マルチホップ通信での自動再送制御を用いた通信方法、基地局及び無線端末
【課題】 マルチホップ通信での、自動再送制御による遅延を減らし、上位アプリケーションに与える影響を少なくする自動再送方法、基地局及び無線端末を提供する。
【解決手段】 基地局と、複数の無線端末とを有し、基地局と無線端末間のトラヒックを、1以上の他の無線端末を経由するトラヒックチャネルを用いて送受信するマルチホップ通信機能を有するネットワークシステムの通信方法において、基地局は、マルチホップ通信に含まれる各無線端末と、それぞれ直接設けた制御チャネルを用いて制御信号を送受信する。
【解決手段】 基地局と、複数の無線端末とを有し、基地局と無線端末間のトラヒックを、1以上の他の無線端末を経由するトラヒックチャネルを用いて送受信するマルチホップ通信機能を有するネットワークシステムの通信方法において、基地局は、マルチホップ通信に含まれる各無線端末と、それぞれ直接設けた制御チャネルを用いて制御信号を送受信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチホップ通信機能を有する無線システムにおいて、自動再送制御(ARQ)を用いた通信方法、前記通信方法に使用する基地局及び無線端末に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システム、無線LANシステム又は無線アクセスシステムといった、1以上の無線端末が無線により通信を行うシステムにおいて、無線端末が、他の無線端末のためにトラヒックの中継を行い通信する方法がある。前記通信をマルチホップ通信機能と呼び、マルチホップ通信機能を有するネットワークをマルチホップネットワークと呼ぶ。
【0003】
図17は、従来の技術によるマルチホップネットワークの構成例を示す図である。図17によると、マルチホップネットワークは、基地局1と、1以上の無線端末(図17の例では21、22、31〜33)とを有する。尚、基地局1は、システムによってはアクセスポイントとも呼ばれるが、以下では”基地局”を使用する。また、無線端末のうち、他の無線端末のためにトラヒックの中継を行っているものを、以下では中継端末といい、前記トラヒックの宛先となっている無線端末を宛先端末と呼ぶ。中継端末/宛先端末は、単に現在の無線端末の動作状況を区別する目的で使用し、異なる無線端末であるという意味ではない。また、各無線端末は他の無線端末のためにトラヒックの中継を行いつつ、自端末宛てのトラヒックを受信すること、つまり、同時に中継端末及び宛先端末として動作することも可能である。また、トラヒックとは、宛先端末が送受信する音声・データ等の総称を意味するものとする。
【0004】
図17によると、基地局の通信エリア内に存在する宛先端末32は、基地局と直接通信しトラヒックの伝送を行っている。また、基地局の通信エリア外に存在する宛先端末31は、基地局と直接通信することはできないため、基地局の通信エリア内に存在する中継端末21を経由して基地局との通信を行っている。宛先端末32のように基地局と直接通信する形態をシングルホップ通信と呼び、宛先端末31のように、中継端末21を経由して基地局と通信を行う形態をマルチホップ通信と呼ぶ。マルチホップ通信については、非特許文献1に記載されている。
【0005】
更に、宛先端末33のように、基地局1の通信エリア内に存在する場合でも、マルチホップ通信を行うことがある。シングルホップ通信が可能ではあるが、無線端末間の通信距離を短くすることで、伝播損失が小さくなり、その結果、受信無線端末での受信電力が大きくなり、よって、Eb/N0(1ビット当たりのエネルギー対雑音電力)が大きくなり、高速伝送が可能になるという利点がある。
【0006】
図18は、従来の技術によるマルチホップ通信でのトラヒック伝送のシーケンス図である。トラヒックは基地局からデータパケットの形で送信される。中継端末は、前記前記データパケットを一旦受信し、その後宛先端末に送信する。また、中継端末は、データパケット受信確認のため、ACK(Acknowledgement)パケットを基地局に送信する。同様に、宛先端末は、中継端末にACKパケットを送信する。
【0007】
尚、データパケットを受信した無線端末から送信した基地局及び/又は無線端末に対して、受信成功を伝える方法は複数存在する。上記においては、1つのデータパケットに対して1つのACKパケットを無線区間毎に送信する手順を示した。このほかにも、複数のデータパケットに対して1つのACKパケットを送信する方法や、ACKパケットではなく、特定のパケットが消失した場合に、消失パケットの再送を要求するNAK(Negative Acknowledgement)パケットを送信する方法等がある。
【0008】
上記ACKパケットやNAKパケットは、制御信号と呼ばれ、無線システムに閉じた信号である。従来の技術によるマルチホップ通信においては、図17に示すように、トラヒックと制御信号は同じ経路で伝送されている。
【0009】
【非特許文献1】C‐K.Toh著、“アドホックモバイルワイヤレスネットワーク”、構造計画研究所訳、共立出版、2003年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の技術によるマルチホップ通信において、パケット消失が発生しない場合には、図18に示すように問題なく通信可能である。しかし、無線回線の品質が悪く、パケット消失が発生する場合には、ホップ数が複数あるため、個々の区間でのパケット消失や、それに伴うパケット再送が発生し、遅延時間が大幅に増大する。このため、シングルホップ通信に比べて、遅延による上位アプリケーションの特性への影響が大きくなる。この様子を以下に説明する。
【0011】
図19は、従来の技術によるマルチホップ通信で、中継端末ではシーケンス番号管理を行わない場合のシーケンス図である。宛先端末は、無線パケットの送受信を行う無線データ処理部と、上位プロトコル(例えばTCP/IP)パケットの送受信を行うユーザデータ処理部(図19の宛先端末上位層)とを有する。
【0012】
データパケット(以下単にデータという)4が中継端末c〜宛先端末間で消失している。宛先端末は、データ5の受信によりデータ4の消失を検出し、基地局にNAK4を送信する。データ4は、基地局から中継端末3までは正常に送信されているが、再度基地局から送信される。これは各中継端末がシーケンス番号管理を行わないためである。このように、中継端末でシーケンス番号管理を行わない構成では、不必要なパケットの再送が発生する。特に基地局からのホップ数の大きい区間でパケットが消失した場合には、遅延時間が増大し、上位アプリケーションの特性に影響を与えることとなる。
【0013】
上述した遅延時間の増大を回避するために、各無線端末においてもシーケンス番号管理を行う構成がある。図20は、従来の技術によるマルチホップ通信で、基地局及び無線端末でシーケンス番号管理を行い、基地局と中継端末間でパケット消失が発生した場合のシーケンス図である。ここでは、宛先端末が中継端末、基地局を経由して有線システムに接続された固定端末と通信を行う場合を示している。図20に示すように、固定端末と宛先端末間の通信においては、無線システムでのデータリンク制御(自動再送制御)と、上位層でのデータ制御(自動再送制御)が並列に動作している。尚、無線システムの受信確認方法としては、NAKパケットを使用するものとする。
【0014】
固定端末から送信されたデータ1は、基地局、中継端末を経由し、宛先端末により受信される。データ1が、宛先端末内部で上位層に渡されると、受信確認のためACK1が逆の経路で送信される(このACKは上位層のACKである。)。データ2は基地局―中継端末間で消失している。データ3は正常に中継端末に届いているため、この時点で中継端末は、データ2の消失を検出し、NAK2を送信する。
【0015】
基地局は、NAK2の受信により、データ2の再送を優先して行う。図20では、このパケットも再び消失している。
【0016】
データ4が中継端末に届くことにより、中継端末は再度NAK2を送信する。基地局が再度送信したデータ2は、正常に中継端末に届いている。データ2を受信するまでの間、中継端末は、データ送信順序を守るため、データ3及びデータ4の宛先端末への送信を保留し、データ2の受信後、データ2〜データ4の送信を行う。
【0017】
その後、宛先端末の上位層からACK2−4が送信される。しかし、固定端末の上位層では、データ2に対するタイマーが切れており、データ2の再送が行われている。このデータ2が宛先端末に届くと、データ2が重複して届くこととなり、アプリケーションに悪影響を及ぼす。特に、上位層からACKパケットが再送される場合は、上位層のデータ再送を誘発し、スループット等の通信特性を低下させる原因となる。
【0018】
図21は、従来の技術によるマルチホップ通信で、基地局及び無線端末でシーケンス番号管理を行い、基地局と中継端末間及び中継端末と宛先端末間でパケット消失が発生した場合のシーケンス図である。図20では、同一パケットが同一区間で複数回消失する例を用いたが、他の区間で消失しても同様の結果となり、この問題は、ホップ数が多くなるに従って発生しやすくなる。
【0019】
上述したように、基地局及び無線端末でシーケンス番号管理を行う構成においても、パケット消失による再送制御による遅延の結果、無線システムでのデータリンク制御と、上位層でのデータ制御間で不整合を起こし、結果、上位アプリケーションに影響を与える。更に、各無線端末にてシーケンス番号管理を行うため、各無線端末の処理負荷が高くなり、また、構成が複雑となることで、消費電力の増大やコスト高といった他の問題が生じることとなる。
【0020】
NAK等の制御信号もトラヒックと同一チャネルにより送受信される構成においては、大量のデータ送信により制御信号の送信が遅延する場合もある。ここで、同一チャネルにより送受信される構成とは、無線LANシステムのように、1の伝送路を共有する結果、ある無線端末が信号送信している間、他の信号送信ができないような構成を意味する。
【0021】
