説明

メソポーラスアルミノシリケートの合成方法

【課題】 メソポーラスアルミノシリケートを短時間で容易に製造する。
【解決手段】 下記の工程(a)〜(d)からなるメソポーラスアルミノシリケートの合成方法。
(a)(I)シリカ源、(II)アルミナ源、および(IV)水からなり、(I)シリカ源のSiO21モルに対して、(II)アルミナ源がAl23として0.001〜0.05モル、(IV)水がH2Oとして20〜200モル、の組成範囲のメソポーラスアルミノシリケート合成用ゲルを調合する工程
(b)メソポーラスアルミノシリケート合成用ゲルを120〜250℃で水熱処理してメソポーラスアルミノシリケート合成前駆体を調製する工程
(c)メソポーラスアルミノシリケート合成前駆体に、(I)シリカ源のSiO21モルに対して、(V)有機構造規制剤0.1〜1モル、(IV)水が30〜300モル、の組成範囲となるように(V)有機構造規制剤、または(V)有機構造規制剤と(IV)水を加え、100〜200℃で水熱処理する工程
(d)メソポーラスアルミノシリケートを分離する工程

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なメソポーラスアルミノシリケートの合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メソポーラス材料は、細孔直径が2〜10nmの規則的細孔を有しており、いくつかの構造の異なる材料が報告されている。たとえば、構造規制剤(SDA)として、例えば、臭化トリメチルセチルアンモニウム(以下、CTMABrと略する)を用いるMCM−41、CTMABrおよび非イオン性界面活性剤であるBriJ30(エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーEOmPOnEOm(m=33〜70,n=5〜26))を用いるMCM−48、臭化ジセチルジメチルアンモニウムを用いるSBA−15などがその代表的なものである。
【0003】
これらのメソポーラス材料は、ゼオライト(結晶性アルミノシリケート)のミクロ細孔(細孔直径約3〜8Å)より大きい細孔(細孔直径2〜10nm)を有し、高比表面積で、耐熱性が高いなどの特徴を有することからこれらの特性を活かした材料として、ゼオライトでは対応できない嵩高い材料の合成が可能な触媒担体、酵素担体、錯体の固定化剤、各種の有機物無機物のホスト、吸着剤、等の新しい用途の開発が期待されてきた。
しかし、メソポーラス材料は基本的構造が不定形ガラス構造であり、結晶性がないことから、機械的強度、水熱安定性等が低い等の問題点が明らかになってきた。
【0004】
また、アルミニウムなどの酸性発現物質でメソポーラス材料の合成時にまたは合成後修飾する方法により導入した固体酸性は、固体酸触媒として各種の反応を円滑に進行させるには、酸性度が低すぎる等の問題点があった(非特許文献1:C. T. Kresge, M. E. Leonowicz, W. J. Roth, J. C. Vartuli, J. S. Beck, Nature、1992年、359巻、22号、710頁)。
【0005】
これらのメソポーラス材料の問題点を解決するために、メソポーラス材料の細孔壁にゼオライト構造を導入する試みが幾つか提案されている。それらの幾つかを列挙すれば次の通りである。
【0006】
(1)ゼオライト構造とメソポーラス材料を誘起する2種類の構造誘導剤を導入し、低温でゼオライト前駆体を生成させ、次いでpH調整の後、さらに高温で水熱処理する方法(非特許文献2:A. Sakthivel, S. J. Huang, W. H. Chen, Z. H. Lan, K. H. Chen, H.P. Lin, C. Y. Mou, S. B. Liu, Adv. Funct. Mater.,2005年、15巻、253頁)
(2)ゼオライトのアルカリ溶出により生成したゼオライト前駆体を用いてメソポーラス材料を調製する方法(非特許文献3:S. Inagaki, M. Ogura, T.Inami, Y. Sasaki, E. Kikuchi, M. Matsukata, Micropours and Mesoporoua Materials, 2004年、74巻、163頁)
(3)カチオン性界面活性剤を用いてコロイダルフォージャサイト型ゼオライト(FAU)をMCM-41に変換する方法
【0007】
しかし、これらは、調製過程が複雑であり、また、構造規則性の問題がある等、実用的な合成とは言えないものが多い。また、従来の合成方法では結晶化時間に長時間を要し、この点でも実用性に欠ける点があった。
【0008】
【非特許文献1】C. T. Kresge, M. E. Leonowicz, W. J. Roth, J. C. Vartuli, J. S. Beck, Nature 1992年、359巻、22号、710頁
【非特許文献2】A. Sakthivel, S. J. Huang, W. H. Chen, Z. H. Lan, K. H. Chen, H.P. Lin, C. Y. Mou, S. B. Liu, Adv. Funct. Mater.,2005年、15巻、253頁
