メタン発酵後処理装置、メタン発酵後処理システム及びこれらの方法
【課題】メタン発酵処理の効率を向上させるメタン発酵後処理装置、メタン発酵後処理システム及びこれらの方法を提供する。
【解決手段】生ごみ等の有機性廃棄物11を先ず粗く破砕処理する粗破砕機12−1と、前記粗破砕された廃棄物11Aを更に細かく砕く微破砕機12−2と、前記廃棄物11Aに混入している例えばビニール等の夾雑物13を選択的に選別する選別機14と、前記夾雑物13が除去された廃棄物11Bを所定の水分量となるように可溶化する可溶化槽15と、前記可溶化槽15で可溶化した可溶化液18A中に残留する夾雑物13を除去する第1の固液分離装置であるスクリーン16Aと、前記残留夾雑物13を除去した可溶化液18Bを再度可溶化槽15に戻す戻しラインL3と、前記可溶化槽15からメタン発酵槽21にメタン発酵処理を行なうメタン発酵用可溶化液18Dを供給する供給ラインL5を具備する。
【解決手段】生ごみ等の有機性廃棄物11を先ず粗く破砕処理する粗破砕機12−1と、前記粗破砕された廃棄物11Aを更に細かく砕く微破砕機12−2と、前記廃棄物11Aに混入している例えばビニール等の夾雑物13を選択的に選別する選別機14と、前記夾雑物13が除去された廃棄物11Bを所定の水分量となるように可溶化する可溶化槽15と、前記可溶化槽15で可溶化した可溶化液18A中に残留する夾雑物13を除去する第1の固液分離装置であるスクリーン16Aと、前記残留夾雑物13を除去した可溶化液18Bを再度可溶化槽15に戻す戻しラインL3と、前記可溶化槽15からメタン発酵槽21にメタン発酵処理を行なうメタン発酵用可溶化液18Dを供給する供給ラインL5を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば生ごみ等の食品廃棄物をメタン発酵処理設備でリサイクルする際の前処理装置、後処理装置及びこれらを用いたメタン発酵処理システム及びこれらの方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生ごみ、水産加工廃棄物、し尿、下水汚泥、浄化槽汚泥等の有機性廃棄物(以下、「廃棄物」という。)をメタン発酵処理する際においては、そのメタン発酵効率を向上させるために、所定の水分とする可溶化技術が各種提案されている。
その一例として提案されるメタン発酵前処理装置を図14に示す。
【0003】
図14に示すように、従来のメタン発酵前処理装置100は、有機性廃棄物である生ごみを破砕して生ごみ破砕物101とした後、貯蓄槽102に送られ、ここで、攪拌混合され、次いで、この貯蓄槽102の攪拌手段103で混合攪拌された一部を循環手段107にて前記貯蓄槽に循環させるとともに、残りの一部をメタン発酵槽でメタン発酵処理するものであり、そのメタン発酵の前処理の際に、前記循環手段107にて前記生ごみ101を循環させて、この生ごみの含水率が85%〜90%程度となるように水を添加して可溶化させるとともに、この生ごみから夾雑物除去手段105により前記夾雑物を除去した後に、水供給手段108から水108aが添加されて夾雑物が除去された前記有機性廃棄物を前記貯留槽102で再び攪拌混合して調質し、調質物104を得ている。符号106は洗浄水である。
【0004】
また、循環の際には、攪拌混合されている有機性廃棄物を貯留槽102の下部から引き抜いて新たな有機性廃棄物が投入される前記貯留槽の上部に返送するようにしている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3710938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に係る装置では、以下のような問題がある。
1)生ごみ破砕物101から夾雑物を夾雑物除去手段105で除去する際には、固形状の生ごみが夾雑物と同時に除去され、夾雑物発生量の増加となると共に、本来処理する生ごみが除去される結果、メタン発酵槽でのメタンガス発生量の低下が生ずる、という問題がある。
【0007】
2)また、夾雑物除去手段105における沈殿分離により夾雑物を除去する方法では、沈殿しない夾雑物、例えば軽質な夾雑物(ビニール、繊維等)を除去することが全くできない、という問題がある。
特に、破砕された生ごみから夾雑物を除去する選別手段においても、前記ビニールや繊維状物等は、選別手段によっても完全には選別されずに、生ごみ中に残留するので、これらを積極的に除去することも切望されている。
【0008】
3)また、夾雑物除去手段105の槽下部から沈殿物引抜く場合、重質な夾雑物(沈砂等
)の除去は、可能であるものの、軽質な夾雑物(例えばビニール、繊維等)は液面にスカムとして浮上するため、その除去が困難である、という問題がある。
【0009】
4)また、メタン発酵処理の前処理において夾雑物を除去する際、完全にそれを除去する場合には、上記1)のような問題が生じる。一方で、完全に除去出来ない場合には、メタン発酵処理の後段に夾雑物が流出することとなる。この際、後段に設置される熱交換器やポンプ等に夾雑物が侵入し、閉塞や故障の原因となる場合がある。
【0010】
本発明は、前記問題に鑑み、メタン発酵処理の効率を低減することなくしかも夾雑物を除去ことができると共に、その夾雑物に依存する処理設備の悪影響を未然防止できるメタン発酵後処理装置、メタン発酵後処理システム及びこれらの方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、メタン発酵槽からのメタン発酵処理液中の窒素成分を除去する脱窒・硝化反応槽と、前記脱窒・硝化反応槽からの脱窒・硝化反応液中に残留する夾雑物を除去する第2の固液分離装置と、前記夾雑物除去後の反応液中の熱を除去する熱交換器と、前記熱交換後の脱窒・硝化反応液を前記脱窒・硝化反応槽に戻すラインと、脱窒・硝化反応槽からの脱窒・硝化反応液を濃縮する濃縮槽とを具備するメタン発酵後処理装置にある。
【0012】
第2の発明は、メタン発酵槽からのメタン発酵処理液中に残留する夾雑物を除去する第2の固液分離装置と、前記前記夾雑物除去後のメタン発酵処理液中の窒素成分を除去する脱窒・硝化反応槽と、前記反応槽での反応熱を除去する熱交換器と、前記脱窒・硝化反応槽からの脱窒・硝化反応液を濃縮する濃縮槽とを具備するメタン発酵後処理装置にある。
【0013】
第3の発明は、第1又は2の発明において、前記第2の固液分離装置がフィルタ系分離装置又は脱水系分離装置のいずれか一方又は両方からなることを特徴とするメタン発酵後処理装置にある。
【0014】
第4の発明は、破砕機で破砕された廃棄物に混入している夾雑物を選別した後、可溶化槽で可溶化し、その後可溶化液中に残留する夾雑物を循環ラインで循環する際に固液分離装置にて除去して可溶化槽に循環し、その後前記可溶化液から夾雑物を除去したメタン発酵用可溶化液をメタン発酵槽に供給するメタン発酵前処理装置と、前記メタン発酵前処理装置で前処理されたメタン発酵用可溶化液をメタン発酵処理するメタン発酵槽と、前記メタン発酵槽でメタン発酵処理されたメタン発酵処理液を後処理する第1乃至3のいずれか一つの発明のメタン発酵後処理装置とを具備することを特徴とするメタン発酵処理システムにある。
【0015】
第5の発明は、第4の発明において、除去される夾雑物がビニール系の回収夾雑物である際に、前記濃縮槽からの濃縮槽流出液に前記ビニール系夾雑物を混和する混和槽と、前記混和槽で混和された混和物を脱水処理する脱水機とを具備することを特徴とするメタン発酵処理システムにある。
【0016】
第6の発明は、第メタン発酵槽からのメタン発酵処理液中の窒素成分を除去する脱窒・硝化反応槽において、前記脱窒・硝化反応液を循環させ、該脱窒・硝化反応液中に残留する夾雑物を固液分離装置で除去し、その後前記夾雑物を除去した脱窒・硝化反応液を濃縮槽で濃縮することを特徴とするメタン発酵後処理方法にある。
【0017】
第7の発明は、第6の発明において、メタン発酵槽からのメタン発酵処理液中に残留する夾雑物を固液分離装置で除去した後に、前記夾雑物が除去されたメタン発酵処理液中の窒素成分を除去することを特徴とするメタン発酵後処理方法にある。
【0018】
第8の発明は、第6又は7の発明において、前記固液分離装置がフィルタ系分離装置又は脱水系分離装置のいずれか一方又は両方からなることを特徴とするメタン発酵後処理方法にある。
【0019】
