説明

メタライジング用ポリイミドフィルムおよび金属積層ポリイミドフィルム

【課題】 プリント配線板、フレキシブルプリント基板、TABテープ等の電子部品の素材として好適に用いられる、ポリイミドフィルムの表面に直接、メタライジング法により加熱後も密着性に優れる金属層を設けることができるポリイミドフィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】 ポリイミド層(b)の片面又は両面にポリイミド層(a)を設けたメタライジング用ポリイミドフィルムであり、
ポリイミド層(a)は、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を主成分とする酸成分と、ジアミノジフェニルエーテルを主成分とするジアミン成分とから得られるポリイミドでありかつ表面処理剤を含むことを特徴とするメタライジング用ポリイミドフィルムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板、フレキシブルプリント基板、TABテープ等の電子部品の素材として用いられる、メタライジング法により金属層を設けることができるメタライジング用ポリイミドフィルムに関するものである。このメタライジング用ポリイミドフィルムは、メタライジング法により密着性の優れた金属層を設けることができ、さらに金属メッキ法により金属メッキ層を設けた金属メッキ積層ポリイミドフィルムを得ることができる。
【背景技術】
【0002】
従来より、ポリイミドは耐熱性、寸法安定性、力学特性、電気的性質、耐環境特性、難燃性などの各種物性に優れ、しかも柔軟性を有しているため、半導体集積回路を実装する際に用いられる、フレキシブルプリント基板やテープ・オートメイティド・ボンディング用基板として広く用いられている。これらの分野においては、ポリイミドフィルムは接着剤によって銅箔などの金属箔と積層した積層体の絶縁支持体として使用されている。また、近年、メタライジング法によりポリイミドフィルムに金属層を設けることも行われるようになってきている。
近年、電気・電子デバイス分野、半導体分野等の分野における高機能化の要求に伴い、ポリイミドフィルムの薄肉化が求められている。
【0003】
特許文献1には、高温加熱処理によって得られる成形体であって、X線回折法によって結晶化度が測定される結晶性ポリイミド成形体の少なくとも一部に非晶性ポリイミドが薄く積層してなる多層ポリイミド成形体が開示されている。
特許文献2には、ポリイミド層(b)の片面又は両面にポリイミド層(a)を設けたメタライジング用ポリイミドフィルムであり、ポリイミド層(a)は表面処理剤を含むことを特徴とするメタライジング用ポリイミドフィルムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−058628号公報
【特許文献2】WO2007/123161A公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、プリント配線板、フレキシブルプリント基板、TABテープ等の電子部品の素材として好適に用いられる、ポリイミドフィルムの表面に直接、メタライジング法により加熱後も密着性に優れる金属層を設けることができるポリイミドフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一は、ポリイミド層(b)の片面又は両面にポリイミド層(a)を設けたメタライジング用ポリイミドフィルムであり、
ポリイミド層(a)は、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を主成分とする酸成分と、ジアミノジフェニルエーテルを主成分とするジアミン成分とから得られるポリイミドでありかつ表面処理剤を含むことを特徴とするメタライジング用ポリイミドフィルムに関する。
本発明の第二は、本発明の第一のメタライジング用ポリイミドフィルムを用い、
このメタライジング用ポリイミドフィルムのポリイミド層(a)の表面に、メタライジング法により金属層を設けたことを特徴とする金属積層ポリイミドフィルムに関する。
本発明の第三は、本発明の第二の金属積層ポリイミドフィルムを用い、
この金属積層ポリイミドフィルムの金属層に、金属メッキ法により金属メッキ層を設けたことを特徴とする金属メッキ積層ポリイミドフィルムに関する。
【0007】
本発明の第一のメタライジング用ポリイミドフィルムの好ましい態様を以下に示し、これら態様は任意に複数組合せることが出来る。
1)メタライジング用ポリイミドフィルムは、ポリイミド層(a)が表面処理剤を含んだ状態で、最高加熱温度350℃〜600℃で熱処理していること。
2)ポリイミド層(b)を得ることができるポリイミド前駆体溶液(b)の自己支持性フィルム上に、ポリイミド層(a)を得ることができる表面処理剤含有のポリイミド前駆体溶液(a)を塗工し、
その後、表面処理剤含有のポリイミド前駆体溶液(a)を塗工したポリイミド前駆体溶液(b)の自己支持性フィルムを最高加熱温度350℃〜600℃で熱処理して得られること。
3)ポリイミド層(a)の厚さが0.05〜1μmであること。
