説明

マルチディスプレイシステム

【課題】共通の制御部によって複数のディスプレイの電源を起動するタイミングを制御することなく、電源起動時に発生する突入電流によりブレーカーやヒューズが切れるトラブルを回避できることができるマルチディスプレイシステムを提供する。
【解決手段】PCおよび複数個のディスプレイは、デイジーチェーンで接続される。PCは、バックライト11に電力を供給する待ち時間を表わす数値を含むコマンドを接続されているディスプレイへ送信し、各ディスプレイのスケーラ1は、第1のポートを通じて受信したコマンドに含まれる待ち時間を表わす数値に従って、バックライト用電源12からバックライト11に電力を供給させるとともに、受信したコマンドに含まれる待ち時間を表わす数値を増加して修正したコマンドを第2のポートを通じて次のディスプレイへ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチディスプレイシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
マルチディスプレイシステムでは、複数のディスプレイが併設され、複数のディスプレイで1つの画面が表示される。これによって、サイズの大きな画像を表示することができる。
【0003】
マルチディスプレイシステムでは、電源がオンすると複数のディスプレイが同時に起動する。そのため、電源起動時に発生する突入電流が設置台数分流れ、ブレーカーやヒューズが切れたりする問題がある。
【0004】
このような問題に対して、たとえば特許文献1(特開2007−17899号公報)には、各液晶パネル10の液晶層への印加電圧の極性を一定周期で切り替え、各液晶パネル10の一対の透明基板に設けられた電極の電位を切替えるタイミングを、液晶パネル10ごとに異ならせるような複数の液晶パネル10の駆動方法が開示されている。これによって、突入電流によるブレーカーやヒューズが切れるトラブルを回避できることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−17899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1(特開2007−17899号公報)に記載の駆動方法では、各液晶パネル10に対して共通の制御部が設けられている。この共通の制御部と各液晶パネル10との間に、制御信号を伝送するためのケーブルが必要となる。液晶パネル10の大きさが大きい場合や、制御部と液晶パネル10との間が離れている場合には、このケーブルが長くなる。ケーブルが長くなると、制御信号を適切にドライブすることができなくなったりすることがある。
【0007】
それゆえに、本発明の目的は、共通の制御部によって複数のディスプレイの電源を起動するタイミングを制御することなく、電源起動時に発生する突入電流によりブレーカーやヒューズが切れるトラブルを回避できることができるマルチディスプレイシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、制御装置と複数個のディスプレイからなるマルチディスプレイシステムであって、各ディスプレイは、透過型液晶パネルと、透過型液晶パネルの背面に配置されるバックライトと、電源と、制御部とを備え、制御装置および複数個のディスプレイは、デイジーチェーンで接続され、制御装置は、バックライトに電力を供給する待ち時間を表わす数値を含むコマンドを接続されているディスプレイへ送信し、各ディスプレイの制御部は、第1のポートを通じて受信したコマンドに含まれる待ち時間を表わす数値に従って、電源からバックライトに電力を供給させるとともに、受信したコマンドに含まれる待ち時間を表わす数値を増加して修正したコマンドを第2のポートを通じて次のディスプレイへ送信する。
【0009】
本発明は、制御装置と複数個のディスプレイからなるマルチディスプレイシステムであって、各ディスプレイは、透過型液晶パネルと、透過型液晶パネルの背面に配置されるバックライトと、電源と、制御部とを備え、制御装置および複数個のディスプレイは、デイジーチェーンで接続され、制御装置は、各ディスプレイ内のバックライトおよび制御部以外の負荷回路に電力を供給する待ち時間を表わす数値を含むコマンドを接続されているディスプレイへ送信し、各ディスプレイの制御部は、第1のポートを通じて受信したコマンドに含まれる待ち時間を表わす数値に従って、電源から負荷回路に電力を供給するとともに、受信したコマンドに含まれる待ち時間を表わす数値を増加して修正したコマンドを第2のポートを通じて次のディスプレイへ送信する。
【0010】
