説明

マルチホップ無線通信システムの構成方法、マルチホップ無線通信システム及び無線通信装置

【課題】マルチホップ無線網において、アクセスポイントや収容可能な移動端末の数が増加した場合であっても、構成が簡単であって、コストが大幅にアップすることなく、スループット特性の低下を防止して、通信性能を向上させることができるとともに、通信性能の不公平性を解消することが可能なマルチホップ無線通信システムの構成方法、マルチホップ無線通信システム及び無線通信装置を提供する。
【解決手段】複数の無線通信基地局間の無線通信では、1つの無線通信基地局における中継用の無線送信と中継用の無線受信とを、異なるインタフェースおよび周波数の異なったチャネルを用いて行うとともに、前記中継用の無線送信で使用するインタフェースにおけるチャネルは、受信する相手の無線通信基地局で使用する受信用インタフェースにおける周波数のチャネルに動的に合わせるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線端末を収容するための複数のアクセスポイント間を、無線LAN機器等による技術を用いた無線通信で接続し、インターネット等の基幹網に接続したアクセスポイントまでの間を多段に無線で中継するマルチホップ無線通信システムの構成方法、マルチホップ無線通信システム及び無線通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2005−130193号公報
【特許文献2】特開2004−364287号公報
【特許文献3】特開2003−069600号公報
【特許文献4】特開2002−325273号公報
【特許文献5】特開2002−320256号公報
【0003】
近年、無線LAN機器の急速な発達並びに普及に伴って、ノート型パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistants )等からなる移動端末をどこからでもインターネットなどの基幹網に接続可能とする通信環境の構築が期待されている。現在普及しているIEEE 802.11 規格に基づく無線LAN(以下、単に「無線LAN」という。)においては、ノート型パソコンやPDA等からなる移動端末としての無線端末局を収容する無線通信基地局としての役割を有するアクセスポイント(Access Point ;AP)は、有線ケーブルによってインターネットなどの基幹網へ接続されている。
【0004】
したがって、無線端末局が利用可能な無線LANのエリアを拡大するために、インフラストラクチャモードでアクセスポイントを多数配置する場合には、すべてのアクセスポイントの設置場所まで通信ケーブルを敷設する必要があり、設置コストが大幅に増大するという問題点を有している。
【0005】
そこで、かかる問題点を解決するため、図20に示すように、アクセスポイント間も通常の無線LANと同様の無線LANによって接続し、複数のアクセスポイント間を無線通信によって多段にデータの中継を行うことにより、設置コストを抑えつつ、無線LANエリアを容易に拡大することが可能なマルチホップ無線網の構成が検討されており、現在、ワイヤレスメッシュネットワークとして、IEEE 802.11sTG(Task Group )において標準化の作業が進められている。このようなマルチホップ無線網においては、すべてのアクセスポイントを有線網に接続する必要が無いため、無線LANの利用範囲を容易に拡大することが可能となる。
【0006】
ところで、無線LANのアクセスポイントを用いてマルチホップ網を構成する際には、無線端末局を収容するアクセスポイントから無線で中継されるアクセスポイントの数であるホップ数が増加することに伴い、スループット特性の著しい低下や、さらし端末問題、通信性能の不公平性など、様々な問題が発生することが知られている。
【0007】
更に説明すると、無線LAN方式で利用可能なマルチホップ網構成の一つに、無線ディストリビューションシステム(WDS:Wireless Distribution System)がある。この無線ディストリビューションシステムは、アクセスポイントが無線端末を収容するだけでなく、他のアクセスポイントへのブリッジとしても動作し、有線でインターネット等に接続されたアクセスポイントまでデータを中継する機能を提供するものである。
【0008】
無線ディストリビューションシステムによれば、アクセスポイントは、単一の無線インタフェースを使用するだけで、移動端末との通信と、アクセスポイント間の通信の双方を実現することができるため、構成が非常に簡単であるという利点を有している。
【0009】
しかし、無線ディストリビューションシステムにおいては、そのシステム仕様上の制約から、無線端末とアクセスポイントのすべてが同一の無線チャネルを使用する必要があり、無線端末やアクセスポイントの台数が増加するのに伴って、スループット特性が著しく低下し、通信性能が悪化するという問題点を有している。
【0010】
すなわち、上記アクセスポイントのうち、例えばインターネット等の基幹網に接続されたアクセスポイントでは、当該アクセスポイントが収容する移動端末との通信と、隣接するアクセスポイント間の中継と、当該アクセスポイントからインターネット等の基幹網との通信を行う必要があるため、無線端末やアクセスポイントの台数が増加するのに伴って、スループット特性が著しく低下し、通信性能が悪化するという問題点を有している。
【0011】
また、上記アクセスポイントのうち、インターネット等の基幹網に接続されたアクセスポイント、及び当該アクセスポイントに隣接したアクセスポイント等では、上述したような無線端末やアクセスポイントの台数が増加するのに伴うスループット特性の著しい低下の影響を受けて、当該インターネット等の基幹網に接続されたアクセスポイントやこれに隣接するアクセスポイント等が収容する移動端末は、他の離れたアクセスポイントに比較して、スループット特性が著しく低下してしまい、通信性能の不公平性を招くという問題点をも有している。
【0012】
さらに、上記無線ディストリビューションシステムを採用したマルチホップ無線網においては、隠れ端末問題が生じやすいという問題点をも有している。無線ディストリビューションシステムでは、自律分散的なアクセス制御が可能となる方式を採用しており、アクセスポイントも移動端末も同様の手順でデータの転送を行うように構成されている。このデータ転送の基本動作は、信号送信を試みようとする移動端末が他の移動端末が送信している信号に衝突させないように、事前に無線チャネルの使用状況を確認し、「未使用」であれば直ちに信号を送信し、「使用中」であれば未使用状態になるまで送信を延期するものである。
【0013】
隠れ端末問題とは、図21に示すように、移動端末Aが移動端末Bと通信中であるにもかかわらず、移動端末Aから移動端末Bに送信されている電波が届かない移動端末Cは、その「使用中」である状態を知り得ないため、通信中の移動端末Bに通信を要求してしまい、送信信号の衝突が発生してしまうという問題である。
【0014】
そこで、かかる隠れ端末問題に対しては、RTS/CTS(Request to Send /Clear to Send )信号の交換による対策が不可欠であるが、単一のチャネルを使用した網環境においては、RTS/CTS交換に起因してさらし端末問題と呼ばれる問題が新たに発生し、著しく通信性能が低下したり、不本位にリンクが切断されてしまうという問題が生じることが明らかになっている。
【0015】
ここで、さらし端末問題について、図22に基づいて説明する。いま、各ノードの直接通信可能なエリアは、図22に示すように、隣接するノードまでとし、各ノードの間で (1)〜(6)の順に通信が行われるものとする。まず、ノード1がノード2に対してRTS/CTS交換を行い、その後、(3)(6)に示すように、DATA/ACK(Acknowledgment)交換を行うものとする。ノード3は、ノード2からCTSフレームを受信するため、NAV期間に入る。ここで、NAV期間とは、RTSフレームやCTSフレームに含まれる情報であるACKフレームを返送するまでの無線チャネルの占有時間(Network Allocation Vector)の期間をいう。
