説明

メモリカード用アダプタ

【課題】本発明はマイクロメモリカード用アダプタに関し、マイクロメモリカードの端子とマイクロメモリカード対応端子との接触圧が精度良く決まり、且つ、過酷な環境条件の中に放置された場合であってマイクロメモリカードの端子とマイクロメモリカード対応端子との接触圧が初期の値に維持されるようにした構成を実現することを目的とする。
【解決手段】下ケース50と上ケース60とが、間にインサート成形モジュール11を挟んで組み合わされて超音波溶着してある。インサート成形モジュール11は、複数の端子部材12と金属板製カバー20とが、インサート成形してある構成である。マイクロメモリカード対応端子14と金属板製カバー20との間には、マイクロメモリカード1の厚さより少し狭い隙間40が存在している。マイクロメモリカード1は、その先端側を隙間40に適度にきつく挿入されてアダプタ内に収容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメモリカード用アダプタに係り、特に、小型サイズのメモリカードと同じ外形寸法を有し、マイクロメモリカードが挿入されて装着された状態で小型サイズのメモリカードと同様に使用されるメモリカード用アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
メモリカードとは半導体フラッシュメモリー等が組み込んであるカード形状の補助的な記録装置をいう。現在、半導体フラッシュメモリーを利用したメモリカードとして、パソコンに装着される標準サイズのメモリカードと、携帯電話、デジタルカメラ等に装着される小型のサイズの小型メモリカードとが市販されている。また、小型メモリカードの有効利用のために、小型メモリカード用アダプタが市販されている。小型メモリカード用アダプタは、標準サイズのメモリカードと同じサイズであって、小型のメモリカードが装着可能であり、小型のメモリカードを装着して、標準サイズのメモリカードと同様にパソコン等に装着されて使用される。
【0003】
従来の一例の小型メモリカード用アダプタは、共に合成樹脂製の成形品である下カバーと上カバーとが組み合わされ溶着してあり、内部にメモリカード収容部を有し、且つ、内部に複数の端子部材が並んで組み込んである構成である。
【0004】
小型のメモリカードは、メモリカード用アダプタのメモリカード収容部内に挿入され、下面の挿入方向先端側の端子が上記の端子部材の端の端子部に載り上がってこれと接触され、上面が上記の上カバーによって押さえられた状態で、メモリカード収容部に装着される。小型メモリカード用アダプタは、小型のメモリカードが上記のようにメモリカード収容部に装着された状態で、標準サイズのメモリカードと同様にパソコン等に装着されて使用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、携帯機器の小型化が進んでおり、これに伴って、上記の小型のメモリカードよりもサイズの小さいマイクロメモリカードも商品化されつつある。このマイクロメモリカードの有効利用のため、具体的にはマイクロメモリカードを携帯機器に備えてある小型のメモリカード用コネクタに装着できるようにするために、マイクロメモリカード用アダプタの開発が望まれている。マイクロメモリカード用アダプタは、小型メモリカードに対応する外形寸法を有し、内部に、マイクロメモリカード用収容部を有する構成となる。
【0006】
ここで、小型メモリカードは、長さが約30mm、幅が約20mm、厚さが約1.6mmと小さく、マイクロメモリカードは、後述するように更に小さく、人の手の指の爪ほどの大きさである。また、マイクロメモリカードのコンタクトのサイズも幅が狭いものとなっている。
【0007】
このため、マイクロメモリカードの端子とマイクロメモリカード用アダプタ内の端子との接触圧力は前記の小型メモリカード用アダプタにおける接触圧力よりも低くなり、よって、余裕が少なくなり、上記端子同士の電気的接続を安定に維持するためにはマイクロメモリカードを装着したときの接触圧力をその後も維持することの重要性が高くなる。
【0008】
