説明

ミクロ孔及びメソ孔の構造を有するSAPO−34分子篩及びその合成方法

本発明は、メソ孔の口径範囲が2〜10nmであり、メソ孔容積が0.03〜0.3cm3/gである、ミクロ孔及びメソ孔構造を同時に有するSAPO−34分子篩及びその合成方法に関する。前記合成方法においては、トリエチルアミンをテンプレートとして用いるとともに合成ゲル中に孔道調節剤を添加することにより、製造される分子篩結晶粒中にミクロ孔の以外に、メソ孔分布も存在するようにした。本発明により合成されるSAPO−34分子篩は、酸素含有化合物の低炭素オレフィンへの転化反応において触媒として用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミクロ孔、メソ孔を同時に有し、その中で孔の口径範囲が2〜10nmであり、メソ孔容積が0.03〜0.3cm3/gであるSAPO−34分子篩、及び該分子篩の合成方法に関する。該合成方法により製造された分子篩は、酸素含有化合物を低炭素オレフィンへ転化させる反応において、触媒として使用可能である。
【背景技術】
【0002】
ミクロ孔−メソ孔複合分子篩は、ミクロ孔とメソ孔の二段孔道(hierarchically micro−mesopore structure)を有しているので、メソ孔材料の孔道メリットとミクロ孔分子篩の強酸性及び高水熱安定性とを結合し、2種材料のメリットを補わせて、相乗効果を達することができる。しかも、上記の口径及び酸性はいずれも調節可能である。即ち、孔道構造と酸性質が異なる2種の材料を選択して最適化複合を行うことにより、孔配置と酸性分布が異なる複合材料を製造することができる。アッセンブリーを特徴とする多次孔分子篩材料の製造の成功及びその多様化模式は、より多くの分野において、応用見通しを有すると考えられる(Nature, 417(2002)813)。
【0003】
ミクロ孔−メソ孔複合分子篩の合成はKloets traら(Micro. Meso. Mater. 6(1996),287)によるMCM−41/FAU複合材料の製作から始められた。その後、大勢の研究者の該分野への参加により、数多くの新しいミクロ孔−メソ孔分子篩の複合方法が打ち立てられた。構造特徴の差異によって、ミクロ孔−メソ孔複合分子篩は、以下の2種の複合模式に分けられる。
【0004】
(1)ミクロ孔分子篩とメソ孔分子篩との2種の材料の複合:このような複合模式において、ミクロ孔分子篩とメソ孔分子篩との2種の材料は、通常、被覆構造、モザイク構造、または、これらの複雑な組合わせとの構造を形成している。この場合、2種の材料の間には、明らかな接続界面(過渡層)が存在し、X線回折(XRD)分析結果で2種の材料にそれぞれ対応する回折ピークが同時に現れる。
【0005】
(2)メソ孔孔道とミクロ孔孔道の1種の分子篩材料における複合。このような複合模式には以下の2種の分子篩を含まれる。1)メソ孔孔道を有するミクロ孔分子篩、即ちミクロ孔分子篩にメソ孔を導入してなるもの。ミクロ孔分子篩の強酸性と安定性を保持するとともに分子の拡散に有利である。2)ミクロ孔沸石分子篩の部分的性質を有するメソ孔分子篩、即ち、メソ孔材料の無定形孔壁に沸石の一次構造又は二次構造単位を導入してなるもの。孔壁のナノ範囲が実現できた。この分野における詳しい研究進展について、「石油化工」(02(2005)188)に関連内容が記載されている。いままで公知されているミクロ孔−メソ孔複合分子篩は、いずれも珪素アルミニウムからなる分子篩系であり、珪素燐アルミニウムからなる分子篩については、その合成系が複雑であるため、また発表された文献報道がない。
【0006】
SAPO−34分子篩は、1984年に米国特許USP 4,440,871により開示されたものである。IUPACの口径の大きさに対する規定によると、SAPO−34は細孔分子篩(<2nm)に属する。SAPO−34分子篩はメタノールのオレフィンへの転化反応(MTO)において優れた触媒性能を示すものとして注目されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ミクロ孔及びメソ孔の構造を有するSAPO−34分子篩及びその合成方法を提供することを目的とする。この分子篩はMTO反応の触媒として用いられ、拡散物質移動の制限を低下または除去し、二次反応の発生を減少することができ、触媒寿命を延ばすとともにエチレン、プロピレンの選択性を向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達するために、本発明は、メソ孔口径が2〜10nmであり、メソ孔容積が0.03〜0.3cm3/gであるミクロ孔及びメソ孔構造を有するSAPO−34分子篩に関する。
