マルチホップネットワークシステム、サーバおよび経路通知方法
【課題】通信経路通知処理によるネットワークにかかる負荷の軽減を図る。
【解決手段】サーバ100が、親装置200−1,200−2と中継装置300−1〜300−10とから報告される接続情報に基づいて、パケットデータの通信経路を示す通信経路表を作成し、作成した通信経路表を親装置200−1,200−2と中継装置300−1〜300−10と子装置400−1〜400−8とへ配布し、子装置400−1〜400−8が、配布された通信経路表に基づいて、パケットデータを通信経路表に示されている中継装置300−1〜300−10へ送信し、中継装置300−1〜300−10が、配布された通信経路表に基づいて、子装置400−1〜400−8から送信されてきたパケットデータを通信経路表に示されている中継装置300−1〜300−10または親装置200−1,200−2へ転送する。
【解決手段】サーバ100が、親装置200−1,200−2と中継装置300−1〜300−10とから報告される接続情報に基づいて、パケットデータの通信経路を示す通信経路表を作成し、作成した通信経路表を親装置200−1,200−2と中継装置300−1〜300−10と子装置400−1〜400−8とへ配布し、子装置400−1〜400−8が、配布された通信経路表に基づいて、パケットデータを通信経路表に示されている中継装置300−1〜300−10へ送信し、中継装置300−1〜300−10が、配布された通信経路表に基づいて、子装置400−1〜400−8から送信されてきたパケットデータを通信経路表に示されている中継装置300−1〜300−10または親装置200−1,200−2へ転送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通信装置から構成されたマルチホップネットワークシステム、通信装置を管理するサーバおよびマルチホップネットワークシステムにおける経路通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の基地局を介してマルチポップ通信を行うことで通信エリアの拡大を図るメッシュプロトコル技術については、IEEE802.11s等の規格にてフレーム拡張方法や拡張したフィールドを使っての通信方式が議論されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
また、複数の通信装置の間でパケットデータをマルチホッピングすることにより、バケツリレー的にパケット伝送を可能とするマルチホップの通信方式で利用されるマルチホップネットワーク(または、アドホックネットワークやMANET(Mobile Ad−hoc Network))が知られている。このマルチホップネットワークにおいて用いられるルーティングプロトコル(経路選択/制御プロトコル)については、IETF(Internet Engineering Task Force)のMANETワーキンググループやIEEE802.11sに複数のルーティング方式が提案・公開されており、標準化が進められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】青木秀憲、竹田真二、柳生健吾、山田曉、「IEEE802.11s無線LANメッシュネットワーク技術」、NTT DoCoMoテクニカル・ジャーナル、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ、2006年7月1日、Vol.14、No.2、p.14−22
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した技術においては、以下に挙げるような問題点がある。
【0006】
第1の問題点は、マルチホップネットワークでは、ネットワークの規模が大きくなると、当該ネットワークに属する通信装置への要求性能が高くなり、ルーティング制御等のためにネットワーク全体で送受信される制御パケット数の増加と、通信装置の数の増加とに伴い通信量が増加し、それによる輻輳や伝送遅延の増大が生じてしまうことである。また、ネットワーク全体での消費電力も増大してしまうことである。それは、以下の理由によるものである。
【0007】
マルチポップネットワークでは、最終的な宛先にパケットデータが到達するためのルーティング経路を示す通信経路表を作成する必要がある。この通信経路表を作成するには、一般的なルーティングプロトコルでは、通信装置は、まず、経路探索のためブロードキャストパケットを送信する。送信されたブロードキャストパケットを受信した通信装置は、経路探索範囲を広げるため、当該ブロードキャストパケットを再送信する。この様に、経路探索のためのブロードキャストパケットをネットワーク全体に伝搬させることで目的のパケット転送先を発見し、通信経路表を作成する。
【0008】
このように、ブロードキャストパケットをネットワーク全体に伝搬することにより、大規模なネットワークにおいては、経路探索のためのパケットの送信量が増大し、送受信パケット数の増加に伴い、ネットワークの輻輳や伝送遅延が生じてしまう。
【0009】
また、各通信装置で取得した経路情報を保持、更新することが必要となる。
【0010】
さらに、演算能力の低い通信装置では、経路検索のためのブロードキャストパケットの中継能力や、送信パケットの中継能力が制限される。そのため、この中継能力の制限から伝送遅延が生じたり、ネットワーク全体のスループットが低下してしまったりするおそれがある。
【0011】
これらの理由により、規模の大きなマルチポップネットワークに属する通信装置には、高い演算性能や、潤沢なリソースが要求される。その要求に応じて各通信装置が処理を行うと、通信装置の消費電力が増加し、ひいては、ネットワーク全体としての消費電力の増大を招いてしまう。
【0012】
また、現在、提案されているルーティングプロトコルに、マルチホップネットワークに適用可能な方式として、MANET(Mobile Ad−hoc Network)−WG(Working Group)にて議論されているAODV(Ad−hoc On Demand Distance Vector)プロトコルや、OLSR(Optimized Link State Routing)等複数方式がある。第2の問題点は、これらのいずれの方式も定期的な経路確認による経路情報のアップデートを行わなければならないということである。それは、以下の理由によるものである。
【0013】
これらのプロトコルでは、通信装置の移動や、通信装置の電源OFF/ONを前提としているため、定期的な経路情報のアップデートが欠かせない。これは、通信装置が移動すると、互いに同じID(Identification)(例えば、MAC(Media Access Control)アドレス)が複数の場所に存在することとなり、ルーティングを行うことが不可能となるからである。
【0014】
第3の問題点は、マルチホップネットワークでは、ホップ数の増加、すなわち経由する通信装置の数(中継ノード数)が増加すると、通信品質の劣化、スループットの低下等の品質劣化が生じてしまうということである。
【0015】
その理由は、中継ノード数の増加に伴い、パケット送受信回数が増加することにより、パケット廃棄の確率が増加するためと、中継ノード数の処理遅延によりパケットデータの転送遅延が増加するためとで、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(InternetProtocol)等のプロトコルでは、応答確認時間が増加し、スループットが低下してしまうからである。
【0016】
本発明の目的は、上述した課題を解決するマルチホップネットワークシステム、サーバおよび経路通知方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のマルチホップネットワークシステムは、
マルチホップ通信を行うマルチホップネットワークシステムであって、
当該マルチホップネットワークシステムの最上位に接続されている親装置と、
当該マルチホップネットワークシステムの末端に接続されている子装置と、
前記子装置から前記親装置へ送信されたパケットデータを転送する中継装置と、
前記前記親装置と中継装置とから報告される接続情報に基づいて、前記パケットデータの通信経路を示す通信経路表を作成し、該作成した通信経路表を前記親装置と前記中継装置と前記子装置とへ配布するサーバとから構成され、
前記親装置は、前記接続情報を前記サーバへ報告し、
前記子装置は、前記サーバから配布された通信経路表に基づいて、前記パケットデータを該通信経路表に示されている中継装置へ送信し、
前記中継装置は、前記接続情報を前記サーバへ報告し、前記サーバから配布された通信経路表に基づいて、前記子装置から送信されてきた前記パケットデータを該通信経路表に示されている中継装置または親装置へ転送する。
【0018】
また、本発明のサーバは、
マルチホップ通信を行うマルチホップネットワークシステムを構成する複数の通信装置から報告される接続情報に基づいて、前記通信装置が送受信するパケットデータの通信経路を示す通信経路表を作成する経路表作成部と、
前記経路表作成部が作成した通信経路表を、前記複数の通信装置へ配布する経路表配布部とを有する。
【0019】
また、本発明の経路通知方法は、
マルチホップネットワークシステムの末端に接続されている子装置から、中継装置を介して、前記マルチホップネットワークシステムの最上位に接続されている親装置へパケットデータを送信する通信経路を通知する経路通知方法であって、
前記親装置が、当該親装置の接続情報を、当該親装置と接続されたサーバへ報告する処理と、
前記中継装置が、当該中継装置の接続情報を前記サーバへ報告する処理と、
前記サーバが、前記親装置と前記中継装置とから報告される接続情報に基づいて、前記パケットデータの通信経路を示す通信経路表を作成する処理と、
前記サーバが、前記作成した通信経路表を前記親装置と前記中継装置と前記子装置とへ配布する処理と、
前記子装置が、前記サーバから配布された通信経路表に基づいて、前記パケットデータを該通信経路表に示されている中継装置へ送信する処理と、
前記中継装置が、前記サーバから配布された通信経路表に基づいて、前記子装置から送信されてきた前記パケットデータを該通信経路表に示されている中継装置または親装置へ転送する処理とを行う。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明においては、通信経路通知処理によるネットワークにかかる負荷の軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のマルチホップネットワークシステムの実施の一形態を示す図である。
【図2】図1に示したサーバの内部構成の一例を示す図である。
【図3】図1に示した中継装置の内部構成の一例を示す図である。
【図4】図1に示した子装置に具備された経路表記憶部に記憶されている通信経路表の一例を示す図である。
【図5】図1に示した中継装置に具備された経路表記憶部に記憶されている通信経路表の一例を示す図である。
【図6】図4および図5に示したような通信経路表が経路表記憶部に記憶されている場合の、子装置から親装置へ送信されるパケットデータの通信経路を示す図である。
【図7】通信経路表の配布の処理を説明するために、図1に示した形態を簡略化したマルチホップネットワークの接続形態の一例を示す図である。
【図8】IEEE802.11の規格で用いられる一般的なパケットデータのフォーマットを示す図である。
【図9】図7に示したサーバから親装置を介して中継装置および子装置へ配布される通信経路表が含まれたパケットデータの構成の一例を示す図である。
【図10】中継装置にて編集されたパケットデータの構成の一例を示す図である。
【図11】送信タイミングに応じたパケットデータの送信の様子を示す図である。
【図12】本形態における経路通知方法を説明するためのシーケンス図である。
【図13】物理的なマルチホップネットワークの一例を示す図である。
