説明

マッサージ機

【課題】電磁弁等の部品追加なく空気袋を膨張状態で保圧でき、施療部位の押圧や圧迫の継続動作をマッサージ動作に組み入れることができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】コントローラの制御により、施療対象の空気袋の所定膨張状態の所定時間維持による施療を行う際、その対象の電磁弁によるエアポンプと対象の空気袋との接続を維持しつつエアポンプの駆動が停止され、膨張状態の空気袋の保圧を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアポンプ及び電磁弁にて空気袋を膨縮させ、使用者の施療部位に対し押圧や圧迫等の施療を行うマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のマッサージ機を椅子型としたマッサージ椅子においては、座面や背もたれ部、オットマン等の各所に空気袋が設置されており、エアポンプ及び電磁弁にて各空気袋に対してそれぞれ空気を給排させて該空気袋を膨縮させ、着座した使用者の臀部や腰部、ふくらはぎ部等の施療部位に対してエアマッサージが施される構成となっている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ここで、駆動装置の動作について、エアポンプでは圧縮空気が生成されており、電磁弁(この場合、三方電磁弁)が大気開放側から供給側に切り替わることでエアポンプからの圧縮空気の給気に基づいて空気袋が膨張し、電磁弁が供給側から大気開放側に切り替わることで空気袋内の空気が大気に排気されて空気袋が収縮する。エアマッサージ時には、この空気袋の膨縮動作が繰り返されている。
【特許文献1】特開2007−260173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、空気袋の単純な膨縮動作のみならず、空気袋の膨張状態を維持(保圧)して施療部位の押圧や圧迫状態を所定時間継続させ、マッサージ効果の向上やマッサージ動作のバリエーションを増加させたいという要求がある。この場合、前記エアポンプと三方電磁弁との間に二方電磁弁を設け、空気袋の所定膨張状態で二方電磁弁を遮断側に切り替えることで空気袋の保圧が行われる構成が考えられた。
【0005】
しかしながら、空気袋の保圧のために二方電磁弁を追加して対応することは、部品点数が増加し、またこれが組立工数の増加を招くことで、コストが上昇することが問題であった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、電磁弁等の部品追加なく空気袋を膨張状態で保圧でき、施療部位の押圧や圧迫の継続動作をマッサージ動作に組み入れることができるマッサージ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、使用者の施療部位を施療するための空気袋が備えられ、エアポンプ及び電磁弁を備えてなる駆動装置の空気の給排動作をコントローラの制御に基づいて行わせ、その駆動装置の空気の給排動作にて前記空気袋を膨縮させて前記使用者の施療部位のマッサージを行うマッサージ機であって、前記コントローラは、前記空気袋の所定膨張状態の所定時間維持による施療を行う際、前記電磁弁による前記エアポンプと前記空気袋との接続を維持しつつ前記エアポンプの駆動を停止させ、膨張状態の前記空気袋の保圧を行うことをその要旨とする。
【0008】
この発明では、コントローラの制御により、空気袋の所定膨張状態の所定時間維持による施療を行う際、電磁弁によるエアポンプと空気袋との接続を維持しつつエアポンプの駆動が停止されて、膨張状態の空気袋の保圧が行われる。この場合、エアポンプの吐出口(電磁弁との接続口)には逆止弁が備えられているのが通常一般的なため、電磁弁にてエアポンプと空気袋との接続を維持したままエアポンプの駆動を停止すれば、空気袋を膨張状態で保圧することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電磁弁等の部品追加なく空気袋を膨張状態で保圧でき、施療部位の押圧や圧迫の継続動作をマッサージ動作に組み入れることができるマッサージ機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のマッサージ椅子10を示す。マッサージ椅子10の椅子本体10aは、左右一対の支持脚部11にて支持された座面12の後端に背もたれ部13が幅方向の回動軸にて傾動可能に組み付けられ、該座面12の前端にオットマン14が同方向の回動軸にて傾動可能に組み付けられてなる。また、座面12の両側には、前後方向に延びる肘掛け部15が組み付けられている。
【0011】
座面12の下側には、背もたれ部13のリクライニング機構16が備えられており、該機構16のモータ16aの駆動により背もたれ部13のリクライニングがなされるようになっている。また、オットマン14についても、座面12の下側に該オットマン14の上下動機構17が備えられており、該機構17のモータ17aの駆動によりオットマン14の上下動されるようになっている。
【0012】
背もたれ部13の幅方向中央部には、施療子18aを有するマッサージ機構18が内装されている。マッサージ機構18は、モータ(図示略)により背もたれ部13の上下方向に移動可能に備えられ、また施療子18aに施療動作を行わせるモータ(図示略)も内蔵されている。マッサージ機構18は、各種モータの駆動に基づく施療子18aの施療動作により、使用者Aの背中に対して施療が行われる。
【0013】