【非特許文献3】S. Inagaki, M. Ogura, T.Inami, Y. Sasaki, E. Kikuchi, M. Matsukata, Micropours and Mesoporoua Materials, 2004年、74巻、163頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明者らは、これらの問題点を解決し、水熱安定性および機械的強度に優れ、かつ高い固体酸性を有するメソポーラス材料の創製を目指し、研究を進めた結果、まず、有機構造規制剤の存在しない条件下で所定の組成のメソポーラスアルミノシリケート合成用ゲルを調製し、ついで、190℃で水熱処理してメソポーラスアルミノシリケート合成前駆体を調製し、冷却後、メソポーラス構造の有機構造規制剤であるハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム(RMe3NX、但し、R:C10-18)を所定量添加し150℃でさらに水熱処理することにより短時間でゼオライト構造単位(ZBU)を有するMCM−41型メソポーラス材料を合成できることを見いだして本発明を完成するに至った。
【0010】
また、有機構造規制剤(RMe3NX)とともにエタノ−ルを共存させることによりゼオライト構造単位(ZBU)を有するMCM−48型メソポーラス材料を合成できることを見いだして本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は従来のゼオライトでは実質的に不活性な分子量の大きな反応物、生成物の関与する触媒反応、酵素反応、固定化錯体反応等に好適に用いることのできるゼオライト骨格を有するメソポーラスアルミノシリケートの新規な製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のメソポーラスアルミノシリケートの合成方法は、下記の工程(a)〜(d)からなることを特徴とする。
(a)(I)シリカ源、(II)アルミナ源、および(IV)水からなり、下記の組成範囲のメソポーラスアルミノシリケート合成用ゲルを調合する工程
[(I)シリカ源のSiO21モルに対して、(II)アルミナ源がAl23として0.001〜0.05モル、(IV)水がH2Oとして20〜200モル]
(b)メソポーラスアルミノシリケート合成用ゲルを120〜250℃で水熱処理してメソポーラスアルミノシリケート合成前駆体を調製する工程
(c)メソポーラスアルミノシリケート合成前駆体に、下記の組成範囲となるように(V)有機構造規制剤、または(V)有機構造規制剤と(IV)水を加え、100〜200℃で水熱処理する工程
[(I)シリカ源のSiO21モルに対して、(V)有機構造規制剤0.1〜1モル、(IV)水が30〜300モル]
(d)メソポーラスアルミノシリケートを分離する工程
【0013】
前記工程(a)の組成範囲に、(I)シリカ源のSiO21モルに対して、更に(III)アルカリ源をM2O(Mはアルカリ金属を示す)として0.02〜1.0モル含有することが好ましい。
前記工程(b)における水熱処理時間が1〜24時間の範囲にあり、前記工程(c)における水熱処理時間が1〜24時間の範囲にあることが好ましい。
【0014】
前記工程(c)において、下記の組成範囲となるように更に(VI)アルコールを加えることが好ましい。
[(I)シリカ源のSiO21モルに対して(VI)アルコールが0.1〜1モル]
前記メソポーラスアルミノシリケートがMCM−41、MCM−48のいずれかと類似構造を有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、従来のミクロポアのみを有するゼオライトでは実質的に不活性であった分子量、分子サイズの大きな反応物、生成物の関与する触媒反応に好適に用いることができ、また、従来のゼオライト及びメソポーラス材料では、使用できなかった酵素担体、固定化錯体等に応用することができ、さらに従来のメソポーラス材料が適用できなかった水中での反応操作が可能である新規なメソポーラスアルミノシリケートを短時間で容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係るメソポーラスアルミノシリケートの合成方法を工程毎に説明する。
工程(a)
(I)シリカ源、(II)アルミナ源、および(IV)水からなり、(I)シリカ源のSiO21モルに対して、(II)アルミナ源がAl23として0.001〜0.05モル、(IV)水がH2Oとして20〜200モル、となる組成範囲のメソポーラスアルミノシリケート合成用ゲルを調合する。
【0017】
本発明に用いる(I)シリカ源としては、ゼオライト、メソポーラスシリケート等の合成に用いられる従来公知のシリカ源を用いることができ、例えば、シリカゾル、アエロジルのようなシリカ微粉末等の他に、トリエトキシシラン、トリメトキシシラン等の有機珪素化合物、これらの加水分解物等を用いることができる。
(II)アルミナ源としては、ゼオライト、メソポーラスシリケートの合成に用いられる従来公知のアルミナ源を用いることができ、例えば、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、硝酸アルミニウム等のアルミニウム塩、アルミニウムイソプロポキシドの様なアルコキシド、アルミニウムアセチルアセトナートのような錯化合物が挙げられる。
