メンテナンス装置及び画像形成装置
【課題】空吐出インクの廃液経路等のスペースを必要とせず、省スペース化を図ることが可能なメンテナンス装置及びこれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録ヘッド1のノズル面2をワイピングする移動可能なブレード手段11と、ブレード手段11に付着した液滴13を除去するクリーニング手段36とを有するメンテナンス装置5において、ブレード手段11と接触可能な第1の位置とノズル面2と対応する第2の位置とにクリーニング手段36を移動させるクリーニング移動手段41と、クリーニング移動手段41の作動を制御する制御手段42とを有し、ノズル面2より記録に関与しない液滴13が吐出される空吐出が行われる際に、制御手段42によりクリーニング移動手段41の作動を制御してクリーニング手段36を第2の位置に位置させ、ノズル面2より吐出される液滴13をクリーニング手段36により受け止める構成とした。
【解決手段】記録ヘッド1のノズル面2をワイピングする移動可能なブレード手段11と、ブレード手段11に付着した液滴13を除去するクリーニング手段36とを有するメンテナンス装置5において、ブレード手段11と接触可能な第1の位置とノズル面2と対応する第2の位置とにクリーニング手段36を移動させるクリーニング移動手段41と、クリーニング移動手段41の作動を制御する制御手段42とを有し、ノズル面2より記録に関与しない液滴13が吐出される空吐出が行われる際に、制御手段42によりクリーニング移動手段41の作動を制御してクリーニング手段36を第2の位置に位置させ、ノズル面2より吐出される液滴13をクリーニング手段36により受け止める構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に液滴を吐出する記録ヘッドのメンテナンス装置及びこれを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴を吐出する記録ヘッドのノズル面をメンテナンスするメンテナンス装置として、ブレードにより記録ヘッドのノズル面をワイピングするものが知られている。このメンテナンス装置には記録ヘッドの乾燥を防止するためのキャップが設けられており、長期間記録を行わない際には記録ヘッドをキャップで覆うように構成されている。しかし、長期間の放置後には記録ヘッドのノズル面近傍のインク粘度が上昇してしまい画像不良が発生してしまう。このため、長期間の放置後には記録前にインクを吐出する空吐出(予備吐出)を行い、粘度が上昇したインクを捨てて新たなインクにより記録を行う方法が一般的に用いられている。
【0003】
このような空吐出を行う記録装置として、ごみの発生やインクミストによる不良を生じさせることなくインクの空吐出を行う技術が、例えば「特許文献1」に開示されている。また、増粘インクの堆積による装置寿命の短命化を防止すべく、空吐出動作の種類に応じて空吐出先を変更して空吐出インクの分散を図る技術が、例えば「特許文献2」に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した各技術では、空吐出したインクを受容する受容部を有しており、この受容部からインクを排出するためのポンプ、廃液経路、廃液タンクが必要となり、省スペース化を図ることができないという問題点がある。
【0005】
本発明は上述した問題点を解決し、空吐出インクの廃液経路等のスペースを必要とせず、省スペース化を図ることが可能なメンテナンス装置及びこれを有する画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、記録媒体に液滴を吐出する記録ヘッドのノズル面をワイピングする移動可能なブレード手段と、前記ブレード手段と接触して前記ブレード手段に付着した液滴を除去するクリーニング手段とを有するメンテナンス装置において、前記ブレード手段と接触可能な第1の位置と前記ノズル面と対応する第2の位置とに前記クリーニング手段を移動させるクリーニング移動手段と、前記クリーニング移動手段の作動を制御する制御手段とを有し、前記ノズル面より記録に関与しない液滴が吐出される空吐出が行われる際に、前記制御手段により前記クリーニング移動手段の作動を制御して前記クリーニング手段を第2の位置に位置させ、前記ノズル面より吐出される液滴を前記クリーニング手段により受け止めることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のメンテナンス装置において、さらに前記クリーニング手段は液滴を吸収するウェブ吸収体を有することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のメンテナンス装置において、さらに前記ウェブ吸収体は移動可能であり、移動により新たな液滴吸収面が供給されることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のメンテナンス装置において、さらに前記ウェブ吸収体は前記ブレード手段と接触した部分によって前記ノズル面から吐出される液滴を吸収するように移動されることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか1つに記載のメンテナンス装置