図2に示すように、背もたれ部13には、上下方向中央部両側において一対の空気袋19が使用者Aの肩部に対応して内装され、下部両側において一対の空気袋20が使用者Aの腰部に対応して内装されている。座面12の両側には、一対の空気袋21が使用者Aの臀部に対応して内装されている。オットマン14には、使用者Aの左右の脚をそれぞれ収容するコ字状の収容溝14aを有し、各収容溝14aの内壁には、上下に1つずつ左右を合わせると合計で4つの空気袋22が内装されている。各施療部位に対応して設けられた空気袋19〜22は、接続ホース(図示略)を介して座面12の下側の支持脚部11間に設置される図3に示す駆動装置30に向けて取り回されている。
【0014】
図3に示すように、駆動装置30は、電動駆動されるエアポンプ31と、該エアポンプ31にそれぞれ接続され各空気袋19〜22に対応して設けられる三方電磁弁32a〜32dと、エアポンプ31及び電磁弁32a〜32dを制御するコントローラ33とを備えてなる。
【0015】
そして、コントローラ33の制御の下、エアポンプ31の駆動により圧縮空気が生成され、施療対象の電磁弁32a〜32dが大気開放側から供給側に切り替わると、該エアポンプ31からの圧縮空気がその対象の空気袋19〜22内に給気されて該空気袋19〜22が膨張する。一方、空気袋19〜22の所定の膨張動作が終了すると、電磁弁32a〜32dが供給側から大気開放側に切り替わり、空気袋19〜22内の空気が大気中に排気されて該空気袋19〜22が収縮する。エアマッサージ時には、この膨張・収縮動作が繰り返される。
【0016】
ここで、コントローラ33は、空気袋19〜22の単純な膨縮動作に加え、所定のエアマッサージ制御モードでの要求から膨張状態を所定時間(例えば5秒)維持し、施療部位の押圧や圧迫状態を所定時間継続させる制御も行っている。
【0017】
図4に示すように、エアポンプ31の駆動(ON)に基づいて圧縮空気が生成されており、施療対象の電磁弁32a〜32dが大気開放側から供給側に切り替わることで、その施療対象の空気袋19〜22が膨張する。やがて、所定膨張状態になると、施療対象の電磁弁32a〜32dが供給側に維持したまま、エアポンプ31の駆動が停止(OFF)される。この場合、エアポンプ31の各吐出口には逆止弁31aが備えられているのが通常一般的なため、施療対象の空気袋19〜22内の空気の逃げ場がなく、対象の空気袋19〜22の保圧がなされる。そして、所定時間が経過すると、その対象の電磁弁32a〜32dが供給側から大気開放側に切り替わり、対象の空気袋19〜22の収縮が行われる。エアポンプ31は、圧縮空気生成のため駆動(ON)側に切り替えられる。
【0018】
このように本実施形態では、空気袋19〜22の単純な膨縮動作によるエアマッサージの他にも、空気袋19〜22の膨張状態の所定時間維持を組み込んだエアマッサージをコントローラ33の制御のみで対応する構成となっている。
【0019】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)本実施形態では、コントローラ33の制御により、施療対象の空気袋19〜22の所定膨張状態の所定時間維持(例えば5秒維持)による施療を行う際、その対象の電磁弁32a〜32dによるエアポンプ31と対象の空気袋19〜22との接続を維持しつつエアポンプ31の駆動が停止されて、膨張状態の空気袋19〜22の保圧が行われるようにした。この場合、エアポンプ31の吐出口(電磁弁32a〜32dとの接続口)には逆止弁31aが備えられているのが通常一般的なため、その対象の電磁弁32a〜32dにてエアポンプ31と空気袋19〜22との接続を維持したままエアポンプ31の駆動を停止すれば、空気袋19〜22を膨張状態で保圧することができる。これにより、電磁弁等の部品追加なく施療対象の空気袋19〜22を膨張状態で保圧でき、施療部位の押圧や圧迫の継続動作をマッサージ動作に組み入れることができる。
【0020】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、施療対象の空気袋19〜22を膨張状態で保圧を行った後、対象の空気袋19〜22を収縮させるべくその電磁弁32a〜32dを大気開放側に切り替え、エアポンプ31を駆動(ON)側に切り替えたが、エアポンプ31を駆動(ON)するタイミングを遅らせてもよい。例えば、次の空気袋19〜22を膨張動作開始時にエアポンプ31を駆動(ON)側に切り替えてもよい。
【0021】
・上記実施形態では、マッサージ機を椅子型としたマッサージ椅子10に適用したが、椅子型以外で例えばベッドタイプのマッサージ機や、使用者の脚や腕等の施療部位のみを施療対象とした脚用又は腕用等のマッサージ機に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態のマッサージ椅子の概略構成を説明するための側面図である。
【図2】マッサージ椅子の概略構成を説明するための正面図である。
【図3】エアマッサージの構成を説明するためのブロック図である。
【図4】エアマッサージの制御を説明するための波形図である。
【符号の説明】
【0023】
10…マッサージ椅子(マッサージ機)、19〜22…空気袋、30…駆動装置、31…エアポンプ、32a〜32d…電磁弁、33…コントローラ、A…使用者。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の施療部位を施療するための空気袋が備えられ、エアポンプ及び電磁弁を備えてなる駆動装置の空気の給排動作をコントローラの制御に基づいて行わせ、その駆動装置の空気の給排動作にて前記空気袋を膨縮させて前記使用者の施療部位のマッサージを行うマッサージ機であって、
前記コントローラは、前記空気袋の所定膨張状態の所定時間維持による施療を行う際、前記電磁弁による前記エアポンプと前記空気袋との接続を維持しつつ前記エアポンプの駆動を停止させ、膨張状態の前記空気袋の保圧を行うことを特徴とするマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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