【図14】図13に示した物理的なマルチホップネットワーク上に構成する仮想マルチホップネットワークの一例を示す図である。
【図15】図13に示した物理的なマルチホップネットワーク上に構成する仮想マルチホップネットワークの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、マルチホップネットワークの基本概念や、基本動作、基本構成については当業者には既知であるため、ここでは詳しい説明を省略する。
【0023】
図1は、本発明のマルチホップネットワークシステムの実施の一形態を示す図である。
【0024】
本形態は図1に示すように、サーバ100と、親装置200−1,200−2と、中継装置300−1〜300−10と、子装置400−1〜400−8とから構成されている。
【0025】
親装置200−1,200−2、中継装置300−1〜300−10および子装置400−1〜400−8は、パケットデータを送受信する通信装置である。なお、これらの通信には、無線を用いても良いし、有線を用いても良い。
【0026】
また、中継装置300−1〜300−10および子装置400−1〜400−8は、互いに同等の機能を具備しており、中継(転送)動作を行うか行わないかという点のみが異なる。なお、中継装置300−1〜300−10および子装置400−1〜400−8が、互いに異なる機能を具備しているものであっても良い。
【0027】
また、親装置200−1と、中継装置300−1,300−2,300−5〜300−10と、子装置400−1〜400−5とから、マルチホップ通信を行うマルチホップネットワーク500−1を構成している。
【0028】
また、親装置200−2と、中継装置300−3,300−4,300−8と、子装置400−2,400−6〜400−8とから、マルチホップ通信を行うマルチホップネットワーク500−2を構成している。
【0029】
また、中継装置300−8および子装置400−2は、マルチホップネットワーク500−1とマルチホップネットワーク500−2との双方に属している。
【0030】
また、サーバ100は、親装置200−1,200−2と接続されている。
【0031】
また、親装置200−1は、中継装置300−1,300−2と接続されている。
【0032】
また、親装置200−2は、中継装置300−3,300−4と接続されている。
【0033】
また、中継装置300−1は、親装置200−1以外に、中継装置300−2,300−5,300−6と接続されている。
【0034】
また、中継装置300−2は、親装置200−1および中継装置300−1以外に、中継装置300−6〜300−8と接続されている。
【0035】
また、中継装置300−3は、親装置200−2以外に、中継装置300−4,300−8および子装置400−6,400−7と接続されている。
【0036】
また、中継装置300−4は、親装置200−2および中継装置300−3以外に、子装置400−7,400−8と接続されている。
【0037】
また、中継装置300−5は、中継装置300−1以外に、中継装置300−9,300−10と接続されている。
【0038】
また、中継装置300−6は、中継装置300−1,300−2以外に、中継装置300−10および子装置400−1と接続されている。
【0039】
また、中継装置300−7は、中継装置300−2以外に、子装置400−1,400−2と接続されている。
【0040】
また、中継装置300−8は、中継装置300−2,300−3以外に、子装置400−2,400−6と接続されている。
【0041】
また、中継装置300−9は、中継装置300−5以外に、子装置400−3,400−4と接続されている。
【0042】
また、中継装置300−10は、中継装置300−5,300−6以外に、子装置400−3〜400−5と接続されている。
【0043】
なお、図1では、サーバ100と、親装置200−1,200−2と、中継装置300−1〜300−10と、子装置400−1〜400−8とが、ツリー構造で接続されているネットワークを示しているが、論理的に親装置200−1,200−2を頂点(最上位)とし、また子装置400−1〜400−8を末端とし、子装置400−1〜400−8から親装置200−1,200−2へ送信されたパケットデータを中継装置300−1〜300−10が転送(中継)するネットワークトポロジであれば良く、物理的に図1に示したような接続であることに限らない。
【0044】
サーバ100は、親装置200−1,200−2、中継装置300−1〜300−10から報告される接続情報に基づいて、パケットデータの通信経路を示す通信経路表を作成または更新する。また、サーバ100は、作成または更新した通信経路表を親装置200−1,200−2、中継装置300−1〜300−10および子装置400−1〜400−8へ配布する。
【0045】
また、サーバ100は、通信経路表を作成する際、例えば、子装置400−3から親装置200−1へパケットデータを送信する際に、中継装置300−9,300−5,300−1を介する通信経路と、中継装置300−10,300−6,300−2を介する通信経路とのように、複数の通信経路が存在する場合、その複数の通信経路を示す通信経路表を作成する。
【0046】
また、サーバ100は、通信経路表を作成する際、親装置200−1,200−2、中継装置300−1〜300−10、および子装置400−1〜400−8それぞれがパケットデータを送信する送信タイミングを含めて、通信経路表を作成する。この送信タイミングの詳細については、後述する。
【0047】
また、サーバ100は、通信経路表を作成する際、親装置200−1,200−2、中継装置300−1〜300−10から、それぞれにおけるパケットデータの受信品質を示す受信品質情報が送信されてきた場合、受信品質情報が示す受信品質に基づいて、通信経路に優先順位を付与し、その優先順位を示す優先順位情報を含めて、通信経路表を作成する。具体的には、受信品質が悪い(例えば、電界強度が所定の閾値よりも弱い等)経路に、低い優先順位を付与したり、また受信品質の良い(例えば、エラーレートが所定の閾値よりも低い等)経路に、高い優先順位を付与したりする。
【0048】
親装置200−1,200−2は、親装置200−1,200−2と接続された中継装置を示す情報である接続情報をサーバ100へ報告する。
【0049】
中継装置300−1〜300−10は、中継装置300−1〜300−10と接続された中継装置や子装置を示す情報である接続情報をサーバ100へ報告する。また、中継装置300−1〜300−10は、サーバ100から配布された通信経路表に基づいて、子装置から送信されてきたパケットデータを通信経路表に示されている中継装置または親装置へ転送する。
【0050】
また、中継装置300−1〜300−10は、サーバ100から配布された通信経路表に示されている送信タイミングに応じたタイミングで、パケットデータを転送する。
【0051】
また、中継装置300−1〜300−10は、当該中継装置300−1〜300−10との接続されている中継装置および子装置以外に、新たに中継装置または子装置の接続があった際、当該接続を示す接続情報をサーバ100へ報告する。
【0052】
また、中継装置300−1〜300−10は、通信経路表に示されている通信経路すべてが通信不可能となった場合、自律ルーティング機能を用いて通信を継続し、自律ルーティング機能を用いて取得した接続情報をサーバ100へ報告する。
【0053】
また、中継装置300−1〜300−10は、サーバ100から配布された通信経路表に示されている優先順位情報が示す優先順位に基づいて、パケットデータを転送する。
【0054】
また、子装置400−1〜400−8は、サーバ100から配布された通信経路表に基づいて、パケットデータを通信経路表に示されている中継装置へ送信する。
【0055】
また、子装置400−1〜400−8は、サーバ100から配布された通信経路表に示されている送信タイミングに応じたタイミングで、パケットデータを送信する。
【0056】
また、子装置400−1〜400−8は、サーバ100から配布された通信経路表に示されている優先順位情報が示す優先順位に基づいて、パケットデータを送信する。
【0057】
図2は、図1に示したサーバ100の内部構成の一例を示す図である。
【0058】
図1に示したサーバ100には図2に示すように、送受信部110と、経路表作成部120と、経路表配布部130とが設けられている。なお、図2には、図1に示したサーバ100が具備する構成要素のうち、本発明に関わる構成要素のみを示した。
【0059】
送受信部110は、親装置200−1,200−2との間でパケットデータの送受信を行う。
【0060】
経路表作成部120は、親装置200−1,200−2および中継装置300−1〜300−10から報告される接続情報に基づいて、子装置400−1〜400−8から親装置200−1,200−2へ送信されたパケットデータの通信経路を示す通信経路表を作成する。
【0061】
経路表配布部130は、経路表作成部120が作成した通信経路表を、送受信部110を介して、親装置200−1,200−2、中継装置300−1〜300−10および子装置400−1〜400−8へ配布する。
【0062】
図3は、図1に示した中継装置300−1の内部構成の一例を示す図である。なお、中継装置300−2〜300−10および子装置400−1〜400−8の内部構成についても、中継装置300−1の内部構成と同じである。
【0063】
図1に示した中継装置300−1には図3に示すように、送受信部310と、経路表記憶部320と、パケット中継部330と、ルーティング処理部340と、タイミング制御部350と、統計データ管理部360と、統計データ記憶部370とが設けられている。なお、図3には、図1に示した中継装置300−1が具備する構成要素のうち、本発明に関わる構成要素のみを示した。
【0064】
送受信部310は、中継装置300−1と接続されている親装置200−1、中継装置300−2,300−5,300−6との間でパケットデータの送受信を行う。
【0065】
経路表記憶部320は、サーバ100から親装置200−1を介して配布された通信経路表を記憶する。経路表記憶部320に記憶された具体的な通信経路表については、後述する。
【0066】
パケット中継部330は、子装置から中継装置を介して送信されてきた親装置200−1宛てのパケットデータを、送受信部310を介して中継(転送)する。このとき、パケット中継部330は、送信されてきたパケットデータの宛先を参照し、当該パケットデータが中継装置300−1宛てのパケットデータではない場合、経路表記憶部320に記憶されている通信経路表を参照して、通信経路表に示された親装置または中継装置へ当該パケットデータを転送する。
【0067】
ルーティング処理部340は、経路表記憶部320に記憶されている通信経路表の有効性を判断し、複数の通信経路が経路表記憶部320に記憶されている場合、その有効無効や優先順位に基づいて、利用する通信経路を決定する。また、ルーティング処理部340は、経路表記憶部320に有効な通信経路が記憶されていない場合、自律ルーティングを行い、有効な通信経路の検索を行い、検索により発見(取得)した通信経路を経路表記憶部320に追加して記憶させる。また、ルーティング処理部340は、取得した通信経路を接続情報として送受信部310を介してサーバ100へ報告する。
【0068】
また、ルーティング処理部340は、経路表記憶部320に有効な通信経路が記憶されている場合には、宛て先毎に記憶されている優先順位に従い、最も優先順位の高い転送先へパケット転送を行う。また、ルーティング処理部340は、最も優先順位の高い転送先へのパケット転送に失敗した場合、経路表記憶部320に記憶されている、対応する有効無効フラグを無効に設定する。これにより、次に優先順位が高い転送先へ受信パケットが転送される。
【0069】
タイミング制御部350は、パケットデータを送信するタイミングを、経路表記憶部320に記憶されている通信経路表に含まれる送信タイミングに基づいて、制御する。
【0070】
