説明

ミルタザピンの塩を含む医薬組成物

本発明は、S−若しくはR−ミルタザピンの塩を含む医薬組成物の製造において使用するため、ミルタザピンの鏡像異性体の薬剤として適切な非昇華固形塩、特にマレイン酸、臭化水素酸及びフマル酸の塩のリストから選択されえうミルタザピン塩を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミルタザピンの純粋な鏡像異性体を含む医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ミルタザピンは、いくつかの治療用途を備えた広く使用されている薬剤である。患者に処方するための医薬組成物で使用可能なこの薬剤の形態は、ラセミ混合物としての化合物をベースとしている。この薬剤の新たな用途及び鏡像異性体の様々な薬理学的特性に関しては、単一のS−鏡像異性体及びR−鏡像異性体を別々に医薬組成物に使用できるようにすることが必要である。研究のため、ヒトボランティアへのミルタザピンのS−鏡像異性体及びR−鏡像異性体の投与を記載したFink and Irwin(Psychopharmacology、Vol78、pp.44〜48、1982)の出版物によれば、鏡像異性体を経口使用するための医薬組成物は使用可能であることが示された。この化合物は、ミルタザピンのS−又はR−鏡像異性体の遊離塩基の形態で投与された。
【0003】
このような調製物には、ミルタザピンの昇華が原因となる問題が絡むことが発見された。S−及びR−ミルタザピンの純粋な塩基は、周囲温度でゆっくり昇華する化合物であるが、S−及びR−ミルタザピンの塩の全てではないがいくつかは、この欠点を有さないことが発見された。したがって、ミルタザピンの鏡像異性体を固形形態で含むこのような医薬組成物の有用性は、本発明によって、組成物中のミルタザピンの形態として使用するために、ミルタザピンの鏡像異性体の薬剤として適切な非昇華性固形塩を選択することによって、改善することができる。本発明はまた、ミルタザピンの純粋な鏡像異性体を、薬剤として適切な、S又はRミルタザピンの非昇華塩である固形形態で含む医薬製剤の製造方法を提供する。
【0004】
本発明による塩を使用することによってまた、調製もしくは精製の簡単さ、又はカプセル及び/又は錠剤における化学的若しくは物理的安定性などの医薬成分のその他の所望する特性を得ることができる。物理的安定性の改善は、製剤からの化合物の移動の減少によることが可能で、化学的安定性の改善は、ミルタザピンの分解の減少によることが可能である。S−ミルタザピン及びR−ミルタザピンの非昇華性固形塩は、ミルタザピンのマレイン酸塩、塩化水素酸塩、臭化水素酸塩、フマル酸塩及びメタンスルホン酸塩であることが見いだされた。このマレイン酸塩は、融点が高く、容易に結晶を形成し、そのため、その他の多形を形成せず、吸湿性ではないので、特に有利である。また、メタンスルホン酸塩は、非昇華性及び非吸湿性のために、ミルタザピンの鏡像異性として非常に有用な塩である。S−及びR−ミルタザピンのトリフルオロ酢酸塩は、昇華性を示す塩の一例である。さらに、後者の塩は、薬剤として適切な塩ではない。
【0005】
昇華の特性は、観察し、昇華を測定する公知の方法で定量することができる。たとえば、昇華は、試験化合物が固形状態に置かれ、温度制御によって固形状態に維持される容器を装備した装置で測定することができる。場合によっては低圧下で、容器内の気相の試験化合物の含量を分析することができる。連続的に気体流を入れ替えることによって、又は気相からの試験化合物のために吸い込み装置を設けることによって、たとえば、冷却表面によって、この容器から気相中の試験化合物を連続的に除去することも可能である。昇華物から収集した、又は昇華によって試料から放出した物質の量を分析することができる。昇華の程度は、最初の試料の大きさの画分(割合として)表される。
【0006】
「非昇華塩」という用語は、約10mgの試料(たとえば、8〜12mgの間の量)を、72時間、圧力150mBar及び温度60℃の標準的条件下に置いたとき、塩基の量をベースに計算して、ミルタザピンの1%未満が試料から昇華しているS−若しくはR−ミルタザピンの塩であると定義される。
【0007】