【0009】
前記SAPO−34分子篩において、その立方形分子篩結晶粒表面は、粗面化されているか、または破損されている。
【0010】
本発明は、さらに、トリエチルアミンをテンプレート(template)として用いるとともに合成ゲル中に孔道調節剤を添加するSAPO−34分子篩の合成方法に関する。
【0011】
上記の合成方法は、以下の工程を含んでも良い。
a)SAPO−34分子篩の合成に用いられる初期ゲル混合物を調製する工程、
b)工程a)により得た初期ゲル混合物に、孔道調節剤を添加し、十分に撹拌する工程;
c)工程b)により得たゲル混合物をエアタイト状態にした後、結晶化温度まで加熱して、それ自身が発生する圧力下で、恒温結晶化させ、十分に結晶化させた後、固体生成物を分離し、中性になるまで洗浄してから、乾燥してSAPO−34分子篩原粉を得る工程;
d)工程c)により得たSAPO−34分子篩原粉を、空気中で焼成して原粉に含まれている有機物を除去して、ミクロ孔及びメソ孔を同時に有するSAPO−34分子篩を得る工程。
【0012】
前記合成方法において、前記初期ゲル混合物中の各酸化物成分のモル比は、以下の通りである。
SiO2/Al23=0.1〜2.0;
25/Al23=0.5〜15;
2O/Al23=10〜100;
TEA/Al23=1〜5(TEAはトリエチルアミンである);
T/TEA=0.01〜2(Tは孔道調節剤である。)。
【0013】
前記合成方法における前記孔道調節剤として、アンモニア水、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ジエチルアミン、トリプロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、シクロヘキシルアミンの中から選ばれる1種又はこれらの混合物が挙げられる。
【0014】
前記合成方法において、工程c)における結晶化温度は100〜250℃であり、好ましい結晶化温度は160〜230℃である。
【0015】
前記合成方法において、工程c)における結晶化時間は0.5〜100時間であり、好ましい結晶化温度は2〜48時間である。
【0016】
前記SAPO−34分子篩は、酸素含有化合物の低炭素オレフィンへの転化反応において触媒として用いられる。
【0017】
本発明によるミクロ孔及びメソ孔構造を有するSAPO−34分子篩は、MTO反応の触媒として用いることができ、二段孔構造の存在により拡散物質移動の影響を大いに低下または除去でき、二次反応の発生を減少して、触媒の寿命を延ばすとともにエチレン、プロピレンの選択性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明により合成されたSAPO−34分子篩は、そのメソ孔口径が2−10nmであり、メソ孔容積が0.03−0.3cm3/gであるとのことを特徴としている。
【0019】
本発明により合成されたSAPO−34分子篩は、その立方形結晶粒の表面が粗くてもよく、表面に破損があってもよいとのことを特徴としている。
【0020】
本発明は、トリエチルアミンをテンプレートとして用いるとともに合成ゲル中に孔道調節剤を添加するとのことを特徴としている。
【0021】
本発明によるミクロ孔及びメソ孔構造を有するSAPO−34分子篩の合成方法おける製造過程を以下の示す。
【0022】
a)SAPO−34分子篩の合成に用いられる初期ゲル混合物を調製する。各酸化物成分のモル比は、以下の通りである。
SiO2/Al23=0.1〜2.0;
25/Al23=0.5〜15;
2O/Al23=10〜100;
TEA/Al23=1〜5;
T/TEA=0.01〜2である。
【0023】
孔道調節剤としては、アンモニア水、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ジエチルアミン、トリプロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、シクロヘキシルアミンの中から選ばれる1種又はこれらの混合物が挙げられる。
【0024】
b)工程a)により得たゲル混合物を、ポリテトラフルオロエチレンインナー(liner)ステンレス合成釜に入れて、エアタイト(airtight)状態にした後、結晶化温度まで加熱して、それ自身が発生する圧力下で、結晶化温度を100〜250℃、結晶化時間を5〜100時間にして恒温結晶化させた。十分に結晶化させた後、固体生成物を遠心分離し、脱イオン水で中性になるまで洗浄し、120℃の空気中で乾燥してSAPO−34分子篩原粉を得た。