4)表面処理剤が、アミノシラン化合物及びエポキシシラン化合物より選ばれる成分であること。
5)ポリイミド層(b)は、
(1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及びピロメリット酸二無水物及びより選ばれる成分を少なくとも1種含む酸成分と、
(2)p−フェニレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルエーテル、o−トリジン、m−トリジン及び4,4’−ジアミノベンズアニリドより選ばれる成分を少なくとも1種含むジアミンとから得られるポリイミドであること。
6)ジアミノジフェニルエーテルは、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル若しくは3,4’−ジアミノジフェニルエーテルであること。
【0008】
本発明の第二の金属積層ポリイミドフィルムの好ましい態様を以下に示す。
1)常態90°ピール強度が0.5N/mm以上であり、150℃・24時間加熱処理後の90°ピール強度が0.5N/mm以上であること。
【発明の効果】
【0009】
本発明のメタライジング用ポリイミドフィルムは、ポリイミドフィルムの表面に直接、メタライジング法により初期及び加熱処理後の密着性の優れる金属層を設けることができる。
本発明のメタライジング用ポリイミドフィルムは、メタライジング法により金属層を設け、さらにこの金属層上に金属メッキ法により金属メッキ層を設けることができ、ポリイミドフィルムと金属メッキ層との密着性が優れる金属メッキを積層したポリイミドフィルムを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のメタライジング用ポリイミドフィルムは、ポリイミド層(b)の片面又は両面に、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を主成分とする酸成分と、ジアミノジフェニルエーテルを主成分とするジアミン成分とから得られるポリイミドでありかつ表面処理剤を含むポリイミド層(a)を設けたものである。このポリイミド層(a)は、表面処理剤を含んだ状態で最高加熱温度350℃〜600℃で熱処理したものであること、特に、表面処理剤含有のポリイミド前駆体溶液(a)を塗工して形成させたポリイミド前駆体溶液層(a)を最高加熱温度350℃〜600℃で熱処理して得られるものであることが好ましい。また、ポリイミド層(b)とポリイミド層(a)とは直接積層されていることが好ましい。
【0011】
本発明のメタライジング用ポリイミドフィルムにおいて、ポリイミド層(b)及びポリイミド層(a)の厚みは使用する目的に応じて適宜選択すればよいが、実用上、ポリイミド層(b)の厚みは、好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは8〜80μm、より好ましくは10〜80μm、特に好ましくは10〜40μmの厚さである。
ポリイミド層(a)の厚みは、好ましくは0.05〜1μm、より好ましくは0.06〜0.8μm、さらに好ましくは0.1〜0.7μm、特に好ましくは0.2〜0.6μmの厚さであることが好ましい。ポリイミド層(a)の厚みを上記の範囲にすることにより、得られる金属積層ポリイミドフィルムや金属メッキ積層ポリイミドフィルムの90°ピール強度が低下せずに、うまりこみ性が向上する(うまりこみ深さが小さくなる)ために好ましい。
ポリイミド層(b)は、プリント配線板、フレキシブルプリント基板、TABテープ等の電子部品の素材として用いられるポリイミドフィルム、該ポリイミドフィルムを構成する酸成分及びジアミン成分とから得られる、或いは該ポリイミドフィルムを構成する酸成分及びジアミン成分とを含むポリイミドなどを挙げることができる。
ポリイミド層(b)の具体例としては、プリント配線板、フレキシブルプリント基板、TABテープ等の電子部品の素材として用いられるポリイミドフィルム、例えば、商品名「ユーピレックス(S、又はR)」(宇部興産社製)、商品名「カプトン」(東レ・デュポン社製、デュポン社製)、商品名「アピカル」(鐘淵化学社製)などのポリイミドフィルム及び、これらのフィルムを構成する酸成分及びジアミン成分とから得られる、或いは該ポリイミドフィルムを構成する酸成分及びジアミン成分とを含むポリイミドなどを挙げることができる。
ポリイミド層(b)は、ガラス転移温度が好ましくは250℃以上、さらに好ましくは270℃以上、より好ましくは300℃以上、より好ましくは320℃以上、特に好ましくは330℃以上であるか、又はガラス転移温度が好ましくは250℃未満、さらに好ましくは270℃未満、より好ましくは300℃未満、より好ましくは320℃未満、特に好ましくは350℃未満の温度では観測されない耐熱性を有するポリイミドを用いることが好ましい。
ポリイミド層(a)は、ガラス転移温度が好ましくは250℃以上、さらに好ましくは270℃以上、より好ましくは300℃以上、より好ましくは320℃以上、特に好ましくは330℃以上であるか、又はガラス転移温度が好ましくは250℃未満、さらに好ましくは270℃未満、より好ましくは300℃未満、より好ましくは320℃未満、特に好ましくは350℃未満の温度では観測されない耐熱性を有するポリイミドを用いることが好ましい。
