説明

メラトニン成分及び軟骨保護剤成分を含む組成物及びキット

本明細書において、各組成物が、メラトニン成分、軟骨保護剤成分、又はその両方を含み、また各キットが、メラトニン成分及び軟骨保護剤成分を含む、組成物及びキットが開示される。組成物及びキットは、睡眠機能の回復、及び関節構造の回復又は関節機能の回復に有用である。本明細書において、更に組成物及びキットを使用する方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各組成物がメラトニン成分(melatonin component)、又は軟骨保護剤成分(chondroprotective component)、或いはその両方を含み、各キットがメラトニン成分及び軟骨保護剤成分を含む、組成物類及びキット類を目的とする。該組成物及びキットは、睡眠機能の回復、及び関節構造の回復又は関節機能の回復に有用である。本発明は、更に組成物類及びキット類を使用する方法を目的とする。
【背景技術】
【0002】
睡眠の機能の1つは、身体の維持、回復、及び修復である。睡眠を特徴付けるのは、一般に、筋肉、骨、結合組織、皮膚、及び脳を含む主要器官におけるタンパク同化活性(構成及び再構成を含む)である。この活性の1つの結果は、スタミナ、エネルギー、及び覚醒状態のような、身体的、精神的能力を含む機能の回復である。
【0003】
睡眠を持続時間とその質に関してそれぞれ誘導、改善するために用いられる補助食品、食品、薬剤、その他の製品が市販されている。その例には、メラトニン、カノコソウ及びホップのような栄養補助食品、ジフェンヒドラミン及びドキシルアミンのような市販の薬、及びアンビエン(AMBIEN)(登録商標)及びルネスタ(LUNESTA)(登録商標)のような処方薬がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これらの製品からは、いかなる睡眠の誘導及び改善を超える追加的な効果も、そのような誘導及び改善から得られる間接的な効果も得られない。他の方法で達成されるより更に大きな効果が得られるように、身体が構成及び再構成活動しやすい時に、これらの効果をより直接的に誘導させるための睡眠周期を利用することが効果的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、睡眠機能の回復、及び関節構造の回復又は関節機能の回復に有用な組成物及びキットを目的とする。
【0006】
特に、本発明は、
(a)メラトニン成分と、
(b)軟骨保護剤成分と、
を含む組成物を目的とする。
【0007】
本発明は、更に、
(a)メラトニン成分を含む組成物と、
(b)軟骨保護剤成分を含む組成物と、
を備えるキットを目的とする。
【0008】
本発明は、更に組成物及びキットを使用する方法を目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、メラトニン成分及び軟骨保護剤成分の混合物を目的としており、そのような成分は単一の組成物においてか、又はキット内の別個の組成物において混合される。組成物及びキット、並びにそれらの使用方法は、特に関節の構造と機能の改善における、睡眠の回復の効果をより直接的に誘導するために有用である。
【0010】
例えば、刊行物及び特許を包含する様々な文献が、本開示全体を通して列挙される。そのような文献は全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【0011】
様々な成分を含む製品又は成分の商標名が、本明細書で参照され得る。本発明者らは、本明細書において、特定の商標名の物質により限定されることを意図していない。
【0012】
本発明の記載において、様々な実施形態又は個々の特徴が開示される。当業者には明らかであろうが、そのような実施形態及び特徴の全ての組み合わせが可能であり、本発明の好ましい実施となることができる。
【0013】
本明細書の組成物は、本明細書に記載されるようないかなる要素を含んでもよいし、いかなる要素から本質的に成ってもよいし、又はいかなる要素から成ってもよい。
【0014】