【0016】
次に、ノード3がNAV期間のうちに、図22の(4)に示すように、ノード4がノード3を送信先としてRTS/CTS交換を試みたとする。しかし、この場合、ノード3は、NAV期間であるために、このRTSに対してCTSを返すことがない。そのため、ノード4とノード3との間で、RTS/CTS交換は失敗する。この現象は、NAV Blocking と呼ばれる。ここで、ノード3は、隣接するノード2のデータ通信を傍受してしまったため、他のノード4に対する通信が抑制されてしまっており、かかる問題をさらし端末問題という。
【0017】
さらし端末問題による通信性能の低下を防ぐ手法については、これまでいくつかの提案が行われている。まず、TCP(Transmission Control Protocol)におけるリンク切断の誤検出を防ぐために、TCPの最大輻輳ウインドウサイズを小さくする方法がある。この方法では、TCPの最大輻輳ウインドウサイズとして、1または4が使用されている。これにより、アクセスポイント間同士において、パケット送出間隔が大きくなり、RTS/CTS交換失敗によるリンク切断による誤検出を防止することが可能となる。
【0018】
しかし、この方法では、トランスポート層を意識する必要があること、エンドツーエンド間の遅延が大きい環境においては、十分なスループットを得られない虞れがあること、UDP(User Datagram Protocol)には対応できこと、などの問題点を有している。
【0019】
また、リンク切断の誤検出を回避するために、RTS/CTS交換の失敗回数のカウンタであるSSRC(Station Short Retry Count )の最大値であるSRL(Short Retry Limit )の値を大きく設定し、RTS/CTS交換の失敗回数の許容範囲を大きくする手法が提案されている。
【0020】
しかし、これだけでは、さらし端末問題を根本的に解決することができず、仮想キャリアセンス誤機能は解決することができないばかりか、むしろ、RTS/CTS交換の失敗が続くことにより、不必要に周囲の移動端末のフレーム送信を抑制するキャリアセンス誤機能の影響は大きくなるという問題点を有している。
【0021】
そこで、RTS/CTS交換に失敗した場合に、既にRTSを受け取ったノードへNAV期間を解除するCRTS(Cancel RTS)を送信する方法も提案されている。
【0022】
この方式では、既存の方法より良好なスループットが得られているが、さらし端末問題は解決しておらず、高いスループットが得られているとは言えず、また、SRLの値を増加させることにより、RTS/CTS交換の失敗が続くことにより、リンク切断の検出が遅れてしまうという問題を有している。
【0023】
さらに、アンテナに指向性を持たせることによって不必要なRTS/CTSを受信することを防ぐ手法についても検討が行われているが、この手法では各ノードが通信相手へアンテナを向ける必要があり、アクセスポイントを配置する際の柔軟性が低下するほか、複数のアクセスポイントと隣接関係を形成することが困難であるという課題が残されている。
【0024】
かかる問題点に関連する技術としては、特開2005−130193号公報や、特開2003−69600号公報、特開2002−325273号公報、特開2002−320256号公報等に開示されたものも、既に提案されている。
【0025】
上記特開2005−130193号公報に係る無線通信装置は、有線LANネットワーク上に存在する無線通信基地局としての無線通信装置と、他の複数の無線通信装置とで構成される無線通信システムにおける無線通信装置において、
前記無線通信装置は、2以上の無線信号送受信部と、無線通信制御部と、記憶部とにより構成され、
前記無線通信制御部は、他の無線通信装置からの受信データを別の他の無線通信装置に転送する制御を行い、複数の情報伝達先候補を捕捉して予め設定した条件と比較するマルチホッププロトコル制御部を備え、
前記記憶部は、複数の情報伝達先候補、情報伝達先候補の比較条件、及び、設定条件により比較した結果を格納するマルチホップ情報記憶部を格納しており、前記マルチホッププロトコル制御部は、無線信号送受信部の1つを用いて通信中に、他方の無線信号送受信部を用いて周囲に存在する他の無線通信装置を検知して相互に情報交換を行い、通信中の情報伝達先とは別の複数の情報伝達先候補を捕捉し、前記通信中の情報伝達先と前記捕捉した複数の情報伝達先を予め設定した条件により比較した比較結果を前記記憶部に格納し、通信中の無線信号送受信部での通信の維持ができなくなったとき、前記比較結果に応じて別の情報伝達先を選択して、選択した無線通信装置との通信を開始させるように構成したものである。
【0026】
また、上記特開2004−364287号公報に係る通信方法は、複数の基盤要素を備えた無線メッシュネットワーク環境において前記複数の基盤要素が適応的に互いに通信する方法であって、
第1の指向性アンテナビームを使用して、前記複数の基盤要素のうちの第2の基盤要素を介して宛先と通信する、前記複数の基盤要素のうちの第1の基盤要素の動作と、
前記第1の基盤要素が択一的に前記複数の基盤要素のうちの第3の基盤要素を介して前記宛先と通信できると判断する動作と、
第2の指向性アンテナビームを使用して、前記第3の基盤要素を介して前記宛先と通信する、前記第1の基盤要素の動作と
を含むように構成したものである。
【0027】
さらに、上記特開2003−69600号公報に係るマルチホップネットワークの中継方法は、無線ノードに、IP層とMAC層の間にWM(ワイヤレスミドルウェア)層を導入し、WM層で宛先アドレス、中継ノードのアドレス、送信するポートを管理する経路表をもち、前記WM層において受信したパケットのWMヘッダを解析し、自ノード宛てのパケットならばIP層にパケットを引き継ぎ、他ノード宛てのパケットならば前記経路表に基づいてネットワークインタフェースを選択し、そのネットワークインタフェースを用いて中継するように構成したものである。
【0028】
又、上記特開2002−325273号公報に係る無線通信システムは、複数の無線局を有し、各無線局はパケット無線通信のための少なくともひとつの無線チャネルを有し、各無線局は、他の無線局と、直接に又は少なくともひとつの無線局を介して通信可能な無線通信システムにおいて、各無線局は近傍の無線局との間で、各無線チャネル毎に、集中制御アクセス又は自律分散アクセスにより通信を行い、集中制御アクセスの場合は、各無線局は、各無線チャネル毎に、適応的に、送信権を管轄し自局の制御に従って信号を伝送する親局、又は、親局の制御に従って信号を伝送する子局として動作し、前記集中制御アクセスと前記自律分散アクセスが、各無線局毎に、かつ各無線チャネル毎に時間的に分割して行われるように構成したものである。
【0029】
更に、上記特開2002−320256号公報に係る無線ネットワークの周波数割り当てシステムは、複数の無線局が分散配置され、各無線局が近隣の複数の無線局のそれぞれと有指向性のアンテナを相互に対向させて無線リンクを確立する無線ネットワークの周波数割り当てシステムにおいて、ネットワークのトポロジを解析するトポロジ解析手段と、前記トポロジの解析結果に基づいて、各無線リンクを複数のカテゴリに分類するカテゴリ分類手段と、各カテゴリに異なる周波数スロットを割り当てる周波数割り当て手段と、各無線リンクを、当該無線リンクが属するカテゴリに割り当てられた周波数スロットで運用する周波数運用手段とを具備し、前記カテゴリ分類手段は、一の基準無線局が他の無線局との間に確立する複数の基準無線リンクのそれぞれを異なるカテゴリに分類し、各基準無線リンクと所定の位置関係にある他の無線リンクを、各基準無線リンクと同一カテゴリに分類するように構成したものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
しかしながら、上記従来技術の場合には、次のような問題点を有している。すなわち、上記特開2005−130193号公報に係る無線通信装置の場合には、無線通信基地局と、複数の無線通信装置とで構成する情報伝達経路に変更が生じたときに、即座に対応することが可能であるものの、さらし端末問題や、アクセスポイントや移動端末が増加した場合におけるスループットの低下や、移動端末間の通信性能の不公平性を解消することができないという問題点を有している。
