説明

マッサージ装置

【課題】エアーバッグ式マッサージ機において、特別の装置を付加することなく、振動マッサージの効果を付与できる、マッサージ装置を提供する。
【解決手段】エアーバッグ5又は該エアーバッグへエアーを供給するエアー流路6の壁に、空気が外部に洩れる際に振動を発する空気洩れ孔7を開設している。エアーバッグ5又はエアー流路6の空気洩れ孔7からエアーが洩れる際に、該孔の周辺が震えて、エアーバッグ5全体が振動する。エアーバッグ5を膨縮させると、エアーバッグ式マッサー機本来のマッサージ効果を得ることができる。これに加えて、上記空気洩れ孔7からエアーが洩れることによるエアーバッグ5の振動で、振動マッサージの効果も得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
エアーバッグ式マッサージ機能を有するマッサージ装置において、エアーバッグを振動させて、振動マッサージを行うことのできるマッサージ装置、及び該マッサージ装置を搭載した椅子型マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9、図10に示す如く、足裏をマッサージするエアーバッグ(5)及び振動動力源(8)を具えた椅子型マッサージ機が提案されている(特許文献1)。
エアーバッグ(5)は、施療者に対して局部的に当接する隆起部(53)を有する施療指(52)を具えている。
エアーバック(5)の拡縮により、隆起部(53)が足裏を断続的に加圧してマッサージを行ない、振動駆動源(8)による振動で、振動マッサージを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−331009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のマッサージ装置の場合、エアーバッグ(5)を拡縮させる動力源とは別個に、ソレノイドや、回転軸に偏芯分銅を具えた振動モータ等の振動用動力源(8)を必要とし、構成が複雑となり、コスト高となる。
又、振動用動力源(8)を配備するためのスペースを確保せねばならない。
椅子型マッサージ機における足裏マッサージ装置の場合、エアーバッグの下に振動用動力源(8)を配備することは、足裏の高さが高くなり、必然的に椅子型マッサージ機の機高さが高くなって、椅子型マッサージの小型化の妨げとなる。
又、ソレノイドや振動モータによる機械的振動では、高周波で振動させることに限界がある。
本発明は、上記問題を一挙に解決できる、マッサージ装置及び該マッサージ装置を具えた椅子型マッサージ機を明らかにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はエアーバッグ式マッサージ装置において、エアーバッグ(5)又はエアーバッグ(5)へエアーを供給するエアー流路(6)の壁に、空気が外部に洩れる際に振動を発する空気洩れ孔(7)を開設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
エアーバッグ(5)又はエアー流路(6)の空気洩れ孔(7)からエアーが洩れる際に、該孔の周辺が震えて、エアーバッグ(5)全体が振動する。
エアーバッグ(5)を膨縮させると、エアーバッグ式マッサー機本来のマッサージ効果を得ることができる。これに加えて、上記空気洩れ孔(7)からエアーが洩れることによるエアーバッグ(5)の振動で、振動マッサージの効果も得ることができる。
【0007】
エアーバッグ(5)を振動させる動力源は、エアーバッグを膨らませる動力源が兼用するから、エアーバッグ(5)を振動させるためだけの動力源は不要となる。 又、エアーバッグ(5)又はエアー流路(6)に空気洩れ孔(7)を開設するだけで済むから、構成が極めて簡素化でき、従前のエアーバック式マッサージ装置に較べて、製造コストが嵩むことを抑えることが可能となる。又、振動機能を付加するために、マッサージ装置の設置スペースを大きくする必要もない。
