説明

メロン処理装置

【課題】メロンをトレイに載せて搬送する際に、簡単に果柄を一定方向に向けることができるメロン処理装置を提供すること。
【解決手段】メロンAを搬送コンベア2上に設置されたトレイ1に載せて、メロンAの品質を測定する品質測定装置、及び、測定した品質をメロンAの表面に表示する表示装置を経由して搬送し、搬送コンベア2の表面に多数の突起13を搬送方向に沿って設け、トレイ1の下面に搬送コンベア2の突起13と嵌合する溝19を全長に亘って形成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メロン処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
収穫されたメロンは、選果処理場に送られ、ここで糖度、傷の有無、重量等の品質が測定され、判定された品質に基づいて等級及び階級ごとに箱詰めされて出荷される。
従来、入荷されたメロン等の農水産物を生産者と対応する番号の受け体に載置し、コンベアによりライン上を移送し、移送途中で自動的に糖度、熟度、色、傷の有無、重量、大きさ等の品質を判定すると共に、品質ごとに仕分けして箱詰めする処理設備が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、選果処理場から出荷されるメロンの表面には、ラベルを貼付するか、直接印字して産地、等級、階級等を表示する。しかし、選果処理されるメロンには横に張り出した果柄がついており、果柄がばらばらな方向を向いていると、果柄が邪魔になって印字装置やラベル貼付装置をメロンの表面に接触させることができないことがある。
また、選果したメロンを箱詰めする際に、人手によらず吸盤で持ち上げて箱内へ移す場合にも、果柄が邪魔になって吸盤でメロンを吸着できない虞がある。
選果処理装置の入口において、メロンをコンベア上のトレイに載せる際に、人手により果柄を一定の向きに揃えても、大量のメロンを処理する装置では、搬送スピードをコントロールするためにメロンを一定方向に向けて搬送できない場合が多く、途中で果柄の向きが変わってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−18149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、メロンをトレイに載せて搬送する際に、簡単に果柄を一定方向に向けることができるメロン処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、メロンを搬送コンベア上に設置されたトレイに載せて、メロンの品質を測定する品質測定装置、及び、該品質測定装置が測定した品質を前記メロンの表面に表示する表示装置を経由して搬送するメロン処理装置に関し、前記搬送コンベアの表面に多数の突起を搬送方向に沿って設け、前記トレイの下面に前記搬送コンベアの突起と嵌合する溝を全長に亘って形成してある。
前記搬送コンベアの側方に、摺動面が前記トレイの側面を擦る摺擦コンベアを平行に配設しても良い。
前記搬送コンベアの末端部に、前記トレイに載せて搬送されたメロンを箱内に収納する箱詰め部を設置しても良い。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明によれば、搬送トレイの突起とトレイの溝とを嵌合させることにより、トレイが搬送方向に対して一定方向を向くので、トレイ上にメロンをその果柄を一定方向に向けて載せるだけでメロンの搬送方向に対する向きを揃えることができ、この結果、メロン表面への品質表示、メロン吸着等の処理を行なう際に、装置のメロンに対する接触部分を果柄とぶつからない位置に配置しておくことにより、全てのメロンに対して果柄に邪魔されずにスムーズに処理することができる。
請求項2に係る発明によれば、摺擦コンベアがトレイの側面を擦って、トレイの溝と搬送コンベアの突起とが嵌合して位置決めされるまで回動させるので、トレイの搬送コンベアに対する位置合わせが容易となる。
請求項3に係る発明によれば、メロンが果柄を一定方向に向けて箱詰め部まで搬送されるので、吸盤でメロンを吸着して箱詰めする際に、果柄が吸盤をメロン表面に接触させる邪魔にならず、メロンが一定方向を向けて箱内に収納される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例を示すメロン処理装置の平面図である。
【図2】本発明の実施例を示すメロン処理装置の要部断面図である。
【図3】本発明の実施例に係るトレイの断面図である。
【図4】本発明の実施例に係るトレイの底面図である。
【図5】本発明の実施例に係るトレイの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明のメロン処理装置は、収穫されたメロンを選果処理する装置であって、図1に示すように、トレイ1に載せたメロンを搬送する搬送コンベア2と、メロンの搬送途中に設置された品質測定装置3及び印字装置4とを備える。