図22は、制御信号がトラヒックと同一チャネルにより送受信される構成において、高トラヒック時にパケット消失が発生した場合のシーケンス図である。図22において、宛先端末はデータ3の受信によりシーケンス番号の不連続を検出したものの、引き続きデータが送信されているため、NAK2の送信ができず、データ7の受信後になってNAK2を送信している。マルチホップ通信においては、各無線区間でこの状態が発生する可能性があり、遅延時間が増大し、結果、上位アプリケーションに影響を与える。
【0022】
尚、図19〜図22の説明では、簡単のため固定端末から宛先端末宛てのパケットがそのまま無線システム内を送信される例で示した。無線LANなどのシステムでは、有線システムと無線システムにおける最大パケットサイズが同一であるため、パケットを、そのままの形式で送信することができる。これに対し、移動通信システムの場合は、無線システムでのパケットサイズが、有線システムのパケットサイズより小さいため、有線システムからのパケットを、複数の小さなパケットに分割して無線システム内を伝送する必要がある。このため、無線システム内で送受信されるパケット数が大幅に大きくなり、上述した問題は更に顕著となる。
【0023】
また、上位層の制御信号(ACK等)を、無線システムはデータとして扱うが、上位層の制御信号の遅延も、当然に上位アプリケーションに影響を与える。
【0024】
マルチホップ通信でのパケット消失を考慮して複数の経路でデータ伝送を行う手法が考えられている。しかし、通常、基地局と宛先端末の経路は最も品質の良い経路が選ばれており、他の経路では、ホップ数が多くて遅延時間が大きい、あるいは、通信速度が低いといったように、選択された経路と同等の通信品質が得られるとは限らない。このように複数経路を用いる手法は、データ消失の解消が目的であり、上述した問題が解決されるとは限らない。
【0025】
従って、本発明は、マルチホップ通信での、自動再送制御による遅延を減らし、上位アプリケーションに与える影響を少なくする通信方法、基地局及び無線端末を提供することを目的とする。
【0026】
また、再送パケットが再度消失することを極力防ぎ、再消失することによる遅延が上位アプリケーションに与える影響を少なくすることも目的とする。
【0027】
更に、無線端末の処理負荷を高くすることなく、上記目的を達成することをもまた目的とする。
【0028】
更に、合わせて上位層の制御信号の遅延も減らし、上位アプリケーションに与える影響を少なくする通信方法、基地局及び無線端末を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明における通信方法によれば、
基地局と、複数の無線端末とを有し、基地局と無線端末間のトラヒックを、1以上の他の無線端末を経由するトラヒックチャネルを用いて送受信するマルチホップ通信機能を有するネットワークシステムの通信方法において、基地局は、マルチホップ通信に含まれる各無線端末と、それぞれ直接設けた制御チャネルを用いて制御信号を送受信することを特徴とする。
【0030】
本発明の通信方法における他の実施形態によれば、
トラヒックを中継している1以上の無線端末及びトラヒックの宛先である無線端末のうち、少なくともトラヒックの宛先である無線端末において、パケット消失の監視をする第1のステップと、第1のステップで、パケット消失を検出した無線端末は、制御チャネルを用いて基地局にパケットの再送要求を行う第2のステップと、パケットの再送要求を受信した基地局は、再送要求されたパケットを、トラヒックチャネル及び/又は制御チャネルを用いて再送する第3のステップとを有することも好ましい。
【0031】
また、本発明の通信方法における他の実施形態によれば、
前記第1のステップにおいて、トラヒックの中継をしている無線端末は、中継するパケットの受信確認を、制御チャネルを用いて基地局に送信し、パケットの再送要求を受信した基地局は、前記トラヒックを中継している無線端末からの受信確認より、前記再送要求されたパケットの消失区間を特定し、前記第3のステップでの基地局からのトラヒックチャネルを用いたパケットの再送に代えて、基地局は、制御チャネルを用いて前記消失区間の送信側の無線端末に再送要求を送信し、前記送信側無線端末は、トラヒックチャネルを用いて前記消失パケットを再送することも好ましい。
【0032】
更に、本発明の通信方法における他の実施形態によれば、
各無線端末は、制御チャネルを用いて受信パケットの受信確認を基地局に送信し、基地局は、各無線端末からの前記受信確認より消失パケットの検出及び前記消失パケットの消失区間を特定し、制御チャネルを用いて前記消失パケットの再送及び/又は制御チャネルを用いて前記消失区間の送信側の無線端末に再送要求を送信し、前記再送要求を受信した前記送信側無線端末は、トラヒックチャネルを用いて前記消失パケットを再送することを特徴とする。
【0033】
更に、本発明の通信方法における他の実施形態によれば、
上位層の制御信号も、制御チャネルを用いて送受信することも好ましい。
【0034】
本発明における基地局によれば、
無線端末とのトラヒックを、1以上の他の無線端末を経由するトラヒックチャネルを用いて送受信するマルチホップ通信機能を有する基地局において、制御信号を送受信する制御チャネルを、マルチホップ通信に含まれる各無線端末との間にそれぞれ直接設ける機能を有することを特徴とする。
【0035】
本発明の基地局における他の実施形態によれば、
無線端末から制御チャネルによりパケットの再送要求を受信した場合は、再送要求されたパケットを、トラヒックチャネル及び/又は制御チャネルを用いて再送する機能を有することも好ましい。
【0036】
また、本発明の基地局における他の実施形態によれば、
無線端末から制御チャネルを用いて通知されるパケットの受信確認より、パケットの消失区間を特定する機能と、前記トラヒックチャネルを用いたパケットの再送に代えて、制御チャネルを用いて前記消失区間の送信側の無線端末に再送要求を送信し、前記送信側無線端末よりトラヒックチャネルを用いて前記消失パケットの再送を行わせる機能とを有することも好ましい。
【0037】
更に、本発明の基地局における他の実施形態によれば、
前記再送要求されたパケットの再送経路を、基地局から無線端末までの無線回線品質により決定することも好ましい。
【0038】
更に、本発明の基地局における他の実施形態によれば、
前記再送要求されたパケットの再送経路として、トラヒックチャネルを含む経路を用い、前記トラヒックチャネルを含む経路による再送が事前に設定した閾値を超えた場合にのみ制御チャネルを用いて再送を行うことも好ましい。
【0039】
本発明における無線端末によれば、
基地局とのトラヒックを、1以上の他の無線端末を経由するトラヒックチャネルを用いて送受信するマルチホップ通信機能を有する無線端末において、マルチホップ通信により基地局と直接トラヒックチャネルを設けていない場合でも、制御信号を送受信する制御チャネルを、基地局との間に直接設ける機能を有することを特徴とする。
【0040】
また、基地局と無線端末は、2以上の異なる無線システムの無線インタフェースを有し、基地局と無線端末間の制御チャネルとトラヒックチャネルを、異なる無線システムの無線インタフェースにより設けることも好ましい。
【発明の効果】
【0041】
制御チャネルを基地局と無線端末間に直接設ける構成とすることで、自動再送制御による遅延を減らすことができる。
【0042】
再送パケットを、制御チャネルを用いて基地局から宛先端末宛てに直接送信することにより、また、制御チャネルとトラヒックチャネル両方を用いて送信することにより、再送制御による遅延増加を抑えつつ、再送パケットの再消失を極力防ぐことができる。
【0043】
遅延を減らす結果、上位アプリケーションとの不整合を解消し、スループット等といった通信特性の向上を図ることができる。
【0044】
基地局のみがシーケンス番号を一括管理することで、無線端末における処理負荷を低減し、装置構成の簡略化と低コスト化を実現できる。
【0045】
基地局のみがシーケンス番号管理を行う場合でも、基地局はパケット消失発生区間を特定でき、消失した無線区間の送信側からパケット再送を行わせることで、既に正常にパケットが伝送された区間に再度同じパケットを伝送すること、つまり不必要な区間にパケットを再送することを防ぎ、かつ、遅延の少ない再送制御を実現できる。
【0046】
基地局のみならず、自端末宛てのデータに関しては無線端末にてシーケンス番号管理を行うことで、遅延の少ない再送制御を行いつつ、制御パケット数の削減が可能となる。
【0047】
上位層の制御信号を、制御チャネルを用いて直接基地局に伝送することで、上位層の制御信号の遅延時間増大を防止できる。
【0048】
複数システムを併用することで、柔軟かつ効率的なシステム構築が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
本発明を実施するための最良の実施形態について、以下では図面を用いて詳細に説明する。以下の説明は、移動通信システムを例として行うが、本発明は、移動通信システムに限定されるものではなく、マルチホップ通信機能を有する総てのシステムに適用可能である。移動通信システムでは、上位アプリケーションのトラヒックを伝送するトラヒックチャネルと、制御信号を伝送する制御チャネルが存在している。これらの2つのチャネルは論理的に分離することが多いが、物理的(例えば異なる周波数)に分離することも可能である。尚、以下の説明では、簡単のため、固定端末からのパケットを、分割することなく無線システム内を伝送するものとする。
【0050】
図1は、本発明によるマルチホップネットワークのプロトコルスタック図であり、図2は、ネットワーク構成例である。図2に示すように、基地局1の通信エリア内に、中継端末2と宛先端末3が存在している。既に述べたように、中継端末と宛先端末は、同じ無線端末であり、動作状態を区別するために使い分ける。また、単に“無線端末”という場合は、宛先端末と中継端末の両方を意味するものとする。
【0051】
