説明

メガネ、情報処理装置、およびメガネの制御方法

【課題】ユーザに映像を立体視させるとともに、輻輳調節矛盾軽減用の光源が発する光をメガネ外部に漏らさないメガネを提供する。
【解決手段】映像表示装置100が、時分割で左目映像と右目映像を表示するとともに、上記時分割のタイミングに同期するシャッタ制御信号をシャッタ式メガネ150に送信する。シャッタ式メガネ150が、映像表示装置100から受信したシャッタ制御信号に基づいて、時分割で右目用シャッタと左目用シャッタとを開閉制御する。右目用シャッタが閉じられる場合に、シャッタ式メガネ150が、右目用光源から光を照射させるとともに左目用光源からの光の照射を停止させる。そして、左目用シャッタが閉じられる場合に、シャッタ式メガネ150が、左目用光源から光を照射させるとともに右目用光源からの光の照射を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メガネ、情報処理装置、およびメガネの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3D(次元)映像をユーザに視聴させるメガネが提案されている。メガネを装着したユーザが3D映像を視聴する際は、ユーザは、没入感を上げる為に周囲を暗くすることが多い。周囲が暗いと、ユーザの瞳孔径が広がる(散瞳)ので、焦点深度が浅くなる。その結果、ユーザの眼精疲労と違和感の原因である輻輳調節と焦点調節との不一致(輻輳調節矛盾)が顕著になる。
【0003】
輻輳調節矛盾を軽減させる方法として、光をユーザの目に当てて瞳孔を収縮(縮瞳)させることによりピントの合う範囲を広げることが考えられる。この方法によれば、輻輳調節と焦点調節とを一致させることができるので、ユーザの眼精疲労や違和感が軽減される。特許文献1は、作業者の瞳孔径を縮小させるための照明を備えるメガネを開示している。また、特許文献2は、ユーザの頭部に装着され、該ユーザの目に外光を入射させることによって、ユーザの瞳孔反応を誘発させる眼精疲労除去装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−51202号公報
【特許文献2】特開2007−29224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1が開示するメガネによっては、光源から発せられた光がメガネ外部に漏れてしまう。従って、例えばユーザがこのメガネを装着して映像を視聴する場合、メガネ外部に漏れた光の影響で映像が見えづらくなったり、この映像を視聴している他のユーザの視聴の妨げになったりする。また、特許文献2が開示する眼精疲労除去装置は、外光を取り入れてユーザの目に入射させるので、ユーザの周囲が暗い環境では、充分な光量の外光を取り入れることができない。
【0006】
本発明は、ユーザに映像を立体視させるとともに、輻輳調節矛盾軽減用の光源が発する光をメガネ外部に漏らさないメガネの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態のメガネは、ユーザに映像を立体視させるメガネであって、表示装置が表示する左目映像を前記ユーザの左目に透過し、右目映像を前記ユーザの右目に透過する映像透過手段と、前記メガネを装着したユーザの目に光を照射して瞳孔反応を誘発させる発光手段と、前記発光手段が前記ユーザの目に照射した光が前記ユーザの目と前記映像透過手段との間の領域から前記メガネ外部に漏れることを防止する光漏れ防止制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明のメガネによれば、ユーザに映像を立体視させるとともに、メガネが備える輻輳調節矛盾軽減用の光源が発する光をメガネ外部に漏らさないようにすることができる。従って、ユーザが視聴する映像や、この映像を視聴する他のユーザへの影響を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例1の情報処理装置の構成を示す図である。
【図2】シャッタ式メガネの外観を説明する図である。
【図3】シャッタ式メガネの全体動作処理を説明するフローチャートである。
【図4】シャッタの開閉と光源の点灯・消灯のタイミングを説明する図である。
【図5】A期間乃至D期間におけるシャッタ式メガネの動作状態を示す図である。
【図6】本発明の実施例2の情報処理装置の構成を示す図である。
