の位置を固定し得るロック機構等の固定手段が設けてあるものとしている。
【0012】
さらにまた、本発明のマッサージ椅子は、人体の手部または腕部を載置し得る前記可動肘掛部の上面は、前記腕揉み機構の凹部底面を兼用するものであるものとしている。
【発明の効果】
【0013】
よって、本発明のマッサージ椅子は、座部の後部に起立状態から倒伏状態へ起倒自在に設けられた背凭れ部を配備すると共に、該座部の左右両側部には各々肘掛部を配設したマッサージ椅子における前記各肘掛部を、下部の起立壁と、該起立壁の上部位置に配備され、人体の手部または腕部を載置装入し得る凹部が形成されていると共に該凹部内に手部または腕部を施療し得る膨縮袋が配設してある腕揉み機構を配備した可動肘掛部に分割されており、これら起立壁上前部と可動肘掛部下前部間に摺動体を介設すると共に該可動肘掛部後部と背凭れ部側部を枢着して可動肘掛部を移動可能または揺動可能にし、背凭れ部の起倒動作に従って両肘掛部の各可動肘掛部が追従し得るようにした構成にしてあるため、前記腕揉み機構は可動肘掛部と共に背凭れ部の起倒動作に追従して後方且つ下方に移動するので、従来のような背凭れ部の起倒動作による手部または腕部のずれが生ずることがなく、常時、背凭れ部の起倒動作に追従対応させた腕揉み機構における施療適正位置を確保することができ、また、倒伏状態の背凭れ部に仰臥した使用者の胴体に対しても、従来のような手部または腕部が高くなって使用者が窮屈な姿勢を強いられることもなく、手部または腕部を安定した適性位置を確保することができる。その結果、使用者は常時リラックスした状態の中で背凭れ部の起倒角度に応じた適正な位置で手部または腕部に対する心地良い施療に専念することができるものとなる。また、起立壁上前部と可動肘掛部下前部間に摺動体を介設することによって、可動肘掛部の静止及び移動時のがたつきを可及的に抑制する作用があり、使用者に不必要な不快感を与えることなく、手部または腕部を可動肘掛部上に安定載置することができる。
【0014】
また、本発明のマッサージ椅子は、前記可動肘掛部後部と背凭れ部側部との枢着位置を背凭れ部のリクライニング回動軸とは別位置であり、リクライニング回動軸よりも上位置になるようにしてあるため、背凭れ部の起倒動作に影響することがなく肘掛部を構成する起立壁上部の可動肘掛部を移動可能または揺動可能に取り付けでき、マッサージ椅子の組立て作業が容易にできるものとなる。
【0015】
さらに、本発明のマッサージ椅子は、前記可動肘掛部の後部における背凭れ部側部との枢着位置に、可動肘掛部位置を前後に位置調節し得るスライド機構が設けてあるため、使用者の好みや要望する施療位置に応じて可動肘掛部位置を前後に移動させて、腕揉み機構が手部または腕部の被施療部対応位置になるように位置や角度を調節することができる。
【0016】
また、本発明のマッサージ椅子は、前記背凭れ部側部における可動肘掛部の後部との枢着位置に、可動肘掛部後部位置を上下に位置調節し得るスライド機構が設けてあるものとしているため、背凭れ部が起立した状態の場合は、使用者の好みや要望する施療位置に応じて可動肘掛部位置後部を上下に移動させて、腕揉み機構が手部または腕部の被施療部対応位置になるように位置や角度を調節することができ、また、背凭れ部が倒伏した状態の場合には、使用者の好みや要望する施療位置に応じて可動肘掛部位置を前後に移動させて、腕揉み機構が手部または腕部の被施療部対応位置になるように位置や角度を調節することができる。
【0017】
さらに、本発明のマッサージ椅子が、上記した可動肘掛部位置を前後に位置調節し得るスライド機構や、前記した上下に位置調節し得るスライド機構の双方が設けてあるものとした場合には、上記と同様な調節により、使用者の身長や座高に応じた手部または腕部の位置調節ができるものとなる。
【0018】
また、本発明のマッサージ椅子は、人体の手部または腕部を載置し得る前記可動肘掛部の上面は、前記腕揉み機構の凹部底面を兼用するものであるものとしているため、可動肘掛部の腕揉み機構による施療を行わずに通常の肘掛けとして使用する場合でも、通常の肘掛けとして安定した姿勢で使用者が手部または腕部を載置でき、また、可動肘掛部の腕揉み機構による施療を施したい場合には、人体の手部または腕部を可動肘掛部に載置した状態のままで、その位置を変える必要なく施療を開始することができ、常時、背凭れ部の起倒動作に追従対応させた適正な位置で施療が継続できるものとなる。
【0019】
さらに、本発明のマッサージ椅子は、前記摺動体又は前記スライド機構に、可動肘掛部の位置を固定し得るロック機構等の固定手段が設けてあるものとしているため、使用者によって位置調節された可動肘掛部が背凭れ部の起倒動作に影響されて不意に位置ずれを生じさせてしまうことはなく、背凭れ部の起倒角度に関わらず、常時使用者が好む位置で腕揉み機構による施療が行える。
【0020】
さらにまた、本発明のマッサージ椅子は、前記のように可動肘掛部の上面と腕揉み機構の凹部底面を兼用するものにしたことによって、腕揉み機構の製造時における原価や組立てコストも軽減できるものとなり、また、優れた美観を有するものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明のマッサージ椅子を、図面に示す一実施形態に基づきこれを詳細に説明する。図1は本発明のマッサージ椅子の一実施形態を示す斜視図であり、図2は本発明のマッサージ椅子の一実施形態を示す使用状態図である。また、図3は本発明のマッサージ椅子における背凭れ部と脚載部及び肘掛部の各動作に関する一実施形態を示す使用状態の右側面参考図であり、図4は本発明のマッサージ椅子の背凭れ部を後方へ倒伏させた一実施形態を示す使用状態の右側面参考図であり、図5は本発明のマッサージ椅子の肘掛部にスライド機構を備えた一実施形態を示す右側面参考図である。