マッサージ機
【課題】胸を開くストレッチ動作を行うことができ、マッサージ機への着座するときやマッサージを行わないときに、押圧部が邪魔にならないマッサージ機を提供する。
【解決手段】使用者が着座する座部と、この座部の後方に設けられ使用者の胴体を支持する支持部とを有するマッサージ機である。前記支持部は、使用者の胴体における肩部の上方に位置し、肩部を前方から押圧する左右対の第1押圧部29と、使用者の胴体を後方から押圧する左右対の第2押圧部30とを有し、前記第2押圧部30は、前記第1押圧部29よりも左右方向内側を押圧する。
【解決手段】使用者が着座する座部と、この座部の後方に設けられ使用者の胴体を支持する支持部とを有するマッサージ機である。前記支持部は、使用者の胴体における肩部の上方に位置し、肩部を前方から押圧する左右対の第1押圧部29と、使用者の胴体を後方から押圧する左右対の第2押圧部30とを有し、前記第2押圧部30は、前記第1押圧部29よりも左右方向内側を押圧する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機に関し、胸を開くストレッチ動作を行うことができるマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マッサージ機として、座部と背凭れ部とを有し、これらにエアセルや揉み玉などの施療具が設けられている椅子型マッサージ機が知られている。このようなマッサージ機は、例えば、背凭れ部に設けた揉み玉を上下に移動させつつ揉み動作や叩き動作をさせることによって、使用者に対してマッサージを行うことができる。また、背凭れ部にマッサージ機能を有した枕部を設けて、背凭れ部に凭れた使用者の頭部を支持しつつ、枕部に設けたエアセルにより、使用者の首部や肩部に押圧マッサージを行う椅子型マッサージ機が知られている(例えば、特許文献1又は2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−45416号公報
【特許文献2】特開2004−33583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されたマッサージ機は、使用者の肩部の上方に位置するエアセルにより、肩部を下方に向けて押圧し、肩部の後方に位置するエアセルにより、肩部を前方に向けて押圧することができる。しかし、肩部の上方に位置するエアセルは、肩部を前方から押圧することができないため、肩部の後方に位置するエアセルにより上半身を前方に押圧すると、使用者が前方に押し出されてしまい、高いマッサージ効果を得ることができない。
また、上記特許文献2に開示されたマッサージ機は、使用者の肩部の前方及び後方に位置するエアセルにより、肩部を前後から挟み込むように押圧することができる。しかし、肩部の前方に位置するエアセルと肩部の後方に位置するエアセルは、左右方向における位置が一致しているため、胸を開くストレッチ動作を行うことができない。また、肩部の前方にエアセルが存在しているため、椅子型マッサージ機に着座するときやマッサージを行わないときに、エアセルが邪魔になってしまう。
本発明は、このような問題を解消するためになされたものであり、胸を開くストレッチ動作を行うことができ、マッサージ機への着座するときやマッサージを行わないときに、押圧部が邪魔にならないマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のマッサージ機は、使用者が着座する座部と、この座部の後方に設けられ使用者の胴体を支持する支持部とを有するマッサージ機において、前記支持部は、使用者の胴体における肩部の上方に位置し、肩部を前方から押圧する左右対の第1押圧部と、使用者の胴体を後方から押圧する左右対の第2押圧部とを有し、前記第2押圧部は、前記第1押圧部よりも左右方向内側を押圧することを特徴とする。
このような構成とすることにより、第1押圧部により使用者の両肩部を前方から押圧して支持部に保持した状態で、第2押圧部により胴体における両肩部より左右方向内側を後方から押圧するので、胸を左右に開くストレッチ動作を行うことができる。しかも、肩部を前方から押圧する第1エアセルは、肩部の上方に位置しているので、マッサージ機に着座するときやマッサージを行わないときに、第1押圧部が邪魔になってしまうことを防止できる。
【0006】
この場合、前記第2押圧部は、前記第1押圧部よりも左右方向内側よりに位置していることが好ましい。更に、前記第1押圧部は、後端部側を基部とし、前端部側を展開部として上方から下方に向けて展開するよう構成され、前記第2押圧部は、上端部側を基部とし、下端部側を展開部として後方から前方に向けて展開するよう構成されていることが好ましい。また、前記第2押圧部は、左右方向外側を基部とし、左右方向内側を展開部として後方から前方に向けて展開するよう構成されていてもよい。
【0007】
また、前記支持部は、使用者の胴体における肩部を上方から押圧する第3押圧部と、使用者の首部を左右から押圧する第4押圧部と、を更に有していることが好ましい。この場合、前記各押圧部の動作を制御する制御部を有し、前記制御部は、少なくとも第3押圧部と他の押圧部とを独立して制御するよう構成されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、第1押圧部により使用者の両肩部を前方から押圧して支持部に保持した状態で、第3押圧部により胴体を下方に押し下げるため、肩部を上方に牽引するストレッチ動作を行うことができる。また、第4押圧部により使用者の首部を左右から押圧して支持部に保持した状態で、第3押圧部により胴体を下方に押し下げるため、首部を上方に牽引するストレッチ動作を行うことができる。
【0008】
また、前記支持部は、背凭れ部と、該背凭れ部に設けられ上下方向に可動である可動部とを有し、前記各押圧部は可動部に設けられていることが好ましい。
このような構成とすることにより、第1、第2、及び第4押圧部により使用者の両肩部及び首部を可動部に保持した状態で、第3押圧部により胴体を下方に押し下げ、且つ、第3押圧部の下方に作用する押圧力の反力により可動部を上方に押し上げるため、肩部及び首部を上方に牽引する距離を大きくとることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、胸を左右に開くストレッチ動作を行うことができ、且つ、マッサージ機への着座するときやマッサージを行わないときに、押圧部が邪魔になってしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係るマッサージ機の前方斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るマッサージ機の機能ブロック図である。
【図3】図1に示すマッサージ機の背凭れ部の後方斜視図である。
【図4】図1に示すマッサージ機の枕部の前方から見た平面図である。
【図5】図1に示すマッサージ機の枕部の下方から見た平面図である。
【図6】図1に示すマッサージ機の枕部の左側方から見た平面図である。
【図7】図1に示すマッサージ機の枕部の後方から見た平面図である。
【図8】使用者の上方から見た平面図であり、第1押圧部と第2押圧部とによる胸を開くストレッチ動作を説明する図である。