【図7】偏光メガネからの光の漏れの防止を説明する図である。
【図8】偏光メガネをユーザの顔側から見た場合の図を示す。
【図9】図8に示す偏光メガネのA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の実施例1の情報処理装置の構成を示す図である。図1に示す情報処理装置は、映像表示装置100とシャッタ式メガネ150とを備える。映像表示装置100は、時分割で左目映像と右目映像とを交互に表示する。左目映像は、左目から見た映像である。右目映像は、右目から見た映像である。すなわち、左目映像と右目映像とは、視差を有する。シャッタ式メガネ150は、本実施例のメガネである。シャッタ式メガネ150は、映像表示装置100が表示する左目映像をユーザの左目に透過し、右目映像をユーザの右目に透過させることを通じて、ユーザに映像を立体視させる。
【0011】
映像表示装置100は、入力部101、映像処理部102、出力部103、表示部104、同期制御部105、赤外線信号送信部106を備える。入力部101は、図示しない外部機器または映像表示装置100内の映像蓄積部から取得した3D映像信号を入力する。入力部101は、3D映像信号を映像処理部102に出力する。3D映像信号は、左目映像と、右目映像と、時分割同期信号とを含む。時分割同期信号は、左目映像と右目映像とを時分割するタイミングを示す同期信号である。
【0012】
映像処理部102は、3D映像信号から、左目映像と、右目映像と、時分割同期信号とを分離する。出力部103は、分離された左目映像、右目映像を、それぞれ表示部104に表示するのに適合する形式の信号に変換して表示部104に出力する。また、出力部103は、分離された時分割同期信号を表示部104に出力する。表示部104は、左目映像と右目映像とを時分割で表示する。すなわち、表示部104は、時分割同期信号が示すタイミングに従って、左目映像と右目映像とを交互に表示画面に表示する。
【0013】
同期制御部105は、映像処理部が分離した時分割同期信号に基づいて、シャッタ制御信号を生成する。シャッタ制御信号は、シャッタ式メガネ150が備える左右のシャッタの開閉を制御する制御信号である。この例では、左右のシャッタは、液晶シャッタである。同期制御部105は、時分割同期信号が示すタイミング、つまり表示部104による左目映像と右目映像との表示の切り替えタイミングに同期するシャッタ制御信号を生成する。例えば、同期制御部105は、表示部104が左目映像を表示している期間は右のシャッタが閉じて左のシャッタが開き、右目映像を表示している期間は左のシャッタが閉じて右のシャッタが開くようにするシャッタ制御信号を生成する。赤外線信号送信部106は、同期制御部105が生成したシャッタ制御信号を、赤外線を用いた無線通信によって、シャッタ式メガネ150の赤外線信号受信部151に送信する。
【0014】
シャッタ式メガネ150は、赤外線信号受信部151、シャッタ制御部152、シャッタ駆動部153、シャッタ部154、光源制御部155、光源駆動部156、光源部157、調整部158を備える。また、シャッタ式メガネ150は、シャッタ式メガネ150全体を制御する図示しない制御装置(この例ではCPU)を備える。
【0015】
赤外線信号受信部151、シャッタ制御部152、シャッタ駆動部153、光源制御部155、光源駆動部156、および調整部158は、以下の処理を行う光漏れ防止制御手段として機能する。この光漏れ防止制御手段は、光源部157がユーザの目に照射した光がユーザの目とシャッタ部154との間の領域からシャッタ式メガネ外部に漏れることを防止する。
【0016】
赤外線信号受信部151は、映像表示装置100の赤外線信号送信部106からシャッタ制御信号を受信する制御信号受信手段として機能する。赤外線信号受信部151は、受信したシャッタ制御信号をシャッタ制御部152と光源制御部155とに渡す。シャッタ制御部152は、赤外線信号受信部151から渡されたシャッタ制御信号をシャッタ駆動波形に変換して、シャッタ駆動部153に渡す。シャッタ駆動波形は、シャッタ部154が備える左右のシャッタを開閉するタイミングを示す波形である。
【0017】
シャッタ駆動部153は、シャッタ制御部152から渡されたシャッタ駆動波形に基づいて、シャッタ部154を駆動させ、左右のシャッタを交互に開閉させる。すなわち、シャッタ制御部152およびシャッタ駆動部153は、シャッタ制御信号に基づいて、時分割で左右のシャッタを開閉制御するシャッタ制御手段として機能する。
