説明

マッサージ機

【課題】 本発明の目的は、被施療部に対して抉り込むような効果的な指圧マッサージを施すことができるマッサージ機を提供することである。
【解決手段】 被施療部を受ける受面45に開口46を設け、受面45の反被施療部側に、膨張収縮するエアバッグ48を配置し、エアバッグ48の膨張により、エアバッグに連結された指圧棒49を開口46より突出させて被施療部を指圧するもので、受面45のエアバッグ側、又は/及びエアバッグ48の受面側に、エアバッグの膨張時に互いに当接してエアバッグを傾斜させ、指圧棒の突出軌跡を垂直方向から水平方向へと変向させる変向部となる突部52を設ける。
【効果】 エアバッグの膨張に伴い指圧棒の突出軌跡を垂直方向から水平方向へ変向させ、被施療部に対して抉り込むような効果的な指圧を施すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気の供給排出により膨張収縮するエアバッグに指圧棒を連結し、エアバッグの膨張により指圧棒を突出させて被施療部を押圧し、指圧マッサージを施すマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧縮空気の供給排出により膨張収縮するエアバッグに指圧棒を連結し、エアバッグの膨張により指圧棒を突出させて被施療部を押圧するマッサージ機として、特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載のものは、被施療部を受ける受面に開口を設け、受面の反被施療部側に、圧縮空気の供給排出により膨張収縮するエアバッグを配置し、エアバッグの膨張により、エアバッグに連結された指圧棒を前記開口より突出させて被施療部を押圧し、指圧マッサージを施すものである。
【特許文献1】特開平11−128288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のマッサージ機では、エアバッグの膨張により、受面に対して垂直方向に単純に指圧棒が突出するもので、被施療部に対して変化のない指圧マッサージしか施すことができないものであった。
【0005】
本発明の目的は、エアバッグの膨張に伴い指圧棒の突出軌跡を受面に対し垂直方向から水平方向へと変向させて、変化に富んだ指圧マッサージを得ることができるマッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、被施療部を受ける受面に開口を設け、受面の反被施療部側に、圧縮空気の供給排出により膨張収縮するエアバッグを配置し、エアバッグの膨張により、エアバッグに連結された指圧棒を前記開口より突出させて被施療部を押圧するもので、前記受面のエアバッグ側、又は/及びエアバッグの受面側に、エアバッグの膨張時に互いに当接してエアバッグを傾斜させ、指圧棒の突出軌跡を受面に対し垂直方向から水平方向へと変向させる変向部を設けたものである。
【0007】
具体的に変向部として、前記受面のエアバッグ側、又は/及びエアバッグの受面側に形成された突部を例示できる。
【0008】
また前記受面が左右の足の踵からつま先を受けるものである場合、前記開口は土踏まずに相当する位置に設けられ、エアバッグの膨張により、指圧棒が土踏まずの足裏中央部寄りより内側へと向きを変向するものを例示できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、エアバッグの膨張に伴い指圧棒の突出軌跡を受面に対し垂直方向から水平方向へと変向させるもで、その結果、被施療部に対して抉り込むような揉みの要素を加味した効果的な指圧マッサージを施すことができる。このマッサージをつぼが集中している足裏の土踏まずに施せば、土踏まずを効果的にマッサージできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明のマッサージ機を椅子式マッサージ機を例に図に基づき説明する。なお、以下の説明において、椅子に座った人から見てお腹側を前方、背中側を後方という。図1は椅子式マッサージ機10の斜め前方から見た斜視図で、マッサージ機10は、被施療者の腰掛ける座部20と、座部20の後端側において起倒自在で任意の角度で位置決め可能に取り付けられた背凭れ部30と、座部20の前端側において揺動自在で任意の角度で位置決め可能に取り付けられたフットレスト40と、座部20の左右両側に立設されたアームレスト50を具える。
【0011】
背凭れ部30内には、左右一対の施療子により叩きや揉みを行なう周知のマッサージ手段(図示せず)が、背凭れ部に沿って昇降自在に設けられている。フットレスト40は、前方及び上方が開放された左右一対の凹状受部41を具え、各凹状受部41の左右側面には、圧縮空気の供給、排出により膨張、収縮するエアバッグ42、43が配備され、凹状受部41に挿入したふくらはぎと足先の側面を押圧してマッサージを施す。凹状受部41は、布製のカバー44で覆われている。
【0012】
また、各凹状受部41の底面45のほぼ中央には、図2、図5に示すように円形の開口46が形成されている。この開口46の位置は、底面45上に置いた足裏の土踏まずの足裏中央部寄りに相当する位置となるように設定されている。ここで凹状受部41の底面45が、請求項1でいうところの被施療部である足裏を受ける受面となる。受面45の反被施療部側には、エアバッグ収納室47が形成され、この収納室47内に、圧縮空気の供給、排出により膨張、収縮するエアバッグ48が配備されている。そしてエアバッグ48の上面には、指圧棒49が上に向くように溶着されている。指圧棒49は、エアバッグ48が収縮した状態では、図2のように前記開口46より僅かに凹状受部41内に突出した状態になっている。
【0013】
凹状受部41側面のエアバッグ42、43と収納室47内のエアバッグ48は、配管、電磁バルブを介して、エアポンプ(いずれも図示せず)に接続され、エアポンプ、電磁バルブを介して圧縮空気が供給され、また電磁バルブを介して中の空気が排出される。
