説明

メタクリル酸メチルの回収方法

【課題】メタクリル樹脂を熱分解するに際して、効率的なメタクリル酸メチルの回収方法を提供する。
【解決手段】
分解槽内でメタクリル樹脂を熱分解して生じるガス状の分解生成物を冷却装置で冷却し、メタクリル酸メチルを液体として回収する方法であって、下記条件(1)〜(7)を満たす方法。(1)分解槽内に加熱した砂、窒素ガスを含むガス及び該樹脂を供給。(2)分解槽内温度350〜500℃。(3)攪拌機及び窒素ガスを含むガスにより砂及び該樹脂を流動化。(4)窒素ガスを含むガスの供給速度Aと砂の供給速度Bとの比A/Bを0.04〜0.3。(5)砂は分解槽内の平均滞在時間を0.5〜1.5hrとして排出。(6)熱分解した該樹脂から生じるガス状分解生成物と窒素ガスを含むガスとの混合ガスを排出、冷却してメタクリル酸メチルを液化。(7)冷却された混合ガスから窒素ガスを含むガスを分離し、分解槽に供給。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメタクリル酸メチル単位を含むメタクリル樹脂を、砂の顕熱の利用により熱分解してメタクリル酸メチルを回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
砂の顕熱を利用して樹脂を分解する方法は、樹脂を分解しようとする分解槽の温度よりも高温の砂を分解槽に連続的に供給し、また、分解槽から砂を連続的に排出し、その排出された砂を加熱して分解槽に供給する方法である。
【0003】
この方法は、樹脂分解に必要な熱量を砂の顕熱により供給する方法であり、工業的に有利な方法である。
【0004】
このような方法として、以下に示す特許文献1〜4に記載の方法が知られている。
【0005】
特許文献1に記載の熱分解処理方法では、樹脂を分解するための分解槽を撹拌機で流動化しており、撹拌機だけでは流動が不十分であり、長期安定運転ができない問題があった。
【0006】
特許文献2に記載の熱分解処理方法では、樹脂を分解するための分解槽を水蒸気で流動化しており、水蒸気だけでは流動が不十分であり、長期安定運転ができない問題があった。また、メタクリル酸メチル単位を含むメタクリル樹脂を分解してメタクリル酸メチルを回収する場合には、メタクリル酸メチルと水の沸点がほぼ同じ(100℃)であるので、メタクリル酸メチルだけを液体状にし、水蒸気をガス状のままにすることは実質的に不可能である。従って、水蒸気を循環して使用するには、メタクリル酸メチルと水蒸気の両方を液体にした後、メタクリル酸メチルと水を分離した後、水を加熱することにより水蒸気を発生させなければならず、工程が複雑になる問題があった。
【0007】
特許文献3に記載の熱分解処理方法では、廃プラスチックを、機械的撹拌手段により高温の砂と混合し、直接加熱して樹脂を分解し、分解生成物を回収する方法を開示している。この方法では、樹脂を分解するための分解槽を撹拌機で流動化しており、撹拌機だけでは流動が不十分であり、長期安定運転ができない問題があった。温度条件や樹脂の条件によっては、分解槽内の流動が完全に止まってしまう問題があった。また、この方法では、樹脂の分解生成物の分解槽系外への排出がスムーズでなく、回収した液の品質低下の問題があった。
【0008】
特許文献4は、メタクリル樹脂を、機械的に流動された高温の熱媒体と接触させて、分解させる方法を開示している。この方法では、気体を使用せず撹拌機だけで分解槽内を流動させているので、分解槽中の流動が不十分であり、長時間の安定運転ができない問題があった。温度条件や樹脂の条件によっては、分解槽内の流動が完全に止まってしまう問題があった。また、この方法では、樹脂の分解生成物の分解槽系外への排出がスムーズでなく、回収した液の品質低下の問題があった。
【特許文献1】特開昭54−83002号公報
【特許文献2】特開昭59−111815号公報
【特許文献3】特開平9−235563号公報
【特許文献4】特表2002−526466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
砂の顕熱を利用してメタクリル酸メチル単位を含むメタクリル樹脂を分解槽内で分解してメタクリル酸メチルを回収する方法において、分解槽内の流動が良好で、安定な長時間連続運転が可能である方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の要旨は、
分解槽内でメタクリル樹脂を熱分解して生じるガス状の分解生成物を冷却装置で冷却することにより、メタクリル酸メチルを液体として回収する方法であって、下記条件(1)〜(7)を満たすメタクリル酸メチルの回収方法にある。
【0011】
(1)分解槽内に加熱した砂、窒素ガスを含むガス及びメタクリル樹脂をそれぞれ連続的に供給する。但し、前記窒素ガスを含むガスは分解槽の下部から供給する。
