説明

メッシュ型空間解析技法を利用した駐車空間探知方法及びそのシステム

【課題】空間認知過程で発生する情報歪曲現象を解消できるメッシュ型空間解析技法を利用した駐車空間探知方法及びそのシステムを提供する。
【解決手段】本発明は、所定の制御信号に応じて超音波信号を発信する送信部と、前記送信部から発信された信号が物体に突き当たって戻る反響信号を受信する受信部と、前記送信部により超音波が走査される駐車予定空間に対して仮想の領域を設定し、当該領域を所定間隔のセル(cell)で分割したメッシュ型空間イメージをデータに格納するメッシュ型空間設定部と、前記反響信号を解析して前記メッシュ型空間設定部により設定されたメッシュ型分割領域に対して非障害物領域を確定する非障害物領域判定部と、前記非障害物領域判定部により確定された非障害物領域を除外させ、最終的な空間分析結果を算出するコントローラとを含んでなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッシュ型空間解析技法を利用した駐車空間探知方法及びそのシステムに係り、より詳しくは、超音波センサを利用した駐車空間探知方法において、探知対象の空間を所定間隔の格子構造を有するメッシュ型に仮想分割し、超音波センサによる認知信号を根拠に障害物が認知されない格子領域を順次除外させていくことにより、空間認知過程で発生する情報歪曲現象を解消することができるようにしたメッシュ型空間解析技法を利用した駐車空間探知方法及びそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車は現代社会の代表的な移動手段として位置づけられ急速に普及するとともに、それに比例して女性運転者の数も大きく増加している。
一方、殆どの女性運転者が苦手とする駐車問題については自動駐車システムが開発され販売されている。
自動駐車システムは、先ず車両に取り付けられた超音波センサを利用して駐車する空間をスキャンし、当該領域に位置する障害物を確認することにより駐車可否を判断する。このとき超音波センサから送信されるビームが所定の幅を有する形態で走査されるため、受信された信号で障害物の大きさと位置を認知すると一定の誤差が発生する。
【0003】
図1は、従来の駐車空間探知方法を詳しく説明するための図である。
図1に示す通り、車両の側面に取り付けられた超音波センサは、車両が駐車予定地域を徐行する間に当該空間を探知する。
空間の探知は、送信部から発信された超音波信号が物体に突き当たって戻る時間から距離を算出して障害物を認知するものであるが、送信部から発信される超音波はその信号の特性上約15度の走査角度を有する放射形のビーム形態に発信される。受信部は最短距離で反響される信号を認識する特性があるので、障害物の角、即ち障害物と非障害物の境界面では、図1に示す通り、直角の角を有する実際の障害物に比べ、点線(図1にない)で表示された認知情報により緩やかな曲線を有する認知歪曲現象が発生することになる。
したがって、従来の駐車空間探知方法では、障害物の大きさと位置を認識する段階で一定の歪曲された誤差が発生するため、精緻な駐車制御が難しいだけでなく、誤った判定により自動駐車時に接触事故が発生する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−166654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであって、超音波センサを利用して駐車空間を探知する場合、探知対象の空間を所定間隔の格子構造のメッシュ型に仮想分割し、超音波センサによる認知信号で障害物が認知されない格子領域を順次除外さるとにより、空間認知過程で発生する情報歪曲現象を解消できるメッシュ型空間解析技法を利用した駐車空間探知方法及びそのシステムを提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るメッシュ型空間解析技法を利用した駐車空間探知システムは、所定の制御信号に応じて超音波信号を発信する送信部と、前記送信部から発信された信号が物体に突き当たって戻る反響信号を受信する受信部と、前記送信部により超音波が走査される駐車予定空間に対して仮想の領域を設定し、当該領域を所定間隔のセル(cell)で分割したメッシュ型空間イメージをデータに格納するメッシュ型空間設定部と、前記反響信号を解析して前記メッシュ型空間設定部により設定されたメッシュ型分割領域に対して非障害物領域を確定する非障害物領域判定部と、前記非障害物領域判定部により確定された非障害物領域を除外させ、最終的な空間分析結果を算出するコントローラとを含んでなることを特徴とする。
【0007】
前記メッシュ型空間設定部、非障害物領域判定部、コントローラは制御部内に集積化され具現されていることを特徴とし、前記制御部はECU(Electronic Control Unit)に具現されることを特徴とする。
【0008】
前記非障害物領域判定部は受信信号を換算して分析する過程で、同一地点に対する互いに相反する認知結果を受信すると、当該地点に対応される前記探知対象領域イメージにおけるセル(cell)を非障害物領域に確定することを特徴とする。
【0009】
前記コントローラは、最終算出された駐車情報を自動駐車制御システムに出力することを特徴とする。