薬剤として活性のある化合物の塩で陰イオンをもたらすために使用することが承認された薬剤として適切な酸は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、マレイン酸、フマル酸、メチルスルホン酸、酢酸及びPhilip L.Gouldの文献(Internatinal Journal of Pharmaceutics、Vol.33、(1986)、pp.201〜207に記載されたその他の酸である。この出版物は、塩の限定的に明示されたリストを示しており、このリストは本発明によって塩を得るために、この記載で定められた方法によって試験することができる。
【0008】
この記述で「固形」という用語は、無定形態の、若しくは結晶性の化合物が室温で固形の状態を維持することを意味する。
【0009】
ミルタザピンという用語は、医薬製剤の活性成分としての化合物、1,2,3,4,10,14b−ヘキサヒドロ−2−メチルピラジノ[2,1−a]ピリド[2,3−c][2]ベンズアゼピンのことである。この用語は、別々の化合物としての遊離塩基又はミルタザピン塩中の塩基成分を意味するために本明細書では使用される。
【0010】
ミルタザピンの1鏡像異性体を含む製剤とは、ラセミ型のミルタザピンが使用された製剤とは対照的に、鏡像的に純粋な形態のミルタザピンが調製物中で使用された製剤のことである。この項における精製は、2種類の鏡像異性体をある程度分離することを目的とした、ミルタザピンの調製における1段階若しくは複数の段階を包含することを意味する。好ましくは90%純粋な鏡像異性体、又はより好ましくはその他の鏡像異性体よりも95%まで、98%、99%、99.5%若しくは99.8%純粋な鏡像異性体を使用する。
【0011】
ミルタザピン、1,2,3,4,10,14b−ヘキサヒドロ−2−メチルピラジノ[2,1−a]ピリド[2,3−c][2]ベンズアゼピンを、公知の方法によって調製することができる。ラセミ型ミルタザピンの合成は、たとえば、2置換ニコチニトリルから開始した4段階合成スキームを開示した米国特許第4062848号に記載されている。この経路の様々な段階のさらなる変更は、その後、WO00/62782、WO01/23345及び米国特許第6376668号に記載された。
【0012】
鏡像的に純粋なミルタザピンの調製は、米国特許第4062848号、WO00/62782及びSelditz他、1998(J.Chromatography、1998、vol 803、pp169〜177)に記載された。米国特許第4062848号に開示された方法によって、鏡像的に純粋なミルタザピンは、ラセミ体ミルタザピンと鏡像的に純粋なジベンゾイル酒石酸とをエタノール中で反応させ、その後水性アンモニアで処理して遊離塩基を再生することによって形成されたジアステレオマー塩の分画結晶化によって得られる。粗ミルタザピンの再結晶化によって純粋なミルタザピンを形成するその他の方法は、WO06/62782に開示されている。Selditz他は、鏡像異性体のクロマトグラフィーによる分離方法を記載している。
【0013】
医薬組成物は、この場合ではS−又はR−ミルタザピンの塩である活性成分に担体及びその他の賦形剤を添加して作製される。本発明による塩の特徴のために、対象に投薬によって投与するための様々な医薬製剤を製造し、様々な医薬製剤で使用するためにそれらは最も適している。このような形態は、経口、結腸又は経皮などの特定の投薬経路で使用するために適合している。
【0014】
丸剤、錠剤、座剤、(ミクロ)カプセル、散剤、エマルジョン、クリーム、軟膏、移植片、パッチ、ジェル若しくは徐放用のその他の任意の調製物、噴霧剤、懸濁剤の形態の注射用製剤などの剤形を形成するために、標準参考文献、Gennaro他、Remington、「The Science and Practice of Pharmacy;20版、出版社:Lippincott Williams&Wilkins、Baltimore、USA in Part5)及びHandbook of Pharmaceutical Excipients(3版、Arthur H.Kibbe、出版社:American Pharmaceutical Association、Washington D.C.and The Pharmacutical Press、London in 2000)に記載されたように、注入剤、結合剤、潤滑剤、分散剤、乳化剤、安定化剤、界面活性剤、浸透増強剤、抗酸化剤、着色剤、保存剤などの適切な補助物を使用することができる。一般的に、活性化合物の機能を妨害しない薬剤として許容される任意の補助物が適切で、使用することができる。投与剤形におけるS−又はR−ミルタザピン塩の量は、特定の環境に適合させることができる。一般的に、投与単位は、塩基の量をベースにして表して、S−又はR−ミルタザピン塩を0.05mgと90mgとの間で含有する。