本発明の様々な実施形態及び個々の特徴が説明され記載されているが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正が可能である。これも明らかになるであろうが、先行する開示で教示された実施形態及び特徴の全ての組み合わせが可能であり、本発明の好ましい実施となることができる。
【0015】
好ましい投与に関して、投与量レベルは典型的なヒト患者(例えば、65kgの患者)に基づいて設定される。本組成物が他の哺乳類、又は様々なヒト患者に使用される場合、投与量の修正が必要となる場合がある。患者の必要に基づいた投与量の修正は、通常の熟練者の技術範囲内である。従って、これらの投与量の範囲は例として示されるだけで、日々の投与は様々な要因に応じて調整できることが理解されよう。投与される化合物の特定の投与量と治療の期間は、相互に依存する。投与量及び治療計画はまた、使用される特定の化合物、治療の指示、化合物の有効性、患者の個人的特質(例えば、患者の体重、年齢、性別及び医学的状態のような)、及び治療計画の順守のような要因にも依存する。
【0016】
本発明は組成物及びキットを目的としており、各組成物はメラトニン成分、軟骨保護剤成分、又は両方を含み、各キットはメラトニン成分及び軟骨保護剤成分を含む。本組成物及びキットは、睡眠機能の回復、及び関節構造又は関節機能の回復に有用である。
【0017】
メラトニン成分及び軟骨保護剤成分は、以下のように記載される。これらの化合物は、組成物に一緒に使用されるか、又はキットの一部として別々の組成物に提供されてよい。特に、これらの化合物の各々が1つの組成物に存在する、実施形態に好都合な投薬が提供され、これらの化合物の各々がキットの一部として別々の組成物に存在すると、好都合な更に柔軟性のある投薬が提供される場合がある。例えば、キットのユーザーは、1日にメラトニン成分及び軟骨保護剤成分の1つだけを必要としている場合があり、従って、投与期間中の不必要な化合物の過剰な投薬を回避できることがある。
【0018】
メラトニン成分及び軟骨保護剤成分は、以下のように記載される。更に、任意の投与量の手引き、並びに任意の添加剤及び剤形が提供される。
【0019】
メラトニン成分
本キット及び組成物は、メラトニン成分を含む。本明細書で使用する時、メラトニン成分としては、メラトニン、メラトニン前駆体、メラトニン作動薬、及び内因性のメラトニンレベルを上昇させる化合物、並びにそれらの混合物が挙げられる。例えば、米国公開特許出願第2004/0044064号を参照。
【0020】
メラトニンを含むメラトニン成分は、市販されている。メラトニン前駆体、メラトニン作動薬、及びメラトニン活性に類似したその他の化合物の非限定的な例としては、N−アセチル−5−ヒドロキシトリプタミンが挙げられる。例えば、これらは、それぞれ、薬剤(メラトニン遮断剤又はメラトニン刺激剤)及び内因性のメラトニンレベルを低下又は上昇させる干渉(光又は暗さへの露出のような)に加えて、メラトニン受容体においてメラトニンと競合する化合物及びメラトニンの効果と逆の効果(メラトニン逆作動薬)をもつようにメラトニン受容体を刺激する化合物を含んでもよい。
【0021】
本明細書の一実施例において、メラトニン成分は、メラトニンである。
【0022】
本明細書の一実施例において、メラトニン成分を含む組成物には、約0.01mg〜約100mgのメラトニン成分、或いは約0.1mg〜約10mgのメラトニン成分、或いは約0.1mg〜約1mgのメラトニン成分の投与量が含まれる。通常の当事者は、内因性のメラトニン生産のサーカディアンリズムの相において所望の変化を達成するように投与量を調整するだろう。
【0023】
メラトニン成分(特にメラトニン)はほとんど全ての組織にわたって吸収され得るので、多くの投与経路が可能である。これらとしては、粘膜下、舌下、鼻孔内、眼の盲嚢、直腸、経皮、頬側、静脈内、筋肉内、及び皮下の投与経路が挙げられるが、これらに限定されない。カプセル、錠剤、坐薬、又はメラトニンを収容及び調剤できるあらゆるリザーバが含まれるが、これらに限定されない種々の投与手段が有用である。本明細書における好ましい実施形態において、メラトニン成分を含む組成物は経口投与される。
【0024】
