説明

メタルマスク用版枠

【課題】メタルマスクの複数の係合孔のうちの一部の係合孔の縁にめくれ上がりが生じたり、メタルマスクに部分的なたるみが生じたりしにくいメタルマスク用版枠を提供。
【解決手段】四角形状のフレーム11と、第1の支持部13および第1の突起部14を備える第1の係止部12と、第2の支持部23、第2の突起部24および、基端支持部25と、を備える第2の係止部22と、第1の誘導部31Gを有するセンターブロック31、スライド機構32、第2の誘導部34Gを有する一対のサイドブロック34、および第1の受動部33P1と第2の受動部33P2を有する一対の可動ブロック33を備える傾倒手段30と、付勢手段15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば各種の電子部品等の実装のためにプリント配線板等にハンダペーストをスクリーン印刷によって塗布するに際し、更には一般のスクリーン印刷に際し、メタルマスクを着脱可能に張設して用いるメタルマスク用版枠に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のメタルマスク用版枠の一例が特許文献1に記載されている。具体的には、図12および図13に示すように、フレーム部材101と、張り付け手段108と、引き込み手段とを有する。フレーム部材101の内側壁102には、メタルマスク107を支持する際の支点となる前端106と、前端106縁よりも下にあって外側に向いた水平な凹部122とを有する。引き込み手段は、偏心軸部117を有し、張り付け時にフレーム部材101に固定された状態の軸受けに受けられ、レバー115の作動によりフレーム部材101に固定された中心線のまわりを回転するシャフト116を有する。張り付け手段108は、フレーム部材101の凹部122と接する凸状の支点123と、この支点123とは逆の方向を向き引き込み手段のシャフト116の偏心軸部117を挟んでそれと接するヨーク部119とを有するブロック118を、メタルマスク107を張り付けるための必要数のピンプレート109の下側に有する。そして、偏心軸部117の偏心回転による偏心軸部117の前後方向(図13における上下方向)への移動成分を、ヨーク部119の前後方向への移動に用い、且つ偏心軸部117の前後方向と直角方向の移動成分をブロック118内の穴120に偏心軸部117を押し付けるよう配置されたコイルバネ121により吸収させることによって、ブロック118を支点123を中心に円弧を描く運動を行なわせるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−301690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記背景技術に記載のメタルマスク用版枠においては、シャフト116の一端に連結されたレバー115によって偏心軸部117を回転させるが、シャフトに捩れが生じて、レバー115から離間するにつれてメタルマスク107を張設するための引っ張り力が低下する傾向がある。このため、張設されるメタルマスクにおいて、縁部近傍に配設された複数の係合孔のうち、レバーに最も近い係合孔に引っ張り力が集中して、係合孔の縁にめくれ上がりが生じたり、これに起因してメタルマスクに部分的なたるみが生じたりしやすいという課題があった。
本発明は、上記課題を解決して、メタルマスクを着脱可能に張設して用いるメタルマスク用版枠において、メタルマスクの複数の係合孔のうちの一部の係合孔の縁にめくれ上がりが生じたり、メタルマスクに部分的なたるみが生じたりしにくいメタルマスク用版枠を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(1)縁部近傍に複数の係合孔が形成されたメタルマスクを張設するためのメタルマスク用版枠であって、
四角形状のフレームと、
該フレームの互いに対向する一対の辺のうちの一方の辺の内周側に延設され、前記メタルマスクの本体を支持する第1の支点を備えた第1の支持部と、該第1の支持部に突設され、先端側に前記メタルマスクの係合孔に挿入される複数の第1の突起を備えた第1の突起部と、を備える第1の係止部と、
前記フレームの前記一対の辺のうちの他方の辺の内周側に延設され、前記メタルマスクの本体を支持する第2の支点を備えた第2の支持部と、該第2の支持部に傾倒自在に支持され、先端側に前記メタルマスクの係合孔に挿入される複数の第2の突起を備えた第2の突起部と、該第2の突起部の基端側を係止する基端支持部と、を備える第2の係止部と、