【0025】
c)工程b)により得たSAPO−34分子篩原粉を、空気中で焼成し、有機物を除去することにより、ミクロ孔及びメソ孔を同時に有するSAPO−34分子篩を得ることができる。
【0026】
以下実施例によって本発明をより詳しく説明する。
【0027】
実施例1
初期ゲル混合物におけるモル比が3.0TEA: 0.4SiO2: P25: Al23: 50H2O: 1.0T(T=n−プロピルアミン)になるように、原料を計量して一定の順に混合した。用いられる原料はそれぞれTEA(分析級)、シリカゾル(silica sol) (SiO2 含有量30wt%)、擬ベーマイト(pseudo boehmite)(Al23含有量70wt%)、 燐酸(H3PO4含有量85wt%)である。十分に撹拌してゲルを形成し、このゲルを、ポリテトラフルオロエチレンインナーステンレス合成釜に入れて、エアタイト状態にした後、200℃まで加熱して、それ自身が発生する圧力下で、12時間恒温結晶化させた。その後、固体生成物を遠心分離し、脱イオン水で中性になるまで洗浄してから、120℃の空気中で乾燥してSAPO−34分子篩原粉を得た。その後、原粉を600℃で4時間焼成しテンプレートを除去することにより、ミクロ孔及びメソ孔を同時に有するSAPO−34分子篩(番号MSP34−1)を得た。原粉サンプルのXRDスペクトルを図1に、SEM写真を図2に示した。MSP34−1サンプルの立方形結晶粒の表面が粗いこと、または表面に破損があることが分かる。
【0028】
比較例1
初期ゲル混合物におけるモル比が3.0TEA: 0.4SiO2: P25: Al23: 50H2Oになるように、原料を計量して一定の順に混合した。用いられる原料はそれぞれTEA(分析級)、シリカゾル(SiO2 含有量30wt%)、擬ベーマイト(Al23含有量70wt%)、燐酸(H3PO4含有量85wt%)である。十分に撹拌してゲルを形成した後、このゲルを、ポリテトラフルオロエチレンインナーステンレス合成釜に入れて、エアタイト状態にした後、200℃まで加熱して、それ自身が発生する圧力下で、12時間恒温結晶化させた。その後、固体生成物を遠心分離し、脱イオン水で中性になるまで洗浄し、120℃の空気中で乾燥してSAPO−34分子篩原粉を得た。その後、原粉を600℃で4時間焼成してテンプレートを除去することにより、SAPO−34分子篩(番号SP34)を得た。サンプルのXRDスペクトルを図1に、SEM写真を図2に示した。SP34サンプルの結晶粒が立方形を示し、表面が滑らかであることが分かる。
【0029】
実施例2
実施例1で得られた番号MSP34−1のサンプル及び比較例1で得られた番号SP34のサンプルについて、窒素物理吸着分析を行い、分子篩の比表面積及び孔道構造を測定した。窒素吸着等温線及びメソ孔分布を図3に示し、比表面積及び孔容積を表1に示した。その結果から分かるように、SP34サンプル中にはメソ孔構造が存在しておらず、その比表面積及び孔容積はいずれもミクロ孔部分により形成される。MSP34−1サンプルにはメソ孔分布が存在しており、その中心口径が2.3nmで、メソ孔容積が0.07cm3/gであった。
【0030】
実施例3
初期ゲル混合物におけるモル比が3.0TEA: 0.4SiO2: P25: Al23: 50H2O:0.3T(T=アンモニア水)になるように、原料を計量し一定の順に混合した。用いられる原料はそれぞれTEA(分析級)、シリカゾル(SiO2 含有量30wt%)、擬ベーマイト(Al23含有量70wt%)、燐酸(H3PO4含有量85wt%)である。十分に撹拌してゲルを形成し、このゲルを、ポリテトラフルオロエチレンインナーステンレス合成釜に入れて、エアタイト状態にした後、200℃まで加熱して、それ自身が発生する圧力下で、12時間恒温結晶化させた。その後、固体生成物を遠心分離し、脱イオン水で中性になるまで洗浄し、120℃の空気中で乾燥してSAPO−34分子篩原粉を得た。その後、原粉を600℃で4時間焼成しテンプレートを除去して、ミクロ孔及びメソ孔の構造を有するSAPO−34分子篩(番号MSP34−2)を得た。原粉サンプルのXRDスペクトルを図1に、SEM写真を図2に示した。MSP34−2サンプルの立方形結晶粒の表面が粗いまたは表面に破損があることが分かる。
【0031】
実施例4