本発明は、制御装置と複数個のディスプレイからなるマルチディスプレイシステムであって、各ディスプレイは、透過型液晶パネルと、透過型液晶パネルの背面に配置されるバックライトと、電源と、制御部とを備え、制御装置および複数個のディスプレイは、デイジーチェーンで接続され、制御装置は、バックライトに電力を供給する待ち時間を表わし、かつ各ディスプレイ内のバックライトおよび制御部以外の負荷回路に電力を供給する待ち時間を表わす数値を含むコマンドを接続されているディスプレイへ送信し、各ディスプレイの制御部は、第1のポートを通じて受信したコマンドに含まれる待ち時間を表わす数値に従って、負荷回路およびバックライトに電力を供給するとともに、受信したコマンドに含まれる待ち時間を表わす数値を増加して修正したコマンドを第2のポートを通じて次のディスプレイへ送信する。
【0011】
好ましくは、待ち時間を表わす数値を記憶するメモリをさらに備え、制御部は、電源スイッチがオンにされた後、メモリから待ち時間を表わす数値を読み出してから数値に応じて待ち時間が経過した後に電源から負荷回路に電力を供給させる。
【0012】
好ましくは、待ち時間を表わす数値を記憶するメモリをさらに備え、制御部は、電源スイッチがオンにされた後、メモリから待ち時間を表わす数値を読み出し、液晶パネルに表示する映像信号が入力されないときには、液晶パネルに表示する映像信号がない旨のメッセージを出力し、メッセージを出力してから数値に応じた待ち時間が経過した後に電源からバックライトに一定時間電力を供給させ、その後、電源からバックライトへの電力の供給を停止させる。
【0013】
好ましくは、制御部は、バックライトへの電力の供給を停止後、液晶パネルに表示する映像信号が入力されたときには、さらに、数値に応じた待ち時間に基づいて、バックライトへの電力の供給を再開させる。
【0014】
好ましくは、待ち時間を表わす数値を記憶するメモリをさらに備え、制御部は、電源スイッチがオンにされた後、メモリから待ち時間を表わす数値を読み出し、液晶パネルに表示する映像信号が入力されているときには、液晶パネルに映像信号を出力し、映像信号を出力してから数値に応じた待ち時間が経過した後に電源からバックライトに電力を供給させる。
【0015】
好ましくは、待ち時間を表わす数値は、整数値であり、各ディスプレイの制御部は、コマンドに含まれる待ち時間を表わす数値を自身のID番号とする。
【0016】
好ましくは、各ディスプレイの制御部は、コマンドに含まれる待ち時間を表わす数値を1だけ増加して修正したコマンドを次のディスプレイへ送信する。
【0017】
好ましくは、各ディスプレイの制御部は、待ち時間を表わす数値に一定の係数を乗算した値を電源から電力を供給するまでの待ち時間とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、共通の制御部によって複数のディスプレイの電源を起動するタイミングを制御することなく、電源起動時に発生する突入電流によりブレーカーやヒューズが切れるトラブルを回避できることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施の形態のマルチディスプレイシステムの構成を表わす図である。
【図2】本実施の形態のディスプレイの構成を表わす図である。
【図3】図1および図2のディスプレイのID番号の設定と電源制御の動作手順を表わすフローチャートである。
【図4】図1および図2のディスプレイのID番号の設定と電源制御の動作手順を表わすフローチャートである。
【図5】第1のコマンド「IDST***+」によるディスプレイのIDおよび待ち時間の設定の例を説明するための図である。
【図6】負荷回路へ電力が供給されるタイミングを説明するための図である。
【図7】バックライトへ電力が供給されるタイミングを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(マルチディスプレイシステムの構成)
図1は、本実施の形態のマルチディスプレイシステムの構成を表わす図である。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態のディスプレイシステムは、PC(Personal Computer)と、複数のディスプレイで構成される。
【0022】
PCおよび複数のディスプレイとの間は、RS232Cによってデイジーチェーンで接続される。すなわち、PC、ディスプレイ#1、ディスプレイ#2、ディスプレイ#3、ディスプレイ#4、ディスプレイ#5、ディスプレイ#6、ディスプレイ#7、ディスプレイ#8、ディスプレイ#9の順に数珠つなぎで接続される。それぞれの装置の間は、RS232Cケーブルで接続される。
【0023】
ディスプレイ#n(n=2〜8)の第1のシリアルポートP1は、ディスプレイ#n−1と第2のシリアルポートP2と接続され、ディスプレイ#nの第2のシリアルポートP2は、ディスプレイ#n+1の第1のシリアルポートP1と接続される。