図6は本発明のマッサージ椅子における肘掛部のスライド機構による腕揉み機構の前後スライド動作に関する一実施形態を示す使用状態の右側面参考図であり、図7は本発明のマッサージ椅子の背凭れ部にスライド機構を備えた一実施形態を示す右側面参考図であり、図8は本発明のマッサージ椅子における背凭れ部のスライド機構による腕揉み機構の上下スライド動作に関する一実施形態を示す使用状態の右側面参考図であり、図9は本発明のマッサージ椅子の背凭れ部を倒伏させた状態での腕揉み機構のスライド動作に関する一実施形態を示す使用状態の右側面参考図であり、図10は本発明のマッサージ椅子の腕揉み機構における手部から上腕までの施療範囲に関する一実施形態を示す使用状態の右側面参考図であり、図11は本発明のマッサージ椅子における起立壁に設けたガイドレールを長く形成した一実施形態を示す使用状態の右側面参考図である。また図12は本発明のマッサージ椅子における背凭れ部と肘掛部の各動作に関する一実施形態を示す右側面参考部分図であり、図13は本発明のマッサージ椅子における肘掛部の動作に関する一実施形態を示す右側面参考部分図である。図14は本発明のマッサージ椅子に挟み込み防止部材を設けた一実施形態を示す右側面参考部分図であり、図15乃至図17は本発明のマッサージ椅子に挟み込み防止部材を設けた一実施形態を示す正面参考部分図である。図18は本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体を球形状とした一実施形態を示す右側面部分断面参考図であり、図19は本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体を半円筒形状とした一実施形態を示す正面部分断面参考図であり、図20及び図21は本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体を半円筒形状とした一実施形態を示す右側面部分断面参考図であり、図22は本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体の付勢させた摺擦部材を採用した一実施形態を示す正面部分断面参考図であり、図23は本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体の付勢させた摺擦部材を採用した一実施形態を示す右側面部分断面参考図である。図24乃至図27は本発明のマッサージ椅子における肘掛部のスライド機構に固定手段を設けた一実施形態を示す右側面参考部分図であり、図28は本発明のマッサージ椅子における背凭れ部のスライド機構に固定手段を設けた一実施形態を示す右側面参考部分図である。図29は本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体に設けた一つの摺擦部材を回転輪に置換した一実施形態を示す正面部分断面参考図であり、図30乃至図32は本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体に設けた一つの摺擦部材を回転輪に置換した一実施形態を示す右側面部分断面参考図であり、図33は本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体に設けた摺擦部材と回転輪とを夫々上側と下側に配設した構成の一実施形態を示す正面部分断面参考図であり、図34及び図35は本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体に設けた摺擦部材と回転輪とを夫々上側と下側に配設した構成の一実施形態を示す右側面部分断面参考図であり、図36は本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体に固定手段(ロック機構)を設けた一実施形態を示す正面部分断面参考図であり、図37及び図38は本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体に固定手段(ロック機構)を設けた一実施形態を示す右側面部分断面参考図であり、図39は本発明のマッサージ椅子の摺動体に設けた固定手段(ロック機構)をロックまたはロック解除するために可動肘掛部に操作レバーを設けた一実施形態を示す右側面参考部分図である。さらに図40は従来技術を示す参考図である。
【0022】
本発明のマッサージ椅子1aは、図1乃至図3の実施形態で示したように、使用者の臀部が当接する座部11aと、該座部11aの後部で起立状態から倒伏状態へ起倒自在に配設された背凭れ部12aを配備すると共に、該座部11aの左右両側部には各々肘掛部5aを配設している。
【0023】
すなわち、このマッサージ椅子1aは、座部11aの下部または側部には、フレームからなる基体56aが設けられており、該基体56aの後部に背凭れ部12aが起倒可能に取り付けられているものであり、前記肘掛部5aが、この基体56aの左右両側部に各々設けられて椅子本体10aを構成したものを例示している。
【0024】
また、詳細は後述するが、前記各肘掛部5a・5aは、下部の起立壁501aと、該起立壁501aの上部位置に配備されてこの上面503aに人体の手部または腕部等の被施療部を載置し得る可動肘掛部502aとに分割されており、該可動肘掛部502aには、前記被施療部を載置装入し得る凹部52aが形成されていると共に、該凹部52a内に被施療部を施療し得る膨縮袋4aを配設した腕揉み機構51aが設けられている。
【0025】
さらに、前記椅子本体10aの前部において、前記座部11aの下方位置から上下方向に回動移行する脚載部13aを備えている。
【0026】
また、前記背凭れ部12aには、左右両側に前方に向かって突出した側壁部2aを夫々配設している。
【0027】
図1に示すように、前記背凭れ部12aには、その中央部に左右一対の施療子31aを備えた昇降自在の施療子機構部3aを設けている。該施療子機構部3aは、背凭れ部12aの内部左右に設けた左右一対のガイドレール32aに沿って背凭れ部12aの上端から下端にかけて昇降するようにしている。
【0028】