【0031】
また、特開2004−354287号公報に係る通信方法の場合には、前述したように、各ノードが通信相手へアンテナを向ける必要があり、アクセスポイントを配置する際の柔軟性が低下するほか、複数のアクセスポイントと隣接関係を形成することが困難であるという問題点を有している。
【0032】
さらに、特開2003−69600号公報に係るマルチホップネットワークの中継方法の場合には、やはり、さらし端末問題や、アクセスポイントや移動端末が増加した場合におけるスループットの低下や、移動端末間の通信性能の不公平性を解消することができないという問題点を有している。
【0033】
又、特開2002−325273号公報に係る無線通信システムの場合には、集中制御アクセスと自律分散アクセスが、各無線局毎に、かつ各無線チャネル毎に時間的に分割して行われるように構成したものであるが、アクセスポイントや移動端末が増加した場合には、スループットが低下せざるを得ず、移動端末間の通信性能の不公平性をも解消することができないという問題点を有している。
【0034】
更に、特開2002−320256号公報に係る周波数割り当てシステムの場合には、有指向性のアンテナを前提としているため、前述したように、アクセスポイントを配置する際の柔軟性が低下するほか、複数のアクセスポイントと隣接関係を形成することが困難であるばかりか、複数の無線局毎に周波数の異なる送受信部を設ける必要があり、構成が複雑となり、コストが大幅にアップするという問題点を有している。
【0035】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、マルチホップ無線網において、アクセスポイントや収容可能な移動端末の数が増加した場合であっても、構成が簡単であって、コストが大幅にアップすることなく、スループット特性の低下を防止して、通信性能を向上させることができるとともに、通信性能の不公平性を解消することが可能なマルチホップ無線通信システムの構成方法、マルチホップ無線通信システム及び無線通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0036】
すなわち、請求項1に記載された発明は、基幹網に有線で接続された少なくとも1つ以上の無線通信基地局と、
前記無線通信基地局を一部に含む複数の無線通信基地局と無線で中継することによって接続される複数の無線通信基地局とを備えたマルチホップ無線通信システムの構成方法において、
前記複数の無線通信基地局間の無線通信では、1つの無線通信基地局における中継用の無線送信と中継用の無線受信とを、異なるインタフェースおよび周波数の異なったチャネルを用いて行うとともに、前記中継用の無線送信で使用するインタフェースにおけるチャネルは、受信する相手の無線通信基地局で使用する受信用インタフェースにおける周波数のチャネルに動的に合わせることを特徴とするマルチホップ無線通信システムの構成方法である。
【0037】
この請求項1に記載された発明によれば、複数の無線通信基地局間の無線通信では、1つの無線通信基地局における中継用の無線送信と中継用の無線受信とを、周波数の異なったチャネルを用いて行うことにより、無線通信基地局の数が増加し、複数の無線通信基地局間で中継するホップ数が増加した場合でも、中継用の無線送信と中継用の無線受信とを、周波数の異なったチャネルを用いて行うため、無線チャネルが競合するのを回避することができ、著しいスループットの低下が生じることがなく、高い通信性能を維持することができる。
【0038】
また、請求項2に記載された発明は、前記中継用の無線受信は、固定した周波数のチャネルを用いて行うことを特徴とする請求項1に記載のマルチホップ無線通信システムの構成方法である。
【0039】
この請求項2に記載された発明によれば、複数の無線通信基地局間の無線通信では、1つの無線通信基地局における中継用の無線送信と中継用の無線受信とを、周波数の異なったチャネルを用いて行うとともに、前記中継用の無線送信で使用するチャネルは、受信する相手の無線通信基地局で使用する周波数のチャネルに動的に合わせることにより、無線電波の干渉を考慮した無線通信基地局の配置及び使用チャネルを設計する際に、中継用の無線受信が、隣接する無線通信基地局で干渉しないように静的に設定すればよくなり、網設計が容易となる。
【0040】
さらに、請求項3に記載された発明は、前記無線通信基地局は、移動端末と通信を行う移動端末収容用の無線通信機能を備え、当該移動端末収容用の無線通信を、中継用の無線送信及び中継用の無線受信と周波数の異なったチャネルを用いて行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のマルチホップ無線通信システムの構成方法である。
【0041】
又、請求項4に記載された発明は、隣接する前記無線通信基地局で使用する移動端末収容用の無線通信は、周波数の異なったチャネルを用いて行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のマルチホップ無線通信システムの構成方法である。
【0042】
さらに、請求項5に記載された発明は、基幹網に有線で接続された少なくとも1つ以上の無線通信基地局と、
前記無線通信基地局を一部に含む複数の無線通信基地局と無線で中継することによって接続される複数の無線通信基地局とを備えたマルチホップ無線通信システムにおいて、
前記複数の無線通信基地局は、中継用の無線送信手段と、中継用の無線受信手段とを備え、
前記中継用の無線送信手段と中継用の無線受信手段とでは、周波数の異なったチャネルを用いることを特徴とするマルチホップ無線通信システムである。
【0043】
又、請求項6に記載された発明は、前記無線通信基地局は、移動端末と通信を行う移動端末収容用の無線通信手段を備え、当該移動端末収容用の無線通信手段は、前記中継用の無線送信手段及び中継用の無線受信手段と周波数の異なったチャネルを用いて通信を行うことを特徴とする請求項5に記載のマルチホップ無線通信システムである。
【0044】
更に、請求項7に記載された発明は、基幹網に有線で接続された少なくとも1つ以上の無線通信基地局と、
前記無線通信基地局を一部に含む複数の無線通信基地局と無線で中継することによって接続される複数の無線通信基地局とを備えたマルチホップ無線通信システムに用いられる無線通信装置において、
前記無線通信基地局としての無線通信装置は、中継用の無線送信手段と、中継用の無線受信手段と、移動端末収容用の送受信手段とを備え、
前記中継用の無線送信手段と中継用の無線受信手段とでは、周波数の異なったチャネルを用いることを特徴とする無線通信装置である。
【0045】
この請求項7に記載された発明によれば、前記中継用の無線送信手段と中継用の無線受信手段とでは、周波数の異なったチャネルを用いることにより、無線通信基地局の数が増加し、複数の無線通信基地局間で中継するホップ数が増加した場合でも、中継用の無線送信と中継用の無線受信とを、周波数の異なったチャネルを用いて行うため、無線チャネルが競合するのを回避することができ、著しいスループットの低下が生じることがなく、高い通信性能を維持することができる。
【0046】
また、上記請求項7に記載された発明によれば、中継用の無線受信手段を固定チャネル、中継用の無線送信手段を可変チャネルで動作させることにより、無線電波の干渉を考慮した無線通信装置の配置及び使用チャネルを設計する際に、中継用の無線受信手段に設定する無線チャネルが隣接する無線通信装置間で干渉しないように静的に設計すればよくなり、網設計が容易となる。
【0047】
また、請求項8に記載された発明は、隣接する前記無線通信装置との間では、移動端末収容用の送受信手段において、周波数の異なったチャネルを用いることを特徴とする請求項7に記載の無線通信装置である。
【0048】