において、さらに前記ノズル面を覆う移動可能な前記キャップ手段を有し、前記制御手段は前記クリーニング移動手段の作動を制御して前記クリーニング手段を前記キャップ手段の前記ノズル面との接触部位と接触可能な位置に位置させ、前記キャップ手段に付着した液滴を除去することを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項5記載のメンテナンス装置において、さらに前記キャップ手段の前記接触部位を前記ブレード手段と同じ高さに位置させ、前記クリーニング手段が第1の位置を占めた際に前記キャップ手段及び前記ブレード手段と前記クリーニング手段とがそれぞれ接触することを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6の何れか1つに記載のメンテナンス装置を有する画像形成装置であることを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の画像形成装置において、さらに前記記録ヘッドが記録媒体の幅方向に複数配列されていることを特徴とする。
【0014】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の画像形成装置において、さらに前記クリーニング手段が前記各記録ヘッドの何れか1つと対応する大きさに構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項10記載の発明は、請求項8記載の画像形成装置において、さらに前記クリーニング手段が前記各記録ヘッドの少なくとも2つと対応する大きさに構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、各記録ヘッドから空吐出が行われる際に、制御手段によりクリーニング移動手段の作動を制御してクリーニング手段を指定された記録ヘッドのノズル面と対応する位置に位置させ、ノズル面より吐出されるインクをクリーニング手段によって受け止めるので、空吐出されたインクを受容する受容部、インクを送出するポンプ、送出されるインクの廃液経路、送出されたインクを貯留する廃液タンク等の構成を省略することができ、装置の簡易化及び小型化を達成すると共に低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に適用可能な記録ヘッドの概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に用いられる記録ヘッド及びメンテナンス装置の概略図である。
【図3】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置のメンテナンス動作を説明する概略図である。
【図4】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置のメンテナンス動作を説明する概略図である。
【図5】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置のメンテナンス動作を説明する概略図である。
【図6】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置の移動機構を説明する概略図である。
【図7】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置の移動機構を説明する概略図である。
【図8】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置の移動機構を説明する概略図である。
【図9】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置の移動機構を説明する概略図である。
【図10】本発明の一実施形態に用いられるクリーニング手段を有するメンテナンス装置を説明する概略図である。
【図11】本発明の一実施形態に用いられるクリーニング手段を有するメンテナンス装置を説明する概略図である。
【図12】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置のクリーニング動作を説明する概略図である。
【図13】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置のクリーニング動作を説明する概略図である。
【図14】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置のクリーニング動作を説明する概略図である。
【図15】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置のクリーニング動作を説明する概略図である。
【図16】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置の基本的なクリーニング動作を説明するフローチャートである。
【図17】本発明の一実施形態におけるメンテナンス動作の初期状態を示す概略正面図である。
【図18】本発明の一実施形態におけるメンテナンス装置を示す概略側面図である。
【図19】本発明の一実施形態におけるメンテナンス動作時にハウジングが退避位置を占めた状態を示す概略図である。