【0018】
メソポーラスアルミノシリケート合成用ゲルの組成については、(I)シリカ源のSiO21モルに対して(II)アルミナ源がAl23として0.001〜0.05モル、さらには0.005〜0.03の範囲にあることが好ましい。
(II)アルミナ源がAl23として0.001モル未満の場合は、得られるメソポーラスアルミノシリケートの固体酸点が少なく、この固体酸点が活性点として働く触媒反応の活性が充分得られない場合がある。
一方、(II)アルミナ源がAl23として0.05モルを越えると、アルミナが多すぎてゼオライト骨格が生成しないので、メソポーラスアルミノシリケートが得られない場合がある。
【0019】
次に、(I)シリカ源のSiO21モルに対して(IV)水がH2Oとして20〜200モル、さらには30〜150モルの範囲にあることが好ましい。
(IV)水がH2Oとして20モル未満の場合は、クリストバライト、石英が生成する場合があり、また、ゲルの粘度が高くなりすぎて有機構造規制剤(RMe3NX)が均一に分散しないためかメソポーラスアルミノシリケートの規則性が低くなる。また、メソポーラスアルミノシリケートが塊となって得られる場合がある。
(IV)水がH2Oとして200モルを越えると、ゼオライト骨格の生成が遅くなり、本願の効果である結晶化時間を短縮できる効果が充分得られない場合がある。
【0020】
メソポーラスアルミノシリケート合成用ゲルには、さらに、(III)アルカリ源を含有させることができ、NaOH、KOHおよびこれらの混合物が用いられる。通常、アルカリ源としてはNaOHが用いられるが、これらアルカリ源はシリカ源等他の原料に含まれるものであってもよい。
アルカリ源の組成範囲は、(I)シリカ源のSiO21モルに対して(III)アルカリ源がM2O(Mはアルカリ金属を示す)として0.02〜1.0モル、さらには0.2〜0.8モルの範囲にあることが好ましい。
【0021】
(III)アルカリ源が前記範囲にあればゼオライト骨格の生成が促進され、メソポーラスシリケートが短時間で生成し、規則性に優れたメソポーラスアルミノシリケートが得られる。
(III)アルカリ源がM2Oとして0.02モル未満の場合は、アルカリ性が十分でないので、ゼオライト骨格の生成が抑制され、結晶化時間が長くなる傾向にあり、また、メソポーラスアルミノシリケートの生成も起こりにくい。(III)アルカリ源がM2Oとして1.0モルを越えてもアルカリ性が高くなりすぎ、ゼオライト骨格の生成が抑制され、また、メソポーラスアルミノシリケートの生成も抑制される。
【0022】
工程(a)での各原料の混合順序に特に制限は無く、用いる原料の種類、量によっても異なるが、通常、(I)シリカ源と(IV)水または必要に応じて用いる(III)アルカリ源とを混合し、ついで(II)アルミナ源を混合する。なお、水は他の原料が水溶液等で水を含み所定の範囲にある場合は使用する必要はない。
【0023】
工程(b)
メソポーラスアルミノシリケート合成用ゲルを120〜250℃、好ましくは150〜200℃で水熱処理してメソポーラスアルミノシリケート合成前駆体を調製する。
水熱処理温度が120℃未満の場合は、ゼオライト骨格の生成速度が遅く、このために工程(c)で水熱処理しても、短時間で所望のメソポーラスアリミノシリケートが得られない場合がある。
水熱処理温度が250℃を越えると、クリストバライト、石英が副生し、純粋なゼオライト骨格の生成が抑制され、このような前駆体を処理しても所望のメソポーラスアリミノシリケートが得られない場合がある。
【0024】
工程(b)での水熱処理時間は、温度によっても異なるが1〜24時間、好ましくは2〜12時間である。
水熱処理時間が1時間以下では、ゼオライト骨格の生成が十分でなく、最終的に得られるメソポーラスアルミノシリケートの結晶性が不充分となる場合がある。
水熱処理時間が24時間を超えると、ZSM−5ゼオライトの生成が進行し、メソポーラスアルミノシリケート合成前駆体としては不適当となる。
【0025】
工程(c)
メソポーラスアルミノシリケート合成前駆体に、(I)シリカ源のSiO21モルに対して、(V)有機構造規制剤0.1〜1モル、(IV)水が30〜300モル、の組成範囲となるように(V)有機構造規制剤、または(V)有機構造規制剤と(IV)水を加え、100〜200℃で水熱処理する。
【0026】
(V)有機構造規制剤としては、MCM−41類似構造を有するメソポーラスアルミノシリケートを合成する場合、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤等の界面活性剤、特にRMe3NX(R:C10-18)で表される第4級アンモニウム塩または水酸化物であることが好ましい。これらには、カプリルトリメチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム、ミリスチルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム等の天然に存在する脂肪酸から誘導される長鎖アルキル基を持つものが好ましいが、これら天然由来の置換基に限定されるものではない。
【0027】