【0018】
シャッタ部154は、左右のシャッタ、すなわち、図2(B)に示す左目用シャッタ158Lと右目用シャッタ158Rとを備える。左目用シャッタ158Lは、シャッタ式メガネ150を装着したユーザの左目に対向し、映像表示装置100が表示する左目映像をユーザの左目に透過する。
【0019】
右目用シャッタ158Rは、シャッタ式メガネ150を装着したユーザの右目に対向し、映像表示装置100が表示する右目映像をユーザの右目に透過する。従って、シャッタ部154は、映像表示装置100が表示する映像をユーザの目に透過する映像透過手段として機能する。
【0020】
光源制御部155は、赤外線信号受信部151から渡されたシャッタ制御信号と、調整部158が入力した調整情報とに基づいて、光源制御信号を生成する。光源制御信号は、光源部157が備える左右の光源を発光させる制御信号である。また、調整情報は、光源制御信号のデューティ比を決める信号を示すである。このデューティ比により、光源からの発せられる光の明るさが決まる。調整情報が示す信号は、シャッタ制御信号の周波数より遥かに高い周波数でPWM(Pulse Width Modulation)制御されている。
【0021】
光源制御部155は、生成した光源制御信号を、光源制御波形に変換して、光源駆動部156に渡す。光源制御波形は、光源部157が備える左右の光源を点灯・消灯するタイミングを示す波形である。光源駆動部156は、光源制御部155から渡された光源制御波形に基づいて、光源部157を駆動させ、左右の光源を交互に発光させる。光源部157は、左右の光源、すなわち、図2(B)に示す左目用光源157Lと右目用光源157Bとを備える発光手段である。
【0022】
左目用光源157Lは、シャッタ式メガネ150を装着したユーザの左目に光を照射する。右目用光源157Rは、シャッタ式メガネ150を装着したユーザの右目に光を照射する。これにより、ユーザの目の瞳孔反応を誘発させ、輻輳調節矛盾が軽減される。すなわち、左目用光源157Lと右目用抗原157Rとは、輻輳調節矛盾軽減用の光源である。本実施例のメガネの制御方法は、図1に示すシャッタ式メガネ150が備える処理部の機能によって実現される。
【0023】
図2はシャッタ式メガネの外観を説明する図である。図2(A)は、シャッタ式メガネ150の斜視図を示す。シャッタ式メガネ150は、ユーザが装着したときにユーザの顔面と密着する形状(例えば、ゴーグルのような形状)を有する。また、赤外線受信部151は、例えば、図2(A)中に示すように、シャッタ式メガネの前面に設けられている。これにより、赤外線受信部151が映像表示装置100側に向く。
【0024】
図2(B)は、シャッタ式メガネをユーザの顔側から見た場合の図を示す。左目用光源157Lは、ユーザの左目に効率よく光を照射できる位置に設けられる。図2(B)に示す例では、左目用光源157Lは、シャッタ式メガネ150のリムの内側(ユーザの顔側)であって、左目用シャッタ158Lの直上に設けられる。シャッタ式メガネ150のリムは、左右のシャッタを囲む縁である。
【0025】
また、右目用光源157Rは、ユーザの右目に効率よく光を照射できる位置に設けられる。図2(B)に示す例では、右目用光源157Rは、シャッタ式メガネ150のリムの内側であって、右目用シャッタ158Rの直上に設けられる。また、ブリッジ300は、光を遮る遮光手段である。
【0026】
ブリッジ300は、シャッタ式メガネ150を装着したユーザの左目と左目用シャッタ158Lとの間に形成される領域(左側領域)と、該ユーザの右目と右目用シャッタ158Rとの間に形成される領域(右側領域)との間に設けられる。ブリッジ300は、ユーザによるシャッタ式メガネ150の装着時に眉間に密着し遮光できる形状を有する。これにより、左目用光源157Lから照射された光は、右側領域に漏れない。また、右目用光源157Rから照射された光は、左側領域に漏れない。
【0027】
図3は、シャッタ式メガネの全体動作処理を説明するフローチャートである。シャッタ式メガネ150が備えるCPUが、図3に示すフローチャートに従った処理を実行する。まず、シャッタ式メガネ150が、映像表示装置100からシャッタ制御信号を受信したかを判断する(ステップS1)。シャッタ式メガネ150が、映像表示装置100からシャッタ制御信号を受信していない場合は、ステップS1に戻る。シャッタ式メガネ150が、映像表示装置100からシャッタ制御信号を受信した場合は、ステップS2に進む。
