説明

マンホール内監視システム

【課題】同一マンホール内に地中送電線(回線)毎に該回線の移動量に関する検出情報を取得する複数のセンサが設けられている場合、単一の子機にて複数のセンサが検出した回線の移動量に関する検出情報を送信することができ、この結果、複数の子機を設ける必要がないマンホール内監視システムを提供する。
【解決手段】
マンホール内に設けられた監視システムの監視装置80は、自動切替部86aが、回線毎に切替接続して、回線毎に設けられたセンサ群20〜40の移動検出センサが取得した検出情報について各センサに出力要求する。監視装置80は、自動切替部86aの出力要求に応じて取得した各センサの検出情報を情報表示装置110に無線送信する無線通信部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホール内に設置された各種設備についての各種保守管理情報をマンホール内部から無線信号により地上に伝送するためのマンホール内監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、送電線路は、電力エネルギーの供給業務を果す上で必要不可欠な設備であり、この設備の故障は現代社会に極めて重大な影響をおよぼす。このため、管路布設などにより地下に埋設された地中送電線についても健全な設備状態を維持するための保守管理が極めて重要な業務課題となっている。
【0003】
従来、マンホール内の保守管理は、保守員が定期的にあるいは必要に応じて、その都度、マンホール内部に入坑し、各種設備状況を各監視項目により点検を実施しているのが現状である。マンホール内に入坑して内部を点検する場合には、次の様に極めて煩雑かつ大掛かりな作業を必要としていた。
【0004】
(1)マンホールの地上開口部が道路上にある場合、道路上作業許可申請が必要であり、かつ主要道路上では作業時間帯の制約がある。
(2)道路遮断作業安全確保のために安全柵、標識などの設置および交通整理員の配置が必要となる。
【0005】
(3)マンホール作業に先立ち、開蓋、排水、酸素濃度測定などの付帯作業が必要である。
(4)マンホール点検中の酸素濃度測定監視および送風機によるマンホール内換気が必要である。
【0006】
そこで、保守員が入坑しなくてもマンホール内を点検できる様にするために、マンホール内に保守監視項目に応じて取付けた各種センサの情報をマンホール内から地上部に無線信号により送信し、地上部で受信した無線信号(各種センサ情報)によりマンホール内の状況を監視するシステムが導入されている(特許文献1)。
【0007】
特許文献1のマンホール内監視システムでは、例えば、1回線分の地中送電線の移動検知を1個の移動検出センサで行うようにされている。そして、前記センサの検出データを1台の子機を介して、親機に無線で送信するようにされている。
【特許文献1】特開2006−30129号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、複数回線の地中送電線の移動量を監視するために、回線毎に2つ以上の移動検出センサをマンホール内に設けることが考えられる。例えば、地中送電線はマンホール内に設けられた一対の管路口の間を亘るように設けられており、マンホール内の管路口毎に移動検出センサを設置することが考えられる。この場合、同一マンホール内に各センサの検出データを送信する子機を複数台設置することが考えられる。しかし、マンホール内では、子機を複数設置すると、各子機から発信される電波が混信する問題がある。なお、特許文献1では、複数のセンサが同一マンホール内に設けられた構成が開示されているが、複数のセンサが検出した個々のデータをどのように送信するかの具体的な構成は提案されていない。
【0009】
本発明の目的は、同一マンホール内に地中送電線(回線)毎に該回線の移動量に関する検出情報を取得する複数のセンサが設けられている場合、単一の子機にて複数のセンサが検出した回線の移動量に関する検出情報を送信することができ、この結果、複数の子機を設ける必要がないマンホール内監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数の地中送電線(以下、回線という)が配置されたマンホール内に、前記回線毎に該回線の移動量に関する検出情報を取得する複数のセンサが配置され、前記マンホール内に設けられた監視装置から、前記マンホール外に位置する情報表示装置へ前記センサが取得した検出情報を送信するマンホール内監視システムであって、前記監視装置は、前記回線毎に切替接続して、前記回線毎に設けられた前記複数のセンサが取得した検出情報について各センサに出力要求する切替手段と、前記切替手段の出力要求に応じて取得した前記各センサの検出情報を情報表示装置に無線送信する無線通信手段を備えることを特徴とするマンホール内監視システムを要旨とするものである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