一般に、メラトニン成分を含む組成物は、所望の睡眠開始時に相応するように投与される。一実施形態において、メラトニン成分を含む組成物は、所望の睡眠時間の1時間以内、所望の睡眠時間の少なくとも約1時間以内、所望の睡眠時間の少なくとも約4時間前、又は所望の睡眠時間の少なくとも約8時間前に投与される。持続放出性又は遅延放出性製剤の組成物は、典型的に、所望の睡眠時間の少なくとも約4時間又は少なくとも約8時間前に投与されてよい。一実施形態において、投与は、好ましくは、以下の文献に記載されている記述に従う:米国特許第5,242,941号、同第5,420,152号、同第5,591,768号、同第5,707,652号、同第5,716,978号、同第6,069,164号、同第6,423,738号、同第6,638,963号、及び同第6,794,407号、並びに米国公開特許出願第2004/0044064号及び同第2003/0008912号。
【0025】
軟骨保護剤成分
本明細書で使用される軟骨保護剤成分は、上記のように、関節の健康、骨の健康、及び/又は消炎作用を提供する任意の化合物であってよい。軟骨保護剤成分は、当該技術分野において非常に周知であり、通常の当事者は本発明に使用されるいずれかのそのような化合物を選択する能力を有している。
【0026】
理論に限定されるものではないが、軟骨保護剤成分は、生体内におけるプロテオグリカン及びコラーゲンの刺激を助ける成分として関節機能の強化に重要である。プロテオグリカンは、関節の健康に必要な、例えばコラーゲンなどを連結組織を提供する。本来、プロテオグリカンは、変性された糖類の長鎖であるグリコサミノグリカン(しばしば「GAGs」と呼ばれる)から成る。アミノ糖及びメチルサルフォニルメタンは、グリコサミノグリカン及びプロテオグリカンの構成に有用である。
【0027】
本明細書で有用な軟骨保護剤成分の非限定的な例としては、ゼラチン、軟骨、アミノ糖、グリコサミノグリカン、メチルサルフォニルメタン、メチルサルフォニルメタンの前駆体、S−アデノシルメチオニン、それらの塩類、及びそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、軟骨保護剤成分は、ゼラチン、軟骨、アミノ糖、グリコサミノグリカン、S−アデノシルメチオニン、それらの塩類、及びそれらの混合物から選択される。より好ましくは、軟骨保護剤成分は、アミノ糖、グリコサミノグリカン、S−アデノシルメチオニン、それらの塩類、及びそれらの混合物から選択される。更により好ましくは、軟骨保護剤成分は、アミノ糖、グリコサミノグリカン、それらの塩類、及びそれらの混合物から選択される。最も好ましくは、軟骨保護剤成分はアミノ糖の塩であり、特に、アミノ糖はグルコサミンである。
【0028】
これらの軟骨保護剤成分の実施例、及びその好ましい実施形態は、以下のように詳細を拡張して記載される。
【0029】
ゼラチン
一般的に知られているように、ゼラチンはコラーゲンの部分加水分解から得られるタンパク質であり、それは哺乳類における主要な構造及び連結タンパク質組織である。ゼラチンは典型的に、タンパク質約84%〜約90%、ミネラル塩約1%〜約2%、及び水約8%〜約15%(これらは非限定的な近似値である)を含有する。ゼラチンは典型的に、特定量の18種類の異なるアミノ酸を含有し、それは鎖当たりアミノ酸残基およそ1,000個を有するポリペプチド鎖を形成するように互いに結合されている。
【0030】
典型的には、ゼラチン製造のために得られるコラーゲンは、例えば牛及び豚のように、動物の骨及び皮膚からのものである。ゼラチン製造は典型的に、アルカリ前処理、それに続く温水抽出(約5の等電点を有するゼラチンを提供する)をコラーゲン物質に行うことを包含する。酸性前処理を利用してもよい(約7〜9の等電点を有するゼラチンを提供する)。
【0031】
本発明によれば、ゼラチンが本組成物に含まれる場合、本組成物内のゼラチンの単回投与量は、好ましくは約1mg〜約2000mg、より好ましくは約100mg〜約700mg、更により好ましくは約150mg〜約600mg、最も好ましくは約200mg〜約400mgである。典型的には、ゼラチンを含む組成物は、1日に約1回〜約5回、好ましくは1日に約1回〜約3回、最も好ましくは1日に1回投与され得る。
【0032】
軟骨
軟骨は、本組成物の軟骨保護剤成分として選択されてよい。当該技術分野において一般的に知られているように、軟骨は多様な哺乳類の身体の関節(並びに他の部位)に存在する強い、弾性的な組織である。軟骨はカルシウム、タンパク質、炭水化物ムコ多糖(例えば、コンドロイチン)、及びコラーゲンのうちの少なくとも1つを含む。