【0024】
ディスプレイ#9の第1のシリアルポートP1は、ディスプレイ#8の第2のシリアルポートP2と接続される。ディスプレイ#1の第1のシリアルポートP1は、PCのシリアルポートPと接続され、ディスプレイ#1の第2のシリアルポートP2は、ディスプレイ#2の第1のシリアルポートP1と接続される。
【0025】
複数のディスプレイは、縦に3個、横に3個配置され、全体で1つの画像が表示される。
【0026】
(ディスプレイの構成)
図2は、本実施の形態のディスプレイの構成を表わす図である。
【0027】
図2を参照して、ディスプレイは、スケーラ1と、メモリ8と、映像信号入力部3と、シリアル制御部4と、LAN(Local Area Network)制御部5と、キー操作部6と、IR(InfraRed)受信部7と、時計タイマ部13と、メイン電源2と、AC電源供給部14と、液晶表示ユニット9と、バックライト用電源12とを備える。
【0028】
AC電源供給部14は、AC電源のスイッチがオンになると、メイン電源2へ電力を供給する。
【0029】
スケーラ1は、LSI(Large Scale Integration)で構成され、内部にはCPU(Central Processing Unit)またはマイコンを装備し、画像処理や音声処理を行なう、スケーラ1は、IOポートを通じて、メイン電源2へ第1電源制御信号CDを出力し、IOポートを通じて、バックライト用電源12へ第2電源制御信号CEを出力する。
【0030】
メイン電源2は、ディスプレイ内部の電気回路を駆動する。メイン電源2は、AC電源のスイッチがオンされると、常時、スケーラ1へ電力を供給する。メイン電源2は、第1電源制御信号CDがイネーブルになると、スケーラ1およびバックライト11以外の電気回路(以下、負荷回路という)へ電力を供給する。
【0031】
バックライト用電源12は、メイン電源2からの電圧を昇圧して、バックライト11へ供給する。バックライト用電源12は、第2電源制御信号CEがイネーブルになると、メイン電源2から供給される電力の電圧を昇圧して、バックライト11へ供給する。バックライト用電源12は、一般にインバーター電源である。
【0032】
映像信号入力部3は、外部からの映像信号が入力される。映像信号入力部3は、具体的には、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)端子、RGBコネクタ、またはDVI(Digital Visual Interface)端子などで構成される。
【0033】
シリアル制御部4は、RS232Cケーブルと接続される。シリアル制御部4は、第1のコマンド〜第4のコマンド、およびこれらのコマンドに対する応答などのシリアル信号を入出力する。
【0034】
LAN制御部5は、LANの信号を入出力する。
キー操作部6は、ユーザからディスプレイを操作するためのキー入力を受付ける。
【0035】
IR受信部7は、ディスプレイを操作するリモコンからの制御信号(IRまたはBluetouth)を受信する。
【0036】
メモリ8は、ディスプレイの表示モードおよび各入力信号をユーザの好みに調整するデータやプログラムを記憶する。また、メモリ8は、ディスプレイのID番号、負荷回路へ電力を供給するための待ち時間である第1WAIT時間WD、およびバックライト11へ電力を供給するための待ち時間である第2WAIT時間WEを記憶する。
【0037】
液晶表示ユニット9は、映像を表示する透過型の液晶パネル10と、透過型の液晶パネル10の背面に配置される液晶の表示を見やすくするためのバックライト11で構成される。バックライト11には、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)、HCFL(Hot Cathode Fluorescent Lamp)、LED(Light Emitting Diode)等の光源である。
【0038】
時計タイマ部13は、第1タイマTD、および第2タイマTEを含む。
(動作)
図3および図4は、図1および図2のディスプレイのID番号の設定と電源制御の動作手順を表わすフローチャートである。
【0039】
AC電源供給部14は、キー操作部6からAC電源のスイッチがオン、またはIR受信部7からリモコンのAC電源のスイッチがオンになると、メイン電源2へ電力を供給する。メイン電源2は、スケーラ1に電力を供給する(ステップS101)。
【0040】
次に、スケーラ1は、メモリ8から自装置のID番号と、負荷回路へ電力を供給するための待ち時間である第1WAIT時間WD、バックライト11へ電力を供給するための待ち時間である第2WAIT時間WEを読出す(ステップS102)。