【0028】
次に、シャッタ式メガネ150が、ユーザ操作によって疲労軽減モードが選択されているかを確認する(ステップS2)。疲労軽減モードは、光源からユーザの目に光を照射することによってユーザの眼精疲労を軽減させる動作モードである。疲労軽減モードが選択されていない場合は、シャッタ式メガネ150は、シャッタ動作を行い(ステップS4)、ステップS5に進む。シャッタ動作は、左目用シャッタ158Lと右目用シャッタ158とを開閉制御する動作である。疲労軽減モードが選択されている場合は、シャッタ式メガネ150は、シャッタ動作を行うとともに、シャッタ動作に同期させて光源発光動作を行い(ステップS3)、ステップS5に進む。
【0029】
次に、シャッタ式メガネ150が、電源または映像表示装置100から受信するシャッタ制御信号がOFFであるかを判断する(ステップS5)。電源または映像表示装置100から受信するシャッタ制御信号がOFFである場合は、動作を終了する。電源または映像表示装置100から受信するシャッタ制御信号がOFFでない場合は、ステップS2に戻る。
【0030】
図4は、シャッタの開閉と光源の点灯・消灯のタイミングを説明する図である。図4(A)は、左目用シャッタ158Lの開閉タイミングを示す。図4(B)は、右目用シャッタ158Rの開閉タイミングを示す。図4(C)は、左目用光源157Lの点灯・消灯のタイミングを示す。図4(D)は、右目用光源157Rの点灯・消灯のタイミングを示す。図4(E)は、映像表示装置の表示部104が表示画面に表示する映像の切り替えタイミングを示す。図4(F)は、シャッタ制御信号を示す。
【0031】
図4中のA期間は、表示部104が映像を表示していない期間である。表示部104が動作を開始すると、図4(E)に示すように、表示画面に左目映像が表示される。C期間は、左目映像が表示される期間である。C期間が終了すると、B期間が開始する。B期間は、左目用シャッタ158Lおよび右目用シャッタ158Rの双方が閉じているブランキング期間である。
【0032】
ブランキング期間は、左目映像と右目映像とが同期間にユーザの目に映ることのないように、予め決められている。ブランキング期間は、例えばHD画像の場合、約1.13ms(170ライン分)である。ブランキング期間(B期間)において左目用シャッタ158Lおよび右目用シャッタ158Rの双方が閉じることによって、クロストークを防ぐことができる。また、B期間中は、表示部104は、左目映像と右目映像とを表示画面に表示しない。
【0033】
B期間の終了後、D期間が開始する。D期間は、右目映像が表示される期間である。そして、D期間が終了すると、またB期間を挟み、C期間になる。そして、B期間を挟み、D期間になる。以上説明したように、A期間の後、C期間乃至D期間が繰り返される。なお、C期間とD期間の順序は入れ替わってもよい。また、B期間が設けられていなくてもよい。
【0034】
図4(F)に示すように、シャッタ制御信号は、High(図中ではHと記載)またはLow(図中ではLと記載)の2レベルの信号である。HighとLowの周期は、時分割同期信号に基づいている。シャッタ制御部152は、シャッタ制御信号の立ち上がり、立ち下りを検出し、検出結果に基づいてシャッタ駆動波形を生成する。シャッタ制御信号の立ち上がりは、シャッタ制御信号のレベルがLowからHighになることである。シャッタ制御信号の立ち下がりは、シャッタ制御信号のレベルがHighからLowになることである。
【0035】
シャッタ駆動部153は、このシャッタ駆動波形に従って、シャッタ制御信号の立ち下がり時に右目用シャッタ158Rが閉じ、B期間後に左目シャッタ158Lが開くようにシャッタ部154を制御する。また、シャッタ駆動部153は、このシャッタ駆動波形に従って、シャッタ制御信号の立ち上がり時に左目用シャッタ158Lが閉じ、B期間後に右目用シャッタ158Rが開くようにシャッタ部154を制御する。
【0036】
また、光源制御部155は、シャッタ制御信号の立ち上がり、立ち下りを検出し、検出結果と、調整情報とに基づいて、光源制御信号を生成する。光源制御部155は、生成した光源制御信号を光源制御波形に変換して、光源駆動部156に渡す。光源駆動部156は、この光源制御波形に従って、シャッタ制御信号の立ち下がり時に右目用光源157Rが発光(点灯)し、B期間後に左目用光源Lが発光を停止(消灯)するように光源部157を制御する。
【0037】