【図9】使用者の左側方から見た平面図であり、第3押圧部が押圧する位置を説明する図である。
【図10】他の形態1の枕部の前方から見た平面図である。
【図11】他の形態2の枕部の前方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[全体構成]
以下、本発明の一実施形態に係るマッサージ機1の全体構成について、図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るマッサージ機1の前方斜視図である。図2は本発明の一実施形態に係るマッサージ機1の機能ブロック図である。
図1に示す通り、このマッサージ機1は、主として使用者が着座する座部2と、この座部2の後方に設けられて使用者の上半身を支持する支持部3と、座部2の前部に設けられて使用者の脚部(ふくらはぎ部)及び/又は足部(足首より足先側)を支持するフットレスト4と、座部2の左右両側に設けられて使用者の腕部を支持する肘掛け部5とにより椅子型に構成されている。この支持部3は、使用者の胴体を支持する背凭れ部6と、背凭れ部6の前面上部に設けられ少なくとも使用者の首部を支持する枕部7とを有している。なお、以下の説明において、左右等の方向は、座部2に着座した使用者から見た方向であり、また、背凭れ部6においては、その幅方向を「左右方向」とし、その厚さ方向を「前後方向」とし、背凭れ部6の腰部から頭部へ向かう方向を「上下方向」とし、左右方向において背凭れ部6の中央に向かう側を「内側」、外側に向かう側を「外側」とする。
【0012】
図2に示す通り、背凭れ部6は、電動モータ、流体圧シリンダ、又はエアセル等よりなるアクチュエータ8により左右水平方向の軸回りに座部2の後部に対してリクライニング可能であり、図1に示す起立状態から後方へ傾倒した略水平状態までの間において任意の位置で停止することができる。また、図2に示す通り、フットレスト4は、背凭れ部6と同様に、電動モータ、流体圧シリンダ、又はエアセル等によりなるアクチュエータ9により左右水平方向の軸回りに座部2の前部に対して上下回動可能であり、図1に示す垂下状態から上方へ回動した略水平状態までの間において任意の位置で停止できる。
【0013】
図1に示す通り、背凭れ部(支持部3)6の内部には、使用者の胴体後面に揉み動作や叩き動作等の機械的刺激を与える上下で1対とされた左右1対の揉み玉10aを有する施療ユニット10が設けられている。これら上下の揉み玉10aは、くの字状のアーム10bに設けられている。また、施療ユニット10は、枕部7が有する後述する左右対の第1押圧部29よりも左右方向内側において、背凭れ部6の内部に設けられた上下方向に延設された左右一対のガイドレール(図示せず)に沿って上下方向に昇降動作可能とされている。また、施療ユニット10は、背凭れ部6内に設けられた進退機構(図示せず)によって前後方向に進退動作可能とされている。揉み動作、叩き動作、昇降動作、及び進退動作は、それぞれ電動モータやエアセル等よりなる揉み駆動部11、叩き駆動部12、昇降駆動部13、及び進退駆動部14による駆動によって行われる(図2参照)。
【0014】
また、図1に示す通り、座部2は、臀部及び大腿部に対応する位置に設けられ、臀部及び大腿部を下方から押圧する左右対の座部用エアセル15を有している。背凭れ部6は、背中と腰部に対応する位置に設けられ、背中及び腰部を後方から押圧する施療ユニット10を挟んで左右対の背中用エアセル16、及び左右対の腰部用エアセル17を有している。フットレスト4は、脚部に対応する位置に設けられ、脚部を左右から押圧する左脚用エアセル18L(18)、及び右脚用エアセル18R(18)を有している。肘掛け部5は、前腕部に対応する位置に設けられ、前腕部を下方から押圧する左腕用エアセル19L(19)、及び右腕用エアセル19R(19)を有している。これら各エアセル15〜19は、座部2の下方に設けられたエア給排気装置20によるエアの給排気によって膨張収縮可能とされている(図2も参照)。
【0015】
図1及び図2に示す通り、座部2の下方には、前述した各エアセル15〜19及び枕部7に設けられた後述するエアセルよりなる各押圧部29〜32に対してエアを給排気するポンプ及びバルブ等を有する給排気装置20と、施療ユニット10、各アクチュエータ8,9、及び前記給排気装置20の駆動制御を行うCPU、メモリ(RAM)、及び記憶部(ROM)を有するマイコン等よりなる制御部21とが設けられている。この制御部21は、使用者が操作する操作部22に電気的に接続されており、操作部22から入力される入力信号に基づいて施療ユニット10、各アクチュエータ8,9、及び給排気装置20を駆動制御するための出力信号を出力する。なお、制御部21は、各エアセル15〜19の動作(膨張収縮)を独立して制御可能であり、後述する各押圧部29〜32の動作(膨張収縮)も独立して制御可能であるよう構成されている。
【0016】
[支持部の構成]
以下、本発明の一実施形態に係るマッサージ機1の支持部3の構成について、図面に基づいて説明する。
図3は図1に示すマッサージ機1の背凭れ部6の後方斜視図である。図4は図1に示すマッサージ機1の枕部7の前方から見た平面図である。図5は図1に示すマッサージ機1の枕部7の下方から見た平面図である。図6は図1に示すマッサージ機1の枕部7の左側方から見た平面図である。図7は図1に示すマッサージ機1の枕部7の後方から見た平面図である。図8は使用者の上方から見た平面図であり、第1押圧部29と第2押圧部30とによる胸を開くストレッチ動作を説明する図である。図9は使用者の左側方から見た平面図であり、第3押圧部31が押圧する位置を説明する図である。
【0017】
前述した通り、支持部3は、使用者の胴体を支持する背凭れ部6と、背凭れ部6の前面上部に配置され、使用者の首部及び頭部(主に後頭部)を支持する上下方向に可動である枕部7とにより構成されている。図1及び図3に示す通り、枕部7の後面上部には、上下方向に長寸の可撓性を有するレザー等よりなるエプロン23が設けられ、このエプロン23は、枕部7への取り付け位置から背凭れ部6の上面を超して後面へ渡って配置され、エプロン23の先端部には左右方向に延びる錘24が設けられている。背凭れ部6の上面には、エプロン23を前後方向に挿通可能とするための前後方向に開口する挿通部25が設けられている。エプロン23がこの挿通部25に挿通されるとともに、その先端が錘24によって鉛直下向きに垂れ下がった状態となっている。これにより、枕部7を上方へ付勢する付勢力が生じ、枕部7の自重と当該付勢力との均衡が保たれ、枕部7の上下方向への位置決めが可能となっている。また、この枕部7は、上方へ押し上げ、又は下方へ引き下げることにより上下方向に移動させることができ、また、枕部7に設けられた後述する押圧部29〜32が使用者を押圧することによる反力によって上下方向に移動させることもできる。すなわち、本実施形態において、この枕部7はマッサージ実行中において上下方向に可動する可動部として機能する。
【0018】