【0012】
(2)分解槽内の温度Tを350〜500℃とする。
【0013】
(3)分解槽内に配設された攪拌機及び窒素ガスを含むガスにより砂及びメタクリル樹脂を流動化させる。
【0014】
(4)窒素ガスを含むガスの供給速度A(kg/hr)と砂の供給速度B(kg/hr)との比A/Bを0.04〜0.3とする。
【0015】
(5)砂は分解槽内の平均滞在時間を0.5〜1.5hrの範囲内として分解槽から連続的に排出する。
【0016】
(6)砂の顕熱により熱分解したメタクリル樹脂から生じるガス状の分解生成物と窒素ガスを含むガスとの混合ガスを分解槽から排出し、冷却装置において冷却してメタクリル酸メチルを液化する。
【0017】
(7)冷却された前記混合ガスから窒素ガスを含むガスを分離し、その窒素ガスを含むガスを再度分解槽に供給する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の方法によれば、メタクリル酸メチル単位を有するメタクリル樹脂から、安定に効率的に、メタクリル酸メチルを回収できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
分解槽には、加熱した砂、窒素ガスを含むガス、メタクリル樹脂をそれぞれ連続的に供給する。窒素ガスを含むガスを使用することにより、メタクリル酸メチル単位を含むメタクリル樹脂から効率よくメタクリル酸メチルを回収できる。窒素ガスを含むガスとは、窒素供給用ブロワー等により供給される窒素に、メタクリル樹脂の分解生成物の内、冷却装置で液化せず気体状のままである物の混合物を指す。メタクリル樹脂の分解生成物であってメタクリル酸メチルの沸点と融点の間で液化せず気体状の物として、二酸化炭素が例示される。窒素ガスを含むガスの供給速度A(kg/hr)/砂の供給速度B(kg/hr)で表される比は、0.04〜0.3とする。この比を0.04以上とすることにより、分解槽の流動を良好にすることができる。また、この比を0.3以下とすることにより、使用する窒素ガスを含むガスの量を低減でき、また、分解生成物と窒素ガスを含むガスの混合ガスに含まれる砂の量を低減することができる。
【0020】
窒素ガスを含むガスの供給速度A(kg/hr)/メタクリル樹脂の供給速度C(kg/hr)で表される比を0.4〜3.0とすることが好ましい。この比を0.4以上にすることにより分解生成物を速やかに冷却装置を含む回収工程に送ることができる。この比を3.0以下にすることにより、使用する窒素ガスを含むガスの量を低減でき、また、分解生成物と窒素ガスを含むガスの混合ガスに含まれる砂の量を低減することができる。
【0021】
本発明では、撹拌機と窒素ガスを含むガスの両方で砂およびメタクリル樹脂を流動化させる。分解槽に撹拌機を備えることにより、分解槽内における砂やメタクリル樹脂の水平方向、及び鉛直方向の流動が良好になる。撹拌機の撹拌軸の数に制限はなく、1本であっても良いし、2本以上であっても良い。本発明では、撹拌機と窒素ガスを含むガスの両方で砂およびメタクリル樹脂を流動化させるので、撹拌機の回転軸の数は1本の場合でも、分解槽内の流動は良好である。撹拌軸の本数が2本以上の場合、分解槽内の水平方向、及び鉛直方向の流動がさらに向上する。
【0022】
撹拌機の攪拌翼の形状は特に限定されず、パドル翼、アンカー翼、リボン翼、ヘリカル翼、プロペラ翼、タービン翼、等が例示される。
【0023】
砂の分解槽における平均滞在時間は、0.5〜1.5hrとする。ここで砂の平均滞在時間とは、
平均滞在時間(hr)=分解槽内の砂の滞在量(kg)/砂の供給速度(kg/hr)で定義される。通常、分解槽内の砂の滞在量が一定になるように運転されるので、砂の分解槽からの排出速度(kg/hr)は、砂の分解槽への供給速度(kg/hr)と同じである。
【0024】
砂の滞在時間が0.5hr未満では、供給されるメタクリル樹脂を分解槽内で充分に分解できず、砂と一緒に排出されるメタクリル樹脂の量が増加し、メタクリル酸メチルの回収量を増加させることができない。砂の滞在時間が1.5hrを超えると、分解槽を大きくして砂の滞在量を増大させるか、砂の供給速度を減らさなければならない。分解槽を大きくすると設備コストの点で不利であり、砂の供給速度を減らすと樹脂分解に必要な熱量を十分に与えることができず、メタクリル酸メチルの回収の効率の点で不利である。
【0025】
本願発明で使用する砂の種類は特に制限はないが、川砂、山砂、海砂が使用できる。その中でも流動性の良い川砂が好ましい。
【0026】
本発明で使用する砂の大きさは特に制限はないが、その取り扱い性の観点から、平均粒径が0.01mm〜1mmが好ましく、0.05mm〜0.8mmがより好ましい。
【0027】