前記第2の係止部に摺動自在に支持され、両側部にそれぞれ第1の誘導部を有するセンターブロックと、該センターブロックを前記フレームの前記一対の辺と直交する方向にスライドさせるスライド機構と、前記センターブロックの第1の誘導部とそれぞれ対向する側の側部に第2の誘導部を有し、前記第2の支持部の両端近傍にそれぞれ固定された一対のサイドブロックと、前記第2の係止部に摺動自在に支持され、前記センターブロックの第1の誘導部とそれぞれ対向する側の側部に該第1の誘導部に接する第1の受動部を有するとともに、前記サイドブロックの第2の誘導部とそれぞれ対向する側の側部に該第2の誘導部に接する第2の受動部を有し、前記センターブロックのスライド動作によりそれぞれ斜め前方に押し出される一対の可動ブロックと、を備える傾倒手段と、
前記第2の突起部を直立する方向に付勢する付勢手段と、
を備える。(以下、本発明の第1の技術手段と称する。)
【0006】
また、上記メタルマスク用版枠の主要な形態の一つは、(2)上記第1の技術手段に加えてさらに、前記傾倒手段のスライド機構が、カムと、カム受けと、一端が前記カムの軸部に係止され、他端が前記センターブロックに係止されたリンク手段と、前記カムに着脱自在に突設され、傾倒操作でカムを回転駆動するカム駆動手段と、を有する。(以下、本発明の第2の技術手段と称する。)
【0007】
上記第1の技術手段による作用は以下の通りである。すなわち、四角形状のフレームと、該フレームの互いに対向する一対の辺のうちの一方の辺の内周側に延設され、メタルマスクの本体を支持する第1の支点を備えた第1の支持部と、該第1の支持部に突設され、先端側にメタルマスクの係合孔に挿入される複数の第1の突起を備えた第1の突起部と、を備える第1の係止部と、
前記フレームの前記一対の辺のうちの他方の辺の内周側に延設され、メタルマスクの本体を支持する第2の支点を備えた第2の支持部と、第2の支持部に傾倒自在に支持され、先端側にメタルマスクの係合孔に挿入される複数の第2の突起を備える第2の突起部と、該第2の突起部の基端側を係止する基端支持部と、を備える第2の係止部と、
前記第2の係止部に摺動自在に支持され、両側部にそれぞれ第1の誘導部を有するセンターブロックと、該センターブロックを前記フレームの前記一対の辺と直交する方向にスライドさせるスライド機構と、センターブロックの第1の誘導部とそれぞれ対向する側の側部に第2の誘導部を有し、前記第2の支持部の両端近傍にそれぞれ固定された一対のサイドブロックと、前記第2の係止部に摺動自在に支持され、前記センターブロックの第1の誘導部とそれぞれ対向する側の側部に該第1の誘導部に接する第1の受動部を有するとともに、前記サイドブロックの第2の誘導部とそれぞれ対向する側の側部に該第2の誘導部に接する第2の受動部を有し、センターブロックのスライド動作によりそれぞれ斜め前方に押し出される一対の可動ブロックと、を備える傾倒手段と、
前記第2の突起部を直立する方向に付勢する付勢手段と、
を備える。
このため、スライド機構によりセンターブロックがスライドされ、これがセンターブロックの両側部にそれぞれ設けられた第1の誘導部およびこれと対向して配置された一対のサイドブロックの第2の誘導部を介して、一対の可動ブロックのそれぞれ両端に分散されて可動ブロックのそれぞれ斜め前方への斜行動作に変換され、幅方向の中央および両端に分散された状態で第2の突起部の傾倒動作が行なわれる。
【0008】
上記第2の技術手段による作用は次の通りである。すなわち、前記傾倒手段のスライド機構は、カムと、カム受けと、一端が前記カムの軸部に係止され、他端が前記センターブロックに係止されたリンク手段と、前記カムに着脱自在に突設され、傾倒操作でカムを回転駆動するカム駆動手段と、を有する。
このため、カムのわずかな回転で第2の突起部に十分な傾倒動作を付与することができ、メタルマスク用版枠へのメタルマスクの張設を簡易かつ短時間に行なうことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のメタルマスク用版枠によれば、メタルマスクの一部の係合孔にめくれ上がりが生じたり、部分的なたるみが生じたりするのを抑制して、メタルマスクを安定して張設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のメタルマスク用版枠の第1の実施形態を示す平面図である。