【0033】
本明細書の使用に特に好ましいのは子牛軟骨及びさめ軟骨である。子牛軟骨は主として牛の気管から誘導され(子牛気管軟骨、又はBTCとしても既知である)、それは、さめ軟骨と構造が似ている。さめ軟骨は広く使用される軟骨源であり、さめの骨格は主に骨よりむしろ軟骨から成っている。
【0034】
本発明によれば、軟骨が本組成物に含まれる場合、本組成物内の軟骨の単回投与量は、好ましくは約1mg〜約2000mg、より好ましくは約100mg〜約700mg、更により好ましくは約150mg〜約600mg、及び最も好ましくは約200mg〜約400mgである。典型的には、軟骨を含む組成物は、1日に約1回〜約5回、好ましくは1日に約1回〜約3回、最も好ましくは1日に1回投与される。
【0035】
アミノ糖
1以上のアミノ糖が、本明細書において軟骨保護剤成分として選択されてよい。アミノ糖はアミン官能基で変性されている単糖成分(すなわち、ヘキソース)である。アミン官能基は遊離アミン部分であっても、又は保護されたアミン部分(例えば、N−アセチルアミン)であってもよい。好ましくは、アミノ糖はグリコサミノグリカンの前駆体であり、それは関節構成要素(例えば、コラーゲン)の構築に重要である。加えて、ある種のアミノ糖は変形性関節症において軟骨の破断を意味する酵素の活性を阻害するのに役立ち得る(例えば、マンノサミンであり、アグリカナーゼを阻害することが発見されている)。アミノ糖は当該技術分野において周知であり、多くのアミノ糖が天然に発生する。
【0036】
特に好ましいアミノ糖としては、グルコサミン、グルコサミンの塩、ガラクトサミン、ガラクトサミンの塩、マンノサミン、マンノサミンの塩、並びにN−アセチルグルコサミン及びN−アセチルガラクトサミンを含むこれらのN−アセチル誘導体が挙げられる。より好ましくは、アミノ糖としては、グルコサミン及びグルコサミンの塩、最も好ましくはグルコサミンの塩が挙げられる。特に好ましいグルコサミンの塩としては、グルコサミンサルフェート及び塩酸グルコサミンが挙げられる。グルコサミンの塩は第二成分(本明細書に以下に記載する)によって達成される生物学的利用能の利益に加えてアミノ糖に生物学的利用能を補助するのに特に好ましい。
【0037】
例として、グルコサミンは軟骨において見られるグルコサミノグリカンの製造に生体内で必要とされる構成単位(building block)を提供する。このように、グルコサミン、及び他のアミノ糖は、関節の痛みの症状を和らげるだけでなく、悪化プロセスを抑制、停止、及び/又は後退するようにも機能する。
【0038】
アミノ糖の典型的な単回投与量は、塩酸グルコサミンの分子量に基づいて、好ましくは約1mg〜約5000mg、より好ましくは約100mg〜約3600mg、更により好ましくは約150mg〜約2200mg、及び最も好ましくは約250mg〜約1900mgである。例えば、塩酸グルコサミンの特に好ましい投与量は、約1800mgであり、それはグルコサミン約1480mgに換算される。全ての他のアミノ糖は、塩酸グルコサミンの分子量に基づいて同様に投与されてよい。典型的には、アミノ糖を含む組成物は、1日に約1回〜約5回、好ましくは1日に約1回〜約3回、最も好ましくは1日に1回投与される。
【0039】
グリコサミノグリカン
1以上のグリコサミノグリカンは、本明細書における軟骨保護剤成分として利用されてよい。グリコサミノグリカンは一般的に、GAGsとして既知であり、並びに関節構造、例えばコラーゲンの前駆体である。グリコサミノグリカンも骨の治療に重要である場合がある。
【0040】
好適なグリコサミノグリカンは、通常の当事者には周知である。好ましいグリコサミノグリカンとしては、コンドロイチン、ヒアルロン酸、ケラタン、ヘパリン、及びダーマチン(dermatin)、並びにこれらの塩が挙げられる。例えば、コンドロイチン硫酸は、特に好ましいコンドロイチン塩である。アミノ糖のように、グリコサミノグリカンの塩は、特に本明細書の使用に好ましい。
【0041】
例のように、コンドロイチンは構造を提供し、軟骨を通して多様な分子が輸送させる(軟骨に血液は供給されないので、これは重要である)コンドロイチンは、軟骨の主要な構成要素であり、ムコ多糖の鎖の繰り返しを含有する。
【0042】