【0010】
一方、本発明に係るメッシュ型空間解析技法を利用した駐車空間探知方法は、所定の制御信号に応じて超音波信号を発信する超音波信号走査段階と、前記送信部により超音波が走査される探索対象空間に対して仮想の領域を設定し、当該領域を所定間隔のセル(cell)で分割したメッシュ型空間イメージを形成する空間分割及びメッシュ形成段階と、前記送信部から発信された信号が物体に突き当たって戻る反響信号を解析し、前記メッシュ型空間に対して非障害物領域を確定する非障害物領域判定段階と、前記非障害物領域判定段階により確定された非障害物領域を除外させ、最終的な空間分析結果を算出し出す最終空間分析結果算出段階とを含んでなることを特徴とする。
【0011】
前記空間分割及びメッシュ形成段階は、前記超音波信号走査段階にマッチングされ、所定の時間差を置いて同時実施されることを特徴とする。
【0012】
前記非障害物領域判定段階は、受信信号を換算して分析する過程で、同一地点に対する互いに相反する認知結果を受信すると、当該地点に対応される前記探知対象領域イメージにおけるセル(cell)を非障害物領域に確定することを特徴とする。
【0013】
前記最終空間分析結果算出段階で算出された駐車情報を自動駐車制御システムに出力する駐車情報提供段階をさらに含むことを特徴とする。
【0014】
前記駐車空間探知方法の諸般の手続きはECU(Electronic Control Unit)に具現されたプログラムロジックにより行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、駐車空間を探知する場合、歪曲による誤差なく障害物の大きさと位置を正確に探知できることにより、より精緻な駐車制御が可能であるだけでなく、安全な駐車誘導及び自動駐車を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来の駐車空間探知方法を説明するための図である。
【図2】本発明の1実施形態に係るメッシュ型空間解析技法を利用した駐車空間探知システムの主要構成を表す図である。
【図3】図2に示した構成の装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明に係る空間解析結果を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図を参照しながら本発明について詳しく説明する。
図2は、本発明の1実施形態に係るメッシュ型空間解析技法を利用した駐車空間探知システムの主要構成を表す図である。
図2に示す通り、本願発明の駐車空間探知システムは所定の制御信号に応じて超音波信号を発信する送信部10、送信部10から発信された信号が物体に突き当たって戻る反響信号を受信する受信部20、
送信部10により超音波が走査される駐車予定空間に対して仮想の領域を設定し、当該領域を所定間隔のセル(cell)で分割したメッシュ型空間イメージをデータに格納するメッシュ型空間設定部31、受信部20を介し受信された反響信号を解析し、メッシュ型空間設定部31により設定されたメッシュ型分割領域に対して非障害物領域を確定する非障害物領域判定部32、非障害物領域判定部32により確定された非障害物領域を除外し、最終的な空間分析結果を算出してこれを自動駐車制御システムに伝送するコントローラ(controller)33からなる。
一方、メッシュ型空間設定部31、非障害物領域判定部32、コントローラ33は、一般にECU(Electronic Control Unit)と総称される制御部内に集積化して具現することができる。
【0018】
次に、図3のフローチャートにより装置の動作を説明する。
駐車空間探知機能が実行されることになれば、先ずコントローラ33は送信部10を制御し、探索対象領域に対して超音波信号を走査する(ST10)。
次に、コントローラ33はメッシュ型空間設定部31を制御し、超音波が走査される領域に対する仮想の空間イメージを算定し、当該空間を所定間隔の格子型構造に分割することにより探知対象領域を設定する(ST11)。
【0019】
この探知対象領域設定動作は、前記超音波信号の走査動作にマッチングされ、所定の時間差を置いて殆ど同時に実施される。
一方、受信部20から反響信号が受信されると、コントローラ33は受信された信号を非障害物領域判定部32に印加する。非障害物領域判定部32は受信された反響信号により物体までの距離を算定し(ST12)、これを総合的に分析して非障害物領域を確定する(ST13)。
【0020】
超音波信号の特性上、前記反響信号は同一地点に対して一致しない情報を提供することができる。
即ち、超音波信号が約15度角度の放射形に出力され、点(dot)スキャンでない面スキャンの形式をとることになるので、同一地点に対する信号の反響位置に差が発生することになる。その結果、同一地点に対する障害物有無の判定が互いに相反する認知結果を表すことがある。
非障害物領域判定部32は、受信信号を換算して分析する過程で、同一地点に対する互いに相反する認知結果を受信すると、当該地点、即ち前記メッシュ型構造の探知対象領域のイメージで当該地点に対応するセル(cell)を非障害物領域に確定する。
【0021】
