説明

マルチチャンバー・カートリッジを有するバイオセンサー

本発明は、流体サンプルを主要するカートリッジを含むバイオセンサーを提供し、そのカートリッジは、少なくとも2個のチャンバーを含み、各チャンバーは、1つ又はそれ以上の結合部位を含むセンサー表面を有する。そのバイオセンサーは、さらに、その少なくとも2個のチャンバーのセンサー表面の結合部位において磁場を生成する手段を含む。そのバイオセンサーは、また、その少なくとも2個のチャンバーのセンサー表面の結合部位において、又はその結合部位に隣接して累積される粒子を検出する手段も含む。そこにおいて、結合部位における磁場は、磁気標識粒子をその結合部位へ向けて作動させるのに十分に大きい勾配を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なるマーカーが完全に分離された測定チャンバーにおいて測定され得るマルチチャンバー・カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、例えば、唾液、尿又は血液などの体液における特異成分の検出のためのバイオセンサーに関する。そのバイオセンサーは、捕捉プローブで覆われた超常磁性ビーズなどの磁気標識粒子を使用する。その検出されるべき特異成分は、それらの捕捉プローブに結合することになっている。特異的磁気作動スキームが、次に、分析性能を最適化するために適用される。そのサンプルにおいて検出される標的分子の存在は、特定のプローブ又は試薬で覆われている特定の検出箇所又は結合部位への磁気標識粒子の結合の度合いによって検出される。その検出箇所又はセンサー表面に結合された磁気標識粒子の存在は、例えば、FTIR(フラストレートした(frustrated)全内部反射)などの光学的手段によって検出される。
【0003】
心臓の応用の具体的な例において、バイオセンサーは、心筋梗塞の発生を示す多数のバイオマーカーの定量的な検出のために、指を針で刺すことによって取った血液サンプルを使用する。そのバイオセンサーは、緊急治療室、ベッドサイド、救急、診療所、又は家庭などのポイント・オブ・ケア(point-of-care)状況で使用されてもよい。数個の重要な心臓マーカーたんぱく質が識別されており、現在定期的に使用されている。トロポニンIは、その完全な心臓特異性及び長い血中半減期に基づいて標準のバイオマーカーとして幅広く使用されている。心臓発作の後に続く血流におけるミオグロビンの速い増加は、素早い患者の層別化を可能にする。B型ナトリウム利尿ペプチドは、心不全の緊急診断及び急性冠不全症候群を持つ患者の予後診断に役立つ。2、3C反応性たんぱく質は、冠動脈性心疾患及び急性冠不全症候群の重要な予後指標である。
【0004】
そのような心臓マーカーの同時定量化は、臨床医が、冠動脈性心疾患を素早く診断し、患者管理戦略を正確に設計することを可能にする。従って、心臓マーカーに対する素早く信頼性のある検出システムは、医療専門家が、類似の症候群を示している患者の間で区別をするのに役立つ。一般的に、異なるマーカーが、診断上関係する異なる濃度で存在することから、検出の最適なより低い限度及びダイナミック・レンジに対して異なる検定条件を必要とすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、改善されたバイオセンサーを提供することである。本発明の目的は、さらに、素早く信頼性のある方法で、異なるマーカーの同時定量化を可能にするバイオセンサーを提供することである。これらの目的は、請求項の特徴によって成し遂げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、異なるマーカーが、完全に分離された測定チャンバーにおいて測定されることが可能なマルチチャンバー・カートリッジに関する。その反応チャンバーの分離によって、交差反応効果が防止され、分析条件を個別に最適化することができる。
【0007】
多数の異なる標的分子を同時に検出する一般的なアプローチは、例えば抗体などの異なる特異試薬で覆われた別々の検出箇所又は結合部位を使用することである。その検出箇所における標的分子の存在は、それらの標的分子に結合された磁気標識によって示される。それらの検出箇所における磁気標識粒子の濃度は、カメラ・センサーにおける箇所を撮像することによって、個別の箇所の各々に対して、光学的に測定される。従って、そのサンプルにおいて存在する異なる標的分子の量は、異なる検出箇所での信号を解析することによって測定することができる。
【0008】
