説明

ミトコンドリア病の処置のための(ヘテロ)アリール−p−キノン誘導体

ミトコンドリア病、例えばフリートライヒ運動失調(FRDA)、レーバー遺伝性視神経障害(LHON)、ミトコンドリアミオパシー、脳症、ラクトアシドーシス、卒中(MELAS)、キーンズ−セイアー症候群(KSS)を処置または抑制する方法、ならびに本発明の方法において有用な化合物、例えば2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−6−(ヘテロ)アリール−p−キノンまたは2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3−(ヘテロ)アリール−p−キノン誘導体を開示する。対象の代謝状態および治療の効果を評価する場合に有用なエネルギーバイオマーカーも開示する。エネルギーバイオマーカーをモジュレート、正常化または増強する方法、ならびにそのような方法のために有用な化合物も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年1月8日に出願された米国仮特許出願第61/010,409号、および2008年1月8日に出願された米国仮特許出願第61/010,387号の優先権利益を主張する。これらの両方の出願は、その全体を参考として本明細書中に援用される。
【0002】
(技術分野)
本出願はフリートライヒ運動失調、レーバー遺伝性視神経障害、キーンズ−セイアー症候群、およびミトコンドリア神経障害、脳症、ラクトアシドーシス、および卒中、脳血管偶発症のようなミトコンドリア障害に関連する疾患、発達遅延および症状の処置、防止、または抑制のため、および対象におけるエネルギーバイオマーカーをモジュレートするために有用な組成物および方法を開示する。本発明の組成物はミトコンドリア機能不全を補償する目的のため、およびミトコンドリア機能を向上させるために対象に投与される。筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、パーキンソン病および広汎性発達障害のような他の障害を処置する場合にも有用である方法および組成物を開示する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
ミトコンドリアは一般的には細胞の「発電所」と称されている、真核生物細胞における細胞内小器官である。それらの主要な機能の1つは酸化的リン酸化である。分子アデノシントリホスフェート(ATP)は細胞においてエネルギーの「通貨」またはエネルギーのキャリアとして機能し、そして真核生物細胞はそれらのATPの大部分をミトコンドリアにより遂行される生化学的プロセスから誘導する。これらの生化学的プロセスは酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)から還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH+H)を発生させるクエン酸回路(トリカルボン酸回路、またはクレブス回路)およびNADH+Hが酸化されてNADに戻る酸化的リン酸化を包含する。(クエン酸回路はまたフラビンアデニンジヌクレオチド、即ちFADをFADHにまで還元し;FADHもまた酸化的リン酸化に関与している。)
NADH+Hの酸化により放出される電子はミトコンドリア呼吸鎖として知られている一連の蛋白複合体(複合体I、複合体II、複合体III、および複合体IV)に運ばれる。これらの複合体はミトコンドリアの内膜に包埋されている。鎖の末端の複合体IVは電子を酸素に移行させ、これが還元されて水となる。これらの電子が複合体を横断する場合に放出されるエネルギーはミトコンドリアの内膜を通過するプロトンの勾配を発生させるために使用され、これにより内膜を通過する電気化学的な電位が生じる。別の蛋白複合体である複合体V(これは複合体I、II、IIIおよびIVとは直接関連していない)は電気化学的勾配により保存されているエネルギーを使用することによりADPをATPに変換する。
【0004】
クエン酸回路および酸化的リン酸化には解糖が先行し、そこではグルコースの分子がピルビン酸2分子に分解され、その場合グルコース分子当たりATP2分子の実質的発生が伴う。次にピルベート分子がミトコンドリアに進入し、そこでそれらは酸化的リン酸化を介して完全に酸化されてCOとHOになる(全体的過程は好気的呼吸として知られている)。ピルベート2分子から二酸化炭素と水への完全な酸化により、グルコースをピルベート2分子に変換することにより発生するATP2分子に加えて、少なくとも約28〜29分子のATPが生じる。酸素を使用できない場合、ピルベート分子はミトコンドリアに進入する代わりに、嫌気的呼吸のプロセスにおいてラクテートに変換される。
【0005】
即ちグルコース分子当たりの全体的な実質的収率は概ね少なくとも30〜31分子のATPとなる。ATPは細胞中の他の生化学的反応のほぼ全てに対し、直接または間接的に電力供給するために使用される。即ち、好気的呼吸の間の酸化的リン酸化により与えられる余剰分の(概ね)少なくとも28または29分子のATPが細胞の適切な機能遂行のために必須である。酸素の欠乏は好気的呼吸を妨げ、そしてほぼ全ての好気生物の最終的死滅をもたらすことになり;酵母のような数種の生物のみが好気的または嫌気的な呼吸の何れかを使用しながら生存することができる。
【0006】
生物における細胞が一時的に酸素枯渇した場合、酸素が再度使用可能となるまでは嫌気的呼吸が利用されるか、または細胞は死滅する。解糖の間に生じるピルベートは嫌気的呼吸の間はラクテートに変換される。乳酸の蓄積は、筋肉細胞に酸素が供給され得ない場合の、緻密な活動期間の筋肉疲労の原因であると考えられている。酸素が再度使用可能となれば、ラクテートは酸化的リン酸化における使用のためにピルベートに戻される。
【0007】
ミトコンドリア機能不全は種々の疾患状態に寄与する。一部のミトコンドリア病はミトコンドリアゲノムにおける突然変異または欠失による。細胞内のミトコンドリアの閾値比率が欠損している場合、そして組織内部のそのような細胞の閾値比率が欠損性のミトコンドリアを有する場合、組織または臓器の機能不全の症状が生じる場合がある。特に何れの組織にも影響し、そして種々の組織が関与する程度に応じて多種の症状が存在する場合がある。
【0008】
1つのそのような疾患はフリートライヒ運動失調(FRDAまたはFA)である。フリートライヒ運動失調は蛋白フラタキシンの低下したレベルにより生じる常染色体の劣性の神経変性および心臓変性の障害である。フラタキシンはミトコンドリア呼吸鎖複合体における鉄−硫黄クラスターの組み立てのために重要である。合衆国におけるFRDAの推定罹患率は22,000〜29,000人当たり1人(www.nlm.nih.gov/medlineplus/ency/article/001411.htm参照)〜50,000に1人(www.umc−cares.org/health_info/ADAM/Articles/001411.asp参照)の範囲である。疾患は自発運動協調の進行性の消失(運動失調)および心臓の合併症を誘発する。症状は典型的には小児期に始まり、そして疾患は患者が年長になるに従って進行性に悪化し;患者は最終的には運動障害のために車椅子生活となる。
【0009】
ミトコンドリア機能不全に関連する別の疾患はレーバー遺伝性視神経障害(LHON)である。疾患の特徴は平均で27〜34歳の年齢で起こる失明であり;失明は両眼同時に、あるいは逐次的に発症する(片方の眼に失明が発症し、その後、平均で2ヶ月後にもう片方に発症する)場合がある。心臓異常および神経学的合併症のような他の症状もまた生じる場合がある。
【0010】
ミトコンドリア欠損に起因する更に別の症候群はミトコンドリアミオパシー、脳症、ラクトアシドーシス、および卒中(MELAS)である。疾患は幼児、小児、または青年期において顕在化する場合がある。嘔吐および癲癇発作を伴った卒中は最も重篤な症状の1つであり;虚血卒中の場合に生じるような血流の障害ではなく、脳の特定の領域におけるミトコンドリアの代謝障害が細胞死および神経学的患部の原因であると提唱されている。神経学的症状を包含する他の重度の合併症が存在する場合が多く、そして血中乳酸レベルの上昇が起こる。
【0011】
呼吸鎖障害に起因する更に別の症候群状は赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌス癲癇(MERRF)の症候群であり、これはミトコンドリア脳ミオパシーと称される稀な筋肉障害のグループの1つである。ミトコンドリア脳ミオパシーは遺伝物質の欠損がエネルギーを放出する細胞構造の一部(ミトコンドリア)から生じる障害である。これは脳および筋肉の機能不全を誘発する場合がある(脳ミオパシー)。ミトコンドリア欠損ならびに「赤色ぼろ線維」(顕微鏡下に観察した場合の組織の異常)が常時存在する。MERRF症候群の最も特徴的な症状は四肢または全身に影響が出る場合がある通常は突然で短期の引き攣り、痙攣であるミオクローヌス発作である。運動を協調する能力の障害(運動失調)、ならびに血中の乳酸の異常な蓄積(乳酸アシドーシス)もまた、罹患患者に存在する場合がある。会話困難(構音障害)、眼萎縮、短身長、聴覚喪失、痴呆、および眼の不随意な引き攣り(眼振)も起こる場合がある。
【0012】
更に別の症候群はリー病、中枢神経系の変性を特徴とする稀な遺伝性の神経代謝障害である。リー病はミトコンドリアDNAにおける突然変異により、または、ピルベートデヒドロゲナーゼの欠損により誘発される場合がある。リー病の症状は通常は3ヶ月〜2歳の間に始まり、そして急速に進行する。大部分の小児において、最初の兆候は哺乳能力の欠乏および頭部制御と運動能力の喪失である場合がある。これらの症状は食欲喪失、嘔吐、刺激過敏、持続的啼泣および癲癇発作を伴う場合がある。障害が進行するにしたがって、症状は全身虚弱、筋肉緊張の喪失、および乳酸アシドーシスのエピソードを包含する場合があり、これらは呼吸と腎機能の障害をもたらす場合がある。心臓の問題も生じる場合がある。稀な場合において、リー病は後期青春期または早期成人期の間に始まり、そしてより緩徐に進行する場合がある。
【0013】
呼吸鎖障害に起因する更に別の症候群は補酵素Q10欠乏症であり;その症状は脳ミオパシー、精神遅滞、運動不耐、赤色ぼろ線維、および再発性の尿中ミオグロビンを包含する。
【0014】
呼吸鎖障害に起因する更に別の症候群は複合体I欠乏症即ちNADHデヒドロゲナーゼNADH−CoQレダクターゼ欠乏症であり、その症状は3つの主要な形態、即ち:(1)発達遅延、筋肉虚弱、心臓疾患、先天性乳酸アシドーシスおよび呼吸不全を特徴とする致命的な乳児多系障害;(2)運動不耐または虚弱として顕在化する小児期または成人世代において開始されるミオパシー;および(3)小児期または成人世代において開始される場合があり、そして種々の組み合わせの症状および兆候、例えば眼筋麻痺、癲癇発作、痴呆、運動失調、聴覚喪失、色素性網膜症、感覚神経障害、および制御不可能な運動よりなるミトコンドリア脳ミオパシー(MELASを包含)に分類される。
【0015】
呼吸鎖障害に起因する更に別の症候群は複合体II欠乏症即ちスクシネートデヒドロゲナーゼ欠乏症であり、その症状は脳ミオパシーおよび種々の発現状態、例えば成長不全、発達遅延、圧力低下、嗜眠、呼吸不全、運動失調、ミオクローヌスおよび乳酸アシドーシスを包含する。
【0016】
呼吸鎖障害に起因する更に別の破壊的な症候群は複合体III欠乏症即ちユビキノンチトクロームCオキシドレダクターゼ欠乏症であり、その症状は4つの主要な形態、即ち(1)致命的な乳児脳ミオパシー、先天性乳酸アシドーシス、圧力低下、ジストロフィー性姿勢、癲癇発作、および昏睡;(2)遅発性の脳ミオパシー(小児〜成人世代):種々の組み合わせによる虚弱、低身長、運動失調、痴呆、聴覚喪失、感覚神経障害、色素性網膜症、および垂体徴候;(3)固定化された虚弱に発展する運動不耐を伴うミオパシー;および(4)乳児組織球様心筋症に範疇化される。
【0017】
呼吸鎖障害に起因する更に別の症候群は、呼吸鎖の複合体IVの欠損により誘発される、複合体IV欠乏症即ちチトクロームCオキシダーゼ欠乏症であり、その症状は2つの主要な形態、即ち(1)生後6〜12ヶ月は典型的には正常であり、その後発達後退を呈する脳ミオパシー、運動失調、乳酸アシドーシス、視神経萎縮、眼筋麻痺、眼振、ジストニー、垂体徴候、呼吸の問題および頻繁な癲癇発作;および(2)ミオパシー:2つの主要な変異例:(a)致命的な乳児ミオパシー:生後直ぐに始まり、圧力低下、虚弱、乳酸アシドーシス、赤色ぼろ線維、呼吸不全、および腎臓の問題を伴う場合があるもの;(b)良性の乳児ミオパシー:生後直ぐに始まり、圧力低下、虚弱、乳酸アシドーシス、赤色ぼろ線維、呼吸の問題を伴う場合があるが、(小児が生存すれば)後には自発的に改善するものに範疇化される。
【0018】
呼吸鎖障害に起因する更に別の症候群は複合体V欠乏症即ちATPシンターゼ欠乏症であり、緩徐で進行性のミオパシーのような症状を包含する。
【0019】
呼吸鎖障害に起因する更に別の症候群はCPEO、即ち慢性進行性外眼筋麻痺症候群であり、視力ミオパシー、色素性網膜症、または中枢神経系の機能不全を包含する。
【0020】
別のミトコンドリア病はキーンズ−セイアー症候群(KSS)である。KSSは以下の3つの特徴、即ち(1)20歳未満の若年層における典型的な発症;(2)慢性進行性外眼筋麻痺;および(3)網膜の色素性変性を特徴とする。更にまた、KSSは心臓伝導欠損、小脳運動失調、および上昇した脳脊髄液(CSF)蛋白レベル(例えば>100mg/dL)を包含する場合がある。KSSに伴う追加的な特徴はミオパシー、ジストニー、内分泌異常(例えば糖尿病、成長遅延または低身長、および上皮小体機能低下症)、両側性の感音難聴、痴呆、白内障、および近位尿細管性アシドーシスを包含する場合がある。即ち、KSSは多くの臓器系に影響する場合がある。
【0021】
遺伝性の欠損ミトコンドリアの関与する先天性障害に加えて、後天性のミトコンドリア機能不全も疾患、特に加齢に関連する神経変性障害、例えばパーキンソン病、アルツハイマー病、およびハンチントン病の原因となる。ミトコンドリアDNAの体細胞突然変異の発生率は加齢と共に指数的に上昇し;減衰した呼吸鎖活性が高齢者において世界的に観察されている。ミトコンドリア機能不全はまた脳血管の偶発異常、癲癇発作および虚血に伴うもののような興奮毒性ニューロン傷害に関与を示唆されている。
【0022】
最近の研究によれば、自閉症患者の20パーセントもがミトコンドリア病に関するマーカーを有していることが示唆されている(Shoffner,J.the 60 th Annual American Academy of Neurology meeting in Chicago,Apr.12−19,(2008);Poling,J S等J.child Neurol.2008,21(2)170−2;およびRossignol等、Am.J.Biochem .& Biotech .(2008)4,208−217)。自閉症の一部の症例は、一部の患者における高い乳酸レベルの検出(Coleman M.等、Autism and Lactic Acidosis,J.Autism Dev Disord.,(1985)15:1−8;Laszlo等Serum serotonin,lactate and pyruvateレベル in infantile autistic children,Clin.Chim.Acta(1994)229:205−207;およびChugani等、Evidence of altered energy metabolism in autistic children,Progr.Neuropsychopharmacol Biol Psychiat.,(1999)23:635−641)により、そして脳代謝における異常を明確化した核磁気共鳴画像化ならびに陽電子射出断層撮影スキャニングにより示唆された生物エネルギー代謝欠損症を包含する数種の異なる有機的状態に関連していた。高乳酸血症の機序はなお不明であるが、考えられる可能性として、ニューロン細胞におけるミトコンドリアの酸化的リン酸化の機能不全が挙げられる。呼吸鎖の複合体IまたはIIIの欠損を有すると診断された自閉症患者の少数例が文献において報告されている(Oliveira,G.,Developmental Medicine&Child Neurology(2005)47,185−189;およびFilipek,PA等、Journal of Autism and Developmental Disorders(2004)34:615−623参照)。しかしながらミトコンドリア機能不全の何らかの証拠がある自閉症の症例の多くにおいて、筋肉生検におけるミトコンドリアの病理のようなミトコンドリア病に関連する古典的な特徴が存在していない(Rossignol,D.A.等、Am J.Biochem.&Biotech ,(2008)4(2)208−217参照)。
【0023】
上記した疾患は呼吸鎖の複合体Iの欠損により誘発されると考えられる。複合体Iから呼吸鎖の残余への電子の移行は化合物補酵素Q(ユビキノンとしても知られている)により媒介される。酸化された補酵素Q(CoQoxまたはユビキノン)は複合体Iにより還元されて還元型補酵素Q(CoQredまたはユビキノール)になる。次に還元型補酵素Qはその電子を呼吸鎖の複合体IIIに移行させ(複合体IIを迂回)、そこでそれは再度酸化されてCoQox(ユビキノン)となる。次いでCoQoxはその後の反復される電子移行に関与できるようになる。
【0024】
これらの疾患に罹患した患者のために使用できる処置法は極めて少ない。最近、イデベノン(Idebenone)という化合物がフリートライヒ運動失調の処置のために提案されている。イデベノンの臨床効果は相対的には中程度であるが、ミトコンドリア病の合併症は非常に重度であるため、僅かに有用な治療法であっても疾患の未処置経過よりは好ましいといえる。別の化合物であるMitoQがミトコンドリア障害を処置するために提案されており(特許文献1参照);MitoQの臨床結果は報告されていない。KSSに関しては、補酵素Q10(CoQ10)およびビタミン補給剤の投与が個々の症例において一過性にのみ有益な作用を呈している。
【0025】
アリール置換を有する1,4−ベンゾキノンが新生物障害を処置するための蛋白チロシンホスファターゼの選択的阻害剤として特許文献2に記載されているが、この公開物は2−(3−ヒドロキシー3−メチルブチル)−6−(ヘテロ)アリール−p−キノンまたは2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3−(ヘテロ)アリール−p−キノン誘導体も、そしてミトコンドリア病の処置のための本発明の化合物の使用も特に開示していない。
【0026】
エネルギーの生物学的生産を調節する能力は上記した疾患を超越した用途を有している。種々の他の障害はATPレベルのようなエネルギーバイオマーカー(エネルギー機能のインジケーターと称される場合もある)の最適未満のレベルをもたらす場合がある。これらの障害の処置もまた、1つ以上のエネルギーバイオマーカーをモジュレートすることにより患者の健康状態を向上させるために必要とされている。他の用途においては、疾患に罹患していない個体において、特定のエネルギーバイオマーカーをその正常値から外れるようにモジュレートすることが望ましい場合がある。例えば、ある個体が究極的に激しい作業をしている場合、その個体におけるATPのレベルを上昇させることが望ましい場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】米国特許第7,179,928号明細書
【特許文献2】国際公開第2008/002641号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0028】
(発明の開示)
1つの実施形態において、本発明は下記式I:
【0029】
【化1】

