説明

メダル計数機

【課題】メダル詰まりを自動解除でき、メダル詰まりの解除後のゲート部材36によるメダルの1枚分離動作の信頼性を再現できるメダル計数機を提供する。
【解決手段】規制位置にあるゲート部材36と回転円板32との間には、厚み方向1枚のメダルの通過を許容する隙間60を形成する。詰まり検知手段で回転円板32とゲート部材36との間でのメダル詰まりを検知する。メダル詰まりを検知したら、ゲート部材駆動機構38でゲート部材36を回転円板32との隙間60が広がる開放位置へ強制的に移動させ、メダルの噛み込みを緩和させる。メダルの噛み込みを緩和させた状態で、回転円板32を逆転させ、メダルが強く噛み込んでいる場合でもメダル詰まりを自動解除する。メダル詰まりの解除後は、ゲート部材駆動機構38でゲート部材36を規制位置へ強制的に移動させ、回転円板32の逆転を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メダルを計数するメダル計数機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチスロ機等を設置した遊技店では、遊技客がパチスロ機で獲得したメダルを計数するためのメダル計数機が設置されている。
【0003】
このメダル計数機では、遊技客が獲得したメダルがメダル計数機のホッパに投入されることにより、ホッパの下側の回転円板上にメダルを受け入れ、この回転円板を回転(正転)させることで、この回転円板との摩擦力および遠心力を利用してメダルを回転円板の外周へ移動させ、回転円板の周囲に対向配置された周壁部材でメダルの外方への移動を規制しつつ、メダルを周壁部材に沿って移動させて整列させ、周壁部材の一部を構成するとともに回転円板の上面に対向して設けられたゲート部材で回転円板上のメダルを厚み方向に1枚ずつ通過させ、ゲート部材の下側を1枚ずつ通過したメダルを計数している。
【0004】
このようなメダル計数機の構成では、ゲート部材の下側に一部が他のメダルに重なったままのメダルが進入しようとして、回転円板とゲート部材との間にメダルが噛み込み、噛み込んだメダルと回転円板との抵抗が大きくなって回転円板が停止する、いわゆるジャムといわれるメダル詰まりが発生する場合がある。このようなメダル詰まりが発生した場合には、メダル詰まりの解除が必要となる。
【0005】
従来、ゲート部材を板ばねで形成したものがある。ゲート部材を板ばねで構成することにより、メダル詰まりが発生した場合には、詰まっているメダルを回転円板の内方側へ向けて引っ張ったり、ゲート部材を外方側から回転円板の内方側へ向けて押し込むことにより、ゲート部材の下縁が上昇して詰まっているメダルを手動で解放できる(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、回転円板の正転方向下流側に対応したゲート部材の一端を揺動軸で支持し、このゲート部材の他端側を、回転円板の内外方向に移動可能に支持するとともに、回転円板の上面に対して厚み方向1枚のみのメダルの通過を許容する隙間をあける規制位置とこの規制位置より回転円板の上面から離反して隙間を広げる開放位置との間で移動可能に支持し、さらに、回転円板の内外方向へのゲート部材の移動範囲を規制するとともに、ゲート部材が回転円板の外方側へ移動したときにそのゲート部材を規制位置に保持する規制構造を設けた構成がある。そして、回転円板が正転する通常時には、ゲート部材が回転円板上のメダルに押されて回転円板の外方側へ移動し、このゲート部材を規制構造にて規制位置に保持することにより、ゲート部材の下側をメダルが厚み方向1枚ずつ通過する。一方、メダル詰まりが発生した場合には、回転円板を逆転させ、ゲート部材が詰まっている硬貨と一緒に回転円板の内方側に揺動することにより、規制構造による規制が解除されたゲート部材の上昇が可能となり、詰まっているメダルを自動的に解放できる(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】実開昭62−109283号公報(第1頁、第2−5図)
【特許文献2】実公平3−48677号公報(第3−5頁、第1−4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ゲート部材を板ばねで形成した構成では、詰まっているメダルを手動で取り除かなければならず、メダル詰まりを自動解除できない問題がある。仮に、メダル詰まり時に回転円板を逆転させるように制御したとしても、メダルが強く噛み込んでいると回転円板を逆転させることが困難な場合があり、メダル詰まりを自動解除できない。