図1に示すように、無線通信システムにおけるデータリンク層制御を行うプロトコルは、無線リンクプロトコル(RLP:Radio Link Protocol)と呼ばれ、データの送受信、シーケンス番号の管理、再送制御等を行う。本発明によるマルチホップ通信では、図2に示すように、トラヒックを伝送するトラヒックチャネルは、基地局1と中継端末2間及び中継端末2と宛先端末3間に設けられている。この結果、基地局と宛先端末3間のトラヒックは、中継端末2経由で伝送される。一方制御信号を伝送する制御チャネルは、マルチホップ通信に含まれる各無線端末(中継端末2及び宛先端末3)と基地局間にそれぞれ直接設けられている。この結果、宛先端末3で受信したトラヒックに対するNAK等の制御信号は中継端末2を経由せずに、直接基地局1に送信される。
【0052】
尚、基地局−中継端末間のトラヒックチャネル及び制御チャネルは物理的に分離することも論理的に分離することも可能である。一方、中継端末−宛先端末間のトラヒックチャネルと基地局−宛先端末間の制御チャネルは物理的に分離されている。物理的分離、論理的分離にかかわらず、以下の説明では、まず、同一の移動通信システムに閉じている場合について行う。
【0053】
(第1実施形態) 本実施形態では、各無線端末(中継端末及び宛先端末)においてパケット消失の監視を行い、無線端末にてパケット消失を検出した場合は、NAKを基地局に送信する。
【0054】
図3は、第1実施形態において、中継端末と宛先端末間でパケット消失が発生し、トラヒックチャネルで再送する場合のシーケンス図である。図中の基地局、中継端末及び宛先端末それぞれの縦線のうち、実線はトラヒックチャネルを、破線は制御チャネルを表している(他の図も同様である)。同一基地局又は無線端末内であれば、トラヒックチャネルと制御チャネル間でのデータ転送が可能である。また、各無線端末ではパケットのシーケンス番号を管理し、自動再送要求はパケット抜けが発生した場合のみ再送要求を行うNAK方式で行われるものとする。また、パケット再送に備えて、基地局は送信済みパケットを保存する。
【0055】
図3において、データ1は正常に受信され、宛先端末の上位層に送られている。データ2は、中継端末−宛先端末間で消失し、宛先端末はデータ3が届いた時点でデータ2の消失を検出する。宛先端末は、制御チャネルを用いてNAK2を、直接基地局に送信し、基地局は、トラヒックチャネルを用いて宛先端末に、再送フラグを付けたデータ2を送信する。中継端末には既に受信したデータ2が再度届くことになるが、再送フラグ付きデータであるため、宛先端末に転送する。宛先端末はシーケンス番号が揃った状態で、上位層へデータの転送を行う。これは、シーケンス番号が不連続の状態で、データを上位層に届けると、上位層による再送制御が動作するためである。制御信号を、中継端末経由で基地局に送信するのではなく、直接基地局に送信することで、自動再送制御による遅延を減らすことができる。
【0056】
図4は、第1実施形態において、中継端末と宛先端末間でパケット消失が発生し、制御チャネルで再送する場合のシーケンス図である。基地局は、データ2をトラヒックチャネルではなく、制御チャネルにより宛先端末に直接送信する。再送パケットを、中継端末を経由するトラヒックチャネルではなく、制御チャネルとすることで、遅延を減らし、かつ、再送パケットが再度消失する可能性を減らすことができる。
【0057】
図5は、第1実施形態において、中継端末と宛先端末間でパケット消失が発生し、トラヒックチャネル及び制御チャネルで再送する場合のシーケンス図である。いずれの経路の再送パケットとも正常に送信された場合は、宛先端末で同じパケットを受信することとなるが、宛先端末はシーケンス番号を管理しているため、先に到着した再送パケットを採用し、後から到着した再送パケットを廃棄する。遅延増加を抑えると同時に、個々の無線回線の品質が劣化した状態においても、複数の経路を用いることで、パケット消失率を低減し、全体としての回線品質劣化を防ぐことが可能となる。
【0058】
更に基地局から無線端末までの無線回線品質を算出し、例えばシングルホップ経路及びマルチホップ経路のいずれか遅延時間の短い経路を選択し、前記選択された経路を用いてパケットの再送をすることも可能である。
【0059】
また、通常は、トラヒックチャネルを用いてパケットの再送を行い、トラヒックチャネルでのパケット再送が事前に設定した閾値を超えた場合に、制御チャネルを用いてパケット再送を行う利点もある。これは、制御チャネルはトラヒックチャネルに比べ通信速度が低い場合が多く、多数のデータを処理することができないからである。制御チャネルを使用する頻度を下げ、ある一定の場合に補完的に制御チャネルを使用することでシステム全体の特性を向上させる効果がある。
【0060】
図6は、第1実施形態において、中継端末に複数の宛先端末が接続している場合のシーケンス図である。
【0061】
中継端末が、複数の宛先端末に対して正しくパケット送信するためには、パケットに識別子が必要である。このような識別子の一つがアドレスヘッダである。アドレスヘッダを有するフレームの例を図7に示す。基地局が、宛先端末までの経路を設定し、この設定した経路を宛先ヘッダに記述する。図7の(a)のフレームでは、送信元(基地局)、中継端末及び宛先端末aが記述されているが、(b)に示すように、複数の中継端末を経由する場合には、各中継端末(中継端末a、中継端末b)のアドレスが追加される。中継端末はこれらのアドレスヘッダを見て、次に転送する無線端末を識別する。
【0062】
尚、アドレスヘッダを有するフレームにて説明を行ったが、本発明はこれに制限されるものではなく、例えば、移動通信システムで用いられている時分割多重アクセス方式(TDMA)や、符号分割多重アクセス方式(CDMA)での物理層情報、つまり、割当スロット位置や、割当符号に基づいて、中継端末が転送を行うことも可能である。
【0063】
図8から図10は、第1実施形態において、基地局と中継端末間でパケット消失が発生した場合のシーケンス図であり、図3〜図5と同様である。
【0064】
(第2実施形態) 本実施形態において、各無線端末は、パケット消失の監視といったシーケンス番号の管理は行わず、受信したデータの受信確認、つまり、シーケンス番号を、制御チャネルにより単に基地局に通知するのみである。基地局は、前記通知に基づき一括してシーケンス番号の管理を行い、前記通知により消失したパケット及びその消失区間の特定を行う。
【0065】
図11は、第2実施形態のシーケンス図である。各無線端末は、データ1を受信すると、受信したことを基地局に伝えるため、それぞれ、基地局にACK1を送信し、基地局は全無線端末からACK1を受信後、宛先端末に対してSYN1を送信する。宛先端末は、SYN1の受信によりデータ1を上位層に渡す。これは、上位層へ連続しないデータを渡すことを回避するためである。つまり、宛先端末では、シーケンス番号を管理していないため、シーケンス番号を管理している基地局がシーケンス番号の連続性を確認し、基地局が確認した後に、宛先端末に上位層への転送をさせることで、上位層へ連続しないデータを渡すことを回避するものである。
【0066】
データ2は、基地局−中継端末間では正常に受信されたものの、中継端末−宛先端末間で消失している。このため、宛先端末から基地局へはACK2が送信されない。データ3は宛先端末まで届き、ACK3が送信されるが、基地局ではこのACK3の受信によりシーケンス番号の不連続を検出する。この時点で、基地局は中継端末からのACK2を受信しているため、データ2の消失区間が中継端末−宛先端末間であると特定できる。消失パケット及び消失区間を特定した基地局は、中継端末に対してデータ2を再送させるため制御チャネルを用いてNAK2を送信し、中継端末はNAK2の受信により、トラヒックチャネルを用いてデータ2を宛先端末に再送する。
【0067】
中継端末では、送信済みのパケットを保存しているが、NAK要求の受信は、NAK要求の1つ前までのパケットが正常に届いていることをも意味するため、NAK要求の受信により、それらをバッファから削除することができる。これによりバッファ量の増大を抑える。しかし、回線品質が良くパケット消失が起こりにくい環境では、NAK受信の頻度も少なく、バッファ量が増大する恐れがある。このため、事前に設定する値(パケット数又はデータサイズ)を超えると、保存しているパケットをバッファから削除する。
【0068】
以上、全無線端末は、制御チャネルにより基地局と直接通信を行うことが可能であるため、基地局からの制御を受けて、パケット処理を行うことが可能となる。このように、基地局が全無線端末のパケット送信を制御することで、各無線端末でのシーケンス番号管理が不要となり、無線端末の処理負荷を低減できる。また、基地局が一括してパケット伝送を制御することで、再送パケットを不必要な区間に送信することを防止できる。
【0069】
また、上記においては、再送パケットをパケット消失区間の送信側無線端末からトラヒックチャネルでのみ送信しているが、基地局から制御チャネルで直接送信することも、それらを併用することも可能である。
【0070】
(第3実施形態) 本実施形態においては、宛先端末は、パケット消失の監視を行い、消失を検出した場合は基地局に再送要求を行う。各中継端末では、中継するデータの受信確認を基地局に送信するが、中継するデータについてパケット消失の監視は行わない。
【0071】
図12は、第3実施形態において、中継端末に1の宛先端末が接続している場合のシーケンス図である。宛先端末は、自端末宛てデータのシーケンス番号を管理しているため、パケット消失を検出すると、基地局に対して制御チャネルを用いて、直接NAK要求を送信する。図12においては、データ2の消失を検出し、NAK2を基地局に送信している。次に基地局は要求されたパケットの消失区間を、中継端末からの受信確認(ACK)により特定し、前記消失区間の送信側無線端末に対してNAKを送信することで、再送を行わせる。
【0072】
尚、図12では、再送パケットをパケット消失区間の送信側無線端末からトラヒックチャネルを用いて送信しているが、基地局から制御チャネルで直接送信することも、それらを併用することも可能である。
【0073】
