説明

マットセンサ

【課題】感度が良く、軽量、薄型で取扱性に優れ、表面の見栄えの良いマットセンサを提供する。
【解決手段】上面シート2は、内面に蛇行状に設けられる溝1を有し、この溝1内にコードスイッチ3が収容され、コードスイッチ3を収容した状態で、上面シート2に平板状の下面シート4が貼着される。溝1は、その幅がコードスイッチ3の外径より大きく、深さがコードスイッチ3の外径よりも小さい。更に、溝1は、相互間に凸部2bを有し、凸部2bの表面位置は外縁部6の表面位置よりも低くされ、凸部2bと下面シート4との間には隙間5が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マットの厚み方向に付与された圧力を検知するマットセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、荷重を検出するセンサとして、長板状にした電極部材と導電部とを加圧時に接触可能にして可撓性の包装体内に対向配置した荷重検知センサ(例えば、特許文献1参照)、絶縁材で等間隔に結合した2条の導電ゴムを捩じり、これを蛇行溝が内面に形成された2枚の板状の基材間に配設したマット(例えば、特許文献2参照)、2つの導電線を等間隔に渦巻き状にして弾力性を有する弾性管内に配設した圧力スイッチ(例えば、特許文献3参照)、導電線を導電体プラスチック層で被覆した2本の電極線を円筒状の中空絶縁体の内部に挿通し、中空絶縁体に外圧が加わったときに2本の電極線が接触するようにした圧力検知装置(例えば、特許文献4参照)、等が知られている。
【0003】
例えば、上記したセンサを店舗入り口に設置するマットに組み込んでマットセンサを構成し、あるいは上記特許文献2のマットをマットセンサとして用いる場合、マットセンサには、スイッチとしての感度が良いこと、軽量で薄型であること、折り畳みやロール状にすることが可能で収容及び持ち運びなどの取扱性に優れること、表面にデコボコ感がなく見栄えが良いこと、などが要求される。
【特許文献1】特開2001−167660号公報
【特許文献2】特開2005−235664号公報
【特許文献3】特開2006−164710号公報
【特許文献4】特許第3707796号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のセンサによると、2枚の板状の基材やシート間にセンサを単に挟み込んでマットセンサを構成した場合、マット表面にセンサ形状に応じた凹凸が浮き出て平坦性を損ねる不具合がある。また上面にかかる荷重によりセンサが感度レベル以上に押し潰されてしまい、長期寿命性を損なうという問題がある。これを防ぐために基材やシートの厚みを大にするとマットセンサとしての感度が低下するという問題がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、感度が良く、軽量、薄型で取扱性に優れ、表面の見栄えの良いマットセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するため、内面に溝が設けられている上面シートと、前記上面シートの前記溝に収容されたコードスイッチと、前記上面シートに装着された平板状の下面シートとを備えるマットセンサを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、感度が良く、軽量、薄型で取扱性に優れ、表面の見栄えの良いマットセンサを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
[第1の実施の形態]
(マットセンサの構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るマットセンサを示し、(a)は横断面図、(b)は(a)に示すマットセンサの上面シートの裏面図である。
【0009】
このマットセンサ10は、図1(a)に示すように溝1が内面に設けられている上面シート2と、上面シート2の溝1内に収容されたコードスイッチ3と、コードスイッチ3を封止するようにして上面シート2の周縁に接合された平板状の下面シート4とを備えて構成されており、溝1は、図1(b)に示すように上面シート2に蛇行状に形成されている。
【0010】