また、マイクロメモリカードの端子とマイクロメモリカード用アダプタ内の端子部との接触圧力が低いことによって、例えば落としたりして衝撃を受けたときに、マイクロメモリカードがマイクロメモリカード用アダプタから抜け出してしまうことが起こることもありうるため、これに対する対策も必要となる。
【0009】
そこで、本発明は、上記の点に鑑みてなされたメモリカード用アダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、第1のメモリカードより小さいサイズである第2のメモリカードが挿入されて収容される第2のメモリカード用収容部を有し、前記第2のメモリカードが前記第2のメモリカード用収容部に収容された状態で使用される、前記第1のメモリカードと同じ外形寸法を有するメモリカード用アダプタであって、
内部に、インサート成形モジュールを有する構成であり、
前記インサート成形モジュールは、
並んでいる複数の端子部材と、
金属板製のカバーと、
前記複数の端子部材の一部及び前記金属板製カバーの一部がインサートされて成形してある合成樹脂成形部を有する構造であり、
前記複数の端子部材は、前記合成樹脂成形部より前記メモリカード用アダプタの先端の方向に突き出ている部分に、前記第1のメモリカードの端子に対応する第1のメモリカード対応端子を有し、前記合成樹脂成形部より上記第2のメモリカード用収容部の方向に突き出ている部分に、前記第2のメモリカードの端子に対応する第2のメモリカード対応端子を有し、
前記金属板製カバーは、前記合成樹脂成形部より上記第2のメモリカード用収容部の方向に突き出ており、
且つ、前記第2のメモリカード対応端子と前記金属板製カバーとの間に、前記第2のメモリカードが挿入される隙間が形成してある構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、インサート成形モジュールであるため、第2のメモリカード対応端子と金属板製カバーとの間の隙間は精度良く決まり、組み立てたメモリカード用アダプタ同士間における、第2のメモリカードを第2のメモリカード用収容部に収容したときの端子間の接触圧力のばらつきを小さく抑えることが出来る。また、第2のメモリカード対応端子と金属板製カバーとの間の隙間に差し込まれた第2のメモリカードの上面を押さえる部材が金属板製であるため、熱が加わっても反り等の変形を起こさない。よって、第2のメモリカードが第2のメモリカード用収容部に収容されたメモリカード用アダプタが高い温度等の過酷な環境に置かれた場合でも、第2のメモリカードの端子と第2のメモリカード対応端子との接触圧力を第2のメモリカードを第2のメモリカード用収容部に収容したときの接触圧力に維持することが出来る。よって、第2のメモリカードの端子と第2のメモリカード対応端子との接触圧力が低下して電気的接続が不安定となってしまうことを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は本発明の実施例1になるマイクロメモリカード用アダプタ10を、マイクロメモリカード1と併せて、且つ、アダプタ10を分解した状態を併せて示す。X1−X2はアダプタ10及びマイクロメモリカード1の幅方向、Y1−Y2は長手方向、Z1−Z2は厚さ方向である。Y1はマイクロメモリカード1をアダプタ10内に挿入する方向及びアダプタ10を電子機器のスロット内へ挿入する方向である。Z1が上側、Z2が下側である。
【0014】
アダプタ10は、図2及び図3に示すように、間にインサート成形モジュール11を挟んで、下ケース50と上ケース60とが組み合わされて超音波溶着してある構成であり、後述するように外部から受ける熱によって影響を受けにくく、マイクロメモリカード1が収容された状態で高温の環境に放置されてもマイクロメモリカード1の端子への接触圧力を維持できるという特性、及び、機械的強度を高くできるという特性を有する。アダプタ10は、長さL10が約30mm、幅W10が約20mm、厚さT10が約1.6mmであり、第1のメモリカードとしての小型メモリカードと同じ外形寸法を有する。図3は下ケース50上にインサート成形モジュール11が載せられた状態を示す。
【0015】
