説明

ミクロスフェア

構成材料を含む生産流体(23)のミクロスフェアを製造するシステムである。このシステムは、受取流体(11)を保持するための貯留層(1)を有する。このシステムはさらに、生産流体を前記受取流体に噴射するための少なくとも1つのノズル(21)を持つ噴射モジュール(2)を備える。生産流体は0.01から0.5%に及ぶ構成材料の濃度を含む。最終的なミクロスフェアの成分は生産流体には溶解しない。受取流体/空気インタフェースの表面よりも下に置かれるインクジェットヘッドはノズルとして用いられる。この構成において、インクジェットされた液滴は空気−流体インタフェースを通過せずに、受取流体に直接噴射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産流体からミクロスフェアを製造するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなシステムは、論文"Uniform Paclitaxel-loaded biodegradable microspheres manufactured by ink-jet technology" in Proc. Recent Adv. in Drug Delivery Sys. (March 2003) by D. Radulescu他著から知られている。
【0003】
この既知のシステムは、生分解性ミクロスフェア、すなわちインクジェット技術に基づくミクロスフェアを製造する。PLGAを負荷した特定のパクリタキセル(paclitaxel)において、狭いサイズ分布であると共に、制御される直径のミクロスフェアが製造される。既知のシステムは、パクリタキセルPLGA混合物をポリビニルアルコール水溶液に噴射するためのDOD(drop-on-demand)処理又は圧力アシスト型のDODを用いる。60μm±1μmあたりの狭いサイズ分布を持つミクロスフェアが製造される。これらミクロスフェアは3%のPLGA及び1.5%のパクリタキセルを含むジクロロエタン溶液から形成される。この溶液の液滴を作成した後、ジクロロエタンが取り除かれ、PLGA及びパクリタキセルの混合物を含む固形の微粒子が残る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、既知のシステムにより製造されるミクロスフェアのサイズよりも大幅に小さいサイズであり、さらに狭いサイズ分布を達成するミクロスフェアを製造するためのシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、低い濃度、すなわち0.01%から0.5%の範囲内から開始する場合、ポリマー単分散から高密度のポリマー微粒子が、インクジェット及びその後の溶剤の除去により形成されることが可能であるという洞察に基づいている。良好な結果は、ポリマー濃度が0.01から3%の範囲内において達成される。特に、単分散ミクロスフェアの信頼できる形態は、0.01から2.9%のポリマー濃度の範囲内で達成される。ミクロスフェアバブルのサイズは非常に小さく、特に1から15μmのサイズを持ち、容量に関し約3%の小さな変動が達成される。通例では、5μmのサイズのミクロスフェアが製造される。これらミクロスフェアは略球形、すなわち丸い3Dオブジェクトであり、時々はミクロビュレット(micro-bullet)とも呼ばれる。
【0006】
生産流体は、構成材料、すなわちミクロスフェアが溶剤で作られる材料の溶液である。言い換えると、最終的なミクロスフェアの成分が生産流体に溶解している。例えば、ポリマー又はモノマーが前記溶剤に溶解していてもよい。生産流体に関する溶剤は、受取流体(receiving fluid)において限定される溶解度を持つべきである。この溶剤はゆっくりと受取流体内に拡散し、次いで蒸発し、生産流体の液滴の収縮となる。良好な結果は、例えば、ジクロロエタン(DCE)又はジクロロメタン(DCM)の場合、水中にあるようなおよそ1%の溶解度で達成される。
【0007】