【0012】
ポリイミド層(b)は、
1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及びピロメリット酸二無水物より選ばれる成分を少なくとも1種含む酸成分と、
2)p−フェニレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルエーテル、o−トリジン、m−トリジン及び4,4’−ジアミノベンズアニリドなどのベンゼン核が1〜2個のジアミン(2個のベンゼン核間に、エチレン鎖などのC2以上のアルキル鎖を含まない)より選ばれる成分を少なくとも1種含むジアミン成分とから得られるポリイミドであることが好ましい。さらに、フィルムの線膨張係数(50〜200℃)が5×10−6〜30×10−6cm/cm/℃であることが、プリント配線板、フレキシブルプリント基板、TABテープ等の電子部品の素材として好ましい。
特にポリイミド層(b)は、350℃〜600℃、好ましくは450〜590℃、より好ましくは490〜580℃、さらに好ましくは500〜580℃で熱処理して得られるポリイミドが、プリント配線板、フレキシブルプリント基板、TABテープ等の電子部品の素材として用いるために好ましい。
好ましいポリイミド層(b)を構成する酸成分とジアミン成分との具体的な組合せとしては、
1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、p−フェニレンジアミン或いはp−フェニレンジアミン及び4,4−ジアミノジフェニルエーテル、
2)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及びピロメリット酸二無水物と、p−フェニレンジアミン或いはp−フェニレンジアミン及び4,4−ジアミノジフェニルエーテル、
3)ピロメリット酸二無水物と、p−フェニレンジアミン及び4,4−ジアミノジフェニルエーテル、
4)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとを主成分(合計100モル%中の50モル%以上)として得られるものが、プリント配線板、フレキシブルプリント基板、TABテープ等の電子部品の素材として好適に用いられ、広い温度範囲にわたって優れた機械的特性を有し、長期耐熱性を有し、耐加水分解性に優れ、熱分解開始温度が高く、加熱収縮率と線膨張係数が小さく、難燃性に優れるために好ましい。
【0013】
ポリイミド層(b)を構成するジアミン成分としては上記の他に本発明の目的を損なわない範囲で、p−フェニレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルエーテル、m−トリジン及び4,4’−ジアミノベンズアニリドなどのベンゼン核が1〜2個のジアミンより選ばれる芳香族ジアミン成分(エチレン鎖などのC2以上のアルキル鎖を含まない)を除く、ベンゼン核を3個以上有する芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミンなどを用いることができる。
【0014】
ポリイミド層(b)を構成する酸成分としては上記の他に本発明の目的を損なわない範囲で、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)チオエーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ケトン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族酸無水物を用いることができる。
【0015】
本発明のメタライジング用ポリイミドフィルムのポリイミド層(a)は、表面処理剤を含むものである。ポリイミド層(a)が表面処理剤を含むことにより、ポリイミドフィルムの表面に直接、メタライジング法により初期及び熱処理後に密着性の優れる金属層を設けることができる。
「ポリイミド層(a)は表面処理剤を含む」とは、表面処理剤がそのままの状態で含まれる場合でもよく、さらにポリイミド又はポリイミド前駆体或いはこれらの有機溶液中で例えば350℃〜600℃、好ましくは450〜590℃、より好ましくは490〜580℃、さらに好ましくは500〜580℃の加熱による熱変化を受けて化学変化などの変化を起こした状態で含まれる場合でもよい。
【0016】
ポリイミド層(a)は、
1)2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を主成分として含み、酸成分100モル%中に好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含む酸成分と、
2)4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び3,4’−ジアミノジフェニルエーテルから選ばれるジアミノジフェニルエーテルを主成分として含み、ジアミン成分100モル%中に好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含むジアミン成分とから得られるポリイミドである。