第9の発明は、破砕機で破砕された廃棄物に混入している夾雑物を選別した後、可溶化槽で可溶化し、その後可溶化液中に残留する夾雑物を循環ラインで循環する際に固液分離装置にて除去して可溶化槽に循環し、その後前記可溶化液から夾雑物を除去したメタン発酵用可溶化液をメタン発酵槽に供給し、前処理した後、前記メタン発酵前処理装置で前処理されたメタン発酵用可溶化液をメタン発酵槽でメタン発酵し、その後、メタン発酵処理液を第6乃至8のいずれか一つの発明のメタン発酵後処理方法で後処理することを特徴とするメタン発酵処理方法にある。
【0020】
第10の発明は、廃棄物が液状廃棄物である場合、可溶化槽で可溶化し、その後可溶化液中に残留する夾雑物を循環ラインで循環する際に固液分離装置にて除去し、その後前記可溶化液から夾雑物を除去したメタン発酵用可溶化液をメタン発酵槽に供給し、前処理した後、前記メタン発酵前処理装置で前処理されたメタン発酵用可溶化液をメタン発酵槽でメタン発酵し、その後、メタン発酵処理液を第6乃至8のいずれか一つの発明のメタン発酵後処理方法で後処理することを特徴とするメタン発酵処理方法にある。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、例えば生ごみ等の有機性廃棄物をメタン発酵で処理する際の処理効率を低減することなく、夾雑物を除去し、夾雑物に依存する悪影響を未然防止でき、食品リサイクルシステムに適用して良好なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、実施例1に係るメタン発酵前処理装置の概略図である。
【図2】図2は、実施例2に係るメタン発酵前処理装置の概略図である。
【図3】図3は、実施例3に係るメタン発酵前処理装置の概略図である。
【図4】図4は、実施例4に係るメタン発酵前処理装置の概略図である。
【図5】図5は、実施例4に係る他の可溶化槽の概略図である。
【図6】図6は、実施例5に係るメタン発酵前処理装置の概略図である。
【図7】図7は、実施例6に係るメタン発酵前処理装置の概略図である。
【図8】図8は、実施例7に係るメタン発酵後処理装置の概略図である。
【図9】図9は、実施例7に係る他のメタン発酵後処理装置の概略図である。
【図10】図10は、実施例8に係るメタン発酵処理システムの概略図である。
【図11】図11は、実施例9に係るメタン発酵処理システムの概略図である
【図12】図12は、実施例10に係るメタン発酵処理システムの概略図である。
【図13】図13は、実施例11に係るメタン発酵処理システムの概略図である
【図14】図14は、従来技術に係るメタン発酵前処理装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例1】
【0024】
本発明による実施例に係るメタン発酵前処理又は後処理装置、メタン発酵後処理システムについて、図面を参照して説明する。
図1は、実施例に係るメタン発酵前処理装置を示す概念図である。
図1に示すように、本実施例に係るメタン発酵前処理装置10−1は、例えば生ごみ等の有機性廃棄物(以下、「廃棄物」という)11Aを先ず粗く破砕処理する粗破砕機12−1と、前記粗破砕された廃棄物11Aを更に細かく砕く微破砕機12−2と、前記廃棄物11Aに混入している例えばビニール等の夾雑物13を選択的に選別する選択破砕選別機14と、前記夾雑物13が除去された廃棄物11Bを所定の水分量(水分量:85%以上)となるように可溶化する可溶化槽15と、前記可溶化槽15で可溶化した可溶化液18A中に残留する夾雑物13を除去する第1の固液分離装置であるスクリーン16Aと、前記残留夾雑物13を除去した可溶化液18Bを再度可溶化槽15に戻す戻しラインL3と、前記可溶化槽15からメタン発酵槽21にメタン発酵処理を行なうメタン発酵用可溶化液18Dを供給する供給ラインL5を具備するものである。
【0025】
ここで、ラインL1は前記選別機14で夾雑物13を除去した廃棄物11Bを可溶化槽15に送給する廃棄物ラインであり、L2は可溶化液18Aをスクリーン16Aに供給する供給ラインであり、L3はスクリーン16Aで残留夾雑物を除去した可溶化液18Bを可溶化槽15に供給するラインであり、L1〜L3で可溶化液の循環ラインを構成している。
【0026】
前記廃棄物11Aを破砕する破砕機は本実施例では2段階破砕としており、前記粗破砕機12−1では破砕後の粒径が200mm以下となるようにし、その後更に細かく砕く微破砕機12−2では、その破砕後の粒径が50mm以下となるようにしている。なお、廃棄物の種類は雑多であるので、持ち込まれる廃棄物の形態により、破砕機の数、種類及び組合せを適宜選定するようにすればよい。
【0027】
ここで、前記破砕機としては、廃棄物の種類によって適宜選定すればよいが、例えば大型の固形生ごみを多く含むような場合には、前記粗破砕機12−1としては2軸破砕手段又はハンマー破砕手段等を用い、前記微破砕機12−2としては2軸破砕手段を用いるのが好ましい。また、繊維分等が少ない生ごみの場合には、例えば圧縮破砕手段を用いるのが好ましい。また、水分が少ない生ごみの場合には、例えばパルパー手段を用いるのが好ましい。
【0028】
本発明では、前記可溶化槽15で可溶化した可溶化液18A中に残留する夾雑物13を除去する夾雑物除去手段として第1の固液分離装置16Aを用いている。ここで、前記第1の固液分離装置16Aとしては、例えばスクリーンや脱水機等のようなものを挙げることができる。
ここで、例えばスクリーンの場合には、その目開きを1〜20mm、望ましくは10〜12mmとすることが好ましい。
【0029】
前記スクリーンとしては、例えばドラムスクリーン、シーブ等を用いることができる。また、スクリーンのろ過手段の網部自体としては、例えば織金網(金属線を織り込んでなる金網)、パンチングメタル(金属を主体とした素材に孔をあけて加工してなるスクリーン)、ウェッジワイヤ(逆三角形の断面をして異形線を等間隔に並べて目(スリット)を形成したスクリーン)等を用いるようにすればよい。
【0030】
また、可溶化槽15からの循環液である可溶化液18Aの採取口は、前記可溶化槽15の液面近傍のスカムを除去する液面とするのが好ましい。これは、液表面近傍に浮遊するスカムに含まれるビニール等を有する可溶化液18Aを採取することで、前記第1の固液分離装置16Aにて積極的に除去することができるからである。これにより、循環する可溶化液中の夾雑物の除去効率が向上することとなる。
【0031】
以上、本実施例によれば、可溶化液中に残留する軽質な夾雑物(特にビニール片・繊維等)13をその循環中に例えばスクリーン16A等の固液分離装置により除去することができる。
【0032】
この結果、メタン発酵処理の前処理において、軽質な夾雑物13を効率的・選択的に分離でき、かつ、固体状の有機性廃棄物である生ごみの除去量を低減でき、メタン発酵槽21への投入量を増加することができる。
【実施例2】
【0033】
図2は本実施例に係るメタン発酵前処理装置を示す概念図である。なお、図1に示す実施例1に係るメタン発酵前処理装置と同様の構成については、同一符号を付してその説明は省略する。
図2に示すように、本実施例に係るメタン発酵前処理装置10−2は、実施例1のメタン発酵前処理装置10−1において、第1の固液分離装置であるスクリーンの後流側に、可溶化液中に浮遊する沈降物(例えば微細な砂・貝殻等)を比重差により沈降分離(比重分離)する沈降槽17を有するものである。
【0034】
前記沈降槽17においては、軽質な夾雑物13を除去した可溶化液18B中に残留している 重質な夾雑物(特に沈砂・貝殻等)沈降分離して除去するものであり、この結果、沈降し易い粒子(密度大、粒径大)を効率的・選択的に分離でき、重質な夾雑物の発生量を低減することができる。
【0035】
本実施例では、図2に示すように、沈降槽17から可溶化槽15にラインL4が形成され、前記沈降槽17で沈降物20を分離した上澄み部分の可溶化液18Cを可溶化槽15に戻すようにしている。
【0036】
ここで、前記沈殿槽17の上昇流の上昇速度を0.15m/s以下、より好ましくは0.1m/sとしている。これは、上昇速度を0.15m/s以上とする場合には、良好な沈降分離処理により浮遊物を分離することができないからである。前記沈降槽17では、事前に第1の固液分離装置であるスクリーン16Aにより夾雑物13が除去された状態となっているので、沈降分離が良好なものとなる。
【0037】
ここで、前記沈降槽17としては、沈殿分離手段(動力有り無し問わず)、遠心分離手段、液体サイクロン等を一つ又は二つ以上を組合わせて行なうことができる。
【実施例3】
【0038】