統計データ管理部360は、送受信部310によって受信される全てのパケットデータの受信情報を収集する。受信情報を収集する目的は、安定した通信を行うためである。収集する受信情報は、例えば、受信パケットデータの送信元情報、受信パケットデータの受信電界強度、受信パケットデータのエラーレート、受信パケットデータの伝送路遅延等の受信品質情報が挙げられる。統計データ管理部360は、収集した受信情報のうち、受信品質情報を送信元毎に、統計データ記憶部370に書き込む。また、統計データ管理部360は、統計データ記憶部370に記憶されている受信品質情報を定期的に読み出し、サーバ100へ報告(送信)する。
【0071】
統計データ記憶部370は、統計データ管理部360によって書き込まれた受信情報をテーブル形式で記憶する。
【0072】
以下に、経路表記憶部320に記憶されている通信経路表について、2つの例を挙げて説明する。
【0073】
図4は、図1に示した子装置400−1に具備された経路表記憶部に記憶されている通信経路表の一例を示す図である。
【0074】
図1に示した子装置400−1に具備された経路表記憶部には図4に示すように、送信するパケットデータの宛先と、当該パケットデータを転送する転送先(直接接続されている装置のうちの送信先)と、当該パケットデータの送信の優先順位を示す優先順位(ここでは、小さな数値であればあるほど、優先順位は高い)と、その通信経路が有効であるか無効であるかを示す有効無効フラグと、接続を許可するかどうかを示す接続許可とが対応付けられて記憶されている。この接続許可は、「許可」または「禁止」を示す。「禁止」を示している場合、他のすべての経路が使用不可能になった場合であっても、使用することはできない。また、有効無効フラグや接続許可については、1ビットのデータで表すものであっても良い。例えば、有効無効フラグが「1」である場合、有効を表し、有効無効フラグが「0」である場合は、無効を表すものであっても良い。
【0075】
例えば、図4に示すように、宛先「親装置200−1」と、転送先「中継装置300−6」と、優先順位「1」と、有効無効フラグ「有効」と、接続許可「許可」とが対応付けられている。これは、親装置200−1へ送信するパケットデータを中継装置300−6へ転送する通信経路は、有効であり、その優先順位が高く、接続が許可されていることを示している。また、宛先「親装置200−1」と、転送先「中継装置300−7」と、優先順位「2」と、有効無効フラグ「有効」と、接続許可「許可」とが対応付けられている。これは、親装置200−1へ送信するパケットデータを中継装置300−7へ転送する通信経路は、有効であり、その優先順位が低く、接続が許可されていることを示している。また、宛先「親装置200−2」と、転送先「中継装置300−8」と、優先順位「1」と、有効無効フラグ「無効」と、接続許可「許可」とが対応付けられている。これは、親装置200−2へ送信するパケットデータを中継装置300−8へ転送する通信経路は、優先順位が高く、接続が許可されているが、無効であることを示している。
【0076】
図5は、図1に示した中継装置300−6に具備された経路表記憶部に記憶されている通信経路表の一例を示す図である。
【0077】
図1に示した中継装置300−6に具備された経路表記憶部には図5に示すように、図4に示した子装置400−1に具備された経路表記憶部に記憶されている通信経路表と同様に、送信するパケットデータの宛先と、当該パケットデータを転送する転送先(直接接続されている装置のうちの送信先)と、当該パケットデータの送信の優先順位を示す優先順位(ここでは、小さな数値であればあるほど、優先順位は高い)と、その通信経路が有効であるか無効であるかを示す有効無効フラグと、接続を許可するかどうかを示す接続許可とが対応付けられて記憶されている。
【0078】
例えば、図5に示すように、宛先「親装置200−1」と、転送先「中継装置300−1」と、優先順位「1」と、有効無効フラグ「有効」と、接続許可「許可」とが対応付けられている。これは、親装置200−1へ送信するパケットデータを中継装置300−1へ転送する通信経路は、有効であり、その優先順位が高く、接続が許可されていることを示している。
【0079】
また、宛先「親装置200−1」と、転送先「中継装置300−2」と、優先順位「2」と、有効無効フラグ「有効」と、接続許可「許可」とが対応付けられている。これは、親装置200−1へ送信するパケットデータを中継装置300−2へ転送する通信経路は、有効であり、その優先順位が低く、接続が許可されていることを示している。
【0080】
また、宛先「中継装置300−10」と、転送先「中継装置300−10」と、優先順位「1」と、有効無効フラグ「有効」と、接続許可「許可」とが対応付けられている。これは、中継装置300−10へパケットデータを送信する場合、中継装置300−10は中継装置300−6と直接接続されているため、その転送先は中継装置300−10であり、その通信経路は有効であり、その優先順位が高く、接続が許可されていることを示している。
【0081】
また、宛先「子装置400−1」と、転送先「子装置400−1」と、優先順位「1」と、有効無効フラグ「有効」と、接続許可「許可」とが対応付けられている。これは、子装置400−1へパケットデータを送信する場合、子装置400−1は中継装置300−6と直接接続されているため、その転送先は子装置400−1であり、その通信経路は有効であり、その優先順位が高く、接続が許可されていることを示している。
【0082】
また、宛先「子装置400−3」と、転送先「中継装置300−10」と、優先順位「1」と、有効無効フラグ「有効」と、接続許可「許可」とが対応付けられている。これは、子装置400−3へ送信するパケットデータを中継装置300−10へ転送する通信経路は、有効であり、その優先順位が高く、接続が許可されていることを示している。
【0083】
また、宛先「子装置400−4」と、転送先「中継装置300−10」と、優先順位「1」と、有効無効フラグ「有効」と、接続許可「許可」とが対応付けられている。これは、子装置400−4へ送信するパケットデータを中継装置300−10へ転送する通信経路は、有効であり、その優先順位が高く、接続が許可されていることを示している。
【0084】
また、宛先「子装置400−5」と、転送先「中継装置300−10」と、優先順位「1」と、有効無効フラグ「有効」と、接続許可「許可」とが対応付けられている。これは、子装置400−5へ送信するパケットデータを中継装置300−10へ転送する通信経路は、有効であり、その優先順位が高く、接続が許可されていることを示している。
【0085】
このように、子装置から親装置へ送信されるパケットデータの通信経路だけではなく、親装置から子装置へ送信されるパケットデータの通信経路を記憶しておくことにより、親装置から子装置への通信経路を制御することも可能となる。
【0086】
図6は、図4および図5に示したような通信経路表が経路表記憶部に記憶されている場合の、子装置400−1から親装置200−1へ送信されるパケットデータの通信経路を示す図である。
【0087】
図4および図5に示したような通信経路表が経路表記憶部に記憶されている場合の通信経路600−1,600−2はそれぞれ図6に示すように、
(1)子装置400−1→中継装置300−6→中継装置300−1→親装置200−1
(2)子装置400−1→中継装置300−6→中継装置300−2→親装置200−1
となる。
【0088】
また、中継装置300−7の経路表記憶部に、子装置400−1から親装置200−1へ送信されるパケットデータの転送先が中継装置300−2である通信経路が記憶されている場合、
(3)子装置400−1→中継装置300−7→中継装置300−2→親装置200−1
も、通信経路600−3となる。
【0089】
なお、上述した例では、子装置400−1〜400−8から親装置200−1,200−2へパケットデータを送信する場合を例に挙げて説明したが、親装置200−1,200−2から子装置400−1〜400−8へパケットデータを送信する場合も同様の処理が可能であることは言うまでもない。
【0090】
以下に、通信経路表の配布について説明する。
【0091】
図7は、通信経路表の配布の処理を説明するために、図1に示した形態を簡略化したマルチホップネットワークの接続形態の一例を示す図である。
【0092】
図7に示すような、サーバ100と、親装置200−1と、中継装置300−1,300−2と、子装置400−1〜400−3とから構成されたマルチホップネットワークにおいて、通信経路表の配布の処理を説明する。
【0093】
図8は、IEEE802.11の規格で用いられる一般的なパケットデータのフォーマットを示す図である。本発明では、PHYレイヤおよびMACレイヤの方式は問わない。
【0094】
パケットデータは図8に示すように、PLDP(Physical Layer Convergence Protocol)プリアンブルと、PLCPヘッダと、IEEE802.11ヘッダと、データ部と、FCS(Frame Check Sequence)部との各フィールドから構成されている。各フィールドについては、一般的に使用されているものであるため、ここでは説明は省略する。
【0095】
図9は、図7に示したサーバ100から親装置200−1を介して中継装置300−1および子装置400−1へ配布される通信経路表が含まれたパケットデータの構成の一例を示す図である。
【0096】
図7に示したサーバ100から親装置200−1を介して中継装置300−1および子装置400−1へ配布される通信経路表が含まれたパケットデータの構成は図9に示すように、IEEE802.11ヘッダとデータ部との間に、通信経路(通信経路表)と送信タイミングとが挿入されている。
【0097】
図9に示した例では、通信経路として、中継装置300−1と、子装置400−1とが示されている。これは、子装置400−1から親装置200−1へ送信されるパケットデータの通信経路が、
子装置400−1→中継装置300−1→親装置200−1
であることを示している。
【0098】
また、子装置400−1がパケットデータを送信する送信タイミング(送信時刻)が「t1」であることを示している。
【0099】
図9に示した通信経路表を含んだパケットデータがサーバ100から親装置200−1を介して中継装置300−1へ送信されると、中継装置300−1にて当該パケットデータが編集される。
【0100】
図10は、中継装置300−1にて編集されたパケットデータの構成の一例を示す図である。
【0101】
図10に示すように、中継装置300−1にて編集されたパケットデータが編集されると、中継装置300−1へ送信されてきたパケットデータに含まれる通信経路表において、中継装置300−1を示す情報が、通過ノードを示す情報とされる。つまり、中継装置300−1にて、中継装置300−1が通信経路とされていることを認識すれば、子装置400−1にて、中継装置300−1は通過ノードとして認識されれば良い。
【0102】
また、編集されたパケットデータは、中継装置300−1から子装置400−1へ送信される。そして、子装置400−1では、通過ノードに子装置400−1が含まれていないことを確認し、パケットデータを送信する。このとき、子装置400−1は、送信タイミングt1を保持しておき、時刻がt1になったときに、親装置200−1宛てのパケットデータを中継装置300−1へ送信する。
【0103】
以下に、パケットデータの送信タイミングについて説明する。
【0104】
図11は、送信タイミングに応じたパケットデータの送信の様子を示す図である。ここで、「t0」は、送信の基準となる時刻である。また、t1〜t6があらかじめ設定されており、それらが配布される通信経路表に含まれている。
【0105】
ここで、以下の送信タイミングが、配布される通信経路表に示されている場合を例に挙げる。
【0106】