本発明では、前記工程(a)で、必要に応じてアルカリ源を用いることができるが、このアルカリ源を実質的に使用しない場合は、前記第4級アンモニウム水酸化物を含むことが好ましい。アルカリ源および第4級アンモニウム水酸化物のいずれも含まない場合は本発明の効果、即ち、メソポーラスアルミノシリケートを短時間で容易に製造することができない場合がある。
また、これら界面活性剤はアンモニウム塩以外にハロゲン塩、酢酸塩等の塩のほか、水酸化物も用いることができる。
【0028】
MCM−48類似構造を有するメソポーラスアルミノシリケートを合成する場合にも、前記MCM−41類似構造を有するメソポーラスアルミノシリケートと同様の有機構造規制剤を使用することが可能である。さらに、これら以外に、ジメチルジセチルアンモニウム、ジメチルジステアリルアンモニウム、ジメチルジミリスチルアンモニウム等のハロゲン化水素酸塩、硫酸塩、カルボン塩および水酸化物等から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
【0029】
また、非イオン性界面活性剤として、プロピレンオキシドのブロックコポリマーEOmPOnEOm(m=33〜70,n=5〜26)、Tween20、Tween40、Tween60の様なポリエチレンオキシド長鎖脂肪酸エステル、Brij30、Brij35、Brij48の様なポリエチレンオキシド長鎖脂肪エーテル、Dodecyl-B-D-maltopyranosideの様な糖類長鎖アルキルエーテル、Triton x-100の様なポリエチレンオキシドオクチルフェニルエーテルなどが挙げられる。
【0030】
前記、カチオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤とを用いる場合、非イオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤とのモル比(非イオン性界面活性剤/カチオン性界面活性剤)は0.1〜1.0、さらには0.2〜0.8の範囲にあることが好ましい。
非イオン性界面活性剤/カチオン性界面活性剤モル比が前記範囲を外れるとMCM−48類似構造を有するメソポーラスアルミノシリケートの生成が不充分となる場合がある。
【0031】
(I)シリカ源のSiO21モルに対して、(V)有機構造規制剤が0.1〜1モル、さらには0.2〜0.9モルの範囲にあることが好ましい。
(I)シリカ源のSiO21モルに対して、(V)有機構造規制剤が0.1モル未満の場合は、細孔直径が概ね2〜10nmの規則的細孔(メソポア)が充分形成されない場合があり、(V)有機構造規制剤が1モルを越えても得られるメソポーラスアルミノシリケートの特性がさらに向上することもなく、経済性が低下する。
【0032】
(I)シリカ源のSiO21モルに対して、(IV)水30〜300モル、さらには25〜250モルの範囲にあることが好ましい。
工程(c)では有機構造規制剤を水溶液で添加する場合などに必要に応じて水を使用することができる。
(I)シリカ源のSiO21モルに対して、(IV)水30モル未満の場合は、クリストバライト、石英の生成が起こりやすく、規則性に優れたメソポーラスアルミノシリケートが得られない場合がある。また、メソポーラスアルミノシリケートが塊となって得られる場合がある。
(I)シリカ源のSiO21モルに対して、(IV)水300モルを越えると、有機構造規制剤(RMe3NX)ミセルの生成が抑制されるので、メソポーラスアルミノシリケートが生成しにくくなる。このため本発明の迅速に合成できる効果が得られない場合がある。
【0033】
本発明では、工程(c)において、さらに、(I)シリカ源のSiO21モルに対して(VI)アルコールが0.1〜1モル、好ましくは0.2〜0.8モルの組成範囲となるように(VI)アルコールを加えることにより、MCM−48類似構造を有するメソポーラスアルミノシリケートを合成することができる。
(I)シリカ源のSiO21モルに対して(VI)アルコールが0.1モル未満の場合は、MCM−48類似構造の生成が十分でなく、MCM−41類似構造が混在し、所望のMCM−48類似構造を有するメソポーラスアルミノシリケートが得られない場合がある。
(I)シリカ源のSiO21モルに対して(VI)アルコールが1モルを越えると、MCM−48類似構造の生成が抑制される傾向にある。
【0034】
ついで、100〜200℃、好ましくは120〜180℃で水熱処理する。
水熱処理温度が100℃未満の場合は得られるメソポーラスアルミノシリケートの結晶性が不充分となったり、結晶化に長時間を要し本発明の効果が充分発揮できない場合がある。水熱処理温度が200℃を越えると、ZSM−5が副生し、メソポーラスアルミノシリケートの結晶性が不充分となる場合がある。
【0035】
この時、水熱処理時間は水熱処理温度によっても異なるが、1〜24時間、好ましくは2〜12時間である。
水熱処理時間が1時間以下では、メソポーラスアルミノシリケートの結晶性が不充分となる場合がある。水熱処理時間が24時間を超えても、結晶性がさらに向上することもなく、本発明の迅速に合成できる効果が不充分となる。
【0036】
工程(d)
次いで、メソポーラスアルミノシリケートを分離する。分離方法としては、特に制限はなく従来公知の方法を採用することができる。
更に、必要に応じて洗浄し、乾燥し、さらに焼成することができる。