図3は本実施例に係るメタン発酵前処理装置を示す概念図である。なお、図1又は図2に示す実施例1又は2に係るメタン発酵前処理装置と同様の構成については、同一符号を付してその説明は省略する。
図3に示すように、本実施例に係るメタン発酵前処理装置10−3は、前記第1の固液分離装置として、フィルタ系分離装置であるスクリーン16Aと、脱水系分離装置であるスクリュープレス16Bとを用いて、循環ライン中を循環する可溶化液18A中の夾雑物13を除去すると共に、脱水系処理により可溶化液の戻し量の増大を図るようにしている。
【0039】
また、循環液を採取する採取部分として、前記可溶化槽15の図示しないスカムが浮遊する液面部分(上部近傍)で採取する(ラインL2-1)以外に、図示しない沈殿物が沈殿している底部分(下部近傍)から採取するようにしている(ラインL2-2)。これにより、スカム中に存在する軽質な夾雑物13と、沈殿物中に存在する重質な夾雑物(沈降物20)との両方を効率良く除去することができる。
【0040】
また、前記沈降槽17において、前記可溶化液18B中の沈降物を沈降分離した沈降物20は、その後、粉砕機25において粉砕し、その後再度可溶化槽15に戻すようにしてもよい。これにより、分離された沈殿し易い粒子を分離しにくくし、さらなる夾雑物の発生量の低減を図るようにしている。
【0041】
このように、本実施例では、第1の固液分離手段でスクリーン16Aに加えてスクリュープレス16Bを用いて脱水処理することにより、前記可溶化液中に残留する夾雑物13の重量割合を低減でき、メタン発酵槽21への可溶化液の投入量割合を増加することができる。
【実施例4】
【0042】
図4は本実施例に係るメタン発酵前処理装置を示す概念図である。なお、図1乃至図3に示す実施例1乃至実施例3に係るメタン発酵前処理装置と同様の構成については、同一符号を付してその説明は省略する。
図4に示すように、本実施例に係るメタン発酵前処理装置10−4は、前記可溶化槽15Aが、少なくとも2室以上(本実施例では2室:第1室15−1、第2室15−2)とすると共に、これら2室を可溶化液が流通可能となるように下部連通隔壁15aで分割されてなるものである。
【0043】
このように前記可溶化槽15内を分割することで、第1室15−1は液面にスカム26を浮遊させ、ここから循環液である可溶化液18Aを採取するようにしている。また、第1室15−1の底部分には沈殿物27が沈殿されているので、ここから循環液である可溶化液18Aを採取するようにしている。
そして、前記下部連通隔壁15aで分割された第2室15−2においては、メタン発酵槽21に供給するメタン発酵用可溶化液18D中に、浮遊物及び夾雑物が少ないものとなり、この結果メタン発酵効率の向上を図ることができる。
【0044】
図5に可溶化槽の他の一例の概略を示す。
図5に示すように、本実施例に係る他の構成による可溶化槽15Bは、槽内部に下部連通壁15aと越流壁15bが配設されており、これらによりスカム浮上部15c、沈澱部15d及びポンプピット部15eに分割するようにしている。これにより、メタン発酵槽21に供給するメタン発酵用可溶化液中に、浮遊物及び夾雑物が極力少ないものとなり、この結果メタン発酵効率の更なる向上を図ることができる。
【実施例5】
【0045】
図6は本実施例に係るメタン発酵前処理装置を示す概念図である。なお、図4に示す実施例4に係るメタン発酵前処理装置と同様の構成については、同一符号を付してその説明は省略する。
図6に示すように、本実施例に係るメタン発酵前処理装置10−5は、前記沈降槽17内から前記可溶化槽15に戻る可溶化液18Cがシャワー水となる噴霧ノズル15fを有しており、該噴霧ノズル15fからのシャワー水により可溶化液表面を叩きつけることで、採取される循環である可溶化液18A中にスカムを混入するようにしている。これにより、可溶化槽15の夾雑物13の存在量の低減を図るようにしている。
【実施例6】
【0046】
図7は本実施例に係るメタン発酵前処理装置を示す概念図である。なお、図4に示す実施例4に係るメタン発酵前処理装置と同様の構成については、同一符号を付してその説明は省略する。
図7に示すように、本実施例に係るメタン発酵前処理装置10−6は、前記沈降槽17内から前記可溶化槽15に戻る可溶化液18Cに対して加圧ポンプPを用いて圧入水となるようにしており、可溶化槽15Aの底部に堆積する沈殿物27近傍に圧入するようにしている。
【0047】
これにより、加圧水の流入により沈殿物27が可溶化液中に舞い上がることとなり、循環液として循環される可溶化液18A中に混入させて、前記可溶下槽15内の沈殿物の堆積を防止するようにしている。
これにより、可溶下槽から排出する沈殿物の量の削減を図るようにしている。
【実施例7】
【0048】
ここまでの実施例1乃至実施例5はメタン発酵処理装置の前処理装置について説明したが、本発明ではさらに、メタン発酵処理装置の後処理工程においてもメタン発酵処理水中に残留している夾雑物を除去するようにしている。
図8は本実施例に係るメタン発酵後処理装置を示す概念図である。
図8に示すように、本実施例に係るメタン発酵後処理装置30−1は、メタン発酵槽からのメタン発酵処理液(消化液)22中の窒素成分を除去する脱窒・硝化反応槽(以下、「反応槽」という)31と、前記脱窒・硝化反応槽31からの脱窒・硝化反応液32A中に残留する夾雑物13を除去する第2の固液分離装置であるストレーナ33Aと、前記前記夾雑物13除去後の反応液32B中の熱を除去する熱交換器34と、前記熱交換後の脱窒・硝化反応液32Cを前記脱窒・硝化反応槽31に戻すラインL8と、脱窒・硝化反応槽31からの脱窒・硝化反応液を濃縮する濃縮槽37とを具備するものである。
【0049】
ここで、ラインL6は前記メタン発酵槽21からメタン発酵処理液22を反応槽31に供給するメタン発酵処理液ラインであり、L7は反応槽31から反応液32Aをストレーナ33Aに供給する供給ラインであり、L8はストレーナ33Aで残留夾雑物を除去した反応液32Bを熱交換器34に供給するラインであり、L9は熱交換器34から反応槽31に冷却された反応液32Cを戻すラインであり、L7〜L9で反応液の循環ラインを構成している。
【0050】
また、ラインL10は冷却塔35と冷媒36を熱交換する熱交換用冷媒ラインである。また、ラインL11は反応液を濃縮槽37で濃縮した濃縮汚泥の一部を返送汚泥として返送する返送汚泥ラインである。L12は濃縮槽流出液を図示しない脱水工程に供給する流出液供給ラインである。
【0051】
本発明では、前記反応槽31で反応した反応液32A中に残留する夾雑物13を除去する夾雑物除去手段として、ストレーナ33A等の固液分離装置を用いている。
これにより、前記反応液32A中に残留する夾雑物13を除去することができる。
ここで、前記第2の固液分離装置としては、第1の固液分離装置と同様に、例えばスクリーンや脱水機等のようなものを挙げることができる。
【0052】
ところで、前記メタン発酵槽21の前処理工程で夾雑物13を除去するような場合、固体状の有機性廃棄物の回収の点から、完全な夾雑物除去は困難である。このためメタン発酵槽21の後段に夾雑物13が流入することは不可避であり、本実施例では、メタン発酵処理の後処理工程においてこの夾雑物13の悪影響回避するようにしている。
【0053】
ここで、メタン発酵処理液22は、固体状の有機性廃棄物は既に溶解・メタンガス化しているので、メタン発酵処理液22の状態としては粒状感が減り、液状を呈しているため、反応液32Aから夾雑物13を除去することが容易となる。
【0054】
また、夾雑物13である特にビニール・繊維の悪影響を受ける設備としては、前記反応槽31の反応熱を冷却するための熱交換器34であるので、この前段側に夾雑物13を除去するストレーナ33Aを設置することで、この悪影響を回避することができる。
【0055】
また、図9に示すメタン発酵後処理装置30−2のように、前記第2の固液分離装置としてストレーナ33Aとスクリーン33Bとを2段組合せるようにしてもよい。
【実施例8】
【0056】
次に、本発明のメタン発酵前処理装置とメタン発酵後処理装置とを用いたメタン発酵処理システムについて説明する。
図10は本実施例に係るメタン発酵処理システムを示す概念図である。図10に示すように、本実施例に係るメタン発酵処理システム40−1は、図1に示す実施例1に係るメタン発酵前処理装置10−1と、前記メタン発酵前処理装置10−1で前処理されたメタン発酵用可溶化液18Dをメタン発酵処理するメタン発酵槽21と、図8に示す実施例6の前記メタン発酵槽21でメタン発酵処理されたメタン発酵処理液22を後処理するメタン発酵後処理装置30−1とを具備するものである。