更に、機械的な振動発生ではなく、空気洩れ孔(7)を高速でエアーが通過する際に空気洩れ孔(7)の周辺を振るわせるので、該孔の周辺の肉厚や材質を選択することにより、例えば120ヘルツ以上の高い周波数でエアーバッグ(5)を振動させることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】椅子型マッサージ機の側面図である。
【図2】足用マッサージユニットの正面図である。
【図3】足用マッサージユニットの右側面図である。
【図4】第1実施例のマッサージ装置のエアーバッグが膨らんだ状態の断面図である。
【図5】第2実施例のエアーバッグが膨らんだ状態の断面図である。
【図6】a図はジョイントの肉厚に設けた凹み部に空気洩れ孔を開設した該孔近傍の断面図、b図は肉厚にテーパ孔を開設した該孔近傍の端面図である。
【図7】第3実施例のエアーバッグが膨らんだ状態の断面図である。
【図8】第4実施例のエアーバッグが膨らんだ状態の断面図である。
【図9】従来の振動機能付きエアーバック式マッサージ装置を取り付けたマッサージ機の要部正面図である。
【図10】同上の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の椅子型マッサージ機(1)の側面図である。
椅子型マッサージ機(1)は、床面に載置されるベース(11)上に、被施療者の腰掛ける座部(12)、被施療者の凭れる背凭れ部(13)、肘を置く肘掛け(14)(14)を有している。
座部(12)の前端側には、揺動フレーム(24)が揺動可能に配備される。図1に示すように、揺動フレーム(24)上端の左右一対のブラケット(23)(23)が、座部(12)の前端に枢支され、矢印A方向に揺動可能となっている。
揺動フレーム(24)には、被施療者のふくらはぎ及び足先をマッサージする足用マッサージユニット(2)が、上下にスライド可能に嵌まっている。
【0010】
足用マッサージユニット(2)は、図1乃至図3に示すように、被施療者のふくらはぎをマッサージする脚用ユニット(21)と、被施療者の足先をマッサージする足先用ユニット(3)とを有している。
【0011】
脚用ユニット(21)は、左右の側壁(25)(25)、中央壁(26)及び後壁(27)(27)によって、被施療者のふくらはぎ(膝下からくるぶしの上)が挿入される上下及び前面の開口した凹み(28)(28)が形成されている。また、側壁(25)(25)の内側面、中央壁(26)及び/又は後壁(27)(27)には、エアーバッグ、指圧子等のマッサージ手段(図示せず)が配備されている。
【0012】
足先用ユニット(3)は、左右の側壁(31)(31)、中央壁(32)及び後壁(33)(33)によって、被施療者の足先(くるぶしの下)が挿入される上側及び前面の開口した凹み(34)(34)が形成されており、凹み(34)(34)の下側は、被施療者の足裏を支える足裏受け部(35)により閉じられている。
足裏受け部(35)に、本発明に係るマッサージ装置(4)が配備され、又、必要に応じて、側壁(31)(31)の内側面、中央壁(32)、後面(33)に、エアーバッグ、指圧子等のマッサージ手段(図示せず)が配備されている。
【0013】
マッサージ装置(4)は、エアーバッグ(5)と該エアーバッグ(5)にエアーを供給するエアー流路(6)と、エアー流路(6)に連繋されたエアーポンプ(図示せず)と、エアー流路(6)に配備されエアーバック(5)へエアーを供給したり、エアーバッグ(5)内のエアーを排出するために開閉するバルブ(図示せず)とによって構成される。
上記エアーポンプの最大出力は40kPaであり、出力調節バルブ(図示せず)によって、出力調調節が可能である)。
【0014】
エアーバッグ(5)は、横方向に扁平で上下方向に膨らむ袋部(51)と、該袋部(51)の上面に開設された開口(50)を塞いで取り付けられた施療指(52)とによって構成される。
袋部(51)は、夫々軟質の上シート(51a)と下シート(51b)の外周縁を超音波溶着(55)して形成されている。上シート(51a)に開口(50)が設けられる。