洗浄方法としては特に制限はなく従来公知の方法を採用することができるが、本発明のメソポーラスアルミノシリケートの洗浄には水、メタノール、エタノールなどのアルコールを用いることが好ましい。
乾燥方法としては、洗浄用混合液を除去できれば、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。乾燥温度は通常、80〜150℃である。
【0037】
焼成方法としては、メソポーラスアルミノシリケート中に残存する有機構造規制剤を除去できれば特に制限はないが、通常、空気または酸素雰囲気下、300〜700℃、好ましくは450〜600℃で焼成する。
【0038】
このようにして得られたメソポーラスアルミノシリケートは、細孔直径が概ね2〜10nmの規則的細孔を有し、ゼオライト骨格(ZBU)で構成される壁を有するので、骨格が不定形である従来のアルミニウムなどの酸性発現物質で修飾したMCM−41およびMCM−48に比べて固体酸性も高く、また、耐熱性、耐水性及び機械的強度に優れている。
以下、本発明方法で得られるメソポーラスアルミノシリケートについてさらに説明する。
【0039】
本発明で得られるメソポーラスアルミノシリケートは、骨格にゼオライト骨格構造を有している。
MCM−41と類似構造を有するとは、X線回折スペクトルにおいて、2θ=2.5〜3.5°付近に主ピークを有し、窒素等温吸着・脱着において、窒素の相対圧(P/P0)が0.1〜0.4において窒素の著しい吸着および脱着特性を示すことを意味している。
MCM−48と類似構造を有するとは、X線回折スペクトルにおいて、2θ=2.5°付近に主ピークを有し、窒素等温吸着・脱着において、窒素の相対圧(P/P0)が0.1〜0.4において窒素の著しい吸着および脱着特性を示すことを意味している。
【0040】
本発明方法で得られるメソポーラスアルミノシリケートの昇温脱離法による化学吸着NH3量は、0.01〜1.0meq/g、さらには0.05〜0.80meq/gの範囲にあることが好ましい。
この化学吸着NH3量は触媒の活性点となり得る固体酸の量と考えられており、化学吸着NH3量が0.01meq/g未満の場合は、活性が不充分となることがあり、化学吸着NH3量が1.0meq/gを越えるものは得ることが困難である。
【0041】
化学吸着NH3は以下のようにして測定することができる。即ち、日本ベル社製BELL TPD-66を使用し、試料約0.1グラムを500℃で1時間排気処理を行い、温度を100℃に落とし、100℃にて1時間アンモニアガスを導入して吸着させる。次いで、100℃にて1時間再度排気処理を行なった後、毎分50ミリリットルのHeガス流通下、100℃から毎分10℃で700℃まで昇温しながら脱離NH3量を測定してスペクトルを得た後、スペクトル分離し、高温側のスペクトルを化学吸着NH3の脱離スペクトルとして得る。
化学吸着NH3量は、上記で測定したスペクトルの100℃以上での脱離NH3量をメソポーラスアルミノシリケートの重量(g)で除して求める。
【0042】
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0043】
メソポーラスアルミノシリケート(1)の合成
ゲルの組成が、1SiO2:0.25Na2O:0.017Al23:24H2Oとなるように、シリカゾル(Ludox HS40)に水酸化ナトリウム水溶液を加え、1時間撹拌し、次いでアルミン酸ナトリウム水溶液を添加し、1時間撹拌して、メソポーラスアルミノシリケート合成用ゲル(1)を調製した(工程(a))。
このメソポーラスアルミノシリケート合成用ゲル(1)をテフロン(登録商標)ライニングしたオートクレーブに移し、190℃で4時間水熱処理してメソポーラスアルミノシリケート合成前駆体(1)を調製した(工程(b))。前駆体のX線回折ではピークは認められず、非晶質であった。
【0044】
ついで、前駆体の組成が1SiO2:0.25Na2O:0.017Al23:0.25C16TMABr:60H2Oとなるように臭化セチルトリメチルアンモニウム(C16TMABr)水溶液を加え、150℃で12時間水熱処理した。
ついで、オートクレーブを冷却し、生成した固体を濾別し、洗浄し、100℃で2時間乾燥し、ついで、550℃で2時間焼成してメソポーラスアルミノシリケート(1) [C16-M41-28]を合成した。
ここで、MCM-41構造を有するメソポーラスアルミノシリケートを、Ca-M41-Bで表記し、Caは使用するハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウムのアルキル基およびその炭素数であり、BはSi/Al比を表している。
【0045】
[C16-M41-28]のBET法による比表面積を測定し、結果を表に示した。
メソポーラスアルミノシリケート(1)のXRDパターンを図1に示したが、2θ=2.5°付近にピークを有し、MCM-41構造に帰属された。また、格子定数を求め表に示した。
【0046】
次に、[C16-M41-28](焼成後)の窒素吸着等温線を測定し、結果を図4に示した。
また、これより求めた細孔容積(V:cm3-1)、細孔径(Dp:nm)、壁の厚み(T:nm)を表に示す。なお、壁の厚み(T/nm)は、計算式T=a0/3.0919 ≡ Dp/2から求めた。ここで、a0は格子常数で、XRDの(2.1.1)面間隔より求めることができる。