図13は、第3実施形態において、中継端末に複数の宛先端末が接続している場合のシーケンス図である。複数の宛先端末が存在する場合に、すべての再送パケットを基地局から送信していると、共通する無線区間である基地局−中継端末区間に多くのトラヒックが流れることとなる。特に基地局−中継端末間では正常に送信されたパケットであるため、不必要なパケット再送となり通信効率が悪くなる。これに対して図13に示すように、パケット消失が発生した区間の中継端末からパケット再送を行うことで、不必要なトラヒックの発生を防止し、不必要な区間に再送パケットを送信することによるデータパケット遅延を防止する。
【0074】
このように、宛先端末において、自端末宛てデータに関してのみは、シーケンス番号管理を行うことにより、NAK要求による再送制御が可能となり、基地局のみでシーケンス番号管理を行う構成に比べて、制御信号、特にACKパケット削減が可能である。尚、中継端末では送信済みパケットを保存しているが、NAK要求を受信したことは、NAK要求の1つ前までのパケットが正常に届いたことを意味するため、それらパケットをバッファから削除する。
【0075】
図14は、第3実施形態において、基地局及び宛先端末がシーケンス番号を管理し、複数の中継端末がある場合のシーケンス図である。図14では、各無線端末がデータ毎に制御信号(ACK/NAK)を送信せず、複数のデータに対して1つの制御信号を送信する例が示されている。例えば、中継端末aは、データ1〜4を受信した後にACK1−4を送信している。このように、複数のデータに対して1つの制御信号を返信する構成により、再送制御に伴う遅延を減らすことができる。
【0076】
また、上位層の制御信号も、宛先端末から基地局へ制御チャネル経由で直接伝送することで、中継端末を経由するトラヒックチャネルでの伝送に比べて遅延を少なくすることが可能となり、上位層の制御信号の遅延により上位アプリケーションに与える影響を少なくすることができる。図15は、上位層の制御信号を制御チャネルで伝送する場合のシーケンス図である。
【0077】
上述した実施形態では、同一の通信システムに閉じている場合を例にして、説明を行ってきた。しかし、本発明は、同一通信システムに閉じる必要は無く、複数の異なる通信システムを併用することも可能である。図16は、本発明によるマルチホップ通信で、複数システムを併用した構成を示す図である。
【0078】
図16によると、基地局及び無線端末は、異なる無線システムである、システムA及びシステムBの無線インタフェースを有する。トラヒックチャネルはシステムAの無線インタフェースで構成され、制御チャネルはシステムBの無線インタフェースにより構成されている。例えば、システムAは移動通信システムであり、システムBは無線LANである。このように異なるシステムを併用することで、柔軟な構成が可能となる。また、既に存在するシステムを有効利用し、その上で新規システムの導入を図るといった、経済的なシステム構築が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明によるマルチホップネットワークのプロトコルスタック図
【図2】本発明によるネットワーク構成例である。
【図3】第1実施形態において、中継端末と宛先端末間でパケット消失が発生し、トラヒックチャネルで再送する場合のシーケンス図である。
【図4】第1実施形態において、中継端末と宛先端末間でパケット消失が発生し、制御チャネルで再送する場合のシーケンス図である。
【図5】第1実施形態において、中継端末と宛先端末間でパケット消失が発生し、トラヒックチャネル及び制御チャネルで再送する場合のシーケンス図である。
【図6】第1実施形態において、中継端末に複数の宛先端末が接続している場合のシーケンス図である。
【図7】アドレスヘッダを有するフレームの例を示す図である。
【図8】第1実施形態において、基地局と中継端末間でパケット消失が発生し、トラヒックチャネルで再送する場合のシーケンス図である。
【図9】第1実施形態において、基地局と中継端末間でパケット消失が発生し、制御チャネルで再送する場合のシーケンス図である。
【図10】第1実施形態において、基地局と中継端末間でパケット消失が発生し、トラヒックチャネル及び制御チャネルで再送する場合のシーケンス図である。
【図11】第2実施形態のシーケンス図である。
【図12】第3実施形態において、中継端末に1の宛先端末が接続している場合のシーケンス図である。
【図13】第3実施形態において、中継端末に複数の宛先端末が接続している場合のシーケンス図である。
【図14】第3実施形態において、基地局及び宛先宛先端末がシーケンス番号を管理し、複数の中継端末がある場合のシーケンス図である。
【図15】上位層の制御信号を制御チャネルで伝送する場合のシーケンス図である。
【図16】本発明によるマルチホップ通信で、複数システムを併用した構成を示す図である。
【図17】従来の技術によるマルチホップネットワークの構成例を示す図である。
【図18】従来の技術によるマルチホップ通信でのトラヒック伝送のシーケンス図である。
【図19】従来の技術によるマルチホップ通信で、中継端末ではシーケンス番号管理を行わない場合のシーケンス図である。
【図20】従来の技術によるマルチホップ通信で、基地局及び無線端末でシーケンス番号管理を行い、基地局と中継端末間でパケット消失が発生した場合のシーケンス図である。
【図21】従来の技術によるマルチホップ通信で、基地局及び無線端末でシーケンス番号管理を行い、基地局と中継端末間及び中継端末と宛先端末間でパケット消失が発生した場合のシーケンス図である。
【図22】制御信号がトラヒックと同一チャネルにより送受信される構成において、高トラヒック時にパケット消失が発生した場合のシーケンス図である。
【符号の説明】
【0080】
1 基地局
2、21、22 中継端末
3、31、32、33 宛先端末
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチホップ通信機能を有する無線システムにおいて、自動再送制御(ARQ)を用いた通信方法、前記通信方法に使用する基地局及び無線端末に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システム、無線LANシステム又は無線アクセスシステムといった、1以上の無線端末が無線により通信を行うシステムにおいて、無線端末が、他の無線端末のためにトラヒックの中継を行い通信する方法がある。前記通信をマルチホップ通信機能と呼び、マルチホップ通信機能を有するネットワークをマルチホップネットワークと呼ぶ。
【0003】
図17は、従来の技術によるマルチホップネットワークの構成例を示す図である。図17によると、マルチホップネットワークは、基地局1と、1以上の無線端末(図17の例では21、22、31〜33)とを有する。尚、基地局1は、システムによってはアクセスポイントとも呼ばれるが、以下では”基地局”を使用する。また、無線端末のうち、他の無線端末のためにトラヒックの中継を行っているものを、以下では中継端末といい、前記トラヒックの宛先となっている無線端末を宛先端末と呼ぶ。中継端末/宛先端末は、単に現在の無線端末の動作状況を区別する目的で使用し、異なる無線端末であるという意味ではない。また、各無線端末は他の無線端末のためにトラヒックの中継を行いつつ、自端末宛てのトラヒックを受信すること、つまり、同時に中継端末及び宛先端末として動作することも可能である。また、トラヒックとは、宛先端末が送受信する音声・データ等の総称を意味するものとする。
【0004】
図17によると、基地局の通信エリア内に存在する宛先端末32は、基地局と直接通信しトラヒックの伝送を行っている。また、基地局の通信エリア外に存在する宛先端末31は、基地局と直接通信することはできないため、基地局の通信エリア内に存在する中継端末21を経由して基地局との通信を行っている。宛先端末32のように基地局と直接通信する形態をシングルホップ通信と呼び、宛先端末31のように、中継端末21を経由して基地局と通信を行う形態をマルチホップ通信と呼ぶ。マルチホップ通信については、非特許文献1に記載されている。
【0005】
更に、宛先端末33のように、基地局1の通信エリア内に存在する場合でも、マルチホップ通信を行うことがある。シングルホップ通信が可能ではあるが、無線端末間の通信距離を短くすることで、伝播損失が小さくなり、その結果、受信無線端末での受信電力が大きくなり、よって、Eb/N0(1ビット当たりのエネルギー対雑音電力)が大きくなり、高速伝送が可能になるという利点がある。
【0006】
図18は、従来の技術によるマルチホップ通信でのトラヒック伝送のシーケンス図である。トラヒックは基地局からデータパケットの形で送信される。中継端末は、前記前記データパケットを一旦受信し、その後宛先端末に送信する。また、中継端末は、データパケット受信確認のため、ACK(Acknowledgement)パケットを基地局に送信する。同様に、宛先端末は、中継端末にACKパケットを送信する。
【0007】
尚、データパケットを受信した無線端末から送信した基地局及び/又は無線端末に対して、受信成功を伝える方法は複数存在する。上記においては、1つのデータパケットに対して1つのACKパケットを無線区間毎に送信する手順を示した。このほかにも、複数のデータパケットに対して1つのACKパケットを送信する方法や、ACKパケットではなく、特定のパケットが消失した場合に、消失パケットの再送を要求するNAK(Negative Acknowledgement)パケットを送信する方法等がある。
【0008】
上記ACKパケットやNAKパケットは、制御信号と呼ばれ、無線システムに閉じた信号である。従来の技術によるマルチホップ通信においては、図17に示すように、トラヒックと制御信号は同じ経路で伝送されている。
【0009】
【非特許文献1】C‐K.Toh著、“アドホックモバイルワイヤレスネットワーク”、構造計画研究所訳、共立出版、2003年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の技術によるマルチホップ通信において、パケット消失が発生しない場合には、図18に示すように問題なく通信可能である。しかし、無線回線の品質が悪く、パケット消失が発生する場合には、ホップ数が複数あるため、個々の区間でのパケット消失や、それに伴うパケット再送が発生し、遅延時間が大幅に増大する。このため、シングルホップ通信に比べて、遅延による上位アプリケーションの特性への影響が大きくなる。この様子を以下に説明する。