【0015】
組成物を投与できる適切な注入剤若しくは担体は、適切な量で使用した寒天、アルコール、脂肪、ラクトース、澱粉、セルロース誘導体、多糖類、ポリビニルピロリドン、シリカ、滅菌生理食塩水、又はそれらの混合物を含む。
【0016】
結合剤は、医薬組成物に粘着性を与え、製造及び操作中の医薬組成物からの損失を最小限にするために使用される薬剤である。結合剤は、たとえば、セルロース、澱粉、ポリビニルピロリドンなどである。
【0017】
本発明の活性剤を投与できる適切な潤滑剤は、たとえば、ステアリン酸マグネシウムである。
【0018】
界面活性剤は、疎水性及び親水性環境などの異なる物理環境において、化合物の接触及び移動を容易にする薬剤である。医薬組成物製造の業界では、たとえば、Gennaro他、Remington、「The Science and Practice of Pharmacy、20版、出版社、Lippincott Williams&Wilkins、Baltimore、USA)の21章に記載されたような、多くの界面活性剤が知られている。医薬製剤の調製の過程で使用できる界面活性剤は、たとえば、ポリエチレングリコール(PEG)などである。
【0019】
本発明による塩は、当業界で周知の方法で生成することができる。塩基は、適切な溶媒、たとえば、メタノール、エタノール、エチルアセテート若しくはアセトンに溶解し、酸は、純粋に、又は、たとえば、エタノール、酢酸エチル若しくはアセトンに溶解して添加される。塩は、沈殿若しくは結晶化によって溶媒から収集することができ、これは、必要であればこの溶液を冷却するか、又は溶媒を留去することによって引き起こされる。
【実施例】
【0020】
実施例では、S−ミルタザピンを使用する。対称性を考えると、R−ミルタザピンにも適用するために全く同様にすることができるが、但し、実施例8の場合は、R−ミルタザピンのためには(−)−O,O−ジベンゾイル−L−酒石酸を使用しなければならない。
【0021】
1.S−ミルタザピン塩酸塩の結晶化
メタノール5mlに溶かしたS−ミルタザピン3.01gの溶液に、酢酸エチル20mlに溶かした塩酸939μlの溶液を室温で添加した。溶媒の一部を留去すると、この溶液中に油状物が形成された。次に、この溶液を0℃まで冷却した。種結晶を添加すると、その結果結晶化が開始した。白色結晶を濾過によって収集し、真空乾燥炉内で40℃で乾燥した。S−ミルタザピン塩酸塩の白色結晶1.96gが得られた(57%)。
【0022】
吸熱ピーク(DSC):275℃、XRPD及びss−NMR:1多形型で、アモルファス物質のない結晶物質。この化合物は170℃を上回ると昇華を開始する。動的蒸気吸着測定は、この塩は非常に吸湿性であることを示した。
【0023】
2.S−ミルタザピンマレイン酸塩の結晶化
エタノール10mlに溶かしたS−ミルタザピン3.01gの溶液に、エタノール10mlに溶かしたマレイン酸1.32gの溶液を室温で添加した。数分間撹拌した後、結晶化が開始した。数時間室温で撹拌した後、白色結晶を濾過によって収集し、真空乾燥炉内で40℃で乾燥した。S−ミルタザピンマレイン塩の白色結晶3.98gが得られた(92%)。
【0024】
吸熱ピーク(DSC):206℃、XRPD及びss−NMR:結晶物質:ミルタザピン/マレイン酸比1:1、1多形型、アモルファス物質なし。動的蒸気吸着測定は、この塩は吸湿性ではないことを示した。
【0025】
3.S−ミルタザピンフマル酸塩の結晶化