[式中、
Rは下記:
【0030】
【化2】

よりなる群から選択され;
ここで*はRの分子の残りの部分への結合点を示し;
ここでMおよびM’は独立して水素、−C(O)−R’、−C(O)−(C−C)−アルケニル、−C(O)−(C−C)−アルキニル、−C(O)−アリール、−C(O)−ヘテロシクリル、−C(O)O−R’、−C(O)NR’R’’、−SOOR’、−SO−(C−C)−アルキル、−SO−(C−C)−ハロアルキル;−SO−アリール、−SO−NR’R’’、−P(O)(OR’)(OR’’)、およびC連結モノまたはジペプチドから選択され、ここでR’およびR’’は互いに独立して水素または場合により−OH、−NH、−NH(C−C)アルキル、−N((C−C)アルキル)、−C(O)−OH、−C(O)−O−(C−C)−アルキルまたはハロゲンで置換された(C−C)−アルキルであり;
ここで、
はアリール−(C−C)−アルキル−またはヘテロシクリル(C−C)−アルキル−であり、ここでアリールまたはヘテロシクリルは場合により(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、チオール、(C−C)−チオアルキル、および−CORから選択された1つ以上の置換基で置換されており;そしてここで(C−C)−アルキル基は場合によりOH、−O(C−C)−アルキル、−NH、−NH(C−C)−アルキル、−N((C−C)アルキル)、オキソまたはハロゲンで置換されており;そしてRおよびRは独立して水素、ハロゲン、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシから選択されるか;
または、
はアリール−(C−C)−アルキル−またはヘテロシクリル(C−C)−アルキル−であり、ここでアリールまたはヘテロシクリルは場合により(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、チオール、(C−C)−チオアルキル、および−CORから選択された1つ以上の置換基で置換されており;そしてここで(C−C)−アルキル基は場合によりOH、−O(C−C)−アルキル、−NH、−NH(C−C)−アルキル、−N((C−C)アルキル)、オキソまたはハロゲンで置換されており;そしてRおよびRは独立して水素、ハロゲン、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシから選択されるか;
の何れかが該当し;
ここでRは水素、(C−C)−アルキル、アリール、またはアリール−(C−C)−アルキルであり;そして、
ここでRおよびRは互いに独立してヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、アリール、アリール−(C−C)−アルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリル(C−C)−アルキルであり;ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびヘテロシクリル基は更にオキソ、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、または−COORで置換され得る]の化合物、その全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0031】
別の実施形態においては、本発明は上記した式Iの1つ以上の治療有効量の化合物を投与することによる、ミトコンドリア障害を処置または抑制する、1つ以上のエネルギーバイオマーカーをモジュレートする、1つ以上のエネルギーバイオマーカーを正常化する、または1つ以上のエネルギーバイオマーカーを増強する方法を包含する。
【0032】
別の実施形態においては、本発明は下記構造の式Ia:
【0033】
【化3】

[式中、
はアリール−(C−C)−アルキル−またはヘテロシクリル(C−C)−アルキル−であり、ここでアリールまたはヘテロシクリルは場合により(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、チオール、(C−C)−チオアルキル、および−CORから選択された1つ以上の置換基で置換されており;そしてここで(C−C)−アルキル基は場合によりOH、−O(C−C)−アルキル、−NH、−NH(C−C)−アルキル、−N((C−C)アルキル)、オキソまたはハロゲンで置換されており;そして、RおよびRは独立して水素、ハロゲン、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシから選択されるか;
または、
はアリール−(C−C)−アルキル−またはヘテロシクリル(C−C)−アルキル−であり、ここでアリールまたはヘテロシクリルは場合により(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、チオール、(C−C)−チオアルキル、および−CORから選択された1つ以上の置換基で置換されており;そしてここで(C−C)−アルキル基は場合によりOH、−O(C−C)−アルキル、−NH、−NH(C−C)−アルキル、−N((C−C)アルキル)、オキソまたはハロゲンで置換されており;そして、
およびRは独立して水素、ハロゲン、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシから選択されるか;
の何れかが該当し;
ここでRは水素、(C−C)−アルキル、アリール、またはアリール−(C−C)−アルキルであり;そして、
ここでRおよびRは互いに独立してヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、アリール、アリール−(C−C)−アルキル−、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリル(C−C)−アルキルであり;ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびヘテロシクリル基は更にオキソ、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、または−COORで置換され得る]の化合物、その全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0034】
別の実施形態においては、本発明は下記式Ib:
【0035】
【化4】

[式中、
はアリール−(C−C)−アルキル−またはヘテロシクリル(C−C)−アルキル−であり、ここでアリールまたはヘテロシクリルは場合により(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、チオール、(C−C)−チオアルキル、および−CORから選択された1つ以上の置換基で置換されており;そしてここで(C−C)−アルキル基は場合によりOH、−O(C−C)−アルキル、−NH、−NH(C−C)−アルキル、−N((C−C)アルキル)、オキソまたはハロゲンで置換されており;
およびRは独立して水素、ハロゲン、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシから選択され;
は水素、(C−C)−アルキル、アリール、またはアリール−(C−C)−アルキルであり;そして、
およびRは互いに独立してヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、アリール、アリール−(C−C)−アルキル−、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリル(C−C)−アルキルであり;ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびヘテロシクリル基は更にオキソ、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、または−COORで置換され得る]の化合物、その全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0036】
別の実施形態においては、本発明は、RおよびRがメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、メチル−シクロプロピル、ペンチル基の分子の残りの部分への結合点がペンチルフラグメントの何れかの位置にあり得るペンチル、シクロペンチル、ヘキシル基の分子の残りの部分への結合点がヘキシルフラグメントの何れかの位置にあり得るヘキシル、およびシクロヘキシルから選択される式Ibの化合物;その全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0037】
別の実施形態においては、本発明は、RおよびR基の一方がメチルであり、そしてもう一方の基が水素である式Ibの化合物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRおよびRがメチルである式Ibの化合物;その全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0038】
別の実施形態においては、本発明は、RおよびR基の一方がメトキシである式Ibの化合物を包含し;そして別の実施形態においては、RおよびR基がメトキシである。
【0039】
別の実施形態においては、本発明は、RおよびRの一方がハロゲンである式Ibの化合物を包含し、そして別の実施形態においてはRおよびR基がハロゲンであり、そして他の実施形態においてはRおよびRはクロロ、ブロモ、またはフルオロである。
【0040】
別の実施形態においては、本発明はRがアリール−(C−C)−アルキル−である式Ibの化合物、またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRがアリールである式Ibの化合物、またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが未置換のフェニルまたはナフチルである式Ibの化合物、または全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、または−CORで置換されたフェニルまたはナフチルである式Ibの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、および−CORから選択される1つ以上の、例えば1つまたは2つの置換基で置換されたフェニルである式Ibの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが(C−C)−アルキル、ハロゲン、例えばフルオロまたはクロロ、および(C−C)−ハロアルキル、例えばCFまたはCHFから選択される1つ以上の置換基で置換されたフェニルである式Ibの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが場合により(C−C)−アルキル、ハロゲン、例えばフルオロまたはクロロ、および(C−C)−ハロアルキル、例えばCFまたはCHFから選択される1つ以上の置換基で置換されたアリール−(C−C)アルキル−である式Ibの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRがベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、フェニルペンチル、フェニルヘキシルであり、そしてフェニルのアルキル鎖への結合が何れかの開放位置にあり得、そしてフェニル基は場合により(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、およびCORから選択される1つ以上の置換基で置換された式Ibの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0041】
一部の実施形態においては、Rはハロゲン、例えばフルオロまたはクロロでモノ置換されたフェニルであり;そして他の実施形態においては、Rはハロゲン、例えばフルオロまたはクロロでジ置換されたフェニルである。別の実施形態においては、RはCFで置換されたフェニルであり、あるいはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物である。
【0042】
一部の実施形態においては、Rはヒドロキシまたは(C−C)−アルコキシで置換されたフェニルであり;そして一部の他の実施形態においてはRはメトキシで置換されたフェニルであり、あるいはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物である。
【0043】
一部の実施形態においては、RはCNで置換されたフェニルであり;あるいはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物である。
【0044】
一部の実施形態においては、Rは未置換のベンジルまたは未置換のフェニルプロピルであり;あるいはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物である。
【0045】
一部の実施形態においては、Rはフェニル−(C1−6)−アルキル−であり、ここで該アルキル基はOH、−O(C−C)−アルキル、−NH、−NH(C−C)−アルキル、−N((C−C)アルキル)、オキソまたはハロゲンで置換されており、例えば置換されたアルキル基は1−ヒドロキシ−2−フェニルエチルであり;;あるいはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物である。
【0046】
上記実施形態の一部において、フェニル置換はパラ位にあり、他の実施形態においてはフェニル置換はメタ位にあり、そして更に他の実施形態においては、フェニル置換はオルト位にある。
【0047】
別の実施形態においては、本発明はRが未置換のヘテロシクリル(C−C)−アルキル−である式Ibの化合物、またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが置換されたヘテロシクリル(C−C)−アルキル−である式Ibの化合物、またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが場合により置換された窒素含有ヘテロシクリル、例えば、イミダゾリル、ピリジニル、ピロリル、およびピリミジニルである式Ibの化合物、またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが酸素または硫黄含有ヘテロシクリル、例えば、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピラニル、フラニル、チエニル、ベンゾピラニル、またはベンゾフラニルである式Ibの化合物、またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0048】
別の実施形態においては、本発明は下記式Ic:
【0049】
【化5】

[式中、
はアリール−(C−C)−アルキル−またはヘテロシクリル(C−C)−アルキル−であり、ここでアリールまたはヘテロシクリルは場合により(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、チオール、(C−C)−チオアルキル、および−CORから選択された1つ以上の置換基で置換されており;そしてここで(C−C)−アルキル基は場合によりOH、−O(C−C)−アルキル、−NH、−NH(C−C)−アルキル、−N((C−C)アルキル)、オキソまたはハロゲンで置換されており;
およびRは独立して水素、ハロゲン、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシから選択され;
は水素、(C−C)−アルキル、アリール、またはアリール−(C−C)−アルキルであり;そして、
およびRは互いに独立してヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、アリール、アリール−(C−C)−アルキル−、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリル(C−C)−アルキルであり;ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびヘテロシクリル基は更にオキソ、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、または−COORで置換され得;そして、
MおよびM’は独立して水素、−C(O)−R’、−C(O)−(C−C)−アルケニル、−C(O)−(C−C)−アルキニル、−C(O)−アリール、−C(O)−ヘテロシクリル、−C(O)O−R’、−C(O)NR’R’’、−SOOR’、−SO−(C−C)−アルキル、−SO−(C−C)−ハロアルキル;−SO−アリール、−SO−NR’R’’、−P(O)(OR’)(OR’’)、およびC連結モノまたはジペプチドから選択され、ここでR’およびR’’は各々が互いに独立して水素または場合により−OH、−NH、−NH(C−C)アルキル、−N((C−C)アルキル)、−C(O)−OH、−C(O)−O−(C−C)−アルキルまたはハロゲンで置換された(C−C)−アルキルである]の化合物、その全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0050】
別の実施形態においては、本発明は、RおよびRがメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、メチル−シクロプロピル、ペンチル基の分子の残りの部分への結合点がペンチルフラグメントの何れかの位置にあり得るペンチル、シクロペンチル、ヘキシル基の分子の残りの部分への結合点がヘキシルフラグメントの何れかの位置にあり得るヘキシル、およびシクロヘキシルから選択される式Icの化合物;その全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0051】
別の実施形態においては、本発明は、RおよびR基の一方がメチルであり、そして残余の基が水素である式Icの化合物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRおよびRがメチルである式Icの化合物;その全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0052】
別の実施形態においては、本発明は、RおよびR基の一方がメトキシである式Icの化合物を包含し;そして別の実施形態においては、RおよびR基がメトキシである。
【0053】
別の実施形態においては、本発明は、RおよびRの一方がハロゲンである式Icの化合物を包含し、そして別の実施形態においてはRおよびR基がハロゲンであり、そして他の実施形態においてはRおよびRはクロロ、ブロモ、またはフルオロである。
【0054】
別の実施形態においては、本発明はRがアリール−(C−C)−アルキル−である式Icの化合物、またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRがアリールである式Icの化合物、またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが未置換のフェニルまたは未置換のナフチルである式Icの化合物、または全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが未置換のフェニルである式Icの化合物、または全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、または−CORから選択される1つ以上の置換基で置換されたフェニルまたはナフチルである式Icの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、および−CORから選択される1つまたは2つの置換基で置換されたフェニルである式Icの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが(C−C)−アルキル、ハロゲン、例えばフルオロまたはクロロ、および(C−C)−ハロアルキル、例えばCFまたはCHFから選択される1つ以上の置換基で置換されたフェニルである式Icの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが(C−C)−アルキル、ハロゲン、例えばフルオロまたはクロロ、および(C−C)−ハロアルキル、例えばCFまたはCHFから選択される1つ以上の置換基で置換されたアリール−(C−C)アルキル−である式Icの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRがベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、フェニルペンチル、フェニルヘキシルであり、そしてフェニルのアルキル鎖への結合が何れかの開放位置にあり得、そしてフェニル基は(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、およびCORから選択される1つ以上の置換基で置換された式Icの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0055】
一部の実施形態においては、Rはハロゲン、例えばフルオロまたはクロロでモノ置換されたフェニルであり;そして他の実施形態においては、Rはハロゲン、例えばフルオロまたはクロロでジ置換されたフェニルである。別の実施形態においては、RはCFで置換されたフェニルであり、あるいはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物である。
【0056】
一部の実施形態においては、Rはヒドロキシまたは(C−C)−アルコキシで置換されたフェニルであり;そして一部の他の実施形態においてはRはメトキシで置換されたフェニルであり、あるいはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物である。
【0057】
一部の実施形態においては、RはCNで置換されたフェニルであり;あるいはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物である。
【0058】
一部の実施形態においては、Rは未置換のベンジルまたは未置換のフェニルプロピルであり;あるいはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物である。
【0059】
上記実施形態の一部において、フェニル置換はパラ位にあり、他の実施形態においてはフェニル置換はメタ位にあり、そして更に他の実施形態においては、フェニル置換はオルト位にある。
【0060】
別の実施形態においては、本発明はRが場合により置換されたヘテロサイクリル−(C−C)−アルキル−である式Icの化合物、またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが場合により置換されたヘテロシクリルである式Icの化合物、またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが窒素含有ヘテロシクリル、例えば、イミダゾリル、ピリジニル、ピロリル、およびピリミジニルである式Icの化合物、またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが酸素または硫黄含有ヘテロシクリル、例えば、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピラニル、フラニル、チエニル、ベンゾジオキソール、ベンゾピラニル、またはベンゾフラニルである式Icの化合物、またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0061】
別の実施形態においては、本発明はMおよびM’が独立して水素および−C(O)−R’から選択される式Icの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はMおよびM’が独立して水素、−C(O)−Hおよび−C(O)−(C−C)−アルキルから選択される、例えばMおよびM’が水素またはアセチルである式Icの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0062】
別の実施形態においては、本発明はRおよびRがメチルであり、そしてMおよびM’が水素またはアセチルである式Icの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRおよびRがメチルであり、Rが場合により置換されたフェニルであり、そしてMおよびM’が独立して水素またはアセチルである式Icの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRおよびRがメチルであり、Rが場合により1つ以上、例えば1つまたは2つのハロゲンで置換されたフェニルであり、そしてMおよびM’が独立して水素またはアセチルである式Icの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0063】
別の実施形態においては、本発明はRおよびRが独立して(C−C)アルキルから選択され;そしてRは場合により置換されたフェニルである式Ibまたは式Icの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物の1つ以上の治療有効量を投与することによる、ミトコンドリア障害を処置または抑制する、1つ以上のエネルギーバイオマーカーをモジュレートする、1つ以上のエネルギーバイオマーカーを正常化する、または1つ以上のエネルギーバイオマーカーを増強する方法を包含する。
【0064】
別の実施形態においては、本発明はRおよびRがメチルであり;そしてRは1つ以上、例えば1つまたは2つのハロゲンで置換されたフェニルである式Ibまたは式Icの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物の1つ以上の治療有効量を投与することによる、ミトコンドリア障害を処置または抑制する、1つ以上のエネルギーバイオマーカーをモジュレートする、1つ以上のエネルギーバイオマーカーを正常化する、または1つ以上のエネルギーバイオマーカーを増強する方法を包含する。
【0065】
別の実施形態においては、本発明はMおよびM’が独立して水素およびアセチルから選択され、RおよびRが独立して(C−C)アルキルから選択され;そしてRが場合により置換されたフェニルである式Icの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物の1つ以上の治療有効量を投与することによる、ミトコンドリア障害を処置または抑制する、1つ以上のエネルギーバイオマーカーをモジュレートする、1つ以上のエネルギーバイオマーカーを正常化する、または1つ以上のエネルギーバイオマーカーを増強する方法を包含する。
【0066】
別の実施形態においては、本発明はMおよびM’が独立して水素およびアセチルから選択され、RおよびRが独立して(C−C)アルキルから選択され;そしてRが場合によりハロゲンで置換されたフェニルである式Icの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物の1つ以上の治療有効量または有効量を投与することによる、ミトコンドリア障害を処置または抑制する、1つ以上のエネルギーバイオマーカーをモジュレートする、1つ以上のエネルギーバイオマーカーを正常化する、または1つ以上のエネルギーバイオマーカーを増強する方法を包含する。
【0067】
別の実施形態においては、本発明は下記式Id:
【0068】
【化6】

[式中、
およびRは独立して水素、ハロゲン、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシから選択され;
はアリール−(C−C)−アルキル−またはヘテロシクリル(C−C)−アルキル−であり、ここでアリールまたはヘテロシクリルは場合により(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、チオール、(C−C)−チオアルキル、および−CORから選択された1つ以上の置換基で置換されており;そしてここで(C−C)−アルキル基は場合によりOH、−O(C−C)−アルキル、−NH、−NH(C−C)−アルキル、−N((C−C)アルキル)、オキソまたはハロゲンで置換されており;
は水素、(C−C)−アルキル、アリール、またはアリール−(C−C)−アルキルであり;そして、
およびRは互いに独立してヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、アリール、アリール−(C−C)−アルキル−、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリル(C−C)−アルキルであり;ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびヘテロシクリル基は更にオキソ、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、または−COORで置換され得る]の化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物、またはその塩、立体異性体、または立体異性体の混合物を包含する。
【0069】
別の実施形態においては、本発明は、RおよびRがメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、メチル−シクロプロピル、ペンチル基の分子の残りの部分への結合点がペンチルフラグメントの何れかの位置にあり得るペンチル、シクロペンチル、ヘキシル基の分子の残りの部分への結合点がヘキシルフラグメントの何れかの位置にあり得るヘキシル、およびシクロヘキシルから選択される式Idの化合物;その全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0070】
別の実施形態においては、本発明は、RおよびR基の一方がメチルであり、そしてもう一方の基が水素である式Idの化合物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRおよびRがメチルである式Idの化合物;その全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0071】
別の実施形態においては、本発明は、RおよびR基の一方がメトキシである式Idの化合物を包含し;そして別の実施形態においては、RおよびR基がメトキシである。
【0072】
別の実施形態においては、本発明は、RおよびRの一方がハロゲンである式Idの化合物を包含し、そして別の実施形態においてはRおよびR基がハロゲンであり、そして他の実施形態においてはRおよびRはクロロ、ブロモ、またはフルオロである。
【0073】
別の実施形態においては、本発明はRがアリール−(C−C)−アルキル−である式Idの化合物、またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRがアリールである式Idの化合物、またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが未置換のフェニルまたは未置換のナフチルである式Idの化合物、または全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、または−CORで置換されたフェニルまたはナフチルである式Idの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、および−CORから選択される1つ以上、例えば1つまたは2つの置換基で置換されたフェニルである式Idの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRがC−C−アルキル、ハロゲン、例えばフルオロまたはクロロ、および(C−C)−ハロアルキル、例えばCFまたはCHFから選択される1つ以上の置換基で置換されたフェニルである式Idの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが(C−C)−アルキル、ハロゲン、例えばフルオロまたはクロロ、および(C−C)−ハロアルキル、例えばCFまたはCHFから選択される1つ以上の置換基で置換されたアリール−(C−C)アルキル−である式Idの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRがベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、フェニルペンチル、フェニルヘキシルであり、そしてフェニルのアルキル鎖への結合が何れかの開放位置にあり得、そしてフェニル基は(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、およびCORから選択される1つ以上の置換基で置換された式Idの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0074】
一部の実施形態においては、Rはハロゲン、例えばフルオロまたはクロロでモノ置換されたフェニルであり;そして他の実施形態においては、Rはハロゲン、例えばフルオロまたはクロロでジ置換されたフェニルである。別の実施形態においては、RはCFで置換されたフェニルであり、あるいはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物である。
【0075】
一部の実施形態においては、Rはヒドロキシまたは(C−C)−アルコキシで置換されたフェニルであり;そして一部の他の実施形態においてはRはメトキシで置換されたフェニルであり、あるいはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物である。
【0076】
一部の実施形態においては、RはCNで置換されたフェニルであり;あるいはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物である。
【0077】
一部の実施形態においては、Rは未置換のベンジル、未置換のフェニルエチル、または未置換のフェニルプロピルであり;あるいはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物である。
【0078】
一部の実施形態においては、Rはフェニル−(C1−6)−アルキル−であり、ここで該アルキル基はOH、−O(C−C)−アルキル、−NH、−NH(C−C)−アルキル、−N((C−C)アルキル)、オキソまたはハロゲンで置換されており、例えば置換されたアルキル基は1−ヒドロキシ−2−フェニルエチルであり;あるいはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物である。
【0079】
上記実施形態の一部において、フェニル置換はパラ位にあり、他の実施形態においてはフェニル置換はメタ位にあり、そして更に他の実施形態においては、フェニル置換はオルト位にある。
【0080】
別の実施形態においては、本発明はRが場合により置換されたヘテロシクリル(C−C)−アルキル−である式Idの化合物、またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが場合により置換されたヘテロシクリルである式Idの化合物、またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが場合により置換された窒素含有ヘテロシクリル、例えば、イミダゾリル、ピリジニル、ピロリル、およびピリミジニルである式Idの化合物、またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが酸素または硫黄含有ヘテロシクリル、例えば、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピラニル、フラニル、チエニル、ベンゾピラニル、またはベンゾフラニルである式Idの化合物、またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0081】
別の実施形態においては、本発明は下記式Ie:
【0082】
【化7】