図1に示す通り、枕部7は、高いクッション性を有するウレタン、スポンジ、又は発泡スチロール等により構成される内装材(後述する中央部27と側部28)がカバー部材26で覆われており、全体として左右方向に長く形成されている。以下、支持部3の内部構造について、図4〜図7に基づいて詳細に説明する。なお、図4〜図7に示す枕部においては、視認性を考慮してカバー部材26及びエプロン23の図示を省略している。枕部7は、使用者の首部及び頭部を支持する中央部27と、中央部27の左右両側に設けられ使用者の胴体における両肩部の上方に位置する左右対の側部28とにより構成されており、中央部27と両側部28は、左右方向に連続して一体に構成されている。
【0019】
中央部27は、使用者の首部及び頭部を支持する支持面を有しており、後頭部から首部の背面にかかる部分に対向する後部支持面27aと、後部支持面27aの左右両端部から前方に向かって立設され、首部の左右両側面に対向する側部支持面27bとにより構成されている。側部28は、使用者の肩部の上面に対向する肩施療面28aと、前方、上方、及び左右外側方にかけてアール状の曲面を有する表面28bとにより構成されている。また、中央部27と側部28は、背凭れ部6の前面に沿って当接される平面状の背面7aを有している(図7参照)。
【0020】
[側部の構成]
左右対の側部28は、その肩施療面28aに取り付けられて使用者の胴体における肩部を前方から押圧する第1押圧部29と、同じく肩施療面28aに取り付けられて使用者の胴体を後方から押圧する第2押圧部30と、同じく肩施療面28aに取り付けられて使用者の胴体における肩部を上方から押圧する第3押圧部31とを有している。第1押圧部29、第2押圧部30、及び第3押圧部31は、前述したエア給排気装置20によるエアの給排気によって膨張収縮するエアセルにより構成されている。また、側部28は、その下方後部に、第2押圧部30を後方から支持して第2押圧部30の前方への膨張を促す合成樹脂等よりなる比較的硬質の支持板28cを有している。この支持板28cは、前後方向に向く面を有し、前後方向から見て第2押圧部30と略同一の形状に構成されている(図7参照)。
【0021】
この第1押圧部29は、その押圧面が肩施療面に沿って設けられており、その後端部側が展開不能である基部29aとして肩施療面28aに固着されており、その前端部側が展開可能である展開部29bとして胴体における肩部の上方から下方に向けて、図6に示す矢視aの方向に展開するよう構成されている。
また、第2押圧部30は、その押圧面が肩施療面28aと略直交するよう設けられており、その上端部側が展開不能である基部30aとして肩施療面28aに固着されており、その下端部側が展開可能である展開部30bとして胴体の後方から前方に向けて、図6に示す矢視bの方向に展開するよう構成されている。しかも、第2押圧部30は、第1押圧部29よりも左右方向内側に位置して設けられており、第2押圧部30は、第1押圧部29よりも胴体の左右方向内側を押圧することとなる。より具体的には、第2押圧部30は、第1押圧部29に対して左右方向内側に向かって傾斜して設けられており、前記両押圧部29,30は、押圧時(膨張時)において第2押圧部30の押圧面が、第1押圧部29の押圧面よりも左右方向内側に位置するよう構成されている。なお、第2押圧部30は、肩施療面28aに代えて支持板28cの前面にその基部30aが固着されたものとしてもよい。
【0022】
従って、図8に示す通り、エア給排気装置20から第1押圧部29及び第2押圧部30にエアが供給されると、第1押圧部29により胴体の外側付近を前方から後方へ向けて、矢視cの方向に押圧して枕部7に保持し、第2押圧部30により胴体の内側付近を後方から前方へ向けて、矢視dの方向に押圧することとなり、胸を左右に開くストレッチ動作を行うことができる。また、第1押圧部29と第2押圧部30とによって、使用者の肩部を前後から挟み込む挟み揉み動作を行うことができる。
【0023】
また、第3押圧部31は、その押圧面が肩施療面に対して略平行、又はその押圧面が前端部側から後端部側に向かって下方に傾斜するよう設けられており、その前端部側が展開不能である基部31aとして肩施療面28aに固着されており、その後端部側が展開可能である展開部31bとして、胴体における肩部の上方乃至後方から下方乃至前方に向けて、矢視eの方向に展開するよう構成されている(図9参照)。また、第3押圧部31は、第1押圧部29及び第2押圧部30よりも左右方向内側に位置して設けられており、第3押圧部31は、第1押圧部29及び第2押圧部30よりも胴体の左右方向内側を押圧することとなる。
【0024】
従って、図9に示す通り、エア給排気装置20から第3押圧部31にエアが供給されると、第3押圧部31により肩部における上部、後部、及び上部から後部に連なる部分に対して連続して押圧することとなり、肩部の上部から後部にかけたアール形状に沿って押圧(マッサージ)することができる。また、上部から後部に連なる部分に存在する「肩井」と称される肩凝りに施療作用のあるツボPを効果的に刺激することができる。また、第3押圧部31は、肩部の上方に位置する第1押圧部29よりも左右方向内側に位置しているため、肩部における左右方向内側付近(首部の付け根付近)を下方へ押圧することとなり、使用者の胴体を効果的に下方へ押し下げることができる。
【0025】
[中央部の構成]
中央部27は、その後部支持面27aに取り付けられて、使用者の首部を左右から挟むように押圧する左右対の第4押圧部32を有している。第4押圧部32は、第1〜第3押圧部29〜31と同様に、エア給排気装置20によるエアの給排気によって膨張収縮するエアセルにより構成されている。この第4押圧部32は、その押圧面が首部の形状に沿うように、その左右外端部側から左右内端部側に向かって後方に傾斜するよう設けられており、後部支持面27a及び側部支持面27bの少なくとも一部を前方から覆う範囲に位置している。また、第4押圧部32は、その左右内端部側が展開不能である基部32aとして後部支持面27aに固着されており、その左右外端部側が展開可能である展開部32bとして首部の後方から側方に向けて展開するよう構成されている。従って、エア給排気装置20から第4押圧部32にエアが供給されると、第4押圧部32により首部を左右から押圧して枕部7に保持するとともに、首部を左右から挟み込む挟み揉み動作を行うことができる。
【0026】
[ストレッチ動作(その1)]
前述した通り、第1押圧部29及び第2押圧部30にエアを供給すると、第1押圧部29により胴体の外側付近を前方から後方へ向けて押圧して枕部7に保持し、第2押圧部30により胴体の内側付近を後方から前方へ向けて押圧して、胸を左右に開くストレッチ動作を行うことができる。
あるいは、対の背中用エアセル16を対の第1押圧部29よりも左右方向内側に位置して設けたものとした場合、第1押圧部29及び背中用エアセル16にエアを供給すると、第1押圧部29により胴体の外側付近を前方から後方へ向けて押圧して枕部7に保持し、背中用エアセル16により胴体の内側付近を後方から前方へ向けて押圧して、胸を左右に開くストレッチ動作を行うことができる。
あるいは、左右対の第1押圧部にエアを供給し、進退駆動部14を駆動して施療ユニット10を前方へ移動させると、第1押圧部29により胴体の外側付近を前方から後方へ向けて押圧して枕部7に保持し、施療ユニット10が有する揉み玉10aにより胴体の内側付近を後方から前方へ向けて押圧して、胸を左右に開くストレッチ動作を行うことができる。