【0008】
また、回転円板の回転方向に対応してゲート部材を揺動させ、メダルの詰まりを自動解除可能とした構成では、メダル詰まりを解除するには、まず、回転円板が逆転してゲート部材が回転円板の内方側に移動する必要があるが、メダルが強く噛み込んでいると回転円板を逆転させることが困難な場合があり、メダル詰まりを自動解除できない問題がある。
【0009】
また、メダル詰まりを解除するためにゲート部材を移動させても、ゲート部材が元の規制位置に確実に戻ること、および通常時にはゲート部材が元の規制位置で動かないことが必要であるが、従来の構成ではそれらの信頼性に問題があった。
【0010】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、メダルが強く噛み込んでいる場合でもメダル詰まりを確実に自動解除でき、メダル詰まりの解除後のゲート部材によるメダルの1枚分離動作の信頼性を確実に再現できるメダル計数機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載のメダル計数機は、メダルを受け入れる回転円板と、この回転円板をメダル繰出時に回転させるとともにメダル詰まり解除動作時に逆転させる回転円板駆動機構と、この回転円板の周囲に配置される周壁部材と、この周壁部材の一部を構成するとともに前記回転円板の上面に対して厚み方向1枚のみのメダルの通過を許容する隙間をあけて設けられたゲート部材と、このゲート部を通過したメダルを計数する計数部と、前記ゲート部材を前記回転円板の上面に対して厚み方向1枚のみのメダルの通過を許容する隙間を形成する規制位置とこの規制位置より回転円板の上面から離反する開放位置との間で移動可能に支持するゲート部材支持機構と、このゲート部材支持機構を介して前記ゲート部材を規制位置と開放位置との間で移動させるゲート部材駆動機構と、前記回転円板と前記ゲート部材との間でのメダルの詰まりを検知する詰まり検知手段と、この詰まり検知手段がメダルの詰まりを検知したら、前記ゲート部材駆動機構により前記ゲート部材を開放位置へ移動させるとともに、前記回転円板駆動機構により前記回転円板を逆転させる制御手段とを具備しているものである。
【0012】
請求項2記載のメダル計数機は、請求項1記載のメダル計数機において、回転円板とゲート部材との間でのメダルの詰まり解除を検知する詰まり解除検知手段とを具備し、制御手段は、前記詰まり解除検知手段がメダルの詰まり解除を検知したら、回転円板駆動機構による回転円板の逆転を停止させるとともに、ゲート部材駆動機構によりゲート部材を規制位置へ移動させるものである。
【0013】
請求項3記載のメダル計数機は、請求項1または2記載のメダル計数機において、報知手段を具備し、制御手段は、メダル詰まり解除動作によってもメダルの詰まりが解除されない場合に、メダル詰まり解除動作を停止させ、前記報知手段で報知するものである。
【0014】
請求項4記載のメダル計数機は、請求項1ないし3いずれか記載のメダル計数機において、ゲート部材は周壁部材に結合され、このゲート部材の規制位置および開放位置への移動とともに周壁部材が一体に移動するものである。
【0015】
請求項5記載のメダル計数機は、請求項1ないし4いずれか記載のメダル計数機において、ゲート部材は、回転円板のメダル繰出方向の回転方向下流側に対応した一端部に対して反対側の他端部にカム溝を有し、ゲート部材支持機構は、前記ゲート部材の一端部側を支点としてゲート部材の他端部を上下方向に揺動可能に支持し、ゲート部材駆動機構は、前記ゲート部材の他端部に設けられたカム溝に係合するカム、およびこのカムを回動させて前記ゲート部材の他端部を規制位置と開放位置との間で移動させる駆動手段を有しているものである。
【0016】
請求項6記載のメダル計数機は、請求項1ないし5いずれか記載のメダル計数機において、ゲート部材の位置に対応した回転円板の下側に、この回転円板の下降を規制する規制部材を具備しているものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載のメダル計数機によれば、詰まり検知手段でメダルの詰まりを検知したら、ゲート部材駆動機構によりゲート部材を回転円板との隙間が広がる開放位置へ移動させてメダルの噛み込みを緩和させ、回転円板駆動機構により回転円板を逆転させるため、メダルが強く噛み込んでいる場合でも、メダル詰まりを確実に自動解除できる。また、メダル詰まりの解除後には、回転円板駆動機構による回転円板の逆転を停止させ、ゲート部材駆動機構によりゲート部材を規制位置へ移動させることができ、メダル詰まりの解除後のゲート部材によるメダルの1枚分離動作の信頼性を確実に再現できる。