子装置400−1から中継装置300−1を介して親装置200−1へ送信されるパケットデータの子装置400−1からの送信タイミングは「t1」であることが、子装置400−1および中継装置300−1へ配布される通信経路表に示されている。また、子装置400−2から中継装置300−1を介して親装置200−1へ送信されるパケットデータの子装置400−2からの送信タイミングは「t2」であることが、子装置400−2および中継装置300−1へ配布される通信経路表に示されている。また、子装置400−3から中継装置300−2を介して親装置200−1へ送信されるパケットデータの子装置400−3からの送信タイミングは「t3」であることが、子装置400−3および中継装置300−2へ配布される通信経路表に示されている。また、中継装置300−1から親装置200−1へ送信されるパケットデータの中継装置300−1からの送信タイミングは「t4」であることが、中継装置300−1へ配布される通信経路表に示されている。また、中継装置300−2から親装置200−1へ送信されるパケットデータの中継装置300−2からの送信タイミングは「t5」であることが、中継装置300−2へ配布される通信経路表に示されている。また、親装置200−1からサーバ100へ送信されるパケットデータの親装置200−1からの送信タイミングは「t6」であることが、親装置200−1へ配布される通信経路表に示されている。
【0107】
図11に示すように、時刻「t1」にて、子装置400−1から中継装置300−1へパケットデータが送信される。その後、そのパケットデータを受信した中継装置300−1は、待ち合わせをすることなく、当該パケットデータを親装置200−1へ送信する。
【0108】
また、時刻「t2」にて、子装置400−2から中継装置300−1へパケットデータが送信される。その後、そのパケットデータを受信した中継装置300−1は、待ち合わせをすることなく、当該パケットデータを親装置200−1へ送信する。
【0109】
また、時刻「t3」にて、子装置400−3から中継装置300−2へパケットデータが送信される。その後、そのパケットデータを受信した中継装置300−2は、待ち合わせをすることなく、当該パケットデータを親装置200−1へ送信する。
【0110】
また、時刻「t4」にて、中継装置300−1から親装置200−1へパケットデータが送信される。
【0111】
また、時刻「t5」にて、中継装置300−2から親装置200−1へパケットデータが送信される。
【0112】
また、時刻「t6」にて、親装置200−1からサーバ100へパケットデータが送信される。この親装置200−1が送信するパケットデータは、子装置400−1〜400−3および中継装置300−1,300−2から送信されてきたパケットデータを編集したものである。
【0113】
このように子装置、中継装置および親装置それぞれに互いに異なるパケット送信タイミングを付与することで、マルチホップネットワーク内でのパケット衝突を回避する。それぞれのパケット送信タイミングは、ネットワークトポロジを考慮したうえで、サーバ100が通信経路表を作成する際に決定する。
【0114】
また、新たにマルチホップネットワークに属した装置には、送信タイミング情報が付与されないため、パケット衝突の可能性が発生するおそれがある。このため、無線LAN(Local Area Network)等で一般的に使用されるキャリアセンスによる衝突回避手段も同時に使用することになるが、上述した衝突回避メカニズムは、各無線方式のMACレイヤやPHYレイヤの上位レイヤでの実現方法であり、各無線方式のMACレイヤやPHYレイヤの衝突回避メカニズムと同時使用は可能である。
【0115】
以下に、本形態における経路通知方法について説明する。
【0116】
図12は、本形態における経路通知方法を説明するためのシーケンス図である。図12および以下の説明において、装置200,300,400は、親装置200−1,200−2、中継装置300−1〜300−10、および子装置400−1〜400−8を示す。
【0117】
まず、装置200,300,400からサーバ100へ接続情報が報告されると(ステップS1)、サーバ100の経路表作成部120にて当該接続情報に基づいて通信経路表が作成される(ステップS2)。
【0118】
すると、経路表作成部120にて作成された通信経路表が、サーバ100の経路表配布部130から送受信部110を介して、装置200,300,400へ配布される(ステップS3)。
【0119】
その後、配布された通信経路表にしたがって、装置200,300,400からパケットデータが送信される(ステップS4)。
【0120】
次に、物理的なマルチホップネットワーク上に構成する仮想マルチホップネットワークについて説明する。
【0121】
図13は、物理的なマルチホップネットワークの一例を示す図である。
【0122】
図14は、図13に示した物理的なマルチホップネットワーク上に構成する仮想マルチホップネットワークの一例を示す図である。
【0123】
図14に示すように、図13に示した物理的なマルチホップネットワークに対して、中継装置300−7,300−9および子装置400−1〜400−3を通信経路表に含めないことで、斜線で示したこれらの装置を含めない仮想的なマルチホップネットワークを構成することができる。
【0124】
図15は、図13に示した物理的なマルチホップネットワーク上に構成する仮想マルチホップネットワークの他の例を示す図である。
【0125】
図15に示すように、図13に示した物理的なマルチホップネットワークに対して、中継装置300−5,300−9,300−10および子装置400−3〜400−5を通信経路表に含めないことで、斜線で示したこれらの装置を含めない仮想的なマルチホップネットワークを構成することができる。
【0126】
このように、通信経路表に所定の装置を含めないことにより、1つの物理的なマルチホップネットワーク上に複数の仮想的なマルチホップネットワークを構成することができる。
【0127】
以上説明したように、本発明においては、マルチホップネットワークにおいて、あらかじめ通信経路情報を生成し、配布することで、ルーティング処理にかかる負担を軽減させることができる。また、タイミング情報を通信経路表に含めて配布することにより、パケットの衝突とパケットの衝突による再送処理とを軽減し、低消費電力なマルチホップネットワークシステムを提供することができる。
【0128】
一般的に、自律的なルーティング処理を行う場合、経路探索用のブロードキャストを周囲に伝搬させることでパケット通信先を発見する。これにより、ブロードキャストパケットはネットワーク全体に拡散してしまう。本発明は、このブロードキャストパケットの拡散を回避し、不要なパケット送信を行わないことで、最も電力消費の大きなパケット通信を必要最低限に抑えることが可能となる。
【符号の説明】
【0129】
100 サーバ
110,310 送受信部
120 経路表作成部
130 経路表配布部
200−1,200−2 親装置
300−1〜300−10 中継装置
320 経路表記憶部
330 パケット中継部
340 ルーティング処理部
350 タイミング制御部
360 統計データ管理部
370 統計データ記憶部
400−1〜400−8 子装置
500−1,500−2 マルチホップネットワーク
600−1〜600−3 通信経路
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通信装置から構成されたマルチホップネットワークシステム、通信装置を管理するサーバおよびマルチホップネットワークシステムにおける経路通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の基地局を介してマルチポップ通信を行うことで通信エリアの拡大を図るメッシュプロトコル技術については、IEEE802.11s等の規格にてフレーム拡張方法や拡張したフィールドを使っての通信方式が議論されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
また、複数の通信装置の間でパケットデータをマルチホッピングすることにより、バケツリレー的にパケット伝送を可能とするマルチホップの通信方式で利用されるマルチホップネットワーク(または、アドホックネットワークやMANET(Mobile Ad−hoc Network))が知られている。このマルチホップネットワークにおいて用いられるルーティングプロトコル(経路選択/制御プロトコル)については、IETF(Internet Engineering Task Force)のMANETワーキンググループやIEEE802.11sに複数のルーティング方式が提案・公開されており、標準化が進められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】青木秀憲、竹田真二、柳生健吾、山田曉、「IEEE802.11s無線LANメッシュネットワーク技術」、NTT DoCoMoテクニカル・ジャーナル、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ、2006年7月1日、Vol.14、No.2、p.14−22
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した技術においては、以下に挙げるような問題点がある。
【0006】
第1の問題点は、マルチホップネットワークでは、ネットワークの規模が大きくなると、当該ネットワークに属する通信装置への要求性能が高くなり、ルーティング制御等のためにネットワーク全体で送受信される制御パケット数の増加と、通信装置の数の増加とに伴い通信量が増加し、それによる輻輳や伝送遅延の増大が生じてしまうことである。また、ネットワーク全体での消費電力も増大してしまうことである。それは、以下の理由によるものである。
【0007】
マルチポップネットワークでは、最終的な宛先にパケットデータが到達するためのルーティング経路を示す通信経路表を作成する必要がある。この通信経路表を作成するには、一般的なルーティングプロトコルでは、通信装置は、まず、経路探索のためブロードキャストパケットを送信する。送信されたブロードキャストパケットを受信した通信装置は、経路探索範囲を広げるため、当該ブロードキャストパケットを再送信する。この様に、経路探索のためのブロードキャストパケットをネットワーク全体に伝搬させることで目的のパケット転送先を発見し、通信経路表を作成する。
【0008】
このように、ブロードキャストパケットをネットワーク全体に伝搬することにより、大規模なネットワークにおいては、経路探索のためのパケットの送信量が増大し、送受信パケット数の増加に伴い、ネットワークの輻輳や伝送遅延が生じてしまう。
【0009】
また、各通信装置で取得した経路情報を保持、更新することが必要となる。
【0010】
さらに、演算能力の低い通信装置では、経路検索のためのブロードキャストパケットの中継能力や、送信パケットの中継能力が制限される。そのため、この中継能力の制限から伝送遅延が生じたり、ネットワーク全体のスループットが低下してしまったりするおそれがある。
【0011】
これらの理由により、規模の大きなマルチポップネットワークに属する通信装置には、高い演算性能や、潤沢なリソースが要求される。その要求に応じて各通信装置が処理を行うと、通信装置の消費電力が増加し、ひいては、ネットワーク全体としての消費電力の増大を招いてしまう。
【0012】
また、現在、提案されているルーティングプロトコルに、マルチホップネットワークに適用可能な方式として、MANET(Mobile Ad−hoc Network)−WG(Working Group)にて議論されているAODV(Ad−hoc On Demand Distance Vector)プロトコルや、OLSR(Optimized Link State Routing)等複数方式がある。第2の問題点は、これらのいずれの方式も定期的な経路確認による経路情報のアップデートを行わなければならないということである。それは、以下の理由によるものである。
【0013】