【図2】上記実施形態の内部構造を示す図であり、図2(A)は図1のA−A線における部分拡大断面図、図2(B)は図1のB−B線における部分拡大断面図である。
【図3】上記実施形態の要部を示す図であり、図3(C)は図1の破線で囲まれたCの領域を示す要部の拡大平面図、図3(D)は図1の破線で囲まれたDの領域を示す要部の拡大平面図である。
【図4】上記実施形態の動作を示す平面図である。
【図5】上記実施形態の動作を示す図であり、図5(E)は図4のE−E線における部分拡大断面図、図5(F)は図4のF−F線における部分拡大断面図である。
【図6】上記実施形態のメタルマスク用版枠上にメタルマスクを載置した状態を示す平面図である。
【図7】上記実施形態のメタルマスク用版枠にメタルマスクを載置した状態を示す図であり、図7(G)は図6のG−G線における部分拡大断面図、図7(H)は図6のH−H線における部分拡大断面図である。
【図8】上記実施形態のメタルマスク用版枠にメタルマスクをセットする動作を示す図7(H)に対応する部分拡大断面図である。
【図9】上記実施形態のメタルマスク用版枠にメタルマスクを張設した状態を示す図であり、図9(I)は図6のG−G線に相当する位置の部分拡大断面図、図9(J)は図6のH−H線に相当する位置の部分拡大断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態のメタルマスク用版枠を示す平面図である。
【図11】上記実施形態のメタルマスク用版枠上にメタルマスクを載置した状態を示す平面図である。
【図12】背景技術の一例を示す図である。
【図13】上記背景技術の要部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明のメタルマスク用版枠の第1の実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。
本実施形態のメタルマスク用版枠10は、図1および図2に示すように、四角形状のフレーム11と、第1の係止部12と、第2の係止部22と、傾倒手段30と、付勢手段15とを有する。
フレーム11は、互いに対向する一対の辺11a,11bを有し、四角形状に形成されている。各辺11a,11bは、アルミニウム等の金属地金から引き抜き加工により、それぞれ角筒状に形成されている。
第1の係止部12は、フレーム11の互いに対向する一対の辺11a,11bのうちの一方の辺11aの内周側に延設されている。そして第1の係止部12は、図示省略したメタルマスクの本体を支持する第1の支点13Tを備え、例えばアルミニウム等の金属板から板金加工により形成された第1の支持部13と、第1の支持部13に突設され、先端側に複数の第1の突起14Tを備え例えばステンレス等の金属板から板金加工により形成された第1の突起部14と、を備える。
第2の係止部22は、フレーム11の対向する一対の辺11a,11bのうちの他方の辺11bの内周側に延設されている。そして第2の係止部22は、図示省略したメタルマスクの本体を支持する第2の支点23Tを備え例えばアルミニウム等の金属板から板金加工により形成された第2の支持部23と、第2の支持部23に傾倒自在に支持され、先端側に複数の第2の突起24Tを備え例えばステンレス等の金属板から板金加工により形成された第2の突起部24と、第2の突起部24の基端24B側を係止する基端支持部25と、を備える。
傾倒手段30は、センターブロック31と、スライド機構32と、一対のサイドブロック34,34と、一対の可動ブロック33,33と、を備える。
これらのうち、傾倒手段30のセンターブロック31と、一対のサイドブロック34,34と、一対の可動ブロック33,33とが、第2の支持部23と第2の突起部24とで挟まれるように第2の係止部22の内部に配設されている。
センターブロック31は、図3に示すように、例えばステンレス等の金属柱から切削加工により形成され第1の誘導部31Gを両側部に有し、第2の係止部22に摺動自在に支持されている。また、一対のサイドブロック34,34は、センターブロック31の第1の誘導部31Gと対向する側の側部に第2の誘導部34Gを有し、第2の支持部24の両端近傍に例えばネジ止め等により固定されている。一対の可動ブロック33、33は、センターブロック31の第1の誘導部31Gとそれぞれ対向する側の側部に第1の誘導部31Gと接する第1の受動部33P1を有するとともに、サイドブロック34の第2の誘導部34Gとそれぞれ対向する側の側部に第2の誘導部34Gと接する第2の受動部33P2を有する。