【0018】
請求項2記載のメダル計数機によれば、請求項1記載のメダル計数機の効果に加えて、詰まり解除検知手段でメダルの詰まり解除を検知したら、回転円板駆動機構による回転円板の逆転を停止させ、ゲート部材駆動機構によりゲート部材を規制位置へ移動させるため、開放位置のゲート部材の下側に、回転円板の逆転によってメダルが入り込むのを防止できる。
【0019】
請求項3記載のメダル計数機によれば、請求項1または2記載のメダル計数機の効果に加えて、メダル詰まり解除動作によってもメダルの詰まりが自動解除されない場合に、メダル詰まり解除動作を停止させ、報知手段で報知するため、手動によるメダル詰まり解除等の対応を採ることができる。
【0020】
請求項4記載のメダル計数機によれば、請求項1ないし3いずれか記載のメダル計数機の効果に加えて、ゲート部材を周壁部材に結合し、ゲート部材の規制位置および開放位置への移動とともに周壁部材が一体に移動可能としたため、ゲート部材および周壁部材の剛性が高まり、各寸法精度を向上できる。
【0021】
請求項5記載のメダル計数機によれば、請求項1ないし4いずれか記載のメダル計数機の効果に加えて、回転円板のメダル繰出方向の回転方向下流側に対応したゲート部材の一端部側を支点として、このゲート部材の他端部を上下方向に揺動可能に支持し、ゲート部材の他端部のカム溝に係合するカムを駆動手段で回動させて、ゲート部材を規制位置と開放位置との間で強制的に移動させるため、メダル詰まりを解除するためにゲート部材を移動させても、ゲート部材を元の規制位置に確実に戻すことができ、通常時にはゲート部材が元の規制位置で動かないようにでき、それらの信頼性に高くできる。しかも、ゲート部材と回転円板との隙間が回転円板の逆転方向に向けて広がるようにゲート部材が揺動するため、詰まっているメダルを確実に自動解除できる。
【0022】
請求項6記載のメダル計数機によれば、請求項1ないし5いずれか記載のメダル計数機の効果に加えて、ゲート部材の位置に対応した回転円板の下側でその回転円板の下降を規制部材で規制するため、メダルの噛み込みによって回転円板が下降してもその下降量をゲート部材の開放位置への移動で自動解除できる範囲内に規制することが可能となり、メダル詰まりの自動解除を確実にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0024】
図6および図7に示すように、メダル計数機11は、メダル計数機本体12を有し、このメダル計数機本体12の前面に対して左右2箇所にはメダルを計数する同一構成のメダル計数ユニット13が配設されている。メダル計数機本体12の前面には、遊技店の係員が持つキー14が差し込まれてメダル計数機11の設定を切り換える切換スイッチ部15、メダルに混入して投入された異物や硬貨等が各メダル計数ユニット13から排除される返却箱16が取出可能に配設されている。メダル計数機本体12の上面後部側には、タッチパネルで構成されて操作部および表示部の機能を有する表示パネル17、各メダル計数ユニット13でのメダル詰まりの発生時等に発光する左右の発光部18が配設されている。
【0025】
各メダル計数ユニット13は、メダルを受け入れるホッパ21、このホッパ21の下方に配置されてメダルを1枚ずつ分離して繰り出す繰出機構22、この繰出機構22から1枚ずつ分離して繰り出されるメダルをメダル計数機本体12の後方へ向けて搬送する通路部23を有している。
【0026】
ホッパ21は、箱や袋から投入されるメダルを受け入れて貯め、底部からメダルを適量ずつ繰出機構22に供給する。
【0027】
通路部23には、通路部23の通路面にメダルを押し付けながら搬送する搬送ベルト24が配設されている。通路部23の通路面には、メダル以外の異物や硬貨等を排除して返却箱16へ返却する図示しない排除口が形成され、この排除口より下流側にメダルを計数する計数部25が配設されている。通路部23を通過したメダルはメダル計数機本体12の後部側から外部へ送り出されて回収される。
【0028】