[式中、
およびRは独立して水素、ハロゲン、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシから選択され;
はアリール−(C−C)−アルキル−またはヘテロシクリル(C−C)−アルキル−であり、ここでアリールまたはヘテロシクリルは場合により(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、チオール、(C−C)−チオアルキル、および−CORから選択された1つ以上の置換基で置換されており;そしてここで(C−C)−アルキル基は場合によりOH、−O(C−C)−アルキル、−NH、−NH(C−C)−アルキル、−N((C−C)アルキル)、オキソまたはハロゲンで置換されており;
は水素、(C−C)−アルキル、アリール、またはアリール−(C−C)−アルキルであり;
およびRは互いに独立してヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、アリール、アリール−(C−C)−アルキル−、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリル(C−C)−アルキルであり;ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびヘテロシクリル基は更にオキソ、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、または−COORで置換され得;
MおよびM’は独立して水素、−C(O)−R’、−C(O)−(C−C)−アルケニル、−C(O)−(C−C)−アルキニル、−C(O)−アリール、−C(O)−ヘテロシクリル、−C(O)O−R’、−C(O)NR’R’’、−SOOR’、−SO−(C−C)−アルキル、−SO−(C−C)−ハロアルキル;−SO−アリール、−SO−NR’R’’、−P(O)(OR’)(OR’’)、およびC連結モノまたはジペプチドから選択され、ここでR’およびR’’は各々が互いに独立して水素または場合により−OH、−NH、−NH(C−C)アルキル、−N((C−C)アルキル)、−C(O)−OH、−C(O)−O−(C−C)−アルキルまたはハロゲンで置換された(C−C)−アルキルである]の化合物、またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0083】
別の実施形態においては、本発明は、RおよびRがメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、メチル−シクロプロピル、ペンチル基の分子の残りの部分への結合点がペンチルフラグメントの何れかの位置にあり得るペンチル、シクロペンチル、ヘキシル基の分子の残りの部分への結合点がヘキシルフラグメントの何れかの位置にあり得るヘキシル、およびシクロヘキシルから選択される式Ieの化合物;その全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0084】
別の実施形態においては、本発明は、RおよびR基の一方がメチルであり、そして残余の基が水素である式Ieの化合物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRおよびRがメチルである式Ieの化合物;その全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0085】
別の実施形態においては、本発明は、RおよびR基の一方がメトキシである式Ieの化合物を包含し;そして別の実施形態においては、RおよびR基がメトキシである。
【0086】
別の実施形態においては、本発明は、RおよびRの一方がハロゲンである式Ieの化合物を包含し、そして別の実施形態においてはRおよびR基がハロゲンであり、そして他の実施形態においてはRおよびRはクロロ、ブロモ、またはフルオロである。
【0087】
別の実施形態においては、本発明はRがアリール−(C−C)−アルキル−である式Ieの化合物、またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRがアリールである式Ieの化合物、またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが未置換のフェニルまたは未置換のナフチルである式Ieの化合物、または全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが未置換のフェニルである式Ieの化合物、または全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、または−CORで置換されたフェニルまたはナフチルである式Ieの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、および−CORから選択される1つ以上、例えば1つまたは2つの置換基で置換されたフェニルである式Ieの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが(C−C)−アルキル、ハロゲン、例えばフルオロまたはクロロ、および(C−C)−ハロアルキル、例えばCFまたはCHFから選択される1つ以上の置換基で置換されたフェニルである式Ieの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが(C−C)−アルキル、ハロゲン、例えばフルオロまたはクロロ、および(C−C)−ハロアルキル、例えばCFまたはCHFから選択される1つ以上の置換基で置換されたアリール−(C−C)アルキル−である式Ieの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRがベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、フェニルペンチル、フェニルヘキシルであり、そしてフェニルのアルキル鎖への結合が何れかの開放位置にあり得、そしてフェニル基は(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、およびCORから選択される1つ以上の置換基で置換された式Ieの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0088】
一部の実施形態においては、Rはハロゲン、例えばフルオロまたはクロロでモノ置換されたフェニルであり;そして他の実施形態においては、Rはハロゲン、例えばフルオロまたはクロロでジ置換されたフェニルである。別の実施形態においては、RはCFで置換されたフェニルであり、あるいはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物である。
【0089】
一部の実施形態においては、Rはヒドロキシまたは(C−C)−アルコキシで置換されたフェニルであり;そして一部の他の実施形態においてはRはメトキシで置換されたフェニルであり、あるいはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物である。
【0090】
一部の実施形態においては、RはCNで置換されたフェニルであり;あるいはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物である。
【0091】
一部の実施形態においては、Rはフェニル−(C−C)−アルコキシであり、あるいはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物である。一部の実施形態においては、Rは未置換のベンジルまたは未置換のフェニルプロピルであり;あるいはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物である。
【0092】
一部の実施形態においては、Rは未置換のベンジルまたは未置換のフェニルプロピルであり;あるいはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物である。
【0093】
上記実施形態の一部において、フェニル置換はパラ位にあり、他の実施形態においてはフェニル置換はメタ位にあり、そして更に他の実施形態においては、フェニル置換はオルト位にある。
【0094】
別の実施形態においては、本発明はRがヘテロシクリル(C−C)−アルキル−である式Ieの化合物、またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが場合により置換されたヘテロシクリルである式Ieの化合物、またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが窒素含有ヘテロシクリル、例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピロリル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、チアゾリル、またはオキサゾリルである式Ieの化合物、またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRが酸素または硫黄含有ヘテロシクリル、例えば、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピラニル、フラニル、チエニル、ベンゾジオキソール、ベンゾピラニル、またはベンゾフラニルである式Ieの化合物、またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0095】
別の実施形態においては、本発明はMおよびM’が独立して水素および−C(O)−R’から選択される式Ieの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はMおよびM’が独立して水素、−C(O)−Hおよび−C(O)−(C−C)−アルキルから選択される、例えばMおよびM’が独立して水素およびアセチルから選択される式Ieの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0096】
別の実施形態においては、本発明はRおよびRがメチルであり、そしてMおよびM’が独立して水素およびアセチルから選択される式Ieの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRおよびRがメチルであり、Rが場合により置換されたフェニルであり、そしてMおよびM’が独立して水素またはアセチルである式Ieの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態においては、本発明はRおよびRがメチルであり、Rが場合により1つ以上、例えば1つまたは2つのハロゲンで置換されたフェニルであり、そしてMおよびM’が独立して水素およびアセチルから選択される式Ieの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0097】
別の実施形態においては、本発明はRおよびRが独立して(C−C)アルキルから選択され;そしてRは場合により置換されたフェニルである式Idまたは式Ieの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物の1つ以上の治療有効量を投与することによる、ミトコンドリア障害を処置または抑制する、1つ以上のエネルギーバイオマーカーをモジュレートする、1つ以上のエネルギーバイオマーカーを正常化する、または1つ以上のエネルギーバイオマーカーを増強する方法を包含する。
【0098】
別の実施形態においては、本発明はRおよびRが独立して(C−C)アルキルから選択され;そしてRは1つ以上、例えば1つまたは2つのハロゲンで置換されたフェニルである式Idまたは式Ieの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物の1つ以上の治療有効量を投与することによる、ミトコンドリア障害を処置または抑制する、1つ以上のエネルギーバイオマーカーをモジュレートする、1つ以上のエネルギーバイオマーカーを正常化する、または1つ以上のエネルギーバイオマーカーを増強する方法を包含する。
【0099】
別の実施形態においては、本発明はMおよびM’が独立して水素およびアセチルから選択され、RおよびRが独立して(C−C)アルキルから選択され;そしてRが場合により置換されたフェニルである式Ieの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物の1つ以上の治療有効量を投与することによる、ミトコンドリア障害を処置または抑制する、1つ以上のエネルギーバイオマーカーをモジュレートする、1つ以上のエネルギーバイオマーカーを正常化する、または1つ以上のエネルギーバイオマーカーを増強する方法を包含する。
【0100】
別の実施形態においては、本発明はMおよびM’が独立して水素およびアセチルから選択され、RおよびRが独立して(C−C)アルキルから選択され;そしてRが場合によりハロゲンで置換されたフェニルである式Ieの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物の1つ以上の治療有効量または有効量を投与することによる、ミトコンドリア障害を処置または抑制する、1つ以上のエネルギーバイオマーカーをモジュレートする、1つ以上のエネルギーバイオマーカーを正常化する、または1つ以上のエネルギーバイオマーカーを増強する方法を包含する。
【0101】
別の実施形態においては、本発明は、式I、式Ia、式Ib、式Ic、式Idまたは式Ieの化合物;またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物の1つ以上の治療有効量を投与することによる、ミトコンドリア障害を処置または抑制する、1つ以上のエネルギーバイオマーカーをモジュレートする、1つ以上のエネルギーバイオマーカーを正常化する、または1つ以上のエネルギーバイオマーカーを増強する方法を包含する。
【0102】
別の実施形態においては、本発明は下記:
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチル−6−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−6−(4−メトキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 4−(5−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−2,4−ジメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ベンゾニトリル;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチル−6−(ナフタレン−2−イル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3,4−ジフルオロフェニル)−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−フルオロフェニル)−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−クロロフェニル)−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−2−イル)−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−フェネチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−フェニルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−ベンジル−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(3−フェニルプロピル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(1−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3−(4−メトキシフェニル)−5,6−ジメチル−シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(ナフタレン−2−イル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(ベンゾフラン−2−イル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−クロロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−エチルフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−t−ブチルフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−フルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−フルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 4−(2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−4,5−ジメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ベンゾニトリル;
・ 2−(3,4−ジフルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(2−フルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3−(3−メトキシフェニル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−フルオロ−2−メトキシフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3−(4−メトキシフェニル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;および、
・ 2−(4−クロロフェニル)−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物よりなる群から選択される式Iの化合物を包含する。
【0103】
別の実施形態においては、本発明は下記:
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(2−(チアゾール−2−イル)エチル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(2−(チアゾール−5−イル)エチル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(2−(ピリジン−2−イル)エチル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(2−(ピリダジン−4−イル)エチル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(2−(チオフェン−2−イル)エチル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(2−(チオフェン−3−イル)エチル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(2−(フラン−2−イル)エチル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(2−(フラン−3−イル)エチル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(2−(1H−ピラゾール−5−イル)エチル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(2−(1H−ピラゾール−4−イル)エチル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)エチル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(2−(1H−イミダゾール−5−イル)エチル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(2−(1H−イミダゾール−2−イル)エチル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(2−(オキサゾール−5−イル)エチル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(2−(オキサゾール−2−イル)エチル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(2−(オキサゾール−4−イル)エチル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;および、
・ 2−(2−(1H−インドール−3−イル)エチル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
またはその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝産物、溶媒和物、および水和物よりなる群から選択される式Iの化合物を包含する。
【0104】
上記した実施形態の何れかを包含する他の実施形態において、ミトコンドリア障害はミトコンドリア病;赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌス癲癇(MERRF);ミトコンドリアミオパシー、脳症、ラクトアシドーシス、および卒中(MELAS);レーバー遺伝性視神経障害(LHON);慢性進行性外眼筋麻痺症(CPEO);リー病;キーンズ−セイアー症候群(KSS);フリートライヒ運動失調(FA);補酵素Q10欠乏症;複合体I欠乏症(Complex I Deficiency);複合体II欠乏症;複合体III欠乏症;複合体IV欠乏症;および複合体V欠乏症;他のミオパシー;心筋症;脳ミオパシー;腎尿細管性アシドーシス;神経変性症;パーキンソン病;アルツハイマー病;筋萎縮性側索硬化症(ALS);運動ニューロン疾患;他の神経学的威疾患;癲癇;遺伝疾患;ハンチントン病;気分障害;分裂病;双極性障害;加齢関連疾患;脳血管疾患;黄斑変性;糖尿病;広汎性発達障害、例えば自閉症(ASD)、アスペルガー症候群、小児期崩壊性障害(CDD)、レット障害、およびPDD特定不能型(PDD−NOS);および癌よりなる群から選択される。
【0105】
上記した実施形態の何れかを包含する他の実施形態において、ミトコンドリア障害はミトコンドリア呼吸鎖障害である。特定の実施形態においては、ミトコンドリア呼吸鎖障害は呼吸蛋白鎖障害である。
【0106】
上記した実施形態の何れかを包含する他の実施形態において、ミトコンドリア障害は遺伝性のミトコンドリア病;赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌス癲癇(MERRF);ミトコンドリアミオパシー、脳症、ラクトアシドーシス、および卒中(MELAS);レーバー遺伝性視神経障害(LHON);慢性進行性外眼筋麻痺症(CPEO);リー病;キーンズ−セイアー症候群(KSS);およびフリートライヒ運動失調(FA)よりなる群から選択される。
【0107】
上記した実施形態の何れかを包含する他の実施形態において、ミトコンドリア障害はフリートライヒ運動失調(FRDA)である。本発明の別の実施形態においては、ミトコンドリア障害はレーバー遺伝性視神経障害(LHON)である。上記した実施形態の何れかを包含する他の実施形態において、ミトコンドリア障害はミトコンドリアミオパシー、脳症、ラクトアシドーシス、および卒中(MELAS)である。上記した実施形態の何れかを包含する他の実施形態において、ミトコンドリア障害はキーンズ−セイアー症候群(KSS)である。本発明の別の実施形態においては、ミトコンドリア障害は赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌス癲癇(MERRF)である。上記した実施形態の何れかを包含する他の実施形態において、ミトコンドリア障害はパーキンソン病である。上記した実施形態の何れかを包含する他の実施形態において、ミトコンドリア障害はハンチントン病である。上記した実施形態の何れかを包含する他の実施形態において、ミトコンドリア障害は筋萎縮性側索硬化症である。別の実施形態においては、障害は脳血管偶発症である。別の実施形態においては、障害は自閉症(ASD)、アスペルガー障害、小児期崩壊性障害(CDD)、レット障害、およびPDD特定不能型(PDD−NOS)を包含する広汎性発達障害PDDであり、そして特定の実施形態においては、疾患は自閉症である。
【0108】
上記した実施形態の何れかを包含する他の実施形態において、本明細書に記載する化合物は種々のエネルギーバイオマーカー、例えば限定しないが、全血、血漿、脳脊髄液、または脳室液の何れかにおける乳酸(ラクテート)レベル、全血、血漿、脳脊髄液、または脳室液の何れかにおけるピルビン酸(ピルベート)レベル、全血、血漿、脳脊髄液、または脳室液の何れかにおけるラクテート/ピルベート比、ホスホクレアチンレベル、NADH(NADH+H)またはNADPH(NADPH+H)レベル;NADまたはNADPレベル;ATPレベル;還元型補酵素Q(CoQred)レベル;酸化型補酵素Q(CoQox)レベル;総補酵素Q(CoQtot)レベル;酸化型チトクロームCレベル;還元型チトクロームCレベル;酸化型チトクロームC/還元型チトクロームC比;アセトアセテートレベル;ベータ−ヒドロキシブチレートレベル;アセトアセテート/ベータ−ヒドロキシブチレート比;8−ヒドロキシ−2’−デオキシグアノシン(8−OHdG)レベル;活性酸素種のレベル;酸素消費(VO2);二酸化炭素排出(VCO2);呼吸商(VCO2/VO2)の1つ以上をモジュレートするため、および運動不耐性をモジュレートするため(または逆に運動耐容性をモジュレートするため)および嫌気的閾値をモジュレートするために、ミトコンドリア障害に罹患した対象に投与される。エネルギーバイオマーカーは全血、血漿、脳脊髄液、脳室液、動脈血、静脈血、または何れかの他の体液、身体ガス、またはそのような計測に有用な他の生物学的試料において計測できる。1つの実施形態において、レベルは健常者対象における値の約2標準偏差内の値にまでモジュレートされる。別の実施形態においては、レベルは健常者対象における値の約1標準偏差内の値にまでモジュレートされる。別の実施形態においては、対象におけるレベルはモジュレート前の対象におけるレベルの少なくとも約10%上方または下方まで変化する。別の実施形態においては、レベルはモジュレート前の対象におけるレベルの少なくとも約20%上方または下方まで変化する。別の実施形態においては、レベルはモジュレート前の対象におけるレベルの少なくとも約30%上方または下方まで変化する。別の実施形態においては、レベルはモジュレート前の対象におけるレベルの少なくとも約40%上方または下方まで変化する。別の実施形態においては、レベルはモジュレート前の対象におけるレベルの少なくとも約50%上方または下方まで変化する。別の実施形態においては、レベルはモジュレート前の対象におけるレベルの少なくとも約75%上方または下方まで変化する。別の実施形態においては、レベルはモジュレート前の対象におけるレベルの少なくとも約100%上方、または少なくとも約90%下方まで変化する。
【0109】
上記した実施形態の何れかを包含する他の実施形態において、ミトコンドリア障害を処置または抑制する、1つ以上のエネルギーバイオマーカーをモジュレートする、1つ以上のエネルギーバイオマーカーを正常化する、または1つ以上のエネルギーバイオマーカーを増強する方法を実施する対象は、激しい、または長期の肉体的活動を行っている対象;慢性のエネルギーの問題を有する対象;慢性の呼吸の問題を有する対象;妊娠中の女性;出産中の女性;新生児;未熟児;極端な環境に曝露された対象;高温環境に曝露された対象;寒冷環境に曝露された対象;平均未満の酸素含有量の環境に曝露された対象;平均を超えた二酸化炭素含有量の環境に曝露された対象;平均を超えた空気汚染の環境に曝露された対象;航空旅客;客室乗務員;高巡航高度にある対象;平均未満の大気の質を有する都市で生活する対象;大気の質が劣化している閉鎖された環境において作業をしている対象;肺疾患を有する対象;平均未満の肺容量を有する対象;肺結核患者;肺癌患者;肺気腫患者;嚢胞性線維症患者;手術から回復中の対象;病気から回復中の対象;高齢者;エネルギーの低下を経験している高齢者;慢性疲労に罹患している対象;慢性疲労症候群に罹患している対象;急性外傷を有している対象;ショック状態の対象;急性期の酸素投与を要する対象;長期の酸素投与を要する対象;およびエネルギーバイオマーカーの増強により利益を被る事ができる急性、慢性、または進行中のエネルギー要求を有する他の対象よりなる群から選択される。
【0110】
別の実施形態においては、本発明は、製薬上許容しうる賦形剤、担体、またはベヒクルと組み合わせた式I、式Ia、式Ib、式Ic、式Idおよび/または式Ieの1つ以上の化合物を包含する。
【0111】
別の実施形態においては、本発明は、ミトコンドリア病の療法における式I、式Ia、式Ib、式Ic、式Idおよび/または式Ieの1つ以上の化合物の使用を包含する。別の実施形態においては、本発明はミトコンドリア病の療法における使用のための医薬の製造における式I、式Ia、式Ib、式Ic、式Idおよび/または式Ieの1つ以上の化合物の使用を包含する。
【0112】
本発明の目的のためには、式I、式Ia、式Ib、式Ic、式Idおよび/または式Ieの化合物は1つ以上の水素原子が水素同位体、例えば重水素で置き換えられているその誘導体を包含する。本発明の目的のためには、式I、式Ia、式Ib、式Ic、式Idおよび/または式Ieの化合物はその結晶形態、および非結晶形態を包含する。
【0113】
上記した化合物および方法の全てに関して、キノン形態は所望によりその還元された(ヒドロキノン)形態において使用することもできる。同様にヒドロキノン形態は所望によりその酸化された(キノン)形態において使用することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0114】
本発明はミトコンドリア障害を処置または抑制する場合に有用な化合物、およびエネルギーバイオマーカーのモジュレーションのためのそのような化合物の使用方法を包含する。ミトコンドリア病の処置または抑制のためのレドックス活性治療薬および本発明の関連する特徴を本明細書においてより詳細に説明する。
【0115】
「対象」、「個体」または「患者」とは、個々の生物、好ましくは脊椎動物、より好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトを意味する。
【0116】
本明細書において考察している化合物および方法を用いて疾患を「処置すること」は、疾患または疾患の1つ以上の症状の何れかを低減または排除するため、または疾患または疾患の1つ以上の症状の進行を遅延させるため、または、疾患または疾患の1つ以上の症状の重症度を低減するために、追加的治療薬を用いるか用いることなく、本明細書において考察した1つ以上の化合物を投与することとして定義される。本明細書において考察している化合物および方法を用いた疾患の「抑制」は、疾患の臨床的顕在化を抑制するため、または疾患の有害症状の顕在化を抑制するために、追加的治療薬を用いるか用いることなく、本明細書において考察した1つ以上の化合物を投与することとして定義される。処置と抑制の間の区別は、処置は疾患の有害症状が対象において顕在化した後に起こるのに対し、抑制は疾患の有害症状が対象において顕在化する前に起こる点である。抑制は部分的、実質的に全て、または全てであってよい。ミトコンドリア障害の大部分が遺伝性であるため、遺伝子スクリーニングを用いることにより疾患の危険性を有する患者を識別できる。次に、何れかの有害症状の発生を抑制するために、疾患の臨床症状を発症する危険性を有する非症候性の患者に本発明の化合物および方法を適用することができる。本発明において考察している化合物の「治療的使用」とは上記定義した疾患を処置または抑制するために本明細書において考察している1つ以上の化合物を使用することとして定義される。化合物の「有効量」とは1つ以上のエネルギーバイオマーカーをモジュレート、正常化、または増強するために十分な化合物の量である(モジュレーション、正常化、および増強は後に定義する)。化合物の「治療有効量」とは、対象に投与された場合に、疾患または疾患の1つ以上の症状の何れかを低減または排除するため、または疾患または疾患の1つ以上の症状の進行を遅延させるため、または、疾患または疾患の1つ以上の症状の重症度を低減するために、または疾患の臨床的顕在化を抑制するため、または疾患の有害症状の顕在化を抑制するために十分な化合物の量である。治療有効量は投与1回以上において与えることができる。化合物の「有効量」とは治療有効量、ならびに対象における1つ以上のエネルギーバイオマーカーをモジュレート、正常化、または増強するために有効な量の両方を包含する。
【0117】
「呼吸鎖障害」とはミトコンドリア呼吸鎖に含有される蛋白における欠損または障害に起因する、ミトコンドリア、細胞、組織、または個体による酸素の低下した利用をもたらす障害を意味する。「呼吸鎖」とはミトコンドリア複合体I、II、III、IV、および/またはVを含む成分(例えば限定しないが蛋白、テトラピロール、およびチトクローム)を意味し;「呼吸鎖」はこれらの複合体の蛋白成分を意味する。
【0118】
エネルギーバイオマーカーの「モジュレーション」またはこれを「モジュレートする」こととは、エネルギーバイオマーカーのレベルを所望の値に向けて変化させること、または、エネルギーバイオマーカーのレベルを所望の方向(例えば上昇または低下)に変化させることを意味する。モジュレーションは例えば限定しないが後述の通り定義される正常化および増強を包含する。
【0119】
エネルギーバイオマーカーの「正常化」またはこれを「正常化する」こととは、エネルギーバイオマーカーのレベルを病的な値から正常な値に変化させることとして定義され、ここでエネルギーバイオマーカーの正常な値とは、1)健常な人間または対象におけるエネルギーバイオマーカーのレベル、または2)人間または対象における望ましくない1つ以上の症状を軽減するエネルギーバイオマーカーのレベルであり得る。即ち、疾患の状態において低値化されているエネルギーバイオマーカーを正常化することは、エネルギーバイオマーカーのレベルを正常な(健常な)値に向けて、または、望ましくない症状を軽減する値に向けて上昇させることを意味し;疾患の状態において高値化されているエネルギーバイオマーカーを正常化することは、エネルギーバイオマーカーのレベルを正常な(健常な)値に向けて、または、望ましくない症状を軽減する値に向けて低下させることを意味する。
【0120】
エネルギーバイオマーカーの「増強」またはこれを「増強する」こととは、1つ以上のエネルギーバイオマーカーのレベルを正常値あるいは増強前の値から離れるように意図的に変化させることにより有益または望ましい作用を達成することを意味する。例えば有意なエネルギーの必要性が対象に生じている状況において、その対象におけるATPのレベルをその対象におけるATPの正常レベルより高いレベルまで上昇させることが望ましい場合がある。増強はまた、ミトコンドリア病のような疾患または病的状態に罹患している対象においては、エネルギーバイオマーカーを正常化することが対象にとって最適な結果を達成しないという点において有益な作用を有する場合もあり;そのような場合は1つ以上のエネルギーバイオマーカーの増強が有益である場合があり、例えば正常値より高値のレベルのATPまたは正常値より低値のレベルの乳酸(ラクテート)がそのような対象にとって有益である場合がある。
【0121】
エネルギーバイオマーカー補酵素Qをモジュレート、正常化、または増強するとは、目的の種において優勢な補酵素Qの変異体をモジュレート、正常化、または増強することを意味する。例えば、ヒトにおいて優勢な補酵素Qは補酵素Q10である。種または対象が有意な量で存在する(即ちモジュレート、正常化、または増強された場合に種または対象に対する有益な作用を有することができる量において存在する)補酵素Qの1つより多い変異体を有する場合、補酵素Qをモジュレート、正常化、または増強することは、種または対象において存在する補酵素Qの任意のまたは全ての変異体をモジュレート、正常化、または増強することを指す。
【0122】
本明細書に記載する化合物は天然に存在する(非塩)化合物として存在することができ、そして使用できるが、説明は本明細書に記載する化合物の全ての塩、ならびに化合物のそのような塩を使用する方法を包含することを意図している。1つの実施形態において、化合物の塩は製薬上許容しうる塩を含む。製薬上許容しうる塩はヒトおよび/または動物に対して薬剤または医薬品として投与することができ、そして、投与時に遊離の化合物(中性の化合物または非塩化合物)の生物学的活性の少なくとも一部を保持している塩である。塩基性化合物の望ましい塩は酸で化合物を処理することにより当該分野で知られた方法により製造してよい。無機酸の例は限定しないが塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、およびリン酸を包含する。有機酸の例は限定しないがギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイヒ酸、マンデル酸、スルホン酸、およびサリチル酸を包含する。アミノ酸との塩基性化合物の塩、例えばアスパルテート塩およびグルタメート塩もまた製造できる。酸性化合物の所望の塩は塩基で化合物を処理することにより当該分野で知られた方法により製造できる。酸化合物の無機塩の例は限定しないがアルカリ金属およびアルカリ土類金属の塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、およびカルシウム塩;アンモニウム塩;およびアルミニウム塩を包含する。酸性化合物の有機塩の例は限定しないがプロカイン、ジベンジルアミン、N−エチルピペリジン、N,N−ジベンジルエチレンジアミンおよびトリエチルアミン塩を包含する。アミノ酸との酸性化合物、例えばリシン塩もまた製造できる。
【0123】
本発明はジアステレオマーおよびエナンチオマーを包含する化合物の全ての立体異性体も包含する。本発明はまた例えば限定しないがラセミ混合物を包含する何れかの比における立体異性体の混合物も包含する。立体化学的な構造が特記されていない限り、構造は記載化合物の全ての可能な立体異性体を包含することを意図している。立体化学が分子の一部分に関して明示されているが、分子の他の部分に関しては明示されていない場合、構造は、立体化学が明示されていない部分に関して全ての可能な立体異性体を包含することを意図している。
【0124】
化合物はプロドラッグ形態として投与できる。プロドラッグとは自身は相対的に不活性であるが、それらが使用される対象内に導入されれば酵素的変換のようなインビボの化学的または生物学的過程により活性化合物に変換される化合物の誘導体である。適当なプロドラッグ製剤は限定しないが、本発明の化合物のペプチドコンジュゲートおよび本発明の化合物のエステルを包含する。適当なプロドラッグに関するより詳細な考察は、H.Bundgaard,Design of Prodrugs,New York:Elsevier,1985;in R.Silverman,The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action,Boston:Elsevier,2004;in R.L.Juliano(編)、Biological Approaches to the Controlled Delivery of Drugs(Annals of the New York Academy of Sciences,v.507),New York:New York Academy of Sciences,1987;およびE.B.Roche(編)、Design of Biopharmaceutical Properties Through Prodrugs and Analogs(フロリダオーランドにおける1976年11月全国ミーティングのMedicinal Chemistry Section,APhA Academy of Pharmaceutical Sciencesがスポンサーとなっているシンポジウム)Washington:The Academy,1977に記載されている。
【0125】
化合物の代謝産物もまた本発明に包含される。
【0126】
「(C−C)−アルキル」とは炭素原子1〜6個の飽和の直鎖、分枝鎖、環状、または直鎖および/または分枝鎖および/または環状の組み合わせの炭化水素の鎖および/または環を包含することを意図している。「(C−C)−アルキル」の例はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、メチル−シクロプロピル、ペンチル基の分子の残りの部分への結合点がペンチルフラグメントの何れかの位置にあり得るペンチル、シクロペンチル、ヘキシル基の分子の残りの部分への結合点がヘキシルフラグメントの何れかの位置にあり得るヘキシル、およびシクロヘキシルである。この用語は1価および2価の炭化水素鎖、即ち炭素原子1〜6個の(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルキレン鎖を包含する。
【0127】
「(C−C)−アルキル」とは、(C−C)−アルキルに関して上記した通り炭素原子1〜6個の飽和の直鎖、分枝鎖、環状、または直鎖および/または分枝鎖および/または環状の組み合わせの炭化水素の鎖および/または環、あるいはアルキル基が非存在である場合を包含することを意図している。この用語は1価および2価の炭化水素鎖、即ち炭素原子1〜6個の(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルキレン鎖を包含する。
【0128】
「ハロゲン」または「ハロ」とはフルオロ(−F)、クロロ(−Cl)、ブロモ(−Br)、およびヨード(−I)を示す。
【0129】
「(C−C)−ハロアルキル」とは少なくとも1つのハロゲン置換基を有する何れかの(C−C)−アルキル置換基を包含し;ハロゲンは(C−C)−アルキル基上の何れかの原子価を介して結合できる。(C−C)−ハロアルキルの1つのサブセットは−CF、−CCl、−CBr、および−CIである。(C−C)−ハロアルキルの別のサブセットは−CHF、−CHCl、−CHBr、および−CHIである。(C−C)−ハロアルキルの別のサブセットは−CHF、−CHCl、−CHBr、および−CHIである。(C−C)−ハロアルキルの別のサブセットは全ての使用可能な原子価がハロゲンにより置き換えられている(C−C)−パーハロアルキルのサブセットである。(C−C)−ハロアルキルの別のサブセットは(C−C)−パーフルオロアルキルのサブセットであり;ここでは全ての使用可能な原子価がフッ素により置き換えられている。(C−C)−ハロアルキルの別のサブセットは(C−C)−パークロロアルキルのサブセットであり;即ち全ての使用可能な原子価が塩素により置き換えられている(C−C)−アルキルである。
【0130】
「アリール」という用語は単一の環(例えばフェニル)または多数の縮合環(例えばナフチルまたはアントリル)を有する炭素原子6〜20個の芳香族環状炭化水素基を包含することを意図している。
【0131】
「フリートライヒ運動失調」という用語は他の運動失調を包含することを意図しており、そして場合により遺伝性運動失調、家族性運動失調、またはフリートライヒ脊癆とも称される。
【0132】
「複素環」、「複素環の」、「ヘテロシクロ」、および「ヘテロシクリル」という用語は環内に1、2、3または4つのヘテロ原子(窒素、酸素、および/または硫黄から選択)を取り込んだ1つ以上の環を有する1価の、飽和、部分不飽和、または不飽和(ヘテロアリール)の炭素環ラジカルを包含することを意図している。複素環の例はモルホリン、ピペリジン、ピペラジン、チアゾリジン、ピラゾリジン、ピラゾリン、イミダゾリジン、ピロリジン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、キヌクリジン、ピリジン、ピラジン、イミダゾリン、チアゾール、イソチアゾール、ピラジン、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラゾール、チオフェン、ピロール、ピラン、フラン、インドール、キノリン、キナゾリン、ベンゾジオキソール、ベンズイミダゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾ−ピリジン、ピラゾロ−ピリジン、ピラゾロ−ピラジン、アクリジン、カルバゾール等を包含する。
【0133】
「パーキンソン病」という用語(「パーキンソン症」および「パーキンソン症候群」とも称する)(PD)はパーキンソン病のみならず薬剤誘導パーキンソン症および脳炎後のパーキンソン症も包含することを意図している。パーキンソン病はまたパラリシス・アジタンスまたは振せん麻痺としても知られている。これは振せん、筋肉硬直および姿勢反射喪失を特徴としている。疾患は通常は緩徐に進行し、症状が無能力をもたらす前に10〜20年間の時間経過がある。パーキンソン病の作用の模倣性のために、メタアンフェタミンまたはMPTPの動物への処置がパーキンソン病に関するモデル作成のために使用されている。これらの動物モデルはパーキンソン病に対する種々の療法の効力を評価するために使用されている。
【0134】
「広汎性発達障害(PDD)」という用語は社会的な交流および伝達の能力を包含する発達のいくつかの領域における重度および広汎性の障害を特徴とする神経学的な生涯を包含することを意図している。PDDに属する5種の障害は自閉症、アスペルガー症候群、小児期崩壊性障害(CDD)、レット障害、およびPDD特定不能型(PDD−NOS)である。これらの障害の各々に関する特定の診断基準はAmerican Psychiatric Association(APA)により配布されているDiagnostic&Statistical Manual of Mental Disorders(DSM−IV−TR)に記載されている。自閉症スペクトラム障害(ASD)は自閉症、アスペルガー症候群、およびPDD−NOSを集合的に分類することにより広範な異種の障害をあらわすために使用されている包括的な用語である。
【0135】
一般的に、本出願において使用される命名法はCambridgeSoft Corp(Cambridge,Mass)によるプログラムのChemOffice.RTM.version11.0suite内の命名パッケージの支援により作成された。
【0136】
本発明の化合物および方法による処置または抑制に適する疾患
種々の疾患がミトコンドリア障害および損傷したエネルギープロセシングにより誘発または悪化されると考えられており、そして、本発明の化合物および方法を用いながら処置または抑制できる。そのような疾患は例えば限定しないが、遺伝性のミトコンドリア病、例えば赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌス癲癇(MERRF)、ミトコンドリアミオパシー、脳症、ラクトアシドーシス、卒中(MELAS)、レーバー遺伝性視神経障害(LHON、別名レーバー病、レーバー視神経萎縮(LOA)、またはレーバー視神経神経障害(LON))、リー病またはリー症候群、キーンズ−セイアー症候群(KSS)、フリートライヒ運動失調(FA)、他のミオパシー(例えば心筋症および脳ミオパシー)、および尿細管性アシドーシス;神経変性疾患、例えばパーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS、別名ルーゲーリック病)、運動ニューロン疾患;他の神経学的疾患、例えば癲癇;遺伝病、例えばハンチントン病(これは神経学的疾患でもある);気分障害、例えば分裂病および双極性障害;および特定の加齢関連疾患、特にCoQ10が処置のために提案されている疾患、例えば黄斑変性、糖尿病、および癌を包含する。ミトコンドリア機能不全はまた癲癇発作および虚血に伴うもののような興奮毒性ニューロン傷害に関与を示唆されている。ミトコンドリア機能不全はまた、自閉症症候群障害(ASD)、アスペルガー症候群、小児期崩壊性障害(CDD)、レット障害、およびPDD特定不能型(PDD−NOS)のような広汎性発達障害にも関与が示唆されている。
【0137】
ミトコンドリア機能不全および治療の効果の臨床的評価
数種の容易に計測可能な臨床マーカーがミトコンドリア障害を有する患者の代謝状態を評価するために使用されている。これらのマーカーはまた、マーカーのレベルが病的値から健常値に移動することから、所定の療法の効力のインジケーターとして使用することができる。これらの臨床マーカーは、例えば限定しないが、上記考察した1つ以上のエネルギーバイオマーカー、例えば全血、血漿、脳脊髄液、または脳室液の何れかにおける乳酸(ラクテート)レベル、全血、血漿、脳脊髄液、または脳室液の何れかにおけるピルビン酸(ピルベート)レベル、全血、血漿、脳脊髄液、または脳室液の何れかにおけるラクテート/ピルベート比、ホスホクレアチンレベル、NADH(NADH+H)またはNADPH(NADPH+H)レベル;NADまたはNADPレベル;ATPレベル;嫌気的閾値;還元型補酵素Q(CoQred)レベル;酸化型補酵素Q(CoQox)レベル;総補酵素Q(CoQtot)レベル;酸化型チトクロームCレベル;還元型チトクロームCレベル;酸化型チトクロームC/還元型チトクロームC比;アセトアセテートレベル;β−ヒドロキシブチレートレベル;アセトアセテート/ベータ−ヒドロキシブチレート比;8−ヒドロキシ−2’−デオキシグアノシン(8−OHdG)レベル;活性酸素種のレベル;および酸素消費(VO2);二酸化炭素排出レベル(VCO2);および呼吸商(VCO2/VO2)を包含する。これらの臨床マーカーの数種は運動生理学研究室において日常的に計測されており、そして対象の代謝状態の好都合な評価を可能にする。本発明の1つの実施形態において、ミトコンドリア病、例えばフリートライヒ運動失調、レーバー遺伝性視神経障害、MELAS、またはKSSに罹患している患者におけるエネルギーバイオマーカーの1つ以上のレベルは健常対象における平均的レベルの2標準偏差内にまで改善される。本発明の別の実施形態においては、ミトコンドリア病、例えばフリートライヒ運動失調、レーバー遺伝性視神経障害、MELAS、またはKSSに罹患している患者におけるこれらのエネルギーバイオマーカーの1つ以上のレベルは健常対象における平均的レベルの1標準偏差内にまで改善される。運動不耐もまた所定の療法の効力のインジケーターとして使用することができ、その場合、運動耐容性の向上(即ち運動不耐の低下)は所定の療法の効力を示している。
【0138】
数種の代謝バイオマーカーが既にCoQ10の効力を評価するために使用されており、そしてこれらの代謝バイオマーカーは本発明の方法における使用のためのエネルギーバイオマーカーとしてモニタリングすることができる。グルコースの嫌気的代謝の産物であるピルベートは嫌気的セッティングにおける乳酸への還元により、あるいは酸化的代謝により、除去され、これは機能的ミトコンドリア呼吸鎖に依存している。呼吸鎖の機能不全は循環系からのラクテートおよびピルベートの不十分な除去をもたらす場合があり、そして上昇したラクテート/ピルベート比がミトコンドリア細胞障害において観察されている(Scriver CR,The metabolic and molecular bases of inherited disease,7版、New York:McGraw−Hill,Health Professions Division,1995;およびMunnich等、J.Inherit.Metab.Dis.15(4):448−55(1992)参照)。従って血中ラクテート/ピルベート比(Chariot等、Arch.Pathol.Lab.Med.118(7):695−7(1994))はミトコンドリア細胞障害(再度Scriver CR,The metabolic and molecular bases of inherited disease,7版、New York:McGraw−Hill,Health Professions Division,1995;およびMunnich等、J.Inherit.Metab.Dis.15(4):448−55(1992)参照)および毒性ミトコンドリアミオパシー(Chariot等、Arthritis Rheum.37(4):583−6(1994))の検出のための非侵襲的試験として広範に使用されている。肝臓ミトコンドリアの酸化還元状態の変化は動脈のケトン体比(アセトアセテート/3−ヒドロキシブチレート:AKBR)を計測することにより調べることができる(Ueda等、J.Cardiol.29(2):95−102(1997))。8−ヒドロキシ−2’−デオキシグアノシン(8−OHdG)の尿中排出は臨床および職業的セッティングの両方におけるROS誘導DNA損傷の修復の範囲を評価するためのバイオマーカーとして頻繁に使用されている(Erhola等、FEBS Lett.409(2):287−91(1997);Honda等、Leuk.Res.24(6):461−8(2000);Pilger等、Free Radic.Res.35(3):273−80(2001);Kim等、Environ Health Perspect 112(6):666−71(2004))。
【0139】
磁気共鳴スペクトル分析(MRS)はプロトンMRS(H−MRS)を用いながら脳脊髄液(CSF)および皮質白質のラクテートの上昇を明らかにすることによりミトコンドリア細胞障害の診断において使用されている(Kaufmann等、Neurology62(8):1297−302(2004))。リンMRS(31P−MRS)は皮質ホスホクレアチニン(PCr)のレベル(Matthews等、Ann.Neurol.29(4):435−8(1991))および骨格筋における運動後のPCr回復動態の遅延(Matthews等、Ann.Neurol.29(4):435−8(1991);Barbiroli等、J.Neurol.242(7):472−7(1995);Fabrizi等、J.Neurol.Sci.137(1):20−7(1996))を明らかにするために使用されている。低値の骨格筋PCrもまた直接の生物化学的計測によりミトコンドリア細胞障害を有する患者において確認されている。
【0140】
運動試験はミトコンドリアミオパシーにおける評価およびスクリーニングのツールとして特に役立つものである。ミトコンドリアミオパシーの決定的特徴の1つは最大全血中酸素消費量(VO2max)の低減である(Taivassalo等、Brain126(Pt2):413−23(2003))。VO2maxを心拍出量(Qc)および末梢酸素除去(動脈−静脈総酸素含有量)の差により測定する場合、一部のミトコンドリア細胞障害は送達が改変されている場合がある心臓機能に影響するが;大部分のミトコンドリアミオパシーは末梢酸素除去(A−VO2差)の特徴的欠損および増強された酸素送達(運動亢進性循環)を示す(Taivassalo等、Brain126(Pt2):413−23(2003))。このことは直接のAVバランスの計測による静脈血の運動欠如誘導脱酸素により(Taivassalo等、Ann.Neurol.51(1):38−44(2002))、そして非侵襲的には近赤外線スペクトル分析により(Lynch等、Muscle Nerve25(5):664−73(2002);van Beekvelt等、Ann.Neurol.46(4):667−70(1999))明らかにできる。
【0141】
これらのエネルギーバイオマーカーの数種を以下により詳細に考察する。本明細書においては特定のエネルギーバイオマーカーを考察し、列挙するが、本明細書はこれらの列挙したエネルギーバイオマーカーのみのモジュレーション、正常化または増強に限定されないことを強調する。
【0142】
乳酸(ラクテート)レベル:ミトコンドリア機能不全は典型的には乳酸の異常なレベルをもたらすが、その理由はピルベートレベルが上昇し、そしてピルベートがラクテートに変換されることにより解糖の能力が維持されるためである。ミトコンドリア機能不全はまたNADH+H、NADPH+H、NAD、またはNADPの異常なレベルをもたらす場合もあるが、その理由は還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドが呼吸鎖により効率的に処理されないためである。ラクテートレベルは全血、血漿、または脳脊髄液のような適切な体液の試料を採取することにより計測できる。磁気共鳴を使用することにより、ラクテートレベルは脳のような所望の身体の実質的に如何なる容量においても計測できる。
【0143】
MELAS患者における磁気共鳴を用いた脳乳酸アシドーシスの計測はKaufmann等、Neurology62(8):1297(2004)に記載されている。脳の側脳室における乳酸のレベルの値はMELASをもたらす2つの突然変異、A3243GおよびA8344Gに関して示される。全血、血漿、および脳脊髄液中のラクテートのレベルは市販の装置、例えばYSI2300STATPlus Glucose&Lactate Analyzer(YSI Life Sciences,Ohio)により計測できる。
【0144】
NAD、NADP、NADHおよびNADPHレベル:NAD、NADP、NADH(NADH+H)またはNADPH(NADPH+H)の計測は種々の蛍光、酵素的、または電気化学的な手法、例えば米国特許2005/0067303に記載されている電気化学的試験により計測できる。
【0145】
酸素消費(vO2またはVO2)、二酸化炭素排出(vCO2またはVCO2)、および呼吸商(VCO2/VO2):vO2は通常は休止期(休止期vO2)または最大運動強度(vO2max)の何れかで計測される。最適には両方の値を計測する。しかしながら重度に障害を有する患者に関してはvO2maxの計測は現実的ではない場合がある。vO2の両方の形態の計測は種々のベンダー、例えばKorr Medical Technologies,Inc.(Salt Lake City,Utah)から入手できる標準的装置を用いながら容易に達成される。VCO2もまた容易に計測でき、そして同じ条件下のVCO2のVO2に対する比(VCO2/VO2、休止期または最大運動強度時)は呼吸商(RQ)を与える。
【0146】
酸化型チトクロームC、還元型チトクロームC,および酸化型チトクロームCの還元型チトクロームCに対する比:チトクロームCパラメーター、例えば酸化型チトクロームCレベル(CytCox)、還元型チトクロームCレベル(CytCred)、比としての酸化型チトクロームC/還元型チトクロームC比(CytCox)/(CytCred)はインビボの近赤外スペクトル分析により計測できる。例えばRolfe,P.,“In vivo near−infrared spectroscopy”Annu.Rev.Biomed.Eng.2:715−54(2000)and Strangman等、“Non−invasive neuroimaging using near−infrared light” Biol.Psychiatry 52:679−93(2002)を参照できる。
【0147】
運動耐容性/運動不耐:運動不耐は「呼吸困難または疲労の症状に起因する大型骨格筋の動的運動が関与する活動を実施する能力の低下」と定義される(Pina等、Circulation107:1210(2003))。運動不耐は頻繁には筋肉組織の崩壊とその後の尿中筋肉ミオグロビン排出によるミオグロビン尿症を伴う。運動不耐の種々の尺度が使用されており、例えば極度疲労前のトレッドミル上の歩行またはランニングの経過時間、極度疲労前の運動用自転車(固定自転車)での経過時間等が挙げられる。本発明の化合物または方法による治療は運動耐容性における約10%以上の改善(例えば極度疲労までの時間の約10%以上の増大、例えば10分から11分へ)、運動耐容性における約20%以上の改善、運動耐容性における約30%以上の改善、運動耐容性における約40%以上の改善、運動耐容性における約50%以上の改善、運動耐容性における約75%以上の改善、運動耐容性における約100%以上の改善をもたらすことができる。厳密には運動耐容性は本発明の目的のためにはエネルギーバイオマーカーではないが、エネルギーバイオマーカーのモジュレーション、正常化、または増強は運動耐容性のモジュレーション、正常化、または増強を包含する。
【0148】
同様に、ピルビン酸(ピルベート)レベル、ラクテート/ピルベート比、ATPレベル、嫌気的閾値、還元型補酵素Q(CoQred)レベル、酸化型補酵素Q(CoQox)レベル、総補酵素Q(CoQtot)レベル、酸化型チトクロームCレベル、還元型チトクロームCレベル、酸化型チトクロームC/還元型チトクロームC比、アセトアセテートレベル、β−ヒドロキシブチレートレベル、アセトアセテート/β−ヒドロキシブチレート比、8−ヒドロキシ−2’−デオキシグアノシン(8−OHdG)レベル、および反応製酸素物質種のレベルの正常および異常な値に関する試験が当該分野で知られており、そして本発明の化合物および方法の効力を評価するために使用できる。(本発明の目的のためにはエネルギーバイオマーカーのモジュレーション、正常化、または増強は嫌気的閾値のモジュレーション、正常化、または増強を包含する。)
以下の表1は種々の機能不全が生化学的およびエネルギーバイオマーカーに対して有する場合がある作用を説明している。更に所定の機能不全を典型的に伴っている身体的作用(例えば疾患の症状または機能不全の他の作用)も示している。当然ながら、表中に列挙しているエネルギーバイオマーカーの何れも、本明細書の他所に挙げているエネルギーバイオマーカーと同様、本発明の化合物および方法によりモジュレート、正常化、または増強することができる。RQ=呼吸商;BMR=基礎代謝率;HR(CO)=心拍数(心拍出量);T=体温(好ましくはコア温度として計測);AT=嫌気的閾値;pH=血液pH(静脈および/または動脈)。
【0149】
【表1】