ポリイミド層(a)をこのようなポリイミドとすることにより、初期及び加熱後にポリイミドとの密着性に優れる金属層をメタライズ法により形成することができる。
【0017】
ポリイミド層(a)を構成するジアミン成分としては上記の他に本発明の目的を損なわない範囲で、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−トリジン、m−トリジン及び4,4’−ジアミノベンズアニリド、ビス(4−アミノフェニル)メタン、2,2,−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、3,3’−ジフェニルスルホン、4,4’−ジフェニルスルホンなどのベンゼン核が1〜2個のジアミンより選ばれる芳香族ジアミン成分(エチレン鎖などのC2以上のアルキル鎖を含まない)を除く、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼンなどのベンゼン核を3個以上有する芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミンなどを用いることができる。
【0018】
ポリイミド層(a)を構成する酸成分としては上記の他に本発明の目的を損なわない範囲で、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)チオエーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ケトン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族酸無水物を用いることができる。
【0019】
表面処理剤としては、アミノシラン系、エポキシシラン系或いはチタネート系の表面処理剤を挙げることができる。アミノシラン系表面処理剤としてはγ−アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−(アミノカルボニル)−γ−アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−〔β−(フェニルアミノ)−エチル〕−γ−アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピル−トリエトキシシラン、γ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランなどの化合物、エポキシシラン系表面処理剤としてはβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチル−トリメトキシシラン、γ−グリシリドキシプロピル−トリメトキシシランなどの化合物、チタネート系表面処理剤としてはイソプロピル−トリクミルフェニル−チタネート、ジクミルフェニル−オキシアセテート−チタネートなどの化合物が挙げられる。
表面処理剤としては、アミノシラン系、エポキシシラン系などのシラン化合物を好ましく用いることができる。
【0020】
ポリイミド層(a)において、ポリイミド前駆体溶液(a)に含有させるシラン化合物などの表面処理剤の配合量は、用いるポリイミド層(b)の種類により適宜選択すればよく、ポリイミド前駆体溶液(a)100質量%に対して、好ましくは1〜10質量%の範囲、さらに好ましくは1.5〜8質量%、特に好ましくは3〜6質量%が好ましい。
【0021】
本発明においては、ポリイミド層(b)を与えるポリイミド前駆体の溶液から得られる自己支持性フィルムの片面又は両面に、ポリイミド層(a)を得ることができる表面処理剤含有のポリイミド前駆体溶液(a)を塗工して自己支持性フィルムの片面又は両面にポリイミド前駆体溶液(a)を積層させ、得られる多層の自己支持性フィルムを加熱、乾燥してイミド化を行い、さらに最高加熱温度350℃〜600℃、好ましくは450〜590℃、より好ましくは490〜580℃、さらに好ましくは500〜580℃で熱処理することが好ましい。これにより、メタライジング法によりポリイミド層(a)の表面に金属層を積層した積層体の剥離強度が実用的なレベル以上で大きく、フィルム全体として充分な機械的性質(引張弾性率)および熱的性質(線膨張係数)を有する接着性の改良されたポリイミドフィルムを得ることができる。
【0022】
ポリイミド層(b)を与えるポリイミド前駆体溶液(b)から得られる自己支持性フィルムは、酸成分とジアミン成分とを、実質的に等モル或いはどちらかの成分を少し過剰にして、有機極性溶媒中で重合することにより得られる芳香族ポリアミック酸溶液を基板上に流延し、加熱して得ることができる。
【0023】
ポリイミド層(a)に用いるポリイミド前駆体溶液(a)は、酸成分とジアミン成分とを、実質的に等モル或いはどちらかの成分を少し過剰にして、有機極性溶媒中で重合することにより得られる。