上面シート2は、表面2Aが人、自動車等の移動体等による荷重が加わる面になり、内側には溝1間に凸部2bが形成され、更に、周縁部には傾斜面を有する傾斜部2aが形成されている。傾斜部2aの裏面には、凸部2bの高さより下面シート4側に突出する外縁部6が設けられている。この外縁部6を下面シート4に接合することにより、溝1間の凸部2bの下面と下面シート4との間に隙間5が形成されている。隙間5は、コードスイッチ3が変形したときにマットセンサ10がONになり、かつ、コードスイッチ3が変形してもコードスイッチ3を圧壊しない高さに設定する。
【0011】
上面シート2及び下面シート4は、弾性及び難燃性を有するゴム材料、例えば、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム等を金型によりモールド成型することによって形成されている。
【0012】
溝1の深さは、図1(a)に示す様に、コードスイッチ3の径よりも小さく設定されており、コードスイッチ3が溝1に収容されたとき、コードスイッチ3の一部が凸部2bの表面から突出するようになる。また、溝1の底面から外縁部6までの高さhと隙間5の高さgとの和(h+g)は、コードスイッチ3の外径dにほぼ一致するように形成されている。
【0013】
コードスイッチ3の配線形態は、蛇行配線に限定されるものではなく、例えば、マットセンサ10の検知死角部を無くすように上面シート2及び下面シート4の外周に沿って配線することもでき、あるいは渦巻状に配線する等、用途に応じた配線が可能である。また、配線間隔を短くすることにより、感度ピッチを細かくすることができる。
【0014】
なお、上面シート2、コードスイッチ3及び下面シート4の相互の硬さは、硬い順に、下面シート4≒上面シート2>コードスイッチ3となるように設定する。ゴム硬度では、上面シート2で80〜90、コードスイッチ3の絶縁体で55、下面シート4で90の範囲となるように構成することで、荷重印加時のコードスイッチ3の変形を最適にすることができる。
【0015】
(コードスイッチの構成)
図2は、コードスイッチの構成を示す斜視図である。コードスイッチ3は、コード状の4本の導電部材31A〜31Dと、十字形の中空部32を有し、この中空部32に一部が露出するようにして導電部材31A〜31Dを内面に保持する絶縁体33とを備えて構成されている。
【0016】
導電部材31A〜31Dは同一の構成を有し、絶縁体33の内面に等間隔に配置され、かつ絶縁体33内に螺旋状に配置されている。導電部材31A〜31Dのそれぞれは、1または複数本の金属線34と、導電性を有すると共に金属線34を被覆する導電性樹脂層35A〜35Dとを備えて構成されている。
【0017】
絶縁体33は、導電部材31A〜31Dを電気的に非接触の状態で螺旋状に保持固定しており、外力を付与されることにより変形し、外力がなくなれば直ちに復元する特性を有する。このような特性を有するものとして、例えば、復元性ゴムや復元性プラスチックを用いることができる。
【0018】
復元性ゴムとしては、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム等がある。
【0019】
また、復元性プラスチックとしては、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンメチルメタクリレート共重合体、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、オレフィン系あるいはスチレン系の熱可塑性エラストマーをあげることができ、更に、ポリイミドやポリアミド等のエンジニアリングプラスチックでも形状、厚さ、他の材料との積層を工夫することにより使用可能である。
【0020】
金属線34は、優れた可撓性及び復元性を得るため、金属素線を複数本撚合せた金属撚線を用いている。
【0021】
導電性樹脂層35A〜35Dは、例えば、復元性ゴムまたは復元性プラスチックにカーボンブラック等の導電性充填剤を配合した混和物からなり、この混和物を導電部材31A〜31Dの外周に被覆する。導電性樹脂層35A〜35Dの断面積は、導電部材31A〜31Dの断面積の2倍以上であることが好ましく、これによって、電極線に十分な弾力性を付与すると共に、中空絶縁体33による電極線の保持固定が十分になされるようになり、大きな復元性が得られる。
【0022】
なお、コードスイッチ3は、表面を防水構造にするのが好ましい。防水構造にすることで、マットセンサ10の上面シート2または下面シート4に亀裂が生じ、溝1内に外部から水が浸入した場合でも、コードスイッチ3のスイッチ機能を保持できるので、マットセンサ10のセンサ機能を維持することができる。
【0023】
(コードスイッチの測定回路)
図3は、コードスイッチの測定回路を示す回路図である。