なお、本発明においては、マルチホップ無線網としては、データを中継するノード自体が移動性を持つアドホックネットワークであっても良いが、ここでは、主に通信基盤として固定した状態で設置され、移動端末に対して接続性を提供するような無線通信基地局としてのアクセスポイントを想定し、これら複数のアクセスポイント間を無線LAN方式によって中継する場合を対象としている。ただし、データを中継するノード自体が移動性を持つアドホックネットワークに適用しても良いことは勿論である。
【発明の効果】
【0049】
本発明によれば、マルチホップ無線網において、アクセスポイントや移動端末の数が増加した場合であっても、構成が簡単であって、コストが大幅にアップすることなく、スループット特性の低下を防止して、通信性能を向上させることができるとともに、通信性能の不公平性を解消することが可能なマルチホップ無線通信システムの構成方法、マルチホップ無線通信システム及び無線通信装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0051】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係るマルチホップ無線通信システムの構成方法を適用したマルチホップ無線通信システムを示す概略構成図である。
【0052】
このマルチホップ無線通信システム1は、図2に示すように、無線通信装置である無線通信基地局としての複数のアクセスポイント(AP)101〜103を備えており、これら複数のアクセスポイント101〜103のうち、一部のアクセスポイント101は、インターネット等の基幹網150に通信ケーブル160を介して有線で接続されている。上記基幹網150としては、インターネットに限らず、イントラネット(登録商標)等のように、所定の会社や工場の敷地内などに敷設された有線LAN等も含むことは勿論である。上記アクセスポイント101は、例えば、100Mb/sの通信速度を有するインターネットからなる基幹網150を介してサーバーやパーソナルコンピュータ等からなる端末170に接続されている。なお、基幹網150に通信ケーブル160を介して接続されたアクセスポイント101は、1つに限らず、複数設置しても良いことは勿論である。また、図示例では、便宜上、アクセスポイント101〜103が3つのみ図示されているが、アクセスポイントは、これに限らず、4つ以上にわたって多数配置しても良いことは勿論である。
【0053】
上記マルチホップ無線通信システム1では、図2に示すように、基幹網150に通信ケーブル160を介して接続されたアクセスポイント101を含む複数のアクセスポイント101〜103が、隣接するアクセスポイントどうし無線LANと同様の無線通信を介して互いに接続されている。なお、隣接するアクセスポイントは、1つに限らないことは勿論である。
【0054】
ところで、この実施の形態1では、基幹網に有線で接続された少なくとも1つ以上の無線通信基地局と、
前記無線通信基地局を一部に含む複数の無線通信基地局と無線で中継することによって接続される複数の無線通信基地局とを備えたマルチホップ無線通信システムの構成方法において、
前記複数の無線通信基地局間の無線通信では、1つの無線通信基地局における中継用の無線送信と中継用の無線受信とを、周波数の異なったチャネルを用いて行うとともに、前記中継用の無線送信で使用するチャネルは、受信する相手の無線通信基地局で使用する周波数のチャネルに動的に合わせるように構成されている。
【0055】
図1はこの発明の実施の形態1に係るマルチホップ無線通信システムの構成方法を適用した無線通信基地局としてのアクセスポイントを示すブロック図である。なお、アクセスポイントは、基本的にすべて同様に構成されているが、基幹網150に接続されたアクセスポイントは、後述する信号処理部・伝送部が通信ケーブル160を介して基幹網150にも接続されている。
【0056】
このアクセスポイント102は、図1に示すように、大別して、転送インタフェースとしてのアクセスポイント間通信用の送信部110と、受信インタフェースとしてのアクセスポイント間通信用の受信部120と、端末収容用インタフェースとしての端末間通信用の送受信部130とを備えるように構成されている。
【0057】
上記アクセスポイント間通信用の送信部110は、アクセスポイント101〜102間で中継するデータを送信するために用いられるものであり、このアクセスポイント間通信用の送信部110は、例えば、IEEE 802.11aやIEEE 802.11bなどの規格によって定められているチャネルを選択して、中継するデータを、アクセスポイント間通信用アンテナ113から送信可能となるように構成されているとともに、送信チャネルを、送信相手のアクセスポイント(例えば図1の場合はアクセスポイント101)の予め固定された受信チャネルに動的に合わせる機能を有している。
【0058】
上記アクセスポイント間通信用の送信部110には、送信チャネルの可変制御部111が接続されており、当該送信チャネルの可変制御部111は、アクセスポイント間通信用の送信部110がデータを送信する際に使用する送信チャネルを、送信相手のアクセスポイントの受信チャネルに動的に合わせるように可変制御するためのものである。
【0059】
また、この送信チャネルの可変制御部111は、各アクセスポイントの受信チャネルのテーブル112を備えており、この各アクセスポイントの受信チャネルテーブル111は、RAM等の記憶手段に書き替え可能に記憶されている。
【0060】
一方、上記アクセスポイント間通信用の受信部120は、アクセスポイント毎に予め固定された受信チャネルで、他のアクセスポイントから送信されてくるデータを、受信アンテナ121によって受信し、当該受信した中継データを信号処理部・伝送部140に送るように構成されている。
【0061】
上記アクセスポイント間通信用の受信部120で使用するチャネルは、予め固定されたチャネルが決められており、図2に示す例では、アクセスポイント101が36chに、アクセスポイント102が40chに、アクセスポイント103が44chに、それぞれ設定されている。
【0062】
さらに、上記端末間通信用の送受信部130は、図1に示すように、当該アクセスポイントのエリア内の無線端末(STA)から送信されてくるデータや、アクセスポイントのエリア内の無線端末(STA)に向けて送信するデータを、端末間送受信用アンテナ131で送受信し、当該端末間送受信用アンテナ131で受信した受信データや、送信する送信データを、信号処理部・伝送部140に送るように構成されている。この端末間通信用の送受信部130としては、例えば、IEEE 802.11gの規格に従ったモジュールなどが用いられる。
【0063】
この端末間通信用の送受信部130で送受信に使用するチャネルは、予め決められており、隣接するアクセスポイントと異なるように設定されている。図2に示す例では、アクセスポイント101が1chに、アクセスポイント102が6chに、アクセスポイント103が11chに、それぞれ設定されており、隣接するアクセスポイント101〜103の間で使用するチャネルが例えば2.4GHz帯のIEEE 802.11bやIEEE 802.11gの場合、少なくとも5チャネル以上異なるように設定されており、隣接するアクセスポイント101〜103間におけるさらし端末問題等を生じないように構成されている。
【0064】
以上の構成において、この実施の形態1に係るマルチホップ無線通信システムでは、次のようにして、マルチホップ無線通信システムが構成され、アクセスポイント間でのデータの送受信等が行われる。
【0065】
すなわち、この実施の形態1に係るマルチホップ無線通信システム1では、図2に示すように、インターネット等の基幹網150に接続されたアクセスポイント101に対して、他の複数のアクセスポイント102、103は、無線LANと同様に、無線通信によってマルチホップ無線網を構成するアクセスポイント間におけるデータの中継を行うようになっている。
【0066】
このマルチホップ無線通信システム1では、図2に示すように、インターネット等の基幹網150に接続されたアクセスポイント101が設置されるとともに、当該アクセスポイント101に対して所定の距離だけ順次離れた位置に他のアクセスポイント102、103が設置される。これらのアクセスポイント102、103は、上述したように、有線の通信ケーブル160によっては接続されておらず、無線LANと同様に、無線通信によってアクセスポイント間におけるデータの中継を行うものである。