ポリイミド層(a)は、このようなポリイミド前駆体溶液(a)にシラン化合物などの表面処理剤を加え、ポリイミド層(b)を与えるポリイミド前駆体溶液(b)の自己支持性フィルム上に塗布し、これをイミド化して、さらに最高加熱温度350℃〜600℃、好ましくは450〜590℃、より好ましくは490〜580℃、さらに好ましくは500〜580℃で熱処理することにより、得られる。
【0024】
ポリイミド前駆体溶液を製造するための有機極性溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、ヘキサメチルスルホルアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ジメチルスルホン、ジエチルスルホンなどのスルホン類を挙げることができる。これらの溶媒は単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。
【0025】
ポリイミド前駆体(a)及びポリイミド前駆体(b)の重合反応を実施するに際して、有機極性溶媒中の全モノマーの濃度は、使用する目的や製造する目的に応じて適宜選択すればよく、例えばポリイミド前駆体溶液(b)は、有機極性溶媒中の全モノマーの濃度が、好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは6〜35質量%、特に好ましくは10〜30質量%であることが好ましく、ポリイミド前駆体溶液(a)は、有機極性溶媒中の全モノマーの濃度が1〜15質量%、特に2〜8質量%となる割合であることが好ましい。
ポリイミド前駆体(a)及びポリイミド前駆体(b)の製造例の一例として、前記の芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分との重合反応は、例えば、それぞれを実質的に等モル或いはどちらかの成分(酸成分、或いはジアミン成分)を少し過剰にして混合し、反応温度100℃以下、好ましくは80℃以下にて約0.2〜60時間反応させることにより実施して、ポリアミック酸(ポリイミド前駆体)溶液を得ることができる。
【0026】
ポリイミド前駆体(a)及びポリイミド前駆体(b)の重合反応を実施するに際して、溶液粘度は、使用する目的(塗工、流延など)や製造する目的に応じて適宜選択すればよく、ポリアミック酸(ポリイミド前駆体)溶液は、30℃で測定した回転粘度が、約0.1〜5000ポイズ、特に0.5〜2000ポイズ、さらに好ましくは1〜2000ポイズ程度のものであることが、このポリアミック酸溶液を取り扱う作業性の面から好ましい。したがって、前記の重合反応は、生成するポリアミック酸が上記のような粘度を示す程度にまで実施することが望ましい。
【0027】
ポリイミド層(b)のポリイミド前駆体溶液(b)の自己支持性フィルムを製造する際に、例えば、まずポリイミド前駆体溶液(b)を適当な支持体(例えば、金属、セラミック、プラスチック製のロール、または金属ベルト、あるいは金属薄膜テープが供給されつつあるロール、又はベルト)の表面上に流延して、約10〜2000μm、特に20〜1000μm程度の均一な厚さのポリイミド前駆体溶液を膜状態に形成する。次いで熱風、赤外線等の熱源を利用して50〜210℃、特に60〜200℃に加熱して、溶剤を徐々に除去することにより、自己支持性になるまで前乾燥を行い、該支持体より自己支持性フィルムを剥離する。
ポリイミド層(b)のポリイミド前駆体溶液(b)の自己支持性フィルムを製造する際に、ポリイミド前駆体(b)のイミド化は熱イミド化でも、化学イミド化でもどちらでも行なうことが出来きる。
自己支持性フィルムにポリイミド前駆体溶液(a)を塗工する場合、支持体より剥離させた自己支持性フィルム上にポリイミド前駆体溶液(a)を塗工してもよく、支持体より剥離する前の支持体上の自己支持性フィルムにポリイミド前駆体溶液(a)を塗工してもよい。
自己支持性フィルムは、ポリイミド(a)を与えるポリイミド前駆体溶液(a)を自己支持性フィルムの表面にほぼ均質に、さらには均質に塗工できる表面(片面或いは両面)を有することが好ましい。
自己支持性フィルムの片面又は両面にポリイミド(a)を与えるポリイミド前駆体溶液(a)を均一に塗工することが好ましい。
【0028】
自己支持性フィルムの片面又は両面にポリイミド(a)を与えるポリイミド前駆体溶液(a)を塗工する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、グラビアコート法、スピンコート法、シルクスクリーン法、ディップコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法などの公知の塗工方法を挙げることができる。
【0029】
剥離された自己支持性フィルムは、その加熱減量が20〜40質量%の範囲にあることが好ましく、イミド化率が8〜40%の範囲にあることが、自己支持性フィルムの力学的性質が十分でない場合、自己支持性フィルムの上面にポリイミド前駆体溶液(a)をきれいに塗工しにくくなる場合、ポリイミド層(a)とポリイミド層(b)との接着強度が弱くなる場合、イミド化後に得られるポリイミドフィルムに、発泡、亀裂、クレーズ、クラック、ひびワレなどの発生が観察される場合などがあるために、好ましい。
【0030】
