説明

マルチアンテナ送信装置及びマルチアンテナ送信方法

【課題】空間多重MIMOシステムにおいて、受信装置側でソフト値を用いた反復検波を行う場合に、受信品質を向上させることができるマルチアンテナ送信装置及びマルチアンテナ送信方法を提供すること。
【解決手段】M(Mは2以上の整数)系統の符号化データをそれぞれ、インターリーブし、マッピングして送信するM個の送信部1601_1〜1601_Mを有し、M個の送信部1601_1〜1601_Mは、それぞれ、同一の送信データから得られた符号化データをそれぞれ異なるインターリーブパターンでインターリーブするN(Nは2以上の整数)個のインターリーバ504A1〜504AN(504X1〜504XN)と、各インターリーバによって得られた信号を送信するN個のアンテナ510A1〜510AN(510X1〜510XN)と、を具備する構成を採る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)に代表されるマルチアンテナ送信装置及びマルチアンテナ送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MIMOに代表されるマルチアンテナ通信では、複数系列の送信データをそれぞれ変調し、各変調信号を異なるアンテナから同時に送信することで、データの通信速度を高めるようになっている。
【0003】
この種の送信装置では、符号化されたデータをインターリーブし、インターリーブされたデータを変調し、変調された信号に対して周波数変換等の所定の無線処理を施し後に、複数の送信アンテナに供給する。複数の送信アンテナからそれぞれ異なる変調信号を同一時刻に同一周波数で送信する方式が空間多重MIMO方式である。
【0004】
特許文献1では、送信アンテナ間でのインターリーブパターンを異なるようにする送信装置が提案されている。また、非特許文献1では、MIMO受信装置が、MIMO信号検波部において、ソフト値を用いた検波を反復して行うことによって、受信品質を向上させる技術が開示されている。
【特許文献1】“マルチアンテナ受信装置、マルチアンテナ受信方法、マルチアンテナ送信装置及びマルチアンテナ通信システム”国際公開第2005/050885号パンフレット
【非特許文献1】“Achieving near-capacity on a multiple-antenna channel” IEEE Transaction on communications, vol.51, no.3, pp.389-399, March 2003
【非特許文献2】B. Lu, G. Yue, and X. Wang, “Performance analysis and design optimization of LDPC-coded MIMO OFDM systems” IEEE Trans. Signal Processing., vol.52, no.2, pp.348-361, Feb. 2004
【非特許文献3】B. M. Hochwald, and S. ten Brink, “Achieving near-capacity on a multiple-antenna channel” IEEE Trans. Commun., vol.51, no.3, pp.389-399, March 2003
【非特許文献4】S. Baro, J. Hagenauer, and M. Witzke, “Iterative detection of MIMO transmission using a list-sequential (LISS) detector” Proc. of IEEE ICC 2003, May 2003
【非特許文献5】B. M. Hochwald, and S. ten Brink, “Achieving near-capacity on a multiple-antenna channel” IEEE Trans. Commun., vol.51, no.3, pp.389-399, March 2003
【非特許文献6】S. Baro, J. Hagenauer, and M. Witzke, “Iterative detection of MIMO transmission using a list-sequential (LISS) detector” Proc. of IEEE ICC 2003, May 2003
【非特許文献7】P. Robertson, E. Villebrun, and P. Hoher, “A comparison of optimal and sub-optimal MAP decoding algorithms in the log domain” Proc. IEEE ICC 1995, pp.1009-1013, June 1995
【非特許文献8】K. Kobayashi, Y. Murakami, M. Orihashi, and T. Matsuoka, “Varying interleave patterns with iterative decoding for improved performance in MIMO systems” Proc. of IEEE PIMRC2004, vol.2, pp.1429-1433, Sep. 2004
【非特許文献9】“Performance analysis and design optimization of LDPC-coded MIMO OFDM systems” IEEE Trans. Signal Processing., vol.52, no.2, pp.348-361, Feb. 2004
【非特許文献10】“Achieving near-capacity on a multiple-antenna channel” IEEE Trans. Commun., vol.51, no.3, pp.389-399, March 2003
【非特許文献11】「Shannon限界への道標:“Parallel concatenated (Turbo) coding”, “Turbo (iterative) decoding”とその周辺」電子情報通信学会、信学技報IT98−51
【非特許文献12】“Performance analysis of DSTTD based on diversity-multiplexing trade-off” proc. IEEE VTC 2005spring
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、時間、周波数及び空間におけるダイバーシチゲインをさらに向上させることで、一段とデータの受信品質を向上させることが、マルチアンテナ通信システムにおける課題である。
【0006】
本発明は、空間多重MIMOシステムにおいて、受信装置側でソフト値を用いた反復検波を行う場合に、受信品質を向上させることができるマルチアンテナ送信装置及びマルチアンテナ送信方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のマルチアンテナ送信装置の一つの態様は、M(Mは2以上の整数)系統の符号化データをそれぞれ、インターリーブし、マッピングしてアンテナから送信するM個の送信部を有し、前記M個の送信部の少なくとも一つは、それぞれ、同一の送信データから得られた符号化データをそれぞれ異なるインターリーブパターンでインターリーブするN(Nは2以上の整数)個のインターリーバと、各インターリーバによって得られた信号を送信するN個のアンテナと、を具備する構成を採る。
【0008】
本発明のマルチアンテナ送信装置の一つの態様は、M(Mは2以上の整数)系統の符号化データをそれぞれ、インターリーブし、マッピングして複数のアンテナから送信するM個の送信部を有し、前記M個の送信部は、それぞれ、同一の送信データから得られた符号化データをそれぞれ異なるインターリーブパターンでインターリーブする複数のインターリーバと、前記インターリーバの数に対応した数だけ設けられ、各インターリーバによって得られた信号を送信する複数のアンテナと、を具備する構成を採る。
【0009】
本発明のマルチアンテナ送信装置の一つの態様は、M(Mは2以上の整数)系統の符号化データをそれぞれ、インターリーブし、マッピングして複数のアンテナから送信するM個の送信部を有し、前記M個の送信部は、それぞれ、同一の送信データから得られた符号化データを同一のインターリーブパターンでインターリーブする複数のインターリーバと、前記各インターリーバに入力される前記符号化データ間、又は前記各インターリーバから出力されるインターリーブされた各符号化データ間に時間差を付与する手段と、前記インターリーバの数に対応した数だけ設けられ、前記時間差が付与された複数系統のインターリーブ後の信号を送信するアンテナと、を具備し、前記M個の送信部間のインターリーブパターンが異なる構成を採る。
【0010】
本発明のマルチアンテナ送信方法の一つの態様は、第k(1≦k≦M:M≧2)の符号化後のデータを複数の系統に分配し、第n(2≦n≦N:N≧2)の分配されたデータは第nのインターリーブを施し、マッピングされた変調信号を第nのアンテナから送信し(n≧2)、前記N個のインターリーブパターンが異なるようにする。
【0011】
本発明のマルチアンテナ送信方法の一つの態様は、第k(1≦k≦M:M≧2)の符号化後のデータを複数の系統に分配し、第n(2≦n≦N:N≧2)の分配されたデータは第nのインターリーブを施し、マッピングされた変調信号を第nのアンテナから送信し(n≧2)、前記MN個のインターリーブパターンが異なるようにする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、時間・周波数・空間におけるダイバーシチゲインを向上させ、受信装置側でソフト値を用いた反復検波を行う場合に、受信品質を向上させることができるマルチアンテナ送信装置及びマルチアンテナ送信方法を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(実施の形態1)
(1)一般的な空間多重MIMOシステムの概要
本実施の形態の特徴を説明する前に、一般的な空間多重MIMOシステムの構成、送信方法及び復号方法の概要と、インターリーブによる効果について説明する。
【0015】
図1に、N×N空間多重MIMOシステムの構成を示す。図1において、図1Aは送信装置の概略構成を示し、図1Bは図1Aの送信装置から送信された信号を受信する受信装置の概略構成を示す。
【0016】
図1Aの送信装置は、情報ベクトルzを、符号化部(outer encoder)101で符号化することで符号化ビットベクトルu’を得、インターリーブ部(Π)102でインターリーブ処理することでインターリーブ後の符号化ビットベクトルu=(u,…,uNt)を得る。ただし、u=(ui1,…,uiM),M:シンボル当たりの送信ビット数を表す。
【0017】
送信ベクトルs=(s,…,sNtと表し、送信アンテナT#iから送信される送信信号s=map(u)と表した場合、送信エネルギーを正規化した値E{|s}=E/Nと表される(E:チャネル当たりの総エネルギー)。
【0018】
図1Bに示すように、受信装置は、ディテクタ(MIMO detector)111と、デインターリーバ(Π−1)112と、デコーダ(outer soft−in/soft−out decoder)113と、インターリーバ(Π)114とを有する。
【0019】
受信装置で受信される受信ベクトルをy=(y,…,yNrとすると、受信ベクトルyは、次式のように表される。
【数1】