また、光源駆動部156は、この光源制御波形に従って、シャッタ制御信号の立ち上がり時に左目用光源157Lが発光(点灯)し、B期間後に右目用光源157Rが発光を停止(消灯)するように光源部157を制御する。
【0038】
すなわち、光源制御部155および光源駆動部156は、以下の処理を行う光源制御手段として機能する。この光源制御手段は、シャッタ制御信号に基づいて、右目用シャッタ158Rまたは左目用シャッタ158Lが閉じられるかを判断する。具体的には、光源制御手段は、シャッタ制御信号の立ち上がりを検知した場合に、左目用シャッタ158Lが閉じられると判断する。
【0039】
光源制御手段は、シャッタ制御信号の立ち下がりを検知した場合に、右目用シャッタ158Rが閉じられると判断する。そして、光源制御手段は、右目用シャッタ158Rが閉じられる場合に、右目用光源157Rから光を照射させるとともに左目用光源157Lからの光の照射を停止させる。光源制御手段は、左目用シャッタ158Lが閉じられる場合に、左目用光源157Lから光を照射させるとともに右目用光源157Rからの光の照射を停止させる。
【0040】
図5は、図4に示すA期間乃至D期間におけるシャッタ式メガネの動作状態を示す図である。図5(A)は、A期間における、映像の表示状態とシャッタ式メガネの動作状態を示す。A期間においては、表示部104は、映像を表示していない。また、左目用光源157L、右目用光源157Rは、共に発光を停止している。また、左目用シャッタ158L、右目用シャッタ158Rは、共に開いている。
【0041】
図5(B)は、B期間における、映像の表示状態とシャッタ式メガネの動作状態を示す。B期間においては、表示部104は、左目映像または右目映像を表示しているか、もしくは映像を表示していない。また、左目用光源157L、右目用光源157Rは、共に発光している。また、左目用シャッタ158L、右目用シャッタ158Rは、共に閉じている。
【0042】
従って、左目用光源157Lから左目に照射される光は、閉じている左目用シャッタ158Lによって遮光され、シャッタ式メガネ150の外部に漏れない。また、右目用光源157Rから右目に照射される光は、閉じている右目用シャッタ158Rによって遮光され、シャッタ式メガネ150の外部に漏れない。
【0043】
図5(C)は、C期間における、映像の表示状態とシャッタ式メガネの動作状態を示す。C期間においては、表示部104は、左目映像を表示している。また、左目用光源157Lは発光を停止しており、右目用光源157Rは発光している。また、左目用シャッタ158Lは開いており、右目用シャッタ158Rは閉じている。従って、右目用光源157Rから右目に照射される光は、閉じている右目用シャッタ158Rによって遮光され、シャッタ式メガネ150の外部に漏れない。
【0044】
図5(D)は、D期間における、映像の表示状態とシャッタ式メガネの動作状態を示す。D期間においては、表示部104は、右目映像を表示している。また、左目用光源157Lは発光しており、右目用光源157Rは発光を停止している。また、左目用シャッタ158Lは閉じており、右目用シャッタ158Rは開いている。従って、左目用光源157Lから左目に照射される光は、閉じている左目用シャッタ158Lによって遮光され、シャッタ式メガネ150の外部に漏れない。
【0045】
すなわち、シャッタ式メガネ150は、右目用シャッタ158Rが閉じるタイミングで右目用光源157Rを発光させる(図5(C)を参照)。また、シャッタ式メガネ150は、左目用シャッタ158Lが閉じるタイミングで左目用光源157Lを発光させる(図5(D)を参照)。従って、映像が見えていない側の目に光源からの光が入り、この光源からの光がシャッタにより遮光される。
【0046】
以上説明したシャッタ式メガネ150によれば、ユーザに映像を立体視させるとともに、輻輳調節矛盾軽減用の光源が発する光をメガネ外部に漏らさないようにすることができる。その結果、ユーザが視聴する映像や、この映像を視聴する他のユーザへの影響を抑えることができる。
【0047】
なお、本実施例では、シャッタが閉じている側つまり映像が見えていない側の目に光源の光が入り瞳孔の収縮を誘発するが、人間の反射である間接対光反射によって反対側の目つまり映像が見えている側の目の瞳孔も収縮する。従って、ユーザが見ている映像に影響を与えず瞳孔を収縮させることができる。特に、光源として波長が600nm以上かつ可視光線の範囲内である主に赤色の光源を用いた場合、網膜上の視細胞内のロドプシンの分解が抑えられ明順応を遅らせることができるので、映像に与える影響をより少なくすることができる。