【図20】本発明の一実施形態におけるメンテナンス動作時にクリーニング手段が記録ヘッドと対応する位置を占め空吐出が行われている状態を示す概略図である。
【図21】本発明の一実施形態におけるメンテナンス動作時にクリーニング手段が記録ヘッドと対応する位置を占め空吐出が行われている状態を示す概略図である。
【図22】本発明の一実施形態におけるメンテナンス動作時にブレード手段が上昇してノズル面に接触してワイピングする状態を示す概略図である。
【図23】本発明の一実施形態におけるメンテナンス動作時にワイピングが完了してキャップ手段及びブレード手段に液滴が付着した状態を示す概略図である。
【図24】本発明の一実施形態におけるメンテナンス動作時にクリーニング手段によりキャップ手段及びブレード手段がクリーニングされる状態を示す概略図である。
【図25】本発明の一実施形態におけるメンテナンス動作時にクリーニング手段によりキャップ手段及びブレード手段がクリーニングされる状態を示す概略図である。
【図26(A)】本発明の一実施形態におけるメンテナンス動作を示すフローチャートである。
【図26(B)】本発明の一実施形態におけるメンテナンス動作を示すフローチャートである。
【図27】本発明の一実施形態の変形例におけるメンテナンス動作の初期状態を示す概略正面図である。
【図28】本発明の一実施形態の変形例におけるメンテナンス動作時にハウジングが退避位置を占めた状態を示す概略図である。
【図29】本発明の一実施形態の変形例におけるメンテナンス動作時にクリーニング手段が記録ヘッドと対応する位置を占め空吐出が行われている状態を示す概略図である。
【図30】本発明の一実施形態の変形例におけるメンテナンス動作時にクリーニング手段が記録ヘッドと対応する位置を占め空吐出が行われている状態を示す概略図である。
【図31】本発明の一実施形態の変形例におけるメンテナンス動作時にブレード手段が上昇してノズル面に接触してワイピングする状態を示す概略図である。
【図32】本発明の一実施形態の変形例におけるメンテナンス動作時にワイピングが完了してキャップ手段及びブレード手段に液滴が付着した状態を示す概略図である。
【図33】本発明の一実施形態の変形例におけるメンテナンス動作時にクリーニング手段によりキャップ手段及びブレード手段がクリーニングされる状態を示す概略図である。
【図34】本発明の一実施形態に用いられるクリーニング手段を有するメンテナンス装置を搭載した画像形成装置の概略図である。
【図35】本発明の一実施形態に用いられる記録ヘッドを示す概略図である。
【図36】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置を説明する概略平面図である。
【図37】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置を説明する概略正面図である。
【図38】本発明の一実施形態に用いられるクリーニング手段を有するメンテナンス装置を搭載した画像形成装置の制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、記録媒体に対して液滴を吐出して画像形成を行う画像形成装置に用いられる記録ヘッド1を示しており、記録ヘッド1の液滴吐出面であるノズル面2には液滴を吐出するノズル3が複数個並設されている。この記録ヘッド1は、図2に示すように記録ヘッドホルダ4に支持されており、記録ヘッドホルダ4は図2において左右方向及び上下方向に移動自在に構成されている。
【0019】
図2において記録ヘッドホルダ4の下方近傍には、記録ヘッド1のメンテナンスを行うメンテナンス装置5が配設されている。メンテナンス装置5は、記録ヘッド1のノズル面2を覆うキャップ6及びこれを支持するキャップホルダ7を有するキャップ手段8、ノズル面2をワイピングするブレード9及びこれを支持するブレードホルダ10を有するブレード手段11を有しており、キャップ手段8及びブレード手段11はメンテナンス装置5のハウジング12にそれぞれ図2において上下方向に移動可能に支持されている。またキャップ6の下部には、記録ヘッド1から吐出された液滴を吸引する図示しない吸引手段が設けられている。
【0020】
次に、このメンテナンス装置5を用いた記録ヘッド1のメンテナンス動作について説明する。先ず、図3に示すように記録ヘッドホルダ4がメンテナンス装置5に接近すると共にキャップ手段8が後述するキャップ移動手段の作動により記録ヘッド1に接近し、キャップ6により記録ヘッド1のノズル面2を覆う。そして、図示しない吸引手段が作動することにより、記録ヘッド1内の液滴や気泡等を排出してメンテナンスが行われる。本実施形態では吸引手段を使用して吸引によりメンテナンスを行う方法を示したが、吸引手段を使用せずに図示しない加圧手段を使用し、記録ヘッド1内の液滴や気泡等を排出する構成でもよい。排出された廃液はキャップ6内に排出されて吸引手段により吸引される。キャップ6には記録ヘッド1内の液滴の乾燥を防止するための保湿機能もあり、記録ヘッド1のノズル3を覆うようにノズル面2に当接してキャッピングすることで記録ヘッド1内の液滴の乾燥を防止することができる。さらに、本発明の特徴部である空吐出(予備吐出)を行うことにより記録ヘッド1内の乾燥がさらに防止される。この空吐出動作については後述する。