【0041】
スケーラ1は、時計タイマ部13を制御して、負荷回路への電力供給のための第1タイマTDをスタートさせる(ステップS103)。
【0042】
次に、スケーラ1は、第1タイマTDの値が第1WAIT時間WDに達したら、第1電源制御信号CDをイネーブルに設定する(ステップS104)。
【0043】
メイン電源2は、第1電源制御信号CDがイネーブルになると、負荷回路へ電力を供給する。これによって、負荷回路が動作する(ステップS105)。
【0044】
キー操作部6からのキー入力がある(ステップS106でYES)、または映像信号入力部3からの映像信号の入力がある(ステップS107でYES)場合には、スケーラ1は、液晶パネル10の解像度に応じて映像信号をスケーリング(拡大または縮小)し、スケーリングによって生成された画像データを液晶パネル10に転送する。液晶パネル10は、転送された画像データを表示する(ステップS119)。
【0045】
次に、スケーラ1は、時計タイマ部13を制御して、バックライト11への電力供給のための第2タイマTEをスタートさせる(ステップS120)。
【0046】
スケーラ1は、第2タイマTEの値が第2WAIT時間WEに達したら、第2電源制御信号CEをイネーブルに設定する(ステップS121)。
【0047】
バックライト用電源12は、第2電源制御信号CEがイネーブルになると、バックライト11へ電力を供給する。これによって、バックライト11が点灯し、液晶パネル10に表示される画像が見える状態となる(ステップS122)。
【0048】
スケーラ1は、キー操作部6を通じてユーザから入力されたキー操作のデータをメモリ8から読み出して、実行する(ステップS123)。
【0049】
スケーラ1は、シリアル制御部4からのコマンド入力、キー操作部6からのキー入力、および映像信号入力部3からの映像信号入力があるかどうかを監視する。
【0050】
シリアル制御部4からのコマンド入力があった場合には(ステップS125でYES)、ステップS151以降の処理に進む。
【0051】
キー操作部6からのキー入力があった場合には(ステップS126でYES)、キー入力のデータをメモリ8に記憶し(ステップS127)、ステップS124に戻る。
【0052】
映像信号入力部3からの映像信号の入力が継続中の場合には(ステップS128でYES)、ステップS124に戻る。映像信号の入力が終了した場合には(ステップS128でNO)、ステップS108に以降する。
【0053】
キー操作部6からのキー入力がなく(ステップS106でNO)、かつ映像信号入力部3からの映像信号の入力がない(ステップS107でNO)場合には、スケーラ1は、液晶パネル10にOSD(オン・スクリーン・ディスプレイ)機能を用いて、「映像信号なし」の画像データを転送する。液晶パネル10は、転送された画像データを表示する(ステップS108)。
【0054】
次に、スケーラ1は、時計タイマ部13を制御して、バックライト11への電力供給のための第2タイマTEをスタートさせる(ステップS109)。
【0055】
スケーラ1は、第2タイマTEの値が第2WAIT時間WEに達したら、第2電源制御信号CEをイネーブルに設定する(ステップS110)。
【0056】
バックライト用電源12は、第2電源制御信号CEがイネーブルになると、バックライト11へ電力を供給する。これによって、バックライト11が点灯し、液晶パネル10に表示される画像が見える(ステップS111)。
【0057】
その後、スケーラ1は、一定時間が経過したら、第1電源制御信号CDおよび第2電源制御信号CEをディセーブルに設定する。第1電源制御信号CDがディセーブルに設定されると、メイン電源2は、負荷回路への電力供給を停止する。第2電源制御信号CEがディセーブルになると、バックライト用電源12は、バックライト11への電力供給を停止する。これによって、負荷回路が動作しないとともにバックライト11が消灯し、省電力モードに移行する(ステップS112)。
【0058】
スケーラ1は、シリアル制御部4からのコマンド入力、キー操作部6からのキー入力、および映像信号入力部3からの映像信号入力があるかどうかを監視する。
【0059】
シリアル制御部4からのコマンド入力があった場合には(ステップS114でYES)、ステップS151以降の処理に進む。
【0060】
キー操作部6からのキー入力があった場合には(ステップS115でYES)、キー入力のデータをメモリ8に記憶し(ステップS116)、ステップS102に戻る。
【0061】
映像信号入力部3からの映像信号の入力があった場合には(ステップS117でYES)、省電力モードから復帰し(ステップS118)、ステップS102に戻り、映像信号の入力がない場合には(ステップS117でNO)、ステップS113に戻る。