【0067】
いま、アクセスポイント103のエリア203内で使用される移動端末(STA3)303から、インターネット等の基幹網150に接続されたサーバー170にデータを送信する場合を考えると、移動端末(STA3)303は、アクセスポイント103の端末収容用のチャネルである11chの周波数を使用して、アクセスポイント103に所定のデータを送信する。
【0068】
すると、アクセスポイント103は、図1に示すように、端末間通信用のアンテナ131で移動端末(STA3)303から11chの周波数を使用して送信されたデータを受信し、当該端末間通信用のアンテナ131で受信した移動端末(STA3)303からのデータを端末間通信用の送受信部130に送り、この端末間通信用の送受信部130では、受信したデータを復調して、信号処理部・伝送部140に送る。
【0069】
信号処理部・伝送部140では、受信したデータをサーバー170へ送るため、アクセスポイント間通信用の送信部110にデータを伝送するようになっている。アクセスポイント間通信用の送信部110は、信号処理部・伝送部140から送られたデータを隣接するアクセスポイント102へ送信するために、送信チャネル可変制御部111を介して隣接するアクセスポイント102の受信チャネルである40chを、各アクセスポイントの受信チャネルテーブル112を参照して取得する。
【0070】
そして、上記アクセスポイント間通信用の送信部110は、送信チャネル可変制御部111によって送信チャネルを40チャネルに設定して、隣接するアクセスポイント102に所定のデータを送信するようになっている。
【0071】
上記アクセスポイント103のアクセスポイント間通信用の送信部110から送信された中継データは、隣接するアクセスポイントであるアクセスポイント102のアクセスポイント10間の通信用アンテナ121によって受信される。このアクセスポイント間通信用の受信アンテナ121によって受信されたデータは、アクセスポイント間通信用の受信部120に送られ、当該アクセスポイント間通信用の受信部120によって復調され、サーバー170へ送るためのデータであることが解析される。
【0072】
すると、アクセスポイント間通信用の受信部120は、信号処理部・伝送部140にデータを送り、当該信号処理部・伝送部140では、受信したデータをサーバー170へ送るため、アクセスポイント間通信用の送信部110にデータを伝送するようになっている。アクセスポイント間通信用の送信部110は、信号処理部・伝送部140から送られたデータを隣接するアクセスポイント101へ送信するために、送信チャネル可変制御部111を介して隣接するアクセスポイント101の受信チャネルである36chを、各アクセスポイントの受信チャネルテーブル112を参照して取得する。
【0073】
そして、上記アクセスポイント間通信用の送信部110は、送信チャネル可変制御部111によって送信チャネルを36チャネルに設定して、隣接するアクセスポイント101に所定のデータを送信するようになっている。
【0074】
このようにして、上記アクセスポイントのアクセスポイント間通信用の送信部110から送信された中継データは、アクセスポイント101のアクセスポイント間の通信用アンテナ121によって受信され、この受信されたデータは、アクセスポイント間通信用の受信部120に送られ、当該アクセスポイント間通信用の受信部120によって復調され、サーバー170へ送るためのデータであることが解析される。
【0075】
そして、アクセスポイント間通信用の受信部120は、信号処理部・伝送部140にデータを送り、当該信号処理部・伝送部140では、受信したデータをサーバー170へ送るため、通信ケーブル160及びインターネット等の基幹網150を介して、移動端末303からのデータをサーバー170に送信するようになっている。
【0076】
また、上記マルチホップ無線通信システム1では、他のアクセスポイント間の通信や、アクセスポイントのエリア内の移動端末間の通信も、同様の処理によって実行されるようになっている。
【0077】
ところで、上記マルチホップ無線通信システム1では、図3に示すように、新たにアクセスポイント104を増設する場合でも、新たなアクセスポイント104を所定の設置場所に設置するだけで良い。
【0078】
この新しいアクセスポイント104には、予め、固定されたアクセスポイント間の通信用の受信チャネルと、端末間通信用のチャネルとが、隣接するアクセスポイントと重複しないように割り当てられており、新しいアクセスポイントでは、これらの固定されたアクセスポイント間の通信用の受信チャネルと、端末間通信用のチャネルとを使用するように構成されている。
【0079】
その際、上記新しいアクセスポイント104では、予め、隣接するアクセスポイント103が既知であるため、当該新しいアクセスポイント104の各アクセスポイント受信チャネルテーブル112には、隣接するアクセスポイント103のアクセスポイント間通信用の受信チャネル(44ch)が書き込まれており、隣接するアクセスポイント103との通信が可能となっている。
【0080】
また、上記新しいアクセスポイント104と隣接する既設のアクセスポイント103では、その各アクセスポイント受信チャネルテーブル112に、新しいアクセスポイント104が使用するアクセスポイント間通信用の受信チャネル(例えば、48ch)が書き込まれていない。この場合には、例えば、新しいアクセスポイント104の設置時など所定のタイミングで、新しいアクセスポイント104から隣接する既設のアクセスポイント103に対して、自己のアクセスポイント間通信用の受信チャネル(例えば、48ch)に関するデータを送信することで、既設のアクセスポイント103が、新しいアクセスポイント104で使用するアクセスポイント間通信用の受信チャネルを知ることができ、既設のアクセスポイント103が、新しいアクセスポイント104で使用するアクセスポイント間通信用の受信チャネルを、各アクセスポイント受信チャネルテーブル112に自動的に書き加えることにより、既設のアクセスポイント103から新しいアクセスポイント104への通信も可能となる。
【0081】
実験例1
本発明者らは、上記実施の形態1に係るマルチホップ無線通信システムの効果を確認するため、次に示すようなマルチホップ無線通信システム1を試作し、実際に効果を確認する実験を行った。
【0082】
実験用のマルチホップ無線通信システム1としては、図4に示すように、サーバーであるアクセスポイントとしての無線LAN機能を備えたパーソナルコンピュータ101と、当該パーソナルコンピュータ101と直線距離で約8m離れた位置に設置されたアクセスポイントとしての無線LAN機能を備えたパーソナルコンピュータ102と、当該パーソナルコンピュータ102と直線距離で約13m離れた位置に設置されたアクセスポイントとしての無線LAN機能を備えたパーソナルコンピュータと、同じく、当該パーソナルコンピュータ102と直線距離で約13m離れた位置に設置されたアクセスポイントとしての無線LAN機能を備えたパーソナルコンピュータと、当該パーソナルコンピュータと直線距離で約10m離れた位置に設置されたアクセスポイントとしての無線LAN機能を備えたパーソナルコンピュータと、当該パーソナルコンピュータと直線距離で約25m離れた位置に設置された移動端末としての無線LAN機能を備えたパーソナルコンピュータとからなるシステムを用いた。
【0083】
上記第1のアクセスポイント101では、受信用無線インタフェースで使用するチャネルとして、5GHz帯の40chを使用し、第2のアクセスポイント102では52chを、第3のアクセスポイント103では48chを、第4のアクセスポイント104では36chを、第5のアクセスポイント105では64chを、第6のアクセスポイント106では60chを、それぞれ使用するように設定されている。
【0084】
図5は上記実験例1の結果を示すグラフである。
【0085】