前記左右一対の施療子31aは、モータ等を駆動源とした機械式のマッサージ機構であり、前記背凭れ部12aに凭れた使用者の首部、背部、腰部、臀部等の背面全域を、たたき、揉み、ローリング、振動、指圧などの多様な形態で施療するようにしたものである。
【0029】
また、前記マッサージ椅子1aの各所定の位置には、空気の給排気により膨縮を繰り返すことが可能な膨縮袋4aを夫々埋設している。該膨縮袋4aは、エアーコンプレッサー及び各膨縮袋4aに空気を分配するための分配器等からなる空気給排装置41aによる給排気により膨縮動作を行うようにしており、該空気給排装置41aは椅子本体10aの内部適所に配備している。
【0030】
前記空気給排装置41aによる前記各膨縮袋4a・・の膨縮動作によって、使用者の所定の被施療部位を押圧、指圧等を実施することができ、一定間隔を存して対向するよう複数の膨縮袋4a・・を対設させた場合には、被施療部位に挟圧等の施療も行うことができる。
【0031】
また、前記空気給排装置41aによる前記各膨縮袋4a・・の少なくとも1以上の膨縮袋4aを膨張状態に保つようにした場合は、使用者の所定の被施療部位を一定の時間保持することも可能にすることができる。
【0032】
また、前記マッサージ椅子1aは、前記背凭れ部12aの左右側において、上部及び下部に夫々膨縮袋4aを設けており、使用者の背中及び腰部を押圧、または左右両側から挟圧するような施療を行うよう構成している。
【0033】
また、前記座部11aには、後部側に臀下部用、また腿部用の膨縮袋4aを夫々埋設して、主に下方から上方に押圧する施療を行うようにしている。
【0034】
前記脚載部13aは、人体の脚部を施療するための施療機構を備えている。すなわち、該脚載部13aに人体脚部の脛部または足先部を夫々嵌入させる左右一対の凹部を夫々形成し、各凹部に膨縮袋4aを左右一対として対設するよう設けて、凹部内部で脛部及び足先部に対する挟圧施療を実施するようにしている。尚、適宜各凹部底部にも膨縮袋4aを設けることができる。
【0035】
また前記脚載部13aは、脛施療部131aと足先施療部132aとに分割形成したものとして構成しており、人体の脛部と足先部とを個別に施療することができるようにしている。
【0036】
前記左右の側壁部2aは、座部11aに着座した使用者の肩または上腕側方となる位置に配設しており、該左右の側壁部2aの内側面には夫々左右方向に重合した膨縮袋4aを並列状態に埋設している。これら重合した膨縮袋4aはその基端部のみを側壁部2aの基端部に取り付けているため、膨張時には重合した膨縮袋4aが扇状に広がって使用者の身体側部を挟圧しつつ、身体前方まで覆うようになる。
【0037】
よって、前記左右側壁部2aの前記膨縮袋4aは、膨縮動作により身体側部を施療することができるだけでなく、一定の時間において膨張状態を保つならば、使用者の身体が前記背凭れ部12aから離れないようにしっかりと保持することができ、使用者の身体を固定したままの状態で前記施療子31aによる背部からの施療を効果的に受けることが可能となるのである。
【0038】
前記各肘掛部5aは、前述したように下部の起立壁501aと、該起立壁501aの上部位置に配備され、人体の手部または腕部を載置装入し得る凹部52aが形成されていると共に該凹部52a内に手部または腕部を施療し得る膨縮袋4aが配設してある腕揉み機構51aを配備した可動肘掛部502aに分割されて構成するものであるが、これら起立壁501aの上前部と可動肘掛部502aの下前部間に摺動体7aを介設すると共に該可動肘掛部502aの後部と背凭れ部12aの側部を枢着して可動肘掛部502aを移動可能または揺動可能にし、背凭れ部12aの起倒動作に従って両肘掛部5aの各可動肘掛部5aが追従し得るようにしたものとしている。
【0039】
前記摺動体7aは、図12及び図18に示すように、前記起立壁501aの上面部に前後方向に設けたガイドレール54aに沿って摺動するよう構成している。
【0040】
すなわち、該摺動体7aは、前記可動肘掛部502aの前側下部から垂下固設させた垂下フレーム53aの下端部に、回動部73aを介して回動可能に連結するフレーム71aと、該フレーム71aの適所に適数個設けられた摺擦部材72aとから構成しており、各摺擦部材72aは、ガイドレール54aの内部に設けた摺擦面541aに当接している。
【0041】
前記ガイドレール54aは、上面に開口部542aを設けた角形空洞状のフレームで構成すると共に、該開口部542aに前記垂下フレーム53aを貫通させて構成することができる。
【0042】
図18の実施例では、前記ガイドレール54aの前記摺擦面541aを、該ガイドレール54aの内部空洞における内面のうち上面及び下面に夫々設けると共に、前記摺擦部材72aがそれら上面及び下面を摺擦するよう、該摺擦部材72aを前記摺動体7aにおける前記フレーム71aの上下両側に設けて構成するものを示している。
【0043】
よって、前記可動肘掛部502aが前記起立壁501a上を前後に移動する時、図18に示すように前記各摺擦部材72aは、前記ガイドレール54aの前記各摺擦面541aを摺擦しながらガイドレール54aに沿って滑らかに移動するので、 起立壁501aに対する可動肘掛部502aの移動もスムーズに行える。
【0044】
前記垂下フレーム53aの下端部に設けた前記回動部73aは、図18に示すように前記可動肘掛部502aが前記起立壁501a上を前後に移動することに伴い、前記垂下フレーム53aの前記ガイドレール54aに対する角度が変化する現象に対応するために設けられている。
【0045】
前記摺擦部材72a及び前記ガイドレール54aの前記摺擦面541aは、耐摩耗性のある金属や樹脂などで夫々形成することができる。また、該摺擦部材72aの形状として、図18に示すものは、球形状のものであるが、これに限らず円筒形状なども適用できる。さらに摺擦部材72aとしてOリングを採用するなどしてもよい。
【0046】