ミクロスフェアのサイズ及びこのサイズの分布の良好な維持は、ミクロスフェアが安定したコロイドを形成する場合に特に達成され、これは受取流体にポリマー又は界面活性剤があることにより容易である。液滴が合体してより大きな液滴になることが抑制/防がれる。好ましい実施例において、生産流体は、高濃度のハロゲン化溶剤、例えばジクロロエタンを含み、受取溶液は水溶性である。水中で僅かな溶解度(ジクロロエタンに対し約0.8%)及び高い蒸気圧を持つハロゲン化溶剤は、ゆっくり且つ制御される生産流体の液滴からの除去に対し好ましい。最終的なミクロスフェアの成分は生産流体に溶解する。生きている人間の内部(静脈内)に用いられる成分に対し、生分解性ポリマー及び(変形した)リン脂質はキャリア材料として好まれ、薬剤及び造影剤はミクロスフェアに混合され、血管壁に示される疾患のマーカ、例えば腫瘍に関連する脈管形成用のマーカ及び脆弱な血小板用のマーカを標的とする。噴射後、過剰な安定剤は一連の洗浄ステップにより取り除かれ、ハロゲン化溶剤の最終的な残留物の除去は、凍結乾燥(フリーズドライ)により確立されることができる。
【0008】
小さいサイズのミクロスフェアの本質的な単分散分布が達成されるように見える。生産流体の受取流体への噴射は、個々の微小な液滴がノズルを離れるとき、これら液滴の優れた分離となる。この製造は、比較的高い噴射速度での生産流体の受取流体への噴射を含んでいる。生産流体に関し低いポリマー濃度で、本質的に非多孔性ポリマーのミクロスフェアに対する前記液滴の収縮が起こることが分かる。
【0009】
上述した方法が高密度の微粒子にさせるので、それは高密度の外殻にもなり、従って液体又は気体の強固なカプセル化を生じさせる。これを達成するために、生産流体は外殻形成材料に対し非溶剤で変更されなければならない。生産流体は、リン脂質及びポリマーの化合物又はポリマーよりもリン脂質を含むように変形されることも可能である。
【0010】
本発明のもう一つの態様によれば、ミクロスフェアを製造するシステムは、前記噴射をパルス方式で操作するための制御システムを具備している。この制御システムは噴射モジュールへの正確なパルスの印加を制御する。ブロック形状のパルスは、10分の数ナノリットル(nl)の容積のやや大きなサイズのミクロスフェアが製造される点で良好な結果を達成する。
【0011】
本発明の他の態様によれば、前記噴射システムは、個々のノズルからのマイクロバブルのサイズを調節するために個々に制御される幾つかのノズルを具備している。例えば、これらノズルは、ノズル全てが狭いサイズ分布内にあるバブルを製造するように制御される。個々のノズルの個別の制御がこれらノズル間における小さな差を補償する。特に、これはノズルに印加される電気活性パルスを調節することにより達成される。特に、容量分布の幅は約3−5%に狭められることができる。より多くのノズルを使用するにつれて、時間当たり、より多くのミクロスフェアが製造されることができる。
【0012】
本発明のもう一つの態様によれば、制御された多孔度を持つミクロスフェアが形成されることが可能である。本発明の他の態様によれば、貯留層は、前記受取液体をそれの凝結温度よりも下に冷却するための温度制御手段を備える。受取流体が室温よりも下、すなわち298Kよりも下に冷却される場合、良好な結果が達成される。このとき、生産流体は液滴の形状で冷却された受取流体に噴射され、後で使用するための保存される。液滴の温度が上昇するとき、受取流体は蒸発し、ガス充填されたミクロスフェアが形成される。さらに、生産流体のポリマー化を引き起させ、安定したマイクロバブルの形成を強化するために、触媒が受取流体に用いられてもよい。例えば照射モジュールを用いてノズルを離れたバブルの紫外線照射のような、電磁放射線を備える代替の照射がポリマー化の光開始(photo-initiation)に用いられてもよい。
【0013】
本発明のもう一つの態様において、ポリマーのLCST(lower critical solution temperature)又はUCST(upper critical solution temperature)を利用することができる。LCSTは、温度上昇でポリマーの沈殿が起こるときに観察される。従って、ミクロスフェアを製造するために、受取流体の温度はLCSTよりも上に上昇させ、ポリマーを含む溶液は、LCSTよりも低い温度で噴射される。明確に規定された液滴内におけるポリマーの沈殿により、ミクロスフェアが形成する。この手法は、ハロゲン化した受取流体が使用できないとき、すなわち凍結乾燥(フリーズドライ)が望ましくないとき特に有利である。LCSTを持つよく知られるポリマーの実施例は、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(PNiPAAm)である。このポリマーのLCST(〜32℃)は、所望されるLCSTに依存して、ポリ(アクリル酸)又はより多くの疎水性アクリレートにより臨床的応用にとって適切な温度(例えば37℃より下又は上)に容易に合わされることができる。
