マルチスクリーンのためのプラズマディスプレイパネル及びその製造方法
複数の単位プラズマディスプレイパネルが接合されてなるマルチPDPにおいて、上記単位プラズマディスプレイパネルは、順次積層されて貼り合わされた前面基板及び背面基板と、上記前面基板及び背面基板の側面に備えられた封止剤と、上記封止剤上に形成された側面電極と、上記背面基板の背面及び上記前面基板と背面基板の側面に沿って備えられた機能層と、を含んでなることを特徴とするマルチPDPが提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチプラズマディスプレイパネル(PDP)及びその製造方法に係り、より詳しくは、シーム領域を最小化することで画面の連続性を安定して確保できるマルチPDP及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置は大型化しつつあり、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel;PDP)も例外ではない。しかしながら、一枚のガラス基板でプラズマディスプレイパネルの大きさを増大させるには限界がある。このことから、近年、所定大きさのプラズマディスプレイパネル同士を連続して接合してなるマルチプラズマディスプレイパネル(multi Plasma Display Panel;マルチPDP)が登場している。
【0003】
このようなマルチPDPは、ディスプレイ面積を拡張させる効果のほか、各プラズマディスプレイパネルを独立して制御することで、相互に別の画面をディスプレイさせることができるという長所がある。
【0004】
しかしながら、マルチPDPは、幾つかのプラズマディスプレイパネルを組み合わせてなるものであることから、パネルとパネル間の接合部、いわゆるシーム(seam)領域には画像が形成されず、画面の連続性が落ちるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、シーム領域を最小化することで画面の連続性を安定して確保できるマルチPDP及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明によるマルチPDPは、複数の単位プラズマディスプレイパネルが接合されてなるマルチPDPにおいて、上記単位プラズマディスプレイパネルは、順次積層されて貼り合わされた前面基板及び背面基板と、上記前面基板及び背面基板の側面に備えられた封止剤と、上記封止剤上に形成された側面電極と、上記背面基板の背面及び上記前面基板と背面基板の側面に沿って備えられた機能層と、を含んでなることを特徴とする。
【0007】
本発明によるマルチPDPの製造方法は、複数の単位プラズマディスプレイパネルを製造し、各単位プラズマディスプレイパネルを接合してマルチPDPを製造するマルチPDPの製造方法において、上記単位プラズマディスプレイパネルを製造する過程は、前面基板と背面基板を積層して貼り合わせ、上記前面基板及び背面基板の側面に封止剤を形成するステップと、上記封止剤を研磨するステップと、上記封止剤上に側面電極を形成するステップと、上記背面基板の背面及び上記前面基板と背面基板の側端面に沿って防湿層を形成するステップと、上記防湿層上に絶縁層を形成するステップと、上記絶縁層上にEMI遮断層を形成するステップ、及び上記EMI遮断層上に保護層を形成するステップと、を含んでなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の特徴によれば、封止剤を研磨し、機能層の構成を簡素化することでマルチPDPにおけるシーム領域を最小化することができるようになり、画面の連続性を安定して確保できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態によるマルチPDPの斜視図である。
【図2】図1のA―A’線に沿う単位プラズマディスプレイパネルの断面図である。
【図3】図1のB―B’線に沿う単位プラズマディスプレイパネルの断面図である。
【図4】本発明の一実施形態によるマルチPDPの製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態によるPDPの製造方法を説明するための工程断面図である。
【図6】本発明の一実施形態によるPDPの製造方法を説明するための工程断面図である。
【図7】本発明の一実施形態によるPDPの製造方法を説明するための工程断面図である。
【図8】本発明の一実施形態によるPDPの製造方法を説明するための工程断面図である。
【図9】本発明の一実施形態によるPDPの製造方法を説明するための工程断面図である。
【図10】本発明の一実施形態によるPDPの製造方法を説明するための工程断面図である。
【図11】本発明の一実施形態によるPDPの製造方法を説明するための工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態によるマルチPDP及びその製造方法を詳しく説明することにする。