本発明の方法によるミトコンドリア病に罹患している対象の治療は例えば障害のそれ以上の進行を停止するために対象における症状の低減または軽減の誘導をもたらす場合がある。
【0150】
ミトコンドリア病の部分的または完全な抑制は、対象がさもなくば経験することになる1つ以上の症状の重症度の低下をもたらすことができる。例えば、MELASの抑制は罹患している卒中様または癲癇のエピソードの回数の低減をもたらす場合がある。
【0151】
本明細書に記載したエネルギーバイオマーカーの何れかの1つまたは何れかの組み合わせは処置または抑制の療法の有効性の尺度となる好都合な計測可能な指標を与える。更にまた、他のエネルギーバイオマーカーも当該分野で知られており、そして処置または抑制の療法の効力を評価するためにモニタリングできる。
【0152】
エネルギーバイオマーカーのモジュレーションのための化合物の使用
ミトコンドリア病の処置または抑制の状態を試験するためにエネルギーバイオマーカーをモニタリングすることに加えて、本発明の化合物は1つ以上のエネルギーバイオマーカーをモジュレートするために対象または患者において使用できる。エネルギーバイオマーカーのモジュレーションは対象におけるエネルギーバイオマーカーを正常化するため、または対象におけるエネルギーバイオマーカーを増強するために実施できる。
【0153】
1つ以上のエネルギーバイオマーカーの正常化は、そのようなエネルギーバイオマーカーの1つ以上のレベルを、自身の1つ以上のエネルギーバイオマーカーのレベルが正常レベル(即ち健常対象におけるレベル)からの病的相違を示している対象において、正常または正常に近いレベルにまで回復させること、または、対象における病的症状を軽減するために1つ以上のエネルギーバイオマーカーのレベルを変えることとして定義される。エネルギーバイオマーカーの性質に応じて、そのようなレベルは正常な値より高値または低値の何れかの計測値を示してよい。例えば病的なラクテートレベルは典型的には正常な(即ち健常な)人間におけるラクテートレベルよりも高値であり、そしてレベルの低下が望ましい場合がある。病的なATPレベルは典型的には正常な(即ち健常な)人間におけるATPレベルよりも低値であり、そしてATPレベルの上昇が望ましい場合がある。従って、エネルギーバイオマーカーの正常化では、対象において正常から概ね少なくとも2標準偏差以内に、より好ましくは対象において正常から概ね少なくとも1標準偏差内に、正常から概ね少なくとも1/2標準偏差内に、または正常から概ね少なくとも1/4標準偏差内に、エネルギーバイオマーカーのレベルを回復させる。
【0154】
1つ以上のエネルギーバイオマーカーのレベルの増強は対象における1つ以上のエネルギーバイオマーカーの現状レベルを対象のために有益または望ましい作用をもたらすレベルまで変化させることとして定義される。例えば激しい労作または長期間の厳しい身体活動、例えば登山を行っている人間は上昇したATPレベルまたは低下したラクテートレベルから利益をこうむる場合がある。上記した通り、エネルギーバイオマーカーの正常化はミトコンドリア病を有する対象のための最適な状態を達成しなくてもよく、そしてそのような対象はエネルギーバイオマーカーの増強から利益をこうむる場合もある。1つ以上のエネルギーバイオマーカーの増強されたレベルから利益をこうむる対象の例は、限定しないが、激しい、または長期の身体活動を行っている対象、慢性のエネルギーの問題を有する対象、または慢性の呼吸の問題を有する対象を包含する。そのような対象は例えば限定しないが、妊娠中の女性、特に出産中の女性;新生児、特に未熟児;極端な環境、例えば高温の環境(華氏約85〜86度、または摂氏約30度を日常的に超えている温度に毎日約4時間以上)、冷涼な環境(華氏約32度、または摂氏約0度を日常的に下回る温度に毎日約4時間以上)、または平均未満の酸素含有量、平均を超えた二酸化炭素含有量、平均を超えた空気汚染の環境に曝露された対象(航空旅客;客室乗務員;高巡航高度にある対象;平均未満の大気の質を有する都市で生活する対象;大気の質が劣化している閉鎖された環境において作業をしている対象);肺疾患を有する対象、または平均未満の肺容量を有する対象、例えば肺結核患者、肺癌患者、肺気腫患者、および嚢胞性線維症患者;手術または病気から回復中の対象;高齢者、例えばエネルギーの低下を経験している高齢者;慢性疲労、例えば慢性疲労症候群に罹患している対象;急性外傷を有している対象;ショック状態の対象;急性期の酸素投与を要する対象;長期の酸素投与を要する対象;またはエネルギーバイオマーカーの増強により利益を被る事ができる急性、慢性、または進行中のエネルギー要求を有する他の対象を包含する。
【0155】
従って、1つ以上のエネルギーバイオマーカーのレベルの上昇が対象にとって有益である場合、1つ以上のエネルギーバイオマーカーの増強では、正常値より概ね少なくとも1/4標準偏差高値にまで、正常値より概ね少なくとも1/2標準偏差高値にまで、正常値より概ね少なくとも1標準偏差高値にまで、または正常値より概ね少なくとも2標準偏差高値にまで、該当するエネルギーバイオマーカーのレベルの上昇を行う場合がある。あるいは、1つ以上のエネルギーバイオマーカーのレベルは増強前の該当する1つ以上のエネルギーバイオマーカーの対象レベルより概ね少なくとも10%高値まで、増強前の該当する1つ以上のエネルギーバイオマーカーの対象レベルより概ね少なくとも20%高値まで、増強前の該当する1つ以上のエネルギーバイオマーカーの対象レベルより概ね少なくとも30%高値まで、増強前の該当する1つ以上のエネルギーバイオマーカーの対象レベルより概ね少なくとも40%高値まで、増強前の該当する1つ以上のエネルギーバイオマーカーの対象レベルより概ね少なくとも50%高値まで、増強前の該当する1つ以上のエネルギーバイオマーカーの対象レベルより概ね少なくとも75%高値まで、増強前の該当する1つ以上のエネルギーバイオマーカーの対象レベルより概ね少なくとも100%高値まで、上昇させることができる。
【0156】
1つ以上のエネルギーバイオマーカーのレベルの低下が1つ以上のエネルギーバイオマーカーを増強するために望まれる場合は、1つ以上のエネルギーバイオマーカーのレベルは対象における正常値の概ね少なくとも1/4標準偏差まで低下、対象における正常値の概ね少なくとも1/2標準偏差まで低下、対象における正常値の概ね少なくとも1標準偏差まで低下、または対象における正常値の概ね少なくとも2標準偏差まで低下させることができる。あるいは、1つ以上のエネルギーバイオマーカーのレベルは増強前の該当する1つ以上のエネルギーバイオマーカーの対象レベルより概ね少なくとも10%低値まで、増強前の該当する1つ以上のエネルギーバイオマーカーの対象レベルより概ね少なくとも20%低値まで、増強前の該当する1つ以上のエネルギーバイオマーカーの対象レベルより概ね少なくとも30%低値まで、増強前の該当する1つ以上のエネルギーバイオマーカーの対象レベルより概ね少なくとも40%低値まで、増強前の該当する1つ以上のエネルギーバイオマーカーの対象レベルより概ね少なくとも50%低値まで、増強前の該当する1つ以上のエネルギーバイオマーカーの対象レベルより概ね少なくとも75%低値まで、増強前の該当する1つ以上のエネルギーバイオマーカーの対象レベルより概ね少なくとも90%低値まで、低下させることができる。
【0157】
研究用途、実験系および検定における化合物の使用
本発明の化合物はまた研究用途において使用できる。それらはインビトロ、インビボ、またはエクスビボの実験において、実験系における1つ以上のエネルギーバイオマーカーをモジュレートするために使用できる。そのような実験系は細胞試料、組織試料、細胞成分または細胞成分の混合物、部分的臓器、全臓器、または生物であり得る。式I、式Ia、式Ib、式Ic、式Idおよび/または式Ieの化合物の何れか1つ以上を実験系または研究用途において使用できる。そのような研究用途は限定しないが、試薬としての使用、生化学的経路の解明、または本発明の1つ以上の化合物の存在下/非存在下における実験系の代謝状態に対する他剤の作用の評価を包含することができる。
【0158】
あるいは、本発明の化合物は生化学的試験または検定において使用できる。そのような試験は対象に由来する組織または細胞の試料と共に本発明の1つ以上の化合物をインキュベートすることにより、該1つ以上の化合物の投与に対する対象の潜在的応答(または対象の特定のサブセットの応答)を評価すること、または特定の対象または対象のサブセットにおける最適な作用を本発明のどの化合物がもたらすかを調べることを包含し得る。1つのそのような試験または検定では1)1つ以上のエネルギーバイオマーカーのモジュレーションを検定できる対象に由来する細胞試料または組織試料を入手すること;2)細胞試料または組織試料に本発明の1つ以上の化合物を投与すること;および3)1つ以上の化合物の投与の前のエネルギーバイオマーカーの状態と比較した場合の1つ以上の化合物の投与後の1つ以上のエネルギーバイオマーカーのモジュレーションの量を測定すること、を行う。別のそのような試験または検定では1)1つ以上のエネルギーバイオマーカーのモジュレーションを検定できる対象に由来する細胞試料または組織試料を入手すること;2)細胞試料または組織試料に本発明の少なくとも2つの化合物を投与すること;3)少なくとも化合物の投与の前のエネルギーバイオマーカーの状態と比較した場合の少なくとも2つの化合物の投与後の1つ以上のエネルギーバイオマーカーのモジュレーションの量を測定すること、および4)工程3)において測定したモジュレーションの量に基づいて、処置、抑制、またはモジュレーションにおける使用のための化合物を選択することを行う。
【0159】
医薬品製剤
本明細書に記載した化合物は製薬上許容しうる賦形剤、製薬上許容しうる担体、および製薬上許容しうるベヒクルのような添加剤と共に製剤することにより医薬組成物として製剤できる。適当な製薬上許容しうる賦形剤、担体およびベヒクルは処理加工剤および薬物送達調節剤および増強剤、例えばリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、単糖類、2糖類、澱粉、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロース、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ポリビニルピロリドン、低融点ワックス、イオン交換樹脂等、ならびにこれらの何れか2つ以上の組み合わせを包含する。他の適当な製薬上許容しうる賦形剤は参照により本明細書に組み込まれる“Remington’s Pharmaceutical Sciences”Mack Pub.Co.,New Jersey(1991)およびRemington:The Science and Practice of Pharmacy”Lippincott Williams&Wilkins,Philadelphia第20版(2003)および第21版(2005)に記載されている。
【0160】
医薬組成物は単位用量製剤を含むことができ、その場合、単位用量は、処置または抑制性の作用を有するために十分な用量、またはエネルギーバイオマーカーをモジュレート、正常化、または増強するために有効な量である。単位用量は、処置または抑制性の作用を有する単回用量、またはエネルギーバイオマーカーをモジュレート、正常化、または増強するために有効な量として十分であってよい。あるいは、単位用量は、障害の処置または抑制の過程において周期的に投与されるか、またはエネルギーバイオマーカーをモジュレート、正常化、または増強するための用量であってよい。
【0161】
本発明の化合物を含有する医薬組成物は投与の意図される方法に適する何れかの形態、例えば溶液、懸濁液、または乳液であってよい。液体担体は典型的には溶液、懸濁液、または乳液を製造する場合に使用される。本発明の実施における使用のために意図される液体担体は例えば水、食塩水、製薬上許容しうる有機溶媒、製薬上許容しうる油脂、または脂肪等、ならびにこれらの2つ以上の混合物を包含する。液体担体は他の適当な製薬上許容しうる添加剤、例えば可溶化剤、乳化剤、栄養物、緩衝剤、保存料、懸濁剤、濃厚化剤、粘度調節剤、安定化剤等を含有してよい。適当な有機溶媒は1価のアルコール、例えばエタノール、および多価のアルコール、例えばグリコールを包含する。適当な油脂は例えば大豆油、ココナツ油、オリーブ油、サフラワー油、綿実油等を包含する。非経腸投与のためには、担体はまた油性のエステル、例えばオレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等であり得る。本発明の組成物はまた微粒子、マイクロカプセル、リポソームカプセル等、ならびにこれらの何れか2つ以上の組み合わせの形態であってよい。
【0162】
時限放出または制御放出の送達系、例えばLee,“Diffusion−Controlled Matrix Systems”,pp.155−198およびRon and Langer,“Erodible Systems”pp.199−224、“Treatise on Controlled Drug Delivery”,A.Kydonieus編、Marcel Dekker,Inc.,New York1992に記載されているもののような拡散制御マトリックス系または腐食性の系を使用してよい。マトリックスは例えばインサイチュおよびインビボにおいて自動的に、例えば加水分解または酵素分解により、例えばプロテアーゼにより分解され得る、生体分解性の物質であってよい。送達系は、例えばヒドロゲルの形態における、例えば天然に存在する、または合成の重合体または共重合体であってよい。切断可能な連結部を有する例示される重合体はポリエステル、ポリオルトエステル、ポリ無水物、多糖類、ポリ(ホスホエステル)、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(イミドカーボネート)およびポリ(ホスファゼン)を包含する。
【0163】
本発明の化合物は所望により従来の非毒性の製薬上許容しうる担体、アジュバント、およびベヒクルを含有する単位剤型において経腸的に、経口的に、非経腸的に、舌下において、吸入により(例えばミストまたはスプレーとして)、直腸内に、または局所的に投与してよい。例えば、適当な投与様式には、経口、皮下、経皮、経粘膜、イオントフォレシス、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、経鼻(鼻粘膜経由)、硬膜、直腸、胃腸等に、そして特定または罹患した臓器または組織に直接行うものである。中枢神経系への送達のためには、脊髄および硬膜外の投与、または脳室への投与を使用できる。局所投与はまた経皮パッチまたはイオントフォレシス装置のような経皮投与を用いることも包含してよい。非経腸とは本明細書において使用する場合、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内の注射、または輸液手法を包含する。化合物は所望の投与経路のために適切である製薬上許容しうる担体、アジュバント、およびベヒクルと混合する。経口投与が好ましい投与経路であり、そして経口投与に適する製剤が好ましい製剤である。本発明における使用に関して記載した化合物は、固体形態において、液体形態において、エアロゾル形態において、または、錠剤、丸薬、粉末混合物、カプセル、顆粒、注射剤、クリーム、溶液、座剤、浣腸、結腸灌流剤、乳液、分散体、食品プレミックス、および他の適当な形態において投与できる。化合物はまたリポソーム製剤において投与できる。化合物はまた、プロドラッグとして投与でき、その場合、プロドラッグは処置対象において、治療上有効な形態への変換を起こす。その他の投与方法は当業者の知る通りである。
【0164】
注射用調製品、例えば滅菌された注射用の水性または油性の懸濁液は、適当な分散剤または水和剤および懸濁剤を用いながら当該分野で知られる通り製剤してよい。滅菌された注射用の調製品はまた例えばプロピレングリコール中の溶液のような、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌された注射用の溶液または懸濁液であってもよい。使用してよい許容できるベヒクルおよび溶媒に属するものは、水、リンゲル溶液、および等張性の塩化ナトリウム溶液である。更にまた、滅菌された固定油が溶媒または懸濁媒体として従来より使用されている。この目的のためには合成のモノまたはジグリセリドを包含する何れかの銘柄の固定油を使用してよい。更にまた、オレイン酸のような脂肪酸も注射剤の製造において使用される。
【0165】
経口投与用の固体剤型はカプセル、錠剤、丸薬、粉末、および顆粒を包含してよい。そのような固体剤型において、活性化合物はスクロース、ラクトース、または澱粉のような少なくとも1つの不活性希釈剤に添加混合してよい。そのような剤型はまた、不活性希釈剤以外の追加的な物質、例えばステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤も含んでよい。カプセル、錠剤、および丸薬の場合、剤型はまた緩衝剤を含んでよい。錠剤および丸薬は更に腸溶性コーティングを用いて製造できる。
【0166】
経口投与用の液体剤型は水のような当該分野で一般的に使用されている不活性希釈剤を含有する製薬上許容しうる乳液、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルを包含してよい。そのような組成物はまた水和剤、乳化懸濁剤、シクロデキストリン、および甘味剤、フレーバー剤および芳香剤のような補助剤を含んでよい。
【0167】
本発明の化合物はまたリポソームの形態で投与できる。当該分野で知られる通り、リポソームは一般的にはリン脂質または他の脂質物質から誘導される。リポソームは水性媒体中に分散された単層または多層の水和した液晶により形成される。何れかの非毒性の生理学的に許容され、そして代謝可能な、リポソームを形成することができる脂質を使用できる。リポソーム形態の本発明の組成物は、本発明の化合物のほかに、安定化剤、保存料、賦形剤などを含有できる。好ましい脂質は天然および合成の両方のリン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)である。リポソームを形成する方法は当該分野で知られている。例えばPrescott編Methods in Cell Biology,第XIV巻,Academic Press,New York,N.W.p.33〜(1976)に記載されている。
【0168】
本発明はまたミトコンドリア病を処置または抑制する場合に有用な物質を含有する製造物品およびキットを提供する。本発明はまた式I、式Ia、式Ib、式Ic、式Idおよび/または式Ieの化合物の何れか1つ以上を含むキットを提供する。一部の実施形態においては、本発明のキットは上記した容器を含む。
【0169】
他の特徴において、キットは例えばミトコンドリア障害を有する個体を処置するため、または個体におけるミトコンドリア障害を抑制するために、本明細書に記載した方法の何れかのために使用してよい。
【0170】
単回投与形態を製造するために担体物質と組み合わせてよい活性成分の量は活性成分を投与する宿主および特定の投与様式に応じて変動することになる。しかしながら、何れかの特定の患者のための特定の用量レベルは使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、体表面積、ボディマスインデックス(BMI)、全身健康状態、性別、食餌、投与時、投与経路、排出率、薬剤の組み合わせ、および治療を受けている特定の疾患の型、進行度、および重症度を包含する種々の要因に応じたものとなる。血液、組織、臓器、または身体の他の標的領域における薬剤の所定の終濃度が得られるように選択された医薬品の単位用量を通常は作成して投与する。所定の状況に対する治療有効量または有効量は、類型的な実験により容易に決定することができ、そして通常の医師の技術と判断の範囲内にある。
【0171】
使用できる用量の例は約0.1mg/kg〜約300mg/kg体重の用量範囲内、または約1.0mg/kg〜約100mg/kg体重以内、または約1.0mg/kg〜約50mg/kg体重以内、または約1.0mg/kg〜約30mg/kg体重以内、または約1.0mg/kg〜約10mg/kg体重以内、または約10mg/kg〜約100mg/kg体重以内、または約50mg/kg〜約150mg/kg体重以内、または約100mg/kg〜約200mg/kg体重以内、または約150mg/kg〜約250mg/kg体重以内、または約200mg/kg〜約300mg/kg体重以内、または約250mg/kg〜約300mg/kg体重以内の有効量である。本発明の化合物は単回一日当たり用量において投与してよく、あるいは、総一日当たり用量を一日2回、3回または4回の分割用量において投与してよい。
【0172】
本発明の化合物は唯一の活性な薬剤として投与することができるが、それらはまた障害の処置または抑制において使用される他の1つ以上の薬剤と組み合わせて使用することもできる。ミトコンドリア病の処置または抑制のために本発明の化合物と組み合わせて使用される代表的な剤は、例えば限定しないが、補酵素Q、ビタミンE、イデベノン、MitoQ、ビタミン類および抗酸化剤化合物を包含する。
【0173】
追加的な活性剤を本発明の化合物と組み合わせて使用する場合、追加的な活性剤は一般的には参照により本明細書に組み込まれるPhysicians’Desk Reference(PDR)第53版(1999)に記載のような治療的な量、あるいは当業者の知る治療上有用な量において使用してよい。
【0174】
本発明の化合物および他の治療活性剤は推奨される最大臨床用量またはより低値の用量において投与できる。本発明の組成物中の活性化合物の用量レベルは投与経路、疾患の重症度および患者の応答性に応じて所望の治療応答を得るために変動してよい。他の治療薬と組み合わせて投与する場合、治療薬は同時か異なる時に与えられる別個の組成物として製剤することができ、あるいは、治療薬は単一の組成物中で与えることができる。
【0175】
本発明は以下の非限定的な実施例により更に理解されることになる。
【実施例】
【0176】
化合物の合成
(実施例1)
2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチル−6−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン
工程1:(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)ビス(オキシ)ビス(メチレン)ジベンゼン
23℃のジメトキシエタン50mL中の2,6−ジメチルヒドロキノン(5g、36.2ミリモル)の攪拌溶液に、75分間かけてジメトキシエタン40mL中の元素体臭素(1.83mL、35.8ミリモル)の溶液を滴下した。更に15分の後、過剰の臭素をチオ硫酸ナトリウムの1M水溶液(25mL)でクエンチングし、得られた白色の乳液を酢酸エチル150mLおよび1M水性重炭酸ナトリウム100mL中に希釈した。有機層を1回塩水で洗浄し、そして無水硫酸ナトリウム上に乾燥した。溶液を濾過し、真空下に濃縮し、茶色の固体を得た。残留物をジメチルホルムミド(60mL)中に溶解し、得られた溶液を5分間アルゴンで脱気し、その後炭酸カリウム(14.5g、105ミリモル)および臭化ベンジル(9.3mL、78ミリモル)を急速に添加した。得られた懸濁液を65℃で18時間攪拌し、その後これをメチルt−ブチルエステル(MTBE)400mL、ヘキサン200mLおよび塩水200mL中に希釈した。得られた乳液は1M水性クエン酸でpH4まで酸性化すると分解した。有機層を取り出し、2回2.5M水性アンモニア、そして1回塩水(各々50mL)で洗浄した。残存する有機性物質を無水硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、真空下に濃縮した。シリカゲルプラグ上の濾過(7%EtOAc/ヘキサン)により黄色固体として得られた2.8gをヘキサン25mL中で消化し、得られた黄色固体2.4gを10%水性エタノール中で消化することにより、ベンジル化された化合物(2,6−ジメチルー1,4−フェニレン)ビス(オキシ)ビス(メチレン)ジベンゼン7.7gを得た。
【0177】
【化8】