通常、サンプルの下に位置する下方の磁石による磁気作動は、検体を加速するために使用される。そのサンプルの上に位置する上方の磁石は、望ましくは、磁気洗浄ステップを実施するために使用される。明らかに、磁気標識粒子に対する検出箇所又は結合部位は、その磁石のいわゆる「スイート・スポット」に位置しなければいけない。これは、個別の結合部位が、比較的小さい領域において集中することを必要とする。さらに、それらの箇所が撮像される単一のCMOSセンサーの効果的な使用は、結合部位の間の間隔が小さい場合に、より簡単である。
【0009】
異なる磁石の磁極片の間における限られた距離だけが、磁気作動のために十分に強い磁場を生成することが可能である。これは、平坦なカートリッジ及び平坦な検出チャンバー設計を支える。同時に、検定条件を各検出チャンバーに対して個別に最適化することができるように、個別の検出箇所又は結合部位を、完全に分離された検出チャンバーにおいて有することが有利である。その測定チャンバーの最適な体積及び形状は、2つの追加の要因によって影響を受ける:測定チャンバーの少なくとも1つの次元が、例えば血漿などの流体サンプルの検出チャンバーの中への自主的な流れに対して、十分な毛管力をを生成するために十分に小さくなければいけない。同時に、各測定チャンバーの体積は、感度要求を満たすために、すなわち、そのサンプルの体積内において標的分子が十分に存在することを保証するために、十分に大きくなければいけない。これは、全て、矛盾する幾何学的必要条件に至る。さらに、作動磁石の方向合わせは、光検出器ビームに対する光路が妨害されないという条件を満たさなければいけない。
【0010】
上記の必要条件を満たすために、離散的で完全に分離された検出チャンバーが、その検出チャンバーの少なくとも結合部位が作動磁石の「スイート・スポット」内に位置するように、構成される。同時にそれらの磁石は、読み出しビームの光路が妨害されないように、方向が合わせられる。この方法では、検出チャンバーの合計の面積及び体積は、磁石のスイート・スポットのサイズによって制限されない。
【0011】
その磁石の「スイート・スポット」は、一般的に、その磁石によって生成される磁場の数個の必要条件によって定義される。結合部位は、素早い作動を保証するために、磁気標識粒子上における磁力が十分に強い領域において、配置されなければいけない。さらに、その磁力の方向は、検出箇所又は結合部位を含む表面に垂直でなければいけなく、スイート・スポット領域にわたって強く変化するべきではない。磁気標識粒子上の磁力は、磁場の勾配の2乗によって決定することから、上記の必要条件は、磁場の勾配に関係する。
【0012】
その勾配磁場が、U字型磁石によって生成される場合、そのU字型磁石と検出箇所との間の典型的な距離は、カートリッジの壁の厚さによって約1mmである。最大の磁場勾配は、次に、そのU字型極片の先端の間の距離(これも1mm単位である)を最適化し、残留磁場の発生の無い最も高い磁束飽和値を持つ極片の先端に対して材料を選択することによって具現化される。これらの最適な形状及び材料の選択は、1mm×1mmの面積において約10%の頂点・谷の偏差を持つ約60T/mの最大磁場勾配を可能にする。実際の状況下において、その磁場勾配は、コイルにおける熱消散を制限するためにいくらかさらに低く選択してもよい。U字型磁石の先端は、極片の先端を接続する最短のラインに垂直な方向において延び、細長いスイート・スポットを生成する。この場合、約60T/mの磁場勾配が、約10%の頂点・谷の偏差を持つ領域は、望ましくは、2つの方向のうち1つにおいて1mmよりも大きい。
【0013】
さらに、光学的な検出技術に関する光学的必要条件が適合する。当然のことながら、結合部位は、光検出器の視野内になければいけない。限られたピクセル数を有する低価格のCMOS検出器を使用する場合、それらの結合部位は、結合部位毎に多数のピクセルがあることを可能にするために、可能な限り密接して詰められる。望ましくは、その視野の幅は、1mmと2mmの間である。非常に細長い磁気スイート・スポットの場合、その光検出システムの視野は、それに応じて適合されなければいけない。光学的手段は、視野を効果的に細長くするために使用され、なおかつCMOS検出器を効果的に使用してもよい。
【0014】
本発明は、流体サンプルを収容するためのカートリッジを含むバイオセンサーを提供し、そのカートリッジは、少なくとも2つのチャンバーを含み、各チャンバーは、1つ又はそれ以上の結合部位を持つセンサー表面を有する。そのバイオセンサーは、さらに、少なくとも2つのチャンバーのセンサー表面の結合部位において磁場を生成するための手段を有する。そのバイオセンサーは、また、その少なくとも2個のチャンバーのセンサー表面の結合部位において又はそれに隣接して累積される粒子を検出する手段も含む。それにおいて、その結合部位における磁場は、結合部位に向けて磁場標識粒子を作動させるのに十分に大きい傾斜を有する。
【0015】