図1は、本発明の一実施形態によるマルチPDPの斜視図であり、図2及び3は、図1のA−A’線及びB―B’線に沿う単位プラズマディスプレイパネルの断面図である。
【0011】
先ず、図1に示したように、本発明の一実施形態によるマルチPDP100は、複数の単位プラズマディスプレイパネル200が接合されてなり、複数の単位プラズマディスプレイパネル200が接合されることで接合部位には画像が形成されないシーム領域Sが存在する。
【0012】
一方、上記単位プラズマディスプレイパネル200の構成をみると、図2及び3に示したように基本的に前面基板210と背面基板220とが順次積層されて貼り合わされた構造を有する。
【0013】
図面には図示されていないが、前処理工程により、上記前面基板210上には、走査電極、維持電極、誘電体膜及び保護膜などが形成され、上記背面基板220上には、アドレス電極、誘電体膜、隔壁及び蛍光体などが形成される。図2において、上記前面基板210に内部前面電極211が備えられ、上記前面基板210の側面には第1の側面前面電極212が備えられることが示されているが、上記内部前面電極211、外部前面電極221及び第1の側面前面電極212は、上記走査電極、維持電極のいずれかであって同じ機能を持つ電極である。また、上記前面基板210の前面上には、光学フィルム230がさらに備えられる。
【0014】
参考として、上記背面基板220の背面上には、外部誘電体膜222がさらに備えられてよい。
上記貼り合わされた前面基板210及び背面基板220の側面には、上記前面基板210と背面基板220との間の内部空間を外部環境と隔離させる封止剤201が備えられる。また、上記封止剤201上には、上記内部前面電極211、外部前面電極221及び第1の側面前面電極212と同じ機能を持つ第2の側面前面電極202が備えられる。
【0015】
上記前面基板210と背面基板220とが貼り合わされ、上記前面基板210及び背面基板220の側面に封止剤201及び第2の側面前面電極202が備えられた状態で、上記露出した外部前面電極221、第2の側面前面電極202を保護し、上記前面基板210と背面基板220の積層され貼り合わされた状態を外部の物理的環境から安定して保持するために上記背面基板220の背面及び上記前面基板210と背面基板220の側面に沿って機能層が備えられる。
【0016】
上記機能層は、細部的に防湿層240、絶縁層250、EMI(electromagnetic interference)遮断層260及び保護層270から構成される。上記防湿層240は、上記背面基板220の背面及び上記前面基板210と背面基板220の側面に沿って備えられ、上記外部前面電極221及び第2の側面前面電極202(いわば、維持電極、バス電極、アドレス電極)を保護する役割とともに吸湿によって上記第2の側面前面電極202が拡散(migration)することを抑制し、上記第2の側面前面電極202と上記EMI遮断層260が短絡することを防止する役割を担う。このような防湿層240は、アクリル、ウレタン、エポキシのいずれかの物質又はこれらの混合物質からなってよい。
【0017】
上記絶縁層250は、上記防湿層240上に備えられ、上記外部前面電極221及び第2の側面前面電極202が上記EMI遮断層260と電気的に短絡することを防止する役割を担う。
【0018】
上記EMI遮断層260は、上記絶縁層250上に備えられ、上記前面基板210と背面基板220の側面、上記背面基板220の背面から生じる電磁気干渉(electromagnetic interference)現象を遮断する役割を担うものであって、電気伝導度の高い金属物質からなることが望ましい。上記EMI遮断層260に使用される金属物質としては、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、金(Au)、アルミニウム(Al)のいずれかの物質又はこれらの混合物質を使用すればよい。
【0019】
最後に、上記保護層270は、上記EMI遮断層260上に形成され、基本的に上記前面基板210及び背面基板220を含んだ単位プラズマディスプレイパネルを外部の物理的衝撃から保護する役割と、上記EMI遮断層260を外部と電気的に絶縁させる役割を担う。上記保護層270は、上記防湿層240と同じ物質または異なる物質からなってよく、具体的にアクリル、ウレタン、エポキシのいずれかの物質又はこれらの混合物質からなってよい。
【0020】
前述した図2の構成は、前面基板210に形成される内部前面電極211、すなわち走査電極と維持電極の外部への引き出しを示したものであり、図3は、背面基板220に形成される内部背面電極211a、すなわちアドレス電極の引き出しを示した図であって、内部背面電極211aが内部前面電極211とは異なって、背面基板220の側面に沿って形成される側面背面電極212aを介して外部背面電極221aが形成されることを示している。図3の構成は、内部背面電極211aが側面背面電極212aと外部背面電極221aを介して外部に引き出されることを除くと図2の構成と同じであるため、その詳細な説明は省略する。参考として、上記第1及び第2の側面前面電極及び図3に示された側面背面電極は、上記前面基板及び背面基板の側面に備えられる側面電極を細分化したものである。