次に、図1ないし図5に示すように、繰出機構22は、ベース31、このベース31に回転可能に配置された回転円板32、この回転円板32を正転および逆転のいずれの回転方向にも駆動可能とする回転円板駆動機構33、ホッパ21に投入されたメダルを回転円板の周辺部よりも内側の中央域に導く環状のガイド体34、回転円板32の周囲に対向して配置される周壁部材35、この周壁部材35の一部を構成して回転円板32上のメダルを厚み方向1枚ずつ通路部23に通過させるゲート部材36、このゲート部材36を上下方向に揺動可能に支持するゲート部材支持機構37およびゲート部材36を上下方向に移動させるゲート部材駆動機構38等を有している。
【0029】
そして、回転円板32は、回転軸40を中心に回転可能に支持され、上面が通路部23の通路面と略同一高さに配置されている。この回転円板32では、回転円板32の上面にメダルを平面方向に載せて、回転円板32を高速で正転させることにより、メダルと回転円板32との摩擦力および遠心力によって、回転円板32上のメダルを回転円板32の周辺部へ移動させる。回転円板32上の中心には、メダルを回転円板32の周辺部に導くキャップ41が配置されている。
【0030】
また、回転円板駆動機構33は、メダル繰出時に回転円板32をメダル繰出方向(正転方向)Fに回転させ、メダル詰まり解除動作時に回転円板32をメダル繰出方向に対して反対のメダル詰まり解除方向(逆転方向)Rに回転させる。この回転円板駆動機構33は、回転円板用モータ43を備え、この回転円板用モータ43によって回転駆動する駆動プーリ44と回転円板32の回転軸に連結された従動プーリ45とにベルト46を張設し、回転円板用モータ43の駆動力を回転円板32に伝達する。回転円板32の回転を検知する回転検知手段47(図8参照)を備えている。
【0031】
また、ガイド体34は、基板49、この基板49に取り付けられた例えばゴム製で回転円板32より小径の筒状ガイド部50を有している。この筒状ガイド部50と回転円板32の上面との隙間は、メダルの直径より小さく、メダルが回転円板32と平行となって回転円板32の中心側から周辺部へ適量ずつ移動するように設定されている。
【0032】
また、周壁部材35は、回転円板32の周囲に対向して配置された筒状の壁で、回転円板32上のメダルが外方へ出て行かないように規制するとともに、ランダム状態にあったメダルを周壁部材35に沿って移動させることで整列させる。周壁部材35には、回転円板32からのメダルの繰出位置に対応して開口部52が形成されている。この開口部52を閉塞するように周壁部材35の両端部にゲート部材36が一体に結合され、ゲート部材36を含めて周壁部材35が剛性の高い円筒形に形成されている。
【0033】
周壁部材35の周囲には複数の固定部材53が取り付けられ、これら固定部材53を介して固定ねじ54でベース31に固定されている。複数の固定部材53のうち、ゲート部材36の近傍位置の固定部材53であって、特にゲート部材36に対してメダル繰出方向Fの回転方向上流側の近傍に位置する固定部材53は、ベース31に固定されていない。そのため、周壁部材35には、ゲート部材36に対してメダル繰出方向Fの回転方向上流側の位置に、上下方向の移動が許容された移動許容部55が形成されている。この移動許容部55の位置に対応して、ゲート部材36が所定の規制位置に下降した際に移動許容部55の内面および外面に係合して位置決めする周壁部材規制部としての規制ピン56が設けられている。
【0034】
また、ゲート部材36は、平板状の板材で形成され、このゲート部材36の中間部で周壁部材35の開口部52を閉塞するように周壁部材35の両端部に複数の結合ねじ58で一体に結合されている。ゲート部材36の中間部には回転円板32の上方に対向して配置されたゲート部59が形成され、ゲート部59の下縁と回転円板32の上面との間に隙間60が形成されている。隙間60は、メダル繰出時などの通常時に、厚み方向1枚のみのメダルの通過を許容する寸法に設定されて固定される。ゲート部59の内面側で、メダル繰出方向Fの回転方向上流側の位置には、略L字形の当て板61が結合ねじ62で結合されている。この当て板61の下縁はゲート部59との下縁と同一高さに設けられている。
【0035】
メダル繰出方向Fの回転方向上流側に対応したゲート部材36の端部は延設され、その端部の縁部に開口する凹状のカム溝64が形成されている。
【0036】