メタノール5mlに溶かしたS−ミルタザピン3.01gの溶液に、フマル酸1.31gを室温で添加すると迅速な沈殿が起こった。さらにメタノール5ml及び酢酸エチル20mlを懸濁液に添加して、固形物を再溶解した。溶媒の一部を留去すると、透明な溶液から結晶化が開始した。数時間撹拌した後、白色結晶を濾過によって収集し、真空乾燥炉内で40℃で乾燥させた。S−ミルタザピンフマル塩の白色結晶3.76gが得られた(87%)。吸熱ピーク(DSC):178℃、XRPD及びss−NMR:おそらく3種類の多形型物質及びいくらかのアモルファス物質の混合物。フマル酸塩は、環境空気から水分を引きつけ水和物を形成し、乾燥によってその水分を放出することができる。
【0026】
4.S−ミルタザピン臭化水素酸塩の結晶化
メタノール5mlに溶かしたS−ミルタザピン3.01gの溶液に、酢酸エチル20mlに溶かした臭化水素酸1290μlの溶液を室温で添加した。溶媒の一部を留去すると、油状物が形成された。混合物を0℃まで冷却すると、その結果結晶化が開始した。白色結晶を濾過によって収集し、真空乾燥炉内で40℃で乾燥した。S−ミルタザピン臭化水素酸塩の白色結晶3.74gが得られた(95%)。吸熱ピーク(DSC):253℃、XRPD及びss−NMR:主に1種類の多形型及びいくらかのアモルファス物質。HBr塩は、水に明らかに親和性で、周囲条件下で1水和物を形成する。水を含まない薬剤物質試料は、環境空気と接触するようになると水を引きつけ、乾燥下では水を放出することができる。
【0027】
5.S−ミルタザピンメタンスルホン酸塩の結晶化
メタノール5mlに溶かしたS−ミルタザピン3.01gの溶液に、酢酸エチル20mlに溶かしたメタンスルホン酸743μlの溶液を室温で添加した。部分的に溶媒を留去した後、結晶化を開始した。白色結晶を濾過によって収集し、真空乾燥炉内で40℃で乾燥した。S−ミルタザピンメタンスルホン酸塩の白色結晶2.09gが得られた(51%)。吸熱ピーク(DSC):208℃、XRPD及びss−NMR:結晶物質は主に1多形型である。
【0028】
6.S−ミルタザピントリフルオロ酢酸塩の結晶化
酢酸エチルに溶かしたS−ミルタザピン0.50gの溶液に、酢酸エチルに溶かしたトリフルオロ酢酸142μlの溶液を添加した。結晶化は自発的には開始しないので、溶媒はゆっくり留去した。溶媒を留去する間、塩は結晶化を開始した。これによって、S−ミルタザピントリフルオロ酢酸塩0.65gが生じた。吸熱ピーク:185℃。実施例10による実験において、この塩はこの説明の非昇華塩の定義によると非昇華塩ではないことがわかった。
【0029】
7.S−ミルタザピンフマル酸塩、S−ミルタザピン酢酸塩、S−ミルタザピンプロピオン酸塩及びS−ミルタザピンリン酸塩の凝固は成功しなかった。
【0030】
(実施例8)
これは、鏡像的に純粋なミルタザピンの調製方法における第1段階を示すためのものである。この実施例の塩は、薬剤使用には承認されない。
【0031】
S−ミルタザピン(+)−O,O−ジベンゾイル−D−酒石酸塩の結晶化
ミルタザピン(Org3770)23.33gをエノタール94mlに温度52℃で溶解した。エタノール(100%)132mlに溶かした(+)−O,O−ジベンゾイル−D−酒石酸水和物33.06gの濾過溶液をこの温めた溶液に添加した。次に、反応混合物を室温まで冷却した。種結晶をこの反応混合物に添加して、結晶化を開始した。19時間撹拌した後、結晶を濾過によって収集した。湿った結晶の収率は、25.7gで、e.e.は88.04%であった。この結晶をエタノール880mlに懸濁して、還流温度で溶解した。反応混合物を冷却すると、結晶化が開始した。16時間後、結晶を濾過によって収集した。湿った結晶の収率は、20.4gで、e.e.は98.9%であった。残存する母液は、(+)−O,O−ジベンゾイル−L−酒石酸と一緒にすることによってR−ミルタザピンを得るために使用することができる。
【0032】
9.HPLCによるS−ミルタザピン及び分解産物の測定
【0033】
【表1】

【0034】
10.昇華試験
試料(約10mg)を図1で例示した昇華試験装置の試料室に置いた。試料室内の温度は制御可能である。試料容器は減圧されており、初期設定では150mBarであった。試料室はまた、温度が約5℃である温度の低い部分(「コールドフィンガー(cold finger)」)から構成される。高温において試験試料中で昇華する物質の大部分は、このコールドフィンガー上で沈殿する。試験期間の72時間後、コールドフィンガー上の物質の量は、HPLC分析を使用して定量した。昇華の程度は、最初の試料の大きさのコールドフィンガー上の物質の画分(割合として)表される。さらに、錠剤「薬剤製品」からの活性化合物の昇華を試験した。