なお、式(1)において、HNtNrはチャネル行列、n=(n,…,nNrはノイズベクトルであり、nは平均値0、分散σのi.i.d.(independent identically distributed)複素ガウス雑音である。
【0020】
送信シンボルと受信シンボルは多次元ガウス分布の関係にあることから、受信ベクトルに関する確率p(y|u)は、次式のように表すことができる。
【数2】

【0021】
ここで、図1Bのように、受信装置が、MIMO detector 111と、outer soft−in/soft−out decoder 113とを有し、反復復号を行う場合を考える。図1Bにおける対数尤度比のベクトル(L−value)は、次の式(3)、式(4)及び式(5)のように表される(例えば非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4参照)。
【数3】

【数4】

【数5】

【0022】
(2)反復検波の概要
ここでは、N×N空間多重MIMOシステムにおけるMIMO信号の反復検波について説明する。
【0023】
mnの対数尤度比を、次式のように定義する。
【数6】

【0024】
ベイズの定理より、式(6)は、次式のように表すことができる。
【数7】

【0025】
ただし、Umn,±1={u|umn=±1}とする。ここで、例えば非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7に記載されているように、式(7)を、次式
【数8】

を用いて近似すると、式(7)は、次式のように近似することができる。
【数9】

【0026】
式(9)におけるP(u|umn)とln P(u|umn)は、次式のように表される。
【数10】

【数11】

【0027】
ところで、式(2)で定義した式の対数確率は、次式のように表される。
【数12】

【0028】
したがって、式(9)及び式(12)から、MAP(Maximum A posteriori Propability)又はAPP(A Posteriori Probability)では、事後のL−valueは、次式のように表される(非特許文献2参照)。
【数13】

以降では、式(13)を用いた反復検波を、反復APP復号と呼ぶ。
【0029】
式(9)及び式(12)から、Max−Log近似(非特許文献8参照)を利用した対数尤度比(Max−Log APP)における事後のL−valueは、次式のように表される(非特許文献5、非特許文献6参照)。
【数14】

【数15】

【0030】
以降では、式(14)、式(15)を用いた反復検波を、反復Max−log APP復号と呼ぶ。反復検波で必要とする外部情報は、式(13)又は式(14)から事前入力を減算することで、求めることができる。
【0031】
(3)本実施の形態のシステムモデルと反復復号
(3−1)システムモデル
図2に、本実施の形態のシステムモデルを示す。図2では、説明を簡単化するために、最も簡単な2×2空間多重MIMOシステムを例として示している。図2において、図2Aは送信装置の概略構成を示し、図2Bは図2Aの送信装置から送信された信号を受信する受信装置の概略構成を示す。
【0032】
図2の送信装置は、ストリームAを符号化部(outer encoder)201_1で符号化すると共にストリームBを符号化部(outer encoder)201_2で符号化する。本実施の形態の場合、符号化部201_1と符号化部201_2は、互いに同一のLDPC符号で符号化を行うLDPC符号化器によって構成されている。
【0033】
符号化部201_1で符号化されたストリームAはインターリーバ(π)202_1でインターリーブされ、符号化部201_2で符号化されたストリームBはインターリーバ(π)202_2でインターリーブされる。
【0034】
インターリーブ処理されたストリームA、ストリームBは、それぞれ、変調部(Modulator)203_1、203_2によって変調された後、送信アンテナT#1、T#2から送信される。ここでは、変調部203_1、203_2の変調方式を2−QAM(hビットで1シンボルを形成)とする。
【0035】
図2Bの受信装置は、上述のMIMO信号の反復検波(反復APP(またはMax−log APP)復号)を行う。本実施の形態の場合、送信装置がLDPC符号化を行うようになっているので、受信装置はLDPC符号の復号として、例えばsum−product復号を行う。
【0036】
図3は、送信フレーム構成を示しており、特にインターリーブ後のシンボルの順番を示している。図中、i,iはそれぞれストリームA、ストリームBについてのインターリーブ後のシンボルの順番を示し、j,jは変調方式におけるビット位置(j,j=1,・・・,h)を示し、π,πbはストリームA、ストリームBのインターリーバを示し、Ωia,ja ,Ωib,jbはストリームA、ストリームBのインターリーブ前のデータの順番を示している。因みに、図3では、i=iのときのフレーム構成を示している。ここで、(i,j),(i,j)を、次式のように記述する。
【数16】

【数17】

【0037】
(3−2)反復復号
ここでは、受信装置がLDPC符号の復号を行う際に用いるsum−product復号及びMIMO信号の反復検波のアルゴリズムについて詳しく述べる。
【0038】
(3−2−1)sum−product復号
2元(M×N)行列H={Hmn}を、復号対象とするLDPC符号の検査行列とする。集合[1,N]={1,2,・・・,N}の部分集合A(m),B(n)を次式のように定義する。
【数18】

【数19】

【0039】
A(m)は検査行列Hのm行目において、1である列インデックスの集合を意味し、B(n)は検査行列Hのn行目において、1である行インデックスの集合である。sum−product復号のアルゴリズムは以下のとおりである。
【0040】
・Step A・1(初期化) : Hmn=1を満たす全ての組(m,n)に対して事前値対数比βmn=0とする。ループ変数(反復回数)lsum=1とし、ループ最大回数をlsum,maxと設定する。
【0041】
・Step A・2(行処理) : m=1,2,・・・,Mの順にHmn=1を満たす全ての組(m,n)に対して、次の式(20)−式(22)の更新式を用いて外部値対数比αmnを更新する。
【数20】

【数21】

【数22】

上式においてfはGallagerの関数である。また、λの求め方については後述する。
【0042】
・Step A・3(列処理) : n=1,2,・・・,Nの順にHmn=1を満たす全ての組(m,n)に対して、次の更新式を用いて外部値対数比βmnを更新する。
【数23】

【0043】
・Step A・4(対数尤度比の計算) : n∈[1,N]について対数尤度比Lを、次式のように求める。
【数24】

【0044】
・Step A・5(反復回数のカウント) : もしlsum<lsum,maxならばlsumをインクリメントして、step A・2に戻る。lsum=lsum,maxの場合、この回のsum−product復号を終了する。
【0045】
以上が、1回のsum−product復号の動作である。その後、MIMO信号の反復検波が行われる。上述のsum−product復号の動作説明で用いた変数m,n,αmn,βmn,λ,Lにおいて、ストリームAにおける変数をm,n,αmana,βmana,λna,Lna、ストリームBにおける変数をm,n,αmbnb,βmbnb,λnb,Lnbで表す。
【0046】
(3−2−2)MIMO信号の反復検波
ここでは、MIMO信号の反復検波におけるλの求め方について詳しく説明する。
式(1)から、次式が成立する。
【数25】

【0047】
図3のフレーム構成と、式(17)、式(18)とから、次式を定義する。
【数26】

【数27】

【0048】
このとき、n,n∈[1,N]となる。以降では、MIMO信号の反復検波の反復回数kのときのλna,Lna,λnb,Lnbをそれぞれλk,na,Lk,na,λk,nb,Lk,nbと表す。
【0049】
・Step B・1(初期検波;k=0) : 初期検波のとき、λ0,na,λ0,nbを以下のように求める。
反復APP復号の場合:
【数28】

【0050】
反復Max−log APP復号の場合:
【数29】

【数30】

ただし、X=a,bとする。そして、MIMO信号の反復検波の反復回数をlmimo=0とし、最大反復回数をlmimo,maxと設定する。
【0051】
・Step B・2(反復検波;反復回数k) : 反復回数kのときのλk,na,λk,nbは、式(11)、式(13)−式(15)、式(26)及び式(27)から、次の式(31)−式(34)のように表される。ただし、(X,Y)=(a,b)(b,a)となる。
【0052】
反復APP復号の場合:
【数31】

【数32】

【0053】
反復Max−log APP復号の場合:
【数33】

【数34】

【0054】
・Step B・3(反復回数のカウント、符号語推定) : もしlmimo<lmimo,maxならばlmimoをインクリメントして、step B・2に戻る。lmimo=lmimo,maxの場合、推定符号語を次式のように求める。ただし、X=a,bとする。
【数35】

【0055】
(4)ファクターグラフによる考察
ここでは、ストリームA、ストリームBのインターリーブパターンが同一(SIP:Same Interleave Pattern)の場合、及び、インターリーブパターンが異なる(VIP:Varying Interleave Pattern)場合のファクターグラフを記述し、本実施の形態のようにVIPを用いた場合の効果について考察する。
【0056】
(4−1)インターリーブパターンが同一(SIP)の場合
上記のシステムモデルにおいて、一例として変調方式を16QAMとし、ストリームA、ストリームBのインターリーブパターンが同一の場合のファクターグラフを、図4に示す。このとき、次式
【数36】