【0014】
而して、前記開口46の口縁の内側寄りには、図4、図5に示すように、リブ状の円弧状突部52が一体に垂設されている。エアバッグ48が膨張していくと、この突部52がエアバッグ48の片側に当ってエアバッグ48を押さえつけるようになり、その結果、図3、図4に示すようにエアバッグ48が傾く。従って、当初は上方へ向かって突出しつつある指圧棒49は、エアバッグ48の傾斜に伴って水平方向に次第に向きを変える。この指圧棒49の垂直方向から水平方向への連続運動により、被施療部である土踏まずに、単なる指圧でなく、抉り込むような指圧を施すことができ、効果的な指圧マッサージが可能になる。この場合、土踏まずの足裏中央部寄りから内側(図4の矢印A方向)へ向かって抉り込むような、揉みの要素を加味した効果的な指圧マッサージが施される。また突部52が、請求項1でいうところの、指圧棒49の突出軌跡を受面に対し垂直方向から水平方向へと変向させる変向部となる。
【0015】
前記開口46を凹状受部41底面45の内側寄りに設けて、突部52を前記開口46の口縁の外側寄りに設ければ、図3、図4とは反対に、土踏まずの内側から足裏中央部寄りへ向かって抉り込むような指圧を施こすことも可能である。
【0016】
なお、図2乃至図4においては、凹状受部41を覆う布製カバー44を省略している。また図中Fは、凹状受部41に置いた足を示す。
【0017】
図6乃至図8は他の実施例を示し、突部52を凹状受部の底面45のエアバッグ48側ではなく、エアバッグ48の底面45側に突設した例である。この場合、突部52を指圧棒49の根元に一体に形成している。この実施例でも、エアバッグ48が膨張していくと、この突部52が底面45に先に当ってエアバッグ48を押さえつけるようになり、その結果、図7に示すようにエアバッグ48が傾き、指圧棒49は、垂直方向から水平方向へ向きを変え、土踏まずに、単なる指圧でなく、抉り込むような指圧を施すことができる。なお、図6図7では、布製カバー44と、凹状受部41の側面に設けたエアバッグ42、43は省略している。
【0018】
突部52は、受面45のエアバッグ48側とエアバッグ48表面の受面45側の両方に設けることもできる。
【0019】
また突部52は、図2のように受面45より一体に垂設する他に、エアバッグ収納室47の側面より突設することもできる。また突部52は、図6のように指圧棒49の根元に一体に形成する他に、エアバッグ48の上面に直接溶着してもよい。
【0020】
以上の実施例では、抉り込むような指圧を足裏の土踏まずに施すものであるが、腰や肩、大腿部ふくらはぎ等、人体の任意の場所を受ける受面に、上記の如き指圧棒を配備して、これらの被施療部に対して同様の指圧マッサージを施すこともできる。
【0021】
なお、指圧棒の移動軌跡を垂直方向から水平方向へと変向させる方法として、図9のように、指圧棒49自体を曲げて、エアバッグ48の膨張に伴って、指圧棒の先端の向きを変えることもできる。図9(a)は、エアバッグの収縮状態、図9(b)は膨張状態を示す。この場合、受面45に設けた開口46の口縁に、曲がった指圧棒49をガイドするガイド55を設けておく。
【0022】
本発明によれば、エアバッグの膨張に伴い指圧棒の突出軌跡を受面に対し垂直方向から水平方向へと変向させて、被施療部に対して抉り込むような効果的な指圧マッサージを施すことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のマッサージ機を斜め前方から見た斜視図である。
【図2】同マッサージ機のフットレストの要部を断面して示す正面図で、エアバッグの収縮状態を示す。
【図3】同上の正面図で、エアバッグの膨張状態を示す。
【図4】図3の要部拡大断面図である。
【図5】図2におけるフットレストの要部平面図である。
【図6】本発明の他の実施例を示す図2に相当する正面図である。
【図7】本発明の他の実施例を示す図3に相当する正面図である。
【図8】本発明の他の実施例を示す図5に相当する正面図である。
【図9】本発明とは別の方法を示すもので、(a)はエアバッグの収縮状態、(b)はエアバッグの膨張状態を夫々示す。
【符号の説明】
【0024】
45 受面
46 開口
48 エアバッグ
49 指圧棒
52 突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療部を受ける受面に開口を設け、受面の反被施療部側に、圧縮空気の供給排出により膨張収縮するエアバッグを配置し、エアバッグの膨張により、エアバッグに連結された指圧棒を前記開口より突出させて被施療部を押圧するものにおいて、前記受面のエアバッグ側、又は/及びエアバッグの受面側に、エアバッグの膨張時に互いに当接してエアバッグを傾斜させ、指圧棒の突出軌跡を受面に対し垂直方向から水平方向へと変向させる変向部を設けたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記変向部は、前記受面のエアバッグ側、又は/及びエアバッグの受面側に形成された突部である請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記受面は、左右の足の踵からつま先を受けるものである請求項1又は請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記開口は土踏まずに相当する位置に設けられ、エアバッグの膨張により、指圧棒が土踏まずの足裏中央部寄りより内側へと向きを変向するようにした請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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