【0011】
図19は、従来の技術によるマルチホップ通信で、中継端末ではシーケンス番号管理を行わない場合のシーケンス図である。宛先端末は、無線パケットの送受信を行う無線データ処理部と、上位プロトコル(例えばTCP/IP)パケットの送受信を行うユーザデータ処理部(図19の宛先端末上位層)とを有する。
【0012】
データパケット(以下単にデータという)4が中継端末c〜宛先端末間で消失している。宛先端末は、データ5の受信によりデータ4の消失を検出し、基地局にNAK4を送信する。データ4は、基地局から中継端末3までは正常に送信されているが、再度基地局から送信される。これは各中継端末がシーケンス番号管理を行わないためである。このように、中継端末でシーケンス番号管理を行わない構成では、不必要なパケットの再送が発生する。特に基地局からのホップ数の大きい区間でパケットが消失した場合には、遅延時間が増大し、上位アプリケーションの特性に影響を与えることとなる。
【0013】
上述した遅延時間の増大を回避するために、各無線端末においてもシーケンス番号管理を行う構成がある。図20は、従来の技術によるマルチホップ通信で、基地局及び無線端末でシーケンス番号管理を行い、基地局と中継端末間でパケット消失が発生した場合のシーケンス図である。ここでは、宛先端末が中継端末、基地局を経由して有線システムに接続された固定端末と通信を行う場合を示している。図20に示すように、固定端末と宛先端末間の通信においては、無線システムでのデータリンク制御(自動再送制御)と、上位層でのデータ制御(自動再送制御)が並列に動作している。尚、無線システムの受信確認方法としては、NAKパケットを使用するものとする。
【0014】
固定端末から送信されたデータ1は、基地局、中継端末を経由し、宛先端末により受信される。データ1が、宛先端末内部で上位層に渡されると、受信確認のためACK1が逆の経路で送信される(このACKは上位層のACKである。)。データ2は基地局―中継端末間で消失している。データ3は正常に中継端末に届いているため、この時点で中継端末は、データ2の消失を検出し、NAK2を送信する。
【0015】
基地局は、NAK2の受信により、データ2の再送を優先して行う。図20では、このパケットも再び消失している。
【0016】
データ4が中継端末に届くことにより、中継端末は再度NAK2を送信する。基地局が再度送信したデータ2は、正常に中継端末に届いている。データ2を受信するまでの間、中継端末は、データ送信順序を守るため、データ3及びデータ4の宛先端末への送信を保留し、データ2の受信後、データ2〜データ4の送信を行う。
【0017】
その後、宛先端末の上位層からACK2−4が送信される。しかし、固定端末の上位層では、データ2に対するタイマーが切れており、データ2の再送が行われている。このデータ2が宛先端末に届くと、データ2が重複して届くこととなり、アプリケーションに悪影響を及ぼす。特に、上位層からACKパケットが再送される場合は、上位層のデータ再送を誘発し、スループット等の通信特性を低下させる原因となる。
【0018】
図21は、従来の技術によるマルチホップ通信で、基地局及び無線端末でシーケンス番号管理を行い、基地局と中継端末間及び中継端末と宛先端末間でパケット消失が発生した場合のシーケンス図である。図20では、同一パケットが同一区間で複数回消失する例を用いたが、他の区間で消失しても同様の結果となり、この問題は、ホップ数が多くなるに従って発生しやすくなる。
【0019】
上述したように、基地局及び無線端末でシーケンス番号管理を行う構成においても、パケット消失による再送制御による遅延の結果、無線システムでのデータリンク制御と、上位層でのデータ制御間で不整合を起こし、結果、上位アプリケーションに影響を与える。更に、各無線端末にてシーケンス番号管理を行うため、各無線端末の処理負荷が高くなり、また、構成が複雑となることで、消費電力の増大やコスト高といった他の問題が生じることとなる。
【0020】
NAK等の制御信号もトラヒックと同一チャネルにより送受信される構成においては、大量のデータ送信により制御信号の送信が遅延する場合もある。ここで、同一チャネルにより送受信される構成とは、無線LANシステムのように、1の伝送路を共有する結果、ある無線端末が信号送信している間、他の信号送信ができないような構成を意味する。
【0021】
図22は、制御信号がトラヒックと同一チャネルにより送受信される構成において、高トラヒック時にパケット消失が発生した場合のシーケンス図である。図22において、宛先端末はデータ3の受信によりシーケンス番号の不連続を検出したものの、引き続きデータが送信されているため、NAK2の送信ができず、データ7の受信後になってNAK2を送信している。マルチホップ通信においては、各無線区間でこの状態が発生する可能性があり、遅延時間が増大し、結果、上位アプリケーションに影響を与える。
【0022】
尚、図19〜図22の説明では、簡単のため固定端末から宛先端末宛てのパケットがそのまま無線システム内を送信される例で示した。無線LANなどのシステムでは、有線システムと無線システムにおける最大パケットサイズが同一であるため、パケットを、そのままの形式で送信することができる。これに対し、移動通信システムの場合は、無線システムでのパケットサイズが、有線システムのパケットサイズより小さいため、有線システムからのパケットを、複数の小さなパケットに分割して無線システム内を伝送する必要がある。このため、無線システム内で送受信されるパケット数が大幅に大きくなり、上述した問題は更に顕著となる。
【0023】
また、上位層の制御信号(ACK等)を、無線システムはデータとして扱うが、上位層の制御信号の遅延も、当然に上位アプリケーションに影響を与える。
【0024】
マルチホップ通信でのパケット消失を考慮して複数の経路でデータ伝送を行う手法が考えられている。しかし、通常、基地局と宛先端末の経路は最も品質の良い経路が選ばれており、他の経路では、ホップ数が多くて遅延時間が大きい、あるいは、通信速度が低いといったように、選択された経路と同等の通信品質が得られるとは限らない。このように複数経路を用いる手法は、データ消失の解消が目的であり、上述した問題が解決されるとは限らない。
【0025】
従って、本発明は、マルチホップ通信での、自動再送制御による遅延を減らし、上位アプリケーションに与える影響を少なくする通信方法、基地局及び無線端末を提供することを目的とする。
【0026】
また、再送パケットが再度消失することを極力防ぎ、再消失することによる遅延が上位アプリケーションに与える影響を少なくすることも目的とする。
【0027】
更に、無線端末の処理負荷を高くすることなく、上記目的を達成することをもまた目的とする。
【0028】
更に、合わせて上位層の制御信号の遅延も減らし、上位アプリケーションに与える影響を少なくする通信方法、基地局及び無線端末を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明における通信方法によれば、
基地局と、複数の無線端末とを有し、基地局と無線端末間のトラヒックを、1以上の他の無線端末を経由するトラヒックチャネルを用いて送受信するマルチホップ通信機能を有するネットワークシステムの通信方法において、基地局は、マルチホップ通信に含まれる各無線端末と、それぞれ直接設けた制御チャネルを用いて制御信号を送受信することを特徴とする。
【0030】
本発明の通信方法における他の実施形態によれば、
トラヒックを中継している1以上の無線端末及びトラヒックの宛先である無線端末のうち、少なくともトラヒックの宛先である無線端末において、パケット消失の監視をする第1のステップと、第1のステップで、パケット消失を検出した無線端末は、制御チャネルを用いて基地局にパケットの再送要求を行う第2のステップと、パケットの再送要求を受信した基地局は、再送要求されたパケットを、トラヒックチャネル及び/又は制御チャネルを用いて再送する第3のステップとを有することも好ましい。
【0031】
また、本発明の通信方法における他の実施形態によれば、
前記第1のステップにおいて、トラヒックの中継をしている無線端末は、中継するパケットの受信確認を、制御チャネルを用いて基地局に送信し、パケットの再送要求を受信した基地局は、前記トラヒックを中継している無線端末からの受信確認より、前記再送要求されたパケットの消失区間を特定し、前記第3のステップでの基地局からのトラヒックチャネルを用いたパケットの再送に代えて、基地局は、制御チャネルを用いて前記消失区間の送信側の無線端末に再送要求を送信し、前記送信側無線端末は、トラヒックチャネルを用いて前記消失パケットを再送することも好ましい。
【0032】
更に、本発明の通信方法における他の実施形態によれば、
各無線端末は、制御チャネルを用いて受信パケットの受信確認を基地局に送信し、基地局は、各無線端末からの前記受信確認より消失パケットの検出及び前記消失パケットの消失区間を特定し、制御チャネルを用いて前記消失パケットの再送及び/又は制御チャネルを用いて前記消失区間の送信側の無線端末に再送要求を送信し、前記再送要求を受信した前記送信側無線端末は、トラヒックチャネルを用いて前記消失パケットを再送することを特徴とする。
【0033】
更に、本発明の通信方法における他の実施形態によれば、
上位層の制御信号も、制御チャネルを用いて送受信することも好ましい。
【0034】
本発明における基地局によれば、
無線端末とのトラヒックを、1以上の他の無線端末を経由するトラヒックチャネルを用いて送受信するマルチホップ通信機能を有する基地局において、制御信号を送受信する制御チャネルを、マルチホップ通信に含まれる各無線端末との間にそれぞれ直接設ける機能を有することを特徴とする。
【0035】
本発明の基地局における他の実施形態によれば、
無線端末から制御チャネルによりパケットの再送要求を受信した場合は、再送要求されたパケットを、トラヒックチャネル及び/又は制御チャネルを用いて再送する機能を有することも好ましい。