の関係式が成立したとき、次式
【数37】

の関係式が成立する。
【0057】
ストリームAとストリームBのためのLDPC符号は同一であるため、図4のように、ノードとエッジは対称軸を中心に対称となる。SIPを行った場合には、対称軸に対し対称関係にある、ストリームAの変数(Variable)ノードに対応する(i,j)とストリームBの変数(Variable)ノードに対応する(i,j)では、式(37)が成立する。
【0058】

【0059】
(4−2)インターリーブパターンが異なる(VIP)場合
上述のモデルにおいて、一例として変調方式を16QAM(すなわちh=4)とし、ストリームA、ストリームBのインターリーブパターンが異なる場合のファクターグラフを、図5に示す。図5におけるノード及びエッジは、sum−product復号の部分については、対称軸を中心に対称となっている。しかし、MIMO信号の反復検波に関するエッジは、対称軸に対して対称とならない。
【0060】

【0061】
上述したように、ストリームAとストリームBのインターリーブパターンを異なるようにすることにより、LDPC符号化を行った場合の受信品質を向上させることができる。なお、上述した例では、LDPC符号化を行った場合について説明したが、これに限らず、要は上述したような反復復号を行う場合に、ストリーム毎に異なるインターリーブパターンでインターリーブ処理を施すようにすれば、上述した例と同様に受信品質を改善することができる。
【0062】
また、上述した例では、MIMO通信において、ストリーム毎に異なるインターリーブパターンでインターリーブ処理を施す場合について述べたが、これに限らず、図2Aとの対応部分に同一符号を付して示す図6のように、シングルアンテナから複数のストリームの信号を送信する通信方式に適用しても同様の効果を得ることができる。
【0063】
(5)本実施の形態のインターリーブ方法及び構成
ところで、上述したように異なるインターリーブパターンを採用とした場合、時間(又は周波数)ダイバーシチゲイン及び空間ダイバーシチゲインが向上するのはsum-product復号に関する部分のみであり、検波(図4、図5における□)におけるダイバーシチゲインが向上するわけではない。本発明の発明者らは、この点を考え、検波におけるダイバーシチゲインとsum-product復号におけるダイバーシチゲインを向上させる方法を実現できれば、データの受信品質を一段と向上させることができると考えた。そして、このような考察の下、本発明に至った。
【0064】
図7は、本実施の形態における送信装置の構成例である。送信装置500は、データ501Aを符号化部502Aに入力すると共に、データ501Bを符号化部502Bに入力する。
【0065】
符号化部502Aは、データ501Aに対して、例えば、畳み込み符号化、LDPC(Low-Density Parity-Check)符号化又はターボ符号化等の符号化を施し、符号化後のデータ503Aをインターリーバ#1(504A1)及びインターリーバ#2(504A2)に出力する。
【0066】
インターリーバ#1、#2は、それぞれ、符号化データ503Aをインターリーブ、つまり、データの順番を並べ替え、インターリーブ後のデータ505A1、505A2をマッピング部506A1、506A2に出力する。
【0067】
マッピング部506A1、506A2は、それぞれ、インターリーブ後のデータ505A1、505A2に対して、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation)又は64QAM(64 Quadrature Amplitude Modulation)等の変調を施し、これにより得たベースバンド信号507A1、507A2を無線部508A1、508A2に出力する。
【0068】
無線部508A1、508A2は、それぞれ、ベースバンド信号507A1、507A2に対して、直交変調、帯域制限、周波数変換、増幅等の処理を施し、これにより得た送信信号509A1、509A2をアンテナ510A1、510A2に出力する。
【0069】
符号化部502B、インターリーバ#3(504B1)、#4(504B2)、マッピング部506B1、506B2、無線部508B1、508B2の動作は、符号化部502A、インターリーバ#1(504A1)、#2(504A2)、マッピング部506A1、506A2、無線部508A1、508A2の動作と同様なので、その説明は省略する。
【0070】
符号化部502A、502Bとインターリーバ#1〜#4の関係については、図10を用いて、後で詳しく説明する。
【0071】
送信装置500でもっとも特徴的な部分は、インターリーバ#1、#2、#3、#4のインターリーブパターンが異なることである。そのメリットについては、後で詳しく説明する。
【0072】
図8は、送信装置500の送信フレーム構成例を示している。送信装置500は、アンテナ510A1から図8のフレーム構成の変調信号(ストリーム)A1を送信する。同様に、アンテナ510A2から変調信号(ストリーム)A2を送信し、アンテナ510B1から変調信号(ストリーム)B1を送信し、アンテナ510B2から変調信号(ストリーム)B2を送信する。
【0073】
変調信号(ストリーム)A1、A2、B1、B2の同一時刻のシンボルは、同一周波数を用い、異なるアンテナから送信される。図中の符号601A1、601A2、601B1、601B2は、受信装置においてチャネル変動を推定するためのパイロットシンボル群(プリアンブル)を示す。図中の符号602A1、602A2、602B1、602B2は時間iに送信されるデータシンボルを示し、符号603A1、603A2、603B1、603B2は時間i+1に送信されるデータシンボルを示す。
【0074】
ここで、図9を用いて、MIMO通信システムにおける送受信アンテナ間の関係を簡単に説明する。送信アンテナ604#1…604#M(但し、M=1,2,3,4)からそれぞれ送信される送信信号をs(t)…s(t)とする。また、受信アンテナ605#1、605#2で受信される受信信号をr(t)、r(t)とする。すると、以下の関係式が成立する。
【数38】