【0057】
本実施例のメタン発酵処理システムによれば、メタン発酵槽21の前処理工程のみならず、後処理工程においても夾雑物13を除去することができるので、前記メタン発酵槽21に供給されるメタン発酵用可溶化液18Dに夾雑物が残留する場合においても、メタン発酵後処理装置30−1において除去することができるので、メタン発酵処理システム全体としての夾雑物除去効率が向上し、夾雑物に依存する悪影響を防止することができる。
【実施例9】
【0058】
次に、本発明のメタン発酵前処理装置とメタン発酵後処理装置とを用いた他のメタン発酵処理システムについて説明する。
図11は本実施例に係るメタン発酵処理システムを示す概念図である。図11に示すように、本実施例に係るメタン発酵処理システム40−2は、実施例8に示すメタン発酵処理システム40−1において、メタン発酵後処理装置30−3としてメタン発酵処理液22を直接ストレーナ33Aに導入するようにしている。
本実施例では、メタン発酵槽21からのメタン発酵処理液22を直接ストレーナ33Aに導入することで、夾雑物13を除去し、その後反応槽31で脱窒・脱硝処理するようにしている。
【実施例10】
【0059】
次に、本発明のメタン発酵前処理装置とメタン発酵後処理装置とを用いた他のメタン発酵処理システムについて説明する。
図12は本実施例に係るメタン発酵処理システムを示す概念図である。図12に示すように、本実施例に係るメタン発酵処理システム40−3は、実施例8のメタン発酵処理システム40−1において、メタン発酵後処理装置30−4として分離除去した夾雑物13の後処理工程を含むものである。
【0060】
図12に示すように、本実施例に係るメタン発酵処理システム40−3は、実施例8のメタン発酵処理システム40−1において、ストレーナ33Aとスクリーン33Bとを第2固液分離装置として備えたものであり、このスクリーン33Bから排出される夾雑物13が木質系の場合には、図示しない堆肥化工程へ木質系回収夾雑物13−1として供給され、再利用に供される。
【0061】
また、前記スクリーン33Bから排出される夾雑物13がビニール系の場合には、混和槽41に送られ、ここで濃縮槽37から排出される濃縮槽流出液38と共に混和され、ここでビニール系回収夾雑物13−2が脱水補助材としての脱水促進作用を促し、脱水器42での処理水43の排出量を増大させ、脱水汚泥工程に持ち込む水分量の低減を図るようにしている。
【実施例11】
【0062】
図13は本実施例に係るメタン発酵処理システムを示す概念図である。なお、図10に示す実施例8に係るメタン発酵処理システムと同様の構成については、同一符号を付してその説明は省略する。
図13に示すように、本実施例に係るメタン発酵処理システム40−4は、液状廃棄物11Cを破砕処理する破砕機12−1、12−2と、破砕された液状廃棄物に混入している夾雑物(例えばビニール等)13を選択的に選別する選別機14と、前記液状夾雑物13が除去された液状廃棄物11D中に残留する夾雑物13を除去する第1の固液分離装置であるスクリーン16Aと、前記残留夾雑物13が除かれた液状廃棄物11E中に浮遊する沈降物(微細な砂・貝殻等)20を沈降させる沈降槽17と、前記沈降槽17で沈降物20を除去した後の液状廃棄物11Fを可溶化する可溶化槽15と、前記可溶化槽15からメタン発酵槽21にメタン発酵処理を行なうメタン発酵用可溶化液18Gを供給する供給ラインL5を具備するものである。
【0063】
また、有機性廃棄物が液状を呈するような場合には、可溶化槽15に供給する前において、固液分離装置にて夾雑物13を先ず除去し、その後沈降槽17を経て、可溶化槽15に液状廃物11Fを供給し、ここで所定濃度の水分量としてメタン発酵処理液11Fとして供給するようにしている。
【0064】
なお、本実施例では液状廃棄物11Cを破砕する破砕機を設けているが、これは液状廃棄物が例えば容器包装(例えば紙パック、ペットボトル等)されているような場合には、その破砕が必要であるからである。よって、例えばタンクローリ等の液状廃棄物をそのままメタン発酵処理システムに供給できるような場合には不要である。
【符号の説明】
【0065】
10−1〜10−6 メタン発酵前処理装置
11A、11B 廃棄物
12−1 粗破砕機
12−2 微破砕機
13 夾雑物
14 選別機
15、15A、15B 可溶化槽
16A、33B スクリーン
16B スクリュープレス
33A ストレーナ
17 沈降槽
18A、18B、18C 可溶化液
18D メタン発酵用可溶化液
21 メタン発酵槽
30−1〜30−4 メタン発酵後処理装置
40−1〜40−4 メタン発酵処理システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば生ごみ等の食品廃棄物をメタン発酵処理設備でリサイクルする際の前処理装置、後処理装置及びこれらを用いたメタン発酵処理システム及びこれらの方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生ごみ、水産加工廃棄物、し尿、下水汚泥、浄化槽汚泥等の有機性廃棄物(以下、「廃棄物」という。)をメタン発酵処理する際においては、そのメタン発酵効率を向上させるために、所定の水分とする可溶化技術が各種提案されている。
その一例として提案されるメタン発酵前処理装置を図14に示す。
【0003】
図14に示すように、従来のメタン発酵前処理装置100は、有機性廃棄物である生ごみを破砕して生ごみ破砕物101とした後、貯蓄槽102に送られ、ここで、攪拌混合され、次いで、この貯蓄槽102の攪拌手段103で混合攪拌された一部を循環手段107にて前記貯蓄槽に循環させるとともに、残りの一部をメタン発酵槽でメタン発酵処理するものであり、そのメタン発酵の前処理の際に、前記循環手段107にて前記生ごみ101を循環させて、この生ごみの含水率が85%〜90%程度となるように水を添加して可溶化させるとともに、この生ごみから夾雑物除去手段105により前記夾雑物を除去した後に、水供給手段108から水108aが添加されて夾雑物が除去された前記有機性廃棄物を前記貯留槽102で再び攪拌混合して調質し、調質物104を得ている。符号106は洗浄水である。
【0004】
また、循環の際には、攪拌混合されている有機性廃棄物を貯留槽102の下部から引き抜いて新たな有機性廃棄物が投入される前記貯留槽の上部に返送するようにしている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3710938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に係る装置では、以下のような問題がある。
1)生ごみ破砕物101から夾雑物を夾雑物除去手段105で除去する際には、固形状の生ごみが夾雑物と同時に除去され、夾雑物発生量の増加となると共に、本来処理する生ごみが除去される結果、メタン発酵槽でのメタンガス発生量の低下が生ずる、という問題がある。
【0007】
2)また、夾雑物除去手段105における沈殿分離により夾雑物を除去する方法では、沈殿しない夾雑物、例えば軽質な夾雑物(ビニール、繊維等)を除去することが全くできない、という問題がある。
特に、破砕された生ごみから夾雑物を除去する選別手段においても、前記ビニールや繊維状物等は、選別手段によっても完全には選別されずに、生ごみ中に残留するので、これらを積極的に除去することも切望されている。
【0008】
3)また、夾雑物除去手段105の槽下部から沈殿物引抜く場合、重質な夾雑物(沈砂等
)の除去は、可能であるものの、軽質な夾雑物(例えばビニール、繊維等)は液面にスカムとして浮上するため、その除去が困難である、という問題がある。
【0009】
4)また、メタン発酵処理の前処理において夾雑物を除去する際、完全にそれを除去する場合には、上記1)のような問題が生じる。一方で、完全に除去出来ない場合には、メタン発酵処理の後段に夾雑物が流出することとなる。この際、後段に設置される熱交換器やポンプ等に夾雑物が侵入し、閉塞や故障の原因となる場合がある。
【0010】