Dpは細孔径を示し、3.0919はMCM-48 Ia3dの最小表面積を表す定数である。
【0047】
[C16-M41-28](焼成後)のNH3-TPD法による酸量を測定し、結果を表に示す。
つぎに、メソポーラスアルミノシリケート合成前駆体(1) (図3a)、[C16-M41-28](焼成前)(図3b)および[C16-M41-28](焼成後)(図3c)の27Al-及び29Si-MASNMRを測定し、図3に示した。いずれも6配位アルミニウムに帰属されるピークは観測されなかった。これらの事実はAlが4配位の状態でシリカ中に高分散し、ゼオライト骨格であることを示している。
【0048】
触媒反応特性評価
[C16-M41-28](焼成後)を0.074g、イソフィトールを0.74g、2,3,4−トリメチルヒドロキノンを0.38g、およびドライアイス33gを高圧反応容器に充填し、反応温度120℃、反応圧力12MPaで2時間反応を行った。この反応式を[化1]に示す。
次いで、高圧反応容器を室温まで冷却し、炭酸ガスを放出してから、内容物をアセトンで洗い出し、残存原料および生成物(ビタミンE:γ−トコフェロール)をガスクロマトグラフで分析した。γ−トコフェロールの収率は96モル%であった。
【0049】
【化1】

【実施例2】
【0050】
メソポーラスアルミノシリケート(2)の合成
実施例1において、臭化セチルトリメチルアンモニウム(C16TMABr)の代わりに臭化ミリスチルトリメチルアンモニウム(C18TMABr)を用いた以外は同様にしてメソポーラスアルミノシリケート(2) [C18-M41-28]を合成した。
得られたメソポーラスアルミノシリケート(2) [C18-M41-28]について、実施例1と同様にして、比表面積、XRDパターン、窒素吸着パターン、細孔容積、細孔径、壁の厚み、NH3-TPD法による酸量、触媒反応特性を評価し、結果を図1および表に示した。
【実施例3】
【0051】
メソポーラスアルミノシリケート(3)の合成
実施例1において、臭化セチルトリメチルアンモニウム(C16TMABr)の代わりに臭化ラウリルトリメチルアンモニウム(C12TMABr)を用いた以外は同様にしてメソポーラスアルミノシリケート(3) [C12-M41-28]を合成した。
得られたメソポーラスアルミノシリケート(3) [C12-M41-28]について、実施例1と同様にして、比表面積、XRDパターン、窒素吸着パターン、細孔容積、細孔径、壁の厚み、NH3-TPD法による酸量、触媒反応特性を評価し、結果を図1および表に示した。
【実施例4】
【0052】
メソポーラスアルミノシリケート(4)の合成
実施例1において、臭化セチルトリメチルアンモニウム(C16TMABr)の代わりに臭化カプリルトリメチルアンモニウム(C10TMABr)を用いた以外は同様にしてメソポーラスアルミノシリケート(4) [C10-M41-28]を合成した。
得られたメソポーラスアルミノシリケート(4) [C10-M41-28]について、実施例1と同様にして、比表面積、XRDパターン、窒素吸着パターン、細孔容積、細孔径、壁の厚み、NH3-TPD法による酸量、触媒反応特性を評価し、結果を図1および表に示した。
【実施例5】
【0053】
メソポーラスアルミノシリケート(5)の合成
実施例1と同様にしてメソポーラスアルミノシリケート合成前駆体(1)を調製した。
ついで、前駆体の組成が1SiO2:0.25Na2O:0.017Al23:0.25C16TMABr:60H2O:2EtOHとなるように臭化セチルトリメチルアンモニウム(C16TMABr)およびエタノールを加えた以外は同様にしてメソポーラスアルミノシリケート(5) [C16-M48-28]を合成した。 [C16-M48-28]はMCM-48に帰属されるXRDパターンを示した(図2)。
得られたメソポーラスアルミノシリケート(5) [C16-M48-28]について、実施例1と同様にして、比表面積、細孔容積、細孔径、壁の厚み、NH3-TPD法による酸量、触媒反応特性を評価し、結果を表に示した。
【実施例6】
【0054】
メソポーラスアルミノシリケート(6)の合成
実施例5において、前駆体の組成が1SiO2:0.25Na2O:0.03Al23:0.25C16TMABr:60H2O:2EtOHとなるようにアルミン酸ナトリウムを加えた以外は同様にしてメソポーラスアルミノシリケート(6) [C16-M48-17]を合成した。
[C16-M48-17]はMCM-48に帰属されるXRDパターンを示した。
得られたメソポーラスアルミノシリケート(6) [C16-M48-17]について、実施例1と同様にして、比表面積、細孔容積、細孔径、壁の厚み、NH3-TPD法による酸量、触媒反応特性を評価し、結果を表に示した。
【実施例7】
【0055】
メソポーラスアルミノシリケート(7)の合成
実施例5において、前駆体の組成が1SiO2:0.25Na2O:0.0125Al23:0.25C16TMABr:60H2O:2EtOHとなるようにアルミン酸ナトリウムを加えた以外は同様にしてメソポーラスアルミノシリケート(7) [C16-M48-40]を合成した。
[C16-M48-40]はMCM-48に帰属されるXRDパターンを示した。