これらのプロトコルでは、通信装置の移動や、通信装置の電源OFF/ONを前提としているため、定期的な経路情報のアップデートが欠かせない。これは、通信装置が移動すると、互いに同じID(Identification)(例えば、MAC(Media Access Control)アドレス)が複数の場所に存在することとなり、ルーティングを行うことが不可能となるからである。
【0014】
第3の問題点は、マルチホップネットワークでは、ホップ数の増加、すなわち経由する通信装置の数(中継ノード数)が増加すると、通信品質の劣化、スループットの低下等の品質劣化が生じてしまうということである。
【0015】
その理由は、中継ノード数の増加に伴い、パケット送受信回数が増加することにより、パケット廃棄の確率が増加するためと、中継ノード数の処理遅延によりパケットデータの転送遅延が増加するためとで、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(InternetProtocol)等のプロトコルでは、応答確認時間が増加し、スループットが低下してしまうからである。
【0016】
本発明の目的は、上述した課題を解決するマルチホップネットワークシステム、サーバおよび経路通知方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のマルチホップネットワークシステムは、
マルチホップ通信を行うマルチホップネットワークシステムであって、
当該マルチホップネットワークシステムの最上位に接続されている親装置と、
当該マルチホップネットワークシステムの末端に接続されている子装置と、
前記子装置から前記親装置へ送信されたパケットデータを転送する中継装置と、
前記前記親装置と中継装置とから報告される接続情報に基づいて、前記パケットデータの通信経路を示す通信経路表を作成し、該作成した通信経路表を前記親装置と前記中継装置と前記子装置とへ配布するサーバとから構成され、
前記親装置は、前記接続情報を前記サーバへ報告し、
前記子装置は、前記サーバから配布された通信経路表に基づいて、前記パケットデータを該通信経路表に示されている中継装置へ送信し、
前記中継装置は、前記接続情報を前記サーバへ報告し、前記サーバから配布された通信経路表に基づいて、前記子装置から送信されてきた前記パケットデータを該通信経路表に示されている中継装置または親装置へ転送する。
【0018】
また、本発明のサーバは、
マルチホップ通信を行うマルチホップネットワークシステムを構成する複数の通信装置から報告される接続情報に基づいて、前記通信装置が送受信するパケットデータの通信経路を示す通信経路表を作成する経路表作成部と、
前記経路表作成部が作成した通信経路表を、前記複数の通信装置へ配布する経路表配布部とを有する。
【0019】
また、本発明の経路通知方法は、
マルチホップネットワークシステムの末端に接続されている子装置から、中継装置を介して、前記マルチホップネットワークシステムの最上位に接続されている親装置へパケットデータを送信する通信経路を通知する経路通知方法であって、
前記親装置が、当該親装置の接続情報を、当該親装置と接続されたサーバへ報告する処理と、
前記中継装置が、当該中継装置の接続情報を前記サーバへ報告する処理と、
前記サーバが、前記親装置と前記中継装置とから報告される接続情報に基づいて、前記パケットデータの通信経路を示す通信経路表を作成する処理と、
前記サーバが、前記作成した通信経路表を前記親装置と前記中継装置と前記子装置とへ配布する処理と、
前記子装置が、前記サーバから配布された通信経路表に基づいて、前記パケットデータを該通信経路表に示されている中継装置へ送信する処理と、
前記中継装置が、前記サーバから配布された通信経路表に基づいて、前記子装置から送信されてきた前記パケットデータを該通信経路表に示されている中継装置または親装置へ転送する処理とを行う。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明においては、通信経路通知処理によるネットワークにかかる負荷の軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のマルチホップネットワークシステムの実施の一形態を示す図である。
【図2】図1に示したサーバの内部構成の一例を示す図である。
【図3】図1に示した中継装置の内部構成の一例を示す図である。
【図4】図1に示した子装置に具備された経路表記憶部に記憶されている通信経路表の一例を示す図である。
【図5】図1に示した中継装置に具備された経路表記憶部に記憶されている通信経路表の一例を示す図である。
【図6】図4および図5に示したような通信経路表が経路表記憶部に記憶されている場合の、子装置から親装置へ送信されるパケットデータの通信経路を示す図である。
【図7】通信経路表の配布の処理を説明するために、図1に示した形態を簡略化したマルチホップネットワークの接続形態の一例を示す図である。
【図8】IEEE802.11の規格で用いられる一般的なパケットデータのフォーマットを示す図である。
【図9】図7に示したサーバから親装置を介して中継装置および子装置へ配布される通信経路表が含まれたパケットデータの構成の一例を示す図である。
【図10】中継装置にて編集されたパケットデータの構成の一例を示す図である。
【図11】送信タイミングに応じたパケットデータの送信の様子を示す図である。
【図12】本形態における経路通知方法を説明するためのシーケンス図である。
【図13】物理的なマルチホップネットワークの一例を示す図である。
【図14】図13に示した物理的なマルチホップネットワーク上に構成する仮想マルチホップネットワークの一例を示す図である。
【図15】図13に示した物理的なマルチホップネットワーク上に構成する仮想マルチホップネットワークの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、マルチホップネットワークの基本概念や、基本動作、基本構成については当業者には既知であるため、ここでは詳しい説明を省略する。
【0023】
図1は、本発明のマルチホップネットワークシステムの実施の一形態を示す図である。
【0024】
本形態は図1に示すように、サーバ100と、親装置200−1,200−2と、中継装置300−1〜300−10と、子装置400−1〜400−8とから構成されている。
【0025】
親装置200−1,200−2、中継装置300−1〜300−10および子装置400−1〜400−8は、パケットデータを送受信する通信装置である。なお、これらの通信には、無線を用いても良いし、有線を用いても良い。
【0026】
また、中継装置300−1〜300−10および子装置400−1〜400−8は、互いに同等の機能を具備しており、中継(転送)動作を行うか行わないかという点のみが異なる。なお、中継装置300−1〜300−10および子装置400−1〜400−8が、互いに異なる機能を具備しているものであっても良い。
【0027】
また、親装置200−1と、中継装置300−1,300−2,300−5〜300−10と、子装置400−1〜400−5とから、マルチホップ通信を行うマルチホップネットワーク500−1を構成している。
【0028】
また、親装置200−2と、中継装置300−3,300−4,300−8と、子装置400−2,400−6〜400−8とから、マルチホップ通信を行うマルチホップネットワーク500−2を構成している。
【0029】
また、中継装置300−8および子装置400−2は、マルチホップネットワーク500−1とマルチホップネットワーク500−2との双方に属している。
【0030】
また、サーバ100は、親装置200−1,200−2と接続されている。
【0031】
また、親装置200−1は、中継装置300−1,300−2と接続されている。
【0032】
また、親装置200−2は、中継装置300−3,300−4と接続されている。
【0033】
また、中継装置300−1は、親装置200−1以外に、中継装置300−2,300−5,300−6と接続されている。
【0034】
また、中継装置300−2は、親装置200−1および中継装置300−1以外に、中継装置300−6〜300−8と接続されている。
【0035】
また、中継装置300−3は、親装置200−2以外に、中継装置300−4,300−8および子装置400−6,400−7と接続されている。
【0036】
また、中継装置300−4は、親装置200−2および中継装置300−3以外に、子装置400−7,400−8と接続されている。
【0037】
また、中継装置300−5は、中継装置300−1以外に、中継装置300−9,300−10と接続されている。
【0038】
また、中継装置300−6は、中継装置300−1,300−2以外に、中継装置300−10および子装置400−1と接続されている。
【0039】
また、中継装置300−7は、中継装置300−2以外に、子装置400−1,400−2と接続されている。
【0040】
また、中継装置300−8は、中継装置300−2,300−3以外に、子装置400−2,400−6と接続されている。
【0041】
また、中継装置300−9は、中継装置300−5以外に、子装置400−3,400−4と接続されている。
【0042】
また、中継装置300−10は、中継装置300−5,300−6以外に、子装置400−3〜400−5と接続されている。
【0043】
なお、図1では、サーバ100と、親装置200−1,200−2と、中継装置300−1〜300−10と、子装置400−1〜400−8とが、ツリー構造で接続されているネットワークを示しているが、論理的に親装置200−1,200−2を頂点(最上位)とし、また子装置400−1〜400−8を末端とし、子装置400−1〜400−8から親装置200−1,200−2へ送信されたパケットデータを中継装置300−1〜300−10が転送(中継)するネットワークトポロジであれば良く、物理的に図1に示したような接続であることに限らない。
【0044】
サーバ100は、親装置200−1,200−2、中継装置300−1〜300−10から報告される接続情報に基づいて、パケットデータの通信経路を示す通信経路表を作成または更新する。また、サーバ100は、作成または更新した通信経路表を親装置200−1,200−2、中継装置300−1〜300−10および子装置400−1〜400−8へ配布する。
【0045】
また、サーバ100は、通信経路表を作成する際、例えば、子装置400−3から親装置200−1へパケットデータを送信する際に、中継装置300−9,300−5,300−1を介する通信経路と、中継装置300−10,300−6,300−2を介する通信経路とのように、複数の通信経路が存在する場合、その複数の通信経路を示す通信経路表を作成する。
【0046】
また、サーバ100は、通信経路表を作成する際、親装置200−1,200−2、中継装置300−1〜300−10、および子装置400−1〜400−8それぞれがパケットデータを送信する送信タイミングを含めて、通信経路表を作成する。この送信タイミングの詳細については、後述する。
【0047】
また、サーバ100は、通信経路表を作成する際、親装置200−1,200−2、中継装置300−1〜300−10から、それぞれにおけるパケットデータの受信品質を示す受信品質情報が送信されてきた場合、受信品質情報が示す受信品質に基づいて、通信経路に優先順位を付与し、その優先順位を示す優先順位情報を含めて、通信経路表を作成する。具体的には、受信品質が悪い(例えば、電界強度が所定の閾値よりも弱い等)経路に、低い優先順位を付与したり、また受信品質の良い(例えば、エラーレートが所定の閾値よりも低い等)経路に、高い優先順位を付与したりする。
【0048】
親装置200−1,200−2は、親装置200−1,200−2と接続された中継装置を示す情報である接続情報をサーバ100へ報告する。
【0049】
中継装置300−1〜300−10は、中継装置300−1〜300−10と接続された中継装置や子装置を示す情報である接続情報をサーバ100へ報告する。また、中継装置300−1〜300−10は、サーバ100から配布された通信経路表に基づいて、子装置から送信されてきたパケットデータを通信経路表に示されている中継装置または親装置へ転送する。