図5は図1の空の状態のアダプタ10の中心を通るV-V線に沿う断面図である。図6は図5中中央部分を拡大して示す図である。図7は図1のアダプタ10をVII-VII線に沿って断面してマイクロメモリカード収容部のマイクロメモリカード挿入口側から見た断面図である。図8は図1中VIII-VIII線に沿う拡大断面図であり、モジュール11のグランド端子13Gが金属板製カバー20と接触している状態を示す。図9は図1中IX-IX線に沿う拡大断面図であり、モジュール11の係止部26を示す。
[マイクロメモリカード1]
説明の便宜上、先ず、第2のメモリカードとしてのマイクロメモリカード1について説明する。
【0016】
マイクロメモリカード1は、図4に拡大して示すように、長さL1が約15mm、幅W1が約12mm、厚さT1が1.2mmであり、前記の小型メモリカードより小さいサイズである。
【0017】
マイクロメモリカード1は、上面3及び下面4を有し、下面4のうちY1側に複数の端子2がX1−X2方向に並んで配置してあり、X1側の側面側にリブ部5が、X2側の側面側にリブ部6が突き出ている形状を有する。リブ部5、リブ部6は、その上面が上面3に対して寸法a下がって段差がついており、その下面は下面4の延長面とされて形成してある。リブ部5は途中に欠落部5a,5bを有する。欠落部5aはY1側の欠落部である。リブ部6も同様に欠落部を有する。マイクロメモリカード2の上面3のY2側には、X1側とX2側に突き出ている凸部7,8を有する。
【0018】
次にアダプタ10について説明する。
[インサート成形モジュール11]
先ず、インサート成形モジュール11について説明する。
【0019】
図2(B)はインサート成形モジュール11の斜視図である。図10はインサート成形モジュール11を下側より見上げた状態で示す斜視図である。図11は図10の一部を拡大して示す。図12(A)はインサート成形モジュール11をその金属板製カバー20を省略した状態で示す斜視図である。図13は図10中、XIII-XIII線に沿う拡大断面図である。図14はインサート成形モジュール11を表裏反転した姿勢でY1側の部分を拡大して示す図である。
【0020】
インサート成形モジュール11は、複数の端子部材12と金属板製カバー20とが、インサート成形してある構成である。合成樹脂成形部30によって、複数の端子部材12と金属板製カバー20とが一体化されている。複数の端子部材12及び金属板製カバー20は、共にX−Y面と平行であり、高さ位置が違った配置である。モジュール11は、複数の端子部材12に加えて、金属板製カバー20を有している点に特徴を有する。モジュール11は下ケース50と上ケース60との間に収まる扁平な形状である。
【0021】
合成樹脂成形部30は、耐熱性を有する樹脂、例えば、液晶ポリマー製であり、Z1側から見て略四角形であり、扁平な形状であり、金属板製カバー20の一部をインサート成形することを考慮して、上面のうちY2側のX1、X2側にZ2方向に突き出ている凸段部31,32を有する。合成樹脂成形部30は端子部材12の一部と金属板製カバー20の一部とをインサートされて成形されている。
【0022】
複数の端子部材12は、Y1、Y2方向に長く、X1、X2方向に並んでおり、合成樹脂成形部30をY1、Y2方向に貫通している。合成樹脂成形部30のY1側には、端子13が突き出ており、前記の小型メモリカードの端子に対応する配置で並んでいる。端子13は小型メモリカード対応端子である。合成樹脂成形部30のY2側には、端子14が突き出ており、前記のマイクロメモリカード1の端子2に対応する配置で並んでいる。端子14はマイクロメモリカード対応端子である。複数の端子13、14のうち、X2側の端子13G、14Gは共にグランド端子である。グランド端子14Gは、Z1方向に斜めに曲がっている。
【0023】