【0062】
スケーラ1は、シリアル制御部4からのコマンド入力があった場合には、コマンドを分析し、以下のようにコマンドに応じた処理を行なう(ステップS151)。
【0063】
スケーラ1は、第1のシリアルポートP1に入力されたコマンドが「IDST」で始まる第1のコマンドの場合には(ステップS152でYES)、第1のコマンドに含まれ、「IDST」に続く指定番号nを自装置のID番号としてメモリ8に記憶する(ステップS153)。
【0064】
さらに、スケーラ1は、デフォルト値(0秒)を第1WAIT時間WDとしてメモリ8に記憶し、デフォルト値(0秒)を第2WAIT時間WEとしてメモリ8に記憶する(ステップS154)。
【0065】
さらに、スケーラ1は、第1のコマンドの最後に「+」が付いている場合には(ステップS155でYES)、受取った指定番号nをインクリメントし、インクリメントした値(n+1)を指定番号として含み、かつ最後に「+」を含む第1のコマンドを第2のシリアルポートP2に接続されている次のディスプレイへ出力する(ステップS156)。
【0066】
次に、スケーラ1は、第1のシリアルポートP1に接続されている前のディスプレイ(またはPC)へ「OK」と自装置のID番号からなる応答を出力する(ステップS157)。
【0067】
スケーラ1は、第1のシリアルポートP1に入力されたコマンドが「IDPP」で始まる第2のコマンドの場合には(ステップS158でYES)、第2のコマンドに含まれ、「IDPP」に続く指定番号nを自装置のID番号としてメモリ8に記憶する(ステップS159)。
【0068】
さらに、スケーラ1は、n(=ID番号)×ΔT1秒を第1WAIT時間WDとしてメモリ8に記憶する(ステップS160)。
【0069】
さらに、スケーラ1は、第2のコマンドの最後に「+」が付いている場合には(ステップS161でYES)、受取った指定番号nをインクリメントし、インクリメントした値(n+1)を指定番号として含み、かつ最後に「+」を含む第2のコマンドを第2のシリアルポートP2に接続されている次のディスプレイへ出力する(ステップS161)。
【0070】
次に、スケーラ1は、第1のシリアルポートP1に接続されている前のディスプレイ(またはPC)へ「OK」と自装置のID番号からなる応答を出力する(ステップS157)。
【0071】
スケーラ1は、第1のシリアルポートP1に入力されたコマンドが「IDPS」で始まる第3のコマンドの場合には(ステップS163でYES)、第3のコマンドに含まれ、「IDPS」に続く指定番号nを自装置のID番号としてメモリ8に記憶する(ステップS164)。
【0072】
さらに、スケーラ1は、n(=ID番号)×ΔT2秒を第2WAIT時間WEとしてメモリ8に記憶する(ステップS165)。
【0073】
さらに、スケーラ1は、第3のコマンドの最後に「+」が付いている場合には(ステップS166でYES)、受取った指定番号nをインクリメントし、インクリメントした値(n+1)を指定番号として含み、かつ最後に「+」を含む第3のコマンドを第2のシリアルポートP2に接続されている次のディスプレイへ出力する(ステップS166)。
【0074】
次に、スケーラ1は、第1のシリアルポートP1に接続されている前のディスプレイ(またはPC)へ「OK」と自装置のID番号からなる応答を出力する(ステップS157)。
【0075】
スケーラ1は、第1のシリアルポートP1に入力されたコマンドが「IDXX」で始まる第4のコマンドの場合には(ステップS168でYES)、第4のコマンドに含まれ、「IDXX」に続く指定番号nを自装置のID番号としてメモリ8に記憶する(ステップS169)。
【0076】
さらに、スケーラ1は、n(=ID番号)×ΔT1秒を第1WAIT時間WDとしてメモリ8に記憶し、n(=ID番号)×ΔT2秒を第2WAIT時間WEとしてメモリ8に記憶する(ステップS170)。
【0077】
さらに、スケーラ1は、第4のコマンドの最後に「+」が付いている場合には(ステップS171でYES)、受取った指定番号nをインクリメントし、インクリメントした値(n+1)を指定番号として含み、かつ最後に「+」を含む第4のコマンドを第2のシリアルポートP2に接続されている次のディスプレイへ出力する(ステップS172)。
【0078】
次に、スケーラ1は、第1のシリアルポートP1に接続されている前のディスプレイ(またはPC)へ「OK」と自装置のID番号からなる応答を出力する(ステップS157)。
【0079】
スケーラ1は、第2のシリアルポートP2に入力されたコマンドが「OK」とID番号からなる応答の場合には(ステップS173でYES)、第1のシリアルポートP1に接続されている前のディスプレイ(またはPC)へこの応答を送信する(ステップS174)。