望ましくは、その結合部位における磁場勾配は、40T/m、さらに望ましくは50T/m、最も望ましくは、60T/mよりも大きい。また、結合部位における磁場勾配は、望ましくは20%、さらに望ましくは15%、最も望ましくは約10%の最大・最小の変化を有する。検出チャンバーの各々における結合部位を含むセンサー表面領域の部分は、少なくとも0.05mm2の領域を有し、望ましくは0.25mm2よりも大きい領域、最も望ましくは2mm2よりも大きい領域を有する。
【0016】
結合部位における勾配磁場によって生成される磁力は、望ましくはセンサー表面に対して実質的に垂直である。
【0017】
本発明によるバイオセンサーの特に望ましい実施形態によると、カートリッジのチャンバーは、実質的に、お互いに直接的に流体でつながっていない。言い換えれば、それらのチャンバーは、カートリッジのいくらかの部分を接続するチャンバーへの注入口チャンネルを通して、「間接的」に流体でつながっていてよいが、互いから分離されている。望ましくは、2つ又はそれ以上のチャンバーは、完全に互いから分離されている。
【0018】
その検出手段は、望ましくは、光検出器を含む。その光検出器と結合部位の各々との間の光路は、磁場を生成する手段によって妨害されないのが望ましい。
【0019】
磁場を生成する手段は:U字型磁石、トライデント(trident)磁石、4重極磁石、多極磁石、のうち1つ又はそれらの組み合わせを含む。磁場を生成する手段は、1つ又はそれ以上のコアを持つ電磁コイルを含み、そのコイルのコアは、結合部位において高い磁場勾配を供給するようにされた形状を有する。本発明の望ましい実施形態に従って、磁場を生成する手段は、カートリッジに関して移動可能である。
【0020】
本発明の特に望ましい実施形態に従って、センサー表面の1つ又はそれ以上の結合部位は、試薬又はいくつかの試薬の組み合わせを含む。それらの試薬は、抗体、抗原、たんぱく質、組み換えたんぱく質などを含む。望ましくは、その1つ又はそれ以上の結合部位での試薬又はいくつかの試薬の組み合わせは、異なるチャンバーにおいて異なる。従って、異なる分析が、異なるチャンバーにおいて実施されてもよい。望ましくは、そのカートリッジは、3、4、5、又はそれ以上の数のチャンバーを含む。それらのチャンバーの各々は、望ましくは、2、3、4、又はそれ以上の数の結合部位を持つセンサー表面を含む。当然のことながら、それ以上のチャンバー及び/又はそれ以上の結合部位を持つ配置も、保護の範囲内に含まれる。本発明の望ましい実施形態に従って、1つのチャンバー内の各結合部位は、異なる試薬又はいくつかの試薬の異なる組み合わせを含む。従って、いくつかの異なるマーカーが同時に測定される複雑な分析が実施されてもよい。
【0021】
望ましい実施形態の記載から明らかになるように、本発明は、また、測定チャンバーのお互いに関する特定の配置、及び作動磁石、特にその作動磁石のスイート・スポットに関する特定の配置も提供する。上記の矛盾している幾何学的要求を満たすために、カートリッジのチャンバーは、センサー表面の結合部位が作動磁石のスイート・スポットに位置するように配置され、それらのチャンバーの他の部分は、望ましくは、このスイート・スポットの外側に広がる。従って、その作動特性は最適化されてよいと同時に、測定チャンバーの体積は、感度要求を満たすのには十分大きい。
【0022】
本発明は、望ましい実施形態の委細を通して、以下の図を参照してさらに明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明によるバイオセンサーに使用されてもよいU字型磁石の上面図である。
【図2】本発明によるバイオセンサーに使用されてもよいトライデント磁石の上面図である。
【図3】本発明によるバイオセンサーの望ましい実施形態の上面概略図である。
【図4】本発明によるバイオセンサーのもう1つの望ましい実施形態の上面図である。
【図5】本発明によるバイオセンサーのもう1つの望ましい実施形態の上面図である。
【図6a】本発明によるバイオセンサーのもう1つの望ましい実施形態を示す図である。
【図6b】本発明によるバイオセンサーのもう1つの望ましい実施形態を示す図である。
【図7】本発明によるバイオセンサーのチャンバーの代替の設計を概略図である。
【図8】本発明によるバイオセンサーのチャンバーの代替の設計を概略図である。
【図9】本発明によるバイオセンサーのチャンバーの代替の設計を概略図である。
【図10】本発明によるバイオセンサーのチャンバーの代替の設計を概略図である。
【図11】図11aは、U字型磁石を持つ本発明によるバイオセンサーの望ましい実施形態の側面図である。図11bは、トライデント磁石を持つ本発明によるバイオセンサーのもう1つの望ましい実施形態の側面図である。