金属板製カバー20は、厚さが0.1mm、望ましくは、0.08mmであるステンレス製であり、マイクロメモリカード1の上面の形状に対応した形状を有する。即ち、金属板製カバー20は、図12(B)に示すように、中央の平板状の本体部21と、この本体部21のX1、X2側のZ2方向への段部22X1、22X2と、段部22X1、22X2のZ2端よりX1、X2側に張り出ている張り出し部23X1,23X2と、張り出し部23X1,23X2よりY1方向に突き出ている腕部24X1,24X2を有する。段部22X1、22X2のZ1、Z2方向の寸法は、前記のマイクロメモリカード1の段差寸法aと等しい。腕部24X1,24X2には、図12(C)、(D)に示すように、強度向上のために、Y1、Y2方向に長いリブ部25X1,25X2がZ1方向に打ち起こして形成してある。また、張り出し部23X1には、スリットが形成されて、係止部26が形成してある。係止部26は、マイクロメモリカード1の欠落部5aを係止するためのものであり、Y2側が固定であってY1方向に延在しておりZ1,Z2方向にばね性を有する片持ち梁部26aと、片持ち梁部26aの先端の凸部26bとよりなる。
【0024】
上記の金属板製カバー20は、両側の腕部24X1,24X2を夫々合成樹脂成形部30の凸段部31,32にインサート成形されて、合成樹脂成形部30に固定されており、端子14よりもZ1側に偏倚した高さの位置で、合成樹脂成形部30よりY2方向に突き出ている。ここで、腕部24X1,24X2は合成樹脂成形部30にインサート成形されているため、腕部24X1,24X2の合成樹脂成形部30への固定の強度は、腕部24X1,24Xが合成樹脂部材に形成されたスリットに圧入された場合の構造の固定強度に比較して高い。
【0025】
また、上記のリブ部25X1,25X2は、腕部24X1,24X2を補強しており、金属板製カバー20が合成樹脂成形部30に対して反る方向に変形しにくくなっている。
【0026】
図13に示すように、金属板製カバー20の本体部21はマイクロメモリカード対応端子14の上方に位置しており、マイクロメモリカード対応端子14と本体部21との間には隙間40が存在している。この隙間40のZ1−Z2方向の寸法Aは0.9mmであり、マイクロメモリカード1の厚さT1より少し小さい値であり、隙間40はマイクロメモリカード1の厚さT1より少し狭い。ここで、インサート成形は、成形金型の間に複数の端子部材12及び金属板製カバー20を挟んで固定した状態で樹脂を射出成形して行っており、製造されたインサート成形モジュール11同士間の隙間40の寸法Aのばらつきはほとんどなく、精度良く決まっている。
【0027】
図11に示すように、グランド端子14Gは、金属板製カバー20の張り出し部23X2の下面を押し付けて接触しており、グランド端子14Gと金属板製カバー20とは電気的に接続されている。アダプタ10の使用時に金属板製カバー20の電位をグランドレベルとするためである。
【0028】
図14に示すように、端子13の先端には丸み部13aが形成してある。アダプタ10を携帯機器に備えてある小型のメモリカード用コネクタに挿入するときに端子13が引っ掛かることなく円滑に小型メモリカード用コネクタの端子と接触するようにするためである。
【0029】
また、金属板製カバー20は、X1、X2側をクランク形状に折り曲げられている形状であるため、Y1−Y2線に沿って中央部が凸或いは凹となる方向に弓なりに反る方向に対する強度が高い。
[下ケース50]
図2(C)は下ケース50を示す。下ケース50は、合成樹脂成形部品であり、板状であり、Y1側には、複数のスリット51が前記の小型メモリカードの端子に対応する配置で並んでおり、中央部には、インサート成形モジュール11の合成樹脂成形部30の輪郭に対応する凹部52が形成してあり、且つ、凹部52よりY2側には、マイクロメモリカード収容部の底板部を形成する板状部53を有し、且つ、この板状部53のX1、X2側に、金属板製カバー20の張り出し部23X1,23X2のうち外側寄りの部分を支持する支持部54X1,54X2を有する。
[上ケース60]
図2(A)は上ケース60を示す。上ケース60は、合成樹脂成形部品であり、板状であり、下面の中央部には、インサート成形モジュール11の合成樹脂成形部30の輪郭に対応する凹部(図示せず)が形成してあり、中央部よりY2側には、Y2端が開いており金属板製カバー20の本体部21に対応する形状の切り欠き開口61が形成してある。62X1,62X2は横側腕部であり、切り欠き開口61の両側に位置している。
[アダプタ10]