この図5から明らかなように、実験例1においては、ホップ数が4であっても、21.4Mb/sという非常に高いスループットを維持することができたのに対して、従来の単一のインタフェースを用いたWDS方式では、ホップ数が4なると、6.1Mb/sと大きくスループットが低下することが判った。
【0086】
実験例2
次に、本発明者らは、上記実施の形態1に係るマルチホップ無線通信システムの効果を確認するため、次に示すようなマルチホップ無線通信システムを想定し、計算機シミュレーションを行って、本発明の効果を確認する実験を行った。
【0087】
実験用のマルチホップ無線通信システムとしては、図6に示すように、6つのアクセスポイント101〜106を無線LANによって直列に接続したシステムを用いた。このシミュレーションモデルは、図6に示すように、6つのアクセスポイント101〜106のうち、アクセスポイント101のみが有線網160と接続されており、ゲートウェイの役割を有している。また、アクセスポイント101〜106間は、すべて無線で通信し、各アクセスポイント101〜106は、それぞれ移動端末局をそのエリア内に収容しているものとする。
【0088】
本発明の実験例2については、アクセスポイント101〜106間中継のための送信用インタフェースおよび受信用インタフェースとして、IEEE802.11a を使用し、アクセスポイントの端末収容用インタフェースおよび移動端末は、すべてのアクセスポイント101〜106において干渉しないチャネルを使用するために、IEEE802.11a 及びIEEE802.11g を使用するものとする。また、伝送レートは、すべて54Mb/sに固定した。また、アクセスポイント101〜106間及びアクセスポイントと端末間の距離は、全て50mとした。さらに、隣接するアクセスポイント101〜106間は、ネットワークセグメントを変えることにより、それぞれのアクセスポイント101〜106は、IPルータとして動作するようにし、ルーティングは静的に行うものとする。
【0089】
評価対象として、以下の4種類の方式を用いた。
【0090】
Sing1e:中継用に単一のチャネルを使用する手法
multi :中継区間毎にすべて異なるインタフェースとチャネルを使用する手法
proposed1 :比較例である提案方式1
proposed2 :本発明の実験例である提案方式2
【0091】
ここで、比較例である提案方式1とは、図7に示すように、端末収容用のインタフェースと、中継用のインタフェースとで、同じチャネルを使用するように構成したものである。また、この比較例の提案方式1については、アクセスポイントおよび端末の全ての無線インタフェースとしてIEEE802.11a を使用するものとする。
【0092】
また、sing1e方式とは、アクセスポイントが二つのインタフェースを有し、一つを端末収容用、もう一つをアクセスポイント間接続用に使用するもののうち、アクセスポイント間接続用のインタフェースとして無線網内のすべてのアクセスポイントが同一チャネルを使用する既存の手法である。
【0093】
また、multi 方式とは、アクセスポイントが複数のインタフェースを有し、一つを端末収容用、その他をアクセスポイント間接続用として使用するものであり、隣接するアクセスポイント毎に専用のインタフェースを有し、全ての無線区間において干渉が生じないように異なるチャネルを設定するものである。隣接するアクセスポイント数に相当するインタフェースとチャネル数を使用するため、非常に多くの通信手段を必要としコストアップを招くが、通信性能の面では理想的な結果が得られるものと考えられる。
【0094】
性能指標として、TCPによる通信を行った際のスループット特性に着目し、下記の項目に関して調査を行った。
【0095】
(1)ホップ数とスループット特性の関係
(2)ホップ数の異なる通信が混在する際の特性
(3)様々な通信パターンにおける方式間の特性の違い
(4)ランダムに複数の通信が発生する場合の特性
なお、本実験例では、シミュレータとしてScalable Network Technologies社のQualNet を使用した。
【0096】
図8はホップ数とスループット特性の関係を調べた実験結果を示すグラフである。
【0097】
ここでは、移動端末とアクセスポイントとの間、及びアクセスポイント間同士の通信を区別せず、一つの無線リンク(区間)を経由することを1ホップと定義した。
【0098】
シミュレーションモデルである図6において、アクセスポイント101に接続された移動端末301(STA1)から有線網内にあるサーバー170まで、1本のTCPフローを送信した場合の平均スループット特性を1ホップ、移動端末STA2からサーバーまでの同様な通信を2ホップの特性とし、以降、6ホップまで調査した結果が図8である。
【0099】
この図8から明らかなように、ホップ数が3ホップ以上の場合に、Single方式の性能が著しく低下しているのに対し、その他の方式では、ホップ数が増加してもほとんど性能劣化が見られないことがわかった。また、比較例の提案方式1においても、1ホップの性能と比較すると、2ホップ目で1割程度スループットが低下しているが、2ホップ目以降は、ホップ数が増加しても性能劣化は見られない。また、multi 方式と本発明の提案方式2は、ほぼ同等の性能が得られており、本発明では、ホップ数とスループット特性の関係において、理想に近い特性が得られていることが判る。
【0100】
次に、無線網と有線網を接続するゲートウェイにおいて、複数の通信が集中する場合のスループット特性について調査した。
【0101】
まず、図6の構成において、ゲートウェイとなるアクセスポイント101に接続された移動端末301(STA1)を除いた移動端末(STA2)から移動端末(STA6)までの5台の無線端末のうち、3台の無線端末をランダムに選択し、有線網に接続されたサーバーとの間で3台の無線端末がほぼ同時にTCPにより、セグメントサイズ1500Byteのパケットを5秒間流し続けた場合の各TCPフローの平均スループット特性を調査した。
【0102】
図9は100回のシミュレーションを行った結果を示したものである。
【0103】
ここで、“STA→Server" は、3台の無線端末STAからサーバーに向けてデータを転送した場合の特性であり、“Server→STA" は、逆にサーバーから3台の無線端末STAに向けてデータを転送した場合の特性を表している。
【0104】
図9から明らかなように、multi 方式と本発明の提案方式2は、無線端末(STA)からサーバー方向、及びサーバーから無線端末(STA)方向のいずれも高いスループットを達成していることがわかる。比較例である提案方式1では、アクセスポイントが中継データを受信した後、自身の配下に接続された無線端末へ転送する際に、一つのローカルインタフェースで中継データの受信と端末へのデータ送信を行うため、サーバーから無線端末STA方向へ向かう通信の特性が逆方向の場合と比較して低下していることがわかる。
【0105】
続いて、複数の通信が集中した場合における各フロー個別の特性について調査するために、図6の構成における、無線端末(STA2)から無線端末(STA6)までの5台の無線端末から、各1本のTCPフローをサーバーに向けてほぼ同時に発生させる実験を行った。
【0106】
この場合には、アクセスポイント102からアクセスポイント101に向けて、それぞれホップ数の異なる5本のTCPフローが集中することとなる。各フローのスループット特性を図10に示す。
【0107】
図10において、フロー1は無線端末(STA2)からサーバー、フロー2は無線端末STA3からサーバー、フロー3は無線端末(STA4)からサーバー、フロー4は無線端末STA5からサーバー、フロー5は無線端末(STA6)からサーバーへのフローをそれぞれ表しており、average は、フロー1からフロー5までのスループットの平均値を表している。
【0108】
この図10より、比較例である提案方式1では、ホップ数が短いフロー1のみが非常に高いスループットを得ており、通信性能の公平性に関して課題があることが明らかとなった。また、本発明である提案方式2については、平均4. 93Mb/sのスループットが得られており、他の方式と比較しても良好な特性を示していることが判る。