【0014】
液滴が受取流体に直接噴射されるのではなく、空気中に噴射される場合、これら液滴にとって、ノズルからの長い飛行経路、例えば数cmの経路を用いることがミクロスフェアの形成となる。
【0015】
本発明のある態様によれば、インクジェットの頭部は受取流体/空気インタフェースの表面下に置かれる。この構成において、インクジェットされた液滴は、空気−流体インタフェースを通る必要は無く、直接受取流体に射出される。この構成を使用する場合、受取流体内に存在するポリマー又は界面活性剤の安定化作用が最適化され、この受取流体において生産流体の液滴の安定したエマルジョン(emulsion)となる。代わりに、生産流体に安定剤が加えられることも可能であり、適切な安定剤はリン脂質である。浸漬されたインクジェットの追加の利点として、受取流体の表面特性に関連する問題が起こらない。良好なエマルジョン及び噴射の安定性は、生産流体及び異なる濃度の受取流体により支えられる。生産流体が受取流体よりも高い濃度を持ち、前記噴射が重力方向である場合、液滴は、沈殿速度でコンテナの底へ沈み続け、これらはその底から容易に集められる。代わりの設定では、生産流体が受取流体よりも低い濃度を持ち、液滴は、これら液滴がノズルに戻ることなく、受取流体の表面に向かい浮かぶような方向に噴射される。形成されるミクロスフェアは、受取流体の表面で集めることができる。
【0016】
本発明は超音波造影剤にも関する。非球面の微小液滴を超音波造影剤として使用すること自体は米国特許US 5,606,973号から知られている。本発明の超音波造影は本質的に、ガスを充填した単分散のマイクロバブル又はフロン液体(fluorocarbonliquid)を充填した単分散のミクロスフェアを有する。マイクロバブルは、超音波の反射を変更するだけでなく、高調波を生じさせる超音波場における共振も可能にする。このような単分散の造影剤は、標的造影剤の形式で用いられるのが特に有利である。この標的造影剤は、特定の受容体(レセプター)に選択して結合、例えば血管壁組織に付着する。選択して結合されたマイクロバブルの共振周波数は、結合されていないマイクロバブルに対しシフトされる。これらマイクロバブルの単分散分布は、これら共振の狭い線幅となり、故に周波数シフトが検出されることができる。故に、結合した造影剤は結合されていない造影剤と正確に区別されることができる。
【0017】
上記ガスを充填したバブルは、ハロゲン化溶剤、外殻を形成する低い濃度の生分解性ポリマー、及び凍結乾燥により取り除くことができるそれ程高くない分子量の第2の無極性流体を含む生産流体から作成される。受取流体には不溶であるが、後に蒸発する受取流体に拡散することによりハロゲン化溶剤が消滅する場合、生産流体にも不溶である生分解性ポリマーが選択される。凍結乾燥する際、第2の無極性溶剤は、昇華により取り除かれ、中空の微粒子を残す。
【0018】
本発明に用いられることができる典型的な生分解性ポリマーは、例えばデキストラン及びアルブミンのようなバイオポリマー、又は例えばPLA(poly(L-lactide acid)及びポリ(メタクリル)アクリルカプロラクトン、ポリグリコール酸のような合成ポリマーである。特に重要なのは、両方のポリマーブロック(例えば疎水性及び親水性ブロック)の特性を組み合わせたいわゆる(ブロック)コポリマーである。任意のコポリマーの実施例は、PLGA(poly(L-lactic-glycolic acid)及びPd,lLA(poly(d-latic-l-latic acid)である。ジブロック(diblock)コポリマーの実施例は、PEG−PLLA(poly(ethylene glycol)-poly(L-lactide)、PEG−PNiPAAm(poly(ethylene glycol)-poly)N-isopropylacryl amide)及びPEO−PPO(poly(ethylene oxide)-poly(propylene glycol)である。トリブロック(triblock)コポリマーの実施例は、PEO−PPO−PEO(poly(ethylene oxide)-poly(propylene glycol)-poly(ethyleneoxide)である。
【0019】