【0021】
以上、本発明の一実施形態によるマルチPDPの構成について説明した。以下では、本発明の一実施形態によるマルチPDPの製造方法について説明することにする。図4は、本発明の一実施形態によるマルチPDPの製造方法を説明するためのフローチャートであり、図5ないし図11は、本発明の一実施形態によるPDPの製造方法を説明するための工程断面図であって、前面電極(走査電極及び維持電極)の形成方法を基準に示している。
【0022】
先ず、図4及び図5に示したように前処理工程が完了した状態(S401)で、上記前面基板210と背面基板220を積層して貼り合わせ(S402)、上記前面基板210及び背面基板220の側面に封止剤201を形成する。ここで、上記前処理工程により前述したように、上記前面基板210上には走査電極、維持電極、誘電体膜及び保護膜などが形成される。図5において、上記前面基板210に内部前面電極211が備えられ、上記前面基板210の側面には第1の側面前面電極212が備えられることを示しているが、上記内部前面電極211、外部前面電極221及び第1の側面前面電極212は、上記走査電極、維持電極のいずれかであって同じ機能を持つ電極である。参考として、上記背面基板220の背面上には、外部誘電体膜222がさらに備えられてよい。
【0023】
上記前面基板210及び背面基板220の側面上に封止剤201を塗布した後、上記封止剤201を研磨する過程を施す(S403)。上記封止剤201の研磨過程により封止剤201の厚みを減らすことができ、究極的にシーム領域を縮小する効果が得られる。
【0024】
上記封止剤201の研磨が完了した状態で、該研磨された封止剤201上に第2の側面前面電極202を形成する(S404)。上記第2の側面前面電極202は、前述したように内部前面電極211、外部前面電極221及び第1の側面前面電極212と同じ電極であって上記走査電極、維持電極のいずれかである。
【0025】
次いで、上記前面基板210の全面上に光学フィルム230を塗布する(S405)。引き続き、上記背面基板220の背面及び上記前面基板210と背面基板220の側面に沿って防湿層240を形成する(S406)。上記防湿層240は、具体的にディッピング(dipping)法、ディスペンシング(dispensing)法、スプレー(spray)法のいずれか又はこれらの組み合わせによって上記防湿層240物質を塗布した後、紫外線の照射、熱処理、自然乾燥のいずれか又はこれらの組み合わせによって硬化させて防湿層240を形成することができる。ここで、上記防湿層240物質は、アクリル、ウレタン、エポキシのいずれかである。
【0026】
このような方法にて形成される上記防湿層240は、外部前面電極221、第2の側面前面電極202、すなわち走査電極及び維持電極を保護するとともに、吸湿による第2の側面前面電極202及び外部前面電極221の拡散を抑制し、且つEMI遮断層260と上記電極との短絡を防止する役割を担う。
【0027】
次いで、上記前面基板210の全面上に塗布された光学フィルム230を適宜の大きさにカットした後、上記防湿層240上に絶縁層250を形成する(S407)。上記絶縁層250は、上記外部前面電極221及び第2の側面前面電極202が上記EMI遮断層260と電気的に短絡することを防止する役割を担う。
【0028】
次に、上記絶縁層250上にEMI遮断層260を形成する(S408)。上記EMI遮断層260は、上記前面基板210と背面基板220の側面、上記背面基板220の背面から生じる電磁気干渉現象を遮断する役割を担うものであって、高い電気伝導度を持ち且つ他の構造物と化学的反応を起こさない物質からなることが望ましい。具体的に、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、金(Au)、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)のいずれかの物質又はこれらの混合物質からなってよい。
【0029】
上記EMI遮断層260は、上記防湿層240と同様にディーピング法、ディスペンシング法、スプレー法、ブラッシング法のいずれか又はこれらの組み合わせによってEMI遮断物質を塗布した後、紫外線の照射、熱処理、自然乾燥のいずれか又はこれらの組み合わせによって硬化させて形成すればよい。ここで、上記EMI遮断層260は、上記光学フィルム230と接合される必要があり、上記光学フィルムから集められた電磁気波は、EMI遮断層260を介して背面基板220の背面から外部の接地と接続することで消滅される。
【0030】