グリコサミノグリカンの典型的な単回投与量は、コンドロイチンの分子量に基づいて、好ましくは約1mg〜約10グラム、より好ましくは約100mg〜約5グラム、更により好ましくは約150mg〜約1000mg、及び最も好ましくは約250mg〜約800mgである。全ての他のグリコサミノグリカンは、コンドロイチンの分子量に基づいて、同様に投与されてよい。典型的には、グリコサミノグリカンを含む組成物は、1日に約1回〜約5回、好ましくは1日に約1回〜約3回、最も好ましくは1日に1回投与される。
【0043】
メチルサルフォニルメタン及びメチルサルフォニルメタンの前駆体
本明細書における軟骨保護剤成分はまた、メチルスルホニルメタン又はその前駆体であってもよい。本明細書で使用する時、用語「この前駆体」とは、哺乳類系において生体内でメチルサルフォニルメタンに転化される化合物を意味する。メチルサルフォニルメタン及びこの前駆体は生体内において及び天然に、例えば加工していない食品に共通して見られる配合剤である。理論に限定されるものではないが、メチルサルフォニルメタン及びこの前駆体に存在する硫黄部分は、関節において連結組織を保持するのに必要な二硫化結合(「タイバー」又は「架橋結合」として一般に既知である)を提供すると考えられている。
【0044】
加工されていない食品はメチルサルフォニルメタン及びこの前駆体を含有するが、従来の食品加工及び調製は食品からこれらの化合物を損失させる原因となる。それゆえに、一般的に摂取された食品はこれらの化合物が不足となることもある。これらの点において、メチルサルフォニルメタンは通常の食品加工及び調製の際、典型的には部分的に又は全体的に失われるビタミン及びミネラルと似ている。それゆえに、本組成物にメチルサルフォニルメタン又はその前駆体を含むことは、本発明の重要な実施形態である。
【0045】
メチルサルフォニルメタンの前駆体の非限定的な例としては、メチオニン及び硫化メチルが挙げられる。例えば、1989年9月5日に発行された米国特許第4,863,748号(ハーシュラー(Herschler)ら)を参照のこと。メチルサルフォニルメタンの前駆体は、関節の利益(変形性関節症及びリウマチ様関節炎の軽減など)、並びに消炎作用を含む多様な健康上の利益に関連する。
【0046】
本発明によれば、メタンスルホニルメタンが本組成物に含まれる場合、組成物内のメタンスルホニルメタンの単回投与量は、好ましくは約0.01mg〜約2000mg、より好ましくは約0.01mg〜約500mg、更により好ましくは約1mg〜約200mg、及び最も好ましくは約1mg〜約100mgである。メチルサルフォニルメタンの前駆体は、メチルサルフォニルメタンと比較して前駆体の分子量に基づいて同様に投与されてよい。典型的には、メチルサルフォニルメタンを含む組成物、又はこの前駆体は、1日約1回〜約5回、好ましくは1日約1回〜約3回、最も好ましくは1日1回投与される。
【0047】
S−アデノシルメチオニン
S−アデノシルメチオニンはSAM−eとして一般的に既知であり、全てではなくても、ほとんどの生体細胞に存在する化合物である。理論に限定されるわけではないが、SAM−eは必須アミノ酸メチオニンとアデノシン三リン酸として既知のエネルギー分子(一般的にATPとして既知である)との反応によって生成される。SAM−eは軟骨の成分を製造し、関節機能を修正、修復及び維持する。SAM−eは生体内においてアミノ酸メチオニンから製造され、及び肉類、大豆、卵、種、及びヒラマメなどの食物源に通常存在する。
【0048】
本発明によれば、SAM−eが本組成物に含まれる場合、組成物内のSAM−eの単回投与量は、好ましくは約1mg〜約2000mg、より好ましくは約100mg〜約700mg、更により好ましくは約150mg〜約600mg、及び最も好ましくは約200mg〜約400mgである。典型的には、SAM−eを含む組成物は、1日に約1回〜約5回、好ましくは1日に約1回〜約3回、最も好ましくは1日に1回投与される。
【0049】
本発明のキット
本明細書の一実施形態において、本キットは、メラトニン成分を含む組成物及び軟骨保護剤成分を含む組成物を含む。本実施形態において、該キットは、少なくとも2つの別個の組成物、すなわち、組成的に異なる少なくとも2つの組成物を含む。
【0050】