【数39】

【0075】
ただし、式(38)、式(39)において、h1i(t)は送信アンテナ#iと受信アンテナ#1との間のチャネル変動、h2i(t)は送信アンテナ#iと受信アンテナ#2との間のチャネル変動、n1(t)、n2(t)はノイズ、tは時間を表している。因みに、h1i(t)及びh2i(t)は、チャネル変動を推定するためのパイロットシンボル群601A1、601A2、601B1、601B2を用いて、受信装置で推定される。
【0076】
図10は、図7の送信装置500の符号化部502A、502Bとインターリーバ#1〜#4の詳細動作を説明するための図である。図10では、代表して、符号化部502Aとインターリーバ#1、#2の動作例を示した。
【0077】
符号化部502Aは、例えば、データu1、u2、u3・・・unを入力し、符号化データs1、s2、s3・・・sm(n<m)を、インターリーバ#1(504A1)及びインターリーバ#2(504A2)に出力する。
【0078】
インターリーバ#1は、符号化データs1、s2、s3・・・smの順番を並べ替え、インターリーブ後のデータ505A1として、s74、s93、s1・・・の順番のデータを出力する。
【0079】
インターリーバ#2は、符号化データs1、s2、s3・・・smの順番を並べ替え、インターリーブ後のデータ505A2として、s100、s6、s37・・・の順番のデータを出力する。
【0080】
ここで、重要な点は、インターリーバ#1とインターリーバ#2の入力データは同一であり、かつ、出力されるデータの順番が異なる点である。そのメリットについては、後で詳しく説明する。
【0081】
符号化部502B、インターリーバ#3(504B1)、インターリーバ#4(504B2)の動作は、上述の符号化部502A、インターリーバ#1(504A1)、インターリーバ#2(504A2)と同様なので、その説明は省略する。特に重要なのは、本実施の形態の最初で述べたように、インターリーバ#1(504A1)、インターリーバ#2(504A2)、インターリーバ#3(504B1)、インターリーバ#4(504B2)のそれぞれのインターリーブパターンを異なるようにすることである。このようにすることで、受信品質を改善することができる。
【0082】
図11は、本実施の形態における受信装置の構成例である。受信装置800は、送信装置500から送信された信号を、アンテナ801_X、801_Yによって受信する。
【0083】
無線部803_Xは、アンテナ801_Xで受信された受信信号802_Xに対して、周波数変換、直交復調等の処理を施し、これにより得たベースバンド信号804_Xを、チャネル変動推定部805A1、805A2、805B1、805B2に出力する。
【0084】
チャネル変動推定部805A1は、ベースバンド信号804_Xに含まれる、変調信号(ストリーム)A1のパイロットシンボル群601A1(図8)を抽出し、これに基づいて式(38)のチャネル変動h11を推定し、これをチャネル推定信号806A1として出力する。
【0085】
チャネル変動推定部805A2は、ベースバンド信号804_Xに含まれる、変調信号(ストリーム)A2のパイロットシンボル群601A2(図8)を抽出し、これに基づいて式(38)のチャネル変動h12を推定し、これをチャネル推定信号806A2として出力する。
【0086】
チャネル変動推定部805B1は、ベースバンド信号804_Xに含まれる、変調信号(ストリーム)B1のパイロットシンボル群601B1(図8)を抽出し、これに基づいて式(38)のh13を推定し、これをチャネル推定信号806B1として出力する。
【0087】
チャネル変動推定部805B2は、ベースバンド信号804_Xに含まれる、変調信号(ストリーム)B2のパイロットシンボル群601B2(図8)を抽出し、これに基づいて式(38)のh14を推定し、これをチャネル推定信号806B2として出力する。
【0088】
無線部803_Yは、アンテナ801_Yで受信された受信信号802_Yに対して、周波数変換、直交復調等の処理を施し、これにより得たベースバンド信号804_Yを、チャネル変動推定部807A1、807A2、807B1、807B2に出力する。
【0089】
チャネル変動推定部807A1は、ベースバンド信号804_Yに含まれる、変調信号(ストリーム)A1のパイロットシンボル群601A1(図8)を抽出し、これに基づいて式(39)のh21を推定し、これをチャネル推定信号808A1として出力する。
【0090】
チャネル変動推定部807A2は、ベースバンド信号804_Yに含まれる、変調信号(ストリーム)A2のパイロットシンボル群601A2(図8)を抽出し、これに基づいて式(39)のh22を推定し、これをチャネル推定信号808A2として出力する。
【0091】
チャネル変動推定部807B1は、ベースバンド信号804_Yに含まれる、変調信号(ストリーム)B1のパイロットシンボル群601B1(図8)を抽出し、これに基づいて式(39)のh23を推定し、これをチャネル推定信号808B1として出力する。
【0092】
チャネル変動推定部807B2は、ベースバンド信号804_Yに含まれる、変調信号(ストリーム)B2のパイロットシンボル群601B2(図8)を抽出し、これに基づいて式(39)のh24を推定し、これをチャネル推定信号808B2として出力する。
【0093】
信号処理部809は、ベースバンド信号804_X、804_Y、チャネル推定信号806A1、806A2、806B1、806B2、808A1、808A2、808B1、808B2を入力とし、検波及び復号を行うことで、受信データ810A、810Bを得る。
【0094】
次に、図11の信号処理部809について詳しく説明する。図12に、信号処理部809の構成例を示す。図12の信号処理部809は、INNNER MIMO検波部903と、soft-in/soft-outデコーダ911とを有する。INNNER MIMO検波部と、oft-in/soft-outデコーダとを用いて反復復号を行う方法については、例えば、非特許文献9、非特許文献10、非特許文献6で詳細に述べられている。図12の構成においても、これらの文献に示されている処理と同様の処理が施されることになるが、図12の信号処理部809においては、本発明の送信方法に対応するための独特の構成を有する。その点を含め、以下では、信号処理部809の詳細について説明する。
【0095】
図12の信号処理部809は、反復復号(反復検波)を行うために、図13に示すような処理を行う必要がある。信号処理部809は、初めに、変調信号(ストリーム)Aの1符号語(又は1フレーム)と、変調信号(ストリーム)Bの1符号語(又は1フレーム)を復号する。その結果、soft-in/soft-outデコーダ911A、911Bから、変調信号(ストリーム)Aの1符号語(又は1フレーム)と、変調信号(ストリーム)Bの1符号語(又は1フレーム)の各ビットの対数尤度比(LLR:Log-Likelihood Ratio)が得られる。次に、そのLLRを用いて再度、検波・復号が行われる。この操作が複数回行われる(この操作を反復復号(反復検波)と呼ぶ)。以降では、1フレームにおける特定の時間のシンボルの対数尤度比(LLR)の作成方法を中心に説明する。
【0096】
図12において、記憶部915は、ベースバンド信号901X(図11のベースバンド信号804_Xに相当する)、チャネル推定信号群902X(図11のチャネル推定信号806A1、806A2、806B1、806B2に相当する)、ベースバンド信号901Y(図11のベースバンド信号804_Yに相当する)、チャネル推定信号群902Y(図11のチャネル推定信号808A1、808A2、808B1、808B2に相当する)を入力とし、反復復号(反復検波)を実現するために、これらの入力信号を記憶する。記憶部915は、必要なときに、記憶した信号を、ベースバンド信号916X、チャネル推定信号群917X、ベースバンド信号916Y、チャネル推定信号群917Yとして出力する。
【0097】
その後の動作については、初期検波の場合と、反復復号(反復検波)の場合とに分けて説明する。
【0098】
<初期検波の場合>
INNER MIMO検波部903は、ベースバンド信号901X、チャネル推定信号群902X、ベースバンド信号901Y、チャネル推定信号群902Yを入力とする。ここでは、変調信号(ストリーム)A1、変調信号(ストリーム)A2、変調信号(ストリーム)B1、変調信号(ストリーム)B2の変調方式がQPSKの場合を例にとって説明する。
【0099】
INNER MIMO検波部903は、まず、チャネル推定信号群902Xから、候補信号点を求める。そのときの様子を、図14に示す。図14において、●は候補信号点を示す。変調方式がQPSKなので、候補信号点は256個存在する。ただし、図14は、イメージ図なので、256個の候補信号点全ては示していない。
【0100】
ここで、変調信号A1で伝送する2ビットをb0、b1、変調信号A2で伝送する2ビットをb2、b3、変調信号B1で伝送する2ビットをb4、b5、変調信号B2で伝送する2ビットをb6、b7とすると、図14において、(b0,b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7)に対応する候補信号点が存在することになる。
【0101】
INNER MIMO検波部903は、受信信号点1101(ベースバンド信号901Xに相当する)と候補信号点それぞれとの2乗ユークリッド距離を求める。そして、それぞれの2乗ユークリッド距離をノイズの分散σで除算する。つまり、(b0,b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7)に対応する候補信号点と受信信号点との2乗ユークリッド距離をノイズの分散で除算した値E(b0,b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7)を求める。
【0102】
同様に、INNER MIMO検波部903は、チャネル推定群902Yから候補信号点を求め、各候補信号点と受信信号点(ベースバンド信号901Yに相当する)との2乗ユークリッド距離を求め、この2乗ユークリッド距離をノイズの分散σで除算する。つまり、(b0,b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7)に対応する候補信号点と受信信号点との2乗ユークリッド距離をノイズの分散で除算した値E(b0,b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7)を求める。
【0103】