搬送コンベア2は、第1搬送コンベア2a、第2搬送コンベア2b、第3搬送コンベア2c及び第4搬送コンベア2dから成り、メロン処理装置の入口部には複数の第1搬送コンベア2aが平行に配置されている。また、第1搬送コンベア2aには空のトレイ1がそれぞれトレイ供給コンベア5によって供給される。
【0010】
第1搬送コンベア2aの下流側にはそれぞれトレイプールコンベア6が設置され、各トレイプールコンベア6の末端はトレイプールコンベア6と交差する第2搬送コンベア2bに接続される。
なお、トレイプールコンベア6の末端部には、トレイプールコンベア6上のトレイ1を整列させる整列板20が設置される。
第2搬送コンベア2bの末端部は、これと平行で逆方向に移動する第3搬送コンベア2cに接続される。
【0011】
第3搬送コンベア2cの途中には品質測定装置3及び印字装置4が設置され、第3搬送コンベア2cの末端部には、これより高速の第4搬送コンベア2dが接続される。
また、第4搬送コンベア2dには、それぞれ低速な品質別プールコンベア7を介して、トレイ1に載せられたメロンを品質ごとに箱詰めする複数の箱詰め部8が接続される。
箱詰めされたメロンは、さらに封函コンベア21に載せられ、バーコードリーダ9、ラベル印字装置10、ラベル貼り付け装置11、及び、自動封函機12を経由して搬出される。
【0012】
品質測定装置3は、メロンを透過する光によって内部品質を測定する内部品位センサ、メロン表面の傷の有無、色、形等を測定する画像処理装置、及びメロンの重量を測定する計量機からなる。
印字装置4は、品質測定装置3で測定した品質に対応するコードをメロンの表面に表示する表示装置であって、インクジェットプリンタ等より成り、品質測定装置3の下流側に設置される。なお、印字装置4が設置された部分において、第2搬送コンベア2bは二つに分岐し、分岐した各経路にそれぞれ印字装置4が設置されている。
【0013】
図2に示すように、搬送コンベア2の表面の中心線上には多数の突起13が搬送方向に沿って設けられる。
また、搬送コンベア2の側方には、搬送コンベア2よりも低速の摺擦コンベア14がその摺動面を搬送コンベア2に向けて平行に配設されている。なお、摺擦コンベア14は、搬送コンベア2の全長に亘って設置する必要は無く、搬送コンベア2上にトレイ1が供給される部分の近傍のみに設置すればよい。
【0014】
図3〜図5に示すように、トレイ1は、平面視円形で上面が開口した中空の箱状をなす。トレイ1の底部中心には透孔15が形成され、トレイ1の上面開口部から底部に向かって、上方ほど径大の略円錐状のカバー弾性体16が嵌合されている。カバー弾性体16は上下に貫通しており、カバー弾性体6の内部においてトレイ1の底には、メロンを受ける蛇腹状の外光遮断筒17が設置されている。
また、トレイ1の外殻及びカバー弾性体の側面両側部には、品質測定装置3の照射する測定光を通過させるための開口部18が形成されている。
トレイ1の下面には、搬送コンベア2の突起13と嵌合する溝19が径方向全長に亘って形成されている。この溝19は両側の開口部18を結ぶ直径と交差するようになっている。
【0015】
搬送コンベア2の上にトレイ1を載せた時、図2の(イ)に示すように、突起13と溝19の位置が合わないと、トレイ1は突起13の上に乗って不安定な状態にある。また、搬送コンベア2の側方に配置された摺擦コンベア14の摺動面がトレイ1の側面を擦るため、不安定なトレイ1が搬送コンベア2上で回転する。
トレイ1が回転した結果、図2の(ロ)に示すように、突起13と溝19とが合致すると、突起13と溝19が嵌合してトレイ1は搬送コンベア2の表面まで落下し、トレイ1が搬送方向に対して位置決めされて回転が規制される。この時、メロンAをその果柄Bが搬送方向と一致するよう載せると、メロンAは、果柄Bが溝19と平行になるようトレイ1に対して位置決めされる。
【0016】
このメロン処理装置は、次のようにしてメロンAを選果処理する。
第1搬送コンベア2a上にトレイ供給コンベア5から供給された空のトレイ1が反双方向に対して位置決めされる。第1搬送コンベア2a上に位置決めされて設置されたトレイ1のカバー弾性体16上に、人手によってメロンAを果柄Bが溝19と平行になるように載せる。
なお、トレイ1はメロンAの生産者ごとに番号が決まっており、メロンAは生産者と対応する番号のトレイ1に載せられる。
【0017】
メロンAが載置されたトレイ1は第1搬送コンベア2aからトレイプールコンベア6に移送されるが、トレイプールコンベア6ではトレイ1は整列されずに混じり合い、その向きもばらばらになる。