【0080】
映像信号表示中の場合には(ステップS175でYES)、スケーラ1は、ステップS124に戻る。映像信号表示中でない場合には(ステップS175でNO)、スケーラ1は、ステップS113に戻る。
【0081】
(第1のコマンドによるディスプレイのIDおよび待ち時間の設定の例)
図5は、第1のコマンド「IDST***+」によるディスプレイのIDおよび待ち時間の設定の例を説明するための図である。
【0082】
PCに近い方のディスプレイからID番号が順番に設定される。第1のコマンド「IDST***+」は、ディスプレイへ割り当てるID番号とバックライト11のオン(バックライト11へ電力を供給する)の待ち時間である第2WAIT時間WEを設定するコマンドである。「***」は、ID番号を表わす。「+」はリピータ制御を表わす。第1のコマンドに対して、応答「OK***」が返信される。「***」は、ID番号を表わす。
【0083】
まず、PCは、自装置のシリアルポートPに接続されたディスプレイに対して、第1のコマンド「IDST001+1」を発行する。
【0084】
第1のシリアルポートP1を介して「IDST001+1」のコマンドを受信したディスプレイ#1は、自装置のID番号を「1」に設定し、第2WAIT時間WEを「1×ΔT2」に設定する。ID番号「1」のディスプレイ#1は、応答「OK001」を第1のシリアルポートP1を介してPCへ送信する。PCは、シリアルポートPを介して「OK001」を受信すると、「OK001」を自身のモニタに表示する。ID番号が「1」のディスプレイ#1は、ID番号をインクリメントし、自装置の第2のシリアルポートP2に接続されたディスプレイ#2に第1のコマンド「IDST002+」を発行する。
【0085】
第1のシリアルポートP1を介して「IDST002+1」のコマンドを受信したディスプレイ#2は、自装置のID番号を「2」に設定し、第2WAIT時間WEを「2×ΔT2」に設定する。ID番号「2」のディスプレイ#2は、「OK002」を第1のシリアルポートP1を介してPCへ送信する。ID番号が「1」のディススプレイ#1は、第2のシリアルポートP2を通じて応答「OK002」を受信する。ID番号が「1」のディススプレイ#1は、第1のシリアルポートP1を通じて応答「OK002」をPCへ送信する。PCは、シリアルポートPを介して「OK002」を受信すると、「OK002」を自身のモニタに表示する。ID番号が「2」に設定されたディスプレイ#2は、ID番号をインクリメントし、接続されている次のディスプレイ#3に「IDST003+」のコマンドを発行する。
【0086】
同様の処理が、ディスプレイ#3〜ディスプレイ#8について行なわれる。
最後に、第1のシリアルポートP1を介して「IDST009+1」のコマンドを受信したディスプレイ#9は、自装置のID番号を「9」に設定する。ID番号「9」のディスプレイ#9は、「OK009」を第1のシリアルポートP1を通じてID番号が「8」のディススプレイ#8へ送信する。ID番号が「8」のディススプレイは、第2のシリアルポートP2を通じて応答「OK009」を受信する。ID番号が「8」のディススプレイは、第1のシリアルポートP1を通じて応答「OK009」をID番号が「7」のディススプレイへ送信する。ID番号が「7」〜「1」のディスプレイがこれを繰返すことによって、PCが、シリアルポートPを介して「OK009」を受信すると、「OK009」を自身のモニタに表示する。ID番号が「9」に設定されたディスプレイは、ID番号をインクリメントし、接続されている次のディスプレイに「IDST010+」のコマンドを発行する。
【0087】
10台目のディスプレイが接続されていないため、PCは、応答「OK010」を受信しない。その結果、PCは、9台のディスプレイが接続されていることが認識できる。
【0088】
第2のコマンド「IDPP***+」、第3のコマンド「IDPS***+」、および第4のコマンド「IDXX***+」によるID番号の割当て、および待ち時間の設定も上記と同様の手続き(ただし、設定される待ち時間が異なる)なので、説明は繰返さない。
【0089】
(負荷回路へ電力が供給されるタイミング)
図6は、負荷回路へ電力が供給されるタイミングを説明するための図である。
【0090】
図6では、負荷回路へ電力が供給されるタイミングは、ΔT1秒単位設定される。
ディスプレイ(ID:1)〜ディスプレイ(ID:8)のすべてに同時にAC電源のスイッチがオンされる。
【0091】
ディスプレイ(ID:1)は、AC電源のスイッチがオンにされてからΔT1秒後に、負荷回路へ電力が供給されてディスプレイが動作を始める。
【0092】