そして、INNER MIMO検波部903は、E(b0,b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7)+E(b0,b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7)=E(b0,b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7)を求める。INNER MIMO検波部903は、E(b0,b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7)を信号904として出力する。
【0104】
対数尤度算出部905A1は、信号904からビットb0、b1の対数尤度(log likelihood)を算出し、対数尤度信号906A1を出力する。ただし、対数尤度の算出では、“1”のときの対数尤度及び“0”のときの対数尤度が算出される。その算出方法は、式(28)、式(29)、式(30)に示した通りであり、その詳細については、例えば非特許文献6、非特許文献9、非特許文献10に示されている。
【0105】
同様に、対数尤度算出部905A2は、信号904からビットb2、b3の対数尤度を算出し、対数尤度信号906A2を出力する。同様に、対数尤度算出部905B1は、信号904からビットb4、b5の対数尤度を算出し、対数尤度信号906B1を出力する。同様に、対数尤度算出部905B2は、信号904からビットb6、b7の対数尤度を算出し、対数尤度信号906B2を出力する。
【0106】
デインターリーバ#1(907A1)は、対数尤度信号906A1を入力とし、この信号に対してインターリーバ#1(504A1)(図7)に対応するデインターリーブ処理を施し、デインターリーブ後の対数尤度信号908A1を出力する。同様に、デインターリーバ#2(907A2)は、対数尤度信号906A2を入力とし、この信号に対してインターリーバ#2(504A2)(図7)に対応するデインターリーブ処理を施し、デインターリーブ後の対数尤度信号908A2を出力する。
【0107】
同様に、デインターリーバ#3(907B1)は、対数尤度信号906B1を入力とし、この信号に対してインターリーバ#3(504B1)(図7)に対応するデインターリーブ処理を施し、デインターリーブ後の対数尤度信号908B1を出力する。同様に、デインターリーバ#4(907B2)は、対数尤度信号906B2を入力とし、この信号に対してインターリーバ#4(504B2)(図7)に対応するデインターリーブ処理を施し、デインターリーブ後の対数尤度信号908B2を出力する。
【0108】
対数尤度比算出部909Aは、デインターリーブ後の対数尤度信号908A1、908A2を入力とし、これらの信号に基づいて、図7の符号化部502Aで符号化されたビットの対数尤度比(LLR:Log-Likelihood Ratio)を算出し、対数尤度比信号910Aを出力する。同様に、対数尤度比算出部909Bは、デインターリーブ後の対数尤度信号908B1、908B2を入力とし、これらの信号に基づいて、図7の符号化部502Bで符号化されたビットの対数尤度比(LLR:Log-Likelihood Ratio)を算出し、対数尤度比信号910Bを出力する。
【0109】
Soft-in/soft-outデコーダ911Aは、対数尤度比信号910Aを入力とし、この信号を復号し、復号後の対数尤度比912Aを出力する。同様に、Soft-in/soft-outデコーダ911Bは、対数尤度比信号910Bを入力とし、この信号を復号し、復号後の対数尤度比912Bを出力する。
【0110】
<反復復号(反復検波)の場合、反復回数k>
インターリーバ#1(913A1)は、k−1回目のsoft-in/soft-outデコードで得られた復号後の対数尤度比912Aを入力し、これをインターリーブし、インターリーブ後の対数尤度比914A1を出力する。ここで、インターリーブ#1(913A1)のインターリーブのパターンは、図7のインターリーバ#1(504A1)のインターリーブパターンと同様である。
【0111】
インターリーバ#2(913A2)は、k−1回目のsoft-in/soft-outデコードで得られた復号後の対数尤度比912Aを入力し、これをインターリーブし、インターリーブ後の対数尤度比914A2を出力する。ここで、インターリーブ#2(913A2)のインターリーブのパターンは、図7のインターリーバ#2(504A2)のインターリーブパターンと同様である。
【0112】
インターリーバ#3(913B1)は、k−1回目のsoft-in/soft-outデコードで得られた復号後の対数尤度比912Bを入力し、これをインターリーブし、インターリーブ後の対数尤度比914B1を出力する。ここで、インターリーブ#3(913B1)のインターリーブのパターンは、図7のインターリーバ#3(504B1)のインターリーブパターンと同様である。
【0113】
インターリーバ#4(913B2)は、k−1回目のsoft-in/soft-outデコードで得られた復号後の対数尤度比912Bを入力し、これをインターリーブし、インターリーブ後の対数尤度比914B2を出力する。ここで、インターリーブ#4(913B2)のインターリーブのパターンは、図7のインターリーバ#4(504B2)のインターリーブパターンと同様である。
【0114】
INNER MIMO検波部903は、ベースバンド信号916X、916Y、チャネル推定信号群917X、917Y、インターリーブ後の対数尤度比914A1、914A2、914B1、914B2を入力とする。ここで、ベースバンド信号901X、901Y、チャネル推定信号群902X、902Yではなく、ベースバンド信号916X、916Y、チャネル推定信号群917X、917Yを用いているのは、反復復号のため、遅延時間が発生しているためである。
【0115】
INNER MIMO検波部903の反復復号時の動作が、初期検波時の動作と異なる点は、インターリーブ後の対数尤度比914A1、914A2、914B1、914B2を信号処理の際に用いていることである。
【0116】
INNNER MIMO検波部903は、まず、チャネル推定信号群902Xから、候補信号点を求め、初期検波のときと同様に、E(b0,b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7)を求める。加えて、INNNER MIMO検波部903は、インターリーブ後の対数尤度比914A1、914A2、914B1、914B2から、式(11−1)、式(32)に相当する係数を求める。そして、INNNER MIMO検波部903は、この求めた係数を用いてE(b0,b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7)の値を補正し、その値をE’(b0,b1,b2,b3,b4,b5,b6,b7)とし、これを信号904として出力する。
【0117】
対数尤度算出部905A1は、信号904からビットb0、b1の対数尤度(log likelihood)を算出し、対数尤度信号906A1を出力する。ただし、対数尤度の算出では、“1”のときの対数尤度及び“0”のときの対数尤度が算出される。その算出方法は、式(31)、式(32)、式(33)、式(34)、式(35)に示した通りであり、その詳細については、非特許文献6、非特許文献9、非特許文献10に示されている。
【0118】
同様に、対数尤度算出部905A2は、信号904からビットb2、b3の対数尤度を算出し、対数尤度信号906A2を出力する。同様に、対数尤度算出部905B1は、信号904からビットb4、b5の対数尤度を算出し、対数尤度信号906B1を出力する。同様に、対数尤度算出部905B2は、信号904からビットb6、b7の対数尤度を算出し、対数尤度信号906B2を出力する。
【0119】
デインターリーバ907A1、907A2、907B1、907B2以降の動作は、初期検波と同様である。
【0120】
ここで重要な点は、図12の対数尤度算出部909A、909Bは、2種類の信号を入力とし、対数尤度比を算出している点である。これにより、より大きいダイバーシチゲインを得ることができることになる。その詳細については、図15を用いて後述する。
【0121】
なお、図12は、図1、図2において、デインターリーバ112、212の直前、インターリーバ114、213の直前に配置している加算器に相当するブロックを記載していない。これは、加算器に相当する部分の処理を特別に実施するわけではないからである。ただし、図12は、図1、図2と同等の演算を行っている。
【0122】
図15は、図7の送信装置500の符号化部502A、502Bにおいて例えばLDPC符号化を用い、かつ、図12の信号処理部809を採用し、soft-in/soft-outデコーダ911A、911Bにおいてsum-product復号を行った場合のファクターグラフである。ただし、変調方式は、一例として、QPSK変調とする。
【0123】
図15において、チェックノードと変数(Variable)ノードが記載されていると同時に検波時のノード1201、1202、1203が記載されている。検波時のノード1201は時刻ispのときのノードであり、検波時のノード1202は時刻isqのときのノードであり、検波時のノード1203は時刻isrのときのノードである。
【0124】
図7の送信装置500において、インターリーバ#1、#2、#3、#4のインターリーブのパターンを異なるようにしているため、図5と同様に、時間(又は周波数)ダイバーシチと空間ダイバーシチゲインがsum-product復号に関する部分で向上する。
【0125】
加えて、図15の特徴は、変数(Variable)ノードから検波時のノードへのエッジが各変数(Variable)ノードにおいて2本存在するところである。例えば、変数(Variable)ノード1204において、図12のデインターリーブ後の対数尤度信号908A1に相当するエッジとデインターリーブ後の対数尤度信号908A2に相当するエッジが存在する。同様に、メッセージノード1205において、図12のデインターリーブ後の対数尤度信号908B1に相当するエッジとデインターリーブ後の対数尤度信号908B2に相当するエッジが存在する。
【0126】
図5の欠点として、“検波におけるダイバーシチゲインが向上するわけではない”ことをあげたが、図15では、複数の時刻の検波における影響受けるため、検波におけるダイバーシチゲインが向上する。例えば、変数(Variable)ノード1204は、時刻isp、isrの影響を受ける。したがって、図5の場合に比べ、図15ではダイバーシチゲインが向上するため、データの受信品質が向上することになる。
【0127】
次に、図7とは異なる送信装置の構成について詳しく説明する。
【0128】