このような状態で最終的に、上記EMI遮断層260上に保護層270を形成する(S409)。上記保護層270は、上記防湿層240を構成する物質と同じ物質で形成すればよく、形成方法としては、上記防湿層240の形成方法に相応する方法を用いればよい。つまり、ディーピング法、ディスペンシング法、スプレー法、ブラッシング法のいずれか又はこれらの組み合わせによってEMI遮断物質を塗布した後、紫外線の照射、熱処理、自然乾燥のいずれか又はこれらの組み合わせによって硬化させて形成すればよい。
【0031】
以上、前面電極、すなわち走査電極及び維持電極の引き出し及び機能層の構成に関する製造方法について説明した。背面電極、すなわちアドレス電極の引き出し及び機能層の構成に関する製造方法については、電極の引き出し構造が多少異なるだけで本発明の主要観点である機能層の形成にあっては前面電極と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、マルチPDP及びその製造方法に係り、より詳しくは、シーム領域を最小化することで画面の連続性を安定して確保できるマルチPDP及びその製造方法に関する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチプラズマディスプレイパネル(PDP)及びその製造方法に係り、より詳しくは、シーム領域を最小化することで画面の連続性を安定して確保できるマルチPDP及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置は大型化しつつあり、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel;PDP)も例外ではない。しかしながら、一枚のガラス基板でプラズマディスプレイパネルの大きさを増大させるには限界がある。このことから、近年、所定大きさのプラズマディスプレイパネル同士を連続して接合してなるマルチプラズマディスプレイパネル(multi Plasma Display Panel;マルチPDP)が登場している。
【0003】
このようなマルチPDPは、ディスプレイ面積を拡張させる効果のほか、各プラズマディスプレイパネルを独立して制御することで、相互に別の画面をディスプレイさせることができるという長所がある。
【0004】
しかしながら、マルチPDPは、幾つかのプラズマディスプレイパネルを組み合わせてなるものであることから、パネルとパネル間の接合部、いわゆるシーム(seam)領域には画像が形成されず、画面の連続性が落ちるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、シーム領域を最小化することで画面の連続性を安定して確保できるマルチPDP及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明によるマルチPDPは、複数の単位プラズマディスプレイパネルが接合されてなるマルチPDPにおいて、上記単位プラズマディスプレイパネルは、順次積層されて貼り合わされた前面基板及び背面基板と、上記前面基板及び背面基板の側面に備えられた封止剤と、上記封止剤上に形成された側面電極と、上記背面基板の背面及び上記前面基板と背面基板の側面に沿って備えられた機能層と、を含んでなることを特徴とする。
【0007】
本発明によるマルチPDPの製造方法は、複数の単位プラズマディスプレイパネルを製造し、各単位プラズマディスプレイパネルを接合してマルチPDPを製造するマルチPDPの製造方法において、上記単位プラズマディスプレイパネルを製造する過程は、前面基板と背面基板を積層して貼り合わせ、上記前面基板及び背面基板の側面に封止剤を形成するステップと、上記封止剤を研磨するステップと、上記封止剤上に側面電極を形成するステップと、上記背面基板の背面及び上記前面基板と背面基板の側端面に沿って防湿層を形成するステップと、上記防湿層上に絶縁層を形成するステップと、上記絶縁層上にEMI遮断層を形成するステップ、及び上記EMI遮断層上に保護層を形成するステップと、を含んでなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の特徴によれば、封止剤を研磨し、機能層の構成を簡素化することでマルチPDPにおけるシーム領域を最小化することができるようになり、画面の連続性を安定して確保できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態によるマルチPDPの斜視図である。
【図2】図1のA―A’線に沿う単位プラズマディスプレイパネルの断面図である。
【図3】図1のB―B’線に沿う単位プラズマディスプレイパネルの断面図である。
【図4】本発明の一実施形態によるマルチPDPの製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態によるPDPの製造方法を説明するための工程断面図である。
【図6】本発明の一実施形態によるPDPの製造方法を説明するための工程断面図である。
【図7】本発明の一実施形態によるPDPの製造方法を説明するための工程断面図である。
【図8】本発明の一実施形態によるPDPの製造方法を説明するための工程断面図である。