[ストレッチ動作(その2)]
また、第1押圧部29及び第2押圧部30にエアを供給して肩部を枕部に保持した状態で、第3押圧部31にエアを供給して胴体を下方に押し下げると、肩部を上方に牽引するストレッチ動作を行うことができる。また、第4押圧部32にエアを供給して首部を枕部に保持した状態で、第3押圧部31にエアを供給して胴体を下方に押し下げると、首部を上方に牽引するストレッチ動作を行うことができる。あるいは、第1押圧部29、第2押圧部30、及び第4押圧部32に同時にエアを供給して肩部及び首部を枕部7に保持した状態で、第3押圧部31にエアを供給して胴体を下方に押し下げると、肩部と首部を同時に上方に牽引するストレッチ動作を行うことができる。
【0027】
以下、本発明の一実施形態に係るマッサージ機1における、他の形態1に変形した枕部40の構成について図面に基づいて説明する。
図10は他の形態1の枕部40の前方から見た平面図である。なお、以下に説明する形態において、上述した枕部7と共通する構成については同符号を付してその説明を省略する。
具体的には、第2押圧部41の構成が異なっており、この第2押圧部41は、その押圧面が肩施療面28aと略直交するよう設けられており、その左右方向外側が展開不能である基部41aとして支持板28cに固着されており、その左右方向内側が展開可能である展開部41bとして胴体の後方から前方に向けて展開するよう構成されている。このように構成することにより、第2押圧部41は、第2押圧部41を第1押圧部29よりも左右方向内側よりに位置させることなく、第1押圧部よりも胴体における左右方向内側を後方から押圧することができる。従って、エア給排気装置20から第1押圧部29及び第2押圧部41にエアが供給されると、第1押圧部29により胴体の外側付近を前方から後方へ向けて押圧して枕部7に保持し、第2押圧部41により胴体の内側付近を後方から前方へ向けて押圧することとなり、胸を左右に開くストレッチ動作を行うことができる。しかも、第2押圧部41は、展開部41bが左右方向内側から左右方向外側に向かって展開するよう胴体を押圧するので、より効果的に胸を左右に開くことができる。
【0028】
以下、本発明の一実施形態に係るマッサージ機1における、他の形態2に変形した枕部50の構成について図面に基づいて説明する。
図11は他の形態2の枕部50の前方から見た平面図である。なお、以下に説明する形態において、上述した枕部7又は枕部40と共通する構成については同符号を付してその説明を省略する。
具体的には、上述した枕部7又は枕部40が有する構成に加えて、エプロン23と同じ素材の可撓性を有するレザー等よりなる下エプロン51が、枕部50の背面7aにおける下縁に設けられている。この下エプロン51は、背凭れ部6の前面へ載せられ、使用者が背凭れ部6に凭れかかると、使用者と背凭れ部6との間に挟まれるようになっている。従って、枕部50の下エプロン51が、使用者と背凭れ部6との間に挟まれるので、枕部50のずれを防止することができる。また、この下エプロンの内部には、使用者の背中であって左右対の第2押圧部30の左右方向内側に対応する位置に、使用者の胴体における背中を後方から押圧する左右対の背中用エアセル(背中内側用エアセル)52が設けられている。従って、エア給排気装置20から第1押圧部29及び背中内側用エアセル52にエアが供給されると、第1押圧部29により胴体の外側付近を前方から後方へ向けて押圧して枕部50に保持し、背中内側用エアセル52により胴体の内側付近を後方から前方へ向けて押圧することとなり、胸を左右に開くストレッチ動作を行うことができる。なお、他の形態2の枕部50は、使用者と背凭れ部6との間に挟まれる下エプロン51により、マッサージ実行中は上下方向へ移動する可動部として機能しないため、第1〜第4押圧部の各押圧によって肩部及び首部を上方へ牽引する距離は枕部7及び枕部40よりも小さくなる。従って、ストレッチ動作(その2)の点においては、枕部50の構成よりも枕部7又は枕部40の構成の方が有利である。
【0029】
なお、本発明の一実施形態では、各押圧部29〜32は、可動部として機能する枕部7に設けたものとしたが、枕部7を省略して背凭れ部6に直接設けたものとしてもよい。この場合、各押圧部29〜32は、背凭れ部6に固定された上下方向に位置調節させないものあってもよいし、例えば背凭れ部6内部に設けられた昇降機構を介して、背凭れ部6前面において上下方向に昇降可能とされた板状の可動部に設けられたものであってもよい。また、各押圧部29〜32は、エアセルにより構成されたものとしたが、電動モータ等により駆動される機械的構成を有する押圧部であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、胸を開くストレッチ動作を行うことができ、マッサージ機への着座するときやマッサージを行わないときに、押圧部が邪魔にならないマッサージ機に適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 マッサージ機
2 座部
3 支持部
6 背凭れ部
7 枕部(可動部)
21 制御部
29 第1押圧部
30 第2押圧部
31 第3押圧部
32 第4押圧部
40 枕部(可動部)
50 枕部
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機に関し、胸を開くストレッチ動作を行うことができるマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マッサージ機として、座部と背凭れ部とを有し、これらにエアセルや揉み玉などの施療具が設けられている椅子型マッサージ機が知られている。このようなマッサージ機は、例えば、背凭れ部に設けた揉み玉を上下に移動させつつ揉み動作や叩き動作をさせることによって、使用者に対してマッサージを行うことができる。また、背凭れ部にマッサージ機能を有した枕部を設けて、背凭れ部に凭れた使用者の頭部を支持しつつ、枕部に設けたエアセルにより、使用者の首部や肩部に押圧マッサージを行う椅子型マッサージ機が知られている(例えば、特許文献1又は2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−45416号公報
【特許文献2】特開2004−33583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されたマッサージ機は、使用者の肩部の上方に位置するエアセルにより、肩部を下方に向けて押圧し、肩部の後方に位置するエアセルにより、肩部を前方に向けて押圧することができる。しかし、肩部の上方に位置するエアセルは、肩部を前方から押圧することができないため、肩部の後方に位置するエアセルにより上半身を前方に押圧すると、使用者が前方に押し出されてしまい、高いマッサージ効果を得ることができない。
また、上記特許文献2に開示されたマッサージ機は、使用者の肩部の前方及び後方に位置するエアセルにより、肩部を前後から挟み込むように押圧することができる。しかし、肩部の前方に位置するエアセルと肩部の後方に位置するエアセルは、左右方向における位置が一致しているため、胸を開くストレッチ動作を行うことができない。また、肩部の前方にエアセルが存在しているため、椅子型マッサージ機に着座するときやマッサージを行わないときに、エアセルが邪魔になってしまう。