さらに、前記フレーム71aに前記摺擦部材72aを取り付けるための嵌合溝724aを形成した摺擦部材受部723aを設けることができる。該摺擦部材受部723aを、摺擦部材72aより可撓性のある材質で形成することにより、摺擦部材72aを容易に嵌合させられると共に容易に離脱しないようにすることができる。このような摺動体7aの構成の場合、部品数は少なく、組立やメンテナンスが容易となる。
【0047】
加えて、前記摺擦部材72aが可撓性のある前記摺擦部材受部723aに対して、前記ガイドレール54a内で常時付勢した状態を保持するよう構成することにより、摺擦部材72aやガイドレール54aの前記摺擦面541aにおける摩耗によるがたつきを防止することができる。例えば、前記フレーム71aを挟んで上下に設けた各摺擦部材72a間における最大上下幅が、ガイドレール54aの内部空洞における上下幅よりも若干大きくなるように構成し、ガイドレール54aの内部空洞に摺動体7aを組み入れる時、摺擦部材72aを上下から挟圧して摺擦部材受部723aに対し付勢しながらガイドレール54a内に挿入することができる。また、ガイドレール54aの幅方向における摺動体7aのがたつきの発生を防止するため、図示しないが摺擦部材受部723aの左右両側にも摺擦部材72aを設けると共に、ガイドレール54aの内部空洞における左右両側の各内面にも摺擦面541aを夫々配設してもよい。
【0048】
図19及び図20に示す摺動体7aは、前記のような特徴を持つ摺擦部材72aを側面視半円形状のものとした実施例であり、前記フレーム71aの上部の中央及び下部の前後端に該半円形状の摺擦部材72aを夫々設けて構成したものである。これにより、摺擦部材72aは前記摺擦面541aにおいてがたつかず、滑らかに移動することが可能となる。尚、この場合も図21に示すように、前述した回動部73aを設けている。
【0049】
また、前記摺動体7aの前記フレーム71aの左右両端に、押接滑動部材74aを夫々配設することができる。該押接滑動部材74aは、前記ガイドレール54aの内部空洞における幅方向左右の各内面に対し、各外側へ付勢するような形態で常時押接しながらガイドレール54aの該内面を滑動するためのものであり、各押接滑動部材74aは、ガイドレール54aの該内面に当接する当接体741aと、該当接体741aを該内面側に付勢するためのバネ742aから構成している。
【0050】
尚、前記押接滑動部材74aの他の実施例として、図22に示すように、前記ガイドレール54aの内部空洞における幅方向左右の各内面に当接しながら回転する回転輪743aを夫々設けてもよい。
【0051】
このように、前記押接滑動部材74aを設けることにより、前記ガイドレール54aの幅方向における前記摺動体7aのがたつきの発生を可及的に防止することができる。
【0052】
前記摺擦部材72a及び前記摺擦面541aにおける摺擦による摩耗に関わらず、前記摺擦部材72aが前記摺擦面541aに対して一定の付勢力を維持することにより、前記ガイドレール54aの内部における摺動体7aのがたつきを半永久的に抑制するために、図23に示すように構成することができる。すなわち、少なくとも一つの摺擦部材72aを前記フレーム71aにおいて回動部721aを介して回動自在に連結すると共に、該摺擦部材72aと該フレーム71aとの間に介設したバネ722aの付勢力により該摺擦部材72aをガイドレール54aの摺擦面541aに押し当てるようにしている。尚、図面の場合は、回動部721aを設けた摺擦部材72aをフレーム71aの中央上側に設けたものを示している。
【0053】
前記摺擦面541aに押し当てるような構成の前記摺擦部材72aと置き換えて、図29及び図30に示すような回転輪743aを適用することも可能である。
【0054】
すなわち、前記垂下フレーム53aの下端部に、スライド溝531aを該フレーム71aの長さ方向に沿って設けており、該スライド溝531aに沿って前記回転輪743aが移動可能となるようにすると共に、内設したバネ722aの付勢力により回転輪743aを前記ガイドレール54aの前記摺擦面541aに常時押し当てるよう構成している。これにより、摺動体7aのがたつきを半永久的に抑制することができる。尚、この場合も図31に示すように、前述した回動部73aを設けている。
【0055】
このような構成の摺動体7aを採用することにより、一時的に前記摺擦部材72aによる摩擦抵抗を伴う摺動を解除して、前記回転輪743aのみによる摩擦抵抗を可及的に軽減した回転移動による前記可動肘掛部502aのスムーズな移動が実現できるのである。すなわち、使用者は可動肘掛部502aの前側を上方へ持ち上げると、図32に示すように前記垂下フレーム53aが上方へ持ち上がり、これに伴って回転輪743aが前記ガイドレール54a内上側の前記摺擦面541aに強く押し当てられて前記バネ722aが収縮すると共に、回転輪743aが垂下フレーム53aの前記スライド溝531aに沿って下方へ移動することになり、これによって摺擦部材72aはガイドレール54a内下側の摺擦面541aから離脱し、回転輪743aのみが摺擦面541aに当接した状態となる。
【0056】
前述した摺動体7aは、前記回転輪743aを前記ガイドレール54a内下側の前記摺擦面541aに当接回転させると共に、ガイドレール54a内上側の摺擦面541a側にのみ前記摺擦部材72aを設ける構成であるが、図33及び図34に示す構成は、それら回転輪743aと摺擦部材72aとの位置構成を上下逆転させたものである。
【0057】
すなわち、前記垂下フレーム53aの下端に前述したような回動部73a介してフレーム71aの基端部を回動連結すると共に、該フレーム71aの至端部上側に前記ガイドレール54a内上側の前記摺擦面541aにおいて摺擦するよう前記摺擦部材72aを設けて構成し、且つ回動部73aと摺擦部材72aとの中間位置に、ガイドレール54a内下側の摺擦面541aに当接回転するよう前記回転輪743aを設けている。
【0058】