【0035】
結果
表1に、S−ミルタザピン、S−ミルタザピンHBr、S−ミルタザピンマレイン酸、S−ミルタザピンフマル酸及びこれらの化合物のいくつかを含有する錠剤の、いくつかの試験条件下での昇華結果を挙げる。
【0036】
【表2】

【0037】
【表3】

【0038】
【表4】

【0039】
昇華試験の結果は、使用した条件下で遊離塩基S−ミルタザピンが昇華することを示す。S−ミルタザピン臭化水素酸塩、S−ミルタザピンマレイン酸塩、及びS−ミルタザピンフマル酸塩は昇華しなかった。この差はまた、S−ミルタザピン、S−ミルタザピンHBr又はS−ミルタザピンマレイン酸を含有する錠剤で認められる。S−ミルタザピン及びS−ミルタザピンマレイン酸を含有する錠剤の安定性も測定された(表2及び4)。S−ミルタザピン含量は、遊離塩基S−ミルタザピンを含有する錠剤では減少することが明らかである。この減少は、おそらく昇華によるものであろう。S−ミルタザピンマレイン酸を含有する錠剤では、含量の減少は認められなかった。
【0040】
薬剤製品の化学的安定性はさらに、化学的分解産物の測定によって分析された。保存後の測定値を表4に示した。
【0041】
【表5】

【0042】
S−ミルタザピンマレイン酸を含有する錠剤では、含量の減少は認められなかったことに注意されたい。S−ミルタザピン若しくはS−ミルタザピンマレイン酸を含有する錠剤で見いだされた分解産物を表4に示した。この錠剤の処方は同様である(表3)。3ヶ月間40°/75%RHで保存したS−ミルタザピンマレイン酸を含有する錠剤では、分解産物の濃度が同期間保存した遊離塩基S−ミルタザピンを含有する錠剤よりも低かった。周囲温度60℃の条件下での損失は、マレイン酸塩ではそれほどでもなかったが、遊離塩基による処方では分解産物は約11%にも達した。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】昇華試験装置の概略図である。試料は管の底部に置き、この管は管の形状の栓によって上部が閉じられ、栓は、中に冷却した液体(CL)が循環しており、真空ポンプ(Vac)に連結した出口を有する。この管を一定温度(TC)に制御された密閉容器内に置く。昇華物(Subl)は、管内の栓の表面に蓄積することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミルタザピンが、薬剤として適切な非昇華及び固形の、ミルタザピンの塩として存在することを特徴とする、ミルタザピンの鏡像異性体を含む医薬製剤。
【請求項2】
前記塩がマレイン酸、臭化水素酸、フマル酸及びメタスルホン酸の塩から成るリストから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記塩がマレイン酸又はメタスルホン酸の塩であることを特徴とする、請求項2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
ミルタザピンの前記鏡像異性体がS−鏡像異性体であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬製剤塩。
【請求項5】
固形形態が、S−又はR−ミルタザピンの薬剤として適切な非昇華塩であることを特徴とする、固形形態のミルタザピンの鏡像異性体を含む医薬製剤の製造方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−533705(P2007−533705A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508904(P2007−508904)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【国際出願番号】PCT/EP2005/051714
【国際公開番号】WO2005/102352
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(398057282)ナームローゼ・フエンノートチヤツプ・オルガノン (93)
【Fターム(参考)】