初期ゲル混合物におけるモル比が3.0TEA: 0.4SiO2: P25: Al23: 50H2O:1.5T(T=ジエチルアミン)になるように、原料を計量し一定の順に混合した。用いられる原料はそれぞれTEA(分析級)、シリカゾル(SiO2 含有量30wt%)、擬ベーマイト(Al23含有量70wt%)、 燐酸(H3PO4含有量85wt%)である。十分に撹拌してゲルを形成し、このゲルを、ポリテトラフルオロエチレンインナーステンレス合成釜に入れて、エアタイト状態にした後、200℃まで加熱して、それ自身が発生する圧力下で、12時間恒温結晶化させた。その後、固体生成物を遠心分離し、脱イオン水で中性になるまで洗浄し、120℃の空気中で乾燥してSAPO−34分子篩原粉を得た。その後、原粉を600℃で4時間焼成しテンプレートを除去して、ミクロ孔及びメソ孔の構造を有するSAPO−34分子篩(番号MSP34−3)を得た。XRDスペクトルを図1に、SEM写真を図2に示した。MSP34−3サンプルの立方形結晶粒の表面が粗いことが分かる。
【0032】
実施例5
初期ゲル混合物におけるモル比が3.0TEA: 0.6SiO2: P25: Al23: 50H2O:1.6T(T=トリプロピルアミン+n−ブチルアミン、トリプロピルアミン/n−ブチルアミン=1:1)になるように、原料を計量し一定の順に混合した。用いられる原料はそれぞれTEA(分析級)、シリカゾル(SiO2 含有量30wt%)、擬ベーマイト(Al23含有量70wt%)、 燐酸(H3PO4含有量85wt%)である。十分に撹拌してゲルを形成し、このゲルを、ポリテトラフルオロエチレンインナーステンレス合成釜に入れて、エアタイト状態にした後、200℃まで加熱して、それ自身が発生する圧力下で、12時間恒温結晶化させた。その後、固体生成物を遠心分離し、脱イオン水で中性になるまで洗浄し、120℃の空気中で乾燥してSAPO−34分子篩原粉を得た。その後、原粉を600℃で4時間焼成しテンプレートを除去して、ミクロ孔及びメソ孔の構造を有するSAPO−34分子篩(番号MSP34−4)を得た。原粉サンプルのXRDスペクトルを図1に、SEM写真を図2に示した。MSP34−4サンプルの立方形結晶粒の表面が粗いまたは表面に破損があることが分かる。
【0033】
実施例6
実施例3、4、5で得られた番号MSP34−2、MSP34−3、MSP34−4サンプルについて、窒素物理吸着分析を行い、分子篩の比表面積及び孔道構造を測定した。窒素吸着等温線及びメソ孔分布を図4に示し、比表面積及び孔容積を表1に示した。結果から分かるように、MSP34−2、MSP34−3、MSP34−4サンプル中にはメソ孔分布が存在しており、その中で、MSP34−3サンプルにはそれぞれ2nm、3nmの2種の異なる口径が存在している。三つのサンプルのメソ孔容積は、それぞれ、0.09、0.06、0.14cm3/gであった。
【0034】
【表1】

【0035】
実施例7
実施例1で得られた番号MSP34−1のサンプル及び比較例1で得られた番号SP34のサンプルに、600℃で空気を通過させて4時間焼成した後、20〜40メッシュ(mesh)になるようにタブレット、ブレーキングした。1.0gのサンプルを量って、固定床反応器に入れ、MTO反応の評価を行った。550℃で、窒素ガスを通過させて、サンプルを1時間活性化させた後、温度を450℃までに下げて反応させた。メタノールは、流速が40ml/minの窒素ガスによって携帯される。メタノールの重量空間速度は4.0h-1であった。反応生成物をオンライン・ガス・クロマトグラフ(on−line gaschromatograph)で分析した。結果は表2に示した通りである。
【0036】
実施例8
実施例3、4、5で得られた番号MSP34−2、MSP34−3、MSP34−4のサンプルを、600℃で空気を通過させて4時間焼成した後、20〜40メッシュになるようにタブレット、ブレーキングした。1.0gのサンプルを量って、固定床反応器に入れ、MTO反応の評価を行った。550℃で、窒素ガスを通過させて、サンプルを1時間活性化させた後、温度を450℃までに下げて反応させた。メタノールを流速が40ml/minの窒素により携帯される。メタノールの重量空間速度は4.0h-1であった。反応生成物をオンライン・ガス・クロマトグラフで分析した。その結果は表2に示した通りである。
【0037】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例1、3、4、5において孔道調節剤を添加して合成したSAPO−34、及び比較例1において孔道調節剤を添加せずに合成したSAPO−34のXRDスペクトルである。