【0109】
次に、様々な通信パターンを想定し、各方式における特性の違いについて調査した。
【0110】
図11に示す通り、フロー1は無線端末(STA1)から無線端末(STA2)へ、フロー2は無線端末(STA4)から無線端末(STA3)へ、フロー3は無線端末(STA6)から無線端末(STA5)へそれぞれ向かうTCPフローと定義し、これらの通信をほぼ同時に行った場合における各フローのスループット特性を求めた。
【0111】
図12は上記トラヒックパターン1における調査結果を示したものである。
【0112】
ここで、average は、フロー1から3の平均スループットを示している。この通信パターンでは、無線区間が重なる部分が全く無いにもかかわらず、Sing1e方式では著しい性能劣化が生じており、アクセスポイント間中継に使用するチャネルが一つであることの問題が顕著に現れている。比較例である提案方式1では、一つのローカルインタフェースで中継データの受信と端末へのデータ送信を行っため、multi 方式、本発明である提案方式2と比較してスループットが低いが、フロー1から3のいずれも同程度のスループットが得られている。
【0113】
次に、図13に示す通り、フロー1を無線端末(STA3)からサーバーへ向かうTCPフロー、フロー2を無線端末(STA2a)から無線端末(STA2b)へ向かうTCPフローと定義し、これらの通信をほぼ同時に行った場合における各フローのスループット特性を求めた。
【0114】
図14は上記トラヒックパターン2における調査結果を示したものである。ここで、average は、フロー1と2 の平均スループットを表している。
【0115】
multi 方式、本発明である提案方式2は、この場合も同様に良好なスループット特性を得られていることが判る。一方、比較例である提案方式1については、この通信パターンでは、アクセスポイント2のローカルインタフェースにおいて、フロー1の無線端末3からサーバーへのパケットの受信、フロー1のアクセスポイント101からアクセスポイント102へのパケットの受信、フロー2の無線端末(STA2a)からアクセスポイント102へのパケットの送信、フロー2のアクセスポイント102から無線端末(STA2b)へのパケットの送信という、4通りの通信機能の競合が生じている。そのため、multi 方式、本発明の提案方式2と比較してスループット特性が低く抑えられている。
【0116】
さらに、図15に示す通り、フロー1を無線端末(STA3)からサーバーへ向かっTCPフロー、フロー2を無線端末(STA2)から無線端末(STA4)へ向かうTCPフローと定義し、これらの通信をほぼ同時に行った場合における各フローのスループット特性を求めた。
【0117】
図16は上記実験の結果を示したものである。ここで、average はフロー1とフロー2の平均スループットを表している。
【0118】
この通信パターンでは、2つのフローが無線区間を共有しているが、multi 方式と比較例である提案方式1がほぼ同様に約10Mb/s程度の平均スループット特性を示している。これに対して、本発明である提案方式2では、15Mb/s以上の平均スループットを達成している。
【0119】
multi 方式では、アクセスポイント102、アクセスポイント103は、それぞれアクセスポイント103、アクセスポイント102と接続する専用の無線インタフェースを有するが、アクセスポイント102からアクセスポイント103へ向かつトラヒツクと、アクセスポイント103からアクセスポイント102へ向かうトラヒックは、同じ無線リンクを共有するため、フロー1とフロー2で競合が生じる。しかし、本発明である提案方式2においては、アクセスポイント102からアクセスポイント103へ向かうトラヒックは、アクセスポイント102の送信インタフェースからアクセスポイント103の受信インタフェースヘ転送され、アクセスポイント103からアクセスポイント102へ向かうトラヒックは、アクセスポイント103の送信インタフェースからアクセスポイント102の受信インタフェースへと伝送されるため、フロー1とフロー2が競合することは無く、性能低下が生じていない。すなわち、データの流れる主な方向が異なる場合において、本発明である提案方式2では、非常に良好な特性が得られることが判る。
【0120】
6台全てのアクセスポイントにそれぞれ4台の無線端末(STA) が接続しているものとし、全24台の無線端末(STA)および有線網に接続された1台のサーバーの間で、ランダムに通信が発生すると仮定する。フローは3秒間隔で発生するものとし、1本あたり3秒間の通信を行うものとする。このような条件において、同時に発生するフロー数を変化させた場合における各TCPフローの平均スループット特性を調査した。シミュレーションは同一の条件で100回実行し、その平均を求めている。
【0121】
図17は上記実験の結果を示したものである。
【0122】
この結果より、本発明である提案方式2が最も良好な特性を示しており、その有効性が検証された。また、比較例である提案方式1は、multi 方式や本発明である提案方式2と比較すると、スループット特性が劣るものの、single方式より、常に良い性能が得られており、二つのインタフェースを用いてアクセスポイントを構成する場合の方式として、比較例である提案方式1の優位性が示されている。
【0123】
以上の通り、本発明によれば、マルチホップ無線網において、アクセスポイントや収容可能な移動端末の数が増加した場合であっても、構成が簡単であって、コストが大幅にアップすることなく、スループット特性の低下を防止して、通信性能を向上させることができるとともに、通信性能の不公平性を解消することが可能となる。
【0124】
実施の形態2
図18はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2では、1つのアクセスポイントが複数のアクセスポイントと無線によって連結されるように構成されており、マルチホップ無線メッシュネットワークを構成している。
【0125】
この実施の形態2では、図18に示すように、1つのアクセスポンントが複数のアクセスポイントと無線によって連結されるような、マルチホップ無線メッシュネットワークで構成されている。一般にメッシュネットワークは複数の伝送路を備えており、ネットワークのトラフィック量または負荷の状況に応じて、あるいは伝送路の切断や装置故障などに起因するネットワーク内での障害発生の状況に応じて、ネットワーク内の伝送路を適切な経路に制御する機能を有する。例えば、電話網やインターネット網または電力ネットワークなどもメッシュネットワークで構成されており、メッシュネットワークによって冗長性を持たせることで、システム全体としての信頼性を向上させている。
【0126】
今、図18において、アクセスポイント103のエリア内で使用される移動端末(STA3)303から、有線ネットワーク側のサーバー170へのデータの流れを考えると、アクセスポイント103→102→101という経路のほかに、103→104→101、103→106→105→101など、ほか多数の経路が考えられる。仮にアクセスポイント102に何らかの障害が発生した場合、103→102→101という経路から例えば103→104→101という経路に切り替えることにより、移動端末303からサーバー170への伝送経路は確保できる。このようにメッシュネットワークにより冗長性を持たせることで、ネットワークの信頼性が向上する。
【0127】
図18に示したメッシュネットワークは一例であり、一般的に複数経路を有するメッシュネットワークであっても、それぞれのアクセスポイントは、アクセスポイント間通信の送信用、受信用、STA収容用の3種類の無線インタフェースを具備すればよく、その機能動作は図1のブロック図で示したような構成に経路制御機能を持たせることで実現できる。
【0128】