【図12a】本発明によるバイオセンサーの流体部分の上面図である。
【図12b】本発明によるバイオセンサーのカートリッジの前面図である。
【図12c】本発明によるバイオセンサーの光学的部分の上面図である。
【図12d】本発明によるバイオセンサーのカートリッジの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0024】
図11aは、本発明によるバイオセンサーの望ましい実施形態の概略的な側面図を示す。カートリッジ1は、作動に使用される下方のU字型磁石と上方の洗浄磁石との間に挟まれている。その上方の洗浄磁石は、コイル8によって囲まれた磁石コア7を含む。下方の磁石5は、極先端5a及び5bを持つ2つの磁石コアを含むU字型磁石である。それらのコアは、コイル6a及び6bによって囲まれている。その磁石コアの極先端5a及び5bは、カートリッジ1において大きな磁場勾配を供給するために形作られている。
【0025】
図11bは、図11aに示されている実施形態の代替手段を示す。図11bにおいて、図11aのU字型磁石は、トライデント磁石5によって置き換えられている。トライデント磁石5は、コイル先端5a、5b及び5cを持つ3つの磁石コアを含み、それらの各々は、カートリッジ1において大きな磁場勾配を供給するように形作られている。その磁石コアは、コイル6a、6b及び6cによって囲まれている。
【0026】
図1及び2は、図11a及び11bに示されている磁石の上面をそれぞれ示す。
【0027】
図3は、本発明による4つのチャンバー構成を持つバイオセンサーの概略的な提示を示す。カートリッジ1は、正方形構成において配置された4つのチャンバー2を含む。各チャンバー2は、3つの結合部位4を持つセンサー表面3を含む。チャンバー2の下に、U字型磁石の極先端5a及び5bがスケッチされている。そのU字型磁石のスイート・スポット、すなわち、磁気作動に適した領域は、破線によって示されている。明らかに、そのスイート・スポットは、4つのチャンバー2によって覆われている領域よりもはるかに小さい。しかし、その4つのチャンバー2が、正方形パターンにおいて配置され、結合部位4は、それらのチャンバー2の隅部に位置することから、全ての結合部位4が、スイート・スポットに位置する。それに応じて、それらの結合部位4における磁場は、磁気標識粒子を結合部位に向けて駆動させるのに十分に大きい傾斜を有する。同時に、各チャンバー2の体積は、感度要求を満たす、すなわちサンプル体積内において十分な標的分子を供給するのには十分大きい。4つのチャンバー2は互いから分離されていることから、交差反応効果を防ぐことができ、検定条件は、各チャンバー2に対して個別に最適化される。
【0028】
図4は、トライデント磁石の上に正方形パターンにおける4つのチャンバー2の似た配置を示す。図3は、チャンバー2毎に3つの結合部位を示す一方、図4は、チャンバー2毎に4つの結合部位4を示し、チャンバー毎の結合部位の数は、変動してもよいことが明らかである。検定条件、すなわち、試薬、磁気標識粒子及び類似物は、各チャンバー2において異なってもよい。チャンバー2の図3及び4に示される磁石に関する方向は、作動スイート・スポットの最適な使用をする一方、チャンバー2の設置面積及び高さは、いまだに感度及び毛細血管充満需要に適合されている。
【0029】
単一のU字型作動磁石の場合、全ての結合部位は、同じ作動プロトコルの対象となる。しかし、図5に示されるような4重極磁石が使用される場合、各チャンバー2の作動プロトコルは、個別に最適されてもよい。図5に示される実施形態は、読み出しビーム11に関して、斜め方向のチャンバー2を有する。これは、読み出しビーム11の光路を遮断せずに4重極作動磁石の使用を可能にする。
【0030】
U字型又はトライデント磁石(図3及び4参照)が使用される場合、カートリッジのチャンバーは、読み出しビームに関して平行な方向を有してもよい。
【0031】
図6aに示されるような線形多極磁石(5個の磁極5a、5b、5c、5d、及び5eを含む)の場合、チャンバー2は、単一の細長い検出領域を使用して直線状に方向付けられる。図6bは、細長い磁気スイート・スポットをもたらし、単一の細長い検出領域3を使用する、伸ばされたU字型磁石を備えた実施形態を示す。図6bに示される実施形態の場合において、チャンバー2の数は、変化してもよいことが明らかなはずである。例えば、2、3、4、5、6、又はそれ以上の数のチャンバー2が、そのU字型磁石の2つの伸ばされた又は細長い極5aと5bとの間に配置されてもよい。
【0032】