電源21と導電部材31A〜31Dとの電気的接続は、コードスイッチ3にコネクタ20を接続することにより行われる。コネクタ20は、導電部材31A〜31Dの金属線34と電気的に接続される端子24A〜24Dを有し、コネクタ側における導電部材31Aの金属線34の一端には、電源21の+電極が配線25Aを介して接続され、導電部材31B,31Cの金属線34はコネクタ20内で抵抗27を介して接続され、コネクタ側における導電部材31Dの金属線34の一端には電流計23の一端が電流制限用の抵抗22及び配線25Bを介して接続されている。更に、電流計23の他端は、電源21の−電極に接続されている。
【0024】
また、導電部材31A,31Bのコネクタ側とは反対側の端部は端子36Aによって接続されており、導電部材31C,31Dのコネクタ側とは反対側の端部についても端子36Bによって同様に接続されている。
【0025】
(マットセンサの組み立て方法)
図4は、マットセンサの組み立て方法を示し、(a)は分解状態、(b)はコードスイッチを下面シートに組み込んだ状態、(c)は完成状態を示す図である。
【0026】
まず、図4(a)に示すように、モールド成型した上面シート2と下面シート4、及び図2に示した構成のコードスイッチ3を用意する。
【0027】
次に、図4(b)に示すように、下面シート4に設けられる溝1の形成面(裏面)が上になるように配置し、溝1内にコードスイッチ3を沿わせて配置する。このとき、コードスイッチ3の両側が、溝1の側壁に対して等間隔になるように配置する。
【0028】
次に、図4(c)に示すように、コードスイッチ3の配置終了後、溝1に収容されたコードスイッチ3の表面に接着剤(図示せず)を塗布し、次いで、上面シート2の外縁部6表面に適量の接着剤を塗布して下面シート4に対して位置決めした後に、上面シート2の外縁部6と下面シート4の周縁を貼り合わせる。以上により、図1に示したマットセンサ10が完成する。
【0029】
(マットセンサの動作)
図5は、マットセンサに荷重が加わっているときの変形の様子を示す断面図である。以下に、図1から図5を参照しつつ、マットセンサ10の動作を説明する。
【0030】
まず、マットセンサ10を店舗の入り口等に設置し、マットセンサ10にコネクタ20を接続する。
【0031】
この状態で図5に示すように、上面シート2の一部に人の足が乗るなどしてマットセンサ10に荷重Pが加わると上部シート2が変形し、この変形に伴ってコードスイッチ3にも変形が生じる。マットセンサ10は、溝1がコードスイッチ3の直径よりも大きな幅を有し、かつ、コードスイッチ3が中空部32を有するため、コードスイッチ3の絶縁体33は容易に変形し、水平方向へ膨出して楕円型になる。
【0032】
コードスイッチ3は、凸部2bの先端面が隙間5を埋め、凸部2bが潰れるまで変形する。凸部2bが潰れる(水平方向への膨出、先端部の変形等)までの荷重Pによる変形は、主にコードスイッチ3に加わるので、荷重Pが効率的にコードスイッチ3に加わり、センサとしての感度を良くすることができる。凸部2bと下面シート4の接触によって隙間5が無くなると、荷重Pは、主に凸部2bと下面シート4の間に加わるようになる。
【0033】
この変形により、図3に示す導電性樹脂層35A,35B,35C,35Dがコードスイッチ3の変形に応じて接触し、そのことにより端子24Aから端子24Dにかけての抵抗値が接触の程度に応じて変化する。
【0034】
なお、導電部材31A〜31Dは、絶縁体33内に螺旋状に配置されているため、荷重Pが加わる場所によっては、導電部材31A〜31Dの位置関係が図2と異なることがあるが、導電部材31同士の一定の接触性は確保されるので、センサ機能が損なわれることはない。
【0035】
導電部材31A〜31Dの接触に基づいて図3に示す端子24A〜24D間に短絡状態が生じると、電流計23には導通状態に応じた電流iが流れる。この電流の大きさは荷重Pの大きさに比例する。この電流計23に流れる電流変化を検出し、あるいは電流計23に代えて設けた検出回路により電流変化を検出することでON/OFF信号を形成することができ、このON/OFF信号を用いて本マットセンサの信号を受信する外部の警報装置、制御装置等を動作させることができる。
【0036】
(第1の実施の形態の効果)
第1の実施の形態によれば、下記の効果を奏する。
(イ)マットセンサ10は、溝1,凸部2b,および外縁部6によって適度な変形性を有する上面シート2、可撓性を有するコードスイッチ3,及び下面シート4から構成されているので、マットセンサ10の折り曲げやロール状にすることが可能になり、持ち運び、収容などの取扱性を良くすることができる。また、マットセンサ10の薄型化、軽量化が可能になる。