本発明は、前記問題に鑑み、メタン発酵処理の効率を低減することなくしかも夾雑物を除去ことができると共に、その夾雑物に依存する処理設備の悪影響を未然防止できるメタン発酵後処理装置、メタン発酵後処理システム及びこれらの方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、メタン発酵槽からのメタン発酵処理液中の窒素成分を除去する脱窒・硝化反応槽と、前記脱窒・硝化反応槽からの脱窒・硝化反応液中に残留する夾雑物を除去する第2の固液分離装置と、前記夾雑物除去後の反応液中の熱を除去する熱交換器と、前記熱交換後の脱窒・硝化反応液を前記脱窒・硝化反応槽に戻すラインと、脱窒・硝化反応槽からの脱窒・硝化反応液を濃縮する濃縮槽とを具備するメタン発酵後処理装置にある。
【0012】
第2の発明は、メタン発酵槽からのメタン発酵処理液中に残留する夾雑物を除去する第2の固液分離装置と、前記前記夾雑物除去後のメタン発酵処理液中の窒素成分を除去する脱窒・硝化反応槽と、前記反応槽での反応熱を除去する熱交換器と、前記脱窒・硝化反応槽からの脱窒・硝化反応液を濃縮する濃縮槽とを具備するメタン発酵後処理装置にある。
【0013】
第3の発明は、第1又は2の発明において、前記第2の固液分離装置がフィルタ系分離装置又は脱水系分離装置のいずれか一方又は両方からなることを特徴とするメタン発酵後処理装置にある。
【0014】
第4の発明は、破砕機で破砕された廃棄物に混入している夾雑物を選別した後、可溶化槽で可溶化し、その後可溶化液中に残留する夾雑物を循環ラインで循環する際に固液分離装置にて除去して可溶化槽に循環し、その後前記可溶化液から夾雑物を除去したメタン発酵用可溶化液をメタン発酵槽に供給するメタン発酵前処理装置と、前記メタン発酵前処理装置で前処理されたメタン発酵用可溶化液をメタン発酵処理するメタン発酵槽と、前記メタン発酵槽でメタン発酵処理されたメタン発酵処理液を後処理する第1乃至3のいずれか一つの発明のメタン発酵後処理装置とを具備することを特徴とするメタン発酵処理システムにある。
【0015】
第5の発明は、第4の発明において、除去される夾雑物がビニール系の回収夾雑物である際に、前記濃縮槽からの濃縮槽流出液に前記ビニール系夾雑物を混和する混和槽と、前記混和槽で混和された混和物を脱水処理する脱水機とを具備することを特徴とするメタン発酵処理システムにある。
【0016】
第6の発明は、第メタン発酵槽からのメタン発酵処理液中の窒素成分を除去する脱窒・硝化反応槽において、前記脱窒・硝化反応液を循環させ、該脱窒・硝化反応液中に残留する夾雑物を固液分離装置で除去し、その後前記夾雑物を除去した脱窒・硝化反応液を濃縮槽で濃縮することを特徴とするメタン発酵後処理方法にある。
【0017】
第7の発明は、第6の発明において、メタン発酵槽からのメタン発酵処理液中に残留する夾雑物を固液分離装置で除去した後に、前記夾雑物が除去されたメタン発酵処理液中の窒素成分を除去することを特徴とするメタン発酵後処理方法にある。
【0018】
第8の発明は、第6又は7の発明において、前記固液分離装置がフィルタ系分離装置又は脱水系分離装置のいずれか一方又は両方からなることを特徴とするメタン発酵後処理方法にある。
【0019】
第9の発明は、破砕機で破砕された廃棄物に混入している夾雑物を選別した後、可溶化槽で可溶化し、その後可溶化液中に残留する夾雑物を循環ラインで循環する際に固液分離装置にて除去して可溶化槽に循環し、その後前記可溶化液から夾雑物を除去したメタン発酵用可溶化液をメタン発酵槽に供給し、前処理した後、前記メタン発酵前処理装置で前処理されたメタン発酵用可溶化液をメタン発酵槽でメタン発酵し、その後、メタン発酵処理液を第6乃至8のいずれか一つの発明のメタン発酵後処理方法で後処理することを特徴とするメタン発酵処理方法にある。
【0020】
第10の発明は、廃棄物が液状廃棄物である場合、可溶化槽で可溶化し、その後可溶化液中に残留する夾雑物を循環ラインで循環する際に固液分離装置にて除去し、その後前記可溶化液から夾雑物を除去したメタン発酵用可溶化液をメタン発酵槽に供給し、前処理した後、前記メタン発酵前処理装置で前処理されたメタン発酵用可溶化液をメタン発酵槽でメタン発酵し、その後、メタン発酵処理液を第6乃至8のいずれか一つの発明のメタン発酵後処理方法で後処理することを特徴とするメタン発酵処理方法にある。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、例えば生ごみ等の有機性廃棄物をメタン発酵で処理する際の処理効率を低減することなく、夾雑物を除去し、夾雑物に依存する悪影響を未然防止でき、食品リサイクルシステムに適用して良好なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、実施例1に係るメタン発酵前処理装置の概略図である。
【図2】図2は、実施例2に係るメタン発酵前処理装置の概略図である。
【図3】図3は、実施例3に係るメタン発酵前処理装置の概略図である。
【図4】図4は、実施例4に係るメタン発酵前処理装置の概略図である。
【図5】図5は、実施例4に係る他の可溶化槽の概略図である。
【図6】図6は、実施例5に係るメタン発酵前処理装置の概略図である。
【図7】図7は、実施例6に係るメタン発酵前処理装置の概略図である。
【図8】図8は、実施例7に係るメタン発酵後処理装置の概略図である。
【図9】図9は、実施例7に係る他のメタン発酵後処理装置の概略図である。
【図10】図10は、実施例8に係るメタン発酵処理システムの概略図である。
【図11】図11は、実施例9に係るメタン発酵処理システムの概略図である
【図12】図12は、実施例10に係るメタン発酵処理システムの概略図である。
【図13】図13は、実施例11に係るメタン発酵処理システムの概略図である
【図14】図14は、従来技術に係るメタン発酵前処理装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例1】
【0024】
本発明による実施例に係るメタン発酵前処理又は後処理装置、メタン発酵後処理システムについて、図面を参照して説明する。
図1は、実施例に係るメタン発酵前処理装置を示す概念図である。
図1に示すように、本実施例に係るメタン発酵前処理装置10−1は、例えば生ごみ等の有機性廃棄物(以下、「廃棄物」という)11Aを先ず粗く破砕処理する粗破砕機12−1と、前記粗破砕された廃棄物11Aを更に細かく砕く微破砕機12−2と、前記廃棄物11Aに混入している例えばビニール等の夾雑物13を選択的に選別する選択破砕選別機14と、前記夾雑物13が除去された廃棄物11Bを所定の水分量(水分量:85%以上)となるように可溶化する可溶化槽15と、前記可溶化槽15で可溶化した可溶化液18A中に残留する夾雑物13を除去する第1の固液分離装置であるスクリーン16Aと、前記残留夾雑物13を除去した可溶化液18Bを再度可溶化槽15に戻す戻しラインL3と、前記可溶化槽15からメタン発酵槽21にメタン発酵処理を行なうメタン発酵用可溶化液18Dを供給する供給ラインL5を具備するものである。
【0025】
ここで、ラインL1は前記選別機14で夾雑物13を除去した廃棄物11Bを可溶化槽15に送給する廃棄物ラインであり、L2は可溶化液18Aをスクリーン16Aに供給する供給ラインであり、L3はスクリーン16Aで残留夾雑物を除去した可溶化液18Bを可溶化槽15に供給するラインであり、L1〜L3で可溶化液の循環ラインを構成している。
【0026】
前記廃棄物11Aを破砕する破砕機は本実施例では2段階破砕としており、前記粗破砕機12−1では破砕後の粒径が200mm以下となるようにし、その後更に細かく砕く微破砕機12−2では、その破砕後の粒径が50mm以下となるようにしている。なお、廃棄物の種類は雑多であるので、持ち込まれる廃棄物の形態により、破砕機の数、種類及び組合せを適宜選定するようにすればよい。
【0027】
ここで、前記破砕機としては、廃棄物の種類によって適宜選定すればよいが、例えば大型の固形生ごみを多く含むような場合には、前記粗破砕機12−1としては2軸破砕手段又はハンマー破砕手段等を用い、前記微破砕機12−2としては2軸破砕手段を用いるのが好ましい。また、繊維分等が少ない生ごみの場合には、例えば圧縮破砕手段を用いるのが好ましい。また、水分が少ない生ごみの場合には、例えばパルパー手段を用いるのが好ましい。
【0028】
本発明では、前記可溶化槽15で可溶化した可溶化液18A中に残留する夾雑物13を除去する夾雑物除去手段として第1の固液分離装置16Aを用いている。ここで、前記第1の固液分離装置16Aとしては、例えばスクリーンや脱水機等のようなものを挙げることができる。
ここで、例えばスクリーンの場合には、その目開きを1〜20mm、望ましくは10〜12mmとすることが好ましい。
【0029】