【0048】
図6は、本発明の実施例2の情報処理装置の構成を示す図である。図6に示す情報処理装置は、映像表示装置200と偏光メガネ160とを備える。映像表示装置200は、互いに直交する偏光がかけられた左目映像と右目映像とを合成して表示画面に表示する。映像表示装置200がかける偏光は直線偏光であっても円偏光であってもよい。
【0049】
偏光メガネ160は、本実施例のメガネである。偏光メガネ160は、映像表示装置200が表示する映像に含まれる左目映像をユーザの左目に透過し、右目映像をユーザの右目に透過させることを通じて、映像表示装置200が表示する映像をユーザに立体視させる。
【0050】
映像表示装置200は、入力部111、映像処理部112、出力部113、表示部114を備える。入力部111は、左目映像と右目映像とを入力する。映像処理部112は、入力された左目映像と右目映像とを、ラインバイライン方式またはサイドバイサイド方式で合成し、合成映像を出力部113に入力する。表示部114は、入力された合成映像に偏光をかけて表示画面に表示する。
【0051】
具体的には、表示部114は、合成映像に含まれる左目映像に垂直方向または水平方向のいずれかの偏光方向の偏光をかける。また、表示部114は、左目映像にかけられた偏光の偏光方向と直交する方向の偏光を右目映像にかける。このために、表示部114は、映像に垂直方向の偏光をかける偏光子と、映像に水平方向の偏光をかける偏光子とを備える。
【0052】
偏光メガネ160は、調整部401、光源制御部402、左光源駆動部403、右光源駆動部404、左目用光源405、右目用光源406、左偏光子407、右偏光子408、左偏光レンズ409、右偏光レンズ410を備える。そして、本実施例のメガネの制御方法は、図6に示す偏光メガネ160が備える処理部の機能によって実現される。
【0053】
調整部401は、ユーザの操作に従って、左目用光源405と右目用光源406の光量等を調整する調整情報を入力する。光源制御部402は、調整部401が入力した調整情報に基づいて光源制御信号を生成する。光源制御信号は、左光源駆動部403と右光源駆動部404とを駆動制御する制御信号である。光源制御信号はフリッカを感じない程度の周波数でPWM制御されている。光源制御信号のデューティ比で光源の明るさが調整される。
【0054】
左光源駆動部403は、光源制御部402が生成した光源制御信号に基づいて、左目用光源405から、ユーザの瞳孔反応を誘発させる光を照射させる。また、右光源駆動部404は、光源制御部402が生成した光源制御信号に基づいて、右目用光源406から、ユーザの瞳孔反応を誘発させる光を照射させる。すなわち、左目用光源405および右目用光源406は、偏光メガネ160を装着したユーザの目に光を照射して瞳孔反応を誘発させる発光手段として機能する。
【0055】
左偏光レンズ409は、偏光メガネ160を装着したユーザの左目に対向するレンズである。左偏光レンズ409は、映像表示装置200が表示した合成画像に偏光をかけ、合成画像に含まれる左目映像だけを透過する。すなわち、左偏光レンズ409は、合成画像に含まれる左目映像を透過し、右目映像を透過しない第1の偏光方向を有する。
【0056】
右偏光レンズ410は、偏光メガネ160を装着したユーザの左目に対向するレンズである。右偏光レンズ410は、映像表示装置200が表示した合成画像に偏光をかけ、合成画像に含まれる右目映像だけを透過する。すなわち、右偏光レンズ410は、合成画像に含まれる右目映像を透過し、左目映像を透過しない第2の偏光方向を有する。
【0057】
上述したことから、左偏光レンズ409および右偏光レンズ410は、表示装置が表示する左目映像をユーザの左目に透過し、右目映像をユーザの右目に透過する映像透過手段として機能する。なお、左偏光レンズ409、右偏光レンズ410がかける偏光は、直線偏光であっても円偏光であってもよい。
【0058】
左偏光子407および右偏光子408は、以下の処理を行う光漏れ防止制御手段として機能する。この光漏れ防止制御手段は、発光手段である左目用光源405および右目用光源406がユーザの目に照射した光がユーザの目と左偏光レンズ409および右偏光レンズ410との間の領域から偏光メガネ外部に漏れることを防止する。
【0059】