【0037】
(ロ)コードスイッチ3は、導電部材31A〜31Dが長手方向に螺旋状に設置されているので、可撓性に優れ、屈曲した状態でもスイッチ機能が保持される。そのためマットセンサ10を平坦でない床などに設置して用いることができる。また、例えば、直径20mmまで曲げての設置が可能であり、曲げによって導電部材31同士が接触しないため、曲げた状態でもスイッチ機能が発揮される。
【0038】
(ハ)マットセンサ10は、外縁部6を有する上面シート2を下面シート4に接着固定することで隙間5を生じる構成を有しているので、コードスイッチ3がONになるまでの良好な変形性を有する。コードスイッチ3が変形した後は、上面シート2の凸部2bが下面シート4に面接触することで余分な荷重を逃がすので、コードスイッチ3に過剰な変形が生じることによる破損を防止でき、コードスイッチ3の保護性に優れるとともにマットセンサ10の寿命を延ばすことができる。
【0039】
(ニ)上面シート2に溝1,凸部2b,外縁部6を設け、この上面シート2よりも形状を保持する強度の大なる平板状の下面シート4との間にコードスイッチ3を収容したマットセンサ10としているので、マットセンサ10の感度、厚さ、重量等を変えることなく、マットセンサ10の表面に凹凸が生じることを防ぎ、見栄えを良くすることができる。
【0040】
なお、上記実施の形態においては、導電部材31が導電部材31A〜31Dの4本からなるものとしたが、2本であってもよいし、また、コードスイッチ3やマットセンサ10の大きさに応じて、5本以上にすることも可能である。
【0041】
[第2の実施の形態]
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るコードスイッチを示す斜視図である。このコードスイッチ40は、四角形断面の中空部44を備えた角形の中空絶縁体41と、その内壁の対向面に配置された帯状の導電部材42A,42Bとを備えて構成されている。
【0042】
導電部材42A,42Bは同一構造であり、それぞれは、第1の実施の形態に示した金属線34と、この金属線34を被覆する帯状の導電性樹脂43とを備えて構成されている。導電部材42A,42B及び導電性樹脂43に用いる材料は、第1の実施の形態に示した導電部材31A〜31D及び導電性樹脂層35A〜35Dの材料と同じでよい。また、中空絶縁体41に用いる材料は、第1の実施の形態に示した絶縁体33の材料と同じでよい。
【0043】
上記構成のコードスイッチ40は、第1の実施の形態で説明した上面シート2の溝1内に収容される。更に、溝1にコードスイッチ40が収容された上面シート2に対して下面シート4を貼り合わせることにより、マットセンサ10が完成する。
【0044】
第2の実施の形態によれば、中空絶縁体41が四角形断面を有しているため、溝1内に収容し易くすることができる。その他の効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0045】
[第3の実施の形態]
図7は、本発明の第3の実施の形態に係るコードスイッチを示す斜視図である。このコードスイッチ50は、帯状の感圧ゴム51と、感圧ゴム51の上下面に配設された上電極52及び下電極53と、感圧ゴム51、上電極52及び下電極53を被覆する絶縁体54とを備えて構成されている。コードスイッチ50は、第2の実施の形態のコードスイッチ40と同様に上面シート2の溝1内に配置される。
【0046】
感圧ゴム51は、例えば、シリコーンゴムに金属粒子を分散させることによって形成されている。
【0047】
上電極52及び下電極53は、可撓性を有するように銅または銅合金による平編線からなる構成にしている。
【0048】
このコードスイッチ50は、例えば、絶縁体54の上面に荷重が加わると、荷重に応じて上電極52及び下電極53が感圧ゴム51を圧縮する。このとき、感圧ゴム51は荷重の大きさに応じて抵抗値が減少し、従って上電極52と下電極53との間の抵抗値は、無荷重のときに比べて小さくなる。
【0049】
第3の実施の形態によれば、コードスイッチ50内に空隙が存在しないため、可撓性には劣るが、荷重が加わったときのマットセンサ10の表面の下降量(沈み量)を小にすることができる。
【0050】
[第4の実施の形態]