本実施形態において、該キットは、特に、組成物の投与時間に関する異なる要求に対して有利である。例えば、哺乳類の所望の睡眠時間との関連で、例えば、所望の睡眠時間の約1時間以内、少なくとも約1時間、少なくとも約4時間、又は少なくとも約8時間前に、メラトニン組成物を含む組成物を投与することが有益である場合がある。そのような投与の時間は、組成物が即時放出性、持続放出性、若しくは遅延放出性製剤として調合されるかどうかといった様々な要因に依存するか、又は、哺乳類の特定の睡眠の回復の必要性に依存するだろう。一方では、軟骨保護剤成分を含む組成物の投与の時間はそれほど重要ではない場合があり、従って、この組成物は、例えば、哺乳類に都合のいい任意の時間に投与されてよい。もちろん、本発明は、哺乳類に特に都合がいいように、これらの組成物の両方を同時に投与することを十分に考慮しているが、キットによって、容易に柔軟性が与えられ、それにより治療計画の順守が強化されるようになる。
【0051】
本明細書のキットは、哺乳類に最も都合のいいような任意の方法で方法でパッケージ化されてよい。例えば、該キットは、各ブリスターパック(blister pack)がメラトニン成分を含む組成物及び軟骨保護剤成分を含む組成物の1日の投与量を包含するような複数のブリスターパックを提供し得る。この例において、組成物はカプセル又は錠剤として調合され、各ブリスターパックは1日の投与の頻度に応じて、各タイプの組成物の1つ以上を包含してよい。個別組成物の複数の投与を提示する毎週、毎月、又は他のタイプのキットが提供されてよい。
【0052】
使用方法
本発明の方法は、睡眠機能の回復の誘導、関節機能の回復の誘導、関節構造の回復の誘導、及びそれらの組み合わせを含む、様々な健康上の利益を提供するために、本発明の組成物を経口的に(すなわち、摂取によって)哺乳類、好ましくはヒトに投与することを含む。本発明の組成物は最も好ましくは、主に睡眠機能の回復を望み、更に休息睡眠の間に哺乳類の身体の回復作用を利用すると共に関節の機能又は構造の回復を誘導することによってこの効果を補足することを望む消費者によって摂取される。組成物はまた、好ましくは関節及び/骨の機能不全を経験している消費者又は現在の関節及び/又は骨機能の維持(すなわち予防的使用)を望む者によって摂取される。本発明の組成物はまた、通常の栄養必要物に対する栄養補助食品として摂取されてもよい。投与の頻度は限定されないが、そのような投与は典型的には少なくとも週に1回、より好ましくは少なくとも週に3回、及び最も好ましくは少なくとも1日に1回である。少なくともメラトニン成分を含む組成物の投与は、睡眠機能の回復が必要な度合に影響される。
【0053】
本明細書で使用する時、「睡眠機能の回復」とは、全てのサーカディアンリズムのずれによる影響、時差ボケ、冬期うつ病、時差勤務関連の失調症(shift work-related desynchronies)、睡眠位相障害(sleep phase disorders)、並びに他の睡眠障害の緩和、睡眠の質の改善、睡眠持続時間の改善、及びそれらの組み合わせを指す。
【0054】
本明細書で使用する時、「関節機能の回復」とは、例えば痛み、凝りなどのような関節に関連するあらゆる症状の緩和を指す。本明細書で使用する時、「関節構造の回復」とは、関節又は軟骨又はコラーゲン組織のような周囲の構造の修復或いは維持を指す。
【0055】
本明細書で使用する時、哺乳動物(好ましくはヒト)に関連する用語「経口投与」とは、哺乳動物が本発明の1つ以上の組成物を(好ましくは、本明細書に記載する1つ以上の健康上の利益を提供するために)摂取する、又は摂取するよう指導されることを意味する。一実施形態において、組成物は、錠剤、カプセル、食品又は飲料組成物として調合される。哺乳類が1つ以上の組成物を摂取するように指導される場合、そのような指導は、これらに限定されるものではないが、組成物の使用が、睡眠機能の回復、関節機能の回復の誘導、関節構造の回復の誘導、及びそれらの組み合わせを含む1つ以上の一般的な健康上の利益及び/又は一般的な生理学的利益を提供してもよく、並びに/或いは提供することを、ユーザーに指示及び/又は知らせるものであってよい。