本発明で使用する樹脂は、メタクリル酸メチル単位を含むメタクリル樹脂である。メタクリル酸メチル単位を含むメタクリル樹脂は、モノマーを高収率で回収する観点から、メタクリル樹脂を構成する全モノマー単位100質量%中、メタクリル酸メチル単位を50質量%以上含んでいることが好ましく、メタクリル酸メチル単位を70質量%以上含んでいることがより好ましい。
【0028】
前記メタクリル樹脂を構成するメタクリル酸メチル以外のモノマー単位は、アクリル酸、メタクリル酸、およびそれらのエステルの各単位である。アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等が挙げられる。メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられる。
【0029】
前記メタクリル樹脂は、上記以外の他のモノマー単位を共重合成分として含んでいてもよい。他のモノマー単位としては、無水マレイン酸、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル等の各単位が挙げられる。
【0030】
前記メタクリル樹脂は架橋した樹脂であってもよい。架橋したメタクリル樹脂とは多官能性モノマー単位を含むものである。多官能モノマーとして、多官能(メタ)アクリル酸エステルが例示される。多官能(メタ)アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、1,4ブタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、 エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,4ブタンジオールジメタクリレート、1,6ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、が例示される。
【0031】
前記メタクリル樹脂は、他のポリマーと混合されていてもよい。また、メタクリル樹脂は、充填剤を含む複合体であってもよい。充填剤としては、水酸化アルミニウム、シリカ、炭酸カルシウム、ガラス繊維、タルク、クレイ等が挙げられる。
【0032】
また、前記メタクリル樹脂は、充填剤以外の各種添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、顔料、染料、補強剤、各種安定剤等が挙げられる。
【0033】
前記メタクリル樹脂を分解槽に供給する際、該分解槽におけるメタクリル樹脂の供給場所に特に制限はないが、静置した状態での分解槽内の砂層高さの下半分のいずれかの位置から分解槽内に連続的に樹脂を供給するのが好ましい。静置した状態とは、樹脂を供給する前の状態であって、分解槽内の窒素ガスを含むガスの供給を停止し、砂の排出と供給を停止し、攪拌を停止した状態をいう。
【0034】
砂層高さとは、分解槽の最下面が平板上の場合には、分解槽の最下面から砂層の最上面までの距離を示す。分解槽の最下面が円錐状の場合には、該円錐の頂点相当位置から砂層の最上面までの距離を示す。
【0035】
静置状態の砂層高さには特に制限は無いが、静置状態の砂層高さ/分解槽の代表長さの比を0.5〜3.5とすることが好ましい。分解槽の代表長さは、分解槽の水平断面形状が円の場合にはその円の直径とし、分解槽の水平断面形状が正方形の場合にはその一辺の長さとし、分解槽の水平断面形状が長方形の場合には短辺と長辺の和の2分の1とする。それ以外の断面形状の場合にはまず断面積を算出し、その断面積と同じ面積を有する円の直径とする。
【0036】
静置状態の砂層高さ/分解槽の代表長さの比を0.5以上とすることにより砂の流動の斑が小さくなるので好ましい。また。静置状態の砂層高さ/分解槽の代表長さの比を3.5以下とすることにより、砂層の圧力損失が小さくなり、窒素ガスを含むガスの供給に必要な動力を小さくすることができるので好ましい。
【0037】
砂層の上部には、空間部を設けることが好ましい。ここで空間部とは、砂層最上面から分解槽の最上面までの空間をいう。静置状態での空間部の長さは、静置状態での空間部の長さ/分解槽の代表長さの比を0.5〜5とすることが好ましい。分解槽の代表長さは、上記の通りである。
【0038】
静置状態での空間部の長さ/分解槽の代表長さの比を0.5以上とすることにより、分解槽から冷却装置に行く窒素ガスを含むガスと樹脂の分解生成物の混合ガスに同伴する砂の量を減少させることができるので好ましい。また。静置状態での空間部の長さ/分解槽の代表長さの比を5以下とすることにより、分解槽の全高を低くすることができるので分解槽の設備コストを安くできるので好ましい。
【0039】