一対の可動ブロック33、33は、それぞれ、センターブロック31およびサイドブロック34で長手方向の両端側をガイドされている。また、一対の可動ブロック33,33の長手方向の一辺側はそれぞれ第2の突起部24と接している。
また、センターブロック31は、後述するスライド機構32に連結されており、フレーム11の一対の辺11a,11bと直交する方向にスライド可能に構成されている。
また、付勢手段15は、第2の係止部22の基端支持部25とともに、第2の支持部23に例えばネジ止めされている。
【0012】
本実施形態においては、図3に示すように、センターブロック31の第1の誘導部31Gは、フレーム11の互いに対向する一対の辺11a,11bに対し斜めに配置された斜面からなる。同様に、サイドブロック34,34の第2の誘導部34Gも、フレーム11の一対の辺11a,11bに対し斜めに配置された斜面からなる。
一方、可動ブロック33,33には、第1の受動部33P1として、センターブロック31の第1の誘導部31Gと対向するように形成された斜面に、複数の小径ボールとこれらの小径ボールに支持され一部が露出するようにケーシング内に収容された大径ボールとを備えるボールベアリングが埋め込まれており、センターブロックと可動ブロックとの間の摩擦を低減している。同様に、可動ブロック33,33のサイドブロック34の第2の誘導部34Gと対向するように形成された斜面には、第2の受動部33P2として、前記と同様に、複数の小径ボールとこれらの小径ボールに支持され一部が露出するようにケーシング内に収容された大径ボールとを備えるボールベアリングが埋め込まれており、サイドブロックと可動ブロックとの間の摩擦を低減している。
そして、図3に一点鎖線の矢印で示すようにセンターブロック31のスライド動作により、一対の可動ブロック33,33が二点鎖線の矢印で示すようにそれぞれ斜め前方に押し出される。
【0013】
本実施形態のメタルマスク用版枠10におけるスライド機構32は、図2に示すように、リンク手段32aと、カム受け32bと、カム32Cと、図示省略したカム駆動手段32dとを有する。カム受け32b及びカム32Cは、フレーム11の一辺11bの内部に収容されている。また、リンク手段32aは、一端が第2の係止部22に収容されたセンターブロック31に係止され、カム受け32bを貫通して、他端がカム32Cの軸部32CSに係止されている。カム32Cにはリンク手段32aを差し込む溝と、図示省略したカム駆動手段32dの一端を着脱自在に支持する挿入穴32CHが形成されている。
また、フレーム11には、カム32Cの挿入穴32CHにカム駆動手段32dを差し込んだ状態で傾倒可能にするためにスリットが形成されている。
【0014】
次に、本実施形態のメタルマスク用版枠10の動作について図1〜図5を参照して説明する。
まず、初期状態では、フレーム11の互いに対向する一対の辺11a,11bのうちの他方の辺11bの内周側に延設された第2の係止部22の第2の支持部23に傾倒自在に支持される第2の突起部24は、付勢手段15により付勢されてほぼ直立した状態にある。次に、スライド機構32によって傾倒手段30のセンターブロック31がフレーム11の対向する一対の辺11a,11bと直交する方向に外周側に向かってスライドされる。このとき、センターブロック31の第1の誘導部31Gにより一対の可動ブロック33,33のそれぞれ一方の側部の第1の受動部33P1が斜め前方に押し出されるとともに、サイドブロック34の第2の誘導部34Gにより一対の可動ブロック33,33のそれぞれ他方の側部の第2の受動部33P2が斜め前方に押し出される。このため、第2の突起部24の第2の突起24Tを有する先端側がフレーム11の外周方向に向かって傾倒される。このとき、一対の可動ブロック33,33それぞれの両端に推進力が付与されるので、第2の突起部24の幅方向の中央および両端近傍に同時に傾倒動作の推進力が作用する。
【0015】
次に、本実施形態のメタルマスク用版枠10にメタルマスク40を張設する手順の一例を図6〜図9を参照して説明する。