工程2:2,2,5,7−テトラメチル−8−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)クロマン−6−オール
20mL容のシンチレーションバイアルに、以下の固体、即ち:2,6−ジメチルー1,4−フェニレン)ビス(オキシ)ビス(メチレン)ジベンゼン(400mg、1.01ミリモル)、4−トリフルオロメチルフェニルボロン酸(229mg、1.21ミリモル)、ジクロロ1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)ジクロロメタン付加物(22mg、30ミリモル)、およびフッ化セシウム(536mg、3.53ミリモル)を計量投入した。固体をエタノール10mL中に溶解し、フラスコを密封し、そして得られた混合物を60℃で攪拌した。反応混合物を18時間攪拌した後、混合物を濾過し、真空下に濃縮した。残留物をEtOAc50mL中に希釈し、各々20mLの1M水性クエン酸および塩水で洗浄した。残存する有機物質を無水硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、真空下に濃縮した。粗精製はシリカゲルプラグ上の残留物の濾過(0→10%EtOAc/ヘキサン)により行い、得られた300mgの白色固体は所望の生成物と数種の少量の不純物の混合物を含有していた。得られた物質をTHF−エタノール混合物(3.5mL、1:1)に溶解し、5%Pd/C(73mg、35マイクロモル)を添加し、大気圧において水素化した。4時間攪拌した後、黒色の懸濁液を濾過し、真空下に濃縮した。残留物をトルエン(8mL)に急速に溶解し、2分間アルゴンで脱気し、次に2−メチル−3−ブテン−2−オール(170μL、1.6ミリモル)およびBF.OEt(200μL、1.6ミリモル)を添加した。得られた茶色の溶液を100℃で攪拌した。45分の後、反応混合物を1回1M水性重炭酸ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、真空下に濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0→15%EtOAc/ヘキサン)による精製により得られた黄色油状物は2,2,5,7−テトラメチル−8−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)クロマン−6−オールおよび一部の不純物を含有していた(160mg)。
【0178】
【化9】