例えばC14のようなフッ素化末端基を持つポリマー、例えばL−ポリラクチドが生産流体に用いられる場合、良好な結果が達成される。中空のカプセルを作成するために、これは特に有利である。カプセルの内側が疎水性である場合、このカプセルの内部壁に水蒸気が凝結し難い。従って、カプセルは水で満たされず、長い間、ガスが充填されたままである。これは超音波造影剤にとって望ましい。ポリマーにおいてフッ素を含む群を組み込むことは、カプセルの内側壁の疎水性を高め、これにより凝結を抑制する。加えて、フッ素を含む群を組み込むことは、水及び極性溶剤に対するより効果的な拡散バリアを与える。
【0020】
この生産流体から生じるミクロスフェアは、水に対し非常に良好な不浸透性を持つ。上記フッ素化ポリマーの合成それ自体は、米国特許US6,329,470号から知られている。
【0021】
前記外殻の弾性は、ポリマー特性、重要なパラメタ又はゲル遷移温度を変えることにより調整されることができ、前記材料から作られたフィルムが破損する前に最大の伸びが起こるだろう。
【0022】
フッ素化流体、例えばペフルオロブロモ(perfluorobromo)オクタンのような流体を充填したミクロスフィアは、超音波イメージングに利用されるだけでなく、機能的磁気共鳴イメージング(fMRI)にも利用できる。fMRIの技術は一般的に、Proc. Intl. Soc. mag. Reson. Med. 9(2001)659-660に開示されている。特に、核19Fの磁気共鳴分光に基づいて、それ自体はProc. Soc. mag. Reson. Med. 9(2001)497に述べられているフッ素化した癌治療薬の組織酸化薬物動態を利用して計測する。これらは、フッ素を含む無極性流体が選択され、この流体は凍結乾燥中に取り除かれないことを除いては、上述したように作成される。
【0023】
ミクロスフェアは薬剤を充填されることも可能である。薬剤は油に溶解し、液体の核を持つミクロスフェアが形成され、又はガス状の薬剤は、凍結乾燥後のガス状の薬剤を含むガスにミクロスフェアを曝すことにより組み込まれる。これら薬剤は、制御される放出、例えば局部的な搬送を実施するために超音波パルスによる放出に用いられることができる。これは、標的ミクロスフェアが用いられる場合、最も効果的である。
【0024】
薬剤は、(他のやり方では)高密度のミクロスフェアに組み込まれることもできる。注目すべき放射性化合物、例えば肝臓悪性腫瘍の治療用の(活性/キレート)ホルミウム化合物が有用である。例えばホルミウムは、T及びTの造影剤を誘導する磁気共鳴造影剤として機能する。さらにホルミウムは中性子を照射することにより放射性にすることができる。ホルミウムの放射性アイソトープは、γ放射線だけでなく、β放射線(高エネルギー電子)を照射する。このβ放射線は治療上、腫瘍を局部的に破壊するために用いられるのに対し、磁気共鳴造影剤としての作用が、放射線ホルミウムの正確な局所的適用をモニタリングすることを可能にする。加えて、γ放射線はホルミウムが印加された解剖学的部位を撮像するためのガンマカメラにより検出されることができる。非放射性ホルミウムを持つミクロスフェアが最初に形成され、次いで中性子を照射することにより、ホルミウムは、ミクロスフェアにおける放射性ホルミウムアイソトープに変換される。ホルミウムは、それの放射性が無くなるまで、放出されるべきではない。微粒子は毛細管床において捕捉されるのに十分な大きさにすべきであり、微細なミクロスフェアが血液中を循環する機会を与えるべきではない。この理由のために、十分制御された合成が必要とされる。
【0025】
ミクロスフェアの一般的なサイズは特定のアプリケーションに依存している。好ましいサイズは1から100μmにわたる。例えば血液プール造影剤としてUS撮像するためのミクロスフェアは、1から10μmの間に最も好ましい直径を持つ。ホルミウムをカプセル化したミクロスフェアに対する最も好ましい直径は、15から40μm内にある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明のこれら及び他の態様は、詳細な実施例及び添付する図面を参照してさらに説明される。
【0027】
図1は、本発明のマイクロバブルを製造するシステムの概略図を示す。このマイクロバブルを製造するシステムは、受取流体11を含む貯留層1を有する。噴射システム2は、生産流体23の液滴を受取流体に射出又は噴射するためのノズル21を含んでいる。このノズル21は、圧力パルスをノズルへ供給し、液滴24を製造する圧電システム22を備え、これら液滴から本実施例では貯留層1の底に集まるミクロスフェアが形成する。例えば、ノズル21は、インクジェットの頭部を構成してもよい。