アダプタ10は、先ず、図3に示すように、インサート成形モジュール11を位置を合わせて下ケース50上に載せ、次いで、上ケース60を被せ、下ケース50と上ケース60の周囲の部分を超音波溶着することによって製造される。
【0030】
インサート成形モジュール11は、合成樹脂成形部30を下ケース50の凹部52及び上ケース60の凹部(図示せず)によって位置を決められて、下ケース50と上ケース60との間に挟まれている。
【0031】
端子13はスリット51に露出している。端子14は下ケース50の板状部53上に整列している。
【0032】
図7に示すように、金属板製カバー20の張り出し部23X1,23X2が夫々下ケース50の支持部54X1,54X2上に載っており、支持部54X1,54X2と上ケース60の押え腕部62X1,62X2との間に挟まれて固定してある。金属板製カバー20の本体部21は上ケース60の切り欠き開口61に嵌合して切り欠き開口61を塞いでいる。
【0033】
下ケース50の板状部53と金属板製カバー20との間に、マイクロメモリカード収容部70が形成されている。
【0034】
ここで、下ケース50と上ケース60とは金属板製カバー20の張り出し部23X1,23X2を挟んでおり、且つ、金属板製カバー20はY1−Y2線に沿って中央部が凸或いは凹となる方向に弓なりに反る方向に対する強度が高い形状であるため、マイクロメモリカード収容部70は従来に比較して高い機械的強度を有する。なお、アダプタ10はその形状からしてY1−Y2線に沿って中央部が凸或いは凹となる方向に弓なりに反らせる方向の力を作用されることが多いけれども、マイクロメモリカード収容部70はこの方向に作用される力に強い。
【0035】
図6及び図7に示すように、マイクロメモリカード対応端子14と本体部21との間には、Z1−Z2方向の寸法Aがマイクロメモリカード1の厚さT1より少し小さい値である隙間40が存在している。
【0036】
また、マイクロメモリカード対応端子14は、下ケース50の板状部53の上面に位置して、マイクロメモリカード収容部70内に配置してある。
【0037】
図6及び図8に示すように、グランド端子14Gは、金属板製カバー20の張り出し部23X2の下面に押し当たっている。
【0038】
図9に示すように、係止部26がマイクロメモリカード収容部70のX1側の部分に位置しており、凸部26bはマイクロメモリカード収容部70内に突き出ている。
【0039】
図1を参照するに、71はマイクロメモリカード収容部70への入り口であり、Z2側がX1,X2方向に張り出た形状、即ち、マイクロメモリカード1のX1−X2線に沿う断面の形状に対応する形状を有する。
【0040】
また、上記の隙間40の寸法Aはインサート成形モジュール11によって決まり、アダプタ10の組み立て作業工程、例えば、溶着工程等によっては影響されない。よって、組み立てたアダプタ10同士間において、隙間40の寸法Aは精度良く定まっている。
[マイクロメモリカード1のアダプタ10への装着]
次に、マイクロメモリカード1の上記のアダプタ10への装着について説明する。
[装着操作]
操作者は、マイクロメモリカード1を手の指先に挟んで持って、図1に示す姿勢で、入り口71を通ってマイクロメモリカード収容部70内にY1方向に最終位置まで差し込む。
【0041】
マイクロメモリカード1は、図15に示すようにマイクロメモリカード収容部70を占め、Y2側の部分が入り口71に位置して入り口71を塞いだ状態となる。マイクロメモリカード1は梨地パターンを付して示す。
【0042】
なお、マイクロメモリカード1の断面形状及び入り口71の形状が上下非対称であることから、マイクロメモリカード1を上記とは異なる姿勢で挿入しようとしても入り口71の淵に当たってマイクロメモリカード収容部70内への挿入は制限され、誤挿入は制限される。
[装着したときの状態]