工程3:2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチル−6−(4−トリフルオロメチル)フェニル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン
上記反応混合物(60mg)に由来する2,2,5,7−テトラメチル−8−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)クロマン−6−オールを含有する精製された残留物をTHF/アセトニトリル(1:1,2mL)に溶解し、氷水バス中で冷却した。得られた溶液に、赤みを帯びた色が消えなくなるまで硝酸アンモニウムセリウムの水溶液(170mg、1mL中310マイクロモル)を滴下した。滴定の終点に達した時点で、混合物をEtOAc5mLで希釈し、1回塩水(2mL)で洗浄した。残存する有機物質を無水硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、真空下に濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(5→25%EtOAc/ヘキサン)による精製により黄色油状物として2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチル−6−(4−トリフルオロメチル)フェニル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン80mgを得た。
【0179】
【化10】

同様にして、工程2において4−トリフルオロメチルフェニルボロン酸を他の適切なボロン酸に置き換えながら、以下の追加的化合物を製造した。
【0180】
(実施例2)
2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−6−(4−メトキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン
【0181】
【化11】

(実施例3)
4−(5−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−2,4−ジメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ベンゾニトリル
【0182】
【化12】

(実施例4)
2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチル−6−(ナフタレン−2−イル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン
【0183】
【化13】

(実施例5)
2−(3,4−ジフルオロフェニル)−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン
【0184】
【化14】

(実施例6)
2−(4−フルオロフェニル)−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン
【0185】
【化15】

(実施例7)
2−(4−クロロフェニル)−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン
【0186】
【化16】

(実施例8)
2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−2−イル)−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン
【0187】
【化17】

(実施例9)
2−(4−フルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン
工程1:
(5−ブロモ−2,3−ジメチル−1,4−フェニレン)ビス(オキシ)ビス(メチレン)ジベンゼン
23℃のジメトキシエタン87.7mL中の2,3−ジメチルベンゼン−1,4−ジオール(5g、35.1ミリモル)の攪拌溶液に5分間かけて元素体臭素(1.83mL、35.8ミリモル)を滴下した。更に15分の後(合計20分)、過剰な臭素をチオ硫酸ナトリウムの1M水溶液(25mL)でクエンチングし、得られた白色の乳液をEtOAc150mLおよびHO100mL中に希釈した。有機物を取り出し、2回1M水性重炭酸ナトリウム、1回塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上に乾燥した。溶液を濾過し、真空下に濃縮して茶色の固体とした。残留物をジメチルホルムミド(58mL)中に溶解し、得られた溶液を5分間アルゴンで脱気し、その後炭酸カリウム(14.5g、105ミリモル)および臭化ベンジル(9.3mL、78ミリモル)を急速に添加した。得られた懸濁液を18時間攪拌した後、EtOAc200mL、ヘキサン200mLおよびHO200mL中に希釈した。得られた乳液は1M水性クエン酸でpH4にまで酸性化したところ分離した。有機物を取り出し、次に2回HOで、そして1回塩水で洗浄した(各々50mL)。得られた有機物を無水硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、真空下に濃縮した。シリカゲルプラグ上の濾過(7%EtOAc/ヘキサン)により黄色固体として得られた2.8gをヘキサン25mL中で消化し、白色固体性生物として(5−ブロモ−2,3−ジメチル−1,4−フェニレン)ビス(オキシ)ビス(メチレン)ジベンゼン2.33gを得た。
【0188】
【化18】