このように摺動体7aを構成することによっても、一時的に前記摺擦部材72aによる摩擦抵抗を伴う摺動を解除して、前記回転輪743aのみによる摩擦抵抗を可及的に軽減した回転移動による前記可動肘掛部502aのスムーズな移動が実現できる。すなわち、使用者は可動肘掛部502aの前側を上方へ持ち上げると、図36に示すように前記垂下フレーム53aが上方へ持ち上がり、これに伴って摺擦部材72aは前記ガイドレール54a内上側の摺擦面541aから離脱し、回転輪743aのみが摺擦面541aに当接した状態となり、この状態で摺動体7aはガイドレール54a内をスムーズに滑動することが可能となる。次いで、可動肘掛部502aの上方への持ち上げを止めると、自重で垂下フレーム53aが下方へ押し下がり、摺擦部材72aは再びガイドレール54a内上側の摺擦面541aに押し当てられることになる。
【0059】
また、使用者が前記可動肘掛部502aを故意に押し下げるか、または可動肘掛部502a上に手部や腕部を載置して自然な荷重をかけるかなどすると、その分だけ強く前記摺擦部材72aは前記摺擦面541aに押し当てられる。よって、ガイドレール54aにおける摺動体7aの摺動を抑止することができ、不意に可動肘掛部502aが動くことがなくなる。特に、可動肘掛部502a上に手部や腕部を載置して前記腕揉み機構51aによる施療を受ける場合は、該可動肘掛部502aが安定静止するので使用者は安心して施療に専念することができるし、また、可動肘掛部502aにより大きな荷重をかけると摺擦部材72aが摺擦面541aに対してより強く押し当てられて可動肘掛部502aが固定静止するので、使用者が安心して可動肘掛部502aに体重をかけながら立ち上がったり腰を下ろしたりすることができる。
【0060】
本発明のマッサージ椅子1aにおける前記腕揉み機構51aは、前述のような膨縮袋4aを備えて、該膨縮袋4aの膨縮動作により人体の手部または腕部に対する施療を実施できるよう構成している。すなわち、図1及び図15に示すように正面視コ字型をなす前記凹部52aの内部において、その上下面また適宜側面に各膨縮袋4aを夫々設け、該凹部52aに嵌入した人体の手部または腕部に対する挟圧施療を実施するようにしている。尚、該凹部52aの形状として正面視U字型やL字型、また正面視C字型などがあげられるが、手部または腕部を嵌入保持できる凹部であればこれに限らない。
【0061】
また、人体の手部または腕部を載置し得る前記可動肘掛部502aの上面は、前記腕揉み機構51aの凹部52aの底面521aを兼用するものとしている。
【0062】
さらに、前記可動肘掛部502aの後部と背凭れ部12aの側部との枢着位置は、背凭れ部12aのリクライニング回動軸121aよりも上位置である構成にしたものとしている。
【0063】
上記構成ゆえに、図3に示す背凭れ部12aが起立状態である場合の腕揉み機構51aにおける手部または腕部の姿勢は、図4に示す背凭れ部12aが起立状態である場合のその姿勢と略変化はしないので、背凭れ部12aのリクライニング角度が変化したとしても、常に腕揉み機構51aにおける適正な位置で手部または腕部に対する施療を施すことが可能となるのである。
【0064】
このような前記肘掛部5aの後方への移動に伴い、前記摺動体7aは後方へ摺動する。この時、図3に示すように該摺動体7aの高さ位置は前記背凭れ部12aが起立状態の時よりも低くなり、これと同様、可動肘掛部502aの後端に設けられた後端回動部55aの高さ位置も、背凭れ部12aの後方へのリクライニングに伴って低くなる。したがって、背凭れ部12aに仰臥した使用者の肘掛部5aに載置した手部または腕部が胴体よりも可及的に高く上がらないようにすることができ、リラックスした状態で腕揉み機構51aによる施療を受けることができる。
【0065】
図5及び図6に示すのは、前記可動肘掛部502aの後部における背凭れ部12aの側部との枢着位置に、可動肘掛部502aの位置を前後に位置調節し得るスライド機構57aを設けたものである。すなわち、前記後端回動部55aを前記可動肘掛部502aの前後方向に沿ってスライド可能となるよう、該可動肘掛部502aに該スライド機構57aを設けて構成する。この構成により、肘掛部5aの前記腕揉み機構51aは前記背凭れ部12aのリクライニングに関わらず、前後位置を自在に調節することが可能となる。
【0066】
例えば、前記腕揉み機構51aを後方へ位置調節する場合、前記後端回動部55aは前記スライド機構57aにおいて前方へスライドする形態となり、このスライドに伴って前記摺動体7aは前記ガイドレール54aに沿って後方へ摺動することになる。
【0067】
尚、前記可動肘掛部502aの移動が、左右両方とも同期するよう、図示しないが左右の前記各可動肘掛部502aに設けられた前記各摺動体7aをリンク部材で連結することができる。
【0068】
図7乃至図9に示すのは、前記背凭れ部12aの側部における可動肘掛部502aの後部との枢着位置に、可動肘掛部502aの後部位置を上下に位置調節し得るスライド機構122aを設けたものである。すなわち、前記後端回動部55aを背凭れ部12aの長さ方向においてスライド可能となるよう、該背凭れ部12aに該スライド機構122aを設けて構成する。
【0069】
この構成により、図8に示す前記背凭れ部12aが起立状態の場合は、前記腕揉み機構51aを背凭れ部12aの長さ方向に沿って移動させて、腕揉み機構51aの高さや角度を調節することができ、また図9に示す背凭れ部12aが倒伏状態の場合は、腕揉み機構51aの前後位置や角度を調節することができるようにしている。
【0070】
前述したような前記背凭れ部12aに設けたスライド機構122aと前記肘掛部5aに設けた前記スライド機構57aと併用する場合は、前記腕揉み機構51aの前後位置や高さ位置、また角度における調節範囲及び手部や腕部に対する施療範囲がさらに拡大することになる。
【0071】