得られたメソポーラスアルミノシリケート(7) [C16-M48-40]について、実施例1と同様にして、比表面積、細孔容積、細孔径、壁の厚み、NH3-TPD法による酸量、触媒反応特性を評価し、結果を表に示した。
【実施例8】
【0056】
メソポーラスアルミノシリケート(8)の合成
実施例5において、前駆体の組成が1SiO2:0.25Na2O:0.00625Al23:0.25C16TMABr:60H2O:2EtOHとなるようにアルミン酸ナトリウム水溶液を加えた以外は同様にしてメソポーラスアルミノシリケート(8) [C16-M48-80]を合成した。 [C16-M48-80]はMCM-48に帰属されるXRDパターンを示した。
得られたメソポーラスアルミノシリケート(8) [C16-M48-80]について、実施例1と同様にして、比表面積、細孔容積、細孔径、壁の厚み、NH3-TPD法による酸量、触媒反応特性を評価し、結果を表に示した。
【実施例9】
【0057】
メソポーラスアルミノシリケート(9)の合成
実施例5において、前駆体の組成が1SiO2:0.25Na2O:0.000625Al23:0.25C16TMABr:60H2O:2EtOHとなるようにアルミン酸ナトリウム水溶液を加えた以外は同様にしてメソポーラスアルミノシリケート(9) [C16-M48-400]を合成した。 [C16-M48-400]はMCM-48に帰属されるXRDパターンを示した。
得られたメソポーラスアルミノシリケート(9) [C16-M48-400]について、実施例1と同様にして、比表面積、細孔容積、細孔径、壁の厚み、NH3-TPD法による酸量、触媒反応特性を評価し、結果を表に示した。
【比較例1】
【0058】
メソポーラスアルミノシリケート(R1)の合成
非特許文献(R. Ryoo, S.H. Joo, J.M. Kim, J. Phys. Chem. B 1999年103巻、7435頁)に記載されている方法に準じ、MCM-48としてメソポーラスアルミノシリケート(R1)を合成した。
得られたメソポーラスアルミノシリケート(R1) [MCM-48]について、実施例1と同様にして、比表面積、細孔容積、細孔径、壁の厚み、NH3-TPD法による酸量、触媒反応特性を評価し、結果を表に示した。
【比較例2】
【0059】
メソポーラスアルミノシリケート(R2)の合成
実施例1において、メソポーラスアルミノシリケート合成前駆体(1)にC16TMABrを加えないで、150℃で24時間加熱してメソポーラスアルミノシリケート(R2)を合成した。得られたXRDパターンを図7に示したが生成物はZSM-5であった。
【比較例3】
【0060】
メソポーラスアルミノシリケート(R3)の合成
ゲルの組成が1SiO2:0.25Na2O:0.017Al23:0.25C16TMABr:60H2Oとなるように、シリカゾル(Ludox HS40)に水酸化ナトリウム水溶液を加え、1時間撹拌し、次いでアルミン酸ナトリウム水溶液を添加し、1時間撹拌して、ついで、臭化セチルトリメチルアンモニウム(C16TMABr)を加え、メソポーラスアルミノシリケート合成用ゲル(R3)を調合した。
【0061】
ついで、メソポーラスアルミノシリケート合成用ゲル(R3)をテフロン(登録商標)ライニングしたオートクレーブに移し、150℃で24時間水熱処理した。
ついで、オートクレーブを冷却し、生成した固体を濾別し、洗浄、100℃で2時間乾燥し、ついで、550℃で2時間焼成してメソポーラスアルミノシリケート(R3) [C16-M41-28](R)を合成した。XRDにより解析したところ、メソポーラスアルミノシリケート(R3) [C16-M41-28](R)は無定型であった。
【比較例4】
【0062】
メソポーラスアルミノシリケート(R4)の合成
比較例3において、150℃で72時間水熱処理した以外は同様にしてメソポーラスアルミノシリケート(R4) [C16-M41-28](R)を合成した。[C16-M41-28](R) はMCM-41に帰属されるXRDパターンを示した。
得られたメソポーラスアルミノシリケート(R4) [C16-M41-28](R)について、実施例1と同様にして、比表面積、細孔容積、細孔径、壁の厚み、NH3-TPD法による酸量、触媒反応特性を評価し、結果を表に示した。
【比較例5】
【0063】
メソポーラスアルミノシリケート(R5)の合成
ゲルの組成が1SiO2:0.25Na2O:0.017Al23:0.25C16TMABr:60H2O:2EtOHとなるように、シリカゾル(Ludox HS40)に水酸化ナトリウム水溶液を加え、1時間撹拌し、次いでアルミン酸ナトリウム水溶液を添加し、1時間撹拌し、ついで、臭化セチルトリメチルアンモニウム(C16TMABr)水溶液およびエタノールを加えてメソポーラスアルミノシリケート合成用ゲル(R5)を調合した。
【0064】
ついで、メソポーラスアルミノシリケート合成用ゲル(R5)をテフロン(登録商標)ライニングしたオートクレーブに移し、150℃で24時間水熱処理した。
ついで、オートクレーブを冷却し、生成した固体を濾別し、洗浄、100℃で2時間乾燥し、ついで、550℃で2時間焼成してメソポーラスアルミノシリケート(R5) [C16-M48-28](R)を合成した。XRDにより解析したところ、メソポーラスアルミノシリケート(R3) [C16-M48-28](R)は無定型であった。
