説明

マンボウの皮を含むスイーツ及びその製造方法

【課題】 マンボウの皮を用いて、誰にでも親しまれる食味や食感を有する食品を提供する。
【解決手段】 細かく刻んだマンボウの皮と柚子果汁を用いてスイーツとする。甘味の付与や、食味及び食感を調整するために、酢、砂糖、水飴から選ばれる少なくとも1種を添加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンボウの皮を用いた食品、特に甘味やその他の成分を加えて処理を施したスイーツとその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マンボウは、大きなものは、体長が3m以上、体重が2トン以上に及ぶ最大級の魚の1種であり、全世界の熱帯ないし温帯の海域に生息しているが、生態については未だ知られていないことが多い。
【0003】
マンボウの食材としての市場は、日本と台湾が最大であり、日本においては定置網で、他の魚と一緒に捕獲される場合が殆どである。食用に供する形態としては、刺身や天ぷらが多く、腸や肝臓、眼球も食材として用いられる。そして、マンボウは前記のように大型の魚なので、解体によって生じる皮の量も多いが、食材として用いられることは皆無に近い。
【0004】
特許文献1には、マンボウの肝臓を健康食品として用いる例が、特許文献2には、マンボウやその他の魚介類の内臓を魚醤の原材料として用いる例が、特許文献3には、加熱調理前のマンボウやその他の魚介類を清酒で処理することにより特有の臭みを除く方法が開示されている。しかしながら、マンボウの皮を食材として利用する先行技術は、まったく見られないのが実状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特開2002−125618号公報
【特許文献2】 特開2003−319756号公報
【特許文献3】 特開2008−109872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、マンボウの皮を用い、誰にでも親しまれる食味や食感を有する食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記の課題解決のため、誰にでも親しまれる食品としてのスイーツに着目し、マンボウの皮をスイーツに利用可能とする、処理方法を検討した結果なされたものである。
【0008】
即ち、本発明は、細かく刻んだマンボウの皮と柚子果汁を含むスイーツであり、甘味の付与や、食味及び食感を調整するために、酢、砂糖、水飴から選ばれる少なくとも1種を添加してなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、マンボウの皮を4〜5cm四方の大きさの切片とする工程、前記切片の表面部分を除去する工程、前記表面部分を除去した切片を60〜120℃の温度で透明になるまで茹でる工程、前記茹でた切片を氷水に浸漬する工程、前記氷水に浸漬した切片を、冷蔵庫に入れて12〜24時間冷蔵処理を施す工程、前記冷蔵処理した切片と水を分離し10mm以下の砕片とする工程、柚子果汁、酢、砂糖、柚子ソース、水飴から選ばれる少なくとも1種からなる混合物を沸騰させた後に5℃以下に冷却して得られる調味料を、前記砕片に加えて均一に混合し、1日以上冷蔵する工程を有することを特徴とする、前記のスイーツの製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来まったく用途がなく、廃棄せざるを得なかった、マンボウの皮を食材として活用できるようになり、消費者の食品の選択肢が増加し、食生活を豊にすることに寄与する。また、マンボウの皮には、栄養素として、コラーゲンなどの有用な成分が含まれ、消費社の健康増進にも寄与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施の形態について、製造工程の具体例に基づいて説明する。
【0012】
まず、包丁などを用いて、マンボウの皮を概ね4〜5cmの大きさに切断して切片とする。次に、同じく包丁を用いて、皮の表面のザラザラした部分を除き、裏側に薄皮があれば、これも包丁を用いて除く。
【0013】
前記処理を施したマンボウの皮を、十分に浸る量の熱湯にいれ、透明になるまで茹でる。この処理は60〜120℃の温度範囲で行なう。この温度範囲とする理由は、例えば圧力鍋を用いて、120℃以上の温度で茹でると、マンボウの皮が膨潤して保形性を失い糊状となってしまうからである。茹でた後は、流水を用いて冷却し、さらに氷水を用いてしめる。
【0014】
氷水に浸した状態のマンボウの皮の切片を、冷蔵庫に入れて、コンニャクのような弾性が現れるまで保冷する。このための保冷時間は概ね半日である。保冷処理したマンボウの皮の切片の水切りをした後、食品のプロセッサーであるクイジナート(登録商標)に入れ、食品の切り刻みに適したメタルブレードと称される回転刃を用いて、概ね10mm以下の大きさの砕片とする。
【0015】
次に、前記処理を施したマンボウの皮の砕片に加える調味料の調製について説明する。以下は、40Kgのマンボウの皮に対する量である。柚子果汁を1.8リットル、酢を2.7リットル、砂糖を5Kg、柚子ソースを4Kg、水飴を6.2Kg準備し、均一に混合して沸騰させた後、5℃以下となるまで、冷却する。ここで、柚子ソースとは柚子の果汁及び摩り下ろした柚子の皮に、醤油、塩、黒胡椒を適宜加えたものである。
【0016】
前記のように調整した調味料と、マンボウの皮の砕片を均一に混合し、冷蔵庫にて1日保冷することにより、本発明のマンボウの皮を含むスイーツが完成する。なお、調味料とマンボウの皮の砕片を混合する際には、常温以上の温度領域では、マンボウの皮の砕片が柔らかくなり、砕片が相互に付着して塊となることがあるので、できるだけ低温とすることが望ましい。
【0017】
以上に説明したように、本発明によれば、マンボウの皮を用いたスイーツとその製造方法を提供することができる。なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る、各種変形、修正を含む要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細かく刻んだマンボウの皮と柚子果汁を含むことを特徴とするスイーツ。
【請求項2】
酢、砂糖、水飴から選ばれる少なくとも1種を添加してなることを特徴とする請求項1に記載のスイーツ。
【請求項3】
マンボウの皮を4〜5cm四方の大きさの切片とする工程、前記切片の表面部分を除去する工程、前記表面部分を除去した切片を60〜120℃の温度で透明になるまで茹でる工程、前記茹でた切片を氷水に浸漬する工程、前記氷水に浸漬した切片を、冷蔵庫に入れて12〜24時間冷蔵処理を施す工程、前記冷蔵処理した切片と水を分離し10mm以下の砕片とする工程、柚子果汁、酢、砂糖、柚子ソース、水飴から選ばれる少なくとも1種からなる混合物を沸騰させた後に5℃以下に冷却して得られる調味料を、前記砕片に加えて均一に混合し、1日以上冷蔵する工程を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のスイーツの製造方法。

【公開番号】特開2011−110035(P2011−110035A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282162(P2009−282162)
【出願日】平成21年11月21日(2009.11.21)
【出願人】(509341927)
【Fターム(参考)】