ディスプレイ(ID:2)は、AC電源のスイッチがオンにされてから2×ΔT1秒後に、負荷回路へ電力が供給されてディスプレイが動作を始める。
【0093】
同様に、順次ディスプレイ(ID:n)まで、AC電源のスイッチがオンにされてからn×ΔT1秒後に、負荷回路へ電力が供給されてディスプレイが動作を始める。
【0094】
以上のようにして、負荷回路へ電力が供給されるタイミングがディスプレイごとに相違するので、突入電流を抑制することができる。
【0095】
(バックライト11へ電力が供給されるタイミング)
図7は、バックライト11へ電力が供給されるタイミングを説明するための図である。
【0096】
図7では、バックライト11へ電力が供給されるタイミングは、ΔT2秒単位設定される。
【0097】
ディスプレイ(ID:1)〜ディスプレイ(ID:8)のすべてに同時にAC電源のスイッチがオンされる。
【0098】
ディスプレイ(ID:1)は、AC電源のスイッチがオンにされてからΔT2秒後に、バックライト11へ電力が供給されて、バックライト11が点灯し液晶パネル10に表示された映像が見える。
【0099】
ディスプレイ(ID:2)は、AC電源のスイッチがオンにされてから2×ΔT2秒後に、バックライト11へ電力が供給されて、バックライト11が点灯し液晶パネル10に表示された映像が見える。
【0100】
同様に、順次ディスプレイ(ID:n)まで、AC電源のスイッチがオンにされてからn×ΔT2秒後に、バックライト11へ電力が供給されて、バックライト11が点灯し液晶パネル10に表示された映像が見える。
【0101】
以上のようにして、バックライト11へ電力が供給されるタイミングがディスプレイごとに相違するので、突入電流を抑制することができる。
【0102】
(効果)
以上のように、本実施の形態によれば、複数台のディスプレイを接続してマルチ表示を行なう場合、負荷回路およびバックライト11の電源が順番にオンになるので、同時に電源がオンになることによる突入電流が増大するのを防止し、屋内配線のブレーカーやヒューズが切れるトラブルを回避することができる。
【0103】
(変形例)
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、たとえば以下のような変形例も含む。
【0104】
(1) ID番号、待ち時間
本発明の実施形態では、第1〜第4のコマンドの後に続く数値をコマンドを受信したディスプレイのID番号したが、ID番号を割り当てることは必須ではない。また、コマンドに続く数値は、整数値に限定されない。
【0105】
また、コマンドの後に続く数値を1だけ増加して修正したコマンドを次のディスプレイに送信したが、1以外の任意の量(整数値または小数値)だけ増加して修正したコマンドを次のディスプレイへ送信することとしてもよい。
【0106】
本発明の実施形態では、第1WAIT時間をID番号×ΔT1、第2WAIT時間をID番号×ΔT2としたが、このΔT1、ΔT2は、「1」であってもよい。
【0107】
(2) 省電力モード
本発明の実施形態では、ステップS112の省電力モードでは、第1電源制御信号CDおよび第2電源制御信号CEをディセーブルに設定し、負荷回路への電力供給を停止するとともに、バックライト11への電力供給を停止することとしたが、これに限定するものではない。たとえば、第2電源制御信号CEのみをディセーブルに設定して、バックライト11への電力供給を停止することとしてもよい。
【0108】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0109】
1 スケーラ、2 メイン電源、3 映像信号入力部、4 シリアル制御部、5 LAN制御部、6 キー操作部、7 IR受信部、8 メモリ、9 液晶表示ユニット、10 液晶パネル、11 バックライト、12 バックライト用電源、13 時計タイマ部、14 AC電源供給部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置と複数個のディスプレイからなるマルチディスプレイシステムであって、
各ディスプレイは、透過型液晶パネルと、前記透過型液晶パネルの背面に配置されるバックライトと、電源と、制御部とを備え、
前記制御装置および前記複数個のディスプレイは、デイジーチェーンで接続され、
前記制御装置は、バックライトに電力を供給する待ち時間を表わす数値を含むコマンドを接続されているディスプレイへ送信し、
各ディスプレイの制御部は、第1のポートを通じて受信した前記コマンドに含まれる前記待ち時間を表わす数値に従って、前記電源からバックライトに電力を供給させるとともに、前記受信したコマンドに含まれる前記待ち時間を表わす数値を増加して修正した前記コマンドを第2のポートを通じて次のディスプレイへ送信する、マルチディスプレイシステム。