また、ゲート部材支持機構37は、ゲート部材36が結合された周壁部材35およびこの周壁部材35をベース31に固定する固定部材53等が含まれ、固定部材53に対して周壁部材35の両端部が変位可能とする範囲内で、この周壁部材35と一体にゲート部材36を上下方向に移動可能に支持している。そして、メダル繰出方向Fの回転方向下流側に対応したゲート部材36の一端部、反対側を他端部とし、その他端部が上下に駆動された場合には、ゲート部材36の一端部近傍で周壁部材35を固定する固定部材53付近を支点として、つまり、ゲート部材36の一端部側を支点として、ゲート部材36の他端部を上下方向に揺動可能に支持している。
【0037】
また、ゲート部材駆動機構38は、ゲート部材36の他端部のカム溝64に係合するカム66を有している。カム66は定位置で回転可能に設けられたカム軸67に対して偏心回転し、ゲート部材36を、回転円板32の上面に対して厚み方向1枚のみのメダルの通過を許容する隙間60を形成する規制位置と、この規制位置より回転円板32の上面から離反する開放位置との間で、ゲート部材36の一端部側を支点として揺動させる。このとき、図4に示すように、ゲート部材36の規制位置では、ゲート部材36の下縁が回転円板32の上面と平行状となり、また、図5に示すように、ゲート部材36の開放位置では、ゲート部材36と回転円板32との隙間60が回転円板32のメダル詰まり解除方向(逆転方向)Rに向けて広がるようにゲート部材36が揺動する。ゲート部材36の上昇量は、最も大きい場所で1〜2mm程度が好ましい。
【0038】
カム軸67は、駆動手段としてのカム用モータ68によって回転駆動される。カム軸67には、ゲート部材36の規制位置に対応した回転位置と、ゲート部材36の開放位置に対応した回転位置とをそれぞれ検出するゲート部材位置検出手段69が配設されている。このゲート部材位置検出手段69は、カム軸67に取り付けられた検知板70と、この検知板70の両側に投光部と受光部とを配置した位置検知センサ71とを備え、検知板70にはゲート部材36の規制位置および開放位置に対応して切欠部72が設けられ、これら各切欠部72で位置検知センサ71が透光状態になることでゲート部材36の規制位置および開放位置を検知する。
【0039】
また、ゲート部材36の位置に対応した回転円板32の下側には、この回転円板32の下降を規制する規制部材としての規制ローラ74が回転円板32の回転方向に対応して回転自在に配設されている。規制ローラ74によって回転円板32の下降を規制する寸法Lは、ゲート部材36の開放位置への移動でメダル詰まりを自動解除できる寸法の範囲内としている。
【0040】
次に、図8に示すように、メダル計数機11を制御する制御部81は、メダルを計数する計数部25、回転円板32の回転検知手段47、ゲート部材36のゲート部材位置検出手段69等から信号を入力し、回転円板駆動機構33の回転円板用モータ43、ゲート部材駆動機構38のカム用モータ68、報知手段82、表示パネル17等を制御する。
【0041】
報知手段82は、発光するメダル計数機本体12の発光部18、音声を発するスピーカやブザー等が含まれる。
【0042】
そして、制御部81は、回転円板32の駆動中に回転円板32の回転が停止したことを回転検知手段47で検知したら、回転円板32とゲート部材36との間でのメダルの詰まりが発生したものとして検知する詰まり検知手段83の機能、メダル詰まり解除動作時に回転円板32の逆転を回転検知手段47で検知したら、回転円板32とゲート部材36との間でのメダルの詰まりが解除されたものとして検知する詰まり解除検知手段84の機能を有している。
【0043】
さらに、制御部81は、詰まり検知手段83がメダルの詰まりを検知したら、ゲート部材駆動機構38によりゲート部材36を開放位置へ移動させるとともに、回転円板駆動機構33により回転円板32を逆転させ、また、回転円板32を逆転させてから所定時間以内に詰まり解除検知手段84がメダルの詰まり解除を検知したら、回転円板駆動機構33による回転円板32の逆転を停止させるとともに、ゲート部材駆動機構38によりゲート部材36を規制位置へ移動させ、また、メダル詰まり解除動作によってもメダルの詰まりが解除されない場合に、メダル詰まり解除動作を停止させ、報知手段82で報知させる制御手段85の機能を有している。
【0044】
また、制御部81は、計数部25での計数値を記憶する記憶部86を有している。
【0045】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0046】