工程2:
5−(4−フルオロフェニル)−2,2,7,8−テトラメチルクロマン−6−オール
20mL容のシンチレーションバイアルに、以下の固体、即ち:化合物B(400mg、1.01ミリモル)、4−フルオロフェニルボロン酸(170mg、1.21ミリモル)、ジクロロ1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)ジクロロメタン付加物(22mg、30ミリモル)、およびフッ化セシウム(536mg、3.53ミリモル)を計量投入した。固体をエタノール10mL中に溶解し、フラスコを密封し、そして得られた混合物を60℃で攪拌した。反応混合物を18時間攪拌した後、混合物を濾過し、EtOAc50mL中に希釈し、各々20mLの1M水性重炭酸ナトリウム、飽和塩化アンモニウム、および塩水で洗浄した。残存する有機物質を無水硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、真空下に濃縮した。粗精製はシリカゲルプラグ上の残留物の濾過(0→10%EtOAc/ヘキサン)により行い、得られた320mgの白色固体は所望の生成物と数種の少量の不純物の混合物を含有していた。得られた物質をTHF−エタノール混合物(4mL、1:1)に溶解し、5%Pd/C(85mg、40マイクロモル)を添加し、大気圧において水素化した。4時間攪拌した後、黒色の懸濁液を濾過し、真空下に濃縮した。残留物をトルエン(8mL)に急速に溶解し、2分間アルゴンで脱気し、次に2−メチル−3−ブテン−2−オール(250μL、2.4ミリモル)およびBF.OEt(300μL、2.4ミリモル)を添加した。得られた茶色の溶液を100℃で攪拌した。45分の後、反応混合物を1回1M水性重炭酸ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、真空下に濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0→10%EtOAc/ヘキサン)による精製により得られた黄色油状物は5−(4−フルオロフェニル)−2,2,7,8−テトラメチルクロマン−6−オールおよび一部の不純物を含有していた(250mg)。
【0189】
【化19】

工程3:
2−(4−フルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン
上記反応混合物(250mg)に由来する5−(4−フルオロフェニル)−2,2,7,8−テトラメチルクロマン−6−オールを含有する精製された残留物をアセトニトリル(10mL)に溶解し、氷水バス中で冷却した。得られた溶液に、赤みを帯びた色が消えなくなるまで硝酸アンモニウムセリウムの水溶液(920mg、10mL中1.68ミリモル)を滴下した。滴定の終点に達した時点で、混合物をEtOAc20mLで希釈し、1回塩水(5mL)で洗浄した。残存する有機物質を無水硫酸ナトリウム上に乾燥し、濾過し、真空下に濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(5→25%EtOAc/ヘキサン)による精製により黄色油状物として2−(4−フルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン80mgを得た。
【0190】
【化20】

同様にして、4−フルオロフェニルボロン酸を他のアリールまたはヘテロシクリルボロン酸に置き換えながら、以下の追加的化合物を製造した。
【0191】
(実施例10)
2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−フェニルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
【0192】
【化21】

(実施例11)
2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン
【0193】
【化22】

(実施例12)
2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3−(4−メトキシフェニル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン
【0194】
【化23】

(実施例13)
2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(ナフタレン−2−イル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン
【0195】
【化24】

(実施例14)
2−(ベンゾフラン−2−イル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン
【0196】
【化25】

(実施例15)
2−(4−クロロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
【0197】
【化26】

(実施例16)
2−(4−エチルフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
【0198】
【化27】

(実施例17)
2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
【0199】
【化28】

(実施例18)
2−(4−t−ブチルフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
【0200】
【化29】

(実施例19)
2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン
【0201】
【化30】

(実施例20)
2−(3−フルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン
【0202】
【化31】

(実施例21)
2−(3,4−ジフルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン
【0203】
【化32】

(実施例22)
2−(2−フルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン
【0204】
【化33】

(実施例23)
2−ベンジル−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン
【0205】
【化34】

(実施例24)
2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(3−フェニルプロピル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン
【0206】
【化35】

(実施例25)
2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−フェネチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン
【0207】
【化36】

(実施例26)
2−(1−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン
【0208】
【化37】

生物学的実施例
(実施例A)
フリートライヒ運動失調患者由来のヒト皮膚線維芽細胞における本発明の化合物のスクリーニング
レドックス障害の緩解に対して有効な化合物を発見するために初期スクリーニングを実施した。被験試料、4レファレンス化合物(イデベノン、デシルユビキノン、トロロックスおよびα−トコフェロールアセテート)、および溶媒対照を、Jauslin等、Hum.Mol.Genet.11(24):3055(2002),Jauslin等、FASEBJ.17:1972−4(2003)および国際特許出願WO2004/003565に記載の通り、L−ブチオニン−(S,R)−スルホキシイミン(BSO)の添加によりストレスを受けたFRDA線維芽細胞を救済するそれらの能力に関して試験した。フリートライヒ運動失調患者由来のヒト皮膚線維芽細胞はグルタチオン(GSH)合成酵素の特異的阻害剤であるL−ブチオニン−(S,R)−スルホキシイミン(BSO)によるGSHの新規合成の阻害に対して感受性亢進であることがわかっている(Jauslin等、Hum.Mol.Genet.11(24):3055(2002))。この特異的なBSO媒介細胞死は抗酸化剤、または抗酸化剤経路に関与する分子、例えばα−トコフェロール、セレン、または小分子グルタチオンパーオキシダーゼミメティックの投与により防止できる。しかしながら、抗酸化剤はその力価、即ちBSOストレスFRDA線維芽細胞を救済することができる濃度において異なっている。
【0209】
MEM(アミノ酸およびビタミンがリッチ化された培地、カタログ番号1−31F24−I)および199培地(M199、カタログ番号1−21F22−I)、イーグルバランス塩含有、フェノールレッド非含有のものはBioconceptから購入した。ウシ胎児血清はPAA Laboratoriesから入手した。塩基性線維芽細胞成長因子および表皮成長因子はPeproTechから購入した。ペニシリン−ストレプトマイシン−グルタミン混合物、L−ブチオニン−(S,R)−スルホキシイミン、(+)−α−トコフェロールアセテート、デシルユビキノン、およびウシ膵臓由来インスリンはSigmaから購入した。トロロックス(6−ヒドロキシ−2,2,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸)はFlukaから入手した。イデベノンはChemo Ibericaから入手した。カルセインAMはMolecular Probesから購入した。細胞の培養基は125mlのM199EBS、50mlのウシ胎児血清、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、2mMグルタミン、10μg/mlインスリン、10ng/mLのEGF、および10ng/mLのbFGFを混合することにより作成し;MEM EBSを添加して最終容量を500mlとした。10mMのBSO溶液は培地200ml中のBSO444mgを溶解し、その後濾過滅菌することにより製造した。実験の経過中はこの溶液を+4℃で保存した。細胞はCoriell Cell Repositories(Camden,NJ;レポジトリー番号GM04078)から入手し、そして10cmの組織培養プレート中で生育させた。3日毎に1:3の比に分割した。
【0210】
被験試料は1.5ml容のガラスバイアル中で供給した。化合物をDMSO、エタノールまたはPBSで希釈することにより5mMの保存溶液とした。溶解後は−20℃で保存した。レファレンス抗酸化剤(イデベノン、デシルユビキノン、α−トコフェロールアセテートおよびトロロックス)はDMSO中に溶解した。
【0211】
被験試料は以下のプロトコルに従ってスクリーニングした。FRDA線維芽細胞との培養は液体窒素中に保存した約500,000細胞を用いながら1mlのバイアルから開始した。細胞は9プレートが得られるまで、1:3の比で3日毎に分割することにより10cm細胞培養皿中で増殖させた。コンフルエントに達した時点で線維芽細胞を採取した。54マイクロプレート(96穴MTP)につき合計14.3百万細胞(8継代)を培地480ml中に再懸濁し、3,000細胞/ウエルの培地100μlに相当するものとした。残余の細胞は増殖のために10cmの細胞培養プレート(500,000細胞/プレート)に分布させた。プレートを95%湿度および5%COの雰囲気中37℃で一夜インキュベートすることにより細胞を培養プレートに結着させた。
【0212】
MTP培地(243μl)をマイクロタイタープレートのウエルに添加した。被験化合物を解凍し、5mM保存溶液7.5μlを培地243μlの入ったウエルに溶解することにより、150μMのマスター溶液とした。マスター溶液から連続希釈を行った。単希釈工程の間の期間は可能な限り短くした(一般的に1秒未満)。
【0213】
プレートは細胞培養インキュベーター中に一夜保持した。翌日、10mMのBSO溶液10μlをウエルに添加し、1mMの最終BSO濃度とした。48時間後、3プレートを位相差顕微鏡下に観察し、0%対照(ウエルE1−H1)における細胞が明らかに死滅していることを確認した。全プレートに由来する培地を廃棄し、そして残存する液体はプレートをペーパータオル上で逆転させて軽く叩くことにより除去した。
【0214】
次に1.2μMカルセインAMを含有するPBS100μlを各ウエルに添加した。プレートを室温で50〜70分間インキュベートした。その後、PBSを廃棄し、プレートをペーパータオル上で軽く叩き、そして蛍光(励起/発光波長はそれぞれ485nmおよび525nm)をGemini蛍光リーダー上で読み取った。データはMicrosoft Excel(EXCELはスプレッドシートプログラムに関するMicrosoft Corporationの登録商標である)にインポートし、そして各化合物のEC50濃度を計算するために使用した。
【0215】
化合物は3回試験し、即ち、実験は3回実施し、各反復毎に1つ、細胞の継代数を増やした。
【0216】
溶媒(DMSO、エタノール、PBS)は非BSO投与細胞の生存性に悪影響を与えず、そして試験した最高濃度(1%)においてさえもBSO投与線維芽細胞に対して有益な影響を有していなかった。化合物の何れも自己蛍光は呈さなかった。非BSO投与線維芽細胞の生存性を100%とし、この値に対する相対値としてBSOおよび化合物投与細胞の生存性を計算した。
【0217】
以下の表は4対照化合物に関するEC50を総括したものである。
【0218】
【表2】

本発明の特定の化合物、例えば:
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチル−6−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−6−(4−メトキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 4−(5−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−2,4−ジメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ベンゾニトリル;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチル−6−(ナフタレン−2−イル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3,4−ジフルオロフェニル)−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−フルオロフェニル)−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−ベンジル−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(3−フェニルプロピル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(1−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(ナフタレン−2−イル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−クロロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−エチルフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−t−ブチルフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−フルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−フルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3,4−ジフルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−クロロフェニル)−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
は約200nM未満のEC50においてFRDAに対抗した保護を示した。
【0219】
(実施例B)
ハンチントン病患者由来の線維芽細胞における本発明の化合物のスクリーニング
Coriell Cell Repositoriesから入手したハンチントン病細胞(Camden,NJ;レポジトリー番号GM04281)でFRDAを置き換えた以外は実施例Aに記載した通りのスクリーニングを用いながら本発明の化合物を試験した。化合物は、酸化的ストレスからハンチントン病患者由来のヒト皮膚線維芽細胞を救済するそれらの能力に関して、試験した。
【0220】
本発明の特定の化合物、例えば:
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチル−6−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−6−(4−メトキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチル−6−(ナフタレン−2−イル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3,4−ジフルオロフェニル)−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−フルオロフェニル)−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−フェネチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−ベンジル−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(3−フェニルプロピル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(1−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3−(4−メトキシフェニル)−5,6−ジメチル−シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(ナフタレン−2−イル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−クロロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−エチルフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−t−ブチルフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−フルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−フルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 4−(2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−4,5−ジメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ベンゾニトリル;
・ 2−(3,4−ジフルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(2−フルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3−(3−メトキシフェニル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−フルオロ−2−メトキシフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
は約200nM未満のEC50においてハンチントン病に対抗した保護を示した。
【0221】
(実施例C)
レーバー遺伝性視神経障害由来の線維芽細胞における本発明の化合物のスクリーニング
Coriell Cell Repositoriesから入手したレーバー遺伝性視神経障害(LHON)細胞(Camden,NJ;レポジトリー番号GM03858)でFRDAを置き換えた以外は実施例Aに記載した通り本発明の化合物をスクリーニングした。化合物は、酸化的ストレスからLHON患者由来のヒト皮膚線維芽細胞を救済するそれらの能力に関して、試験した。
・本発明の特定の化合物、例えば:
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチル−6−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−6−(4−メトキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 4−(5−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−2,4−ジメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ベンゾニトリル;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチル−6−(ナフタレン−2−イル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3,4−ジフルオロフェニル)−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−フルオロフェニル)−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−フェネチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−ベンジル−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(3−フェニルプロピル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3−(4−メトキシフェニル)−5,6−ジメチル−シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(ナフタレン−2−イル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(ベンゾフラン−2−イル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−クロロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−エチルフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−t−ブチルフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−フルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−フルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3,4−ジフルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−クロロフェニル)−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
は約200nM未満のEC50においてLHONに対抗した保護を示した。
【0222】
(実施例D)
パーキンソン病患者由来の線維芽細胞における本発明の化合物のスクリーニング
Coriell Cell Repositoriesから入手したパーキンソン病(PD)細胞(Camden,NJ;レポジトリー番号AG20439)でFRDAを置き換えた以外は実施例Aに記載した通りに本発明の化合物をスクリーニングした。化合物は、酸化的ストレスからパーキンソン病患者由来のヒト皮膚線維芽細胞を救済するそれらの能力に関して、試験した。
【0223】
本発明の特定の化合物、例えば:
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチル−6−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−6−(4−メトキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 4−(5−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−2,4−ジメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ベンゾニトリル;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチル−6−(ナフタレン−2−イル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3,4−ジフルオロフェニル)−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−フルオロフェニル)−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,5−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−フェネチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−フェニルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(3−フェニルプロピル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(1−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(ナフタレン−2−イル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(ベンゾフラン−2−イル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−クロロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−エチルフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチル−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(4−t−ブチルフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
・ 2−(3−フルオロフェニル)−3−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−5,6−ジメチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン;
は約200nM未満のEC50においてPDに対抗した保護を示した。
【0224】
(実施例E)
CoQ10欠損病患者由来の線維芽細胞における本発明の化合物のスクリーニング
CoQ2突然変異を有するCoQ10欠損患者から得た細胞でFRDA細胞を置き換えた以外は実施例Aに記載したものと同様のスクリーニングを用いながら本発明の化合物を試験した。化合物は、酸化的ストレスからCoQ10欠損患者由来のヒト皮膚線維芽細胞を救済するそれらの能力に関して、試験した。本発明の化合物は、それらが約200nM未満のEC50でCoQ10欠損に対抗して保護を示せば活性とみなされる。
【0225】
(実施例F)
自閉症患者由来のヒト皮膚線維芽細胞における本発明の化合物のスクリーニング
ASDの緩解のために有効な化合物を発見するためにスクリーニングを実施した。被験試料および溶媒対照をL−ブチオニン−(S,R)−スルホキシイミン(BSO)の添加によりストレスを受けた自閉症症候群(ASD)線維芽細胞を救済するそれらの能力に関して試験した。
【0226】
MEM(アミノ酸およびビタミンがリッチ化された培地、カタログ番号Gibco11965)およびウシ胎児血清はInvitrogenから入手した。塩基性線維芽細胞成長因子および表皮成長因子はPeproTechから購入した。ペニシリン−ストレプトマイシン−グルタミン混合物、L−ブチオニン−(S,R)−スルホキシイミン、およびウシ膵臓由来インスリンはSigmaから購入した。カルセインAMはMolecular Probesから購入した。細胞の培養基(ATP)は75mlのウシ胎児血清、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、2mMグルタミン、10ng/mLのEGF、および10ng/mLのbFGFを混合することにより作成し;MEM EBSを添加して最終容量を500mlとした。10mMのBSO溶液は培地200ml中のBSO444mgを溶解し、その後濾過滅菌することにより製造した。実験の経過中はこの溶液を+4℃で保存した。Dr.J.M.Shoffner,Medical Neurogenetics,Atlanta,Gaから入手した細胞は10cmの組織培養プレート中で生育させた。毎週に1:3の比に分割した。試料は1.5ml容のガラスバイアル中で供給した。化合物をDMSO、エタノールまたはPBSで希釈することにより5mMの保存溶液とした。溶解後は−20℃で保存した。
【0227】
被験試料を以下のプロトコルに従ってスクリーニングした。ASD線維芽細胞との培養は液体窒素中に保存した約500,000細胞を用いながら1mlのバイアルから開始した。細胞は9プレートが得られるまで、1:3の比で毎週に分割することにより10cm細胞培養皿中で増殖させた。コンフルエントに達した時点で線維芽細胞を採取した。54マイクロタイタープレート(96穴MTP)につき合計14.3百万細胞(8継代)を培地480ml中に再懸濁し、3,000細胞/ウエルの培地100μlに相当するものとした。残余の細胞は増殖のために10cmの細胞培養プレート(500,000細胞/プレート)に分布させた。プレートを95%湿度および5%COの雰囲気中37℃で一夜インキュベートすることにより細胞を培養プレートに結着させた。
【0228】
MTP培地(243μl)をマイクロタイタープレートのウエルに添加した。被験化合物を解凍し、5mM保存溶液7.5μlを培地243μlの入ったウエルに溶解することにより、150μMのマスター溶液とした。マスター溶液から連続希釈を行った。単希釈工程の間の期間は可能な限り短くした(一般的に1秒未満)。
【0229】
プレートは細胞培養インキュベーター中に一夜保持した。翌日、10mMのBSO溶液10μlをウエルに添加し、1mMの最終BSO濃度とした。48時間後、3プレートを位相差顕微鏡下に観察し、0%対照(ウエルE1−H1)における細胞が明らかに死滅していることを確認した。全プレートに由来する培地を廃棄し、そして残存する液体はプレートをペーパータオル上で逆転させて軽く叩くことにより除去した。
【0230】
次に1.2μMカルセインAMを含有するPBS100μlを各ウエルに添加した。プレートを室温で50〜70分間インキュベートした。その後、PBSを廃棄し、プレートをペーパータオル上で軽く叩き、そして蛍光(励起/発光波長はそれぞれ485nmおよび525nm)をGemini蛍光リーダー上で読み取った。データはMicrosoft Excel(登録商標)にインポートし、そして各化合物のEC50濃度を計算するために使用した。
【0231】
化合物は3回試験し、即ち、実験は3回実施し、各反復毎に1つ、細胞の継代数を増やした。
【0232】
溶媒(DMSO、エタノール、PBS)は非BSO投与細胞の生存性に悪影響を与えず、そして試験した再高濃度(1%)においてさえもBSO投与線維芽細胞に対して有益な影響を有していなかった。化合物の何れも自己蛍光は呈さなかった。非BSO投与線維芽細胞の生存性を100%とし、この値に対する相対値としてBSOおよび化合物投与細胞の生存性を計算した。
【0233】
本発明の特定の化合物は300nM未満のEC50でASDに対抗して保護を呈した場合に活性とみなした。
【0234】
確認のための引用により本明細書において参照した全ての出版物、特許、特許出願および特許出願公開の開示内容は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0235】
上記した本発明は理解の明確化を目的として説明および例示のために幾分詳細に説明したが、特定の些少な変更および改変が実施されることは当業者の知る通りである。従って説明および実施例は本発明の範囲を制限するものとみなしてはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式I
【化38】