【図9】本発明の一実施形態によるPDPの製造方法を説明するための工程断面図である。
【図10】本発明の一実施形態によるPDPの製造方法を説明するための工程断面図である。
【図11】本発明の一実施形態によるPDPの製造方法を説明するための工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態によるマルチPDP及びその製造方法を詳しく説明することにする。
図1は、本発明の一実施形態によるマルチPDPの斜視図であり、図2及び3は、図1のA−A’線及びB―B’線に沿う単位プラズマディスプレイパネルの断面図である。
【0011】
先ず、図1に示したように、本発明の一実施形態によるマルチPDP100は、複数の単位プラズマディスプレイパネル200が接合されてなり、複数の単位プラズマディスプレイパネル200が接合されることで接合部位には画像が形成されないシーム領域Sが存在する。
【0012】
一方、上記単位プラズマディスプレイパネル200の構成をみると、図2及び3に示したように基本的に前面基板210と背面基板220とが順次積層されて貼り合わされた構造を有する。
【0013】
図面には図示されていないが、前処理工程により、上記前面基板210上には、走査電極、維持電極、誘電体膜及び保護膜などが形成され、上記背面基板220上には、アドレス電極、誘電体膜、隔壁及び蛍光体などが形成される。図2において、上記前面基板210に内部前面電極211が備えられ、上記前面基板210の側面には第1の側面前面電極212が備えられることが示されているが、上記内部前面電極211、外部前面電極221及び第1の側面前面電極212は、上記走査電極、維持電極のいずれかであって同じ機能を持つ電極である。また、上記前面基板210の前面上には、光学フィルム230がさらに備えられる。
【0014】
参考として、上記背面基板220の背面上には、外部誘電体膜222がさらに備えられてよい。
上記貼り合わされた前面基板210及び背面基板220の側面には、上記前面基板210と背面基板220との間の内部空間を外部環境と隔離させる封止剤201が備えられる。また、上記封止剤201上には、上記内部前面電極211、外部前面電極221及び第1の側面前面電極212と同じ機能を持つ第2の側面前面電極202が備えられる。
【0015】
上記前面基板210と背面基板220とが貼り合わされ、上記前面基板210及び背面基板220の側面に封止剤201及び第2の側面前面電極202が備えられた状態で、上記露出した外部前面電極221、第2の側面前面電極202を保護し、上記前面基板210と背面基板220の積層され貼り合わされた状態を外部の物理的環境から安定して保持するために上記背面基板220の背面及び上記前面基板210と背面基板220の側面に沿って機能層が備えられる。
【0016】
上記機能層は、細部的に防湿層240、絶縁層250、EMI(electromagnetic interference)遮断層260及び保護層270から構成される。上記防湿層240は、上記背面基板220の背面及び上記前面基板210と背面基板220の側面に沿って備えられ、上記外部前面電極221及び第2の側面前面電極202(いわば、維持電極、バス電極、アドレス電極)を保護する役割とともに吸湿によって上記第2の側面前面電極202が拡散(migration)することを抑制し、上記第2の側面前面電極202と上記EMI遮断層260が短絡することを防止する役割を担う。このような防湿層240は、アクリル、ウレタン、エポキシのいずれかの物質又はこれらの混合物質からなってよい。
【0017】
上記絶縁層250は、上記防湿層240上に備えられ、上記外部前面電極221及び第2の側面前面電極202が上記EMI遮断層260と電気的に短絡することを防止する役割を担う。
【0018】
上記EMI遮断層260は、上記絶縁層250上に備えられ、上記前面基板210と背面基板220の側面、上記背面基板220の背面から生じる電磁気干渉(electromagnetic interference)現象を遮断する役割を担うものであって、電気伝導度の高い金属物質からなることが望ましい。上記EMI遮断層260に使用される金属物質としては、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、金(Au)、アルミニウム(Al)のいずれかの物質又はこれらの混合物質を使用すればよい。
【0019】
最後に、上記保護層270は、上記EMI遮断層260上に形成され、基本的に上記前面基板210及び背面基板220を含んだ単位プラズマディスプレイパネルを外部の物理的衝撃から保護する役割と、上記EMI遮断層260を外部と電気的に絶縁させる役割を担う。上記保護層270は、上記防湿層240と同じ物質または異なる物質からなってよく、具体的にアクリル、ウレタン、エポキシのいずれかの物質又はこれらの混合物質からなってよい。
【0020】