1において、前記監視装置は、起動用センサに接続され、前記起動用センサにて検出された起動信号が監視装置に伝達された時に、前記監視装置の前記切替手段を起動させることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2において、前記無線通信手段は、取得した全センサの検出情報をまとめて前記情報表示装置に無線送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、同一マンホール内に地中送電線(回線)毎に該回線の移動量に関する検出情報を取得する複数のセンサが設けられている場合、単一の子機にて複数のセンサが検出した回線の移動量に関する検出情報を送信することができ、この結果、複数の子機を設ける必要がないマンホール内監視システムを提供できる。又、切替手段により、回線毎に切替接続して、各回線毎に設けられた複数のセンサの検出情報を取得することができるため、地中送電線(回線)の数が多くなっても、対応することができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、起動用センサにて検出された起動信号が監視装置に伝達された時にのみ、切替手段が各回線毎に切替して、回線毎に設けられた複数のセンサの該回線の移動量に関する検出情報を取得すべく出力要求することから、必要なときにのみ切替手段を作動させ、無駄に切替手段を回線毎に切替接続することをなくすることができ、省エネルギーで切替手段を作動させることができる。なお、起動用センサを備えていない場合には、切替手段は、起動した状態が続くため、必要でないときにも、切替接続して、各回線毎に設けられた複数のセンサの検出情報を取得することとなるため、特に、地中送電線(回線)の数が多くなった場合には、切替手段及び各センサを無駄に駆動することになる。
【0015】
請求項3の発明によれば、取得した全センサの検出情報を一括して前記情報表示装置に無線送信することから、無線送信を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明のマンホール内監視システム(以下、監視システムという)を具体化した一実施形態を図1〜7を参照して説明する。なお、本実施形態では、図1に示すように地中に埋め込まれ複数の地中送電線10A〜10Cがそれぞれ管路口Haを介してマンホールH内に導入され、管路口Hbを介して再び地中に埋め込まれている。なお、本実施形態では、地中送電線は3回線分設けられているが、回線数は例示であり、3つに限定されるものではなく、1回線以上あればよい。なお、地中送電線を単に回線ということがある。
【0017】
監視システムは、図1に示すように、マンホールH内に設置された地中送電線10A〜10Cの各移動量を監視する複数のセンサ群20,30,40、金属製外蓋50下部の胴枠60の側面に設置した起動用センサ70、前記センサ群と起動用センサ70に接続された子機としての監視装置80、及び、情報表示装置110で構成されている。情報表示装置110はマンホールHの外部である地上部90の巡視車両100などに設置される。
【0018】
(センサ群)
センサ群20,30,40の構成は、同一の構成であるため、センサ群20を説明し、他のセンサ群30,40についてはその説明を省略する。
【0019】
図1、図5及び図6に示すように、センサ群20は、複数の移動検出センサを1組とした、2組からなる。本実施形態では、管路口Haに設けられた組は、ブラケット22を介して支持された3つの移動検出センサS1,S2,S3からなる。一方、管路口Hbに設けられた組は、ブラケット24を介して支持された3つの移動検出センサS4,S5,S6からなる。
【0020】
本実施形態では、移動検出センサS1〜S6は、センサ本体Sbから垂下された棒状の触覚部Saを有し、該触覚部Saに後述する当て板26が接触するとオン作動し、接触していない場合には、オフとなるオンオフスイッチである。
【0021】
本実施形態では、1つの回線毎に6つの移動検出センサが回線の移動量を測定するために設けられている。
1組を構成する3つの移動検出センサS1〜S3(図5参照)、及び他の1組の3つの移動検出センサS1〜S3(図6参照)は、地中送電線10Aの長手方向に所定ピッチ間隔で配置されている。
【0022】
このピッチは、地中送電線10Aの予想される移動量に応じて、設定すればよい。地中送電線10Aには、各組の3つの移動検出センサS1〜S3、S4〜S6の両端側にそれぞれ一対の当て板26が取付け固定されており、地中送電線10Aがその長手方向のうち、いずれか一方に移動した際に、当て板26が順次3つの移動検出センサに接触することにより、移動した方向の移動量の検出が可能である。
【0023】
この移動検出センサの移動量の検出原理は、下記の通りである。
なお、最初は、各組の3つの移動検出センサS1〜S3、S4〜S6はいずれもオフの状態として、地中送電線10Aの長手方向に沿って3つの移動検出センサS1〜S3、S4〜S6を所定ピッチで配置しているものとする。