【0050】
また、中継装置300−1〜300−10は、サーバ100から配布された通信経路表に示されている送信タイミングに応じたタイミングで、パケットデータを転送する。
【0051】
また、中継装置300−1〜300−10は、当該中継装置300−1〜300−10との接続されている中継装置および子装置以外に、新たに中継装置または子装置の接続があった際、当該接続を示す接続情報をサーバ100へ報告する。
【0052】
また、中継装置300−1〜300−10は、通信経路表に示されている通信経路すべてが通信不可能となった場合、自律ルーティング機能を用いて通信を継続し、自律ルーティング機能を用いて取得した接続情報をサーバ100へ報告する。
【0053】
また、中継装置300−1〜300−10は、サーバ100から配布された通信経路表に示されている優先順位情報が示す優先順位に基づいて、パケットデータを転送する。
【0054】
また、子装置400−1〜400−8は、サーバ100から配布された通信経路表に基づいて、パケットデータを通信経路表に示されている中継装置へ送信する。
【0055】
また、子装置400−1〜400−8は、サーバ100から配布された通信経路表に示されている送信タイミングに応じたタイミングで、パケットデータを送信する。
【0056】
また、子装置400−1〜400−8は、サーバ100から配布された通信経路表に示されている優先順位情報が示す優先順位に基づいて、パケットデータを送信する。
【0057】
図2は、図1に示したサーバ100の内部構成の一例を示す図である。
【0058】
図1に示したサーバ100には図2に示すように、送受信部110と、経路表作成部120と、経路表配布部130とが設けられている。なお、図2には、図1に示したサーバ100が具備する構成要素のうち、本発明に関わる構成要素のみを示した。
【0059】
送受信部110は、親装置200−1,200−2との間でパケットデータの送受信を行う。
【0060】
経路表作成部120は、親装置200−1,200−2および中継装置300−1〜300−10から報告される接続情報に基づいて、子装置400−1〜400−8から親装置200−1,200−2へ送信されたパケットデータの通信経路を示す通信経路表を作成する。
【0061】
経路表配布部130は、経路表作成部120が作成した通信経路表を、送受信部110を介して、親装置200−1,200−2、中継装置300−1〜300−10および子装置400−1〜400−8へ配布する。
【0062】
図3は、図1に示した中継装置300−1の内部構成の一例を示す図である。なお、中継装置300−2〜300−10および子装置400−1〜400−8の内部構成についても、中継装置300−1の内部構成と同じである。
【0063】
図1に示した中継装置300−1には図3に示すように、送受信部310と、経路表記憶部320と、パケット中継部330と、ルーティング処理部340と、タイミング制御部350と、統計データ管理部360と、統計データ記憶部370とが設けられている。なお、図3には、図1に示した中継装置300−1が具備する構成要素のうち、本発明に関わる構成要素のみを示した。
【0064】
送受信部310は、中継装置300−1と接続されている親装置200−1、中継装置300−2,300−5,300−6との間でパケットデータの送受信を行う。
【0065】
経路表記憶部320は、サーバ100から親装置200−1を介して配布された通信経路表を記憶する。経路表記憶部320に記憶された具体的な通信経路表については、後述する。
【0066】
パケット中継部330は、子装置から中継装置を介して送信されてきた親装置200−1宛てのパケットデータを、送受信部310を介して中継(転送)する。このとき、パケット中継部330は、送信されてきたパケットデータの宛先を参照し、当該パケットデータが中継装置300−1宛てのパケットデータではない場合、経路表記憶部320に記憶されている通信経路表を参照して、通信経路表に示された親装置または中継装置へ当該パケットデータを転送する。
【0067】
ルーティング処理部340は、経路表記憶部320に記憶されている通信経路表の有効性を判断し、複数の通信経路が経路表記憶部320に記憶されている場合、その有効無効や優先順位に基づいて、利用する通信経路を決定する。また、ルーティング処理部340は、経路表記憶部320に有効な通信経路が記憶されていない場合、自律ルーティングを行い、有効な通信経路の検索を行い、検索により発見(取得)した通信経路を経路表記憶部320に追加して記憶させる。また、ルーティング処理部340は、取得した通信経路を接続情報として送受信部310を介してサーバ100へ報告する。
【0068】
また、ルーティング処理部340は、経路表記憶部320に有効な通信経路が記憶されている場合には、宛て先毎に記憶されている優先順位に従い、最も優先順位の高い転送先へパケット転送を行う。また、ルーティング処理部340は、最も優先順位の高い転送先へのパケット転送に失敗した場合、経路表記憶部320に記憶されている、対応する有効無効フラグを無効に設定する。これにより、次に優先順位が高い転送先へ受信パケットが転送される。
【0069】
タイミング制御部350は、パケットデータを送信するタイミングを、経路表記憶部320に記憶されている通信経路表に含まれる送信タイミングに基づいて、制御する。
【0070】
統計データ管理部360は、送受信部310によって受信される全てのパケットデータの受信情報を収集する。受信情報を収集する目的は、安定した通信を行うためである。収集する受信情報は、例えば、受信パケットデータの送信元情報、受信パケットデータの受信電界強度、受信パケットデータのエラーレート、受信パケットデータの伝送路遅延等の受信品質情報が挙げられる。統計データ管理部360は、収集した受信情報のうち、受信品質情報を送信元毎に、統計データ記憶部370に書き込む。また、統計データ管理部360は、統計データ記憶部370に記憶されている受信品質情報を定期的に読み出し、サーバ100へ報告(送信)する。
【0071】
統計データ記憶部370は、統計データ管理部360によって書き込まれた受信情報をテーブル形式で記憶する。
【0072】
以下に、経路表記憶部320に記憶されている通信経路表について、2つの例を挙げて説明する。
【0073】
図4は、図1に示した子装置400−1に具備された経路表記憶部に記憶されている通信経路表の一例を示す図である。
【0074】
図1に示した子装置400−1に具備された経路表記憶部には図4に示すように、送信するパケットデータの宛先と、当該パケットデータを転送する転送先(直接接続されている装置のうちの送信先)と、当該パケットデータの送信の優先順位を示す優先順位(ここでは、小さな数値であればあるほど、優先順位は高い)と、その通信経路が有効であるか無効であるかを示す有効無効フラグと、接続を許可するかどうかを示す接続許可とが対応付けられて記憶されている。この接続許可は、「許可」または「禁止」を示す。「禁止」を示している場合、他のすべての経路が使用不可能になった場合であっても、使用することはできない。また、有効無効フラグや接続許可については、1ビットのデータで表すものであっても良い。例えば、有効無効フラグが「1」である場合、有効を表し、有効無効フラグが「0」である場合は、無効を表すものであっても良い。
【0075】
例えば、図4に示すように、宛先「親装置200−1」と、転送先「中継装置300−6」と、優先順位「1」と、有効無効フラグ「有効」と、接続許可「許可」とが対応付けられている。これは、親装置200−1へ送信するパケットデータを中継装置300−6へ転送する通信経路は、有効であり、その優先順位が高く、接続が許可されていることを示している。また、宛先「親装置200−1」と、転送先「中継装置300−7」と、優先順位「2」と、有効無効フラグ「有効」と、接続許可「許可」とが対応付けられている。これは、親装置200−1へ送信するパケットデータを中継装置300−7へ転送する通信経路は、有効であり、その優先順位が低く、接続が許可されていることを示している。また、宛先「親装置200−2」と、転送先「中継装置300−8」と、優先順位「1」と、有効無効フラグ「無効」と、接続許可「許可」とが対応付けられている。これは、親装置200−2へ送信するパケットデータを中継装置300−8へ転送する通信経路は、優先順位が高く、接続が許可されているが、無効であることを示している。
【0076】
図5は、図1に示した中継装置300−6に具備された経路表記憶部に記憶されている通信経路表の一例を示す図である。
【0077】
図1に示した中継装置300−6に具備された経路表記憶部には図5に示すように、図4に示した子装置400−1に具備された経路表記憶部に記憶されている通信経路表と同様に、送信するパケットデータの宛先と、当該パケットデータを転送する転送先(直接接続されている装置のうちの送信先)と、当該パケットデータの送信の優先順位を示す優先順位(ここでは、小さな数値であればあるほど、優先順位は高い)と、その通信経路が有効であるか無効であるかを示す有効無効フラグと、接続を許可するかどうかを示す接続許可とが対応付けられて記憶されている。
【0078】
例えば、図5に示すように、宛先「親装置200−1」と、転送先「中継装置300−1」と、優先順位「1」と、有効無効フラグ「有効」と、接続許可「許可」とが対応付けられている。これは、親装置200−1へ送信するパケットデータを中継装置300−1へ転送する通信経路は、有効であり、その優先順位が高く、接続が許可されていることを示している。
【0079】
また、宛先「親装置200−1」と、転送先「中継装置300−2」と、優先順位「2」と、有効無効フラグ「有効」と、接続許可「許可」とが対応付けられている。これは、親装置200−1へ送信するパケットデータを中継装置300−2へ転送する通信経路は、有効であり、その優先順位が低く、接続が許可されていることを示している。
【0080】
また、宛先「中継装置300−10」と、転送先「中継装置300−10」と、優先順位「1」と、有効無効フラグ「有効」と、接続許可「許可」とが対応付けられている。これは、中継装置300−10へパケットデータを送信する場合、中継装置300−10は中継装置300−6と直接接続されているため、その転送先は中継装置300−10であり、その通信経路は有効であり、その優先順位が高く、接続が許可されていることを示している。
【0081】
また、宛先「子装置400−1」と、転送先「子装置400−1」と、優先順位「1」と、有効無効フラグ「有効」と、接続許可「許可」とが対応付けられている。これは、子装置400−1へパケットデータを送信する場合、子装置400−1は中継装置300−6と直接接続されているため、その転送先は子装置400−1であり、その通信経路は有効であり、その優先順位が高く、接続が許可されていることを示している。
【0082】
また、宛先「子装置400−3」と、転送先「中継装置300−10」と、優先順位「1」と、有効無効フラグ「有効」と、接続許可「許可」とが対応付けられている。これは、子装置400−3へ送信するパケットデータを中継装置300−10へ転送する通信経路は、有効であり、その優先順位が高く、接続が許可されていることを示している。
【0083】
また、宛先「子装置400−4」と、転送先「中継装置300−10」と、優先順位「1」と、有効無効フラグ「有効」と、接続許可「許可」とが対応付けられている。これは、子装置400−4へ送信するパケットデータを中継装置300−10へ転送する通信経路は、有効であり、その優先順位が高く、接続が許可されていることを示している。
【0084】
また、宛先「子装置400−5」と、転送先「中継装置300−10」と、優先順位「1」と、有効無効フラグ「有効」と、接続許可「許可」とが対応付けられている。これは、子装置400−5へ送信するパケットデータを中継装置300−10へ転送する通信経路は、有効であり、その優先順位が高く、接続が許可されていることを示している。