【0036】
また、本発明の基地局における他の実施形態によれば、
無線端末から制御チャネルを用いて通知されるパケットの受信確認より、パケットの消失区間を特定する機能と、前記トラヒックチャネルを用いたパケットの再送に代えて、制御チャネルを用いて前記消失区間の送信側の無線端末に再送要求を送信し、前記送信側無線端末よりトラヒックチャネルを用いて前記消失パケットの再送を行わせる機能とを有することも好ましい。
【0037】
更に、本発明の基地局における他の実施形態によれば、
前記再送要求されたパケットの再送経路を、基地局から無線端末までの無線回線品質により決定することも好ましい。
【0038】
更に、本発明の基地局における他の実施形態によれば、
前記再送要求されたパケットの再送経路として、トラヒックチャネルを含む経路を用い、前記トラヒックチャネルを含む経路による再送が事前に設定した閾値を超えた場合にのみ制御チャネルを用いて再送を行うことも好ましい。
【0039】
本発明における無線端末によれば、
基地局とのトラヒックを、1以上の他の無線端末を経由するトラヒックチャネルを用いて送受信するマルチホップ通信機能を有する無線端末において、マルチホップ通信により基地局と直接トラヒックチャネルを設けていない場合でも、制御信号を送受信する制御チャネルを、基地局との間に直接設ける機能を有することを特徴とする。
【0040】
また、基地局と無線端末は、2以上の異なる無線システムの無線インタフェースを有し、基地局と無線端末間の制御チャネルとトラヒックチャネルを、異なる無線システムの無線インタフェースにより設けることも好ましい。
【発明の効果】
【0041】
制御チャネルを基地局と無線端末間に直接設ける構成とすることで、自動再送制御による遅延を減らすことができる。
【0042】
再送パケットを、制御チャネルを用いて基地局から宛先端末宛てに直接送信することにより、また、制御チャネルとトラヒックチャネル両方を用いて送信することにより、再送制御による遅延増加を抑えつつ、再送パケットの再消失を極力防ぐことができる。
【0043】
遅延を減らす結果、上位アプリケーションとの不整合を解消し、スループット等といった通信特性の向上を図ることができる。
【0044】
基地局のみがシーケンス番号を一括管理することで、無線端末における処理負荷を低減し、装置構成の簡略化と低コスト化を実現できる。
【0045】
基地局のみがシーケンス番号管理を行う場合でも、基地局はパケット消失発生区間を特定でき、消失した無線区間の送信側からパケット再送を行わせることで、既に正常にパケットが伝送された区間に再度同じパケットを伝送すること、つまり不必要な区間にパケットを再送することを防ぎ、かつ、遅延の少ない再送制御を実現できる。
【0046】
基地局のみならず、自端末宛てのデータに関しては無線端末にてシーケンス番号管理を行うことで、遅延の少ない再送制御を行いつつ、制御パケット数の削減が可能となる。
【0047】
上位層の制御信号を、制御チャネルを用いて直接基地局に伝送することで、上位層の制御信号の遅延時間増大を防止できる。
【0048】
複数システムを併用することで、柔軟かつ効率的なシステム構築が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
本発明を実施するための最良の実施形態について、以下では図面を用いて詳細に説明する。以下の説明は、移動通信システムを例として行うが、本発明は、移動通信システムに限定されるものではなく、マルチホップ通信機能を有する総てのシステムに適用可能である。移動通信システムでは、上位アプリケーションのトラヒックを伝送するトラヒックチャネルと、制御信号を伝送する制御チャネルが存在している。これらの2つのチャネルは論理的に分離することが多いが、物理的(例えば異なる周波数)に分離することも可能である。尚、以下の説明では、簡単のため、固定端末からのパケットを、分割することなく無線システム内を伝送するものとする。
【0050】
図1は、本発明によるマルチホップネットワークのプロトコルスタック図であり、図2は、ネットワーク構成例である。図2に示すように、基地局1の通信エリア内に、中継端末2と宛先端末3が存在している。既に述べたように、中継端末と宛先端末は、同じ無線端末であり、動作状態を区別するために使い分ける。また、単に“無線端末”という場合は、宛先端末と中継端末の両方を意味するものとする。
【0051】
図1に示すように、無線通信システムにおけるデータリンク層制御を行うプロトコルは、無線リンクプロトコル(RLP:Radio Link Protocol)と呼ばれ、データの送受信、シーケンス番号の管理、再送制御等を行う。本発明によるマルチホップ通信では、図2に示すように、トラヒックを伝送するトラヒックチャネルは、基地局1と中継端末2間及び中継端末2と宛先端末3間に設けられている。この結果、基地局と宛先端末3間のトラヒックは、中継端末2経由で伝送される。一方制御信号を伝送する制御チャネルは、マルチホップ通信に含まれる各無線端末(中継端末2及び宛先端末3)と基地局間にそれぞれ直接設けられている。この結果、宛先端末3で受信したトラヒックに対するNAK等の制御信号は中継端末2を経由せずに、直接基地局1に送信される。
【0052】
尚、基地局−中継端末間のトラヒックチャネル及び制御チャネルは物理的に分離することも論理的に分離することも可能である。一方、中継端末−宛先端末間のトラヒックチャネルと基地局−宛先端末間の制御チャネルは物理的に分離されている。物理的分離、論理的分離にかかわらず、以下の説明では、まず、同一の移動通信システムに閉じている場合について行う。
【0053】
(第1実施形態) 本実施形態では、各無線端末(中継端末及び宛先端末)においてパケット消失の監視を行い、無線端末にてパケット消失を検出した場合は、NAKを基地局に送信する。
【0054】
図3は、第1実施形態において、中継端末と宛先端末間でパケット消失が発生し、トラヒックチャネルで再送する場合のシーケンス図である。図中の基地局、中継端末及び宛先端末それぞれの縦線のうち、実線はトラヒックチャネルを、破線は制御チャネルを表している(他の図も同様である)。同一基地局又は無線端末内であれば、トラヒックチャネルと制御チャネル間でのデータ転送が可能である。また、各無線端末ではパケットのシーケンス番号を管理し、自動再送要求はパケット抜けが発生した場合のみ再送要求を行うNAK方式で行われるものとする。また、パケット再送に備えて、基地局は送信済みパケットを保存する。
【0055】
図3において、データ1は正常に受信され、宛先端末の上位層に送られている。データ2は、中継端末−宛先端末間で消失し、宛先端末はデータ3が届いた時点でデータ2の消失を検出する。宛先端末は、制御チャネルを用いてNAK2を、直接基地局に送信し、基地局は、トラヒックチャネルを用いて宛先端末に、再送フラグを付けたデータ2を送信する。中継端末には既に受信したデータ2が再度届くことになるが、再送フラグ付きデータであるため、宛先端末に転送する。宛先端末はシーケンス番号が揃った状態で、上位層へデータの転送を行う。これは、シーケンス番号が不連続の状態で、データを上位層に届けると、上位層による再送制御が動作するためである。制御信号を、中継端末経由で基地局に送信するのではなく、直接基地局に送信することで、自動再送制御による遅延を減らすことができる。
【0056】
図4は、第1実施形態において、中継端末と宛先端末間でパケット消失が発生し、制御チャネルで再送する場合のシーケンス図である。基地局は、データ2をトラヒックチャネルではなく、制御チャネルにより宛先端末に直接送信する。再送パケットを、中継端末を経由するトラヒックチャネルではなく、制御チャネルとすることで、遅延を減らし、かつ、再送パケットが再度消失する可能性を減らすことができる。
【0057】
図5は、第1実施形態において、中継端末と宛先端末間でパケット消失が発生し、トラヒックチャネル及び制御チャネルで再送する場合のシーケンス図である。いずれの経路の再送パケットとも正常に送信された場合は、宛先端末で同じパケットを受信することとなるが、宛先端末はシーケンス番号を管理しているため、先に到着した再送パケットを採用し、後から到着した再送パケットを廃棄する。遅延増加を抑えると同時に、個々の無線回線の品質が劣化した状態においても、複数の経路を用いることで、パケット消失率を低減し、全体としての回線品質劣化を防ぐことが可能となる。
【0058】
更に基地局から無線端末までの無線回線品質を算出し、例えばシングルホップ経路及びマルチホップ経路のいずれか遅延時間の短い経路を選択し、前記選択された経路を用いてパケットの再送をすることも可能である。
【0059】
また、通常は、トラヒックチャネルを用いてパケットの再送を行い、トラヒックチャネルでのパケット再送が事前に設定した閾値を超えた場合に、制御チャネルを用いてパケット再送を行う利点もある。これは、制御チャネルはトラヒックチャネルに比べ通信速度が低い場合が多く、多数のデータを処理することができないからである。制御チャネルを使用する頻度を下げ、ある一定の場合に補完的に制御チャネルを使用することでシステム全体の特性を向上させる効果がある。
【0060】
図6は、第1実施形態において、中継端末に複数の宛先端末が接続している場合のシーケンス図である。
【0061】
中継端末が、複数の宛先端末に対して正しくパケット送信するためには、パケットに識別子が必要である。このような識別子の一つがアドレスヘッダである。アドレスヘッダを有するフレームの例を図7に示す。基地局が、宛先端末までの経路を設定し、この設定した経路を宛先ヘッダに記述する。図7の(a)のフレームでは、送信元(基地局)、中継端末及び宛先端末aが記述されているが、(b)に示すように、複数の中継端末を経由する場合には、各中継端末(中継端末a、中継端末b)のアドレスが追加される。中継端末はこれらのアドレスヘッダを見て、次に転送する無線端末を識別する。
【0062】
尚、アドレスヘッダを有するフレームにて説明を行ったが、本発明はこれに制限されるものではなく、例えば、移動通信システムで用いられている時分割多重アクセス方式(TDMA)や、符号分割多重アクセス方式(CDMA)での物理層情報、つまり、割当スロット位置や、割当符号に基づいて、中継端末が転送を行うことも可能である。