図10及び図13に示す構成は、前記ガイドレール54aを前述のものよりも長く形成して前記摺動体7aの移動範囲を拡大することにより、前記背凭れ部12aを起立させた状態であっても、手部から前腕部、肘部、上腕部までの広範な施療部位を施療することができるものである。
【0072】
例えば、前記腕揉み機構51aに最前端に位置する状態から後方へ移動させるための力を加えると、前記後端回動部55aは前記可動肘掛部502aの前記スライド機構57aにおける最前端まで移動する。その後、さらに腕揉み機構51aに後方へ力を加えると、今度は前記背凭れ部12aの前記スライド機構122aに沿って後端回動部55aは上方へ移動することになる。このようにして腕揉み機構51aは、背凭れ部12aが起立状態の場合に着座した使用者の腕部の態様が屈曲したものであっても、手部から前腕部、また肘部から上腕部まで、肢体のラインに沿って移動することができる。尚、可動肘掛部502aや腕揉み機構51aが背凭れ部12aの前記側壁部2aと干渉のないよう構成したり、または該側壁部2aを設けない構成にしたりすることにより、腕揉み機構51aが使用者の肩部まで到達するよう背凭れ部12aのスライド機構122aを長く設けることができる。
【0073】
尚、図11に示すように前記ガイドレール54aを長く形成する構成の他に、前記肘掛部5aの前側下部に設けた前記垂下フレーム53aを伸縮可能にすることによっても、前記腕揉み機構51aの移動範囲をさらに拡大させることができる。
【0074】
前記可動肘掛部502aの前記スライド機構57aや前記背凭れ部12aのスライド機構122aのスライド、及び前記摺動体7aの摺動において、段階または無段階に、手動或いはモータなどの自動で調節できるようにしてもよい。例えばそのような位置調節を段階的に行う構成として、ラチェット機構などを適用することができる。尚、手動の場合は油圧シリンダを、電動の場合は電動アクチュエータを介装できる。さらには、センサーによる使用者の手腕の長さを検知して自動調節するよう構成してもよい。
【0075】
尚、上記の本発明におけるマッサージ椅子1aは、前記スライド機構57aまたはスライド機構122aを設けるものであっても、該腕揉み機構51aを背凭れ部12aのリクライニング動作に追従するよう構成されている。
【0076】
図14乃至図16及び図18に示す構成は、前記可動肘掛部502aと前記起立壁501aとの間、または可動肘掛部502aと前記基体56aとの間、或いは可動肘掛部502aと前記座部11aとの間に、人体の一部が挟み込まれて痛みや怪我をもたらさないよう防止するための挟み込み防止部材58aを可動肘掛部502aの幅方向内側に設けたものである。
【0077】
図面に示すように、前記挟み込み防止部材58aとして前記可動肘掛部502aと前記起立壁501aとの間に存する空間を遮蔽することができる板状の形態のものを採用することができる。
【0078】
よって、図16に示すように前記可動肘掛部502aの前記起立壁501aに対する上下動作に関わらず、常時、前記挟み込み防止部材58aによる遮蔽がなされ、人体の一部を挟み込む要因を除去することができる。
【0079】
図17に示す構成は、前記挟み込み防止部材58aを前記可動肘掛部502aの幅方向外側にも設けたものである。これにより、前記座部11aに着座した使用者だけでなく外部から接近してくる人も、可動肘掛部502aの動作により挟み込むことがないよう保護することができる。
【0080】
上記において説明した本発明のマッサージ椅子1aは、図36及び図37に示すように、摺動体7aに可動肘掛部502aの位置を固定し得る固定手段6a(ロック機構)を設けている。
【0081】
すなわち、前記固定手段6a(ロック機構)は、前記摺動体7aに設けて前記回動部73aを同軸として回動するシーソー部材64aの一側に設けたラック61aと、前記ガイドレール54aの内部においてその長さ方向に設けられたラック61aとの噛み合わせにより、ガイドレール54aの内部の摺動体7aを固定するようにしている。
【0082】
また、前記各ラック61aの相互噛合及び噛合解除を制御するために、ロッド631aを設け、該ロッド631aの先端部は前記シーソー部材64aに設けた前記ラック61aの側とは前記回動部73aを挟んで反対側となる該シーソー部材64aの端部に回動可能に連結されて構成している。
【0083】
よって、図38に示すように前記ロッド631aを下方へ押し下げると、前記シーソー部材64aは前記回動部73aを同軸として回動することにより、噛合状態の前記各ラック61aの噛合は解除されて、前記摺動体7aは前記ガイドレール54a内を摺動移動可能となる。逆にロッド631aを上方へ引き上げると、再び各ラック61aは噛合状態となり、ガイドレール54a内で摺動体7aは固定される。
【0084】
尚、前記ロッド631aの上げ下げを、図39に示すように前記可動肘掛部502aの前側上面に設けた操作レバー63aによって行うことができる。
【0085】
前記固定手段6a(ロック機構)は、上記したように構成されているため、前記腕揉み機構51aの位置調節の際、使用者が所望する位置において該腕揉み機構51aを前記背凭れ部12aの起倒に影響されず、確実に固定することができるのである。尚、固定手段6aの固定を解除することにより、前述で説明したように前記背凭れ部12aの起倒動作に腕揉み機構51aが連動する。
【0086】
図24に示す本発明における構成は、前記肘掛部5aに設けた前記スライド機構57aに、該スライド機構57aによる前記腕揉み機構51aの位置調節後の位置固定を行うための固定手段6a(ロック機構)を設けたものである。すなわち該固定手段6a(ロック機構)として、ラック61aを該スライド機構57aに備えると共に、前記後端回動部55aに連結する係合ピン62aを該ラック61aに係合するよう構成している。
【0087】