[式中、
Rは下記:
【化39】

よりなる群から選択され;
ここで*は分子の残りの部分へのRの結合点を示し;
ここでMおよびM’は独立して水素、−C(O)−R’、−C(O)−(C−C)−アルケニル、−C(O)−(C−C)−アルキニル、−C(O)−アリール、−C(O)−ヘテロシクリル、−C(O)O−R’、−C(O)NR’R’’、−SOOR’、−SO−(C−C)−アルキル、−SO−(C−C)−ハロアルキル;−SO−アリール、−SO−NR’R’’、−P(O)(OR’)(OR’’)、およびC連結モノまたはジペプチドから選択され、ここでR’およびR’’は各々が互いに独立して水素または場合により−OH、−NH、−NH(C−C)アルキル、−N((C−C)アルキル)、−C(O)−OH、−C(O)−O−(C−C)−アルキルもしくはハロゲンで置換された(C−C)−アルキルであり;
ここで、
はアリール−(C−C)−アルキル−またはヘテロシクリル−(C−C)−アルキル−であり、ここでアリールまたはヘテロシクリルは場合により(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、チオール、(C−C)−チオアルキル、および−CORから選択された1つ以上の置換基で置換されており;そしてここで(C−C)−アルキル基は場合によりOH、−O(C−C)−アルキル、−NH、−NH(C−C)−アルキル、−N((C−C)アルキル)、オキソまたはハロゲンで置換されており;そしてRおよびRは独立して水素、ハロゲン、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシから選択されるか;
または、
はアリール−(C−C)−アルキル−またはヘテロシクリル−(C−C)−アルキル−であり、ここでアリールまたはヘテロシクリルは場合により(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル−、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、チオール、(C−C)−チオアルキル−、および−CORから選択された1つ以上の置換基で置換されており;そしてここで(C−C)−アルキル基は場合によりOH、−O(C−C)−アルキル、−NH、−NH(C−C)−アルキル、−N((C−C)アルキル)、オキソまたはハロゲンで置換されており;そしてRおよびRは独立して水素、ハロゲン、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシから選択されるか;
の何れかが該当し;
ここでRは水素、(C−C)−アルキル、アリール、またはアリール−(C−C)−アルキルであり;そして、
ここでRおよびRは互いに独立してヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、アリール、アリール−(C−C)−アルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリル−(C−C)−アルキルであり;ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびヘテロシクリル基は更にオキソ、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、または−COORで置換され得る]の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項2】
治療有効量または有効量の請求項1記載の1つ以上の化合物を対象に投与することを含む、ミトコンドリア障害を処置する、1つ以上のエネルギーバイオマーカーをモジュレートする、1つ以上のエネルギーバイオマーカーを正常化する、または1つ以上のエネルギーバイオマーカーを増強する方法。
【請求項3】
製薬上許容しうる賦形剤を更に含む治療有効量または有効量の請求項1記載の1つ以上の化合物を対象に投与することを含む、ミトコンドリア障害を処置する、1つ以上のエネルギーバイオマーカーをモジュレートする、1つ以上のエネルギーバイオマーカーを正常化する、または1つ以上のエネルギーバイオマーカーを増強する方法。
【請求項4】
下記式Ia:
【化40】

[式中、
はアリール−(C−C)−アルキル−またはヘテロシクリル−(C−C)−アルキル−であり、ここでアリールまたはヘテロシクリルは場合により(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、チオール、(C−C)−チオアルキル、および−CORから選択された1つ以上の置換基で置換されており;そしてここで(C−C)−アルキル基は場合によりOH、−O(C−C)−アルキル、−NH、−NH(C−C)−アルキル、−N((C−C)アルキル)、オキソまたはハロゲンで置換されており;そして、
およびRは独立して水素、ハロゲン、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシから選択されるか;
または、
はアリール−(C−C)−アルキル−またはヘテロシクリル−(C−C)−アルキル−であり、ここでアリールまたはヘテロシクリルは場合により(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル−、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、チオール、(C−C)−チオアルキル−、および−CORから選択された1つ以上の置換基で置換されており;そしてここで(C−C)−アルキル基は場合によりOH、−O(C−C)−アルキル、−NH、−NH(C−C)−アルキル、−N((C−C)アルキル)、オキソまたはハロゲンで置換されており;そして、
およびRは独立して水素、ハロゲン、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシから選択されるか;
の何れかが該当し;
ここでRは水素、(C−C)−アルキル、アリール、またはアリール−(C−C)−アルキル−であり;そして、
ここでRおよびRは互いに独立してヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、アリール、アリール−(C−C)−アルキル−、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリル−(C−C)−アルキル−であり;ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびヘテロシクリル基は更にオキソ、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、または−COORで置換され得る]の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項5】
下記式Ib:
【化41】

[式中、
はアリール−(C−C)−アルキル−またはヘテロシクリル−(C−C)−アルキル−であり、ここでアリールまたはヘテロシクリルは場合により(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、チオール、(C−C)−チオアルキル、および−CORから選択された1つ以上の基で場合により置換されており;そしてここで(C−C)−アルキル基は場合によりOH、−O(C−C)−アルキル、−NH、−NH(C−C)−アルキル、−N((C−C)アルキル)、オキソまたはハロゲンで置換されており;
およびRは独立して水素、ハロゲン、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシから選択され;
は水素、(C−C)−アルキル、アリール、またはアリール−(C−C)−アルキル−であり;そして、
およびRは互いに独立してヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、アリール、アリール−(C−C)−アルキル−、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリル−(C−C)−アルキル−であり;ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびヘテロシクリル基は更にオキソ、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、または−COORで置換され得る]の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項6】
およびRが(C−C)−アルキルである請求項5記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項7】
が場合により(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、−COOR、および−CORから選択された1つ以上の基で置換されたアリール−(C−C)−アルキル−である請求項5記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項8】
が場合により(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、−COOR、および−CORから選択された1つ以上の基で置換されたアリールである請求項5記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項9】
が場合により(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、−COOR、および−CORから選択された1つ以上の基で置換されたフェニルまたはナフチルである請求項5記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項10】
が場合により、(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、−COOR、および−CORから選択された1つ以上の基で置換されたアリール−(C−C)−アルキル−である請求項5記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項11】
が場合により(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、および−CORで置換されたヘテロシクリル−(C−C)−アルキル−である請求項5記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項12】
が窒素含有ヘテロシクリルである請求項11記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項13】
が酸素または硫黄含有ヘテロシクリルである請求項11記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項14】
下記式Ic:
【化42】

[式中、
は場合により(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、チオール、(C−C)−チオアルキル、および−CORから選択された1つ以上の基で置換されたアリールまたはヘテロシクリルであり;そしてここで(C−C)−アルキル基は場合によりOH、−O(C−C)−アルキル、−NH、−NH(C−C)−アルキル、−N((C−C)アルキル)、オキソまたはハロゲンで置換されており;
およびRは独立して水素、ハロゲン、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシから選択され;
は水素、(C−C)−アルキル、アリール、またはアリール−(C−C)−アルキル−であり;そして、
およびRは互いに独立してヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、アリール、アリール−(C−C)−アルキル−、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリル−(C−C)−アルキルであり;ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびヘテロシクリル基は更にオキソ、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、または−COORで置換されてもよく;
MおよびM’は独立して水素、−C(O)−R’、−C(O)−(C−C)−アルケニル、−C(O)−(C−C)−アルキニル、−C(O)−アリール、−C(O)−ヘテロシクリル、−C(O)O−R’、−C(O)NR’R’’、−SOOR’、−SO−(C−C)−アルキル、−SO−(C−C)−ハロアルキル;−SO−アリール、−SO−NR’R’’、−P(O)(OR’)(OR’’)、およびC連結モノまたはジペプチドから選択され、ここでR’およびR’’は各々が互いに独立して水素または場合により−OH、−NH、−NH(C−C)アルキル、−N((C−C)アルキル)、−C(O)−OH、−C(O)−O−(C−C)−アルキルまたはハロゲンで置換されたC−C−アルキルである]の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項15】
およびRが(C−C)−アルキルである請求項14記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項16】
が場合により(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、−COOR、および−CORから選択された1つ以上の基で置換されたアリール−(C−C)−アルキル−である請求項14記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項17】
が場合により(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、−COOR、および−CORから選択された1つ以上の基で置換されたアリールである請求項14記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項18】
が場合により(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、−COOR、および−CORから選択された1つ以上の基で置換されたフェニルまたはナフチルである請求項14記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項19】
が場合により(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、−COOR、および−CORから選択された1つ以上の基で置換されたアリール−(C−C)−アルキル−である請求項14記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項20】
が場合により(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、および−CORで置換されたヘテロシクリル−(C−C)−アルキル−である請求項14記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項21】
が窒素含有ヘテロシクリルである請求項20記載の化合物、またはその塩、立体異性体、または立体異性体の混合物。
【請求項22】
が酸素または硫黄含有ヘテロシクリルである請求項20記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項23】
下記式Id:
【化43】

[式中、
およびRは独立して水素、ハロゲン、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシから選択され;
はアリール−(C−C)−アルキル−またはヘテロシクリル−(C−C)−アルキル−であり、ここでアリールまたはヘテロシクリルは場合により(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル−、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、チオール、(C−C)−チオアルキル−、および−CORから選択された1つ以上の置換基で置換されており;そしてここで(C−C)−アルキル基は場合によりOH、−O(C−C)−アルキル、−NH、−NH(C−C)−アルキル、−N((C−C)アルキル)、オキソまたはハロゲンで置換されており;
は水素、(C−C)−アルキル、アリール、またはアリール−(C−C)−アルキル−であり;そして、
およびRは互いに独立してヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、アリール、アリール−(C−C)−アルキル−、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリル−(C−C)−アルキル−であり;ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびヘテロシクリル基は更にオキソ、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル−、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、または−COORで置換され得る]の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項24】
およびRが(C−C)−アルキルである請求項23記載の化合物、またはその塩、立体異性体、または立体異性体の混合物。
【請求項25】
が場合により(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、−COOR、および−CORから選択された1つ以上の基で置換されたアリール−(C−C)−アルキル−である請求項23記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項26】
が場合により(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、−COOR、および−CORから選択された1つ以上の基で置換されたアリールである請求項23記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項27】
が場合により(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、−COOR、および−CORから選択された1つ以上の基で置換されたフェニルまたはナフチルである請求項23記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項28】
が場合により(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、−COOR、および−CORから選択された1つ以上の基で置換されたアリール−(C−C)−アルキル−である請求項23記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項29】
が場合により(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、および−CORで置換されたヘテロシクリル−(C−C)−アルキル−である請求項23記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項30】
が窒素含有ヘテロシクリルである請求項29記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項31】
が酸素または硫黄含有ヘテロシクリルである請求項29記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項32】
下記式Ie:
【化44】

[式中、
およびRは独立して水素、ハロゲン、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルコキシから選択され;
はアリール−(C−C)−アルキル−またはヘテロシクリル−(C−C)−アルキル−であり、ここでアリールまたはヘテロシクリルは場合により(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル−、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、チオール、(C−C)−チオアルキル−、および−CORから選択された1つ以上の置換基で置換されており;そしてここで(C−C)−アルキル基は場合によりOH、−O(C−C)−アルキル、−NH、−NH(C−C)−アルキル、−N((C−C)アルキル)、オキソまたはハロゲンで置換されており;
は水素、(C−C)−アルキル、アリール、またはアリール−(C−C)−アルキル−であり;
およびRは互いに独立してヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、アリール、アリール−(C−C)−アルキル−、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリル−(C−C)−アルキル−であり;ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびヘテロシクリル基は更にオキソ、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル−、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、または−COORで置換されてもよく;
MおよびM’は独立して水素、−C(O)−R’、−C(O)−(C−C)−アルケニル、−C(O)−(C−C)−アルキニル、−C(O)−アリール、−C(O)−ヘテロシクリル、−C(O)O−R’、−C(O)NR’R’’、−SOOR’、−SO−(C−C)−アルキル、−SO−(C−C)−ハロアルキル;−SO−アリール、−SO−NR’R’’、−P(O)(OR’)(OR’’)、およびC連結モノまたはジペプチドから選択され、ここでR’およびR’’は各々が互いに独立して水素または場合により−OH、−NH、−NH(C−C)アルキル、−N((C−C)アルキル)、−C(O)−OH、−C(O)−O−(C−C)−アルキルまたはハロゲンで置換された(C−C)−アルキルである]の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項33】
およびRが(C−C)−アルキルである請求項32記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項34】
が場合により(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、−COOR、および−CORから選択された1つ以上の基で置換されたアリール−(C−C)−アルキル−である請求項32記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項35】
が場合により(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、−COOR、および−CORから選択された1つ以上の基で置換されたアリールである請求項32記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項36】
が場合により(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、−COOR、および−CORから選択された1つ以上の基で置換されたフェニルまたはナフチルである請求項32記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項37】
が場合により(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、−COOR、および−CORから選択された1つ以上の基で置換されたアリール−(C−C)−アルキル−である請求項32記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項38】
が場合により(C−C)−アルキル、ハロゲン、(C−C)−ハロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、CN、ニトロ、−COOR、−NR、−CONR、および−CORで置換されたヘテロシクリル−(C−C)−アルキル−である請求項32記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項39】
が窒素含有ヘテロシクリルである請求項38記載の化合物、またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項40】
が酸素または硫黄含有ヘテロシクリルである請求項38記載の化合物、およびその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物;またはその塩、立体異性体、もしくは立体異性体の混合物。
【請求項41】
治療有効量の請求項4記載の1つ以上の化合物を投与することにより、ミトコンドリア障害を処置または抑制するか、1つ以上のエネルギーバイオマーカーをモジュレートするか、1つ以上のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つ以上のエネルギーバイオマーカーを増強する方法。
【請求項42】
前記ミトコンドリア障害が遺伝性のミトコンドリア病;赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌス癲癇(MERRF);ミトコンドリアミオパシー、脳症、ラクトアシドーシス、卒中(MELAS);レーバー遺伝性視神経障害(LHON);慢性進行性外眼筋麻痺症(CPEO);リー病;キーンズ−セイアー症候群(KSS);フリートライヒ運動失調(FA);補酵素Q10欠乏症;複合体I欠乏症;複合体II欠乏症;複合体III欠乏症;複合体IV欠乏症;および複合体V欠乏症;パーキンソン病;アルツハイマー病;筋萎縮性側索硬化症(ALS);筋ジストロフィー、ハンチントン病および広汎性発達障害よりなる群から選択される請求項41記載の方法。
【請求項43】
治療有効量の請求項5記載の1つ以上の化合物を投与することにより、ミトコンドリア障害を処置または抑制するか、1つ以上のエネルギーバイオマーカーをモジュレートするか、1つ以上のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つ以上のエネルギーバイオマーカーを増強する方法。
【請求項44】
前記ミトコンドリア障害が遺伝性のミトコンドリア病;赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌス癲癇(MERRF);ミトコンドリアミオパシー、脳症、ラクトアシドーシス、卒中(MELAS);レーバー遺伝性視神経障害(LHON);慢性進行性外眼筋麻痺症(CPEO);リー病;キーンズ−セイアー症候群(KSS);フリートライヒ運動失調(FA);補酵素Q10欠乏症;複合体I欠乏症;複合体II欠乏症;複合体III欠乏症;複合体IV欠乏症;および複合体V欠乏症;パーキンソン病;アルツハイマー病;筋萎縮性側索硬化症(ALS);筋ジストロフィー、ハンチントン病および広汎性発達障害よりなる群から選択される請求項43記載の方法。
【請求項45】
治療有効量の請求項14記載の1つ以上の化合物を投与することにより、ミトコンドリア障害を処置または抑制するか、1つ以上のエネルギーバイオマーカーをモジュレートするか、1つ以上のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つ以上のエネルギーバイオマーカーを増強する方法。
【請求項46】
前記ミトコンドリア障害が遺伝性のミトコンドリア病;赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌス癲癇(MERRF);ミトコンドリアミオパシー、脳症、ラクトアシドーシス、卒中(MELAS);レーバー遺伝性視神経障害(LHON);慢性進行性外眼筋麻痺症(CPEO);リー病;キーンズ−セイアー症候群(KSS);フリートライヒ運動失調(FA);補酵素Q10欠乏症;複合体I欠乏症;複合体II欠乏症;複合体III欠乏症;複合体IV欠乏症;および複合体V欠乏症;パーキンソン病;アルツハイマー病;筋萎縮性側索硬化症(ALS);筋ジストロフィー、ハンチントン病および広汎性発達障害よりなる群から選択される請求項45記載の方法。
【請求項47】
治療有効量の請求項23記載の1つ以上の化合物を投与することにより、ミトコンドリア障害を処置または抑制するか、1つ以上のエネルギーバイオマーカーをモジュレートするか、1つ以上のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つ以上のエネルギーバイオマーカーを増強する方法。
【請求項48】
前記ミトコンドリア障害が遺伝性のミトコンドリア病;赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌス癲癇(MERRF);ミトコンドリアミオパシー、脳症、ラクトアシドーシス、卒中(MELAS);レーバー遺伝性視神経障害(LHON);慢性進行性外眼筋麻痺症(CPEO);リー病;キーンズ−セイアー症候群(KSS);フリートライヒ運動失調(FA);補酵素Q10欠乏症;複合体I欠乏症;複合体II欠乏症;複合体III欠乏症;複合体IV欠乏症;および複合体V欠乏症;パーキンソン病;アルツハイマー病;筋萎縮性側索硬化症(ALS);筋ジストロフィー、ハンチントン病および広汎性発達障害よりなる群から選択される請求項47記載の方法。
【請求項49】
治療有効量の請求項32記載の1つ以上の化合物を投与することにより、ミトコンドリア障害を処置または抑制するか、1つ以上のエネルギーバイオマーカーをモジュレートするか、1つ以上のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つ以上のエネルギーバイオマーカーを増強する方法。
【請求項50】
前記ミトコンドリア障害が遺伝性のミトコンドリア病;赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌス癲癇(MERRF);ミトコンドリアミオパシー、脳症、ラクトアシドーシス、卒中(MELAS);レーバー遺伝性視神経障害(LHON);慢性進行性外眼筋麻痺症(CPEO);リー病;キーンズ−セイアー症候群(KSS);フリートライヒ運動失調(FA);補酵素Q10欠乏症;複合体I欠乏症;複合体II欠乏症;複合体III欠乏症;複合体IV欠乏症;および複合体V欠乏症;パーキンソン病;アルツハイマー病;筋萎縮性側索硬化症(ALS);筋ジストロフィー、ハンチントン病および広汎性発達障害よりなる群から選択される請求項49記載の方法。
【請求項51】
前記エネルギーバイオマーカーが全血、血漿、脳脊髄液、または脳室液の何れかにおける乳酸(ラクテート)のレベル;全血、血漿、脳脊髄液、または脳室液の何れかにおけるピルビン酸(ピルベート)レベル;全血、血漿、脳脊髄液、または脳室液の何れかにおけるラクテート/ピルベート比;ホスホクレアチンレベル、NADH(NADH+H)レベル;NADPH(NADPH+H)レベル;NADレベル;NADPレベル;ATPレベル;還元型補酵素Q(CoQred)レベル;酸化型補酵素Q(CoQox)レベル;総補酵素Q(CoQtot)レベル;酸化型チトクロームCレベル;還元型チトクロームCレベル;酸化型チトクロームC/還元型チトクロームC比;アセトアセテートレベル、β−ヒドロキシブチレートレベル、アセトアセテート/β−ヒドロキシブチレート比、8−ヒドロキシ−2’−デオキシグアノシン(8−OHdG)レベル;活性酸素種のレベル;酸素消費レベル(VO2);二酸化炭素排出レベル(VCO2);呼吸商(VCO2/VO2);運動耐容性;および嫌気的閾値よりなる群から選択される請求項2記載の方法。

【公表番号】特表2011−509298(P2011−509298A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542313(P2010−542313)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/030229
【国際公開番号】WO2009/089224
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(507393285)エジソン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】