分解槽の全高は、分解槽の全高/分解槽の代表長さの比を1〜8.5とするのことが好ましい。分解槽の全高は、分解槽の最下面が円錐状の場合には、円錐の頂点から分解槽の最上面までの距離とし、分解槽の最下面が平面状の場合には、分解槽の最下面から分解槽の最上面までの距離とする。分解槽の全高/分解槽の代表長さの比を1以上とすることにより、砂の流動の斑が小さくなり、また空間部を確保することができるので好ましい。分解槽の全高/分解槽の代表長さの比を8.5以下とすることにより、砂層の圧力損失を小さくでき、また分解槽の全高が低くなり分解槽の設備コストを安くできるので好ましい。
【0040】
メタクリル樹脂の大きさは、特に限定されないが、取り扱い性、供給安定性、分解槽内で分散性の観点から、平均粒径が1〜20mmとするのが好ましく、3〜10mmとするのがより好ましい。平均粒径が小さすぎると、樹脂同士の付着や融着が生じやすく、平均粒径が大きすぎると樹脂と砂の分散が不良となる傾向がある。
【0041】
分解槽への樹脂の供給方法として、一軸スクリュー、二軸スクリュー等の装置を用いて行うことが、定量供給の観点から好ましい。樹脂の供給速度の計測は、樹脂ホッパーに取り付けたロードセル等の質量計測機を用いることにより行うことができる。また、供給速度の制御は供給スクリューの回転数制御により行う。
【0042】
分解槽に供給するメタクリル樹脂の温度は、分解槽内の温度低下の防止や分解槽内の流動性保持の観点から、0℃以上とすることが好ましい。また樹脂を固体のまま供給でき、樹脂同士の融着を防ぎ、砂と樹脂の混合が良好となる観点から、Tg−50℃以下、あるいはTm−50℃以下とすることが好ましい。但し、Tgは樹脂のガラス転移温度を、Tmは融点を表す。メタクリル樹脂の温度は、その樹脂が貯蔵されているホッパーを加熱、あるいは冷却することにより制御することができる。
【0043】
分解槽内に、加熱装置により加熱された砂を供給する。分解槽における砂の供給場所には特に制限はない。分解槽内は窒素ガスを含むガス、及び撹拌機により流動化されているので、砂はどこから供給しても分解槽内では均一に流動し易い。
【0044】
加熱された砂の分解槽への供給方法として、砂の自重落下による方法や、一軸スクリューや二軸スクリュー等の装置を用いて行う方法が例示される。砂の自重落下による方法は簡便な方法であり、設備費が安いという利点がある。また、スクリューによる方法は定量供給の観点で有利である。砂の供給速度の計測は、砂ホッパーに取り付けたロードセル等の質量計測機を用いることにより行うことができる。また、供給速度の制御は、砂ホッパーに取り付けるロータリーバルブ等の回転数制御や、供給スクリューの回転数制御により行うことができる。
【0045】
分解槽に供給する砂の温度を、(T+50)〜(T+250)℃とすることが好ましい。但し、Tは分解槽内の温度(℃)である。
【0046】
砂の温度は、後述する加熱装置に設置された砂温度の制御装置により制御する。具体的には後述する加熱装置の砂が存在するところに熱電対が設置され、その温度が所定の温度になるように燃料の供給量を制御する。
【0047】
通常、分解槽内の砂の滞在量が一定となるように、分解槽に供給される砂の供給速度と、分解槽から排出される砂の排出速度を同じにして運転される。
【0048】
本発明では、砂をメタクリル樹脂の供給位置の高さよりも下部の位置から排出するのが好ましい。メタクリル樹脂の供給位置の高さよりも下部から排出される砂には樹脂は殆ど無く、砂の流動性が確保でき、また、回収するメタクリル酸メチルの量が増える。一方、砂をメタクリル樹脂の供給位置と同じ高さ、あるいはそれよりも上部から排出すると砂に樹脂が多く混合されているので、その流動性が悪く、砂の排出性に問題があり、また、回収されるメタクリル酸メチルの量が低減する。
【0049】
分解槽からの砂の排出方法として、一軸スクリュー、二軸スクリュー等の装置を用いて行うことが、定量供給の観点から好ましい。砂の排出速度の計測は、砂ホッパーに取り付けたロードセル等の質量計測機を用いることにより行うことができる。また、排出速度の制御は砂排出スクリューの回転数制御により行うことができる。
【0050】
分解槽における窒素ガスを含むガスの供給場所としては、砂及びメタクリル樹脂の流動化、均一分散の観点から、分解槽の下部とする。分解槽の下部とは、分解槽の最下端から、樹脂の供給位置の間を意味する。分解槽の最下端とは、分解槽の最下面が円錐状の場合には該円錐の頂点相当位置であり、分解槽の最下面が平板状の場合には分解槽の最下面の位置である。
【0051】
また、分解槽内の良好な流動性の観点から、窒素ガスを含むガスは、分散器を使用して、分散させながら供給することが好ましい。分散器として、多孔板、スリット板、メッシュ板、焼結フィルター、ノズル、キャップ付きノズル等が例示される。
【0052】