例えば、そのような指導は、口頭指導(例:例えば、医師、保健専門家、専門販売員、又は協会による口頭での指示、及び/又はラジオやテレビ媒体(即ち、広告)を通じて)、又は書面での指導(例:例えば、医師又は他の保健専門家(例:手書きメモ)、専門販売員、又は協会(例:例えば、広告用チラシ、パンフレット、又はその他教育的備品を通じて)による書面指示を通じて)、文字媒体(例:インターネット、電子メール、その他コンピュータ関連媒体)、及び/又は本組成物に関連する包装(例:本組成物を収容する包装上に存在するラベル)であってよい。本明細書で使用する時、「書面の」とは、言葉、絵、記号、及び/又はその他の視覚的記述子によることを意味する。そのような指導は、本明細書で使用する、例えば「睡眠」、「回復」、「関節」、「骨」、「ヒト」、又は「哺乳類」といった実際の語を使用する必要はなく、むしろそれと同一又は類似の意味を伝達する言葉、絵、記号等の使用が本発明の範囲内で意図される。
【0056】
メラトニンは、ほとんど全ての組織にわたって吸収されるようなので、多くの投与経路が可能である。これらは、粘膜下、舌下、鼻孔内、眼の盲嚢、直腸、経皮、頬側、静脈内、筋肉内、及び皮下の投与経路を含むが、これらに限定されない。カプセル、錠剤、坐薬、又はメラトニンを収容及び調剤できるあらゆるリザーバを含むがこれら限定されない、種々の投与手段が有用である。本明細書における好ましい実施形態において、メラトニンは、経口投与される。
【0057】
本明細書における組成物は、例えば、即時放出性又は持続放出性製剤として調合されてよい。一実施形態において、メラトニンを含有する組成物は、即時放出性製剤である。別の実施形態において、メラトニンを含有する組成物は、(メラトニンが設定された時間にわたって連続的に放出されるような)持続放出性製剤である。更に別の実施形態において、メラトニンを含有する組成物は、(メラトニンが投与後の一定時間後に放出されるような)遅延放出性製剤である。本発明がキットとして提供される場合、軟骨保護剤成分を含有する組成物は、メラトニンを含有する組成物が持続放出性又は遅延放出性製剤として調合される場合でも、例えば即時放出性組成物として調合されてよい。
【0058】
更に、本発明の方法は、メラトニンを哺乳類に投与するタイミングに関する。哺乳類におけるメラトニンのタイミングは、上記のように、哺乳類のサーカディアンリズムの特定の位相変化(位相前進又は位相後退)という結果を生じる。
【実施例】
【0059】
以下は従来の方法を使用して調製される本組成物の非限定的な実施例である。以下の実施例は、本発明を例示するために提供するものであり、いかなる方法でも本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【0060】
(実施例1)
7日分の使用を意図するブリスターパックを備えるキットが調製される。ブリスターパックは、メラトニン成分を含む7つの組成物及び軟骨保護剤成分を含む7つの組成物を包含する。全ての組成物は、錠剤製剤である。
【0061】
メラトニン成分を含む組成物は、持続放出性製剤であり、示された量の以下の成分を包含する。
【表1】

【0062】
軟骨保護剤成分を含む組成物は、以下を包含する:
【表2】

【0063】
睡眠機能の回復が必要で関節の痛みを有するヒトが、7日間にわたって毎日、メラトニン成分を含む組成物の錠剤1錠と軟骨保護剤成分を含む組成物の錠剤1錠とを摂取する。この特定のヒトの所望の睡眠時間である午後11時の約4時間前に、ヒトはメラトニン成分を含む組成物を摂取する。ヒトは、投与計画を通じて柔軟に、1日の都合のいい時にいつでも、軟骨保護剤成分を含む組成物を摂取する。ヒトは、追加キットを得て、無期限にわたり毎日組成物を投与される。
【0064】
(実施例2)
メラトニン成分を含む組成物が遅延放出性製剤である点を除いて、キットは実施例1のように調合される。メラトニン成分を含む組成物は、メタアクリル酸コポリマー及びシメチコン混合物で腸溶的にコーティングされた錠剤製剤である。コーティングは、以下概略のように処方される:
【表3】

【0065】
睡眠機能の回復が必要で関節の痛みを有するヒトが、7日間にわたって毎日、メラトニン成分を含む組成物の錠剤1錠と軟骨保護剤成分を含む組成物の錠剤1錠とを摂取する。この特定のヒトの所望の睡眠時間である午後11時の約8時間前に、ヒトはメラトニン成分を含む組成物を摂取する。ヒトは、投与計画を通じて柔軟に、1日の都合のよい時にいつでも、軟骨保護剤成分を含む組成物を摂取する。ヒトは、追加キットを得て、無期限にわたり毎日組成物を投与される。