コントローラ33は、前記過程により確定された非障害物領域から最終的に空間分析結果を算出し、その結果取得された駐車情報を自動駐車制御システムに出力する(ST14)。
即ち、前記実施形態によれば、駐車空間を探知する場合、歪曲による誤差なく障害物の大きさと位置を正確に探知することにより、より精緻な駐車制御が可能であるだけでなく、安全な駐車誘導及び自動駐車が可能な駐車空間探知技術を提供することができる。
図4は、本発明による空間解析結果を例示した図である。
【0022】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の属する技術分野を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。

【符号の説明】
【0023】
10:送信部
20:受信部
30:制御部
31:メッシュ型空間設定部
32:非障害物領域判定部
33:コントローラ(controller)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の駐車空間探知システムにおいて、
所定の制御信号に応じて超音波信号を発信する送信部と、
前記送信部から発信された信号が物体に突き当たって戻る反響信号を受信する受信部と、
前記送信部により超音波が走査される駐車予定空間に対して仮想の領域を設定し、当該領域を所定間隔のセル(cell)に分割したメッシュ型空間イメージをデータに格納するメッシュ型空間設定部と、
前記反響信号を解析して前記メッシュ型空間設定部により設定されたメッシュ型分割領域に対して非障害物領域を確定する非障害物領域判定部と、
前記非障害物領域判定部により確定された非障害物領域を除外させ、最終的な空間分析結果を算出するコントローラと、
を含んでなることを特徴とするメッシュ型空間解析技法を利用した駐車空間探知システム。
【請求項2】
前記メッシュ型空間設定部、非障害物領域判定部及び
コントローラは制御部内に集積化され具現されていることを特徴とする請求項1に記載のメッシュ型空間解析技法を利用した駐車空間探知システム。
【請求項3】
前記制御部は、ECU(Electronic Control Unit)に具現されることを特徴とする請求項2に記載のメッシュ型空間解析技法を利用した駐車空間探知システム。
【請求項4】
前記非障害物領域判定部は、受信信号を換算して分析する過程で、同一地点に対する互いに相反する認知結果を受信すると、当該地点に対応する探知対象領域イメージにおけるセル(cell)を非障害物領域に確定することを特徴とする請求項1に記載のメッシュ型空間解析技法を利用した駐車空間探知システム。
【請求項5】
前記コントローラは、最終算出された駐車情報を自動駐車制御システムに出力することを特徴とする請求項1に記載のメッシュ型空間解析技法を利用した駐車空間探知システム。
【請求項6】
自動車の駐車空間探知方法において、
所定の制御信号に応じて超音波信号を発信する超音波信号走査段階と、
送信部により超音波が走査される探索対象空間に対して仮想の領域を設定し、当該領域を所定間隔のセル(cell)で分割したメッシュ型空間イメージを形成する空間分割及びメッシュ形成段階と、
前記送信部から発信された信号が物体に突き当たって戻る反響信号を解析し、前記メッシュ型空間に対して非障害物領域を確定する非障害物領域判定段階と、
前記非障害物領域判定段階により確定された前記非障害物領域を除外させ、最終的な空間分析結果を算出する最終空間分析結果算出段階と、
を含んでなることを特徴とするメッシュ型空間解析技法を利用した駐車空間探知方法。
【請求項7】
前記空間分割及びメッシュ形成段階は、前記超音波信号走査段階にマッチングされ、所定の時間差を置いて同時実施されることを特徴とする請求項6に記載のメッシュ型空間解析技法を利用した駐車空間探知方法。
【請求項8】
前記非障害物領域判定段階は、受信信号を換算して分析する過程で、同一地点に対する互いに相反する認知結果を受信すると、当該地点に対応される探知対象領域イメージにおけるセル(cell)を非障害物領域に確定することを特徴とする請求項6に記載のメッシュ型空間解析技法を利用した駐車空間探知方法。
【請求項9】
前記最終空間分析結果算出段階で算出された駐車情報を自動駐車制御システムに出力する駐車情報提供段階をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のメッシュ型空間解析技法を利用した駐車空間探知方法。
【請求項10】
前記駐車空間探知方法の諸手続きは、ECU(Electronic Control Unit)に具現されたプログラムロジックにより行われることを特徴とする請求項6に記載のメッシュ型空間解析技法を利用した駐車空間探知方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−86792(P2013−86792A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−173906(P2012−173906)
【出願日】平成24年8月6日(2012.8.6)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【Fターム(参考)】