前記スクリーンとしては、例えばドラムスクリーン、シーブ等を用いることができる。また、スクリーンのろ過手段の網部自体としては、例えば織金網(金属線を織り込んでなる金網)、パンチングメタル(金属を主体とした素材に孔をあけて加工してなるスクリーン)、ウェッジワイヤ(逆三角形の断面をして異形線を等間隔に並べて目(スリット)を形成したスクリーン)等を用いるようにすればよい。
【0030】
また、可溶化槽15からの循環液である可溶化液18Aの採取口は、前記可溶化槽15の液面近傍のスカムを除去する液面とするのが好ましい。これは、液表面近傍に浮遊するスカムに含まれるビニール等を有する可溶化液18Aを採取することで、前記第1の固液分離装置16Aにて積極的に除去することができるからである。これにより、循環する可溶化液中の夾雑物の除去効率が向上することとなる。
【0031】
以上、本実施例によれば、可溶化液中に残留する軽質な夾雑物(特にビニール片・繊維等)13をその循環中に例えばスクリーン16A等の固液分離装置により除去することができる。
【0032】
この結果、メタン発酵処理の前処理において、軽質な夾雑物13を効率的・選択的に分離でき、かつ、固体状の有機性廃棄物である生ごみの除去量を低減でき、メタン発酵槽21への投入量を増加することができる。
【実施例2】
【0033】
図2は本実施例に係るメタン発酵前処理装置を示す概念図である。なお、図1に示す実施例1に係るメタン発酵前処理装置と同様の構成については、同一符号を付してその説明は省略する。
図2に示すように、本実施例に係るメタン発酵前処理装置10−2は、実施例1のメタン発酵前処理装置10−1において、第1の固液分離装置であるスクリーンの後流側に、可溶化液中に浮遊する沈降物(例えば微細な砂・貝殻等)を比重差により沈降分離(比重分離)する沈降槽17を有するものである。
【0034】
前記沈降槽17においては、軽質な夾雑物13を除去した可溶化液18B中に残留している 重質な夾雑物(特に沈砂・貝殻等)沈降分離して除去するものであり、この結果、沈降し易い粒子(密度大、粒径大)を効率的・選択的に分離でき、重質な夾雑物の発生量を低減することができる。
【0035】
本実施例では、図2に示すように、沈降槽17から可溶化槽15にラインL4が形成され、前記沈降槽17で沈降物20を分離した上澄み部分の可溶化液18Cを可溶化槽15に戻すようにしている。
【0036】
ここで、前記沈殿槽17の上昇流の上昇速度を0.15m/s以下、より好ましくは0.1m/sとしている。これは、上昇速度を0.15m/s以上とする場合には、良好な沈降分離処理により浮遊物を分離することができないからである。前記沈降槽17では、事前に第1の固液分離装置であるスクリーン16Aにより夾雑物13が除去された状態となっているので、沈降分離が良好なものとなる。
【0037】
ここで、前記沈降槽17としては、沈殿分離手段(動力有り無し問わず)、遠心分離手段、液体サイクロン等を一つ又は二つ以上を組合わせて行なうことができる。
【実施例3】
【0038】
図3は本実施例に係るメタン発酵前処理装置を示す概念図である。なお、図1又は図2に示す実施例1又は2に係るメタン発酵前処理装置と同様の構成については、同一符号を付してその説明は省略する。
図3に示すように、本実施例に係るメタン発酵前処理装置10−3は、前記第1の固液分離装置として、フィルタ系分離装置であるスクリーン16Aと、脱水系分離装置であるスクリュープレス16Bとを用いて、循環ライン中を循環する可溶化液18A中の夾雑物13を除去すると共に、脱水系処理により可溶化液の戻し量の増大を図るようにしている。
【0039】
また、循環液を採取する採取部分として、前記可溶化槽15の図示しないスカムが浮遊する液面部分(上部近傍)で採取する(ラインL2-1)以外に、図示しない沈殿物が沈殿している底部分(下部近傍)から採取するようにしている(ラインL2-2)。これにより、スカム中に存在する軽質な夾雑物13と、沈殿物中に存在する重質な夾雑物(沈降物20)との両方を効率良く除去することができる。
【0040】
また、前記沈降槽17において、前記可溶化液18B中の沈降物を沈降分離した沈降物20は、その後、粉砕機25において粉砕し、その後再度可溶化槽15に戻すようにしてもよい。これにより、分離された沈殿し易い粒子を分離しにくくし、さらなる夾雑物の発生量の低減を図るようにしている。
【0041】
このように、本実施例では、第1の固液分離手段でスクリーン16Aに加えてスクリュープレス16Bを用いて脱水処理することにより、前記可溶化液中に残留する夾雑物13の重量割合を低減でき、メタン発酵槽21への可溶化液の投入量割合を増加することができる。
【実施例4】
【0042】
図4は本実施例に係るメタン発酵前処理装置を示す概念図である。なお、図1乃至図3に示す実施例1乃至実施例3に係るメタン発酵前処理装置と同様の構成については、同一符号を付してその説明は省略する。
図4に示すように、本実施例に係るメタン発酵前処理装置10−4は、前記可溶化槽15Aが、少なくとも2室以上(本実施例では2室:第1室15−1、第2室15−2)とすると共に、これら2室を可溶化液が流通可能となるように下部連通隔壁15aで分割されてなるものである。
【0043】
このように前記可溶化槽15内を分割することで、第1室15−1は液面にスカム26を浮遊させ、ここから循環液である可溶化液18Aを採取するようにしている。また、第1室15−1の底部分には沈殿物27が沈殿されているので、ここから循環液である可溶化液18Aを採取するようにしている。
そして、前記下部連通隔壁15aで分割された第2室15−2においては、メタン発酵槽21に供給するメタン発酵用可溶化液18D中に、浮遊物及び夾雑物が少ないものとなり、この結果メタン発酵効率の向上を図ることができる。
【0044】
図5に可溶化槽の他の一例の概略を示す。
図5に示すように、本実施例に係る他の構成による可溶化槽15Bは、槽内部に下部連通壁15aと越流壁15bが配設されており、これらによりスカム浮上部15c、沈澱部15d及びポンプピット部15eに分割するようにしている。これにより、メタン発酵槽21に供給するメタン発酵用可溶化液中に、浮遊物及び夾雑物が極力少ないものとなり、この結果メタン発酵効率の更なる向上を図ることができる。
【実施例5】
【0045】
図6は本実施例に係るメタン発酵前処理装置を示す概念図である。なお、図4に示す実施例4に係るメタン発酵前処理装置と同様の構成については、同一符号を付してその説明は省略する。
図6に示すように、本実施例に係るメタン発酵前処理装置10−5は、前記沈降槽17内から前記可溶化槽15に戻る可溶化液18Cがシャワー水となる噴霧ノズル15fを有しており、該噴霧ノズル15fからのシャワー水により可溶化液表面を叩きつけることで、採取される循環である可溶化液18A中にスカムを混入するようにしている。これにより、可溶化槽15の夾雑物13の存在量の低減を図るようにしている。
【実施例6】
【0046】
図7は本実施例に係るメタン発酵前処理装置を示す概念図である。なお、図4に示す実施例4に係るメタン発酵前処理装置と同様の構成については、同一符号を付してその説明は省略する。
図7に示すように、本実施例に係るメタン発酵前処理装置10−6は、前記沈降槽17内から前記可溶化槽15に戻る可溶化液18Cに対して加圧ポンプPを用いて圧入水となるようにしており、可溶化槽15Aの底部に堆積する沈殿物27近傍に圧入するようにしている。
【0047】
これにより、加圧水の流入により沈殿物27が可溶化液中に舞い上がることとなり、循環液として循環される可溶化液18A中に混入させて、前記可溶下槽15内の沈殿物の堆積を防止するようにしている。
これにより、可溶下槽から排出する沈殿物の量の削減を図るようにしている。
【実施例7】
【0048】
ここまでの実施例1乃至実施例5はメタン発酵処理装置の前処理装置について説明したが、本発明ではさらに、メタン発酵処理装置の後処理工程においてもメタン発酵処理水中に残留している夾雑物を除去するようにしている。
図8は本実施例に係るメタン発酵後処理装置を示す概念図である。
図8に示すように、本実施例に係るメタン発酵後処理装置30−1は、メタン発酵槽からのメタン発酵処理液(消化液)22中の窒素成分を除去する脱窒・硝化反応槽(以下、「反応槽」という)31と、前記脱窒・硝化反応槽31からの脱窒・硝化反応液32A中に残留する夾雑物13を除去する第2の固液分離装置であるストレーナ33Aと、前記前記夾雑物13除去後の反応液32B中の熱を除去する熱交換器34と、前記熱交換後の脱窒・硝化反応液32Cを前記脱窒・硝化反応槽31に戻すラインL8と、脱窒・硝化反応槽31からの脱窒・硝化反応液を濃縮する濃縮槽37とを具備するものである。