【0066】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に狭義に限定されるものとして理解されるべきでない。それよりむしろ、特に指定されない限り、そのような各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図したものである。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図したものである。
【0067】
「発明を実施するための最良の形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0068】
本発明の特定の実施形態を例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。従って、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)メラトニン成分と、
(b)軟骨保護剤成分と、
を含む組成物。
【請求項2】
前記メラトニン成分がメラトニンであり;前記軟骨保護剤成分が、ゼラチン、軟骨、アミノ糖、グリコサミノグリカン、メチルサルフォニルメタン、メチルサルフォニルメタンの前駆体、S−アデノシルメチオニン、それらの塩類、及びそれらの混合物からなる群から選択され;前記軟骨保護剤成分が、グルコサミン、その塩類、及びそれらの混合物からなる群から選択され;0.01mg〜100mgのメラトニンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1mg〜5000mgの軟骨保護剤成分を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
錠剤及びカプセルからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
a.メラトニン成分を含む組成物と、
b.軟骨保護剤成分を含む組成物と、
を含む、キット。
【請求項6】
前記メラトニン成分がメラトニンであり;前記軟骨保護剤成分が、ゼラチン、軟骨、アミノ糖、グリコサミノグリカン、メチルサルフォニルメタン、メチルサルフォニルメタンの前駆体、S−アデノシルメチオニン、それらの塩類、及びそれらの混合物からなる群から選択され;前記軟骨保護剤成分は、グルコサミン、その塩類、及びそれらの混合物からなる群から選択され;0.01mg〜100mgのメラトニンを含む、請求項5に記載のキット。
【請求項7】
軟骨保護剤成分を含む組成物が、1mg〜5000mgの軟骨保護剤成分を含む、請求項5又は6に記載のキット。
【請求項8】
各組成物が、錠剤及びカプセルからなる群から独立して選択される、請求項5、6、又は7のいずれか一項に記載のキット。
【請求項9】
睡眠機能の回復の誘導、関節機能の回復の誘導、関節構造の回復の誘導、及びそれらの組み合わせから選択される方法であって、それらを必要とする哺乳類に請求項1に記載の組成物を投与する工程を含む、方法。
【請求項10】
前記投与が経口である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、哺乳類の所望の睡眠時間の少なくとも4時間前、好ましくは哺乳類の所望の睡眠時間の少なくとも8時間前に投与される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が持続放出性製剤である、請求項9、10、又は11のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2009−539967(P2009−539967A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514979(P2009−514979)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【国際出願番号】PCT/IB2007/052437
【国際公開番号】WO2007/148307
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】