図8は、本発明の第4の実施の形態に係るコードスイッチを示す正面図である。このコードスイッチ60は、複数の金属線(単線でもよい)からなる内電極61と、内電極61の外周面に層状に設けられた圧電体62と、圧電体62の外周面に層状に設けられた外電極63と、外電極63を被覆する絶縁体64とを備えて構成されている。コードスイッチ60は、第2の実施の形態のコードスイッチ40と同様に上面シート2の溝1内に配置される。
【0051】
圧電体62は、例えば、圧電セラミックスであり、具体的にはチタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛の焼結粉体、ニオブ酸ナトリウム等の非鉛系圧電セラミック焼結粉体等を用いて構成されている。
【0052】
コードスイッチ60は、荷重Pが絶縁体64の表面に加わると、外電極63を介して圧電体62が加圧される。圧電体62は、外電極63を介して或るレベル以上の圧力が加わると、パルス状の電圧を発生する。この電圧は、瞬間的に加わるほど大きくなる。圧電体62に発生した電圧は、内電極61及び外電極63を介して取り出され、更に波形整形等を施すことにより、検出信号を得ることができる。
【0053】
第4の実施の形態によれば、測定用の電源等を不要にすることができる。また、二値的やアナログ的に変化する検出信号によらず、パルス電圧を用いて制御回路や警報回路を動作させるといった用途のマットセンサ10に適している。
【実施例1】
【0054】
次に、本発明の実施例について説明する。
本発明者は、まず、図2に示した構成により、外径4.6mmのコードスイッチ3を製作した。また、図1及び図4に示した構成により、700×500mmのサイズの上面シート2及び下面シート4を製作した。なお、下面シート4は、厚みを1mmとした。
【0055】
図9は、実施例における上面シートの主要部の仕様を示し、(a)は溝の断面図、(b)は外縁部の周辺の断面図である。
【0056】
図9(a)に示すように、溝1は、幅を5mm、高さを3mmとし、この部分の上面シート2の厚みは1mmとした。
【0057】
また、図9(b)に示すように、外縁部6は、幅を20mmとし、段部2cの高さを1.5mmとした。また、傾斜部2aは、幅を18mm、その最大高さを5mm、周縁の高さを1mmとした。
【0058】
このように外縁部6における段部2cの高さを1、5mm、外縁部6の下面からの最大厚みを5.5mmとしたことにより、外径4.6mmのコードスイッチ3に対して適度な変形である1.5mm強の潰れ変形を常に確保することができた。また、上面シート2の溝1は、コードスイッチ3を曲げて配置し、曲げた状態でも検知できる弾性を有するコードスイッチ3の特長を活かしてR30の屈曲部を設けて一筆書き状に形成した。
【0059】
図10は、コードスイッチにおける抵抗−センサ潰れ変位特性を示す特性図である。この場合のコードスイッチ3は、上記した様に外径を4.6mmとし、導電部材31A〜31Dは、各外径を0.85mm、隣接間の距離を0.75mm、対向位置にある導電部材31間の距離を1.2〜1.3mmとした。
【0060】
ここで、コードスイッチ3の潰れ変位δは、上面シート2に荷重Pが付与される方向の径が変形前の径Dに対し、変形後の径Dとの偏差(δ=D−D)と定義する。
【0061】
図10に示すように、コードスイッチ3の抵抗値は、マットセンサ10に荷重Pが加わり始め、潰れ変位δが1mmを超えると導電部材31の抵抗が減少し始め、潰れ変位δが約1.2mmまでは急激に変化する。その後、抵抗は緩やかに変化し、1.5mm以上の潰れ変位δではほぼ一定になる。1.5mm強の潰れ変位を確保することによって、安定した動作が得られ、また、潰れ変位δを1.5mm程度にとどめることができる。
【0062】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、その要旨を変更しない範囲内で種々な変形が可能である。例えば、各実施の形態間の構成要素の組み合わせは任意に行うことができる。
【0063】
また、本発明のマットセンサ10は、例えば、ホームセキュリティ、店舗入り口、マンションベランダ、マンション屋上、医療・介護関係(入室管理、俳徊管理)、車両等の検知(駐車場、重機類の接近)、プラント等の危険エリア管理などに応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係るマットセンサを示し、(a)は横断面図、(b)は(a)に示すマットセンサの上面シートの裏面図である。
【図2】図2は、コードスイッチの構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、コードスイッチの測定回路を示す回路図である。