左偏光子407は、左目用光源405とユーザの左目との間に設けられている。左偏光子407は、該左目用光源405が照射する光に、左偏光レンズ409が有する第1の偏光方向と直交する方向(例えば、水平方向)の偏光をかける第1の偏光部として機能する。右偏光子408は、右目用光源406とユーザの右目との間に設けられている。
【0060】
右偏光子408は、該右目用光源406が照射する光に、右偏光レンズ410が有する第2の偏光方向と直交する方向(例えば、垂直方向)の偏光をかける第2の偏光部として機能する。なお、左偏光子407、右偏光子408がかける偏光は、直線偏光であっても円偏光であってもよい。
【0061】
図7は、偏光メガネからの光の漏れの防止を説明する図である。図7では、説明の便宜上、左偏光子407、左偏光レンズ409、右偏光子408、右偏光レンズ410を模式的に表現している。左目用光源405が照射した光と右目用光源406が照射した光とは、不規則にあらゆる方向に振動している。左偏光子407は、左目用光源405が照射した光を所定の偏光方向(例えば水平方向)に偏光して左偏光光とする。この左偏光光がユーザの左目に照射することによって、瞳孔反応を誘発させる。左偏光子407は、左偏光レンズ409が有する偏光方向と直交する方向の偏光をかけるので、左偏光光は、左偏光レンズ409によって遮光される。従って、左偏光光が偏光メガネ160の外部に漏れることを防止できる。
【0062】
また、右偏光子408は、右目用光源406が照射した光を所定の偏光方向(例えば垂直方向)に偏光して右偏光光とする。この右偏光光がユーザの左目に照射することによって、瞳孔反応を誘発させる。右偏光子408は、右偏光レンズ410が有する偏光方向と直交する方向の偏光をかけるので、右偏光光は、右偏光レンズ410によって遮光される。従って、右偏光光が偏光メガネ160の外部に漏れることを防止できる。
【0063】
図8は、偏光メガネをユーザの顔側から見た場合の図を示す。左目用光源405と左偏光子407とは、左目用光源405が照射した光が左偏光子407によって偏光されてユーザの左目に効率良く照射される位置に設けられている。つまり、左偏光子407は、左目用光源405が照射した全ての光を偏光可能な位置に設けられている。
【0064】
図8に示す例では、左目用光源405と左偏光子407とは、偏光メガネ160のリムの内側(ユーザの顔側)であって、左偏光レンズ409の直上に設けられる。右目用光源406と右偏光子408とは、右目用光源406が照射した光が右偏光子408によって偏光されてユーザの右目に効率良く照射される位置に設けられている。つまり、右偏光子408は、右目用光源406が照射した全ての光を偏光可能な位置に設けられている。
【0065】
図8に示す例では、右目用光源406と右偏光子408とは、偏光メガネ160のリムの内側であって、右偏光レンズ410の直上に設けられる。また、ブリッジ500は、光を遮る遮光手段である。ブリッジ500は、偏光メガネ160を装着したユーザの左目と左偏光レンズ409との間に形成される領域と、該ユーザの右目と右偏光レンズ410との間に形成される領域との間に設けられる。ブリッジ500は、ユーザによる偏光メガネ160の装着時に眉間に密着し遮光できる形状を有する。
【0066】
図9は、図8に示す偏光メガネのA−A線断面図である。図9に示すように、左目用光源405と左偏光子407とは、ユーザの左目が左偏光レンズ409を透過して表示装置を見る際に視線を遮らず、ユーザの目に光を照射しやすい位置に設けられている。
【0067】
以上説明した偏光メガネ160によれば、ユーザに映像を立体視させるとともに、メガネが備える輻輳調節矛盾軽減用の光源が発する光をメガネ外部に漏らさないようにすることができる。
【0068】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0069】
100 映像表示装置
150 シャッタ式メガネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに映像を立体視させるメガネであって、
表示装置が表示する左目映像を前記ユーザの左目に透過し、右目映像を前記ユーザの右目に透過する映像透過手段と、
前記メガネを装着したユーザの目に光を照射して瞳孔反応を誘発させる発光手段と、
前記発光手段が前記ユーザの目に照射した光が前記ユーザの目と前記映像透過手段との間の領域から前記メガネ外部に漏れることを防止する光漏れ防止制御手段とを備える