まず、通常処理について説明する。通常処理では、図4に示すように、ゲート部材36が規制位置に位置し、ゲート部材36の下縁と回転円板32の上面との間に厚み方向1枚のみのメダルの通過を許容する隙間60が形成されている。このゲート部材36は、カム溝64がカム66に係合していることで規制位置に固定され、ゲート部材36の下縁と回転円板32の上面との間の隙間60が一定の寸法に保っている。
【0047】
遊技客等により、メダルがホッパ21に投入され、計数開始が表示パネル17で指示されると、メダル計数動作を開始する。なお、計数開始の指示は、ホッパ21を通じて回転円板32上にメダルが投入されたことをセンサ等で検知して自動的にメダル計数動作を開始してもよい。
【0048】
メダル計数動作を開始すると、回転円板32がメダル繰出方向Fへ回転し、メダルと回転円板32との摩擦力および遠心力によって、回転円板32上のメダルが回転円板32の周辺部へ移動する。このとき、ガイド体34により、回転円板32と平行となっているメダルが回転円板32の周辺部へ適量ずつ移動する。
【0049】
回転円板32の周辺部に移動したメダルは、周壁部材35に当接して外方への移動が規制され、周壁部材35に沿って移動しながら、ランダムな状態から相対的に整列した状態となる。
【0050】
回転円板32上で周壁部材35に沿って移動するメダルがゲート部材36の位置に達すると、回転円板32上に平行に載る厚み方向1枚のメダルがゲート部材36の下側に進入して通路部23へ通過する。このゲート部材36の下側に進入するメダルの上側に重なっているメダル等は、ゲート部材36に当接してゲート部材36の下側に進入せず、ゲート部材36の位置を通過して回転円板32上を移動する。このように、回転円板32上のメダルを厚み方向に1枚ずつ順にゲート部材36の下側から通路部23に通過させて繰り出す。
【0051】
通路部23に1枚ずつ順に繰り出されるメダルを搬送ベルト24で搬送し、計数部25で計数し、メダル計数機本体12の外部に送り出して回収する。
【0052】
遊技客等がホッパ21内のメダルの状態を確認したうえで計数終了と判断し、遊技客等により計数終了が表示パネル17で指示されると、メダル計数動作を停止し、表示パネル17に計数結果を表示する。なお、計数終了の指示は、回転円板32および通路部23にメダルが無くなったこと自動検知して計数終了を自動的に判断し、メダル計数動作の停止、計数結果の表示をしてもよい。
【0053】
次に、メダル詰まり発生時の動作について説明する。
【0054】
メダル計数中に、一部が他のメダルに重なったままのメダルがゲート部材36の下側に進入しようとして、ゲート部材36と回転円板32との間にメダルが噛み込み、このとき、ゲート部材36の位置は変わらないため、噛み込んだメダルで回転円板32を押し下げ、その押し下げ量が大きくなると、噛み込んだメダルと回転円板32との抵抗が大きくなって回転円板32が停止する、いわゆるジャムといわれるメダル詰まりが発生する。
【0055】
メダル計数中にもかかわらず、回転円板32の回転が回転検知手段47で検知されなくなった場合は、詰まり検知手段83によりメダル詰まりが発生したものと自動的に判断し、メダル詰まり解除動作を開始する。
【0056】
メダル詰まり解除動作では、回転円板32のメダル繰出方向Fへの駆動制御を停止し、カム用モータ68の駆動でカム66を回転させ、ゲート部材36を規制位置から開放位置に強制的に上昇させ、メダルの噛み込みを緩和させる。このとき、図5に示すように、ゲート部材36と回転円板32との隙間60が回転円板32のメダル詰まり解除方向(逆転方向)Rに向けて広がるようにゲート部材36が揺動する。
【0057】
続けて、回転円板32をメダル解除方向Rへ逆転させることにより、詰まっているメダルがゲート部材36の下側から回転円板32の内方に移動し、メダル詰まりを解除できる。
【0058】
したがって、詰まり検知手段83でメダルの詰まりを検知したら、ゲート部材36を回転円板32との隙間60が広がる開放位置に上昇させてメダルの噛み込みを緩和させ、回転円板32をメダル解除方向Rへ逆転させることにより、メダルが強く噛み込んでいる場合でも、回転円板32をメダル解除方向Rへ逆転させることができ、メダル詰まりを確実に自動解除できる。特に、ゲート部材36と回転円板32との隙間60が回転円板32のメダル詰まり解除方向(逆転方向)Rに向けて広がるようにゲート部材36が揺動するため、詰まっているメダルを確実に自動解除できる。