【0028】
前記噴射システム2は、電気パルスを前記圧電システム22に供給する制御ユニット3も備えている。このようにして、前記ユニットは噴射システムの動作を制御し、生産流体の液滴を製造する。
【0029】
さらに、冷却システム4が本実施例では、例えば水のような冷却液が注入口41から放出口42へ流れる外装(jacket)4の形式で設けられる。この冷却システムは受取液体を室温よりも下に冷却するように動作する。
【0030】
加えて、マイクロバブルを製造するシステムは紫外線源5を備え、この紫外線源は、紫外線の(パルス)ビームをノズルからの生産流体の液滴に放射し、ミクロスフェアが形成されるように前記液滴における重合の光初期化(photoinitialization)を生じさせる。
【0031】
実施例
例1 10mmのPLA微粒子の作成
蛍光キュベット(cuvet)にある1%のPVA(15/79)水溶液にこのインクジェットの頭部が浸漬した後すぐに開始する、ジクロロエタンにおける1%のPLA(Poly-DL-lactide, Aldrich)溶液がインクジェットされる。初期の液滴の直径は、キュベットを介して観察されるように約50μmである。これは6.5×10−14の液滴容積に対応している。1500Hzで20分間インクジェットした後、手順が停止する。沈殿物は再分散され、ガラスのサンプルボトルに移され、ジクロロエタンを取り除くために1時間撹拌される。これら微粒子は、フィルタリング(200nm)された脱イオン水で3回洗浄される。鏡検するためのサンプルが取られ、約10μmの直径を持つ十分に分散した球形微粒子を露出させる。平均の直径を分析するために、20倍の対物レンズ及びイメージプロプラスのソフトウェアを用いた鏡検から得られるサイズ分布が図2に与えられている。サンプルは48時間凍結乾燥され、−20℃で保存される。フィルタリングされた脱イオン水において再分散し、乾燥及び3nmのPd/Pt層の析出後に撮られたSEM画像は、5.6×10−16の微粒子容積に対応する10.2±0.3μmの微粒子サイズを示す。ジクロロエタン及びPLAの濃度が程等しいので、初期のサイズと最後のサイズとの間の容積比率は、PLA微粒子が低い多孔度(porosity)で作成されたことを証明している。製造された微粒子のSEM画像が図3に与えられる。
【0032】
例2 18mmのPLA微粒子の作成
蛍光キュベットにおける1%のPVA水溶液にこのインクジェットの頭部が浸漬した後すぐに開始して、ジクロロエタンにおける3%のPLA(Poly-DL-lactide, Aldrich)溶液がインクジェットされる。1500Hzで20分間インクジェットした後、この手続きは停止する。沈殿物は再分散され、ガラスのサンプルボトルに移され、ジクロロエタンを取り除くために1時間撹拌される。これら微粒子は、フィルタリング(200nm)された脱イオン水で3回洗浄される。鏡検するためのサンプルが取られ、約18μmの直径を持つ十分に分散した単分散の球形微粒子を露出させる。冷却乾燥がこれら微粒子のサイズを変更させない。初期の液滴の容積と最後の微粒子サイズとの間の容積比は20であり、これは、完全に密集したポリマー微粒子が形成される場合、5%の溶液が予想される。これは、残留する多孔度が3%の溶液から成るこれら作成される微粒子に存在することを示す。
【0033】
例3 PLGA微粒子の作成
蛍光キュベットにおける1%のPVA水溶液にこのインクジェットの頭部が浸漬した後すぐに開始して、ジクロロエタンにおける3%のPLGA(Poly-DL lacticde-co-glycolide(75:25), Aldrich)溶液がインクジェットされる。1500Hzで20分間インクジェットした後、この手続きは停止する。沈殿物は再分散され、ガラスのサンプルボトルに移され、ジクロロエタンを取り除くために1時間撹拌される。これら微粒子は、フィルタリング(200nm)された脱イオン水で3回洗浄される。鏡検するためのサンプルが取られ、約18μmの直径を持つ十分に分散した単分散の球形微粒子を露出させる。冷却乾燥がこれら微粒子のサイズを変更させない。初期の液滴の容積と最後の微粒子サイズとの間の容積比は20であり、これは、完全に密集したポリマー微粒子が形成される場合、5%の溶液が予想される。これは、残留する多孔度が3%の溶液から成るこれら作成される微粒子に存在することを示す。
【0034】