前述した図2の構成は、前面基板210に形成される内部前面電極211、すなわち走査電極と維持電極の外部への引き出しを示したものであり、図3は、背面基板220に形成される内部背面電極211a、すなわちアドレス電極の引き出しを示した図であって、内部背面電極211aが内部前面電極211とは異なって、背面基板220の側面に沿って形成される側面背面電極212aを介して外部背面電極221aが形成されることを示している。図3の構成は、内部背面電極211aが側面背面電極212aと外部背面電極221aを介して外部に引き出されることを除くと図2の構成と同じであるため、その詳細な説明は省略する。参考として、上記第1及び第2の側面前面電極及び図3に示された側面背面電極は、上記前面基板及び背面基板の側面に備えられる側面電極を細分化したものである。
【0021】
以上、本発明の一実施形態によるマルチPDPの構成について説明した。以下では、本発明の一実施形態によるマルチPDPの製造方法について説明することにする。図4は、本発明の一実施形態によるマルチPDPの製造方法を説明するためのフローチャートであり、図5ないし図11は、本発明の一実施形態によるPDPの製造方法を説明するための工程断面図であって、前面電極(走査電極及び維持電極)の形成方法を基準に示している。
【0022】
先ず、図4及び図5に示したように前処理工程が完了した状態(S401)で、上記前面基板210と背面基板220を積層して貼り合わせ(S402)、上記前面基板210及び背面基板220の側面に封止剤201を形成する。ここで、上記前処理工程により前述したように、上記前面基板210上には走査電極、維持電極、誘電体膜及び保護膜などが形成される。図5において、上記前面基板210に内部前面電極211が備えられ、上記前面基板210の側面には第1の側面前面電極212が備えられることを示しているが、上記内部前面電極211、外部前面電極221及び第1の側面前面電極212は、上記走査電極、維持電極のいずれかであって同じ機能を持つ電極である。参考として、上記背面基板220の背面上には、外部誘電体膜222がさらに備えられてよい。
【0023】
上記前面基板210及び背面基板220の側面上に封止剤201を塗布した後、上記封止剤201を研磨する過程を施す(S403)。上記封止剤201の研磨過程により封止剤201の厚みを減らすことができ、究極的にシーム領域を縮小する効果が得られる。
【0024】
上記封止剤201の研磨が完了した状態で、該研磨された封止剤201上に第2の側面前面電極202を形成する(S404)。上記第2の側面前面電極202は、前述したように内部前面電極211、外部前面電極221及び第1の側面前面電極212と同じ電極であって上記走査電極、維持電極のいずれかである。
【0025】
次いで、上記前面基板210の全面上に光学フィルム230を塗布する(S405)。引き続き、上記背面基板220の背面及び上記前面基板210と背面基板220の側面に沿って防湿層240を形成する(S406)。上記防湿層240は、具体的にディッピング(dipping)法、ディスペンシング(dispensing)法、スプレー(spray)法のいずれか又はこれらの組み合わせによって上記防湿層240物質を塗布した後、紫外線の照射、熱処理、自然乾燥のいずれか又はこれらの組み合わせによって硬化させて防湿層240を形成することができる。ここで、上記防湿層240物質は、アクリル、ウレタン、エポキシのいずれかである。
【0026】
このような方法にて形成される上記防湿層240は、外部前面電極221、第2の側面前面電極202、すなわち走査電極及び維持電極を保護するとともに、吸湿による第2の側面前面電極202及び外部前面電極221の拡散を抑制し、且つEMI遮断層260と上記電極との短絡を防止する役割を担う。
【0027】
次いで、上記前面基板210の全面上に塗布された光学フィルム230を適宜の大きさにカットした後、上記防湿層240上に絶縁層250を形成する(S407)。上記絶縁層250は、上記外部前面電極221及び第2の側面前面電極202が上記EMI遮断層260と電気的に短絡することを防止する役割を担う。
【0028】
次に、上記絶縁層250上にEMI遮断層260を形成する(S408)。上記EMI遮断層260は、上記前面基板210と背面基板220の側面、上記背面基板220の背面から生じる電磁気干渉現象を遮断する役割を担うものであって、高い電気伝導度を持ち且つ他の構造物と化学的反応を起こさない物質からなることが望ましい。具体的に、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、金(Au)、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)のいずれかの物質又はこれらの混合物質からなってよい。
【0029】
上記EMI遮断層260は、上記防湿層240と同様にディーピング法、ディスペンシング法、スプレー法、ブラッシング法のいずれか又はこれらの組み合わせによってEMI遮断物質を塗布した後、紫外線の照射、熱処理、自然乾燥のいずれか又はこれらの組み合わせによって硬化させて形成すればよい。ここで、上記EMI遮断層260は、上記光学フィルム230と接合される必要があり、上記光学フィルムから集められた電磁気波は、EMI遮断層260を介して背面基板220の背面から外部の接地と接続することで消滅される。