本発明によるカートリッジのさらに詳細な図は、図7に示されているチャンバーの供給及び排気チャンネルもまた示している。そのカートリッジは、望ましくは、図12bに示される両面テープで組み立てられてもよい流体部分12及び光学部分13を含む。その流体及び光学部分12及び13は、望ましくは、ポリマー状ポリスチレン、ポリカーボネート、シクロオレフィン共重合体、ポリプロピレン、ABSなどのポリマーの射出成形によって作成される。同一又は異なるポリマーが、流体部分12及び光学部分13に対して使用されてもよい。光学部分13は、望ましくは、透明な材料で作られている。その流体部分12において、ビーズ又は粒子井戸が、乾燥試薬及び機能性電磁ビーズの便利な保存のために、各チャンバー内に存在する。
【0033】
図12aに示される流体部分12の上面図から分かるように、流体部分12は、望ましくは、サンプル注入口15を含み、それは、注入口又は供給チャンネル9a及び9bを通してチャンバー2a及び2bに接続されている。チャンバー2a及び2bは、上記で考察されたように、いくつかの結合部位4を持つセンサー表面3を含み、図12cにおいて見られるように、光学部分13に含まれている。チャンバー2a及び2bは、換気及び排気チャンネル10aを通して換気口10に接続されている。その代わりに、各チャンバーは、それ自体の換気口10を有する(図7参照)。
【0034】
流体部分12及び光学部分13は、2つのカートリッジ部分を接続する両面テープによって互いに付着されてもよい。しかし、その流体部分及び光学部分からカートリッジを形成する他の方法もまた考えられる。図12aから12dまでにおいて、チャンネル及びチャンバーが、流体部分12において形成されるが、結合部位を持つセンサー表面は、光学部分13に含まれる。これは、望ましい配置であるが、もう1つのカートリッジ設計もまた、本発明の範囲内に含まれる。
【0035】
図12aに関して、概要において考察された注入口チャンネルを通して「間接的」な流体でのつながりをどのように理解すべきかも明らかになる。図12aから分かるように、カートリッジ1の2個のチャンバー2は、完全に互いから分離されている。しかし、注入口チャンネル9a、注入口15及び注入口チャンネル9bを通してチャンバー2aからチャンバー2bへ向かう流路がある。それにも関わらず、カートリッジのチャンバーは、実質的に、お互いに直接流体でつながっておらず、チャンバー間の交差反応は防止することができる。
【0036】
アッセイ・ケミストリー(assay chemistry)は、通常、塩、緩衝剤、洗浄剤、酵素、分解防止剤、及び殺菌剤を含む。異なるチャンバーの交差汚染を防ぐために、両面テープが、光学部分及び流体部分をつなぐために使用されてもよい。これは、標的検体の各々に対して特異的な異なる捕捉プローブが離散的な領域で固定化されるアレイ形成をもたらす。同時の検定が、この完全に統合化したシステムにおいて使用されてもよく、それは、例えば血液などの、単一の液滴における同時多重決定に至る。
【0037】
本発明によるカートリッジのチャンバー及びチャンネルの配置に対するいくつかの望ましい設計が、図7から10において示されている。そこにおいて、チャンバー、チャンネル及び換気口が、この場合も、図12aから12dを参照して上記で考察されたように、流体部分において供給されるのが望ましいが、図7から10においても示される結合部位を持つセンサー表面は、別の光学部分上又はその光学部分内において含まれるのが望ましい。図7における望ましい実施形態に見られるように、チャンバー2a、2b、2c、及び2dの各々には、それぞれの供給チャンネル9a、9b、9c、及び9dが備えられる。さらに、カートリッジには、換気口又は換気口10につながる排気チャンネルが備えられている。
【0038】
当然のことながら、4つのチャンバー及び4つの供給チャンネルを設計するため多数の異なる可能性がある。それらのいくつかの可能性が、図8‐10においてスケッチされている。本出願において示される実施形態に対して考えられる全ての代替型は、異なるチャンバーの結合部位が作動磁石のスイート・スポットに位置する限り、保護の範囲内に含まれるべきである。
【0039】
本発明は、図及び前述の記載において詳しく説明され記載されてきている一方、そのような説明及び記載は、実例的及び模範的であり、限定的であるとして見なされるべきではない;本発明は、開示された実施形態には限定されない。開示された実施形態に対して他の変化形が、図、開示及び添付の請求項の調査から、請求項に係る本発明を実施する際に当業者が理解し、有効化することができる。請求項において、「含む」という用語は、他の要素又はステップを除外せず、単数を表す用語は、複数を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項において列挙されるいくつか事項の機能を満たしてもよい。相互的に異なる従属項においてある一定の手段が列挙されているという単なる事実は、それらの手段の組み合わせが有利に使用することはできないということは示さない。請求項における如何なる参照符号も、その範囲を限定するものとして解釈すべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 流体サンプルを収容するカートリッジであり、少なくとも2つのチャンバーを含み、各チャンバーは、1つ又はそれ以上の結合部位を有するセンサー表面を含み、カートリッジ;