図16は、図7と異なる送信装置の構成例である。図7との対応部分に同一符号を付して示す図16において、送信装置1300は、符号化部1302と、符号化部1302から出力される符号化データ1303を各インターリーバ504A1、504A2、504B1、504B2に分配する分配部1304とを有する。
【0129】
符号化部1301は、入力したデータ1301を符号化し、これにより得た符号化データ1303を分配部1304に出力する。
【0130】
分配部1304は、符号化データ1303を分配することで、変調信号(ストリーム)Aのデータ503Aをインターリーバ504A1、504A2に出力すると共に変調信号(ストリーム)Bのデータ503Bをインターリーバ504B1、504B2に出力する。
【0131】
分配部1304は、符号化データ1303として、例えばデータs1,s2,s3,s4,s5,・・・の順で入力された場合、これを変調信号(ストリーム)A用のデータ503Aと変調信号(ストリーム)B用のデータ503Bとに交互に割り当てる。よって、分配部1304は、データs1,s3,s5,・・・を変調信号(ストリーム)Aのデータ503Aとして出力し、データs2,s4,s6,・・・を変調信号(ストリーム)Bのデータ503Bとして出力する。ただし、データの割り当て方は、必ず交互である必要はなく、割り当て方は、どのような方法であってもよい。送信装置1300の以降の動作は、図7の送信装置500と同様である。
【0132】
図17は、図16の送信装置1300が送信した変調信号を受信するための受信装置の信号処理部の構成例を示している。すなわち、図11の信号処理部809として、図17の構成の信号処理部1400を採用すればよい。図17では、図12と同様に動作するものについては同一符号を付した。
【0133】
Soft-in/soft-outデコーダ1401は、対数尤度比信号910A、910Bを入力とし、図16の符号化部1302に対応する復号を行うことで、復号後の対数尤度比1402を得る。
【0134】
分配器1403は、復号後の対数尤度比1402を分配することで、変調信号(ストリーム)Aの復号後の対数尤度比1404Aをインターリーバ#1(913A1)、#2(913A2)に出力すると共に変調信号(ストリーム)Bの復号後の対数尤度比1404Bをインターリーバ#3(913B1)、#4(913B2)に出力する。
【0135】
ここでは、分配器1403には、s1,s2,s3,s4,s5,・・・の順で対数尤度比が入力され、分配部1403は、このうちs1,s3,s5,・・・の対数尤度比を変調信号(ストリーム)Aの復号後の対数尤度比1404Aとしてインターリーバ#1(913A1)、#2(913A2)に出力し、s2,s4,s6,・・・の対数尤度比を変調信号(ストリーム)Bの復号後の対数尤度比1404Bとしてインターリーバ#3(913B1)、#4(913B2)に出力する。その他の動作は、図12と同様である。
【0136】
このような、図16、図17を有するシステムにおいても、図7、図12を有するシステムと同様のファクターグラフを描くことができる。よって、図16、図17のような構成を採用した場合でも、図7、図12のような構成を採用した場合と同様に受信品質を改善することができる。つまり、符号化器の数は、本実施の形態では、大きな意味を持たず、同一の符号化データを異なるアンテナから複数回送信する点(例えば同一の符号化データ503Aがアンテナ510A1、510A2から送信されている)と、インターリーブの方法とが、本実施の形態では、受信品質を改善する上で重要である。
【0137】
なお、上述した例では、送信アンテナ数4、受信アンテナ数2の場合について説明したが、これに限ったものではない。そのときのシステムの構成方法について説明する。
【0138】
図18は、送信アンテナ数が2Mの場合の送信装置の構成例を示している。図18では、図7と同様に動作するものについては同一符号を付した。
【0139】
図18において、データは、データ#1、データ#2・・・データ#M(Mは2以上の整数)のM系統存在する。送信装置1500は、データ#1用送信部1501_1〜データ#M用送信部1501_Mの合計M個の送信部を有する。また、各送信部1501_1〜1501_Mは、それぞれ、入力された送信データを符号化する符号化部502A(502X)と、符号化部502A(502X)によって得られた符号化データ503A(503X)をそれぞれ異なるインターリーブパターンでインターリーブするN(Nは2以上の整数)個(図18の例ではN=2)のインターリーバ504A1、504A2(504X1、504X2)と、各インターリーバ504A1、504A2(504X1、504X2)によって得られた信号を送信するN個のアンテナ510A1、510A2(510X1、510X2)と、を有する。
【0140】
この構成により、送信装置1500においては、k(k=1,2………M)番目のデータ#kは、2種類の異なるインターリーブ処理が施され、2種類の変調信号として送信される。図18の例では、インターリーバは2M個存在することになるが、この2M個のインターリーバのインターリーブパターンを異なるようにしたことが、上述したように重要な点である。
【0141】
因みに、図18の構成を採用したとすると、図8のようなフレーム構成の信号を送信する場合には、チャネル変動を推定するためのパイロットシンボルは、各変調信号(2M個)に対して必要となる。
【0142】
受信装置の構成は、上述した図11、図12の構成と比較して、変調信号の増加分の構成要素を追加すればよい。ただし、信号処理部809での信号処理方法は、基本的には、図12の方法と同様である。
【0143】
次に、一般化したときの送信装置の構成を、図19に示す。図19では、図7と同様に動作するものについては同一符号を付した。
【0144】
図19において、データは、データ#1、データ#2・・・データ#MのM系統存在する。各送信部1601_1〜1601_Mは、それぞれ、インターリーブパターンが異なるN個のインターリーバ504A1〜504AN(504X1〜504XN)を有する。この構成により、送信装置1600においては、k(k=1,2………M)番目のデータ#kは、N種類の異なるインターリーブ処理が施され、N種類の変調信号として送信されることになる(N個のエッジを得ることができる)。インターリーバはNM個存在することになるが、このNM個のインターリーバのインターリーブパターンを異なるようにしたことが、上述したように重要な点である。
【0145】
因みに、図19の構成を採用したとすると、図8のようなフレーム構成の信号を送信する場合には、チャネル変動を推定するためのパイロットシンボルは、各変調信号(NM個)に対して必要となる。
【0146】
受信装置の構成は、上述した図11、図12の構成と比較して、変調信号の増加分の構成要素を追加すればよい。ただし、信号処理部809での信号処理方法は、基本的には、図12の方法と同様である。
【0147】
なお、図18及び図19では、各送信部1501_1〜1501_M(1601_1〜1601_M)毎に1個の符号化部502を設けた構成(すなわち合計M個の符号化部502を設けた構成)を説明したが、これに限ったものではなく、M個の符号化部を1個の符号化器と分配器で構成しても同様に実施することができ、同様の効果を得ることができる。また、M個より少ない符号化器と、複数の分配器とを設け、符号化後のデータを各送信部1501_1〜1501_M(1601_1〜1601_M)のインターリーバに供給しても同様に実施することができる。上述したが、符号化器の数は本実施の形態には影響せず、符号化器の数によらず同様の効果を得ることが可能である。
【0148】
また、本実施の形態では、各送信部1501_1〜1501_M(1601_1〜1601_M)が全て、同一の送信データから得られた符号化データをそれぞれ異なるインターリーブパターンでインターリーブするN(Nは2以上の整数)個のインターリーバと、各インターリーバによって得られた信号を送信するN個のアンテナと、を有する場合について述べたが、必ずしも、各送信部1501_1〜1501_M(1601_1〜1601_M)の全てが上記構成を有する必要はない。各送信部1501_1〜1501_M(1601_1〜1601_M)のうち少なくとも一つが上記構成を有すれば、ある程度の効果を得ることができる。
【0149】
以上説明したように、本実施の形態の送信装置は、M(Mは2以上の整数)系統の符号化データをそれぞれ、インターリーブし、マッピングして複数のアンテナから送信するM個の送信部を有し、前記M個の送信部のうち少なくとも一つは、同一の送信データから得られた符号化データをそれぞれ異なるインターリーブパターンでインターリーブするN(Nは2以上の整数)個のインターリーバと、各インターリーバによって得られた信号を送信するN個のアンテナと、を具備する構成を採る。これにより、時間・周波数・空間におけるダイバーシチゲインを向上させ、受信装置側でソフト値を用いた反復検波を行う場合に、受信品質を向上させることができる送信装置を実現できる。
【0150】
また、本実施の形態で提示した送信方法は、第k(1<k<M:M>2)の符号化後のデータを複数の系統に分配し、第n(2<n<N:N>2)の分配されたデータは第nのインターリーブを施し、マッピングされた変調信号を第nのアンテナから送信し(n>2)、前記N個のインターリーブパターンが異なるようにする方法である。これにより、時間・周波数・空間におけるダイバーシチゲインを向上させ、受信装置側でソフト値を用いた反復検波を行う場合に、受信品質を向上させることができる送信方法を実現できる。
【0151】
なお、本実施の形態においては、主に、受信装置のアンテナ数が2本の場合について説明したが、受信装置のアンテナ数が増えても、同様に実施することができる。つまり、受信装置のアンテナ数は、本実施の形態の本質的な動作及び効果に影響を与えるものではない。
【0152】
また、本実施の形態では、主にLDPC符号を例に説明したが、これに限ったものではない。また、soft-in/soft-outデコーダによってsum-product復号を行う場合を例に説明したが、これに限ったものではなく、例えば、BCJRアルゴリズム、SOVAアルゴリズム、Msx−log−MAPアルゴリズム等の他のsoft-in/soft-outの復号方法を用いてもよい。これらの復号方法の詳細については、非特許文献11等に示されている。
【0153】
また、本実施の形態では、シングルキャリア方式を例に説明したが、これに限ったものではなく、マルチキャリア方式にも同様に適用できる。また、本実施の形態の送信装置及び方法は、例えば、スペクトル拡散通信方式、OFDM方式、SC−FDMA(Single carrier Frequency Division Multiple Access)等に適用することができる。