【0030】
このような状態で最終的に、上記EMI遮断層260上に保護層270を形成する(S409)。上記保護層270は、上記防湿層240を構成する物質と同じ物質で形成すればよく、形成方法としては、上記防湿層240の形成方法に相応する方法を用いればよい。つまり、ディーピング法、ディスペンシング法、スプレー法、ブラッシング法のいずれか又はこれらの組み合わせによってEMI遮断物質を塗布した後、紫外線の照射、熱処理、自然乾燥のいずれか又はこれらの組み合わせによって硬化させて形成すればよい。
【0031】
以上、前面電極、すなわち走査電極及び維持電極の引き出し及び機能層の構成に関する製造方法について説明した。背面電極、すなわちアドレス電極の引き出し及び機能層の構成に関する製造方法については、電極の引き出し構造が多少異なるだけで本発明の主要観点である機能層の形成にあっては前面電極と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、マルチPDP及びその製造方法に係り、より詳しくは、シーム領域を最小化することで画面の連続性を安定して確保できるマルチPDP及びその製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位プラズマディスプレイパネルが接合されることにより形成されるマルチPDPであって、前記複数の単位プラズマディスプレイパネルの各々は、
順次積層されて貼り合わされた前面基板及び背面基板と、
前記前面基板及び背面基板の側面上に形成された封止剤と、
前記封止剤上に形成された側面電極と、
前記背面基板の背面及び前記前面基板と背面基板の側面上に形成された機能層と
を含むことを特徴とするマルチPDP。
【請求項2】
前記機能層は、防湿層、絶縁層、電磁干渉(EMI)遮断層、及び保護層を含むことを特徴とする請求項1に記載のマルチPDP。
【請求項3】
前記防湿層は、前記背面基板の背面及び前記前面基板と背面基板の側面に沿って形成されることを特徴とする請求項2に記載のマルチPDP。
【請求項4】
前記絶縁層は、前記防湿層上に形成された前記側面電極が前記EMI遮断層と電気的に短絡することを防止する役割を担うことを特徴とする請求項2に記載のマルチPDP。
【請求項5】
前記EMI遮断層は、前記絶縁層上に形成され、電磁気干渉現象を遮断する役割を担うことを特徴とする請求項2に記載のマルチPDP。
【請求項6】
前記保護層は、前記EMI遮断層上に形成され、前記単位プラズマディスプレイパネルを外部の物理的衝撃から保護する役割を担うことを特徴とする請求項2に記載のマルチPDP。
【請求項7】
前記EMI遮断層は、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、金(Au)、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)のうちのいずれかの物質又はこれらの混合物質からなることを特徴とする請求項2に記載のマルチPDP。
【請求項8】
前記防湿層と保護層は、アクリル、ウレタン、エポキシのうちのいずれかの物質又はこれらの混合物質からなることを特徴とする請求項2に記載のマルチPDP。
【請求項9】
複数の単位プラズマディスプレイパネルを製造し、各単位プラズマディスプレイパネルを接合してマルチPDPを製造するマルチPDPの製造方法であって、前記単位プラズマディスプレイパネルを製造する方法は、
前面基板と背面基板を積層して貼り合わせ、前記前面基板及び背面基板の側面上に封止剤を形成するステップと、
前記封止剤を研磨するステップと、
前記封止剤上に側面電極を形成するステップと、
前記背面基板の背面及び前記前面基板と背面基板の側面上に防湿層を形成するステップと、
前記防湿層上に絶縁層を形成するステップと、
前記絶縁層上にEMI遮断層を形成するステップと、
前記EMI遮断層上に保護層を形成するステップと
を含むことを特徴とするマルチPDP製造方法。
【請求項10】
前記防湿層、EMI遮断層及び保護層は、ディッピング(dipping)法、ディスペンシング(dispensing)法、スプレー(spray)法、ブラッシング(brushing)法のうちのいずれかひとつ又はこれらの組み合わせを用いて塗布した後、紫外線の照射、熱処理、自然乾燥のうちのいずれかひとつ又はこれらの組み合わせを用いて硬化させることにより形成されることを特徴とする請求項9に記載のマルチPDP製造方法。
【請求項11】
前記封止剤上に側面電極を形成するステップと前記防湿層を形成するステップとの間に、前記前面基板の全面上に光学フィルムを塗布するステップをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のマルチPDP製造方法。
【請求項1】