まず、本実施形態のメタルマスク用版枠10上に、一点鎖線で示すように、本体のほぼ中央部に印刷パターンに対応する透孔42が形成されるとともに、縁部近傍に複数の係合孔41が形成されたメタルマスク40が載置される。メタルマスク40の本体は、第1の係止部12の第1の支持部13の先端側の第1の支点13T、および第2の係止部22の第2の支持部23の先端側の第2の支点23Tで支持される。そして、メタルマスク40の互いに対向する一対の縁部のうちの一方の縁部近傍に形成された係合孔41が第1の係止部12の第1の突起部14の第1の突起14T上に配置され、またメタルマスク40の他方の縁部近傍に形成された係合孔41に第2の係止部22の第2の突起部24の第2の突起24Tが挿入される。そして、傾倒手段30のスライド機構32のカム32Cに形成された挿入穴32CHにカム駆動手段32dの一端側が挿入される。そして、メタルマスク40の対向する一対の縁部近傍をそれぞれ第1の係止部12の第1の突起部14および第2の係止部22の第2の突起部24側に押し込んだ状態でカム駆動手段32dを一点鎖線で示す矢印方向に倒すことにより、図9(I)に示すように、メタルマスク40の対向する一対の縁部のうちの一方の縁部近傍の係合孔41に第1の係止部12の第1の突起部14の第1の突起14Tが挿入されて係合するとともに第1の支持部13に沿って縁部がフレーム11の内周側に引き込まれる。また、図9(J)に示すように、メタルマスク40の他方の縁部近傍の係合孔41に第2の係止部22の第2の突起部24の第2の突起24Tが挿入されて係合するとともに縁部がフレーム11の内周側に引き込まれる。
【0016】
次に、本発明のメタルマスク用版枠の第2の実施形態について、図10および図11を参照して説明する。本実施形態のメタルマスク用版枠50は、先の第1の実施形態のメタルマスク用版枠10の互いに対向する一対の辺11a,11bと直交し、互いに対向する一対の辺に、前記実施形態と同様に、第1の係止部と第2の係止部を設けたものである。
【0017】
尚、説明の都合上、前記と同一の構成については同一の符号を付するとともに、対応する構成については、同符号に’(ダッシュ)を付した。図10に示すように、フレーム51の互いに対向する一対の辺51a,51bには、第1の実施形態のメタルマスク用版枠10と同様に、それぞれ、第1の係止部12と第2の係止部22が設けられている。また、これらの辺と直交する互いに対向する一対の辺51c、51dにも、第1の実施形態のメタルマスク用版枠10の第1の係止部12および第2の係止部22に対応するように、それぞれ第1の係止部12’および第2の係止部22’が設けられている。
【0018】
また、図11に示すように、第2の実施形態のメタルマスク用版枠50に張設されるメタルマスク60には、前記と同様に本体のほぼ中央部に印刷パターンを形成するための透孔62が形成されるとともに、メタルマスク60の4辺の縁部近傍にそれぞれ係合孔61が形成されている。
【0019】
次に、本発明のメタルマスク用版枠の各部の好ましい実施形態について説明する。
フレームは、四角形状であることが好ましい。また、フレームの4辺は、一体であってもよく、また、別体の各辺をそれぞれ端部で連結して構成してもよい。また、対向する一対の辺の間隔を調整するための調整手段を各辺もしくは各辺の連結部に設けてもよい。
【0020】
第1の係止部としては第1の支持部と第1の突起部とを有するものであればよく、必要に応じて、第2の係止部と同様に第1の突起部を傾倒する傾倒手段を付加したものであってもよい。
【0021】
第2の係止部としては、第2の支持部と第2の突起部と、基端支持部を有することが好ましい。また、第2の支持部と基端支持部とを一体にしてもよい。
【0022】
傾倒手段は、センターブロックと、一対の可動ブロックと、一対のサイドブロックと、スライド機構とを有することが好ましい。また、センターブロックを複数設けてもよい。また、一対のサイドブロックは、例えば第2の支持部やフレームと一体にしてもよい。また、第1の誘導部と第1の受動部、および第2の誘導部と第2の受動部は、それぞれ一対の関係にある。このため、本発明の実施形態では摩擦を低減する手段を受動部に設けたが、これに限定するものではなく、摩擦を低減する手段を誘導部と受動部のいずれか一方に設ければよく、また、それぞれに設けてもよい。また、摩擦を低減する手段としては、取り扱いが容易なためにボールベアリングが好ましいが、これに限定するものではなく、各種のスライダーを用いることができる。また、滑性シート等をブロックの表面に貼着してもよい。
【0023】