マイクロメモリカード1のY1側の部分は、図16に併せて示すように、マイクロメモリカード対応端子14に乗り上がってマイクロメモリカード対応端子14をZ2方向に弾性的に撓ませて隙間40内に適度にきつく入り込む。これによって、マイクロメモリカード1のY1側の部分は、各端子2が対応するマイクロメモリカード対応端子14に弾性的に押し付けられた状態とされて、各端子2が対応するマイクロメモリカード対応端子14と電気的に接続された状態とされる共に本体部21とマイクロメモリカード対応端子14との間に弾性的に挟まれた状態となる。マイクロメモリカード対応端子14の弾性的によって、マイクロメモリカード1はZ1方向に押し上げられ、上面3は金属板製カバー20の本体部21の下面に押し当たった状態となる。
【0043】
ここで、この金属板製カバー20は合成樹脂成形部30にインサート成形してある構成であり金属板製カバー20のマイクロメモリカード対応端子14に対する位置の精度は高く、よって、端子2とマイクロメモリカード対応端子14との接触圧力は精度良く決まる。
【0044】
ここで、金属板製カバー20は、両側の張り出し部23X1、23X2を夫々上ケース60の横側腕部62X1,62X2によって押さえられて保護されているため、更には、金属板製カバー20の合成樹脂成形部30と連結してある腕部24X1,24X2はリブ部25X1,25X2によって補強されているため、アダプタ10の取り扱い中における金属板製カバー20の反り等の変形は起きない。このことによっても、マイクロメモリカード1をアダプタ10に装着したときの端子2とマイクロメモリカード対応端子14との接触圧力は精度良く決まる。
【0045】
また、図17に示すように、マイクロメモリカード1の欠落部5aが係止部26の凸部26bと対応する箇所に到り、凸部26bが欠落部5aに嵌合して、マイクロメモリカード1は係止部26によって係止される。
【0046】
なお、組み立てたアダプタ10同士間において隙間40の寸法Aは精度良く定まっているため、組み立てたメモリカード用アダプタ同士間における、マイクロメモリカード1をマイクロメモリカード用収容部70に収容したときの端子2とマイクロメモリカード対応端子14との間の接触圧力のばらつきは殆ど無い。
[装着した後の状態]
ここで、マイクロメモリカード対応端子14の弾性力によってZ1方向に押し上げられているマイクロメモリカード1の上面3を合成樹脂製の板部で支えた場合には、この合成樹脂製の板部の厚さを0.1mm程度と薄くせざるをえないこともあって、外部から高い熱が加わった場合に合成樹脂製の板部が上方に凸となるように変形して、端子2とマイクロメモリカード対応端子14との接触圧力が低下してしまう。しかし、本実施例では、マイクロメモリカード1の上面3を支えているのは、金属板製カバー20であり、且つ、この金属板製カバー20は合成樹脂成形部30にインサート成形してある構成であるため、外部から高い熱が加わった場合であっても反り等の変形は起き難い。よって、マイクロメモリカード1が装着された状態のアダプタ10を例えば日中の自動車のダッシュボード上に放置しておいたような場合であっても、端子2とマイクロメモリカード対応端子14との接触圧力はマイクロメモリカード1を装着したときの接触圧力に維持され、接触圧力が低下することは起きない。よって、マイクロメモリカード1の端子2とマイクロメモリカード対応端子14との電気的接続は安定に維持される。
【0047】
ここで、金属板製カバー20は、両側の張り出し部23X1、23X2を夫々上ケース60の横側腕部62X1,62X2によって押さえられて保護されているため、更には、金属板製カバー20の合成樹脂成形部30と連結してある腕部24X1,24X2はリブ部25X1,25X2によって補強されているため、アダプタ10の取り扱い中における金属板製カバー20の反り等の変形は起きない。このことによっても、端子2とマイクロメモリカード対応端子14との接触圧力はマイクロメモリカード1を装着したときの接触圧力に維持され、接触圧力が低下することは起きず、マイクロメモリカード1の端子2とマイクロメモリカード対応端子14との電気的接続は安定に維持される。
【0048】
また、図17に示すように、凸部26bが欠落部5aに嵌合して、マイクロメモリカード1は係止部26によって係止されているため、例えばアダプタ10を誤って床に落として衝撃が作用した場合であっても、マイクロメモリカード1が無用にマイクロメモリカード収容部70から外に抜け出る不都合は起きにくくなっている。
【0049】