本発明は、このような問題を解消するためになされたものであり、胸を開くストレッチ動作を行うことができ、マッサージ機への着座するときやマッサージを行わないときに、押圧部が邪魔にならないマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のマッサージ機は、使用者が着座する座部と、この座部の後方に設けられ使用者の胴体を支持する支持部とを有するマッサージ機において、前記支持部は、使用者の胴体における肩部の上方に位置し、肩部を前方から押圧する左右対の第1押圧部と、使用者の胴体を後方から押圧する左右対の第2押圧部とを有し、前記第2押圧部は、前記第1押圧部よりも左右方向内側を押圧することを特徴とする。
このような構成とすることにより、第1押圧部により使用者の両肩部を前方から押圧して支持部に保持した状態で、第2押圧部により胴体における両肩部より左右方向内側を後方から押圧するので、胸を左右に開くストレッチ動作を行うことができる。しかも、肩部を前方から押圧する第1エアセルは、肩部の上方に位置しているので、マッサージ機に着座するときやマッサージを行わないときに、第1押圧部が邪魔になってしまうことを防止できる。
【0006】
この場合、前記第2押圧部は、前記第1押圧部よりも左右方向内側よりに位置していることが好ましい。更に、前記第1押圧部は、後端部側を基部とし、前端部側を展開部として上方から下方に向けて展開するよう構成され、前記第2押圧部は、上端部側を基部とし、下端部側を展開部として後方から前方に向けて展開するよう構成されていることが好ましい。また、前記第2押圧部は、左右方向外側を基部とし、左右方向内側を展開部として後方から前方に向けて展開するよう構成されていてもよい。
【0007】
また、前記支持部は、使用者の胴体における肩部を上方から押圧する第3押圧部と、使用者の首部を左右から押圧する第4押圧部と、を更に有していることが好ましい。この場合、前記各押圧部の動作を制御する制御部を有し、前記制御部は、少なくとも第3押圧部と他の押圧部とを独立して制御するよう構成されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、第1押圧部により使用者の両肩部を前方から押圧して支持部に保持した状態で、第3押圧部により胴体を下方に押し下げるため、肩部を上方に牽引するストレッチ動作を行うことができる。また、第4押圧部により使用者の首部を左右から押圧して支持部に保持した状態で、第3押圧部により胴体を下方に押し下げるため、首部を上方に牽引するストレッチ動作を行うことができる。
【0008】
また、前記支持部は、背凭れ部と、該背凭れ部に設けられ上下方向に可動である可動部とを有し、前記各押圧部は可動部に設けられていることが好ましい。
このような構成とすることにより、第1、第2、及び第4押圧部により使用者の両肩部及び首部を可動部に保持した状態で、第3押圧部により胴体を下方に押し下げ、且つ、第3押圧部の下方に作用する押圧力の反力により可動部を上方に押し上げるため、肩部及び首部を上方に牽引する距離を大きくとることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、胸を左右に開くストレッチ動作を行うことができ、且つ、マッサージ機への着座するときやマッサージを行わないときに、押圧部が邪魔になってしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係るマッサージ機の前方斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るマッサージ機の機能ブロック図である。
【図3】図1に示すマッサージ機の背凭れ部の後方斜視図である。
【図4】図1に示すマッサージ機の枕部の前方から見た平面図である。
【図5】図1に示すマッサージ機の枕部の下方から見た平面図である。
【図6】図1に示すマッサージ機の枕部の左側方から見た平面図である。
【図7】図1に示すマッサージ機の枕部の後方から見た平面図である。
【図8】使用者の上方から見た平面図であり、第1押圧部と第2押圧部とによる胸を開くストレッチ動作を説明する図である。
【図9】使用者の左側方から見た平面図であり、第3押圧部が押圧する位置を説明する図である。
【図10】他の形態1の枕部の前方から見た平面図である。
【図11】他の形態2の枕部の前方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[全体構成]
以下、本発明の一実施形態に係るマッサージ機1の全体構成について、図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るマッサージ機1の前方斜視図である。図2は本発明の一実施形態に係るマッサージ機1の機能ブロック図である。
図1に示す通り、このマッサージ機1は、主として使用者が着座する座部2と、この座部2の後方に設けられて使用者の上半身を支持する支持部3と、座部2の前部に設けられて使用者の脚部(ふくらはぎ部)及び/又は足部(足首より足先側)を支持するフットレスト4と、座部2の左右両側に設けられて使用者の腕部を支持する肘掛け部5とにより椅子型に構成されている。この支持部3は、使用者の胴体を支持する背凭れ部6と、背凭れ部6の前面上部に設けられ少なくとも使用者の首部を支持する枕部7とを有している。なお、以下の説明において、左右等の方向は、座部2に着座した使用者から見た方向であり、また、背凭れ部6においては、その幅方向を「左右方向」とし、その厚さ方向を「前後方向」とし、背凭れ部6の腰部から頭部へ向かう方向を「上下方向」とし、左右方向において背凭れ部6の中央に向かう側を「内側」、外側に向かう側を「外側」とする。
【0012】
図2に示す通り、背凭れ部6は、電動モータ、流体圧シリンダ、又はエアセル等よりなるアクチュエータ8により左右水平方向の軸回りに座部2の後部に対してリクライニング可能であり、図1に示す起立状態から後方へ傾倒した略水平状態までの間において任意の位置で停止することができる。また、図2に示す通り、フットレスト4は、背凭れ部6と同様に、電動モータ、流体圧シリンダ、又はエアセル等によりなるアクチュエータ9により左右水平方向の軸回りに座部2の前部に対して上下回動可能であり、図1に示す垂下状態から上方へ回動した略水平状態までの間において任意の位置で停止できる。
【0013】
図1に示す通り、背凭れ部(支持部3)6の内部には、使用者の胴体後面に揉み動作や叩き動作等の機械的刺激を与える上下で1対とされた左右1対の揉み玉10aを有する施療ユニット10が設けられている。これら上下の揉み玉10aは、くの字状のアーム10bに設けられている。また、施療ユニット10は、枕部7が有する後述する左右対の第1押圧部29よりも左右方向内側において、背凭れ部6の内部に設けられた上下方向に延設された左右一対のガイドレール(図示せず)に沿って上下方向に昇降動作可能とされている。また、施療ユニット10は、背凭れ部6内に設けられた進退機構(図示せず)によって前後方向に進退動作可能とされている。揉み動作、叩き動作、昇降動作、及び進退動作は、それぞれ電動モータやエアセル等よりなる揉み駆動部11、叩き駆動部12、昇降駆動部13、及び進退駆動部14による駆動によって行われる(図2参照)。