【0021】
図4は、吸引(加圧)動作終了後に記録ヘッド1のノズル面2に液滴13が付着している状態を示している。この状態において、ブレード手段11によりノズル面2のワイピングを行う。ここで、ノズル面2とブレード9との間にはある程度の食い込み量が必要であるため、キャップ6の上面とブレード9の上面9aとの間には高低差hが設けられている。図5は、ワイピング後の状態を示している。メンテナンス装置5のハウジング12が後述する機構により図に矢印Aで示すワイピング方向に移動され、ノズル面2に付着していた液滴13がブレード9によって拭き取られる。このとき、ブレード9にはその上面9aと払拭面9bとの双方に液滴13が付着しており、この状態で次のワイピングを行うとブレード9に付着している液滴13がノズル面2に再転移してメンテナンス不良が発生する虞がある。また、ノズル面2と当接したキャップ6の上面にも記録ヘッド1から排出された液滴13が付着しており、この状態で次のキャッピングを行うとノズル面2にキャップ痕が付着し、キャップ痕の液滴が増粘乾燥して次のメンテナンス時でのワイピングにてキャップ痕を引きずり、適正なワイピングが行えずに吐出不良が発生する虞がある。そこで、クリーニング手段によりブレード9及びキャップ6に付着した液滴13を除去する必要がある。
【0022】
図6、図7、図8は、キャップ手段8及びブレード手段11を上下方向に移動させる移動機構を説明する図である。キャップ手段8のキャップホルダ7にはカムピン14が、ブレード手段11のブレードホルダ10にはカムピン15がそれぞれ取り付けられており、各ホルダ7,10はそれぞれハウジング12に設けられた図示しないスライドレールによって図の上下方向に移動可能に支持され、バネ18によって下方に付勢されている。キャップホルダ7の下方にはカムピン14と当接するカム16が支軸16aを中心としてハウジング12に回転自在に支持されており、ブレードホルダ10の下方にはカムピン15と当接するカム17が支軸17aを中心としてハウジング12に回転自在に支持されている。支軸16aの一端にはプーリ19が、支軸17aの一端にはプーリ20がそれぞれ取り付けられており、プーリ19にはタイミングベルト21が、プーリ20にはタイミングベルト22がそれぞれ掛けられている。各タイミングベルト21,22は、2個のプーリを同軸上に有しハウジング12に回転自在に支持されたダブルプーリ23にそれぞれ掛けられており、ダブルプーリ23の支軸には図示しないウォームホイールが設けられ、このウォームホイールには正逆転可能なモータ24の出力軸に取り付けられたウォーム25が噛合している。ダブルプーリ23の内部にはワンウェイクラッチが介装されており、たとえばモータ24が正転した際にカム16が回転してキャップ手段8が上下動し、モータ24が逆転した際にカム17が回転してブレード手段11が上下動するように構成されている。モータ24はハウジング12に支持されたステッピングモータであり、パルス制御により回転制御されている。
【0023】
図9は、ハウジング12を図9に矢印Bで示すワイピング方向に移動させる移動機構を説明する図である。同図においてハウジング12には2個のスライダ26が固定されており、各スライダ26にはタイミングベルト27が固定されている。タイミングベルト27はその一端をプーリ28に掛けられており、他端は2個のプーリを同軸上に有するダブルプーリ29の一方に掛けられている。ダブルプーリ29の他方にはタイミングベルト30の一端が掛けられており、タイミングベルト30の他端は正逆転可能なモータ31の出力軸に固定されたプーリ32に掛けられている。モータ31はステッピングモータであってパルス制御により回転制御されており、モータ31が正逆転することによりハウジング12が矢印B方向に往復移動される。
【0024】
図10は、メンテナンス動作を行って図5に示す状態のように液滴13によって汚れたキャップ6及びブレード9のクリーニングを行うクリーニング手段の一例を示している。同図においてクリーニング手段33は、ガイド部34とウェブ吸収体35とを有している。ポリエチレンタレフタラート等の液滴13を吸収可能な不織布からなるウェブ吸収体35はガイド部34に沿って配設されており、ウェブ吸収体35にはブレード9の上面9a及びキャップ6をクリーニングする水平面35aと、ブレード9の払拭面9bをクリーニングする垂直面35bとが形成されている。ウェブ吸収体35の図10における奥行き方向の長さL1は、図11に示すようにキャップ6及びブレード9の長さL2よりも大きくなるように形成されており、キャップ6及びブレード9の全長を一度にクリーニング可能となるように構成されている。
【0025】
上述のクリーニング手段33によるメンテナンス動作後におけるメンテナンス装置5の基本的なクリーニング動作を図12ないし図15に示す動作図及び図16に示すフローチャートを用いて説明する。
記録ヘッド1のメンテナンスが終了した信号が図示しない制御手段に入力される(ST01)と、液滴13が付着したキャップ6及びブレード9のクリーニングに移行する。メンテナンス動作終了後、キャップ6とブレード9とは図10に示すようにほぼ同じ高さに保たれている。先ず、ブレード9の払拭面9bをクリーニングするためにモータ24が逆転してブレード9が図12に矢印Cで示すように上昇する(ST02)。次にモータ31が作動してハウジング12が図12に矢印Dで示す方向に移動され(ST03)、払拭面9bが吸収体35の垂直面35bに接触して払拭面9bに付着していた液滴13が吸収体35によって除去される。この払拭面9bと垂直面35bとが当接した状態を所定時間維持させ、この間に液滴13を吸収体35に吸収させる(ST04)。