また、マイクロメモリカード収容部70は従来に比較して高い機械的強度を有しているため、アダプタ10の取り扱い中に操作者が不注意でアダプタ10を反らせるように力をかけた場合でも、マイクロメモリカード収容部70は反りにくく、よって、マイクロメモリカード1が傷むことは起きない。
【0050】
なお、マイクロメモリカード1が装着されたアダプタ10は、小型のメモリカードと同様に使用され、機器に設けてあるコネクタに装着される。機器に装着された状態で、マイクロメモリカード1は端子部材12を介して機器のコネクタと電気的に接続され、機器との間で信号の授受が行われる。また、金属板製カバー20は、グランド端子14G、13Gを経て機器のグランドと接続されて、金属板製カバー20の電位はグランドレベルとされる。
[マイクロメモリカード1のアダプタ10からの離脱]
操作者が、マイクロメモリカード1のうちアダプタ10のY2側の端の部分を手の指先で挟んで、Y2方向に強く引くことによって、凸部26aがZ1方向に押し上げられて欠落部5aから押し出されて係止が解除され、マイクロメモリカード1がアダプタ10から取り外される。
【実施例2】
【0051】
図18は本発明の実施例2になるマイクロメモリカード用アダプタ10Aを示す。このアダプタ10Aは、下ケース50A側にも図19に示す金属板部材80を設け、マイクロメモリカード収容部70Aが、金属板部材20と金属板部材80とで形成してある構成である。金属板部材80の上面は絶縁膜が形成してあり、マイクロメモリカード対応端子14と電気的に接続されないようにしてある。
【0052】
なお、本発明の構成は、外形寸法が標準のサイズのメモリカードと同じであって、小型のメモリカードが適用される、小型メモリカード用アダプタにも適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施例1になるマイクロメモリカード用アダプタをマイクロメモリカードと併せて示す斜視図である。
【図2】マイクロメモリカード用アダプタを分解して示す図である。
【図3】下ケース上にインサート成形モジュールが載せられた状態を示す斜視図である。
【図4】マイクロメモリカードを拡大して示す斜視図である。
【図5】図1中、V-V線に沿うマイクロメモリカード用アダプタの断面図である。
【図6】図5中、中央部分を拡大して示す図である。
【図7】図1中、VII-VII線に沿って断面してマイクロメモリカード収容部のマイクロメモリカード挿入口側から見た断面図である。
【図8】図1中、VIII-VIII線に沿って断面して、インサート成形モジュールのグランド端子が金属板製カバーと接触している状態を示す拡大断面図である。
【図9】図1中、IX-IX線に沿って断面して、インサート成形モジュールの係止部を拡大して示す断面図である。
【図10】インサート成形モジュールを下側より見上げた状態で示す斜視図である。
【図11】図10中の一部を拡大して示す図である。
【図12】インサート成形モジュールを示す図である。
【図13】図10中、XIII-XIII線に沿う拡大断面図である。
【図14】インサート成形モジュールを表裏反転した姿勢でそのY1側の部分を拡大して示す図である。
【図15】マイクロメモリカードがマイクロメモリカード収容部に収容された状態のマイクロメモリカードの断面図である。
【図16】図15中の中央部分を拡大して示す断面図である。
【図17】マイクロメモリカードが係止部によって係止された状態を拡大して示す断面図である。
【図18】本発明の実施例2になるマイクロメモリカード用アダプタを示す斜視図である。
【図19】図18中の下ケースの一部を構成する金属板部材を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 マイクロメモリカード用アダプタ
2 端子
3 上面
4 下面
5,6 リブ部
5a 欠落部
10,10A マイクロメモリカード用アダプタ
11 インサート成形モジュール
12 端子部材
13 小型メモリカード対応端子
14 マイクロメモリカード対応端子
13G,14G グランド端子
20 金属板製カバー
21 本体部
22X1、22X2 段部
23X1,23X2 張り出し部
24X1,24X2 腕部