【0014】
また、図1に示す通り、座部2は、臀部及び大腿部に対応する位置に設けられ、臀部及び大腿部を下方から押圧する左右対の座部用エアセル15を有している。背凭れ部6は、背中と腰部に対応する位置に設けられ、背中及び腰部を後方から押圧する施療ユニット10を挟んで左右対の背中用エアセル16、及び左右対の腰部用エアセル17を有している。フットレスト4は、脚部に対応する位置に設けられ、脚部を左右から押圧する左脚用エアセル18L(18)、及び右脚用エアセル18R(18)を有している。肘掛け部5は、前腕部に対応する位置に設けられ、前腕部を下方から押圧する左腕用エアセル19L(19)、及び右腕用エアセル19R(19)を有している。これら各エアセル15〜19は、座部2の下方に設けられたエア給排気装置20によるエアの給排気によって膨張収縮可能とされている(図2も参照)。
【0015】
図1及び図2に示す通り、座部2の下方には、前述した各エアセル15〜19及び枕部7に設けられた後述するエアセルよりなる各押圧部29〜32に対してエアを給排気するポンプ及びバルブ等を有する給排気装置20と、施療ユニット10、各アクチュエータ8,9、及び前記給排気装置20の駆動制御を行うCPU、メモリ(RAM)、及び記憶部(ROM)を有するマイコン等よりなる制御部21とが設けられている。この制御部21は、使用者が操作する操作部22に電気的に接続されており、操作部22から入力される入力信号に基づいて施療ユニット10、各アクチュエータ8,9、及び給排気装置20を駆動制御するための出力信号を出力する。なお、制御部21は、各エアセル15〜19の動作(膨張収縮)を独立して制御可能であり、後述する各押圧部29〜32の動作(膨張収縮)も独立して制御可能であるよう構成されている。
【0016】
[支持部の構成]
以下、本発明の一実施形態に係るマッサージ機1の支持部3の構成について、図面に基づいて説明する。
図3は図1に示すマッサージ機1の背凭れ部6の後方斜視図である。図4は図1に示すマッサージ機1の枕部7の前方から見た平面図である。図5は図1に示すマッサージ機1の枕部7の下方から見た平面図である。図6は図1に示すマッサージ機1の枕部7の左側方から見た平面図である。図7は図1に示すマッサージ機1の枕部7の後方から見た平面図である。図8は使用者の上方から見た平面図であり、第1押圧部29と第2押圧部30とによる胸を開くストレッチ動作を説明する図である。図9は使用者の左側方から見た平面図であり、第3押圧部31が押圧する位置を説明する図である。
【0017】
前述した通り、支持部3は、使用者の胴体を支持する背凭れ部6と、背凭れ部6の前面上部に配置され、使用者の首部及び頭部(主に後頭部)を支持する上下方向に可動である枕部7とにより構成されている。図1及び図3に示す通り、枕部7の後面上部には、上下方向に長寸の可撓性を有するレザー等よりなるエプロン23が設けられ、このエプロン23は、枕部7への取り付け位置から背凭れ部6の上面を超して後面へ渡って配置され、エプロン23の先端部には左右方向に延びる錘24が設けられている。背凭れ部6の上面には、エプロン23を前後方向に挿通可能とするための前後方向に開口する挿通部25が設けられている。エプロン23がこの挿通部25に挿通されるとともに、その先端が錘24によって鉛直下向きに垂れ下がった状態となっている。これにより、枕部7を上方へ付勢する付勢力が生じ、枕部7の自重と当該付勢力との均衡が保たれ、枕部7の上下方向への位置決めが可能となっている。また、この枕部7は、上方へ押し上げ、又は下方へ引き下げることにより上下方向に移動させることができ、また、枕部7に設けられた後述する押圧部29〜32が使用者を押圧することによる反力によって上下方向に移動させることもできる。すなわち、本実施形態において、この枕部7はマッサージ実行中において上下方向に可動する可動部として機能する。
【0018】
図1に示す通り、枕部7は、高いクッション性を有するウレタン、スポンジ、又は発泡スチロール等により構成される内装材(後述する中央部27と側部28)がカバー部材26で覆われており、全体として左右方向に長く形成されている。以下、支持部3の内部構造について、図4〜図7に基づいて詳細に説明する。なお、図4〜図7に示す枕部においては、視認性を考慮してカバー部材26及びエプロン23の図示を省略している。枕部7は、使用者の首部及び頭部を支持する中央部27と、中央部27の左右両側に設けられ使用者の胴体における両肩部の上方に位置する左右対の側部28とにより構成されており、中央部27と両側部28は、左右方向に連続して一体に構成されている。
【0019】
中央部27は、使用者の首部及び頭部を支持する支持面を有しており、後頭部から首部の背面にかかる部分に対向する後部支持面27aと、後部支持面27aの左右両端部から前方に向かって立設され、首部の左右両側面に対向する側部支持面27bとにより構成されている。側部28は、使用者の肩部の上面に対向する肩施療面28aと、前方、上方、及び左右外側方にかけてアール状の曲面を有する表面28bとにより構成されている。また、中央部27と側部28は、背凭れ部6の前面に沿って当接される平面状の背面7aを有している(図7参照)。
【0020】
[側部の構成]
左右対の側部28は、その肩施療面28aに取り付けられて使用者の胴体における肩部を前方から押圧する第1押圧部29と、同じく肩施療面28aに取り付けられて使用者の胴体を後方から押圧する第2押圧部30と、同じく肩施療面28aに取り付けられて使用者の胴体における肩部を上方から押圧する第3押圧部31とを有している。第1押圧部29、第2押圧部30、及び第3押圧部31は、前述したエア給排気装置20によるエアの給排気によって膨張収縮するエアセルにより構成されている。また、側部28は、その下方後部に、第2押圧部30を後方から支持して第2押圧部30の前方への膨張を促す合成樹脂等よりなる比較的硬質の支持板28cを有している。この支持板28cは、前後方向に向く面を有し、前後方向から見て第2押圧部30と略同一の形状に構成されている(図7参照)。
【0021】
この第1押圧部29は、その押圧面が肩施療面に沿って設けられており、その後端部側が展開不能である基部29aとして肩施療面28aに固着されており、その前端部側が展開可能である展開部29bとして胴体における肩部の上方から下方に向けて、図6に示す矢視aの方向に展開するよう構成されている。
また、第2押圧部30は、その押圧面が肩施療面28aと略直交するよう設けられており、その上端部側が展開不能である基部30aとして肩施療面28aに固着されており、その下端部側が展開可能である展開部30bとして胴体の後方から前方に向けて、図6に示す矢視bの方向に展開するよう構成されている。しかも、第2押圧部30は、第1押圧部29よりも左右方向内側に位置して設けられており、第2押圧部30は、第1押圧部29よりも胴体の左右方向内側を押圧することとなる。より具体的には、第2押圧部30は、第1押圧部29に対して左右方向内側に向かって傾斜して設けられており、前記両押圧部29,30は、押圧時(膨張時)において第2押圧部30の押圧面が、第1押圧部29の押圧面よりも左右方向内側に位置するよう構成されている。なお、第2押圧部30は、肩施療面28aに代えて支持板28cの前面にその基部30aが固着されたものとしてもよい。