なお、上記の自己支持性フィルムの加熱減量とは、測定対象のフィルムを420℃で20分間乾燥し、乾燥前の重量W1と乾燥後の重量W2とから次式によって求めた値である。
加熱減量(質量%)={(W1−W2)/W1}×100
また、上記の自己支持性フィルムのイミド化率は、IR(ATR)で測定し、フィルムとフルキュア品との振動帯ピーク面積の比を利用して、イミド化率を算出することができる。振動帯ピークとしては、イミドカルボニル基の対称伸縮振動帯やベンゼン環骨格伸縮振動帯などを利用する。またイミド化率測定に関し、特開平9−316199号公報に記載のカールフィッシャー水分計を用いる手法もある。
なお、前記の自己支持性フィルムには、必要であれば、内部または表面層に微細な無機あるいは有機の添加剤を配合することができる。
無機の添加剤としては、粒子状あるいは偏平状などの無機フィラーを挙げることができ、微粒子状の二酸化チタン粉末、二酸化ケイ素(シリカ)粉末、酸化マグネシウム粉末、酸化アルミニウム(アルミナ)粉末、酸化亜鉛粉末などの無機酸化物粉末、微粒子状の窒化ケイ素粉末、窒化チタン粉末などの無機窒化物粉末、炭化ケイ素粉末などの無機炭化物粉末、および微粒子状の炭酸カルシウム粉末、硫酸カルシウム粉末、硫酸バリウム粉末などの無機の粉末を挙げることができる。これらの無機の微粒子は二種以上を組合せて使用してもよい。これらの無機微粒子を均一に分散させるために、それ自体公知の手段を適用することができる。
有機の添加剤としては、ポリイミド粒子、熱硬化性樹脂の粒子などを挙げることができる。
添加剤の使用量および形状(大きさ、アスペクト比)については、使用目的に応じて選択することが好ましい。
【0031】
前記のようにして調製した塗工物(積層体)を、ピンテンター、クリップ、金属などで固定して、加熱硬化させることが好ましい。この加熱処理は、まず200℃から300℃未満の温度で1分〜60分間第一次加熱処理した後に、300℃から370℃未満の温度で1分〜60分間第二次加熱処理し、そして最高加熱温度350℃〜600℃、好ましくは450〜590℃、より好ましくは490〜580℃、さらに好ましくは500〜580℃で1分〜30分間第三次加熱処理することが望ましい。加熱処理はこのように段階的に行うことが好ましい。また、第一次加熱温度が200℃よりも低い場合は、金属酸化物形成時に生じる水によりポリイミドが加水分解されて、力学的性質が低下したり、フィルムにひび割れが生じることがある。上記加熱処理は、熱風炉、赤外線加熱炉などの公知の種々の装置を使用して行うことができる。
【0032】
ポリイミド前駆体溶液(a)及び/又はポリイミド前駆体溶液(b)は、ゲル化を制限する目的で、リン系安定剤、例えば亜リン酸トリフェニル、リン酸トリフェニル等をポリアミック酸重合時に固形分(ポリマー)濃度に対して0.01〜1%の範囲で添加することができる。
またポリイミド前駆体溶液(a)及び/又はポリイミド前駆体溶液(b)は、イミド化促進の目的で、ドープ液中に塩基性有機化合物を添加することができる。例えば、イミダゾール、2−イミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、イソキノリン、置換ピリジンなどをポリアミック酸(ポリイミド前駆体)100質量部に対して、0.0005〜0.1質量部、特に0.001〜0.02質量部の割合で使用することができる。これらは、比較的低温でポリイミドフィルムを形成するためにイミド化が不十分となることを避けるために使用することができる。
また、接着強度の安定化の目的で、熱圧着性ポリイミド原料ドープに有機アルミニウム化合物、無機アルミニウム化合物または有機錫化合物を添加してもよい。例えば水酸化アルミニウム、アルミニウムトリアセチルアセトナートなどをポリアミック酸に対してアルミニウム金属として1ppm以上、特に1〜1000ppmの割合で添加することができる。
【0033】
ポリイミド層(a)及びポリイミド層(b)とを積層したメタライジング用ポリイミドフィルム全体として、引張弾性率(MD)が6GPa以上、好ましくは12GPa以下であり、線膨張係数(50〜200℃)が10×10−6〜30×10−6cm/cm/℃であることが、プリント配線板、フレキシブルプリント基板、TABテープ等の電子部品の素材として好適に用いることができるために好ましい。
【0034】
本発明のメタライジング用ポリイミドフィルムは、そのまま、或いは必要であればポリイミド層(a)又はポリイミド層(b)を、コロナ放電処理、低温プラズマ放電処理あるいは常圧プラズマ放電処理、化学エッチングなどによる表面処理をして用いることができる。
【0035】
本発明のメタライジング用ポリイミドフィルムは、ポリイミド層(a)の表面にメタライジング法により金属層を設けることができる。得られる金属積層ポリイミドフィルムは、ポリイミド層(a)と金属層との密着強度(90°ピール強度)は、常態で0.5N/mm以上、さらに0.6N/mm以上であり、150℃×168時間熱処理後で0.4N/mm以上、さらに0.5N/mm以上であることが好ましい。また、金属配線のポリイミドフィルムへのうまりこみ深さは、0.4mm以下、さらに0.25mm以下であることが好ましい。