分解槽内への窒素ガスを含むガスの供給方法として、ブロワー等を使用して供給することが、定量供給の観点から好ましい。窒素ガスを含むガスの供給速度の計測、及び制御は、渦式流量計等のガス用流量制御計により行うことができる。
【0053】
窒素ガスを含むガスの温度は、分解槽に供給する手前に設置する温度制御装置により制御することができる。具体的には、電気ヒーター、熱交換器が例示される。
【0054】
分解槽内に供給する窒素ガスを含むガスの温度は、分解槽内の温度低下の防止や分解槽内の流動性保持の観点から0℃以上とすることが好ましい。またメタクリル酸メチルの効率的な回収の観点から500℃以下とすることが好ましい。
【0055】
分解槽におけるガス状の分解生成物と窒素ガスを含むガスの混合ガスの取り出し場所は、分解槽内の砂層上方に位置する空間部が好ましい。該空間部から取り出すことにより、ガス状の分解生成物と窒素ガスを含むガスの混合ガスに砂が混在することを防ぐことができる。取り出したガス状の分解生成物と窒素ガスを含むガスの混合ガスは、回収工程に送られる。
【0056】
回収工程の手前に、砂を捕集するための装置を設置しも良い。その例としてサイクロンが例示される。
【0057】
回収工程は、前記分解生成物中のガス状のメタクリル酸メチルを冷却、回収する工程であり、冷却装置と容器を具備する。前記冷却装置としては、特に制限はないが、例えば、管式熱交換器、プレート式熱交換器、スクラバー、スプレー塔、等が例示される。
【0058】
前記分解生成物と窒素ガスを含むガスの混合ガスは、回収工程の冷却装置に導かれ冷却される。前記混合ガスを−48〜100℃に冷却すると、メタクリル酸メチルは液体になり、一方窒素ガスを含むガスは気体のままであるので、両者の分離が可能となる。冷却により液化した物の大部分は冷却装置の下に設置された容器に回収される。容器は液体状のメタクリル酸メチルを貯めるためのものであり、該容器の大きさ、形状には制限はない。
【0059】
冷却装置の後にミスト回収装置を設置するのが好ましい。前記ミスト回収装置としては、サイクロン式ミスト回収装置、メッシュ式ミスト回収装置、等が例示される。ミスト回収装置の下には容器が設置され、メタクリル酸メチルが回収される。容器の大きさ、形状には制限はない。
【0060】
冷却装置で回収しきれなかったガス状あるいはミスト状の分解生成物と窒素ガスを含むガスの混合ガスは、ミスト回収装置に導かれ、ミストの大部分はミスト回収装置の下に設置された容器に回収される。ミスト回収装置からは、窒素ガスを含むガスが排出され、分解槽に供給される。尚、前記ミスト回収装置から排出された窒素ガスを含むガス中には、前記ミスト回収装置でも回収できなかった前記ガス状あるいはミスト状の分解生成物を含んでいる。この混合ガスを、再度分解槽に供給することにより、メタクリル酸メチルの回収量を増加させることができる。
【0061】
ミスト回収装置から出てくる混合ガスを分解槽に再度供給する際には、別の工程から供給される窒素ガスを混合しても良い。ミスト回収装置から出てくる混合ガスに対する供給される窒素ガスの質量比は、0.01〜5とするのが好ましい。この比を0.01以上とすることにより分解槽内の窒素濃度を高めることができるので好ましい。また、この比を5以下とすることにより供給する窒素ガスの量を低減することができるので、窒素ガスの使用に伴う費用を削減できるので好ましい。このように混合されたガスは、流量制御装置やコントロールバルブ等により、分解槽へ行くガスと、除害処理後系外に排気するガスに分けられる。
【0062】
ミスト回収装置から排出される混合ガスに窒素ガスを混合し、その混合ガスの一部を流量制御装置から除害処理後、系外に排出することにより、分解槽に供給する窒素ガスを含むガスに含まれる酸素濃度を低減することができる。分解槽に供給されるガス中の酸素濃度は、樹脂分解の安定性確保や回収する液量の増加、その液の品質向上の観点から、3vol%以下とすることが好ましく、1vol%以下とするのが特に好ましい。
【0063】
分解槽から排出した砂を加熱装置に導入し、加熱して再度分解槽に供給することが好ましい。分解槽から連続的に排出される砂と一緒に、メタクリル樹脂の未分解物が連続的に排出されることがある。未分解物とは、樹脂そのものや、低分子量化した樹脂や、或いは炭化物である。
【0064】
該未分解物は砂の表面に付着しているもの、砂とは別の粒子として存在するもの、及びそれらが混合しているものである。排出された砂とメタクリル樹脂の未分解物の混合物は、加熱装置へ送られる。加熱装置は、砂の温度を上昇させ、さらに前記未分解物を除去するものである。前記未分解物は、前記加熱装置において加熱されることにより、分解、または燃焼することにより除去される。
【0065】