前記スライド機構57aの前記ラック61aに対する前記係合ピン62aの係合または解除は、前記可動肘掛部502aの後端部を上下に押し引きするなどしてなされるよう構成できる。例えば、図25に示すように、可動肘掛部502aの後端部を引き上げると、係合ピン62aのラック61aにおける係合が解除され、次いで図26に示すように前記腕揉み機構51aが適正位置になるよう位置調節を行い、その後、図27に示すように、可動肘掛部502aの後端部を押し下げるか、または荷重をかけるかすることにより、再び係合ピン62aはラック61aに係合し、腕揉み機構51aの位置が固定されるのである。
【0088】
図27に示す構成は、前記背凭れ部12aに設けた前記スライド機構122aに、該スライド機構122aによる前記腕揉み機構51aの位置調節後の位置固定を行うための固定手段6a(ロック機構)を設けたものである。すなわち該固定手段6a(ロック機構)として、ラック61aを該スライド機構122aに備えると共に、前記後端回動部55aに連結する係合ピン62aを該ラック61aに係合するよう構成している。
【0089】
前記スライド機構122aにおける前記係合ピン62aの前記ラック61aに対する係合または解除、また該解除時における前記腕揉み機構51aの位置調節は、前述した前記肘掛部5aに設けた前記スライド機構57aにおける前記固定手段6a(ロック機構)と同様であり、前記可動肘掛部502aの後端部を上下に押し引きするなどして係合ピン62aの係合または解除がなされるものであり、前記腕揉み機構51aの位置調節後、可動肘掛部502aの後端部を押し下げるか、または荷重をかけるかをすることにより、係合ピン62aはラック61aに係合して腕揉み機構51aの位置が固定されるのである。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明のマッサージ椅子の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明のマッサージ椅子の一実施形態を示す使用状態図である。
【図3】本発明のマッサージ椅子における背凭れ部と脚載部及び肘掛部の各動作に関する一実施形態を示す使用状態の右側面参考図である。
【図4】本発明のマッサージ椅子の背凭れ部を後方へ倒伏させた一実施形態を示す使用状態の右側面参考図である。
【図5】本発明のマッサージ椅子の肘掛部にスライド機構を備えた一実施形態を示す右側面参考図である。
【図6】本発明のマッサージ椅子における肘掛部のスライド機構による腕揉み機構の前後スライド動作に関する一実施形態を示す使用状態の右側面参考図である。
【図7】本発明のマッサージ椅子の背凭れ部にスライド機構を備えた一実施形態を示す右側面参考図である。
【図8】本発明のマッサージ椅子における背凭れ部のスライド機構による腕揉み機構の上下スライド動作に関する一実施形態を示す使用状態の右側面参考図である。
【図9】本発明のマッサージ椅子の背凭れ部を倒伏させた状態での腕揉み機構のスライド動作に関する一実施形態を示す使用状態の右側面参考図である。
【図10】本発明のマッサージ椅子の腕揉み機構における手部から上腕までの施療範囲に関する一実施形態を示す使用状態の右側面参考図である。
【図11】本発明のマッサージ椅子における起立壁に設けたガイドレールを長く形成した一実施形態を示す使用状態の右側面参考図である。
【図12】本発明のマッサージ椅子における背凭れ部と肘掛部の各動作に関する一実施形態を示す右側面参考部分図である。
【図13】本発明のマッサージ椅子における肘掛部の動作に関する一実施形態を示す右側面参考部分図である。
【図14】本発明のマッサージ椅子に挟み込み防止部材を設けた一実施形態を示す右側面参考部分図である。
【図15】本発明のマッサージ椅子に挟み込み防止部材を設けた一実施形態を示す正面参考部分図である。
【図16】本発明のマッサージ椅子に挟み込み防止部材を設けた一実施形態を示す正面参考部分図である。
【図17】本発明のマッサージ椅子に挟み込み防止部材を設けた一実施形態を示す正面参考部分図である。
【図18】本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体を球形状とした一実施形態を示す右側面部分断面参考図である。
【図19】本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体を半円筒形状とした一実施形態を示す正面部分断面参考図である。
【図20】本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体を半円筒形状とした一実施形態を示す右側面部分断面参考図である。
【図21】本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体を半円筒形状とした一実施形態を示す右側面部分断面参考図である。
【図22】本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体の付勢させた摺擦部材を採用した一実施形態を示す正面部分断面参考図である。
【図23】本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体の付勢させた摺擦部材を採用した一実施形態を示す右側面部分断面参考図である。
【図24】本発明のマッサージ椅子における肘掛部のスライド機構に固定手段を設けた一実施形態を示す右側面参考部分図である。
【図25】本発明のマッサージ椅子における肘掛部のスライド機構に固定手段を設けた一実施形態を示す右側面参考部分図である。
【図26】本発明のマッサージ椅子における肘掛部のスライド機構に固定手段を設けた一実施形態を示す右側面参考部分図である。
【図27】本発明のマッサージ椅子における肘掛部のスライド機構に固定手段を設けた一実施形態を示す右側面参考部分図である。
【図28】本発明のマッサージ椅子における背凭れ部のスライド機構に固定手段を設けた一実施形態を示す右側面参考部分図である。
【図29】本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体に設けた一つの摺擦部材を回転輪に置換した一実施形態を示す正面部分断面参考図である。