【図4】図4は、マットセンサの組み立て方法を示し、(a)は分解状態、(b)はコードスイッチを下面シートに組み込んだ状態、(c)は完成状態を示す図である。
【図5】図5は、マットセンサに荷重が加わったときの変形の様子を示す断面図である。
【図6】図6は、本発明の第2の実施の形態に係るコードスイッチを示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明の第3の実施の形態に係るコードスイッチを示す斜視図である。
【図8】図8は、本発明の第4の実施の形態に係るコードスイッチを示す正面図である。
【図9】図9は、実施例における上面シートの主要部の仕様を示し、(a)は溝の断面図、(b)は外縁部の周辺の断面図である。
【図10】図10は、コードスイッチにおける抵抗−センサ潰れ変位特性を示す特性図である。
【符号の説明】
【0065】
1 溝
2 上面シート
2a 傾斜部
2b 凸部
2c 段部
3 コードスイッチ
4 下面シート
5 隙間
6 外縁部
10 マットセンサ
20 コネクタ
21 電源
22 抵抗
23 電流計
24A〜24D 端子
25A,25B 配線
26A,26B 短絡線
27 抵抗
31A〜31D 導電部材
32 中空部
33 絶縁体
34 金属線
35A〜35D 導電性樹脂層
36A,36B 端子
40 コードスイッチ
41 中空絶縁体
42A,42B 導電部材
43 導電性樹脂
44 中空部
50 コードスイッチ
51 感圧ゴム
52 上電極
53 下電極
54 絶縁体
60 コードスイッチ
61 内電極
62 圧電体
63 外電極
64 絶縁体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面に溝が設けられている上面シートと、
前記上面シートの前記溝に収容されたコードスイッチと、
前記上面シートに装着された平板状の下面シートとを備えることを特徴とするマットセンサ。
【請求項2】
前記溝は、幅が前記コードスイッチの外径より大きく、深さが前記コードスイッチの外径よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のマットセンサ。
【請求項3】
前記上面シートは、その周縁に前記下面シートとの貼着を行うための所定幅の外縁部を有し、前記コードスイッチが配置される面に前記溝の側部を構成する凸部が設けられ、前記凸部の表面位置が前記外縁部の表面よりも低いことを特徴とする請求項1に記載のマットセンサ。
【請求項4】
前記コードスイッチは、中空の絶縁体と、
前記絶縁体の内面の円周方向に等間隔に配置され、かつ長手方向に螺旋状に配設された複数の導電部材と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のマットセンサ。
【請求項5】
前記コードスイッチは、角形の断面形状からなる中空部を有する絶縁体と、
前記絶縁体の対向する内壁面に所定の距離をもって配置された一対の導電部材と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のマットセンサ。
【請求項6】
前記複数または一対の導電部材は、少なくとも1本の金属線と、
復元性及び導電性を備えて前記金属線を被覆する導電性樹脂層と、
を備えることを特徴とする請求項4又は5に記載のマットセンサ。
【請求項7】
前記コードスイッチは、加圧力に応じて導電状態が変化する帯状の感圧ゴムと、
可撓性を有するとともに前記感圧ゴムの両面に重ね合わされた一対の電極と、
前記一対の電極及び前記感圧ゴムを封止する絶縁体と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のマットセンサ。
【請求項8】
前記コードスイッチは、少なくとも1本の金属線からなる内電極と、
印加された荷重に応じた電圧を発生すると共に前記内電極に被覆された圧電体と、
前記圧電体を被覆する外電極と、
前記外電極を被覆する絶縁体と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のマットセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−153005(P2008−153005A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−338211(P2006−338211)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】