トレイプールコンベア6から整列板20を通して第2搬送コンベア2bに送り出されたトレイ1は、一列に整列するが向きは一定方向を向いていない。しかし、第2搬送コンベア2bの突起13とトレイ1の溝19とが嵌合することにより、トレイ1が一定方向に向き、トレイ1上に載置されたメロンAの果柄Bは第2搬送コンベア2bの搬送方向と平行になる。
そして、トレイ1は向きを変えずに第3搬送コンベア2c上に移動する。
【0018】
第3搬送コンベア2cで搬送される途中で、品質測定装置3によりメロンAの内部品位、外観、重量等の品質が測定される。メロンAの内部品位(糖度、熟度)を測定するには、側方からトレイ1の開口部18を通してメロンAに光を照射し、トレイ1の透孔の下方に設置された受光部で透過光を検出し、メロンAの内部品位を示す透過光データを得る。 なお、測定結果に影響を与える外光は、メロンAの下部表面に接触する外光遮断筒17で遮られ、受光部では検出しにくいようになっている。また、側方から照射された光は下方の受光部で検出されるので、光を直径に沿って透過させるよりの、メロンAの大きさの違いによる誤差が少なくて済む。
その後、印字装置4により測定された品質に対応するコードがメロンAの表面に印字される。この時、果柄Bは一定方向(第2搬送コンベア2bの搬送方向と平行な方向)を向いているので、印字装置4がメロンAの表面に接触する際に邪魔にならない。
【0019】
第3搬送コンベア2cから第4搬送コンベア2dに送られたメロンAは、果柄Bを反双方向に対して一定方向に向けたまま搬送され、品質ごとに対応する品質別プールコンベア7上に押し出される。
そして、トレイ1に載せられたメロンAが品質別プールコンベア7の末端に達すると、箱詰め部8において人手により台上の箱内へ収納される。
【0020】
箱詰めされたメロンAは封函コンベア21に載せられ、バーコードリーダ9、ラベル印字装置10、ラベル貼り付け装置11、及び、自動封函機12を経由して搬送される。
バーコードリーダ9は、箱内のメロンAの表面に表示されたコードを読み取り、ラベル印字装置10は読み取ったコードをラベルに印字し、ラベル貼り付け装置11は印字されたラベルを箱の表面に貼り付け、自動封函機12はメロンAの入った箱を閉じて封鎖する。
また、果柄Bを一定方向に向けて品質別プールコンベア7で搬送されたメロンAは、一定方向で箱詰めされ、向きを変えずに封函コンベア21に載せられるので、バーコードリーダ9でメロンAの表面の表示を読み取る際に果柄Bが邪魔にならない。
【0021】
なお、品質を表示したラベルをメロン表面に貼り付けることもできるが、本実施例のように印字装置4で直接メロンAの表面に品質を印字すると、剥がれる心配がない。
また、箱詰め部8において、トレイ1上のメロンAを吸盤で吸着して自動的に箱内へ移し変えてもよい。この場合、第4搬送コンベア2dで果柄Bを一定方向に向けて搬送されたメロンAは、向きを変えずに品質別プールコンベア7上に押し出されるので、吸盤は果柄Bが接触の邪魔にならない位置に設置する。
【符号の説明】
【0022】
A メロン
B 果柄
1 トレイ
2 搬送コンベア
2a 第1搬送コンベア
2b 第2搬送コンベア
2c 第3搬送コンベア
2d 第4搬送コンベア
3 品質測定装置
4 印字装置
5 トレイ供給コンベア
6 トレイプールコンベア
7 品質別プールコンベア
8 箱詰め部
9 バーコードリーダ
10 ラベル印字装置
11 ラベル貼り付け装置
12 自動封函機
13 突起
14 摺擦コンベア
15 透孔
16 カバー弾性体
17 外光遮断筒
18 開口部
19 溝
20 整列板
21 封函コンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メロンを搬送コンベア上に設置されたトレイに載せて、メロンの品質を測定する品質測定装置、及び、該品質測定装置が測定した品質を前記メロンの表面に表示する表示装置を経由して搬送するメロン処理装置において、前記搬送コンベアの表面に多数の突起を搬送方向に沿って設け、前記トレイの下面に前記搬送コンベアの突起と嵌合する溝を全長に亘って形成してあることを特徴としたメロン処理装置。
【請求項2】
前記搬送コンベアの側方に、摺動面が前記トレイの側面を擦る摺擦コンベアを平行に配設してある請求項1に記載のメロン処理装置。
【請求項3】
前記搬送コンベアの末端部に、前記トレイに載せて搬送されたメロンを箱内に収納する箱詰め部を設置してある請求項1又は2に記載のメロン処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−264372(P2010−264372A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117181(P2009−117181)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000163501)近江度量衡株式会社 (7)
【Fターム(参考)】