【0085】
このように、子装置から親装置へ送信されるパケットデータの通信経路だけではなく、親装置から子装置へ送信されるパケットデータの通信経路を記憶しておくことにより、親装置から子装置への通信経路を制御することも可能となる。
【0086】
図6は、図4および図5に示したような通信経路表が経路表記憶部に記憶されている場合の、子装置400−1から親装置200−1へ送信されるパケットデータの通信経路を示す図である。
【0087】
図4および図5に示したような通信経路表が経路表記憶部に記憶されている場合の通信経路600−1,600−2はそれぞれ図6に示すように、
(1)子装置400−1→中継装置300−6→中継装置300−1→親装置200−1
(2)子装置400−1→中継装置300−6→中継装置300−2→親装置200−1
となる。
【0088】
また、中継装置300−7の経路表記憶部に、子装置400−1から親装置200−1へ送信されるパケットデータの転送先が中継装置300−2である通信経路が記憶されている場合、
(3)子装置400−1→中継装置300−7→中継装置300−2→親装置200−1
も、通信経路600−3となる。
【0089】
なお、上述した例では、子装置400−1〜400−8から親装置200−1,200−2へパケットデータを送信する場合を例に挙げて説明したが、親装置200−1,200−2から子装置400−1〜400−8へパケットデータを送信する場合も同様の処理が可能であることは言うまでもない。
【0090】
以下に、通信経路表の配布について説明する。
【0091】
図7は、通信経路表の配布の処理を説明するために、図1に示した形態を簡略化したマルチホップネットワークの接続形態の一例を示す図である。
【0092】
図7に示すような、サーバ100と、親装置200−1と、中継装置300−1,300−2と、子装置400−1〜400−3とから構成されたマルチホップネットワークにおいて、通信経路表の配布の処理を説明する。
【0093】
図8は、IEEE802.11の規格で用いられる一般的なパケットデータのフォーマットを示す図である。本発明では、PHYレイヤおよびMACレイヤの方式は問わない。
【0094】
パケットデータは図8に示すように、PLDP(Physical Layer Convergence Protocol)プリアンブルと、PLCPヘッダと、IEEE802.11ヘッダと、データ部と、FCS(Frame Check Sequence)部との各フィールドから構成されている。各フィールドについては、一般的に使用されているものであるため、ここでは説明は省略する。
【0095】
図9は、図7に示したサーバ100から親装置200−1を介して中継装置300−1および子装置400−1へ配布される通信経路表が含まれたパケットデータの構成の一例を示す図である。
【0096】
図7に示したサーバ100から親装置200−1を介して中継装置300−1および子装置400−1へ配布される通信経路表が含まれたパケットデータの構成は図9に示すように、IEEE802.11ヘッダとデータ部との間に、通信経路(通信経路表)と送信タイミングとが挿入されている。
【0097】
図9に示した例では、通信経路として、中継装置300−1と、子装置400−1とが示されている。これは、子装置400−1から親装置200−1へ送信されるパケットデータの通信経路が、
子装置400−1→中継装置300−1→親装置200−1
であることを示している。
【0098】
また、子装置400−1がパケットデータを送信する送信タイミング(送信時刻)が「t1」であることを示している。
【0099】
図9に示した通信経路表を含んだパケットデータがサーバ100から親装置200−1を介して中継装置300−1へ送信されると、中継装置300−1にて当該パケットデータが編集される。
【0100】
図10は、中継装置300−1にて編集されたパケットデータの構成の一例を示す図である。
【0101】
図10に示すように、中継装置300−1にて編集されたパケットデータが編集されると、中継装置300−1へ送信されてきたパケットデータに含まれる通信経路表において、中継装置300−1を示す情報が、通過ノードを示す情報とされる。つまり、中継装置300−1にて、中継装置300−1が通信経路とされていることを認識すれば、子装置400−1にて、中継装置300−1は通過ノードとして認識されれば良い。
【0102】
また、編集されたパケットデータは、中継装置300−1から子装置400−1へ送信される。そして、子装置400−1では、通過ノードに子装置400−1が含まれていないことを確認し、パケットデータを送信する。このとき、子装置400−1は、送信タイミングt1を保持しておき、時刻がt1になったときに、親装置200−1宛てのパケットデータを中継装置300−1へ送信する。
【0103】
以下に、パケットデータの送信タイミングについて説明する。
【0104】
図11は、送信タイミングに応じたパケットデータの送信の様子を示す図である。ここで、「t0」は、送信の基準となる時刻である。また、t1〜t6があらかじめ設定されており、それらが配布される通信経路表に含まれている。
【0105】
ここで、以下の送信タイミングが、配布される通信経路表に示されている場合を例に挙げる。
【0106】
子装置400−1から中継装置300−1を介して親装置200−1へ送信されるパケットデータの子装置400−1からの送信タイミングは「t1」であることが、子装置400−1および中継装置300−1へ配布される通信経路表に示されている。また、子装置400−2から中継装置300−1を介して親装置200−1へ送信されるパケットデータの子装置400−2からの送信タイミングは「t2」であることが、子装置400−2および中継装置300−1へ配布される通信経路表に示されている。また、子装置400−3から中継装置300−2を介して親装置200−1へ送信されるパケットデータの子装置400−3からの送信タイミングは「t3」であることが、子装置400−3および中継装置300−2へ配布される通信経路表に示されている。また、中継装置300−1から親装置200−1へ送信されるパケットデータの中継装置300−1からの送信タイミングは「t4」であることが、中継装置300−1へ配布される通信経路表に示されている。また、中継装置300−2から親装置200−1へ送信されるパケットデータの中継装置300−2からの送信タイミングは「t5」であることが、中継装置300−2へ配布される通信経路表に示されている。また、親装置200−1からサーバ100へ送信されるパケットデータの親装置200−1からの送信タイミングは「t6」であることが、親装置200−1へ配布される通信経路表に示されている。
【0107】
図11に示すように、時刻「t1」にて、子装置400−1から中継装置300−1へパケットデータが送信される。その後、そのパケットデータを受信した中継装置300−1は、待ち合わせをすることなく、当該パケットデータを親装置200−1へ送信する。
【0108】
また、時刻「t2」にて、子装置400−2から中継装置300−1へパケットデータが送信される。その後、そのパケットデータを受信した中継装置300−1は、待ち合わせをすることなく、当該パケットデータを親装置200−1へ送信する。
【0109】
また、時刻「t3」にて、子装置400−3から中継装置300−2へパケットデータが送信される。その後、そのパケットデータを受信した中継装置300−2は、待ち合わせをすることなく、当該パケットデータを親装置200−1へ送信する。
【0110】
また、時刻「t4」にて、中継装置300−1から親装置200−1へパケットデータが送信される。
【0111】
また、時刻「t5」にて、中継装置300−2から親装置200−1へパケットデータが送信される。
【0112】
また、時刻「t6」にて、親装置200−1からサーバ100へパケットデータが送信される。この親装置200−1が送信するパケットデータは、子装置400−1〜400−3および中継装置300−1,300−2から送信されてきたパケットデータを編集したものである。
【0113】
このように子装置、中継装置および親装置それぞれに互いに異なるパケット送信タイミングを付与することで、マルチホップネットワーク内でのパケット衝突を回避する。それぞれのパケット送信タイミングは、ネットワークトポロジを考慮したうえで、サーバ100が通信経路表を作成する際に決定する。
【0114】
また、新たにマルチホップネットワークに属した装置には、送信タイミング情報が付与されないため、パケット衝突の可能性が発生するおそれがある。このため、無線LAN(Local Area Network)等で一般的に使用されるキャリアセンスによる衝突回避手段も同時に使用することになるが、上述した衝突回避メカニズムは、各無線方式のMACレイヤやPHYレイヤの上位レイヤでの実現方法であり、各無線方式のMACレイヤやPHYレイヤの衝突回避メカニズムと同時使用は可能である。
【0115】
以下に、本形態における経路通知方法について説明する。
【0116】
図12は、本形態における経路通知方法を説明するためのシーケンス図である。図12および以下の説明において、装置200,300,400は、親装置200−1,200−2、中継装置300−1〜300−10、および子装置400−1〜400−8を示す。
【0117】
まず、装置200,300,400からサーバ100へ接続情報が報告されると(ステップS1)、サーバ100の経路表作成部120にて当該接続情報に基づいて通信経路表が作成される(ステップS2)。
【0118】
すると、経路表作成部120にて作成された通信経路表が、サーバ100の経路表配布部130から送受信部110を介して、装置200,300,400へ配布される(ステップS3)。
【0119】
その後、配布された通信経路表にしたがって、装置200,300,400からパケットデータが送信される(ステップS4)。
【0120】
次に、物理的なマルチホップネットワーク上に構成する仮想マルチホップネットワークについて説明する。
【0121】
図13は、物理的なマルチホップネットワークの一例を示す図である。
【0122】
図14は、図13に示した物理的なマルチホップネットワーク上に構成する仮想マルチホップネットワークの一例を示す図である。
【0123】
図14に示すように、図13に示した物理的なマルチホップネットワークに対して、中継装置300−7,300−9および子装置400−1〜400−3を通信経路表に含めないことで、斜線で示したこれらの装置を含めない仮想的なマルチホップネットワークを構成することができる。
【0124】
図15は、図13に示した物理的なマルチホップネットワーク上に構成する仮想マルチホップネットワークの他の例を示す図である。
【0125】
図15に示すように、図13に示した物理的なマルチホップネットワークに対して、中継装置300−5,300−9,300−10および子装置400−3〜400−5を通信経路表に含めないことで、斜線で示したこれらの装置を含めない仮想的なマルチホップネットワークを構成することができる。
【0126】
このように、通信経路表に所定の装置を含めないことにより、1つの物理的なマルチホップネットワーク上に複数の仮想的なマルチホップネットワークを構成することができる。
【0127】
以上説明したように、本発明においては、マルチホップネットワークにおいて、あらかじめ通信経路情報を生成し、配布することで、ルーティング処理にかかる負担を軽減させることができる。また、タイミング情報を通信経路表に含めて配布することにより、パケットの衝突とパケットの衝突による再送処理とを軽減し、低消費電力なマルチホップネットワークシステムを提供することができる。
【0128】
一般的に、自律的なルーティング処理を行う場合、経路探索用のブロードキャストを周囲に伝搬させることでパケット通信先を発見する。これにより、ブロードキャストパケットはネットワーク全体に拡散してしまう。本発明は、このブロードキャストパケットの拡散を回避し、不要なパケット送信を行わないことで、最も電力消費の大きなパケット通信を必要最低限に抑えることが可能となる。