【図30】本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体に設けた一つの摺擦部材を回転輪に置換した一実施形態を示す右側面部分断面参考図である。
【図31】本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体に設けた一つの摺擦部材を回転輪に置換した一実施形態を示す右側面部分断面参考図である。
【図32】本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体に設けた一つの摺擦部材を回転輪に置換した一実施形態を示す右側面部分断面参考図である。
【図33】本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体に設けた摺擦部材と回転輪とを夫々上側と下側に配設した構成の一実施形態を示す正面部分断面参考図である。
【図34】本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体に設けた摺擦部材と回転輪とを夫々上側と下側に配設した構成の一実施形態を示す右側面部分断面参考図である。
【図35】本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体に設けた摺擦部材と回転輪とを夫々上側と下側に配設した構成の一実施形態を示す右側面部分断面参考図である。
【図36】本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体に固定手段(ロック機構)を設けた一実施形態を示す正面部分断面参考図である。
【図37】本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体に固定手段(ロック機構)を設けた一実施形態を示す右側面部分断面参考図である。
【図38】本発明のマッサージ椅子のガイドレール内部における摺動体に固定手段(ロック機構)を設けた一実施形態を示す右側面部分断面参考図である。
【図39】本発明のマッサージ椅子の摺動体に設けた固定手段(ロック機構)をロックまたはロック解除するために可動肘掛部に操作レバーを設けた一実施形態を示す右側面参考部分図である。
【図40】従来技術を示す参考図である。
【符号の説明】
【0091】
1a マッサージ椅子
10a 椅子本体
11a 座部
12a 背凭れ部
121a リクライニング回動軸
122a スライド機構
13a 脚載部
131a 脛施療部
132a 足先施療部
2a 側壁部
3a 施療子機構部
31a 施療子
32a ガイドレール
4a 膨縮袋
41a 空気給排装置
5a 肘掛部
501a 起立壁
502a 可動肘掛部
503a 上面
51a 腕揉み機構
52a 凹部
521a 底面
53a 垂下フレーム
531a スライド溝
54a ガイドレール
541a 摺擦面
542a 開口部
55a 後端回動部
56a 基体
57a スライド機構
58a 挟み込み防止部材
6a 固定手段(ロック機構)
61a ラック
62a 係合ピン
63a 操作レバー
631a ロッド
64a シーソー部材
7a 摺動体
71a フレーム
711a 分割フレーム
72a 摺擦部材
721a 回動部
722a バネ
723a 摺擦部材受部
724a 嵌合溝
73a 回動部
74a 押接滑動部材
741a 当接体
742a バネ
743a 回転輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部の後部に起立状態から倒伏状態へ起倒自在に設けられた背凭れ部を配備すると共に、該座部の左右両側部には各々肘掛部を配設したマッサージ椅子であって、前記各肘掛部は、下部の起立壁と、該起立壁の上部位置に配備され、人体の手部または腕部を載置装入し得る凹部が形成されていると共に該凹部内に手部または腕部を施療し得る膨縮袋が配設してある腕揉み機構を配備した可動肘掛部に分割されており、これら起立壁上前部と可動肘掛部下前部間に摺動体を介設すると共に該可動肘掛部後部と背凭れ部側部を枢着して可動肘掛部を揺動可能にし、背凭れ部の起倒動作に従って両肘掛部の各可動肘掛部が追従し得るよう構成した事を特徴するマッサージ椅子。
【請求項2】
前記可動肘掛部後部と背凭れ部側部との枢着位置は、背凭れ部のリクライニング回動軸よりも上位置であることを特徴する請求項1記載のマッサージ椅子。
【請求項3】
前記可動肘掛部の後部における背凭れ部側部との枢着位置に、可動肘掛部位置を前後に位置調節し得るスライド機構が設けてあることを特徴する請求項1又は請求項2記載のマッサージ椅子。
【請求項4】
前記背凭れ部側部における可動肘掛部の後部との枢着位置に、可動肘掛部後部位置を上下に位置調節し得るスライド機構が設けてあることを特徴する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のマッサージ椅子。
【請求項5】
前記摺動体又は前記スライド機構に、可動肘掛部の位置を固定し得る固定手段が設けられていることを特徴する請求項1、請求項3又は請求項4のいずれかに記載のマッサージ椅子。
【請求項6】
人体の手部または腕部を載置し得る前記可動肘掛部の上面は、前記腕揉み機構の凹部底面を兼用するものであることを特徴する請求項1記載のマッサージ椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2008−188055(P2008−188055A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−22376(P2007−22376)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000136491)株式会社フジ医療器 (137)
【Fターム(参考)】