b) 前記少なくとも2つのチャンバーのセンサー表面の該結合部位において磁場を生成する手段;及び
c) 前記少なくとも2つのチャンバーのセンサー表面の前記結合部位において及び/又は該結合部位に隣接して累積される粒子を検出する手段;
を含むバイオセンサーであり、前記結合部位での磁場は、磁気標識粒子を該結合部位へ向けて作動させるのに十分大きい、バイオセンサー。
【請求項2】
前記結合部位での磁場勾配は、該結合部位を含むセンサー表面面積の部分において、20%未満、望ましくは15%未満、最も望ましくは約10%未満の最大から最小までの変化を有する、請求項1に記載のバイオセンサー。
【請求項3】
前記結合部位を含むセンサー表面の部分は、少なくとも0.05mm2、望ましくは0.25mm2よりも大きい、最も望ましくは2mm2よりも大きい面積をチャンバー毎に有する、請求項2に記載のバイオセンサー。
【請求項4】
前記結合部位での磁場勾配は、40T/m、望ましくは50T/mよりも大きい、最も望ましくは約60T/mである、請求項1に記載のバイオセンサー。
【請求項5】
前記結合部位での磁場勾配によって生成される磁力は、実質的に前記センサー表面い垂直である、請求項1に記載のバイオセンサー。
【請求項6】
前記カートリッジのチャンバーは、実質的に、お互いに直接的に、流体でつながっていない、請求項1に記載のバイオセンサー。
【請求項7】
前記検出手段は光検出器を含み、該光検出器と前記結合部位との間の光路は、前記磁場を生成する手段によって妨害されない、請求項1に記載のバイオセンサー。
【請求項8】
前記磁場を生成する手段は:U字型磁石、トライデント磁石、4重極磁石、多極磁石のうちの1つ又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のバイオセンサー。
【請求項9】
前記磁場を生成する手段は、コア及び極先端を有する1つ又はそれ以上の電磁コイルを含み、該極先端は、前記結合部位において高い磁場勾配を供給するように適合された形状を有する、請求項1に記載のバイオセンサー。
【請求項10】
前記磁場を生成する手段は、前記カートリッジに関して移動可能である、請求項1に記載のバイオセンサー。
【請求項11】
前記センサー表面の1つ又はそれ以上の結合部位は、試薬又はいくつかの試薬の組み合わせを含む、請求項1に記載のバイオセンサー。
【請求項12】
前記1つ又それ以上の結合部位における前記試薬又はいくつかの試薬の組み合わせは、異なるチャンバーに対して異なる、請求項11に記載のバイオセンサー。
【請求項13】
前記カートリッジは、3、4、5、又はそれ以上のチャンバーを含む、請求項1に記載のバイオセンサー。
【請求項14】
各チャンバーは、2、3、4、又はそれ以上の結合部位を含む、請求項13に記載のバイオセンサー。
【請求項15】
1つのチャンバー内において各結合部位は、異なる試薬又はいくつかの試薬の異なる組み合わせを含む、請求項14に記載のバイオセンサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12a】
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【図12b】
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【図12c】
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【図12d】
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【公表番号】特表2012−507703(P2012−507703A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533872(P2011−533872)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【国際出願番号】PCT/IB2009/054740
【国際公開番号】WO2010/049883
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】