【請求項2】
制御装置と複数個のディスプレイからなるマルチディスプレイシステムであって、
各ディスプレイは、透過型液晶パネルと、前記透過型液晶パネルの背面に配置されるバックライトと、電源と、制御部とを備え、
前記制御装置および前記複数個のディスプレイは、デイジーチェーンで接続され、
前記制御装置は、各ディスプレイ内の前記バックライトおよび前記制御部以外の負荷回路に電力を供給する待ち時間を表わす数値を含むコマンドを接続されているディスプレイへ送信し、
各ディスプレイの制御部は、第1のポートを通じて受信した前記コマンドに含まれる前記待ち時間を表わす数値に従って、前記電源から負荷回路に電力を供給するとともに、前記受信したコマンドに含まれる前記待ち時間を表わす数値を増加して修正した前記コマンドを第2のポートを通じて次のディスプレイへ送信する、マルチディスプレイシステム。
【請求項3】
制御装置と複数個のディスプレイからなるマルチディスプレイシステムであって、
各ディスプレイは、透過型液晶パネルと、前記透過型液晶パネルの背面に配置されるバックライトと、電源と、制御部とを備え、
前記制御装置および前記複数個のディスプレイは、デイジーチェーンで接続され、
前記制御装置は、前記バックライトに電力を供給する待ち時間を表わし、かつ前記各ディスプレイ内の前記バックライトおよび前記制御部以外の負荷回路に電力を供給する待ち時間を表わす数値を含むコマンドを接続されているディスプレイへ送信し、
各ディスプレイの制御部は、第1のポートを通じて受信した前記コマンドに含まれる前記待ち時間を表わす数値に従って、前記負荷回路および前記バックライトに電力を供給するとともに、前記受信したコマンドに含まれる前記待ち時間を表わす数値を増加して修正した前記コマンドを第2のポートを通じて次のディスプレイへ送信する、マルチディスプレイシステム。
【請求項4】
前記待ち時間を表わす数値を記憶するメモリをさらに備え、
前記制御部は、電源スイッチがオンにされた後、前記メモリから前記待ち時間を表わす数値を読み出してから前記数値に応じて待ち時間が経過した後に前記電源から前記負荷回路に電力を供給させる、請求項2または3記載のマルチディスプレイシステム。
【請求項5】
前記待ち時間を表わす数値を記憶するメモリをさらに備え、
前記制御部は、電源スイッチがオンにされた後、前記メモリから前記待ち時間を表わす数値を読み出し、前記液晶パネルに表示する映像信号が入力されないときには、前記液晶パネルに表示する映像信号がない旨のメッセージを出力し、前記メッセージを出力してから前記数値に応じた待ち時間が経過した後に前記電源から前記バックライトに一定時間電力を供給させ、その後、前記電源から前記バックライトへの電力の供給を停止させる、請求項1または3記載のマルチディスプレイシステム。
【請求項6】
前記制御部は、前記バックライトへの電力の供給を停止後、前記液晶パネルに表示する映像信号が入力されたときには、さらに、前記数値に応じた待ち時間に基づいて、前記バックライトへの電力の供給を再開させる、請求項5記載のマルチディスプレイシステム。
【請求項7】
前記待ち時間を表わす数値を記憶するメモリをさらに備え、
前記制御部は、電源スイッチがオンにされた後、前記メモリから前記待ち時間を表わす数値を読み出し、前記液晶パネルに表示する映像信号が入力されているときには、前記液晶パネルに前記映像信号を出力し、前記映像信号を出力してから前記数値に応じた待ち時間が経過した後に前記電源から前記バックライトに電力を供給させる、請求項1または3記載のマルチディスプレイシステム。
【請求項8】
前記待ち時間を表わす数値は、整数値であり、
各ディスプレイの制御部は、前記コマンドに含まれる前記待ち時間を表わす数値を自身のID番号とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマルチディスプレイシステム。
【請求項9】
各ディスプレイの制御部は、前記コマンドに含まれる前記待ち時間を表わす数値を1だけ増加して修正した前記コマンドを次のディスプレイへ送信する、請求項8記載のマルチディスプレイシステム。
【請求項10】
各ディスプレイの制御部は、前記待ち時間を表わす数値に一定の係数を乗算した値を前記電源から電力を供給するまでの待ち時間とする、請求項9記載のマルチディスプレイシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−113205(P2012−113205A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263317(P2010−263317)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】