【0024】
この状態から、後に地中送電線10Aが移動して当て板26が、順次移動検出センサの触覚部Saに接触することにより、図5又は図6の左端(又は右端)の移動検出センサと中間の移動検出センサがオンしていれば、管路口Ha,Hbに位置する地中送電線が、1ピッチ以上、右方(又は左方)へ移動したことを検出できる。又、このような検出履歴を情報表示装置側で記憶しておけば、期間をおいて次に監視したときに、同じ管路口Ha,Hbの3つの移動検出センサが全てオン状態となっていれば、地中送電線10Aが、2ピッチ以上、右方(又は左方)へ移動したことを検出できる。
【0025】
このようにして、特にマンホール内に配置される地中送電線の移動量を検出するために、複数の移動検出センサを地中送電線10Aの長手方向に沿って所定ピッチで設けることは、マンホール内が浸水した場合においても、検出不能となることがない利点がある。例えば移動量検出を行うために、光学センサで地中送電線の移動量を検出することも考えられるが、光学センサでは、地中送電線が浸水した場合、検出側のセンサと被検出側の地中送電線間に水が介在すると、検出不能となる場合が予想される。しかし、本実施形態では、移動検出センサは、地中送電線に設けられた当て板26が直接当接するか否かで、検出動作するため、地中送電線が浸水した場合にも確実に検出することができる。
【0026】
なお、地中送電線10B,10Cに設けられたセンサ群30,40についての地中送電線10B,10Cの移動量の検出も上記した地中送電線10Aについての移動量の検出と同様である。
【0027】
(起動用センサ)
起動用センサ70は、振動センサの一種である加速度センサにより構成され、金属製外蓋50の振動情報を検出する。この起動用センサ70の振動検出により、監視装置80を起動させる。
【0028】
(監視装置)
図2に示すように、監視装置80は、出力部82、入力部84、通信制御部86、及び無線通信部89を備えている。通信制御部86は、起動した際に、自動切替部86aにより、各回線のセンサ群の検出情報の収集のために、出力部82を各回線のセンサ群に接続すべく順次切替接続する。入力部84は、前記出力部82が各回線のセンサ群20,30,40に切替接続された際、各回線のセンサ群20,30,40の各移動検出センサS1〜S6が出力した検出情報を入力して、格納するバッファを備えている。又、通信制御部86は、入力部84が格納した各回線のセンサ群の検出情報を無線通信部89を介してまとめて無線送信させるように通信制御する。
【0029】
又、監視装置80は、起動用センサ検出部88を有しており、起動用センサ検出部88により起動用センサ70からの起動信号が伝達されると通信制御部86、出力部82,入力部84が起動するようになっている。さらに、監視装置80はバッテリ87を有しており、監視装置80が備える前記各部がバッテリ駆動される。なお、このバッテリ87は定期的に交換可能である。
【0030】
(情報表示装置)
図3に示すように、情報表示装置110は、監視装置80の無線通信部89から無線送信された検出情報を受信する無線通信部112と、その各種検出情報を表示させるノート型PC等のディスプレイ部114とにより構成されている。
【0031】
(実施形態の作用)
さて、上記のように構成された監視システムの作用を図4、図7を参照して説明する。図4は、子機としての監視装置80と回線毎に設けられたセンサ群20、30、40の電気的接続を概念的に表わしたものである。なお、図4では、出力部82は回線数が8の場合を対象としてその切替が可能な場合であって、入力部84は、各回線毎に8個のセンサ分の検出情報を入力可能な構成で図示されている。本実施形態では、上記のように出力部82が構成されているとした場合、1〜3までの回線のみが使用されるように設定されて、1〜3までの回線に対して接続切替が可能に設定される。又、入力部84は、1〜8のバッファを備え、そのうち、1〜6までのチャンネル分のバッファが使用可能に設定され、残りの2チャンネル分のバッファは使用されないように設定されている。
【0032】
監視装置80は、低消費電力化によりバッテリ87の交換周期を延ばし、かつバッテリ87の低容積化を目的として、常時、起動用センサ検出部88を除く、出力部82、入力部84、通信制御部86、及び無線通信部89が休止状態とされている。
【0033】
マンホールH内の検出情報を取得する場合、地上部90で保守員がハンマーなどで金属製の外蓋50の上面(地上部90側)部を叩く。このハンマーによる振動を金属製の外蓋50の下面(マンホールH側)部などに設置した起動用センサ70を介して、監視装置80の起動用センサ検出部88が検出する。
【0034】
起動用センサ検出部88は、ハンマーによる振動を検出すると、休止中の通信制御部86を起動させる。起動した通信制御部86は、休止状態の出力部82、入力部84、及び起動用センサ検出部88を起動させる(図7参照)。