【0154】
また、データシンボル以外のシンボル、例えば、パイロットシンボル(プリアンブル、ユニークワード等)や制御情報用のシンボルは、フレーム中にどのように配置されていても実施可能である。これは、後述する実施の形態についても同様である。
【0155】
因みに、本実施の形態の送信装置及び送信方法は、非特許文献12に記載された送信方法と比較した場合、複素共役を行う必要がないことや、インターリーバに相当する処理の挿入位置が異なる等の違いがある。これにより、非特許文献12に記載された送信方法と比較して、本実施の形態の送信装置及び送信方法は、例えば、3回送信、4回送信に容易に対応できるといった利点がある。
【0156】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明をマルチキャリア方式に適用した場合の一例として、OFDM方式に適用した場合について説明する。実施の形態1では、一般化を含めた送信方法、送信装置、受信方法、受信装置について説明したが、ここでは、説明を簡単化するために、図7、図11、図12の構成をOFDM方式に変更した例を説明する。当然であるが、実施の形態1で説明した一般化した構成をOFDM方式に変更して実施することもできる。
【0157】
図7との対応部分に同一符号を付して示す図20は、本実施の形態における送信装置の構成例である。送信装置1700のマッピング部506A1、506A2は、それぞれ、ベースバンド信号507A1、507A2をシリアルパラレル変換部(S/P)1701A1、1701A2に出力する。また、マッピング部506B1、506B2は、それぞれ、ベースバンド信号507B1、507B2をシリアルパラレル変換部(S/P)1701B1、1701B2に出力する。
【0158】
シリアルパラレル変換部1701A1、1701A2は、それぞれ、ベースバンド信号507A1、507A2をシリアルパラレル変換し、パラレル信号1702A1、1702A2を逆フーリエ変換部(IFFT)1703A1、1703A2に出力する。
【0159】
フーリエ変換部1703A1、1703A2は、それぞれ、パラレル信号1702A1、1702A2を逆フーリエ変換し、逆フーリエ変換後の信号1704A1、1704A2を無線部1705A1、1705A2に出力する。
【0160】
無線部1705A1、1705A2は、それぞれ、逆フーリエ変換後の信号1704A1、1704A2に対して、周波数変換等の処理を施し、これにより得た送信信号1706A1、1706A2をアンテナ1707A1、1707A2に出力する。
【0161】
シリアルパラレル変換部(S/P)1701B1、1701B2、逆フーリエ変換部(IFFT)1703B1、1703B2、無線部1705B1、1705B2の動作は、シリアルパラレル変換部(S/P)1701A1、1701A2、逆フーリエ変換部(IFFT)1703A1、1703A2、無線部1705A1、1705A2の動作と同様なので、その説明は省略する。
【0162】
図21は、送信装置1700の送信フレーム構成例を示している。横軸は時間、縦軸は周波数である。図21において、図8と同様のものについては同一符号を付した。図21が図8と異なる点は、サブキャリアが存在するため、周波数軸方向にもシンボルが存在する点である。図21の場合、同一サブキャリア番号のシンボルは異なるアンテナから同一周波数で同一時刻に送信される。
【0163】
図11との対応部分に同一符号を付して示す図22に、本実施の形態における受信装置の構成例を示す。受信装置1900は、送信装置1700から送信された信号を、アンテナ1901_X、1901_Yによって受信する。
【0164】
無線部1903_Xは、アンテナ1901_Xで受信された受信信号1902_Xに対して、周波数変換等の処理を施し、これにより得たベースバンド信号1904_Xをフーリエ変換及びパラレルシリアル変換部(FFT・P/S変換部)1905_Xに出力する。フーリエ変換及びパラレルシリアル変換部1905_Xは、ベースバンド信号1904_Xをフーリエ変換した後にパラレルシリアル変換し、これにより得たシリアル信号804_Xを出力する。
【0165】
無線部1903_Y、フーリエ変換及びパラレルシリアル変換部(FFT・P/S変換部)1905_Yは、上述した無線部1903_X、フーリエ変換及びパラレルシリアル変換部(FFT・P/S変換部)1905_Xと同様の処理を行う。また、FFT・P/S変換部1905_X、1905_Y以降の回路は、実施の形態1で説明したのと同様の処理を行う。
【0166】
これにより、実施の形態1で述べた処理を、OFDM方式でも同様に実施することができる。
【0167】
次に、図20の送信装置1700、図22の受信装置1900と異なる送受信装置の構成例について説明する。
【0168】
図7及び図20との対応部分に同一符号を付して示す図23に、送信装置の他の構成例を示す。以降では、図23において、図7、図20と異なる部分について説明を行う。
【0169】
図23の送信装置2000においては、インターリーバ504A1、504A2、504B1、504B2のインターリーブパターンがすべて同一のとされている。つまり、インターリーバ504A1、504A2、504B1、504B2を、すべて同一のインターリーバ#1により構成する。
【0170】
加えて、送信装置2000は、並べ替え部#1〜#4(2001A1、2001A2、2001B1、2001B2)を有する。並べ替え部#1(2001A1)は、パラレル信号1702A1を入力とし、並べ替えを行い、並べ替え後のパラレル信号2002A1を出力する。並べ替え部#2〜#4(2001A2、2001B1、2001B2)も同様に、パラレル信号1702A2、1702B1、1702B2を入力とし、並べ替えを行い、並べ替え後のパラレル信号2002A2、2002B1、2002B2を出力する。
【0171】
ここで、並べ替え部#1(2001A1)、並べ替え部#2(2001A2)、並べ替え部#3(2001B1)、並べ替え部#4(2001B2)の並べ替え方法は、すべて異なる。
【0172】
図24は、並べ替え方法の一例を示している。図24(a)は、並べ替えを行う前のパラレル信号の周波数軸におけるデータの配置を示している。図中の1つの□は1サブキャリアを示している。#1、#2、#3は、データシンボルを識別するために付した符号である。
【0173】
並べ替え部#1(2001A1)は、図24(a)の順番のシンボルを、図24(b)の順番に並べ替える。並べ替え部#2(2001A2)は、図24(a)の順番のシンボルを、図21(c)の順番に並べ替える。並べ替え部#3(2001B1)は、図24(a)の順番のシンボルを、図24(d)の順番に並べ替える。並べ替え部#4(2001B2)は、図24(a)の順番のシンボルを、図24(e)の順番に並べ替える。
【0174】
送信装置2000から送信された信号を受信する受信装置は、図22に示したのと同様に構成すればよい。ただし、信号処理部809に設けられるデインターリーバ907A1、907A2、907B1、907B2(図12)及びインターリーバ913A1、913A2、913B1、913B2(図12)のインターリーブパターンを、図23のインターリーバと並べ替え部とによるデータの順番の入れ替えに対応したものとする必要がある。
【0175】
以上のように、本実施の形態の送信装置及び送信方法によれば、マルチキャリア方式の送信装置及び送信方法においても、実施の形態1と同様に、時間・周波数・空間におけるダイバーシチゲインを向上させ、受信装置側でソフト値を用いた反復検波を行う場合に、受信品質を向上させることができる送信装置及び送信方法を実現できる。
【0176】
なお、本実施の形態においては、送信アンテナ数4、受信アンテナ数2の場合について説明したが、これに限ったものではなく、実施の形態1で説明した一般化した構成及び方法についても、本実施の形態のOFDM化の手法を展開できる。
【0177】
また、実施の形態1でも説明したように、符号化部の数は、本実施の形態では、大きな意味を持たず、同一の符号化データを異なるアンテナから複数回送信する点と、インターリーブの方法とが、本実施の形態では、受信品質を改善する上で重要である。
【0178】
(実施の形態3)
実施の形態1、2では、インターリーバを用いてダイバーシチゲインを向上させる送信方法、送信装置、受信方法、受信装置の説明をしたが、本実施の形態では、同様の効果を得るための異なる方法及び装置について説明する。
【0179】
図7との対応部分に同一符号を付して示す図25に、本実施の形態における送信装置の構成例を示す。送信装置2200は、記憶部2201A、2201Bを有する。
【0180】
記憶部2201Aは、符号化データ503Aを一時記憶し、ある時間に、記憶されたデータ2202Aを出力する。同様に、記憶部2201Bは、符号化データ503Bを一時記憶し、ある時間に、記憶されたデータ2202Bを出力する。
【0181】
図26は、送信装置2200から送信される時間軸における送信フレーム構成例を示している。図を簡単化するために、図26では、パイロットシンボルや制御シンボルは、省略している。図8と同様に、同一時刻のシンボルは、同一周波数を用いて、異なるアンテナから送信される。図26において、“データ群”とは、複数のビットで構成され、反復復号(反復検波)を行うデータの単位(纏まり)を示す。
【0182】
図26では、図25の変調信号(ストリーム)A1のフレーム構成(つまりアンテナ510A1から送信する信号のフレーム構成)と、図25の変調信号(ストリーム)A2のフレーム構成(つまりアンテナ510A2から送信する信号のフレーム構成)と、図25の変調信号(ストリーム)B1のフレーム構成(つまりアンテナ510B1から送信する信号のフレーム構成)と、図25の変調信号(ストリーム)B2のフレーム構成(つまりアンテナ510B2から送信する信号のフレーム構成)とが示されている。
【0183】
参照符号2301Aは、データA群のi−1番目のデータ群を示しており、変調信号(ストリーム)A1、変調信号(ストリーム)A2において、異なる時間に送信される。同様に、参照符号2302Aは、データA群のi番目のデータ群を示しており、変調信号(ストリーム)A1、変調信号(ストリーム)A2において、異なる時間に送信される。同様に、参照符号2303Aは、データA群のi+1番目のデータ群を示しており、変調信号(ストリーム)A1、変調信号(ストリーム)A2において、異なる時間に送信される。参照符号2304Aは、データA群のi+2番目のデータ群を示しており、変調信号(ストリーム)A1、変調信号(ストリーム)A2において、異なる時間に送信される。
【0184】