【0036】
上記のように、本発明のメタライジング用ポリイミドフィルムを用いて、メタライジング用ポリイミドフィルムのポリイミド層(a)の表面に、必要に応じて表面処理を行った後、メタライジング法により金属層を設けた金属積層ポリイミドフィルムを製造することができる。
さらに、この金属積層ポリイミドフィルムを用いて、金属積層ポリイミドフィルムの金属層上に、金属メッキ法により金属メッキ層を設けた金属メッキ積層ポリイミドフィルムを製造することができる。
【0037】
メタライジング法により形成される金属層は、メタライジング用ポリイミドフィルムのポリイミド層(a)と実用上問題のない密着性を有するものであればよく、さらに金属層の上面に設ける金属メッキ層と実用上問題のない密着性を有するものであればよい。
メタライジング法は、金属メッキや金属箔の積層とは異なる金属層を設ける方法であり、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム等の公知の方法を用いることができる。
メタライジング法に用いる金属としては、銅、ニッケル、クロム、マンガン、アルミニウム、鉄、モリブデン、コバルト、タングステン、バナジウム、チタン、タンタル等の金属、又はそれらの合金、或いはそれらの金属の酸化物、それらの金属の炭化物等を用いることができるが、特にこれらの材料に限定されない。
メタライジング法により形成される金属層の厚さは、使用する目的に応じて適宜選択でき、好ましくは1〜500nm、さらに好ましくは5nm〜200nmの範囲が、実用に適するために好ましい。
メタライジング法により形成される金属層の層数は、使用する目的に応じて適宜選択でき、1層でも、2層でも、3層以上の多層でもよい。
メタライジング法に用いる金属としては、1層がニッケル、クロム、マンガン、アルミニウム、鉄、モリブデン、コバルト、タングステン、バナジウム、チタン、タンタル等の金属、又はそれらの合金、或いはそれらの金属の酸化物、それらの金属の炭化物等を、2層が銅又は銅の合金、或いはそれらの金属の酸化物、それらの金属の炭化物等を用いることが好ましい。
【0038】
金属積層ポリイミドフィルムは、電解メッキ又は無電解メッキなどの公知の湿式メッキ法により、金属層の表面に、銅、錫などの金属メッキ層を設けることができる。
金属積層ポリイミドフィルムに設ける、銅メッキなどの金属メッキ層の膜厚は1μm〜40μmの範囲が、実用に適するために好ましい。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明する。但し、本発明は実施例により制限されるものでない。
【0040】
(評価方法)
1.ピール強度(90°ピール強度):JIS(C6471)の銅箔の引き剥がし強さに記載された方法Aに準じて、温度23℃の空調している環境下で、3〜10mm幅の試料片を用いて、測定した。測定数は2で、表1には平均した値を示す。
【0041】
(実験例1)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と当モル量のp−フェニレンジアミンとをN,N-ジメチルアセトアミド中で、30℃、3時間重合して、18質量%濃度のポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液に、ポリアミック酸100質量部に対して0.1質量部のモノステアリルリン酸エステルトリエタノールアミン塩、次いでポリアミック酸100質量部に対して0.5質量部のシリカフィラー(平均粒径0.08μm、日産化学社製ST−ZL)を添加して均一に混合して、ポリイミド前駆体溶液組成物(A)を得た。
【0042】
(実験例2)
2,3,3’4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と当モル量の4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとをN,N-ジメチルアセトアミド中で、30℃、3時間重合して、5質量%濃度のポリアミック酸溶液(C)を得た。このポリアミック酸溶液に、ポリアミック酸100質量部に対して3質量部のγ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランを添加して均一に混合し、ポリイミド前駆体溶液組成物(B)を得た。
【0043】
(実験例3)
ジアミン成分として4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの代わりにp−フェニレンジアミンを使用した以外は実験例2と同様に行い、ポリアミック酸溶液に、ポリアミック酸100質量部に対して3質量部のγ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランを添加して均一に混合し、ポリイミド前駆体溶液組成物(D)を得た。
【0044】
(実施例1、比較例1及び2)