ことを特徴とするメガネ。
【請求項2】
前記映像透過手段は、前記メガネを装着したユーザの左目に対向する左目用シャッタと、該ユーザの右目に対向する右目用シャッタとを備え、
前記発光手段は、前記メガネを装着したユーザの左目に光を照射する左目用光源と、該ユーザの右目に光を照射する右目用光源とを備え、
前記表示装置は、時分割で前記左目映像と前記右目映像を表示するとともに、該時分割のタイミングに同期する制御信号を前記メガネに対して送信し、
前記光漏れ防止制御手段は、
前記制御信号を受信する制御信号受信手段と、
前記制御信号に基づいて、時分割で前記右目用シャッタと前記左目用シャッタとを開閉制御するシャッタ制御手段と、
前記制御信号に基づいて、前記右目用シャッタまたは前記左目用シャッタが閉じられるかを判断し、前記右目用シャッタが閉じられる場合に、前記右目用光源から光を照射させるとともに前記左目用光源からの光の照射を停止させ、前記左目用シャッタが閉じられる場合に、前記左目用光源から光を照射させるとともに前記右目用光源からの光の照射を停止させる光源制御手段とを備える
ことを特徴とする請求項1に記載のメガネ。
【請求項3】
前記メガネを装着した前記ユーザの左目と前記左目用シャッタとの間に形成される領域と、該ユーザの右目と前記右目用シャッタとの間に形成される領域との間に、光を遮る遮光手段が設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載のメガネ。
【請求項4】
前記表示装置が表示する前記左目映像と前記右目映像とは、互いに直交する偏光方向を有し、
前記映像透過手段は、
前記メガネを装着したユーザの左目に対向するレンズであって、前記左目映像を透過し、前記右目映像を透過しない第1の偏光方向を有する左偏光レンズと、
前記メガネを装着したユーザの右目に対向するレンズであって、前記右目映像を透過し、前記右目映像を透過しない第2の偏光方向を有する右偏光レンズとを備え、
前記発光手段は、前記メガネを装着したユーザの左目に光を照射する左目用光源と、該ユーザの右目に光を照射する右目用光源とを備え、
前記光漏れ防止制御手段は、
前記左目用光源と前記ユーザの左目との間に設けられ、該左目用光源が照射する光に、前記第1の偏光方向と直交する方向の偏光をかける第1の偏光手段と、
前記右目用光源と前記ユーザの右目との間に設けられ、該右目用光源が照射する光に、前記第2の偏光方向と直交する方向の偏光をかける第2の偏光手段とを備える
ことを特徴とする請求項1に記載のメガネ。
【請求項5】
前記メガネを装着した前記ユーザの左目と前記左偏光レンズとの間に形成される領域と、該ユーザの右目と前記右偏光レンズとの間に形成される領域との間に、光を遮る遮光手段が設けられている
ことを特徴とする請求項4に記載のメガネ。
【請求項6】
左目映像と右目映像とを表示する表示装置と、
ユーザに映像を立体視させるメガネとを備え、
前記メガネは、
前記表示装置が表示する左目映像を前記ユーザの左目に透過し、右目映像を前記ユーザの右目に透過する映像透過手段と、
前記メガネを装着したユーザの目に光を照射して瞳孔反応を誘発させる発光手段と、
前記発光手段が前記ユーザの目に照射した光が前記ユーザの目と前記映像透過手段との間の領域から前記メガネ外部に漏れることを防止する光漏れ防止制御手段とを備える
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
ユーザに映像を立体視させるメガネの制御方法であって、
前記メガネが備える映像透過手段が、表示装置が表示する左目映像を前記ユーザの左目に透過し、右目映像を前記ユーザの右目に透過する工程と、
前記メガネが備える発光手段が、前記メガネを装着したユーザの目に光を照射して瞳孔反応を誘発させる工程と、
前記メガネが備える光漏れ防止制御手段が、前記発光手段が前記ユーザの目に照射した光が前記ユーザの目と前記映像透過手段との間の領域から前記メガネ外部に漏れることを防止する工程とを有する
ことを特徴とするメガネの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−83657(P2012−83657A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231687(P2010−231687)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】