傾倒手段のスライド機構としては、動作が簡易なことから本実施形態ではカムおよびリンク手段を用いたが、これに限定するものではなく、リンク構造の取手やネジ等であってもよい。
【0024】
また、本発明のメタルマスク用版枠は、第2の突起部を直立する方向に付勢する付勢手段を有することが好ましい。また、付勢手段を第2の突起部と一体にしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
縁部近傍に複数の係合孔を備えた公知の種々のメタルマスクを張設して用いることができる。特に、クリーム半田印刷に用いるメタルマスクに好適である。
【符号の説明】
【0026】
10:メタルマスク用版枠
11:フレーム
12,12’:第1の係止部
13,13’:第1の支持部
13T,13T’:第1の支点
14,14’:第1の突起部
14T:第1の突起
15:付勢手段
22,22’:第2の係止部
23,23’:第2の支持部
23T,23T’:第2の支点
24,24’:第2の突起部
24B:基端
24T,24T’:第2の突起
25:25’:基端支持部
30:傾倒手段
31,31’:センターブロック
31G:第1の誘導部
32,32’:スライド機構
32a、32a’:リンク手段
32b、32b’:カム受け
32C,32C’:カム
32d:32d’:カム駆動手段
33,33’:可動ブロック
33P1:第1の受動部
33P2:第2の受動部
34,34’:サイドブロック
34G:第2の誘導部
40:メタルマスク
41:係合孔
42:印刷パターン(透孔)
50:メタルマスク用版枠
51:フレーム
60:メタルマスク
61:係合孔
62:印刷パターン(透孔)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縁部近傍に複数の係合孔が形成されたメタルマスクを張設するためのメタルマスク用版枠であって、
四角形状のフレームと、
該フレームの互いに対向する一対の辺のうちの一方の辺の内周側に延設され、前記メタルマスクの本体を支持する第1の支点を備えた第1の支持部と、該第1の支持部に突設され、先端側に前記メタルマスクの係合孔に挿入される複数の第1の突起を備えた第1の突起部と、を備える第1の係止部と、
前記フレームの前記一対の辺のうちの他方の辺の内周側に延設され、前記メタルマスクの本体を支持する第2の支点を備えた第2の支持部と、該第2の支持部に傾倒自在に支持され、先端側に前記メタルマスクの係合孔に挿入される複数の第2の突起を備えた第2の突起部と、該第2の突起部の基端側を係止する基端支持部と、を備える第2の係止部と、
前記第2の係止部に摺動自在に支持され、両側部にそれぞれ第1の誘導部を有するセンターブロックと、該センターブロックを前記フレームの前記一対の辺と直交する方向にスライドさせるスライド機構と、前記センターブロックの第1の誘導部とそれぞれ対向する側の側部に第2の誘導部を有し、前記第2の支持部の両端近傍にそれぞれ固定された一対のサイドブロックと、前記第2の係止部に摺動自在に支持され、前記センターブロックの第1の誘導部とそれぞれ対向する側の側部に該第1の誘導部に接する第1の受動部を有するとともに、前記サイドブロックの第2の誘導部とそれぞれ対向する側の側部に該第2の誘導部に接する第2の受動部を有し、前記センターブロックのスライド動作によりそれぞれ斜め前方に押し出される一対の可動ブロックと、を備える傾倒手段と、
前記第2の突起部を直立する方向に付勢する付勢手段と、
を備えることを特徴とするメタルマスク用版枠。
【請求項2】
前記傾倒手段のスライド機構は、カムと、カム受けと、一端が前記カムの軸部に係止され、他端が前記センターブロックに係止されたリンク手段と、前記カムに着脱自在に突設され、傾倒操作でカムを回転駆動するカム駆動手段と、を有することを特徴とする請求項1記載のメタルマスク用版枠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−247504(P2010−247504A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118009(P2009−118009)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(593135365)太陽化学工業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】