【0049】
ここで、ラインL6は前記メタン発酵槽21からメタン発酵処理液22を反応槽31に供給するメタン発酵処理液ラインであり、L7は反応槽31から反応液32Aをストレーナ33Aに供給する供給ラインであり、L8はストレーナ33Aで残留夾雑物を除去した反応液32Bを熱交換器34に供給するラインであり、L9は熱交換器34から反応槽31に冷却された反応液32Cを戻すラインであり、L7〜L9で反応液の循環ラインを構成している。
【0050】
また、ラインL10は冷却塔35と冷媒36を熱交換する熱交換用冷媒ラインである。また、ラインL11は反応液を濃縮槽37で濃縮した濃縮汚泥の一部を返送汚泥として返送する返送汚泥ラインである。L12は濃縮槽流出液を図示しない脱水工程に供給する流出液供給ラインである。
【0051】
本発明では、前記反応槽31で反応した反応液32A中に残留する夾雑物13を除去する夾雑物除去手段として、ストレーナ33A等の固液分離装置を用いている。
これにより、前記反応液32A中に残留する夾雑物13を除去することができる。
ここで、前記第2の固液分離装置としては、第1の固液分離装置と同様に、例えばスクリーンや脱水機等のようなものを挙げることができる。
【0052】
ところで、前記メタン発酵槽21の前処理工程で夾雑物13を除去するような場合、固体状の有機性廃棄物の回収の点から、完全な夾雑物除去は困難である。このためメタン発酵槽21の後段に夾雑物13が流入することは不可避であり、本実施例では、メタン発酵処理の後処理工程においてこの夾雑物13の悪影響回避するようにしている。
【0053】
ここで、メタン発酵処理液22は、固体状の有機性廃棄物は既に溶解・メタンガス化しているので、メタン発酵処理液22の状態としては粒状感が減り、液状を呈しているため、反応液32Aから夾雑物13を除去することが容易となる。
【0054】
また、夾雑物13である特にビニール・繊維の悪影響を受ける設備としては、前記反応槽31の反応熱を冷却するための熱交換器34であるので、この前段側に夾雑物13を除去するストレーナ33Aを設置することで、この悪影響を回避することができる。
【0055】
また、図9に示すメタン発酵後処理装置30−2のように、前記第2の固液分離装置としてストレーナ33Aとスクリーン33Bとを2段組合せるようにしてもよい。
【実施例8】
【0056】
次に、本発明のメタン発酵前処理装置とメタン発酵後処理装置とを用いたメタン発酵処理システムについて説明する。
図10は本実施例に係るメタン発酵処理システムを示す概念図である。図10に示すように、本実施例に係るメタン発酵処理システム40−1は、図1に示す実施例1に係るメタン発酵前処理装置10−1と、前記メタン発酵前処理装置10−1で前処理されたメタン発酵用可溶化液18Dをメタン発酵処理するメタン発酵槽21と、図8に示す実施例6の前記メタン発酵槽21でメタン発酵処理されたメタン発酵処理液22を後処理するメタン発酵後処理装置30−1とを具備するものである。
【0057】
本実施例のメタン発酵処理システムによれば、メタン発酵槽21の前処理工程のみならず、後処理工程においても夾雑物13を除去することができるので、前記メタン発酵槽21に供給されるメタン発酵用可溶化液18Dに夾雑物が残留する場合においても、メタン発酵後処理装置30−1において除去することができるので、メタン発酵処理システム全体としての夾雑物除去効率が向上し、夾雑物に依存する悪影響を防止することができる。
【実施例9】
【0058】
次に、本発明のメタン発酵前処理装置とメタン発酵後処理装置とを用いた他のメタン発酵処理システムについて説明する。
図11は本実施例に係るメタン発酵処理システムを示す概念図である。図11に示すように、本実施例に係るメタン発酵処理システム40−2は、実施例8に示すメタン発酵処理システム40−1において、メタン発酵後処理装置30−3としてメタン発酵処理液22を直接ストレーナ33Aに導入するようにしている。
本実施例では、メタン発酵槽21からのメタン発酵処理液22を直接ストレーナ33Aに導入することで、夾雑物13を除去し、その後反応槽31で脱窒・脱硝処理するようにしている。
【実施例10】
【0059】
次に、本発明のメタン発酵前処理装置とメタン発酵後処理装置とを用いた他のメタン発酵処理システムについて説明する。
図12は本実施例に係るメタン発酵処理システムを示す概念図である。図12に示すように、本実施例に係るメタン発酵処理システム40−3は、実施例8のメタン発酵処理システム40−1において、メタン発酵後処理装置30−4として分離除去した夾雑物13の後処理工程を含むものである。
【0060】
図12に示すように、本実施例に係るメタン発酵処理システム40−3は、実施例8のメタン発酵処理システム40−1において、ストレーナ33Aとスクリーン33Bとを第2固液分離装置として備えたものであり、このスクリーン33Bから排出される夾雑物13が木質系の場合には、図示しない堆肥化工程へ木質系回収夾雑物13−1として供給され、再利用に供される。
【0061】
また、前記スクリーン33Bから排出される夾雑物13がビニール系の場合には、混和槽41に送られ、ここで濃縮槽37から排出される濃縮槽流出液38と共に混和され、ここでビニール系回収夾雑物13−2が脱水補助材としての脱水促進作用を促し、脱水器42での処理水43の排出量を増大させ、脱水汚泥工程に持ち込む水分量の低減を図るようにしている。
【実施例11】
【0062】
図13は本実施例に係るメタン発酵処理システムを示す概念図である。なお、図10に示す実施例8に係るメタン発酵処理システムと同様の構成については、同一符号を付してその説明は省略する。
図13に示すように、本実施例に係るメタン発酵処理システム40−4は、液状廃棄物11Cを破砕処理する破砕機12−1、12−2と、破砕された液状廃棄物に混入している夾雑物(例えばビニール等)13を選択的に選別する選別機14と、前記液状夾雑物13が除去された液状廃棄物11D中に残留する夾雑物13を除去する第1の固液分離装置であるスクリーン16Aと、前記残留夾雑物13が除かれた液状廃棄物11E中に浮遊する沈降物(微細な砂・貝殻等)20を沈降させる沈降槽17と、前記沈降槽17で沈降物20を除去した後の液状廃棄物11Fを可溶化する可溶化槽15と、前記可溶化槽15からメタン発酵槽21にメタン発酵処理を行なうメタン発酵用可溶化液18Gを供給する供給ラインL5を具備するものである。
【0063】
また、有機性廃棄物が液状を呈するような場合には、可溶化槽15に供給する前において、固液分離装置にて夾雑物13を先ず除去し、その後沈降槽17を経て、可溶化槽15に液状廃物11Fを供給し、ここで所定濃度の水分量としてメタン発酵処理液11Fとして供給するようにしている。
【0064】
なお、本実施例では液状廃棄物11Cを破砕する破砕機を設けているが、これは液状廃棄物が例えば容器包装(例えば紙パック、ペットボトル等)されているような場合には、その破砕が必要であるからである。よって、例えばタンクローリ等の液状廃棄物をそのままメタン発酵処理システムに供給できるような場合には不要である。
【符号の説明】
【0065】
10−1〜10−6 メタン発酵前処理装置
11A、11B 廃棄物
12−1 粗破砕機
12−2 微破砕機
13 夾雑物
14 選別機
15、15A、15B 可溶化槽
16A、33B スクリーン
16B スクリュープレス
33A ストレーナ
17 沈降槽
18A、18B、18C 可溶化液
18D メタン発酵用可溶化液
21 メタン発酵槽
30−1〜30−4 メタン発酵後処理装置
40−1〜40−4 メタン発酵処理システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタン発酵槽からのメタン発酵処理液中の窒素成分を除去する脱窒・硝化反応槽と、
前記脱窒・硝化反応槽からの脱窒・硝化反応液中に残留する夾雑物を除去する第2の固液分離装置と、
前記夾雑物除去後の反応液中の熱を除去する熱交換器と、
前記熱交換後の脱窒・硝化反応液を前記脱窒・硝化反応槽に戻すラインと、
脱窒・硝化反応槽からの脱窒・硝化反応液を濃縮する濃縮槽とを具備するメタン発酵後処理装置。
【請求項2】
メタン発酵槽からのメタン発酵処理液中に残留する夾雑物を除去する第2の固液分離装置と、
前記前記夾雑物除去後のメタン発酵処理液中の窒素成分を除去する脱窒・硝化反応槽と、