前記加熱装置で使用する燃料に、特に制限はないが、例えば、重油、軽油、灯油、或いは前記分解生成物の回収液、等が例示される。特に、前記回収液を使用することにより、新たに燃料を購入する必要がないので、環境的、コスト的な観点から好ましい。また、前記回収液を使用することは、樹脂分解に必要な熱量をその回収液で賄うことになるので、クローズドシステムとなり、環境負荷の小さいプロセスとなる。
【0066】
前記加熱装置として、流動層やロータリキルンが例示される。流動層では、空気、燃料の燃焼ガス、或いはその混合物により砂を流動化させながら、砂の温度を上昇し、樹脂の未分解物を分解または燃焼する装置である。ロータリキルンでは、空気、燃料の燃焼ガス、或いはその混合物を供給しながら、装置自体が回転し、その内部の砂を流動させながら、砂の温度を上昇し、未分解物を分解または燃焼する装置である。
【0067】
分解槽内の温度T(℃)は、メタクリル樹脂の分解速度の観点から350℃以上とする。また、メタクリル酸メチルの回収効率の観点から分解槽内の温度は500℃以下とする。
【0068】
分解槽内の温度は槽内に設置した熱電対により測定することができる。
【0069】
分解槽内の温度は、供給するメタクリル樹脂、加熱された砂、窒素ガスを含むガスの供給速度やその温度等により制御することができる。分解槽の外部や内部にジャケットや加熱装置や冷却装置を設置して、分解槽内の温度を制御しても良い。
【実施例】
【0070】
以下、実施例を示すが、本発明は実施例により限定されるものではない。
【0071】
(樹脂)
樹脂1:メタクリル酸メチル(以下、「MMA」と略記する。)100質量%からなる樹脂。樹脂1の重量平均分子量40万である。目開き5.6mmの篩いを通過し、目開き4.75mmの篩いを通過しなかった物である。ガラス転移温度は100℃である。
【0072】
(分解生成物の評価)
液収率は以下の式より求めた。
【0073】
液収率(%)
=液の回収速度(kg/hr)/樹脂の供給速度(kg/hr)×100
回収液中のMMA濃度(質量%)は、ガスクロマトグラフィーで測定する。ガスクロマトグラフィーとして、(株)島津製作所製、GC−17Aを使用した。溶媒にはN,N−ジメチルホルムアミドを使用した。予め検量線を作成しておき、回収した液のガスクロマトグラフィーの結果から、液中のMMA濃度を算出した。
【0074】
[実施例1]
図1に示す装置を用いて実施した。分解槽の直径は350mmで高さは1400mmである。撹拌翼は二枚の傾斜パドル翼を5段にしたものである。パドル二枚の直径は310mm、幅20mm、傾斜角度45度、パドル間のピッチ(上下の段のパドル翼の中心間距離)は140mmとした。上下の段のパドル翼は直交するようにした。撹拌速度は毎分25回転(25rpm)とした。
【0075】
分解槽の最下部には、窒素ガスを含むガスを分散させるために焼結金属フィルター(富士フィルター工業株式会社)からなる分散器(厚さ1.6mm、ステンレス製)を円錐状に配置した。円錐の直径は350mm、円錐高さは100mmとした。円錐の頂点に、砂の排出用の配管を設置した。
【0076】
まず、分解槽内に、天然川砂(株式会社昌栄マテリアル、商品名:エバラロズナ、平均粒子径(直径)0.3mm、かさ密度は1600kg/m)を70kg入れた。静置状態での砂層の高さは520mmであった。その後、分解槽内を窒素置換した。
【0077】
分解槽から砂を120kg/hrで連続的に排出し、砂加熱装置に送った。その排出方法として一軸スクリューを使用した。その排出速度は、分解槽とスクリューの間に設置した砂ホッパー(図示せず)のロードセルにより計測した。排出速度の制御は、一軸スクリューの回転数により行った。使用した加熱装置は、熱風で砂を流動化させる流動層を使用し、加熱装置内には砂を60kg入れておいた。砂加熱装置では、熱風の温度を制御することにより砂の温度が所定の温度になるようにした。
【0078】
まず、砂加熱装置の設定温度を400℃として、加熱された砂を120kg/hrで連続的に分解槽へ供給した。その供給位置は分散板の円錐の頂点から850mm上とした。その供給方法として一軸スクリューを使用した。その供給速度は、加熱装置と分解槽の間に設置した砂ホッパー(図示せず)のロードセルにより計測した。供給速度の制御は、一軸スクリューの回転数により行った。分解槽における砂の平均滞在時間は70/120=0.58hrと計算された。
【0079】
分散板から窒素ガスを20kg/hrで供給し、ミスト回収装置から排出される窒素ガスに、窒素供給用ブロワーから窒素ガス2kg/hrを混合させた。渦式流量計とコントロールバルブからなる流量制御装置により、合計22kg/hrの内、2kg/hrを系外に排出し、20kg/hrを分解槽に供給した。
【0080】