複数の単位プラズマディスプレイパネルが接合されることにより形成されるマルチPDPであって、前記複数の単位プラズマディスプレイパネルの各々は、
順次積層されて貼り合わされた前面基板及び背面基板と、
前記前面基板及び背面基板の側面上に形成された封止剤と、
前記封止剤上に形成された側面電極と、
前記背面基板の背面及び前記前面基板と背面基板の側面上に形成された機能層と
を含むことを特徴とするマルチPDP。
【請求項2】
前記機能層は、防湿層、絶縁層、電磁干渉(EMI)遮断層、及び保護層を含むことを特徴とする請求項1に記載のマルチPDP。
【請求項3】
前記防湿層は、前記背面基板の背面及び前記前面基板と背面基板の側面に沿って形成されることを特徴とする請求項2に記載のマルチPDP。
【請求項4】
前記絶縁層は、前記防湿層上に形成された前記側面電極が前記EMI遮断層と電気的に短絡することを防止する役割を担うことを特徴とする請求項2に記載のマルチPDP。
【請求項5】
前記EMI遮断層は、前記絶縁層上に形成され、電磁気干渉現象を遮断する役割を担うことを特徴とする請求項2に記載のマルチPDP。
【請求項6】
前記保護層は、前記EMI遮断層上に形成され、前記単位プラズマディスプレイパネルを外部の物理的衝撃から保護する役割を担うことを特徴とする請求項2に記載のマルチPDP。
【請求項7】
前記EMI遮断層は、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、金(Au)、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)のうちのいずれかの物質又はこれらの混合物質からなることを特徴とする請求項2に記載のマルチPDP。
【請求項8】
前記防湿層と保護層は、アクリル、ウレタン、エポキシのうちのいずれかの物質又はこれらの混合物質からなることを特徴とする請求項2に記載のマルチPDP。
【請求項9】
複数の単位プラズマディスプレイパネルを製造し、各単位プラズマディスプレイパネルを接合してマルチPDPを製造するマルチPDPの製造方法であって、前記単位プラズマディスプレイパネルを製造する方法は、
前面基板と背面基板を積層して貼り合わせ、前記前面基板及び背面基板の側面上に封止剤を形成するステップと、
前記封止剤を研磨するステップと、
前記封止剤上に側面電極を形成するステップと、
前記背面基板の背面及び前記前面基板と背面基板の側面上に防湿層を形成するステップと、
前記防湿層上に絶縁層を形成するステップと、
前記絶縁層上にEMI遮断層を形成するステップと、
前記EMI遮断層上に保護層を形成するステップと
を含むことを特徴とするマルチPDP製造方法。
【請求項10】
前記防湿層、EMI遮断層及び保護層は、ディッピング(dipping)法、ディスペンシング(dispensing)法、スプレー(spray)法、ブラッシング(brushing)法のうちのいずれかひとつ又はこれらの組み合わせを用いて塗布した後、紫外線の照射、熱処理、自然乾燥のうちのいずれかひとつ又はこれらの組み合わせを用いて硬化させることにより形成されることを特徴とする請求項9に記載のマルチPDP製造方法。
【請求項11】
前記封止剤上に側面電極を形成するステップと前記防湿層を形成するステップとの間に、前記前面基板の全面上に光学フィルムを塗布するステップをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のマルチPDP製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−525391(P2010−525391A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503971(P2010−503971)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【国際出願番号】PCT/KR2008/002146
【国際公開番号】WO2008/130128
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(505428743)オリオン ピーディーピー カンパニー リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】ORION PDP CO.,LTD.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【国際出願番号】PCT/KR2008/002146
【国際公開番号】WO2008/130128
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(505428743)オリオン ピーディーピー カンパニー リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】ORION PDP CO.,LTD.
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]