【符号の説明】
【0129】
100 サーバ
110,310 送受信部
120 経路表作成部
130 経路表配布部
200−1,200−2 親装置
300−1〜300−10 中継装置
320 経路表記憶部
330 パケット中継部
340 ルーティング処理部
350 タイミング制御部
360 統計データ管理部
370 統計データ記憶部
400−1〜400−8 子装置
500−1,500−2 マルチホップネットワーク
600−1〜600−3 通信経路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチホップ通信を行うマルチホップネットワークシステムであって、
当該マルチホップネットワークシステムの最上位に接続されている親装置と、
当該マルチホップネットワークシステムの末端に接続されている子装置と、
前記子装置から前記親装置へ送信されたパケットデータを転送する中継装置と、
前記前記親装置と中継装置とから報告される接続情報に基づいて、前記パケットデータの通信経路を示す通信経路表を作成し、該作成した通信経路表を前記親装置と前記中継装置と前記子装置とへ配布するサーバとから構成され、
前記親装置は、前記接続情報を前記サーバへ報告し、
前記子装置は、前記サーバから配布された通信経路表に基づいて、前記パケットデータを該通信経路表に示されている中継装置へ送信し、
前記中継装置は、前記接続情報を前記サーバへ報告し、前記サーバから配布された通信経路表に基づいて、前記子装置から送信されてきた前記パケットデータを該通信経路表に示されている中継装置または親装置へ転送するマルチホップネットワークシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のマルチホップネットワークシステムにおいて、
前記サーバは、前記子装置から前記親装置へ複数の通信経路が存在する場合、該複数の通信経路を示す前記通信経路表を作成することを特徴とするマルチホップネットワークシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のマルチホップネットワークシステムにおいて、
前記サーバは、前記通信経路表に、前記子装置および前記中継装置それぞれが前記パケットデータを送信する送信タイミングを含めて、該通信経路表を作成し、
前記子装置は、前記通信経路表に示されている送信タイミングに応じたタイミングで、前記パケットデータを送信し、
前記中継装置は、前記通信経路表に示されている送信タイミングに応じたタイミングで、前記パケットデータを送信することを特徴とするマルチホップネットワークシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のマルチホップネットワークシステムにおいて、
前記中継装置は、当該中継装置との接続されている中継装置および子装置以外に、新たに中継装置または子装置の接続があった際、当該接続を示す接続情報を前記サーバへ報告し、
前記サーバは、該報告された接続情報に基づいて、前記通信経路表を更新し、該更新した通信経路表を前記親装置と前記中継装置と前記子装置とへ配布することを特徴とするマルチホップネットワークシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のマルチホップネットワークシステムにおいて、
前記中継装置は、前記通信経路表に示されている通信経路すべてが通信不可能となった場合、自律ルーティング機能を用いて通信を継続し、該自律ルーティング機能を用いて取得した接続情報を前記サーバへ報告し、
前記サーバは、該報告された接続情報に基づいて、前記通信経路表を更新し、該更新した通信経路表を前記親装置と前記中継装置と前記子装置とへ配布することを特徴とするマルチホップネットワークシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のマルチホップネットワークシステムにおいて、
前記サーバは、前記親装置または前記中継装置から、該親装置または該中継装置におけるパケットデータの受信品質を示す受信品質情報が送信されてきた場合、該受信品質情報が示す受信品質に基づいて、前記通信経路に優先順位を付与し、該優先順位を示す優先順位情報を含めて、該通信経路表を作成し、
前記子装置は、前記通信経路表に示されている優先順位情報が示す優先順位に基づいて、前記パケットデータを送信し、
前記中継装置は、前記通信経路表に示されている優先順位情報が示す優先順位に基づいて、前記パケットデータを転送することを特徴とするマルチホップネットワークシステム。
【請求項7】
マルチホップ通信を行うマルチホップネットワークシステムを構成する複数の通信装置から報告される接続情報に基づいて、前記通信装置が送受信するパケットデータの通信経路を示す通信経路表を作成する経路表作成部と、
前記経路表作成部が作成した通信経路表を、前記複数の通信装置へ配布する経路表配布部とを有するサーバ。
【請求項8】
マルチホップネットワークシステムの末端に接続されている子装置から、中継装置を介して、前記マルチホップネットワークシステムの最上位に接続されている親装置へパケットデータを送信する通信経路を通知する経路通知方法であって、
前記親装置が、当該親装置の接続情報を、当該親装置と接続されたサーバへ報告する処理と、
前記中継装置が、当該中継装置の接続情報を前記サーバへ報告する処理と、
前記サーバが、前記親装置と前記中継装置とから報告される接続情報に基づいて、前記パケットデータの通信経路を示す通信経路表を作成する処理と、
前記サーバが、前記作成した通信経路表を前記親装置と前記中継装置と前記子装置とへ配布する処理と、
前記子装置が、前記サーバから配布された通信経路表に基づいて、前記パケットデータを該通信経路表に示されている中継装置へ送信する処理と、
前記中継装置が、前記サーバから配布された通信経路表に基づいて、前記子装置から送信されてきた前記パケットデータを該通信経路表に示されている中継装置または親装置へ転送する処理とを行う経路通知方法。
【請求項1】
マルチホップ通信を行うマルチホップネットワークシステムであって、
当該マルチホップネットワークシステムの最上位に接続されている親装置と、
当該マルチホップネットワークシステムの末端に接続されている子装置と、
前記子装置から前記親装置へ送信されたパケットデータを転送する中継装置と、
前記前記親装置と中継装置とから報告される接続情報に基づいて、前記パケットデータの通信経路を示す通信経路表を作成し、該作成した通信経路表を前記親装置と前記中継装置と前記子装置とへ配布するサーバとから構成され、
前記親装置は、前記接続情報を前記サーバへ報告し、
前記子装置は、前記サーバから配布された通信経路表に基づいて、前記パケットデータを該通信経路表に示されている中継装置へ送信し、
前記中継装置は、前記接続情報を前記サーバへ報告し、前記サーバから配布された通信経路表に基づいて、前記子装置から送信されてきた前記パケットデータを該通信経路表に示されている中継装置または親装置へ転送するマルチホップネットワークシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のマルチホップネットワークシステムにおいて、
前記サーバは、前記子装置から前記親装置へ複数の通信経路が存在する場合、該複数の通信経路を示す前記通信経路表を作成することを特徴とするマルチホップネットワークシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のマルチホップネットワークシステムにおいて、
前記サーバは、前記通信経路表に、前記子装置および前記中継装置それぞれが前記パケットデータを送信する送信タイミングを含めて、該通信経路表を作成し、
前記子装置は、前記通信経路表に示されている送信タイミングに応じたタイミングで、前記パケットデータを送信し、
前記中継装置は、前記通信経路表に示されている送信タイミングに応じたタイミングで、前記パケットデータを送信することを特徴とするマルチホップネットワークシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のマルチホップネットワークシステムにおいて、
前記中継装置は、当該中継装置との接続されている中継装置および子装置以外に、新たに中継装置または子装置の接続があった際、当該接続を示す接続情報を前記サーバへ報告し、
前記サーバは、該報告された接続情報に基づいて、前記通信経路表を更新し、該更新した通信経路表を前記親装置と前記中継装置と前記子装置とへ配布することを特徴とするマルチホップネットワークシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のマルチホップネットワークシステムにおいて、
前記中継装置は、前記通信経路表に示されている通信経路すべてが通信不可能となった場合、自律ルーティング機能を用いて通信を継続し、該自律ルーティング機能を用いて取得した接続情報を前記サーバへ報告し、
前記サーバは、該報告された接続情報に基づいて、前記通信経路表を更新し、該更新した通信経路表を前記親装置と前記中継装置と前記子装置とへ配布することを特徴とするマルチホップネットワークシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のマルチホップネットワークシステムにおいて、
前記サーバは、前記親装置または前記中継装置から、該親装置または該中継装置におけるパケットデータの受信品質を示す受信品質情報が送信されてきた場合、該受信品質情報が示す受信品質に基づいて、前記通信経路に優先順位を付与し、該優先順位を示す優先順位情報を含めて、該通信経路表を作成し、
前記子装置は、前記通信経路表に示されている優先順位情報が示す優先順位に基づいて、前記パケットデータを送信し、
前記中継装置は、前記通信経路表に示されている優先順位情報が示す優先順位に基づいて、前記パケットデータを転送することを特徴とするマルチホップネットワークシステム。
【請求項7】
マルチホップ通信を行うマルチホップネットワークシステムを構成する複数の通信装置から報告される接続情報に基づいて、前記通信装置が送受信するパケットデータの通信経路を示す通信経路表を作成する経路表作成部と、
前記経路表作成部が作成した通信経路表を、前記複数の通信装置へ配布する経路表配布部とを有するサーバ。
【請求項8】
マルチホップネットワークシステムの末端に接続されている子装置から、中継装置を介して、前記マルチホップネットワークシステムの最上位に接続されている親装置へパケットデータを送信する通信経路を通知する経路通知方法であって、
前記親装置が、当該親装置の接続情報を、当該親装置と接続されたサーバへ報告する処理と、
前記中継装置が、当該中継装置の接続情報を前記サーバへ報告する処理と、
前記サーバが、前記親装置と前記中継装置とから報告される接続情報に基づいて、前記パケットデータの通信経路を示す通信経路表を作成する処理と、
前記サーバが、前記作成した通信経路表を前記親装置と前記中継装置と前記子装置とへ配布する処理と、
前記子装置が、前記サーバから配布された通信経路表に基づいて、前記パケットデータを該通信経路表に示されている中継装置へ送信する処理と、
前記中継装置が、前記サーバから配布された通信経路表に基づいて、前記子装置から送信されてきた前記パケットデータを該通信経路表に示されている中継装置または親装置へ転送する処理とを行う経路通知方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−95023(P2012−95023A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239556(P2010−239556)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】
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