【0063】
図8から図10は、第1実施形態において、基地局と中継端末間でパケット消失が発生した場合のシーケンス図であり、図3〜図5と同様である。
【0064】
(第2実施形態) 本実施形態において、各無線端末は、パケット消失の監視といったシーケンス番号の管理は行わず、受信したデータの受信確認、つまり、シーケンス番号を、制御チャネルにより単に基地局に通知するのみである。基地局は、前記通知に基づき一括してシーケンス番号の管理を行い、前記通知により消失したパケット及びその消失区間の特定を行う。
【0065】
図11は、第2実施形態のシーケンス図である。各無線端末は、データ1を受信すると、受信したことを基地局に伝えるため、それぞれ、基地局にACK1を送信し、基地局は全無線端末からACK1を受信後、宛先端末に対してSYN1を送信する。宛先端末は、SYN1の受信によりデータ1を上位層に渡す。これは、上位層へ連続しないデータを渡すことを回避するためである。つまり、宛先端末では、シーケンス番号を管理していないため、シーケンス番号を管理している基地局がシーケンス番号の連続性を確認し、基地局が確認した後に、宛先端末に上位層への転送をさせることで、上位層へ連続しないデータを渡すことを回避するものである。
【0066】
データ2は、基地局−中継端末間では正常に受信されたものの、中継端末−宛先端末間で消失している。このため、宛先端末から基地局へはACK2が送信されない。データ3は宛先端末まで届き、ACK3が送信されるが、基地局ではこのACK3の受信によりシーケンス番号の不連続を検出する。この時点で、基地局は中継端末からのACK2を受信しているため、データ2の消失区間が中継端末−宛先端末間であると特定できる。消失パケット及び消失区間を特定した基地局は、中継端末に対してデータ2を再送させるため制御チャネルを用いてNAK2を送信し、中継端末はNAK2の受信により、トラヒックチャネルを用いてデータ2を宛先端末に再送する。
【0067】
中継端末では、送信済みのパケットを保存しているが、NAK要求の受信は、NAK要求の1つ前までのパケットが正常に届いていることをも意味するため、NAK要求の受信により、それらをバッファから削除することができる。これによりバッファ量の増大を抑える。しかし、回線品質が良くパケット消失が起こりにくい環境では、NAK受信の頻度も少なく、バッファ量が増大する恐れがある。このため、事前に設定する値(パケット数又はデータサイズ)を超えると、保存しているパケットをバッファから削除する。
【0068】
以上、全無線端末は、制御チャネルにより基地局と直接通信を行うことが可能であるため、基地局からの制御を受けて、パケット処理を行うことが可能となる。このように、基地局が全無線端末のパケット送信を制御することで、各無線端末でのシーケンス番号管理が不要となり、無線端末の処理負荷を低減できる。また、基地局が一括してパケット伝送を制御することで、再送パケットを不必要な区間に送信することを防止できる。
【0069】
また、上記においては、再送パケットをパケット消失区間の送信側無線端末からトラヒックチャネルでのみ送信しているが、基地局から制御チャネルで直接送信することも、それらを併用することも可能である。
【0070】
(第3実施形態) 本実施形態においては、宛先端末は、パケット消失の監視を行い、消失を検出した場合は基地局に再送要求を行う。各中継端末では、中継するデータの受信確認を基地局に送信するが、中継するデータについてパケット消失の監視は行わない。
【0071】
図12は、第3実施形態において、中継端末に1の宛先端末が接続している場合のシーケンス図である。宛先端末は、自端末宛てデータのシーケンス番号を管理しているため、パケット消失を検出すると、基地局に対して制御チャネルを用いて、直接NAK要求を送信する。図12においては、データ2の消失を検出し、NAK2を基地局に送信している。次に基地局は要求されたパケットの消失区間を、中継端末からの受信確認(ACK)により特定し、前記消失区間の送信側無線端末に対してNAKを送信することで、再送を行わせる。
【0072】
尚、図12では、再送パケットをパケット消失区間の送信側無線端末からトラヒックチャネルを用いて送信しているが、基地局から制御チャネルで直接送信することも、それらを併用することも可能である。
【0073】
図13は、第3実施形態において、中継端末に複数の宛先端末が接続している場合のシーケンス図である。複数の宛先端末が存在する場合に、すべての再送パケットを基地局から送信していると、共通する無線区間である基地局−中継端末区間に多くのトラヒックが流れることとなる。特に基地局−中継端末間では正常に送信されたパケットであるため、不必要なパケット再送となり通信効率が悪くなる。これに対して図13に示すように、パケット消失が発生した区間の中継端末からパケット再送を行うことで、不必要なトラヒックの発生を防止し、不必要な区間に再送パケットを送信することによるデータパケット遅延を防止する。
【0074】
このように、宛先端末において、自端末宛てデータに関してのみは、シーケンス番号管理を行うことにより、NAK要求による再送制御が可能となり、基地局のみでシーケンス番号管理を行う構成に比べて、制御信号、特にACKパケット削減が可能である。尚、中継端末では送信済みパケットを保存しているが、NAK要求を受信したことは、NAK要求の1つ前までのパケットが正常に届いたことを意味するため、それらパケットをバッファから削除する。
【0075】
図14は、第3実施形態において、基地局及び宛先端末がシーケンス番号を管理し、複数の中継端末がある場合のシーケンス図である。図14では、各無線端末がデータ毎に制御信号(ACK/NAK)を送信せず、複数のデータに対して1つの制御信号を送信する例が示されている。例えば、中継端末aは、データ1〜4を受信した後にACK1−4を送信している。このように、複数のデータに対して1つの制御信号を返信する構成により、再送制御に伴う遅延を減らすことができる。
【0076】
また、上位層の制御信号も、宛先端末から基地局へ制御チャネル経由で直接伝送することで、中継端末を経由するトラヒックチャネルでの伝送に比べて遅延を少なくすることが可能となり、上位層の制御信号の遅延により上位アプリケーションに与える影響を少なくすることができる。図15は、上位層の制御信号を制御チャネルで伝送する場合のシーケンス図である。
【0077】
上述した実施形態では、同一の通信システムに閉じている場合を例にして、説明を行ってきた。しかし、本発明は、同一通信システムに閉じる必要は無く、複数の異なる通信システムを併用することも可能である。図16は、本発明によるマルチホップ通信で、複数システムを併用した構成を示す図である。
【0078】
図16によると、基地局及び無線端末は、異なる無線システムである、システムA及びシステムBの無線インタフェースを有する。トラヒックチャネルはシステムAの無線インタフェースで構成され、制御チャネルはシステムBの無線インタフェースにより構成されている。例えば、システムAは移動通信システムであり、システムBは無線LANである。このように異なるシステムを併用することで、柔軟な構成が可能となる。また、既に存在するシステムを有効利用し、その上で新規システムの導入を図るといった、経済的なシステム構築が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明によるマルチホップネットワークのプロトコルスタック図
【図2】本発明によるネットワーク構成例である。
【図3】第1実施形態において、中継端末と宛先端末間でパケット消失が発生し、トラヒックチャネルで再送する場合のシーケンス図である。
【図4】第1実施形態において、中継端末と宛先端末間でパケット消失が発生し、制御チャネルで再送する場合のシーケンス図である。
【図5】第1実施形態において、中継端末と宛先端末間でパケット消失が発生し、トラヒックチャネル及び制御チャネルで再送する場合のシーケンス図である。
【図6】第1実施形態において、中継端末に複数の宛先端末が接続している場合のシーケンス図である。
【図7】アドレスヘッダを有するフレームの例を示す図である。
【図8】第1実施形態において、基地局と中継端末間でパケット消失が発生し、トラヒックチャネルで再送する場合のシーケンス図である。
【図9】第1実施形態において、基地局と中継端末間でパケット消失が発生し、制御チャネルで再送する場合のシーケンス図である。
【図10】第1実施形態において、基地局と中継端末間でパケット消失が発生し、トラヒックチャネル及び制御チャネルで再送する場合のシーケンス図である。
【図11】第2実施形態のシーケンス図である。
【図12】第3実施形態において、中継端末に1の宛先端末が接続している場合のシーケンス図である。
【図13】第3実施形態において、中継端末に複数の宛先端末が接続している場合のシーケンス図である。
【図14】第3実施形態において、基地局及び宛先宛先端末がシーケンス番号を管理し、複数の中継端末がある場合のシーケンス図である。
【図15】上位層の制御信号を制御チャネルで伝送する場合のシーケンス図である。
【図16】本発明によるマルチホップ通信で、複数システムを併用した構成を示す図である。
【図17】従来の技術によるマルチホップネットワークの構成例を示す図である。
【図18】従来の技術によるマルチホップ通信でのトラヒック伝送のシーケンス図である。
【図19】従来の技術によるマルチホップ通信で、中継端末ではシーケンス番号管理を行わない場合のシーケンス図である。
【図20】従来の技術によるマルチホップ通信で、基地局及び無線端末でシーケンス番号管理を行い、基地局と中継端末間でパケット消失が発生した場合のシーケンス図である。
【図21】従来の技術によるマルチホップ通信で、基地局及び無線端末でシーケンス番号管理を行い、基地局と中継端末間及び中継端末と宛先端末間でパケット消失が発生した場合のシーケンス図である。
【図22】制御信号がトラヒックと同一チャネルにより送受信される構成において、高トラヒック時にパケット消失が発生した場合のシーケンス図である。