例4 連続するインクジェットを用いたPLA微粒子の作成
ジクロロエタンにおける1%のPLA溶液が作成され、50μmのノズルを使用して、14kHzの周波数で1%のPVA(15/79)水溶液にインクジェットされる。ジクロロエタンの蒸発、洗浄及び凍結乾燥した後、光学顕微鏡画像の画像分析を用いて定量化されると、平均直径15.3μm及び標準偏差2.7μmを持つ微粒子が形成される。
【0035】
例5 ホルミウムアセチルアセトナート(Holmium-acetylacetonate)を負荷したPLA微粒子の作成
ジクロロエタンにおける0.02%のホルミウムアセチルアセトナートの1%のPLA溶液が50μmのノズルを使用して、14kHzの周波数で1%のPVA(15/79)水溶液にインクジェットされる。ジクロロエタンの蒸発、洗浄及び凍結乾燥後に形成される微粒子は、光学顕微鏡画像の画像分析を用いて定量化されると、平均直径15.7μm及び標準偏差2.6μmを持つ。
【0036】
例6 連続するインクジェットによる12mmのPLGA微粒子の作成
ジクロロエタンにおける1%のPLGA(乳酸75%、グリコール酸25%)溶液が作成され、50μmのノズルを使用して、14kHzの周波数で1%のPVA(15/79)溶液にインクジェットされる。ジクロロエタンの蒸発、洗浄及び凍結乾燥後に形成される微粒子は、光学顕微鏡画像の画像分析を用いて定量化されると、平均直径12.5μm及び標準偏差2.3μmを持つ。
【0037】
例7 連続するインクジェットによる7mmのPLGA微粒子の作成
ジクロロエタンにおける0.1%のPLGA(乳酸75%、グリコール酸25%)溶液が作成され、50μmのノズルを使用して、14kHzの周波数で1%のPVA(15/79)溶液にインクジェットされる。ジクロロエタンの蒸発、洗浄及び凍結乾燥後に形成される微粒子は、光学顕微鏡画像の画像分析を用いて定量化されると、平均直径6.8μm及び標準偏差1.3μmを持つ。このサイズ分布は図4に示される。
【0038】
例8 11μ(ミクロン)のポリマー外殻カプセルの作成
ジクロロエタンにおける0.1%のPLGA(及び0.3%のシクロオクタン(cyclo-octane))溶液が作成され、50μmのノズルを使用して、14kHzの周波数で0.1%のPVA(40/88)溶液にインクジェットされる。ジクロロエタンが蒸発し、サンプルはシクロオクタンで事前に飽和した水で洗浄され、凍結乾燥される。光学顕微鏡画像の画像分析を用いて定量化されるように標準偏差1.8μmを持つ直径11.2μmのカプセルが形成され、このサイズ分布が図4に示されている。カプセルはSEM画像から推定されるような1つの空洞を含む平滑な表面を持つ。
【0039】
例9 脂質で被膜されたカプセルの作成
ジクロロエタンにおける0.1%のPLGA、0.3%のシクロオクタン、0.005%のアソレクチン(asolectin)は、50μmのノズルを使用して、12kHzでPVA(15/79)水溶液にインクジェットされる。ジクロロエタンが蒸発し、サンプルは洗浄及び凍結乾燥され、直径7.5μmを持つ平滑なカプセルが1つの中空コアを表すSEMを使用して観察される。
【0040】
例10
14末端基を持つL−ポリラクチドは、0.01%のシクロデカン(cyclodecane)が存在する状態で、ジクロロエタンにおいて0.01%の濃度で溶解している。50μmのノズルを用いて23,000Hzの周波数で0.3%のPVAに浸漬してインクジェットを使用する場合、約85μmの初期の直径を持つ液滴が形成される。洗浄及び撹拌を夜通し繰り返すことにより、これら液滴は減少し、4.7μmのモード径を持つシクロデカンを充填したカプセルを形成する。このサイズ分布はコールターカウンタ(Coulter Counter)で計測され、図5に与えられる。サンプルは凍結乾燥されシクロデカンの核を取り除き、取り除き及び再分散した後のサイズ分布は、図5に示されるように変化していない。再分散したサンプルの顕微鏡検査は、ガスが充填されたカプセルを示す。超音波照射の際、ガスのもれが検出される。
【0041】
例11