分解槽内の温度が約400℃で安定した時点で、砂加熱装置における砂加熱の設定温度を変えることにより砂加熱装置から分解槽へ供給される温度を600℃にすると共に、分解槽への樹脂1の供給を開始した。その供給速度を12kg/hr、温度は20℃とした。その供給位置は分散板の円錐の頂点から200mm上とした。樹脂供給方法として一軸スクリューを使用した。その供給速度は、樹脂供給スクリューの上に設置した樹脂ホッパーのロードセルにより計測した。供給速度の制御は、一軸スクリューの回転数により行った。
【0081】
窒素ガスを含むガスの供給速度(kg/hr)と樹脂の供給速度(kg/hr)の比は、20/12=1.67である。
【0082】
樹脂供給開始後30分で分解槽内の温度は定常状態になり、その温度は405℃であった。
【0083】
一方、分解槽から出てくる樹脂1の分解生成物と窒素ガスを含むガスの混合ガスを回収工程へ送った。冷却装置に送られてきた気体状生成物を冷却して液体として回収した。冷却装置は多管式コンデンサーであり、そのジャケットに−10℃の冷媒を流した。多管式コンデンサーから出てくるガスの温度は3℃であり、それをミスト回収装置に送った。ミスト回収装置はサイクロン式であり、窒素ガスを含むガス中に含まれる液体ミストを回収した。ミスト回収装置にはジャケットがついており、0℃の冷媒を流した。冷却装置の下、及び、ミスト回収装置の下にそれぞれ液体を回収するための容器を設置した。
【0084】
ミスト回収装置から窒素ガスを含むガス約20kg/hrが排出される。このガスにはメタクリル樹脂の分解生成物の内、液化しなかったガスが含まれるので、排出量は分解槽に供給する混合ガス20kg/hrよりやや多い。ミスト回収装置から排出されるガスに、窒素ガス供給用ブロワーから供給される窒素ガス2kg/hrを混合した後、渦式流量計とコントロールバルブからなる流量制御装置により、約22kg/hrの内、約2kg/hrを除害処理後系外に排出し、20kg/hrを分解槽へ供給した。その後に設置されたガス加熱装置(温風による熱交換器)により、窒素ガスを含むガスの温度を50℃とした。分解槽への窒素ガスを含むガスの供給速度(kg/hr)と砂の供給速度(kg/hr)の比は、20/120=0.167である。
【0085】
樹脂供給を開始してから24時間連続して運転を行った結果、問題なく運転することができた。冷却装置の下に設置した容器及びミスト回収装置の下に設置した容器に回収した液の合計は、271.0kgであった。平均すると液を11.29kg/hrで回収できた。液収率は11.29/12.0×100=94.1%と計算される。回収した液中のMMA濃度は96.5%であった。
【0086】
[実施例2〜4]
分解槽内の砂の滞在量を100kg、150kg、170kgとした以外は実施例1と同様な操作を実施した。但し、実施例3と4においては、パドル間のピッチは200mmとした。それぞれの、静置状態での砂層の高さは720mm、1040mm、1170mmであった。
【0087】
[比較例1]
砂の滞在量を55kgとした以外は実施例1と同様な操作を実施した。静置状態での砂層の高さは420mmであった。樹脂の供給開始から3時間までは運転できたが、それ以降は、分解槽からの砂の排出不良が発生した。その砂をサンプリングして観察したところ、砂と樹脂が一体になった固まり状の物があった。
【0088】
[実施例5]
ミスト回収装置から排出される窒素ガスを含むガス約30kg/hrと窒素ガス供給用ブロワーから供給される窒素ガス3kg/hrを混合した後、流量制御装置により、約33kg/hrの内、30kg/hrを分解槽へ供給した以外は、実施例2と同様な操作を実施した。
【0089】
[実施例6]
ミスト回収装置から排出される窒素ガスを含むガス約15kg/hrと窒素ガス供給用ブロワーから供給される窒素ガス1.5kg/hrを混合した後、流量制御装置により、約16.5kg/hrの内、15kg/hrを分解槽へ供給した以外は、実施例2と同様な操作を実施した。
【0090】
[実施例7]
ミスト回収装置から排出される窒素ガスを含むガス約10kg/hrと窒素ガス供給用ブロワーから供給される窒素ガス1kg/hrを混合した後、流量制御装置により、約11kg/hrの内、10kg/hrを分解槽へ供給した以外は、実施例2と同様な操作を実施した。
【0091】
[実施例8]
ミスト回収装置から排出される窒素ガスを含むガス約7kg/hrと窒素ガス供給用ブロワーから供給される窒素ガス0.7kg/hrを混合した後、流量制御装置により、約7.7kg/hrの内、7kg/hrを分解槽へ供給し、撹拌翼の一番下とその次のパドル翼の替わりにリボン翼を使用した以外は、実施例2と同様な操作を実施した。
【0092】
[比較例2]