【0022】
従って、図8に示す通り、エア給排気装置20から第1押圧部29及び第2押圧部30にエアが供給されると、第1押圧部29により胴体の外側付近を前方から後方へ向けて、矢視cの方向に押圧して枕部7に保持し、第2押圧部30により胴体の内側付近を後方から前方へ向けて、矢視dの方向に押圧することとなり、胸を左右に開くストレッチ動作を行うことができる。また、第1押圧部29と第2押圧部30とによって、使用者の肩部を前後から挟み込む挟み揉み動作を行うことができる。
【0023】
また、第3押圧部31は、その押圧面が肩施療面に対して略平行、又はその押圧面が前端部側から後端部側に向かって下方に傾斜するよう設けられており、その前端部側が展開不能である基部31aとして肩施療面28aに固着されており、その後端部側が展開可能である展開部31bとして、胴体における肩部の上方乃至後方から下方乃至前方に向けて、矢視eの方向に展開するよう構成されている(図9参照)。また、第3押圧部31は、第1押圧部29及び第2押圧部30よりも左右方向内側に位置して設けられており、第3押圧部31は、第1押圧部29及び第2押圧部30よりも胴体の左右方向内側を押圧することとなる。
【0024】
従って、図9に示す通り、エア給排気装置20から第3押圧部31にエアが供給されると、第3押圧部31により肩部における上部、後部、及び上部から後部に連なる部分に対して連続して押圧することとなり、肩部の上部から後部にかけたアール形状に沿って押圧(マッサージ)することができる。また、上部から後部に連なる部分に存在する「肩井」と称される肩凝りに施療作用のあるツボPを効果的に刺激することができる。また、第3押圧部31は、肩部の上方に位置する第1押圧部29よりも左右方向内側に位置しているため、肩部における左右方向内側付近(首部の付け根付近)を下方へ押圧することとなり、使用者の胴体を効果的に下方へ押し下げることができる。
【0025】
[中央部の構成]
中央部27は、その後部支持面27aに取り付けられて、使用者の首部を左右から挟むように押圧する左右対の第4押圧部32を有している。第4押圧部32は、第1〜第3押圧部29〜31と同様に、エア給排気装置20によるエアの給排気によって膨張収縮するエアセルにより構成されている。この第4押圧部32は、その押圧面が首部の形状に沿うように、その左右外端部側から左右内端部側に向かって後方に傾斜するよう設けられており、後部支持面27a及び側部支持面27bの少なくとも一部を前方から覆う範囲に位置している。また、第4押圧部32は、その左右内端部側が展開不能である基部32aとして後部支持面27aに固着されており、その左右外端部側が展開可能である展開部32bとして首部の後方から側方に向けて展開するよう構成されている。従って、エア給排気装置20から第4押圧部32にエアが供給されると、第4押圧部32により首部を左右から押圧して枕部7に保持するとともに、首部を左右から挟み込む挟み揉み動作を行うことができる。
【0026】
[ストレッチ動作(その1)]
前述した通り、第1押圧部29及び第2押圧部30にエアを供給すると、第1押圧部29により胴体の外側付近を前方から後方へ向けて押圧して枕部7に保持し、第2押圧部30により胴体の内側付近を後方から前方へ向けて押圧して、胸を左右に開くストレッチ動作を行うことができる。
あるいは、対の背中用エアセル16を対の第1押圧部29よりも左右方向内側に位置して設けたものとした場合、第1押圧部29及び背中用エアセル16にエアを供給すると、第1押圧部29により胴体の外側付近を前方から後方へ向けて押圧して枕部7に保持し、背中用エアセル16により胴体の内側付近を後方から前方へ向けて押圧して、胸を左右に開くストレッチ動作を行うことができる。
あるいは、左右対の第1押圧部にエアを供給し、進退駆動部14を駆動して施療ユニット10を前方へ移動させると、第1押圧部29により胴体の外側付近を前方から後方へ向けて押圧して枕部7に保持し、施療ユニット10が有する揉み玉10aにより胴体の内側付近を後方から前方へ向けて押圧して、胸を左右に開くストレッチ動作を行うことができる。
[ストレッチ動作(その2)]
また、第1押圧部29及び第2押圧部30にエアを供給して肩部を枕部に保持した状態で、第3押圧部31にエアを供給して胴体を下方に押し下げると、肩部を上方に牽引するストレッチ動作を行うことができる。また、第4押圧部32にエアを供給して首部を枕部に保持した状態で、第3押圧部31にエアを供給して胴体を下方に押し下げると、首部を上方に牽引するストレッチ動作を行うことができる。あるいは、第1押圧部29、第2押圧部30、及び第4押圧部32に同時にエアを供給して肩部及び首部を枕部7に保持した状態で、第3押圧部31にエアを供給して胴体を下方に押し下げると、肩部と首部を同時に上方に牽引するストレッチ動作を行うことができる。
【0027】
以下、本発明の一実施形態に係るマッサージ機1における、他の形態1に変形した枕部40の構成について図面に基づいて説明する。
図10は他の形態1の枕部40の前方から見た平面図である。なお、以下に説明する形態において、上述した枕部7と共通する構成については同符号を付してその説明を省略する。
具体的には、第2押圧部41の構成が異なっており、この第2押圧部41は、その押圧面が肩施療面28aと略直交するよう設けられており、その左右方向外側が展開不能である基部41aとして支持板28cに固着されており、その左右方向内側が展開可能である展開部41bとして胴体の後方から前方に向けて展開するよう構成されている。このように構成することにより、第2押圧部41は、第2押圧部41を第1押圧部29よりも左右方向内側よりに位置させることなく、第1押圧部よりも胴体における左右方向内側を後方から押圧することができる。従って、エア給排気装置20から第1押圧部29及び第2押圧部41にエアが供給されると、第1押圧部29により胴体の外側付近を前方から後方へ向けて押圧して枕部7に保持し、第2押圧部41により胴体の内側付近を後方から前方へ向けて押圧することとなり、胸を左右に開くストレッチ動作を行うことができる。しかも、第2押圧部41は、展開部41bが左右方向内側から左右方向外側に向かって展開するよう胴体を押圧するので、より効果的に胸を左右に開くことができる。
【0028】
以下、本発明の一実施形態に係るマッサージ機1における、他の形態2に変形した枕部50の構成について図面に基づいて説明する。
図11は他の形態2の枕部50の前方から見た平面図である。なお、以下に説明する形態において、上述した枕部7又は枕部40と共通する構成については同符号を付してその説明を省略する。