14末端基を持つL−ポリラクチドは、0.01%のシクロデカンが存在する状態で、ジクロロエタンにおいて0.005%の濃度で溶解している。50μmのノズルを用いて23,000Hzの周波数で0.3%のPVAに浸漬してインクジェットを使用する場合、約85μmの初期の直径を持つ液滴が形成される。洗浄及び撹拌を夜通し繰り返すことにより、これら液滴は減少し、4.5μmのモード径を持つシクロデカンを充填したカプセルを形成する。このサイズ分布はコールターカウンタで計測され、図6に与えられる。サンプルは凍結乾燥されシクロデカンの核を取り除き、取り除き及び再分散した後のサイズ分布は、図5に示されるように殆ど変化していない。再分散したサンプルの顕微鏡検査は、ガスが充填されたカプセルを示す。超音波照射の際、ガスのもれが検出される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のマイクロバブルを製造するためのシステムの概略図。
【図2】PVAで洗浄した後のインクジェットされた微粒子のサイズ分布を示し、1μmクラスの微粒子のパーセンテージが与えられる。
【図3】例1に記載される手順に従って得られるPLA微粒子のSEM画像。
【図4】例7(0.1%PLGA)及び例8(0.1%PLGA、0.3%シクロオクタン)からのサイズ分布。
【図5】4.7μmのモード径を持つL_ポリアクチドから作られるミクロスフェアの実施例。
【図6】4.5μmのモード径を持つL_ポリアクチドから作られるミクロスフェアの実施例。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成材料を含む生産流体のミクロスフェアを製造するシステムであり、
−受取流体を保持するための貯留層、及び
−前記生産流体を前記受取流体に噴射するための少なくとも1つのノズルを持つ噴射モジュール、
を有するシステムにおいて、前記生産流体は0.01%から5%におよぶ前記構成材料の濃度を含んでいるシステム。
【請求項2】
100kHz−1から0.1kHz−1におよぶ噴射速度で前記噴射を制御するための制御システムを含む請求項1に記載のミクロスフェアを製造するシステム。
【請求項3】
前記制御システムはパルス方式で前記噴射を制御するように構成され、特に前記制御システムはブロック形式の正確なパルスを前記噴射モジュールに供給するように構成される請求項2に記載のミクロスフェアを製造するシステム。
【請求項4】
−前記噴射システムは幾つかのノズルを含み、及び
−前記制御システムは、個々の前記ノズルに対し前記液滴のサイズを調節するように構成される
請求項1に記載のミクロスフェアを製造するシステム。
【請求項5】
前記貯留層は温度制御システムを備える請求項1に記載のミクロスフェアを製造するシステム。
【請求項6】
波長が200から800nmにおよぶ電磁放射線を用いて前記ミクロスフェアを照射するための照射モジュールを含む請求項1に記載のミクロスフェアを製造するシステム。
【請求項7】
マイクロバブルの飛行経路は、前記ノズルから前記受取流体へ延在する請求項1に記載のミクロスフェアを製造するシステム。
【請求項8】
前記受取流体及び/又は前記生産流体は、脂質、界面活性剤、ポリマー又はブロックコポリマーの群の安定剤を含んでいる請求項1に記載のミクロスフェアを製造するシステム。
【請求項9】
単分散のマイクロバブルを本質的には有する超音波造影剤。
【請求項10】
脈管構造の特定の位置に目標が置かれる、特に、血栓、脆弱な血小板又は血管形成を目標とする請求項9に記載の超音波造影剤。
【請求項11】
抗体、抗体フラグメント又は(他の)ペプチドを用いて変更される請求項9に記載の超音波造影剤。
【請求項12】
特に19F化合物を含んでいる単分散のミクロスフィアを本質的に有するMR造影剤。
【請求項13】
例えば脆弱な血小板若しくは血栓又は癌のような脈管構造からアドレス可能な疾病に対する活性のような薬剤活性化合物を負荷した単分散のミクロスフィアを本質的に有するカプセル化した薬剤。
【請求項14】
放射性化合物又は放射性アイソトープ、特にホルミウムを有する化合物を負荷した単分散のミクロスフェアを本質的に有するカプセル化した治療用化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−504950(P2008−504950A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518767(P2007−518767)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【国際出願番号】PCT/IB2005/052098
【国際公開番号】WO2006/003581
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】