【符号の説明】
【0080】
1 基地局
2、21、22 中継端末
3、31、32、33 宛先端末
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と、複数の無線端末とを有し、
基地局と無線端末間のトラヒックを、1以上の他の無線端末を経由するトラヒックチャネルを用いて送受信するマルチホップ通信機能を有するネットワークシステムの通信方法において、
基地局は、マルチホップ通信に含まれる各無線端末と、それぞれ直接設けた制御チャネルを用いて制御信号を送受信することを特徴とする通信方法。
【請求項2】
トラヒックを中継している1以上の無線端末及びトラヒックの宛先である無線端末のうち、少なくともトラヒックの宛先である無線端末において、パケット消失の監視をする第1のステップと、
第1のステップで、パケット消失を検出した無線端末は、制御チャネルを用いて基地局にパケットの再送要求を行う第2のステップと、
パケットの再送要求を受信した基地局は、再送要求されたパケットを、トラヒックチャネル及び/又は制御チャネルを用いて再送する第3のステップとを有することを特徴とする請求項1に記載の通信方法。
【請求項3】
前記第1のステップにおいて、トラヒックの中継をしている無線端末は、中継するパケットの受信確認を、制御チャネルを用いて基地局に送信し、
パケットの再送要求を受信した基地局は、前記トラヒックを中継している無線端末からの受信確認より、前記再送要求されたパケットの消失区間を特定し、
前記第3のステップでの基地局からのトラヒックチャネルを用いたパケットの再送に代えて、基地局は、制御チャネルを用いて前記消失区間の送信側の無線端末に再送要求を送信し、
前記送信側無線端末は、トラヒックチャネルを用いて前記消失パケットを再送することを特徴とする請求項2に記載の通信方法。
【請求項4】
各無線端末は、制御チャネルを用いて受信パケットの受信確認を基地局に送信し、
基地局は、各無線端末からの前記受信確認より消失パケットの検出及び前記消失パケットの消失区間を特定し、
制御チャネルを用いて前記消失パケットの再送及び/又は制御チャネルを用いて前記消失区間の送信側の無線端末に再送要求を送信し、
前記再送要求を受信した前記送信側無線端末は、トラヒックチャネルを用いて前記消失パケットを再送することを特徴とする請求項1に記載の通信方法。
【請求項5】
上位層の制御信号も、制御チャネルを用いて送受信することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の通信方法。
【請求項6】
無線端末とのトラヒックを、1以上の他の無線端末を経由するトラヒックチャネルを用いて送受信するマルチホップ通信機能を有する基地局において、
制御信号を送受信する制御チャネルを、マルチホップ通信に含まれる各無線端末との間にそれぞれ直接設ける機能を有することを特徴とする基地局。
【請求項7】
無線端末から制御チャネルによりパケットの再送要求を受信した場合は、再送要求されたパケットを、トラヒックチャネル及び/又は制御チャネルを用いて再送する機能を有することを特徴とする請求項6に記載の基地局。
【請求項8】
無線端末から制御チャネルを用いて通知されるパケットの受信確認より、パケットの消失区間を特定する機能と、
前記トラヒックチャネルを用いたパケットの再送に代えて、制御チャネルを用いて前記消失区間の送信側の無線端末に再送要求を送信し、前記送信側無線端末よりトラヒックチャネルを用いて前記消失パケットの再送を行わせる機能とを有することを特徴とする請求項7に記載の基地局。
【請求項9】
前記再送要求されたパケットの再送経路を、基地局から無線端末までの無線回線品質により決定することを特徴とする請求項7又は8に記載の基地局。
【請求項10】
前記再送要求されたパケットの再送経路として、トラヒックチャネルを含む経路を用い、前記トラヒックチャネルを含む経路による再送が事前に設定した閾値を超えた場合にのみ制御チャネルを用いて再送を行うことを特徴とする請求項7又は8に記載の基地局。
【請求項11】
2以上の異なる無線システムの無線インタフェースを有し、制御チャネルとトラヒックチャネルを、異なる無線システムの無線インタフェースにより設けることを特徴とする請求項6に記載の基地局。
【請求項12】
基地局とのトラヒックを、1以上の他の無線端末を経由するトラヒックチャネルを用いて送受信するマルチホップ通信機能を有する無線端末において、
マルチホップ通信により基地局と直接トラヒックチャネルを設けていない場合でも、制御信号を送受信する制御チャネルを、基地局との間に直接設ける機能を有することを特徴とする無線端末。
【請求項13】
2以上の異なる無線システムの無線インタフェースを有し、制御チャネルとトラヒックチャネルを、異なる無線システムの無線インタフェースにより設けることを特徴とする請求項12に記載の無線端末。
【請求項1】
基地局と、複数の無線端末とを有し、
基地局と無線端末間のトラヒックを、1以上の他の無線端末を経由するトラヒックチャネルを用いて送受信するマルチホップ通信機能を有するネットワークシステムの通信方法において、
基地局は、マルチホップ通信に含まれる各無線端末と、それぞれ直接設けた制御チャネルを用いて制御信号を送受信することを特徴とする通信方法。
【請求項2】
トラヒックを中継している1以上の無線端末及びトラヒックの宛先である無線端末のうち、少なくともトラヒックの宛先である無線端末において、パケット消失の監視をする第1のステップと、
第1のステップで、パケット消失を検出した無線端末は、制御チャネルを用いて基地局にパケットの再送要求を行う第2のステップと、
パケットの再送要求を受信した基地局は、再送要求されたパケットを、トラヒックチャネル及び/又は制御チャネルを用いて再送する第3のステップとを有することを特徴とする請求項1に記載の通信方法。
【請求項3】
前記第1のステップにおいて、トラヒックの中継をしている無線端末は、中継するパケットの受信確認を、制御チャネルを用いて基地局に送信し、
パケットの再送要求を受信した基地局は、前記トラヒックを中継している無線端末からの受信確認より、前記再送要求されたパケットの消失区間を特定し、
前記第3のステップでの基地局からのトラヒックチャネルを用いたパケットの再送に代えて、基地局は、制御チャネルを用いて前記消失区間の送信側の無線端末に再送要求を送信し、
前記送信側無線端末は、トラヒックチャネルを用いて前記消失パケットを再送することを特徴とする請求項2に記載の通信方法。
【請求項4】
各無線端末は、制御チャネルを用いて受信パケットの受信確認を基地局に送信し、
基地局は、各無線端末からの前記受信確認より消失パケットの検出及び前記消失パケットの消失区間を特定し、
制御チャネルを用いて前記消失パケットの再送及び/又は制御チャネルを用いて前記消失区間の送信側の無線端末に再送要求を送信し、
前記再送要求を受信した前記送信側無線端末は、トラヒックチャネルを用いて前記消失パケットを再送することを特徴とする請求項1に記載の通信方法。
【請求項5】
上位層の制御信号も、制御チャネルを用いて送受信することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の通信方法。
【請求項6】
無線端末とのトラヒックを、1以上の他の無線端末を経由するトラヒックチャネルを用いて送受信するマルチホップ通信機能を有する基地局において、
制御信号を送受信する制御チャネルを、マルチホップ通信に含まれる各無線端末との間にそれぞれ直接設ける機能を有することを特徴とする基地局。
【請求項7】
無線端末から制御チャネルによりパケットの再送要求を受信した場合は、再送要求されたパケットを、トラヒックチャネル及び/又は制御チャネルを用いて再送する機能を有することを特徴とする請求項6に記載の基地局。
【請求項8】
無線端末から制御チャネルを用いて通知されるパケットの受信確認より、パケットの消失区間を特定する機能と、
前記トラヒックチャネルを用いたパケットの再送に代えて、制御チャネルを用いて前記消失区間の送信側の無線端末に再送要求を送信し、前記送信側無線端末よりトラヒックチャネルを用いて前記消失パケットの再送を行わせる機能とを有することを特徴とする請求項7に記載の基地局。
【請求項9】
前記再送要求されたパケットの再送経路を、基地局から無線端末までの無線回線品質により決定することを特徴とする請求項7又は8に記載の基地局。
【請求項10】
前記再送要求されたパケットの再送経路として、トラヒックチャネルを含む経路を用い、前記トラヒックチャネルを含む経路による再送が事前に設定した閾値を超えた場合にのみ制御チャネルを用いて再送を行うことを特徴とする請求項7又は8に記載の基地局。
【請求項11】
2以上の異なる無線システムの無線インタフェースを有し、制御チャネルとトラヒックチャネルを、異なる無線システムの無線インタフェースにより設けることを特徴とする請求項6に記載の基地局。
【請求項12】
基地局とのトラヒックを、1以上の他の無線端末を経由するトラヒックチャネルを用いて送受信するマルチホップ通信機能を有する無線端末において、
マルチホップ通信により基地局と直接トラヒックチャネルを設けていない場合でも、制御信号を送受信する制御チャネルを、基地局との間に直接設ける機能を有することを特徴とする無線端末。
【請求項13】
2以上の異なる無線システムの無線インタフェースを有し、制御チャネルとトラヒックチャネルを、異なる無線システムの無線インタフェースにより設けることを特徴とする請求項12に記載の無線端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2006−66948(P2006−66948A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243566(P2004−243566)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】
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