25X1,25X2 リブ部
26 係止部
26a 片持ち梁部
26b 凸部
30 合成樹脂成形部
40 隙間
50 下ケース
52 凹部
53 板状部
54X1,54X2 支持部
60 上ケース
61 切り欠き開口
62X1,62X2 横側腕部
70 マイクロメモリカード収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のメモリカードより小さいサイズである第2のメモリカードが挿入されて収容される第2のメモリカード用収容部を有し、前記第2のメモリカードが前記第2のメモリカード用収容部に収容された状態で使用される、前記第1のメモリカードと同じ外形寸法を有するメモリカード用アダプタであって、
内部に、インサート成形モジュールを有する構成であり、
前記インサート成形モジュールは、
並んでいる複数の端子部材と、
金属板製カバーと、
前記複数の端子部材の一部及び前記金属板製カバーの一部がインサートされて成形してある合成樹脂成形部を有する構造であり、
前記複数の端子部材は、前記合成樹脂成形部より前記メモリカード用アダプタの先端の方向に突き出ている部分に、前記第1のメモリカードの端子に対応する第1のメモリカード対応端子を有し、前記合成樹脂成形部より上記第2のメモリカード用収容部の方向に突き出ている部分に、前記第2のメモリカードの端子に対応する第2のメモリカード対応端子を有し、
前記金属板製カバーは、前記合成樹脂成形部より上記第2のメモリカード用収容部の方向に突き出ており、
且つ、前記第2のメモリカード対応端子と前記金属板製カバーとの間に、前記第2のメモリカードが挿入される隙間が形成してある構成であるメモリカード用アダプタ。
【請求項2】
組み合わされた上ケース及び下ケースを有し、
前記金属板製カバーは、その長手方向の一端側を前記合成樹脂成形部にインサート成形されており、
前記上ケースは、前記金属板製カバーに対応した切り欠き開口を有し、且つ前記切り欠き開口の両側に横側腕部を有し、
前記金属板製カバーは、前記切り欠き開口に露出し、且つ両側の部分を前記下ケースの両側の部分と前記上ケースの前記横側腕部とによって挟まれて固定してある構成とした請求項1に記載のメモリカード用アダプタ。
【請求項3】
組み合わされた上ケース及び下ケースを有し、
前記金属板製カバーは、その長手方向の一端側を前記合成樹脂成形部にインサート成形されており、
前記上ケースは、前記金属板製カバーに対応した切り欠き開口を有し、且つ前記切り欠き開口の両側に横側腕部を有し、
前記金属板製カバーは、中央の平板状の本体部と、この本体部の両側の段部と、前記段部の端より外側に張り出ている張り出し部を有し、
前記金属板製カバーは、前記本体部が前記切り欠き開口に露出し、且つ両側の前記張り出し部を前記下ケースの両側の部分と前記上ケースの前記横側腕部とによって挟まれて固定してある構成とした請求項1に記載のメモリカード用アダプタ。
【請求項4】
前記金属板製カバーは、前記合成樹脂成形部にインサート成形される部分に、リブ部を有する構成とした請求項2又は請求項3に記載のメモリカード用アダプタ。
【請求項5】
前記インサート成形モジュールの前記並んでいる複数の端子部材は、グランド端子部材を有し、
前記グランド端子部材のうち前記第2のメモリカード用収容部の側に配されたグランド端子が前記金属板製カバーの下面と接触している構成とした請求項1に記載のメモリカード用アダプタ。
【請求項6】
前記インサート成形モジュールの前記金属板製カバーは、
その一部に、前記第2のメモリカード用収容部内に突き出ており、収容された前記第2のメモリカードを前記第2のメモリカード用収容部から抜け出さないように係止する係止部を有する請求項1に記載のメモリカード用アダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−20805(P2009−20805A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184446(P2007−184446)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】