前記反応槽での反応熱を除去する熱交換器と、
前記脱窒・硝化反応槽からの脱窒・硝化反応液を濃縮する濃縮槽とを具備するメタン発酵後処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第2の固液分離装置がフィルタ系分離装置又は脱水系分離装置のいずれか一方又は両方からなることを特徴とするメタン発酵後処理装置。
【請求項4】
破砕機で破砕された廃棄物に混入している夾雑物を選別した後、可溶化槽で可溶化し、その後可溶化液中に残留する夾雑物を循環ラインで循環する際に固液分離装置にて除去して可溶化槽に循環し、その後前記可溶化液から夾雑物を除去したメタン発酵用可溶化液をメタン発酵槽に供給するメタン発酵前処理装置と、
前記メタン発酵前処理装置で前処理されたメタン発酵用可溶化液をメタン発酵処理するメタン発酵槽と、
前記メタン発酵槽でメタン発酵処理されたメタン発酵処理液を後処理する請求項1乃至3のいずれか一つのメタン発酵後処理装置とを具備することを特徴とするメタン発酵処理システム。
【請求項5】
請求項4において、
除去される夾雑物がビニール系の回収夾雑物である際に、
前記濃縮槽からの濃縮槽流出液に前記ビニール系夾雑物を混和する混和槽と、前記混和槽で混和された混和物を脱水処理する脱水機とを具備することを特徴とするメタン発酵処理システム。
【請求項6】
メタン発酵槽からのメタン発酵処理液中の窒素成分を除去する脱窒・硝化反応槽において、
前記脱窒・硝化反応液を循環させ、該脱窒・硝化反応液中に残留する夾雑物を固液分離装置で除去し、その後前記夾雑物を除去した脱窒・硝化反応液を濃縮槽で濃縮することを特徴とするメタン発酵後処理方法。
【請求項7】
請求項6において、
メタン発酵槽からのメタン発酵処理液中に残留する夾雑物を固液分離装置で除去した後に、前記夾雑物が除去されたメタン発酵処理液中の窒素成分を除去することを特徴とするメタン発酵後処理方法。
【請求項8】
請求項6又は7において、
前記固液分離装置がフィルタ系分離装置又は脱水系分離装置のいずれか一方又は両方からなることを特徴とするメタン発酵後処理方法。
【請求項9】
破砕機で破砕された廃棄物に混入している夾雑物を選別した後、可溶化槽で可溶化し、その後可溶化液中に残留する夾雑物を循環ラインで循環する際に固液分離装置にて除去して可溶化槽に循環し、その後前記可溶化液から夾雑物を除去したメタン発酵用可溶化液をメタン発酵槽に供給し、前処理した後、
前記メタン発酵前処理装置で前処理されたメタン発酵用可溶化液をメタン発酵槽でメタン発酵し、
その後、メタン発酵処理液を請求項6乃至8のいずれか一つのメタン発酵後処理方法で後処理することを特徴とするメタン発酵処理方法。
【請求項10】
廃棄物が液状廃棄物である場合、可溶化槽で可溶化し、その後可溶化液中に残留する夾雑物を循環ラインで循環する際に固液分離装置にて除去し、その後前記可溶化液から夾雑物を除去したメタン発酵用可溶化液をメタン発酵槽に供給し、前処理した後、
前記メタン発酵前処理装置で前処理されたメタン発酵用可溶化液をメタン発酵槽でメタン発酵し、
その後、メタン発酵処理液を請求項6乃至8のいずれか一つのメタン発酵後処理方法で後処理することを特徴とするメタン発酵処理方法。
【請求項1】
メタン発酵槽からのメタン発酵処理液中の窒素成分を除去する脱窒・硝化反応槽と、
前記脱窒・硝化反応槽からの脱窒・硝化反応液中に残留する夾雑物を除去する第2の固液分離装置と、
前記夾雑物除去後の反応液中の熱を除去する熱交換器と、
前記熱交換後の脱窒・硝化反応液を前記脱窒・硝化反応槽に戻すラインと、
脱窒・硝化反応槽からの脱窒・硝化反応液を濃縮する濃縮槽とを具備するメタン発酵後処理装置。
【請求項2】
メタン発酵槽からのメタン発酵処理液中に残留する夾雑物を除去する第2の固液分離装置と、
前記前記夾雑物除去後のメタン発酵処理液中の窒素成分を除去する脱窒・硝化反応槽と、
前記反応槽での反応熱を除去する熱交換器と、
前記脱窒・硝化反応槽からの脱窒・硝化反応液を濃縮する濃縮槽とを具備するメタン発酵後処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第2の固液分離装置がフィルタ系分離装置又は脱水系分離装置のいずれか一方又は両方からなることを特徴とするメタン発酵後処理装置。
【請求項4】
破砕機で破砕された廃棄物に混入している夾雑物を選別した後、可溶化槽で可溶化し、その後可溶化液中に残留する夾雑物を循環ラインで循環する際に固液分離装置にて除去して可溶化槽に循環し、その後前記可溶化液から夾雑物を除去したメタン発酵用可溶化液をメタン発酵槽に供給するメタン発酵前処理装置と、
前記メタン発酵前処理装置で前処理されたメタン発酵用可溶化液をメタン発酵処理するメタン発酵槽と、
前記メタン発酵槽でメタン発酵処理されたメタン発酵処理液を後処理する請求項1乃至3のいずれか一つのメタン発酵後処理装置とを具備することを特徴とするメタン発酵処理システム。
【請求項5】
請求項4において、
除去される夾雑物がビニール系の回収夾雑物である際に、
前記濃縮槽からの濃縮槽流出液に前記ビニール系夾雑物を混和する混和槽と、前記混和槽で混和された混和物を脱水処理する脱水機とを具備することを特徴とするメタン発酵処理システム。
【請求項6】
メタン発酵槽からのメタン発酵処理液中の窒素成分を除去する脱窒・硝化反応槽において、
前記脱窒・硝化反応液を循環させ、該脱窒・硝化反応液中に残留する夾雑物を固液分離装置で除去し、その後前記夾雑物を除去した脱窒・硝化反応液を濃縮槽で濃縮することを特徴とするメタン発酵後処理方法。
【請求項7】
請求項6において、
メタン発酵槽からのメタン発酵処理液中に残留する夾雑物を固液分離装置で除去した後に、前記夾雑物が除去されたメタン発酵処理液中の窒素成分を除去することを特徴とするメタン発酵後処理方法。
【請求項8】
請求項6又は7において、
前記固液分離装置がフィルタ系分離装置又は脱水系分離装置のいずれか一方又は両方からなることを特徴とするメタン発酵後処理方法。
【請求項9】
破砕機で破砕された廃棄物に混入している夾雑物を選別した後、可溶化槽で可溶化し、その後可溶化液中に残留する夾雑物を循環ラインで循環する際に固液分離装置にて除去して可溶化槽に循環し、その後前記可溶化液から夾雑物を除去したメタン発酵用可溶化液をメタン発酵槽に供給し、前処理した後、
前記メタン発酵前処理装置で前処理されたメタン発酵用可溶化液をメタン発酵槽でメタン発酵し、
その後、メタン発酵処理液を請求項6乃至8のいずれか一つのメタン発酵後処理方法で後処理することを特徴とするメタン発酵処理方法。
【請求項10】
廃棄物が液状廃棄物である場合、可溶化槽で可溶化し、その後可溶化液中に残留する夾雑物を循環ラインで循環する際に固液分離装置にて除去し、その後前記可溶化液から夾雑物を除去したメタン発酵用可溶化液をメタン発酵槽に供給し、前処理した後、
前記メタン発酵前処理装置で前処理されたメタン発酵用可溶化液をメタン発酵槽でメタン発酵し、
その後、メタン発酵処理液を請求項6乃至8のいずれか一つのメタン発酵後処理方法で後処理することを特徴とするメタン発酵処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−183393(P2011−183393A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115137(P2011−115137)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【分割の表示】特願2007−94958(P2007−94958)の分割
【原出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(501370370)三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社 (175)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【分割の表示】特願2007−94958(P2007−94958)の分割
【原出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(501370370)三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社 (175)
【Fターム(参考)】
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