【図2】図2a、図2b、図2c、図2d、図2eは本発明の実施例1、3、4、5及び比較例1のサンプルのSEM写真である。
【図3】図3a、図3bは本発明の実施例2における、番号がMSP34−1、SP34であるサンプルの窒素ガス吸着等温線とメソ孔分布模式図(吸着線分支、BJH法)である。
【図4】図4a、図4bは本発明の実施例6における、番号がMSP34−2、MSP34−3、MSP34−4であるサンプルの窒素ガス吸着等温線とメソ孔分布模式図(吸着線分支、BJH法)である。

【図2a−2c】

【図2d−2e】


【特許請求の範囲】
【請求項2】
ミクロ孔及びメソ孔構造を有するSAPO−34分子篩において、分子篩のメソ孔口径が2〜10nmであり、メソ孔容積が0.03〜0.3cm3/gであることを特徴とする、SAPO−34分子篩。
【請求項3】
立方形分子篩結晶粒の表面が粗いか、または表面に破損があることを特徴とする、請求項1に記載のSAPO−34分子篩。
【請求項4】
請求項1に記載のSAPO−34分子篩の合成方法であって、トリエチルアミンをテンプレートとして用いるとともに、合成ゲル中に孔道調節剤を添加することを特徴とする、SAPO−34分子篩の合成方法。
【請求項5】
以下の工程を含むことを特徴とする請求項3に記載のSAPO−34分子篩の合成方法。
a)SAPO−34分子篩の合成に用いられる初期ゲル混合物を調製する工程、
b)工程a)により得た初期ゲル混合物に、孔道調節剤を添加し、十分に撹拌する工程;
c)工程b)により得たゲル混合物をエアタイト状態にした後、結晶化温度まで加熱して、それ自身が発生する圧力下で、恒温結晶化させ、十分に結晶化させた後固体生成物を分離し、中性になるまで洗浄してから乾燥してSAPO−34分子篩原粉を得る工程;
d)工程c)により得たSAPO−34分子篩原粉を、空気中で焼成して原粉に含まれている有機物を除去して、ミクロ孔及びメソ孔を同時に有するSAPO−34分子篩を得る工程。
【請求項6】
前記初期ゲル混合物中の各酸化物成分のモル比が、
SiO2/Al23=0.1〜2.0;
25/Al23=0.5〜15;
2O/Al23=10〜100;
TEA/Al23=1〜5、但し、TEAはトリエチルアミンである;
T/TEA=0.01〜2、但し、Tは孔道調節剤である
ことを特徴とする、請求項4に記載のSAPO−34分子篩の合成方法。
【請求項7】
前記孔道調節剤が、アンモニア水、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ジエチルアミン、トリプロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、シクロヘキシルアミンの中から選ばれる1種又はこれらの混合物であることを特徴とする、請求項4に記載のSAPO−34分子篩の合成方法。
【請求項7】
工程c)における結晶化温度が100〜250℃であることを特徴とする、請求項4に記載のSAPO−34分子篩の合成方法。
【請求項8】
工程c)における結晶化温度が160〜230℃であることを特徴とする、請求項4に記載のSAPO−34分子篩の合成方法。
【請求項9】
工程c)における結晶化時間が0.5〜100時間であることを特徴とする、請求項4に記載のSAPO−34分子篩の合成方法。
【請求項10】
工程c)における結晶化時間が2〜48時間であることを特徴とする、請求項4に記載のSAPO−34分子篩の合成方法。
【請求項11】
酸素含有化合物の低炭素オレフィンへの転化反応において、触媒として用いられることを特徴とする、請求項1に記載のSAPO−34分子篩。

【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−538810(P2009−538810A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512393(P2009−512393)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【国際出願番号】PCT/CN2007/002348
【国際公開番号】WO2008/022531
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(508353385)中國科學院大連化學物理研究所 (2)
【Fターム(参考)】