ミスト回収装置から排出される窒素ガスを含むガス約3kg/hrと窒素ガス供給用ブロワーから供給される窒素ガス0.3kg/hrを混合した後、流量制御装置により、約3.3kg/hrの内、3kg/hrを分解槽へ供給した以外は、実施例8と同様な操作を実施した。樹脂の供給開始から3時間までは運転できたが、それ以降は、撹拌機の回転不良が生じ、また、分解槽からの砂の排出不良が発生した。運転を停止し分解槽の内部を観察したところ、撹拌翼の周りに砂と樹脂が一体になった固まり状の物があった。
【0093】
[比較例3]
ミスト回収装置から排出される窒素ガスを含むガス約40kg/hrと窒素ガス供給用ブロワーから供給される窒素ガス4kg/hrを混合した後、流量制御装置により、約44kg/hrの内、40kg/hrを分解槽へ供給した以外は、実施例2と同様な操作を実施した。分解槽からは砂を120kg/hrで排出しつつ、120kg/hrで供給しているのにもかかわらず、分解槽内の砂の量が徐々に減っているのが確認された。分解槽内の砂の滞在量は分解槽の下部と上部の圧力損失から把握した。運転を停止し、コンデンサーやミスト回収装置を観察したところ、砂の堆積が観察された。
【0094】
上記実施例1〜8、比較例1〜3の結果を表1、2に示す。
【表1】

【表2】

【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、メタクリル樹脂を熱分解して、効率よくメタクリル酸メチルを回収する方法として、広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明を実施するための装置の例
【図2】砂層高さ、空間部の長さ、分解槽の全高の第一例
【図3】砂層高さ、空間部の長さ、分解槽の全高の第二例
【符号の説明】
【0097】
a 窒素ガスを含むガス
b 砂
c メタクリル樹脂
d 窒素ガスを含むガスと分解生成物の混合ガス
1 樹脂ホッパー
2 樹脂の供給装置
3 分解槽
4 撹拌機
5 分散器
6 砂供給装置
7 砂排出装置
8 砂加熱装置
9 冷却装置
10 容器
11 ミスト回収装置
12 容器
13 ブロワー
14 窒素ガス供給用ブロワー
15 流量制御装置
16 ガス加熱装置
17、20 砂層の高さ
18、21 空間部の長さ
19、22 分解槽の全高

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分解槽内でメタクリル樹脂を熱分解して生じるガス状の分解生成物を冷却装置で冷却することにより、メタクリル酸メチルを液体として回収する方法であって、下記条件(1)〜(7)を満たすメタクリル酸メチルの回収方法。
(1)分解槽内に加熱した砂、窒素ガスを含むガス及びメタクリル樹脂をそれぞれ連続的に供給する。但し、前記窒素ガスを含むガスは分解槽の下部から供給する。
(2)分解槽内の温度Tを350〜500℃とする。
(3)分解槽内に配設された攪拌機及び窒素ガスを含むガスにより砂及びメタクリル樹脂を流動化させる。
(4)窒素ガスを含むガスの供給速度A(kg/hr)と砂の供給速度B(kg/hr)との比A/Bを0.04〜0.3とする。
(5)砂は分解槽内の平均滞在時間を0.5〜1.5hrの範囲内として分解槽から連続的に排出する。
(6)砂の顕熱により熱分解したメタクリル樹脂から生じるガス状の分解生成物と窒素ガスを含むガスとの混合ガスを分解槽から排出し、冷却装置において冷却してメタクリル酸メチルを液化する。
(7)冷却された前記混合ガスから窒素ガスを含むガスを分離し、その窒素ガスを含むガスを再度分解槽に供給する。
【請求項2】
窒素ガスを含むガスの供給速度A(kg/hr)とメタクリル樹脂の供給速度C(kg/hr)との比A/Cを0.4〜3.0とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
分解槽から排出した砂を加熱装置に導入して、加熱した後に再度分解槽に供給する請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
分解槽に供給する砂の温度を(T+50)〜(T+250)℃とし、分解槽に供給する窒素ガスを含むガスの温度を0〜500℃とし、分解槽に供給するメタクリル樹脂の温度を0〜(Tg−50)℃または0〜(Tm−50)℃とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。但し、Tgはメタクリル樹脂のガラス転移温度、Tmはメタクリル樹脂の融点を表す。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−214320(P2008−214320A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57742(P2007−57742)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】