【0035】
続いて、通信制御部86は、自動切替部86aにより、出力部82を各回線のセンサ群に接続すべく順次切替接続し、切替えた各回線のセンサ群の出力要求を行う。本実施形態では、まず、図7に示すように出力部82を地中送電線10Aに関するセンサ群20に接続する。この場合、例えば、自動切替部86aは出力部82の「1」に切替接続する(図7においては、説明の便宜上、地中送電線10Aのセンサ群に対する出力要求を「A回線の出力要求」と記載する。)。入力部84には、この切替接続時点におけるA回線のセンサ群を構成する移動検出センサS1〜S6の検出情報が入力される。
【0036】
次に、図7に示すように出力部82を地中送電線10Bに関するセンサ群30に接続する。この場合、例えば、自動切替部86aは出力部82の「2」に切替接続する(図7においては、説明の便宜上、地中送電線10Bのセンサ群30に対する出力要求を「B回線の出力要求」と記載する。)。入力部84には、この切替接続時点におけるB回線のセンサ群30を構成する移動検出センサS1〜S6の検出情報が入力される。次に、図7に示すように出力部82を地中送電線10Cに関するセンサ群40に接続する。この場合、例えば、自動切替部86aは出力部82の「3」に切替接続する(図7においては、説明の便宜上、地中送電線10Cのセンサ群40に対する出力要求を「C回線の出力要求」と記載する。)。入力部84には、この切替接続時点におけるC回線のセンサ群40を構成する移動検出センサS1〜S6の検出情報が入力される。次に、通信制御部86は、休止中の無線通信部89を起動させ、入力部84に入力された検出情報を無線信号としてまとめて地上部90の情報表示装置110に送信する(図7参照)。この後、情報表示装置110から、受信確認の信号を通信制御部86が受信すると、通信制御部86、出力部82、入力部84、無線通信部89は、起動状態から休止状態へと移行し、次回、定期点検などでマンホールH内の検出情報を取得するまで休止する。
【0037】
なお、図4に示すように、情報表示装置110のディスプレイ部114は、監視装置80の出力部82及び入力部84と対応して、「出力」の項目及び「入力」の項目が表示されるようになっている。
【0038】
ここで、情報表示装置110に送信された各回線毎のセンサ群の検出情報は、図4に示すように、「出力」の項目は、監視装置80の出力部82及び入力部84と対応して「1」〜「8」まで表示される。本実施形態では、監視装置80の出力部82で切替接続可能な「1」〜「3」と対応してディスプレイ部114の「出力」の項目中、「1」〜「3」のうちいずれかを選択可能にされている。
【0039】
そして、ディスプレイ部114の「出力」では、3回線分の「1」〜「3」のうち、例えばマウス等のポインタ(図示しない)で「1」を指定すると、上記した出力部82で「1」に切替接続したときに、入力部84に入力されたセンサ群(S1〜S6)の検出情報が、ディスプレイ部114の「入力」の項目中、「1」〜「6」に表示される。すなわち、オン又はオフのいずれかが検出情報としてディスプレイ部114の「入力」の項目中、「1」〜「6」に表示される。
【0040】
ディスプレイ部114の「出力」において、3回線分の「1」〜「3」のうち、例えばマウス等のポインタ(図示しない)で「2」を指定すると、上記した出力部82で「2」に切替接続したときに、入力部84に入力されたセンサ群(S1〜S6)の検出情報が、ディスプレイ部114の「入力」の項目中、「1」〜「6」に表示される。
【0041】
又、ディスプレイ部114の「出力」において、3回線分の「1」〜「3」のうち、同様にマウス等のポインタ(図示しない)で「3」を指定すると、上記した出力部82で「3」に切替接続したときに、入力部84に入力されたセンサ群(S1〜S6)の検出情報が、ディスプレイ部114の「入力」の項目中、「1」〜「6」に表示される。
【0042】
さて、本実施形態では下記の特徴がある。
(1) 本実施形態の監視システムの監視装置80は、自動切替部86aが切替手段として、回線毎に切替接続して、前記回線毎に設けられた複数の移動検出センサS1〜S6が取得した検出情報について各センサS1〜S6に出力要求する。又、監視装置80は、自動切替部86aの出力要求に応じて取得した各センサS1〜S6の検出情報を情報表示装置110に無線送信する無線通信部89(無線通信手段)を備える。
【0043】
この結果、同一マンホールH内に地中送電線(回線)毎に該回線の移動量に関する検出情報を取得する複数のセンサが設けられている場合、単一の監視装置80(子機)にて複数のセンサが検出した回線の移動量に関する検出情報を送信することができ、複数の監視装置(子機)を設ける必要がないマンホール内監視システムを提供できる。又、自動切替部86aにより、回線毎に切替接続して、各回線毎に設けられた複数のセンサの検出情報を取得することができるため、地中送電線(回線)の数が多くなっても、対応することができる。