【0059】
このとき、メダルの噛み込みによって回転円板32が押し下げられるが、規制ローラ74で回転円板32の下降量をゲート部材36の開放位置への移動で自動解除できる寸法の範囲内に規制するため、メダル詰まりの自動解除を確実にできる。
【0060】

そして、回転円板32を逆転制御してから所定時間以内に回転円板32の逆転が回転検知手段47で検知されれば、詰まり解除検知手段84によりメダル詰まりが解除されたものと判断する。メダル詰まりの解除を検知したら、回転円板32は逆転させたまま、カム用モータ68の駆動でカム66を回転させ、ゲート部材36を開放位置から規制位置に強制的に下降させる。その後、回転円板32の逆転を停止してメダル詰まり解除動作を停止させる。このように制御することにより、回転円板32の逆転による新たなメダル詰まりが発生するのを防止できる。
【0061】
カム用モータ68の駆動でカム66を回転させ、ゲート部材36を開放位置から規制位置に強制的に下降させるため、メダル詰まりの解除後のゲート部材36によるメダルの1枚分離動作の信頼性を確実に再現できる。
【0062】
特に、ゲート部材36を周壁部材35に結合し、ゲート部材36の規制位置および開放位置への移動とともに周壁部材35が一体に移動可能としたため、ゲート部材36および周壁部材35の剛性が高まり、各寸法精度を向上できる。
【0063】
しかも、回転円板32のメダル繰出方向Fの回転方向下流側に対応したゲート部材36の一端部側を支点として、このゲート部材36の他端部を上下方向に揺動可能に支持し、ゲート部材36の他端部のカム溝64に係合するカム66を回動させて、ゲート部材36を規制位置と開放位置との間で強制的に移動させるため、メダル詰まりを解除するためにゲート部材36を移動させても、ゲート部材36を元の規制位置に確実に戻すことができるとともに、通常時にはゲート部材36が元の規制位置で動かないようにでき、それらの信頼性に高くできる。
【0064】
その後は、回転円板32をメダル繰出方向Fに回転させ、メダル計数動作を再開する。このメダル計数動作の再開は、自動再開してもよいし、遊技客等がホッパ21内のメダルの状態を確認したうえで、再スタートを指示してもよい。
【0065】
なお、回転円板32を逆転制御してから所定時間以内に回転円板32の逆転が回転検知手段47で検知されなければ、回転円板32の逆転を一旦停止させた後に再度逆転させるように、回転円板32の逆転制御と停止とを繰り返して、回転円板32が逆転するか否かを監視するようにしてもよい。
【0066】
また、例えば自動解除機能によるメダル詰まりの解除が不可能なほどメダルが噛み込んでいるような状況で、回転円板32を逆転制御してから所定時間以内に回転円板32の逆転が回転検知手段47で検知されない場合、あるいは回転円板32の逆転制御と停止とを所定回数繰り返しても回転円板32の逆転が回転検知手段47で検知されない場合、回転円板32の逆転制御を停止させメダル詰まり解除動作を停止させ、アラームを発したり表示パネル17で表示する等によって報知する。これにより、報知を受けた遊技店の係員が手動によるメダル詰まり解除等の対応を採ることができる。
【0067】
なお、詰まり検知手段は、メダル詰まりの発生時に計数部25でのメダル検知が無くなることを利用して検知したり、ゲート部材36の下側でのメダルの詰まりを直接検知する詰まり検知センサを用いてもよい。
【0068】
また、ゲート部材支持機構37は、ゲート部材36を上下方向に揺動可能に支持する機構に限らず、例えば、ゲート部材36を上下方向に平行に移動させる機構を用いてもよい。
【0069】
また、ゲート部材駆動機構38は、ゲート部材36のカム溝64とカム66との機構に限らず、例えば、ねじ軸をその軸方向を上下方向に向けて設置し、このねじ軸に螺合する螺合部材にゲート部材36を連結し、ねじ軸をモータで回転駆動する機構を用いてもよい。
【0070】
また、メダル詰まりが自動解除されない場合の報知は、メダル計数機本体12の表示パネル17や発光部18で表示する以外に、例えば、外付けの標識灯、遊技店の係員が装着している通信機、遊技店のカウンターや事務所の管理装置等の外部機器へ出力するようにしてもよい。
【0071】
また、遊技店のメダル以外に、硬貨やICコイン等の円板形状媒体の計数機に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施の形態を示すメダル計数機の回転円板部分の斜視図である。