施療指(52)は上記袋部(51)の開口(50)より大きく形成され、外周部を袋部(51)の内側から開口縁に接合して形成されている。
施療指(52)には、被施療者に局部的に接する1又は複数の隆起部(53)が突設される、隆起部(53)は袋部(51)に連通する縦長の中空体であり、被施療者に接する上端は丸く閉塞している。
【0015】
施療指(52)は、外側から力を加えると弾性変形するが、袋部(51)より肉厚、硬質であって、袋部(51)が拡縮しても、施療指(52)の形状は殆んど変化しない。
実施例では、左右2つのマッサージ装置(4)(4)において、両施療指(52)(52)に高さの異なる2つの隆起部(53)(53a)、(53)(53a)が、互いの高い方の隆起部(53)(53)が内側になる様に、配置されている。
これは、高さの高い方の隆起部(53)(53)が、被施療者の両足裏の凹み部である土踏まずに当接可能とするためである。
【0016】
上記エアーバッグ(5)にエアーを供給するエアー流路(6)は、ホース(61)と、該ホースをエアーバッグ(5)に接続するためのジョイント(62)とからなる。
ジョイント(62)は、エアーバッグ(5)の下シート(51b)に取り付けられ、先端を横向き屈曲して外部に突出している。
ホース(61)は、肉厚2mm程度の軟質塩化ビニール製である。
【0017】
上記ホース(61)には、ジョイント(62)に接近してジョイント(62)に及ばぬ様に、空気洩れ孔(7)が開設されている。該空気洩れ孔(7)の大きさは、該孔周辺の肉厚や硬度、所望の振動数等によって決まるが、孔径は3mm以下である。
【0018】
然して、ポンプによってエアー流路(6)を通じてエアーバッグ(5)にエアーが供給されると、ホース(61)に開設した空気洩れ孔(7)からエアーが洩れる。このとき、該孔(7)の周辺が震えて、エアーバッグ(5)全体が振動する。
エアーバッグ(5)を膨縮させると、エアーバッグ式マッサー機本来のマッサージ効果を得ることができる。これに加えて、上記空気洩れ孔(7)からエアーが洩れることによるエアーバッグ(5)の振動で、振動マッサージの効果も得ることができる。
エアーバッグ(5)を振動させるためには、本実施例の様に軟質の塩化ビニール製のホース(61)に空気洩れ孔(7)を開設した場合が最も効果的である。
【0019】
エアーバッグ(5)を振動させる動力源は、エアーバッグを膨らませるポンプが兼用するから、エアーバッグ(5)を振動させるためだけの動力源は不要となる。 又、エアー流路(6)のホース(61)に空気洩れ孔(7)を開設するだけで済むから、構成が極めてシンプルで、従前のエアーバックに較べて製造コストが嵩むことを抑えることが出来、又、マッサージ装置(4)の設置スペースを大きくする必要もない。
更に、機械的な振動発生ではなく、空気洩れ孔(7)を高速でエアーが通過する際に空気洩れ孔(7)の周辺を振るわせるので、該孔の周辺の肉厚や材質を選択することにより、例えば120ヘルツ以上の高い周波数でエアーバッグ(5)を振動させることも可能となる。
【0020】
以下の第2実施乃至第4実施例は、上記第1実施例とは空気洩れ孔(7)の開設位置が異なるだけで、他の構成は第1実施例と同じである。
[第2実施例(図5)]
第2実施例は、エアーバッグ(5)へのエアー流路(6)のジョイント(62)に空気洩れ孔(7)を開設している。
ジョイント(62)は、ホース(61)に較べて、硬質で且つ肉厚であるので、単なるストレート孔では、該孔近傍の肉厚の振れが悪くなる。
そこで実施例では、図6aに示す如く、ジョイント(62)に凹み部(71)を設け、該凹み部(71)に空気洩れ孔(7)を開設することにより、該孔の周辺を薄肉部(72)として、震え易くしている。
凹み部(71)の深さによって、空気洩れ孔(7)周辺の肉厚を任意に決めて、最適の振動を得ることができる。
【0021】
図6bは、空気洩れ孔(7)をテーパ孔とすることで空気洩れ孔(7)の周囲の肉厚を実質的に薄くする実施例を示している。
【0022】