具体的には、上述した枕部7又は枕部40が有する構成に加えて、エプロン23と同じ素材の可撓性を有するレザー等よりなる下エプロン51が、枕部50の背面7aにおける下縁に設けられている。この下エプロン51は、背凭れ部6の前面へ載せられ、使用者が背凭れ部6に凭れかかると、使用者と背凭れ部6との間に挟まれるようになっている。従って、枕部50の下エプロン51が、使用者と背凭れ部6との間に挟まれるので、枕部50のずれを防止することができる。また、この下エプロンの内部には、使用者の背中であって左右対の第2押圧部30の左右方向内側に対応する位置に、使用者の胴体における背中を後方から押圧する左右対の背中用エアセル(背中内側用エアセル)52が設けられている。従って、エア給排気装置20から第1押圧部29及び背中内側用エアセル52にエアが供給されると、第1押圧部29により胴体の外側付近を前方から後方へ向けて押圧して枕部50に保持し、背中内側用エアセル52により胴体の内側付近を後方から前方へ向けて押圧することとなり、胸を左右に開くストレッチ動作を行うことができる。なお、他の形態2の枕部50は、使用者と背凭れ部6との間に挟まれる下エプロン51により、マッサージ実行中は上下方向へ移動する可動部として機能しないため、第1〜第4押圧部の各押圧によって肩部及び首部を上方へ牽引する距離は枕部7及び枕部40よりも小さくなる。従って、ストレッチ動作(その2)の点においては、枕部50の構成よりも枕部7又は枕部40の構成の方が有利である。
【0029】
なお、本発明の一実施形態では、各押圧部29〜32は、可動部として機能する枕部7に設けたものとしたが、枕部7を省略して背凭れ部6に直接設けたものとしてもよい。この場合、各押圧部29〜32は、背凭れ部6に固定された上下方向に位置調節させないものあってもよいし、例えば背凭れ部6内部に設けられた昇降機構を介して、背凭れ部6前面において上下方向に昇降可能とされた板状の可動部に設けられたものであってもよい。また、各押圧部29〜32は、エアセルにより構成されたものとしたが、電動モータ等により駆動される機械的構成を有する押圧部であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、胸を開くストレッチ動作を行うことができ、マッサージ機への着座するときやマッサージを行わないときに、押圧部が邪魔にならないマッサージ機に適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 マッサージ機
2 座部
3 支持部
6 背凭れ部
7 枕部(可動部)
21 制御部
29 第1押圧部
30 第2押圧部
31 第3押圧部
32 第4押圧部
40 枕部(可動部)
50 枕部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着座する座部と、この座部の後方に設けられ使用者の胴体を支持する支持部とを有するマッサージ機において、
前記支持部は、
使用者の胴体における肩部の上方に位置し、肩部を前方から押圧する左右対の第1押圧部と、
使用者の胴体を後方から押圧する左右対の第2押圧部とを有し、
前記第2押圧部は、前記第1押圧部よりも左右方向内側を押圧することを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記第2押圧部は、前記第1押圧部よりも左右方向内側よりに位置していることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記第1押圧部は、後端部側を基部とし、前端部側を展開部として上方から下方に向けて展開するよう構成され、
前記第2押圧部は、上端部側を基部とし、下端部側を展開部として後方から前方に向けて展開するよう構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記第2押圧部は、左右方向外側を基部とし、左右方向内側を展開部として後方から前方に向けて展開するよう構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記支持部は、
使用者の胴体における肩部を上方から押圧する第3押圧部と、
使用者の首部を左右から押圧する第4押圧部と、を更に有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記各押圧部の動作を制御する制御部を有し、
前記制御部は、少なくとも第3押圧部と他の押圧部とを独立して制御するよう構成されていることを特徴とする請求項5に記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記支持部は、背凭れ部と、該背凭れ部に設けられ上下方向に可動である可動部とを有し、
前記各押圧部は可動部に設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項1】
使用者が着座する座部と、この座部の後方に設けられ使用者の胴体を支持する支持部とを有するマッサージ機において、
前記支持部は、
使用者の胴体における肩部の上方に位置し、肩部を前方から押圧する左右対の第1押圧部と、
使用者の胴体を後方から押圧する左右対の第2押圧部とを有し、
前記第2押圧部は、前記第1押圧部よりも左右方向内側を押圧することを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記第2押圧部は、前記第1押圧部よりも左右方向内側よりに位置していることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記第1押圧部は、後端部側を基部とし、前端部側を展開部として上方から下方に向けて展開するよう構成され、
前記第2押圧部は、上端部側を基部とし、下端部側を展開部として後方から前方に向けて展開するよう構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記第2押圧部は、左右方向外側を基部とし、左右方向内側を展開部として後方から前方に向けて展開するよう構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記支持部は、
使用者の胴体における肩部を上方から押圧する第3押圧部と、
使用者の首部を左右から押圧する第4押圧部と、を更に有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記各押圧部の動作を制御する制御部を有し、
前記制御部は、少なくとも第3押圧部と他の押圧部とを独立して制御するよう構成されていることを特徴とする請求項5に記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記支持部は、背凭れ部と、該背凭れ部に設けられ上下方向に可動である可動部とを有し、
前記各押圧部は可動部に設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のマッサージ機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−125590(P2011−125590A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288738(P2009−288738)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】
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