【図2】同上メダル計数機の回転円板部分の駆動関係を含めた分解状態の斜視図である。
【図3】同上メダル計数機のゲート部材部分の平面図である。
【図4】同上メダル計数機の規制位置にあるゲート部材を回転円板の内方から視た断面図である。
【図5】同上メダル計数機の開放位置にあるゲート部材を回転円板の内方から視た断面図である。
【図6】同上メダル計数機のホッパを外した平面図である。
【図7】同上メダル計数機の斜視図である。
【図8】同上メダル計数機のブロック図である。
【符号の説明】
【0073】
11 メダル計数機
25 計数部
32 回転円板
33 回転円板駆動機構
35 周壁部材
36 ゲート部材
37 ゲート部材支持機構
38 ゲート部材駆動機構
60 隙間
64 カム溝
66 カム
68 駆動手段としてのカム用モータ
74 規制部材としての規制ローラ
82 報知手段
83 詰まり検知手段
84 詰まり解除検知手段
85 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メダルを受け入れる回転円板と、
この回転円板をメダル繰出時に回転させるとともにメダル詰まり解除動作時に逆転させる回転円板駆動機構と、
この回転円板の周囲に配置される周壁部材と、
この周壁部材の一部を構成するとともに前記回転円板の上面に対して厚み方向1枚のみのメダルの通過を許容する隙間をあけて設けられたゲート部材と、
このゲート部を通過したメダルを計数する計数部と、
前記ゲート部材を前記回転円板の上面に対して厚み方向1枚のみのメダルの通過を許容する隙間を形成する規制位置とこの規制位置より回転円板の上面から離反する開放位置との間で移動可能に支持するゲート部材支持機構と、
このゲート部材支持機構を介して前記ゲート部材を規制位置と開放位置との間で移動させるゲート部材駆動機構と、
前記回転円板と前記ゲート部材との間でのメダルの詰まりを検知する詰まり検知手段と、
この詰まり検知手段がメダルの詰まりを検知したら、前記ゲート部材駆動機構により前記ゲート部材を開放位置へ移動させるとともに、前記回転円板駆動機構により前記回転円板を逆転させる制御手段と
を具備していることを特徴とするメダル計数機。
【請求項2】
回転円板とゲート部材との間でのメダルの詰まり解除を検知する詰まり解除検知手段とを具備し、
制御手段は、前記詰まり解除検知手段がメダルの詰まり解除を検知したら、回転円板駆動機構による回転円板の逆転を停止させるとともに、ゲート部材駆動機構によりゲート部材を規制位置へ移動させる
ことを特徴とする請求項1記載のメダル計数機。
【請求項3】
報知手段を具備し、
制御手段は、メダル詰まり解除動作によってもメダルの詰まりが解除されない場合に、メダル詰まり解除動作を停止させ、前記報知手段で報知する
ことを特徴とする請求項1または2記載のメダル計数機。
【請求項4】
ゲート部材は周壁部材に結合され、このゲート部材の規制位置および開放位置への移動とともに周壁部材が一体に移動する
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載のメダル計数機。
【請求項5】
ゲート部材は、回転円板のメダル繰出方向の回転方向下流側に対応した一端部に対して反対側の他端部にカム溝を有し、
ゲート部材支持機構は、前記ゲート部材の一端部側を支点としてゲート部材の他端部を上下方向に揺動可能に支持し、
ゲート部材駆動機構は、前記ゲート部材の他端部に設けられたカム溝に係合するカム、およびこのカムを回動させて前記ゲート部材の他端部を規制位置と開放位置との間で移動させる駆動手段を有している
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載のメダル計数機。
【請求項6】
ゲート部材の位置に対応した回転円板の下側に、この回転円板の下降を規制する規制部材を具備している
ことを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載のメダル計数機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−12024(P2008−12024A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−185362(P2006−185362)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】