図19は、伝送経路の違いによる送信チャネルの違いを、例えばアクセスポイント103からアクセスポイント101にデータを送信する場合について説明したものである。伝送経路がアクセスポイント103→102→101という場合は、先ずアクセスポイント103は送信相手であるアクセスポイント102の受信チャネルBchに合わせてデータを送信し、アクセスポイント102は送信相手先であるアクセスポンント101の受信チャネルAchに合わせてデータを中継再送信し、アクセスポイント101のAchで受信する。
【0129】
次に、伝送経路がアクセスポイント103→104→101という場合は、先ずアクセスポイント103は送信相手であるアクセスポイント104の受信チャネルDchに合わせてデータを送信し、アクセスポンント104は送信相手先であるアクセスポイント101の受信チャネルAchに合わせてデータを中継再送信し、アクセスポイント101のAchで受信する。
【0130】
つまり、アクセスポイント103の送信相手としてはアクセスポイント102と104が選択でき、送信先がアクセスポイント102の時はアクセスポイント102の受信チャネルBchに合わせてデータを送信し、送信先がアクセスポイント104の時はアクセスポイント104の受信チャネルDchに合わせてデータを送信する。送信チャネルの変更は、図1のブロック図112,111および110で実現される。
【0131】
また、このようにアクセスポイント間中継用の無線受信を固定チャネル、その無線送信を可変チャネルで動作させることにより、個々のアクセスポイントの動作が簡単化でき無線ネットワークシステムの設計そのものが容易になる。つまり具体的には、一般的に無線ネットワークシステムの設計におけるアクセスポイントの置局配置においては、無線電波の干渉を考慮したアクセスポイントの配置及び使用チャネルの設計が必要となり、作業が複雑化する。そこで本発明によるアクセスポイントと構成方法を用いれば、アクセスポイント間中継用の無線受信に設定する無線チャネルが隣接するアクセスポイント間で干渉しないように静的に設計すればよく、無線ネットワーク設計が非常に容易となる。
【0132】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】図1はこの発明の実施の形態1に係るマルチホップ無線通信システムの構成方法を適用したマルチホップ無線通信システムのアクセスポイントを示すブロック図である。
【図2】図2はこの発明の実施の形態1に係るマルチホップ無線通信システムの構成方法を適用したマルチホップ無線通信システムを示す概略構成図である。
【図3】図3はこの発明の実施の形態1に係るマルチホップ無線通信システムの構成方法を適用したマルチホップ無線通信システムにおいて、アクセスポイントを増設した場合を示す概略構成図である。
【図4】図4は実験例1の構成を示す概略構成図である。
【図5】図5は実験例1の結果を示すグラフである。
【図6】図6は実験例2の構成を示す概略構成図である。
【図7】図7は比較例の構成を示す概略構成図である。
【図8】図8は実験例2の結果を示すグラフである。
【図9】図9は実験例2の結果を示す図表である。
【図10】図10は実験例2の結果を示すグラフである。
【図11】図11は実験例2の構成を示す概略構成図である。
【図12】図12は実験例2の結果を示すグラフである。
【図13】図13は実験例2の構成を示す概略構成図である。
【図14】図14は実験例2の結果を示すグラフである。
【図15】図15は実験例2の構成を示す概略構成図である。
【図16】図16は実験例2の結果を示すグラフである。
【図17】図17は実験例2の結果を示すグラフである。
【図18】図18はこの発明の実施の形態2に係るマルチホップ無線通信システムの構成方法を適用したマルチホップ無線通信システムを示す概略構成図である。
【図19】図19はこの発明の実施の形態2に係るマルチホップ無線通信システムの構成方法を適用したマルチホップ無線通信システムを示す概略構成図である。
【図20】図20は従来のマルチホップ無線通信システムを示す概略構成図である。
【図21】図21は隠れ端末問題を示す説明図である。
【図22】図22はさらし端末問題を示す説明図である。
【符号の説明】
【0134】
1:マルチホップ無線通信システム、101〜103:アクセスポイント(AP)、150:基幹網、110:アクセスポイント間通信用の送信部、120:アクセスポイント間通信用の受信部120、130:端末間通信用の送受信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基幹網に有線で接続された少なくとも1つ以上の無線通信基地局と、
前記無線通信基地局を一部に含む複数の無線通信基地局と無線で中継することによって接続される複数の無線通信基地局とを備えたマルチホップ無線通信システムの構成方法において、
前記複数の無線通信基地局間の無線通信では、1つの無線通信基地局における中継用の無線送信と中継用の無線受信とを、異なるインタフェースおよび周波数の異なったチャネルを用いて行うとともに、前記中継用の無線送信で使用するインタフェースにおけるチャネルは、受信する相手の無線通信基地局で使用する受信用インタフェースにおける周波数のチャネルに動的に合わせることを特徴とするマルチホップ無線通信システムの構成方法。
【請求項2】
前記中継用の無線受信は、固定した周波数のチャネルを用いて行うことを特徴とする請求項1に記載のマルチホップ無線通信システムの構成方法。
【請求項3】
前記無線通信基地局は、移動端末と通信を行う移動端末収容用の無線通信機能を備え、当該移動端末収容用の無線通信を、中継用の無線送信及び中継用の無線受信と周波数の異なったチャネルを用いて行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のマルチホップ無線通信システムの構成方法。
【請求項4】
隣接する前記無線通信基地局で使用する移動端末収容用の無線通信は、周波数の異なったチャネルを用いて行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のマルチホップ無線通信システムの構成方法。
【請求項5】
基幹網に有線で接続された少なくとも1つ以上の無線通信基地局と、
前記無線通信基地局を一部に含む複数の無線通信基地局と無線で中継することによって接続される複数の無線通信基地局とを備えたマルチホップ無線通信システムにおいて、
前記複数の無線通信基地局は、中継用の無線送信手段と、中継用の無線受信手段とを備え、
前記中継用の無線送信手段と中継用の無線受信手段とでは、周波数の異なったチャネルを用いることを特徴とするマルチホップ無線通信システム。
【請求項6】
前記無線通信基地局は、移動端末と通信を行う移動端末収容用の無線通信手段を備え、当該移動端末収容用の無線通信手段は、前記中継用の無線送信手段及び中継用の無線受信手段と周波数の異なったチャネルを用いて通信を行うことを特徴とする請求項5に記載のマルチホップ無線通信システム。
【請求項7】
基幹網に有線で接続された少なくとも1つ以上の無線通信基地局と、
前記無線通信基地局を一部に含む複数の無線通信基地局と無線で中継することによって接続される複数の無線通信基地局とを備えたマルチホップ無線通信システムに用いられる無線通信装置において、
前記無線通信基地局としての無線通信装置は、中継用の無線送信手段と、中継用の無線受信手段と、移動端末収容用の送受信手段とを備え、
前記中継用の無線送信手段と中継用の無線受信手段とでは、周波数の異なったチャネルを用いることを特徴とする無線通信装置。
【請求項8】
隣接する前記無線通信装置との間では、移動端末収容用の送受信手段において、周波数の異なったチャネルを用いることを特徴とする請求項7に記載の無線通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−172283(P2008−172283A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−237708(P2006−237708)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 
【出願人】(307022424)ソフトバンクテレコム株式会社 (42)
【出願人】(504174135)国立大学法人九州工業大学 (489)
【Fターム(参考)】