【0044】
(2) 本実施形態の監視システムでは、監視装置80は、起動用センサ70に接続され、起動用センサ70にて検出された起動信号が監視装置80に伝達された時に、監視装置80の自動切替部86a(切替手段)を起動させるようにした。そして、起動用センサ70にて検出された起動信号が監視装置80に伝達された時にのみ、自動切替部86aが各回線毎に切替して、回線毎に設けられた複数のセンサの該回線の移動量に関する検出情報を取得すべく出力要求する。このことから、必要なときにのみ自動切替部86aを作動させ、無駄に自動切替部86aを回線毎に切替接続することをなくすることができ、通信制御部86が本実施形態のようにバッテリ駆動される場合、省エネルギーで自動切替部86aを作動させることができる。なお、仮に起動用センサ70を備えていない場合には、自動切替部86aは、起動した状態が続くため、必要でないときにも、切替接続して、各回線毎に設けられた複数のセンサの検出情報を取得することとなるため、特に、地中送電線(回線)の数が多くなった場合には、自動切替部86a及び各センサを無駄に駆動することになる。
【0045】
(3) 本実施形態の監視システムでは、無線通信部89(無線通信手段)は、取得した全センサの検出情報をまとめて情報表示装置110に無線送信するようにした。
この結果、本実施形態によれば、取得した全センサの検出情報を一括して情報表示装置110に無線送信することから、無線送信を効率的に行うことができる。
【0046】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 前記実施形態では、起動用センサ70を加速度センサにて構成したが、起動用センサ70は、加速度センサに限定されるものではなく、他にも、外蓋50上の磁気変化を検出する磁気センサ、外蓋50上の超音波を検出する超音波センサ等を使用してもよい。
【0047】
○ 前記実施形態において、回線数をさらに多くしてもよい。この場合、出力部82の切替回数を増加させるだけで、対応できるため、監視装置80の数を増加させることなく、対応できる利点がある。
【0048】
○ 前記実施形態において、センサ群を構成するセンサの数をさらに増加させてもよい。この場合、入力部84が格納するバッファの容量を増やすだけでよいため、監視装置80の数を増加させることなく、対応できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明を具体化した一実施形態のマンホール内監視システムの全体図。
【図2】本実施形態の監視システムの監視装置を示すブロック図。
【図3】本実施形態の情報表示装置を示すブロック図。
【図4】本実施形態の作用の説明図。
【図5】管路口Haに設けられたセンサ群の説明図。
【図6】管路口Hbに設けられたセンサ群の説明図。
【図7】本実施形態の作用の説明図。
【符号の説明】
【0050】
10A,20A,30A…地中送電線、
20…センサ群、30…センサ群、40…センサ群、70…起動用センサ、
80…監視装置、82…出力部、84…入力部、86…通信制御部、
86a…自動切替部(切替手段)、110…情報表示装置、
H…マンホール、S1〜S6…移動検出センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の地中送電線(以下、回線という)が配置されたマンホール内に、前記回線毎に該回線の移動量に関する検出情報を取得する複数のセンサが配置され、前記マンホール内に設けられた監視装置から、前記マンホール外に位置する情報表示装置へ前記センサが取得した検出情報を送信するマンホール内監視システムであって、
前記監視装置は、
前記回線毎に切替接続して、前記回線毎に設けられた前記複数のセンサが取得した検出情報について各センサに出力要求する切替手段と、
前記切替手段の出力要求に応じて取得した前記各センサの検出情報を情報表示装置に無線送信する無線通信手段を備えることを特徴とするマンホール内監視システム。
【請求項2】
前記監視装置は、起動用センサに接続され、前記起動用センサにて検出された起動信号が監視装置に伝達された時に、前記監視装置の前記切替手段を起動させることを特徴とする請求項1に記載の特徴とするマンホール内監視システム。
【請求項3】
前記無線通信手段は、取得した全センサの検出情報をまとめて前記情報表示装置に無線送信することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマンホール内監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−92229(P2010−92229A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260937(P2008−260937)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【Fターム(参考)】