参照符号2301Bは、データB群のi−1番目のデータ群を示しており、変調信号(ストリーム)B1、変調信号(ストリーム)B2において、異なる時間に送信される。同様に、参照符号2302Bは、データA群のi番目のデータ群を示しており、変調信号(ストリーム)B1、変調信号(ストリーム)B2において、異なる時間に送信される。同様に、参照符号2303Bは、データB群のi+1番目のデータ群を示しており、変調信号(ストリーム)B1、変調信号(ストリーム)B2において、異なる時間に送信される。同様に、参照符号2304Bは、データB群のi+2番目のデータ群を示しており、変調信号(ストリーム)B1、変調信号(ストリーム)B2において、異なる時間に送信される。
【0185】
図25の送信装置2200は、インターリーバ#1(504A1)、インターリーバ#2(504A2)、インターリーバ#3(504B1)、インターリーバ#4(504B2)のインターリーブパターンがすべて異なるようになっている。これにより、受信装置において、実施の形態1と同様にダイバーシチゲインが向上するため、受信品質が向上する。
【0186】
ただし、すべてのインターリーブパターンが異なる場合とは別に、以下のような構成でも同様の効果を得ることができる。その構成とは、次の<1>の条件及び<2>の条件を満たす構成である。
【0187】
<1>インターリーバ#1のインターリーブのパターンとインターリーバ#3のインターリーブのパターンとが異なる。
【0188】
<2>インターリーバ#1のインターリーブのパターンとインターリーバ#2のインターリーブのパターンとが同一であり、かつ、インターリーバ#3のインターリーブパターンとインターリーバ#4のインターリーブのパターンとが同一である。
【0189】
<1>の条件が必要な理由は、実施の形態1で説明したように、図4、図5のファクターグラフの違いから明らかである。
【0190】
また、<2>の条件であっても(すなわち同一のインターリーブパターンのインターリーバが存在しても)、図26のフレーム構成のように、同一データ群を異なる時間で送信すれば、図15のようなファクターグラフを描くことができる。したがって、実施の形態1と同様にダイバーシチゲインが向上するため、受信品質が向上する。また、<2>のように実施すると、インターリーバを共用化することができるので、演算規模及び回路規模を削減できる。
【0191】
なお、図25の例では、インターリーバ504の前段に記憶部2201を設けることで、各インターリーバ504に入力される符号化データ間に時間差を付与ようにしたが、インターリーバ504の後段に記憶部を設けることで、各インターリーバ504から出力されるインターリーブされた各符号化データ間に時間差を付与するようにしてもよい。
【0192】
本実施の形態のようにして送信された信号を受信する受信装置の構成は、基本的には、実施の形態1で説明した、図11、図12のようにすればよい。ただし、図13と同様の動作を可能するためには、図26に示すシンボルをすべて受信完了後、図13と同様の反復動作を行う必要がある。
【0193】
以上のように実施することで、実施の形態1と同様に、ダイバーシチゲインが向上するため、受信品質が向上する。
【0194】
なお、本実施の形態において、送信アンテナ数4、受信アンテナ数2の場合について説明したが、これに限ったものではなく、実施の形態1で説明した一般化した構成及び方法についても、本実施の形態の手法を展開できる。
【0195】
また、受信装置のアンテナ数が2本の場合について説明したが、受信装置のアンテナ数が増えても、同様に実施することができる。つまり、受信装置のアンテナ数は、本実施の形態の本質的な動作及び効果に影響を与えるものではない。
【0196】
また、実施の形態1でも説明したように、符号化部の数は、本実施の形態では、大きな意味を持たず、同一の符号化データを異なるアンテナから複数回送信する点と、インターリーブの方法とが、本実施の形態では、受信品質を改善する上で重要である。
【0197】
また、本実施の形態では、シングルキャリア方式を例に説明したが、これに限ったものではなく、マルチキャリア方式にも同様に適用できる。また、本実施の形態の送信装置及び方法は、例えば、スペクトル拡散通信方式、OFDM方式、SC−FDMA(Single carrier Frequency Division Multiple Access)等に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0198】
本発明は、複数のアンテナからそれぞれ異なる変調信号を送信する無線システムに広く適用でき、例えばOFDM−MIMO通信システムに適用して好適である。
【図面の簡単な説明】
【0199】
【図1】N×N空間多重MIMOシステムの構成を示し、図1Aは送信装置の概略構成を示し、図1Bは受信装置の概略構成を示す図
【図2】実施の形態1のシステムモデルを示す図であり、図2Aは送信装置の概略構成を示し、図2Bは受信装置の概略構成を示す図
【図3】インターリーブ後のシンボルの順番の説明に供する図
【図4】ストリームA、ストリームBのインターリーブパターンが同一の場合のファクターグラフ
【図5】ストリームA、ストリームBのインターリーブパターンが異なる場合のファクターグラフ
【図6】シングルアンテナから複数のストリームの信号を送信する送信装置の構成例を示すブロック図
【図7】実施の形態1の送信装置の構成例を示すブロック図
【図8】実施の形態1における送信信号のフレーム構成例を示す図
【図9】MIMO通信システムにおける送受信アンテナ間の関係の説明に供する図
【図10】実施の形態1における符号化部とインターリーバの詳細動作の説明に供するブロック図
【図11】実施の形態1の受信装置の構成例を示すブロック図
【図12】受信装置において検波及び復号を行う信号処理部の構成例を示すブロック図
【図13】反復復号(反復検波)の説明に供する図
【図14】候補信号点と受信信号点との関係を示す図
【図15】実施の形態1の構成によって得られるファクターグラフ
【図16】実施の形態1の送信装置の構成例を示すブロック図
【図17】受信装置において検波及び復号を行う信号処理部の構成例を示すブロック図
【図18】実施の形態1の送信装置の構成例を示すブロック図
【図19】実施の形態1の送信装置の構成例を示すブロック図
【図20】実施の形態2の送信装置の構成例を示すブロック図
【図21】実施の形態2における送信信号のフレーム構成例を示す図
【図22】実施の形態2の受信装置の構成例を示すブロック図
【図23】実施の形態2の送信装置の構成例を示すブロック図
【図24】実施の形態2における周波数軸方向でのシンボル並べ替え例を示す図
【図25】実施の形態3の送信装置の構成例を示すブロック図
【図26】実施の形態3における送信信号のフレーム構成例を示す図
【符号の説明】
【0200】
101、201_1、201_2、502A、502B、1302 符号化部
102、202_1、202_2、213_1、213_2、504A1、504A2、504B1、504B2、913A1、913A2、913B1、913B2 インターリーバ
112、212_1、212_2、907A1、907A2、907B1、907B2 デインターリーバ
113、214_1、214_2、911A、911B outer soft-in/soft-out decoder
500、1300、1500、1600、1700、2000、2200 送信装置
800、1900 受信装置
809、1400 信号処理部
1304、1403 分配部
1501_1〜1501_M、1601_1〜1601_M 送信部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
M(Mは2以上の整数)系統の符号化データをそれぞれ、インターリーブし、マッピングしてアンテナから送信するM個の送信部を有し、
前記M個の送信部の少なくとも一つは、
同一の送信データから得られた符号化データをそれぞれ異なるインターリーブパターンでインターリーブするN(Nは2以上の整数)個のインターリーバと、
各インターリーバによって得られた信号を送信するN個のアンテナと、
を具備するマルチアンテナ送信装置。
【請求項2】
さらに、前記M個の送信部間のインターリーブパターンが異なる
請求項1に記載のマルチアンテナ送信装置。
【請求項3】
M(Mは2以上の整数)系統の符号化データをそれぞれ、インターリーブし、マッピングして複数のアンテナから送信するM個の送信部を有し、
前記M個の送信部は、それぞれ、
同一の送信データから得られた符号化データをそれぞれ異なるインターリーブパターンでインターリーブする複数のインターリーバと、
前記インターリーバの数に対応した数だけ設けられ、各インターリーバによって得られた信号を送信する複数のアンテナと、
を具備するマルチアンテナ送信装置。
【請求項4】
さらに、前記M個の送信部間のインターリーブパターンが異なる
請求項3に記載のマルチアンテナ送信装置。
【請求項5】
M(Mは2以上の整数)系統の符号化データをそれぞれ、インターリーブし、マッピングしてアンテナから送信するM個の送信部を有し、
前記M個の送信部は、それぞれ、
同一の送信データから得られた符号化データを同一のインターリーブパターンでインターリーブする複数のインターリーバと、
前記各インターリーバに入力される前記符号化データ間、又は前記各インターリーバから出力されるインターリーブされた各符号化データ間に時間差を付与する手段と、
前記インターリーバの数に対応した数だけ設けられ、前記時間差が付与された複数系統のインターリーブ後の信号を送信するアンテナと、
を具備し、
前記M個の送信部間のインターリーブパターンが異なる
マルチアンテナ送信装置。
【請求項6】
第k(1≦k≦M:M≧2)の符号化後のデータを複数の系統に分配し、第n(2≦n≦N:N≧2)の分配されたデータは第nのインターリーブを施し、マッピングされた変調信号を第nのアンテナから送信し(n≧2)、前記N個のインターリーブパターンが異なる
マルチアンテナ送信方法。
【請求項7】
第k(1≦k≦M:M≧2)の符号化後のデータを複数の系統に分配し、第n(2≦n≦N:N≧2)の分配されたデータは第nのインターリーブを施し、マッピングされた変調信号を第nのアンテナから送信し(n≧2)、前記MN個のインターリーブパターンが異なる
マルチアンテナ送信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2009−16963(P2009−16963A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173470(P2007−173470)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】