【比較例6】
【0065】
メソポーラスアルミノシリケート(R6)の合成
比較例5において、150℃で72時間水熱処理した以外は同様にしてメソポーラスアルミノシリケート(R6) [C16-M48-28](R)を合成した。[C16-M48-28](R) はMCM-48に帰属されるXRDパターンを示した。
得られたメソポーラスアルミノシリケート(R6) [C16-M48-28](R)について、実施例1と同様にして、比表面積、細孔容積、細孔径、壁の厚み、NH3-TPD法による酸量、触媒反応特性を評価し、結果を表に示した。
【比較例7】
【0066】
触媒反応特性評価
実施例1において、フォージャサイト型ゼオライト(日揮触媒化成(株)製:HY5、SiO2/Al23=5.0、Na2O=0.5重量%、比表面積=650m2/g、550℃2時間焼成品)を用いた以外は同様にして反応を行い、生成物(γ−トコフェロール)の収率は5モル%であった。
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】実施例1〜4で得られたメソポーラスアルミノシリケート(1)〜(4)のX線回折スペクトルである。
【図2】実施例5で得られたメソポーラスアルミノシリケート(5)のX線回折スペクトルである。
【図3】実施例1で得られたメソポーラスアルミノシリケート合成前駆体(1)(図3a)、[C16-M41-28](焼成前)(図3b)および[C16-M41-28](焼成後)(図3c)の27Al-及び29Si-MASNMRスペクトルを示す。
【図4】実施例1〜4で得られたメソポーラスアルミノシリケート(1)〜(4)の窒素吸着等温線である。
【図5】比較例2で得られたメソポーラスアルミノシリケート(R2)のX線回折スペクトルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程(a)〜(d)からなることを特徴とするメソポーラスアルミノシリケートの合成方法。
(a)(I)シリカ源、(II)アルミナ源、および(IV)水からなり、下記の組成範囲のメソポーラスアルミノシリケート合成用ゲルを調合する工程
[(I)シリカ源のSiO21モルに対して、(II)アルミナ源がAl23として0.001〜0.05モル、(IV)水がH2Oとして20〜200モル]
(b)メソポーラスアルミノシリケート合成用ゲルを120〜250℃で水熱処理してメソポーラスアルミノシリケート合成前駆体を調製する工程
(c)メソポーラスアルミノシリケート合成前駆体に、下記の組成範囲となるように(V)有機構造規制剤、または(V)有機構造規制剤と(IV)水を加え、100〜200℃で水熱処理する工程
[(I)シリカ源のSiO21モルに対して、(V)有機構造規制剤0.1〜1モル、(IV)水が30〜300モル]
(d)メソポーラスアルミノシリケートを分離する工程
【請求項2】
前記工程(a)の組成範囲に、(I)シリカ源のSiO21モルに対して、更に(III)アルカリ源をM2O(Mはアルカリ金属を示す)として0.02〜1.0モル含有することを特徴とする請求項1に記載のメソポーラスアルミノシリケートの合成方法。
【請求項3】
前記工程(b)における水熱処理時間が1〜24時間の範囲にあり、前記工程(c)における水熱処理時間が1〜24時間の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載のメソポーラスアルミノシリケートの合成方法。
【請求項4】
前記工程(c)において、下記の組成範囲となるように更に(VI)アルコールを加えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のメソポーラスアルミノシリケートの合成方法。
[(I)シリカ源のSiO21モルに対して(VI)アルコールが0.1〜1モル]
【請求項5】
前記メソポーラスアルミノシリケートがMCM−41、MCM−48のいずれかと類似構造を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のメソポーラスアルミノシリケートの合成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−155759(P2010−155759A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335392(P2008−335392)
【出願日】平成20年12月27日(2008.12.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2008年7月10日、触媒学会主催のKyoto 2008,ICC14 Pre−symposium にて発表(演題番号 OB205「Template free,Hydrothermally treated Aluminosilicate gels: Viable Precursors for Mesoporous and Microporous Aluminosilicates 」
【出願人】(503094313)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】