ポリイミド前駆体溶液組成物(A)を、加熱乾燥後のフィルム厚みが11.5μmになるようにステンレス基板(支持体)上に連続的に流延し、140℃の熱風で乾燥をおこない、支持体から剥離して自己支持性フィルムを得た。この自己支持性フィルムの両面に、表1に示すポリアミック酸溶液又はポリイミド前駆体溶液組成物を乾燥後の厚みが0.5μmとなるようにダイコーターを用いて塗工し、加熱炉で100℃から500℃に徐々に昇温して溶媒を除去し、イミド化して3種類のポリイミドフィルムを得た。
【0045】
(銅メッキ積層ポリイミドフィルムの作成)
得られた3種類のポリイミドフィルムのポリアミック酸溶液又はポリイミド前駆体溶液組成物の塗工側に、プラズマ処理によりポリイミドフィルムの表面をクリーニングした後、金属層として、クロム濃度が15重量%のニッケルクロム合金層を、スパッタリング法によって5nmの膜厚に形成した。続いて銅層を、スパッタリング法によって300nmの膜厚に形成した後に、電解銅メッキ法によって銅メッキ層を20μmの厚みになるように形成して、3種類の銅メッキ積層ポリイミドフィルムを製造した。
得られた3種類のポリイミドフィルムの90°ピール強度、150℃・24時間後の90°ピール強度を測定し、結果を表1に示す。
表1において、a−BPは2,3,3’4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を、DDEは4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを、PPDはp−フェニレンジアミンを示す。
【0046】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイミド層(b)の片面又は両面にポリイミド層(a)を設けたメタライジング用ポリイミドフィルムであり、
ポリイミド層(a)は、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を主成分とする酸成分と、ジアミノジフェニルエーテルを主成分とするジアミン成分とから得られるポリイミドでありかつ表面処理剤を含むことを特徴とするメタライジング用ポリイミドフィルム。
【請求項2】
メタライジング用ポリイミドフィルムは、ポリイミド層(a)が表面処理剤を含んだ状態で、最高加熱温度350℃〜600℃で熱処理していることを特徴とする請求項1に記載のメタライジング用ポリイミドフィルム。
【請求項3】
ポリイミド層(b)を得ることができるポリイミド前駆体溶液(b)の自己支持性フィルム上に、ポリイミド層(a)を得ることができる表面処理剤含有のポリイミド前駆体溶液(a)を塗工し、
その後、表面処理剤含有のポリイミド前駆体溶液(a)を塗工したポリイミド前駆体溶液(b)の自己支持性フィルムを最高加熱温度350℃〜600℃で熱処理して得られることを特徴とする請求項1に記載のメタライジング用ポリイミドフィルム。
【請求項4】
ポリイミド層(a)の厚さが0.05〜1μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のメタライジング用ポリイミドフィルム。
【請求項5】
表面処理剤が、アミノシラン化合物及びエポキシシラン化合物より選ばれる成分であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のメタライジング用ポリイミドフィルム。
【請求項6】
ポリイミド層(b)は、
1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及びピロメリット酸二無水物より選ばれる成分を少なくとも1種含む酸成分と、
2)p−フェニレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルエーテル、o−トリジン、m−トリジン及び4,4’−ジアミノベンズアニリドより選ばれる成分を少なくとも1種含むジアミンとから得られるポリイミドであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のメタライジング用ポリイミドフィルム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のメタライジング用ポリイミドフィルムを用い、
このメタライジング用ポリイミドフィルムのポリイミド層(a)の表面に、メタライジング法により金属層を設けたことを特徴とする金属積層ポリイミドフィルム。
【請求項8】
常態90°ピール強度が0.5N/mm以上であり、150℃・24時間加熱処理後の90°ピール強度が0.5N/mm以上であることを特徴とする請求項7に記載の金属積層ポリイミドフィルム。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の金属積層ポリイミドフィルムを用い、
この金属積層ポリイミドフィルムの金属層に、金属メッキ法により金属メッキ層を設けたことを特徴とする金属メッキ積層ポリイミドフィルム。

【公開番号】特開2010−267691(P2010−267691A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116204(P2009−116204)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】