[第3実施例(図7)]
第3実施例は、エアーバッグ(5)の施療指(52)に空気洩れ孔(7)を開設している。実施例では施療指(52)の隆起部(53)(53a)間の平坦部に空気洩れ孔(7)が開設されている。前記の如く、施療指(52)は袋部(51)より肉厚で硬質であるから、空気洩れ孔(7)の形状は、前記図6a又は図6bの形状を採用している。孔加工の作業性から、施療指(52)の内側から孔加工をする、或いは施療指(52)を型成形する際に、同時に孔も成形することができる。
【0023】
[第4実施例(図8)]
第4実施例は、エアーバッグ(5)の袋部(51)に空気洩れ孔(7)を開設している。薄肉、軟質の袋部(51)への孔加工は、孔明けパンチで極めて簡単にできる利点がある。
【0024】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0025】
例えば、実施例では、足裏用のマッサージ装置に本発明を実施したが、図1の椅子型マッサージ機の、座部(12)や背凭れ部(13)等、所望の位置にマッサージ装置(4)を配備できるのは勿論である。
【符号の説明】
【0026】
2 足用マッサージユニット
3 足先用ユニット
4 マッサージ装置
5 エアーバッグ
51 袋部
52 施療指
6 エアー流路
61 ホース
62 ジョイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアーバッグ式マッサージ装置において、エアーバッグ(5)又はエアーバッグ(5)へエアーを供給するエアー流路(6)の壁に、空気が外部に洩れる際に振動を発する空気洩れ孔(7)を開設した、マッサージ装置。
【請求項2】
エアー流路(6)はホース(61)と、該ホースをエアーバッグ(5)に接続するためのジョイント(62)とからなり、ホース(61)に前記空気洩れ孔(7)が開設されている、請求項1に記載のマッサージ装置。
【請求項3】

エアー流路(6)はホース(61)と、該ホースをエアーバッグ(5)に接続するためのジョイント(62)からなり、該ジョイントに前記空気洩れ孔(7)が開設されている、請求項1に記載のマッサージ装置。
【請求項4】
エアーバッグ(5)は、袋部(51)と、該袋部に設けられ被施療者に接する施療指部(52)とからなり、施療指部(52)には、被施療者に対して局部的に当接する隆起部(53)が袋部(51)の膨らみ方向に突設されている、請求項1乃至3の何れかに記載のマッサージ装置。
【請求項5】
施療指部(52)に空気洩れ孔(7)が開設されている、請求項4に記載のマッサージ装置。
【請求項6】
袋部(51)に空気洩れ孔(7)が開設されている、請求項4に記載のマッサージ装置。
【請求項7】
空気漏れ孔(7)周辺の肉厚(70)或いは硬度に応じて、該肉厚に凹み部(71)を設けて該凹み部(71)に空気漏れ孔(7)を開設して、該孔の周辺の肉厚を薄くしている、請求項1乃至6の何れかに記載の該孔のマッサージ装置。
【請求項8】
空気漏れ孔(7)周辺の肉厚或いは硬度に応じて、空気洩れ孔(7)をテーパ孔(7a)としている、請求項1乃至6の何れかに記載のマッサージ装置。
【請求項9】
空気洩れ孔(7)の最小孔径は、3mm以下である、請求項1乃至8の何れかに記載のマッサージ機。
【請求項10】
被施療者が腰掛ける座部(12)、被施療者の背中を支える背凭れ部(13)、被施療者の足裏を載せる足裏受け部(35)を有し、該座部(12)、背凭れ部(13)、足裏受け部(35)の少なくとも何れか1つに、請求項1乃至9の何れかに記載のマッサージ装置(4)を具えた、椅子型マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−4913(P2011−4913A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150511(P2009−150511)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】