【0026】
次に、モータ24が逆転してブレード9が図10に示す位置まで戻された後(ST05)、モータ31が作動してハウジング12がさらに矢印D方向に移動され(ST06)、キャップ6及びブレード9が吸収体35の水平面35aの下方に位置するとモータ31の作動が停止される。モータ31の停止後にモータ24が逆転し、図13に矢印Eで示すようにブレード9が上昇して(ST07)ブレード9の上面9aが水平面35aに接触する。この上面9aと水平面35aとが当接した状態を所定時間維持させ、この間に液滴13を吸収体35に吸収させる(ST08)。ここでブレード9の上昇量は、先の払拭面9bのクリーニング時よりも低くキャップ6の上面よりも高い中間地点である。所定時間が経過するとブレード9の上面9a及び払拭面9bに付着した液滴13のクリーニングが完了する。
【0027】
ブレード9のクリーニングが完了すると、モータ24が逆転してブレード9が図10に示す位置まで戻された後(ST09)、モータ24が正転して図14に矢印Fで示すようにキャップ6が上昇して(ST10)キャップ6の上面が水平面35aに接触する。この上面と水平面35aとが当接した状態を所定時間維持させ、この間に液滴13を吸収体35に吸収させる(ST11)。所定時間が経過して液滴13が吸収体35に吸収されてキャップ6のクリーニングが完了する。キャップ6のクリーニングが完了すると、モータ24が正転して図15に矢印Gで示すようにキャップ6が下降し(ST12)、キャップ6が図10に示す位置まで戻されてメンテナンス装置5のクリーニングが完了する。上述の説明ではブレード9をクリーニングした後にキャップ6をクリーニングしているが、この順に限られることはなく両者を同時にクリーニングしてもよい。
【0028】
上述した基本構成では、メンテナンス装置5のハウジング12をモータ31によってワイピング方向に移動させクリーニング手段33を固定しているが、本発明の一実施形態ではクリーニング手段にワイピング方向への移動手段を搭載した構成を採用している。図17、図18は本発明の一実施形態に用いられるクリーニング手段36を示しており、このクリーニング手段36はガイド部34を覆うように数メートルあるいは数十メートルの長尺の不織布からなるウェブ吸収体37を配置し、ウェブ吸収体37の一端側を供給ローラ38に巻成して他端側を巻取ローラ39に固着させ、巻取ローラ39をモータ40によって回転させる構成としている。
【0029】
クリーニング手段33のウェブ吸収体35では、キャップ6及びブレード9に付着した液滴13を繰り返し吸収させるとやがて吸収可能な許容量を超え、クリーニング不良及びワイピング不良等の不具合が発生してしまう。これを防止するためにクリーニングする領域のウェブ吸収体35を更新する必要があり、クリーニング手段36では巻取可能なウェブ吸収体37によって液滴13を吸収する。クリーニング手段36は、予め設定された所定回数のクリーニングを実施してウェブ吸収体37の液滴吸収許容量が一杯になったと判断されると、モータ40が作動して巻取ローラ39が図18に矢印Iで示す方向に回転し、一定量のウェブ吸収体37が巻き取られて新たなウェブ吸収体37がクリーニング領域に配置される。この構成により、次のクリーニング時には更新されたウェブ吸収体37によりクリーニングを行うことができ、常にキャップ6及びブレード9のクリーニング性を維持することができる。
【0030】
クリーニング手段36は1つのユニットとして構成されており、図示しない画像形成装置の装置本体に設けられた図示しないレール部材によって図17の左右方向に移動自在に支持されていて、図示しないモータ及びボールねじ等を有する周知の構成であるクリーニング移動手段41によって図17の左右方向に移動される。クリーニング移動手段41の作動は、メンテナンス装置5の作動を制御する制御手段42によって制御される。またハウジング12には図示しない上下動機構が設けられており、ハウジング12は図17に示すようにキャップ手段8によって記録ヘッド1をキャッピング可能となる位置と、図23に示すように記録ヘッド1とキャップ手段8との間にクリーニング手段36が介入可能となる位置との間で上下方向に移動可能に構成されている。
【0031】
クリーニング手段36によるキャップ6及びブレード9のクリーニング動作は、基本的にはメンテナンス動作後に実施される。メンテナンス動作には、上述したように記録ヘッド1内の液滴13を吸引あるいは加圧して排出してノズル面2に付着した液滴13をブレード9で拭き取るワイピング動作と、記録ヘッド1内の液滴13の乾燥を防止するために定期的に行われる空吐出(予備吐出)とがある。吸引あるいは加圧により記録ヘッド1内から液滴13が排出されたときにはキャップ6に液滴13が付着して汚れ、その後ブレード9にてノズル面2をワイピングするとブレード9の上面9a及び払拭面9bが汚れる。空吐出は、従来ではキャップ6内に行われるが、キャップ6内に空吐出インクが吐出されるとこのインクを受け止める受容部、受容部からインクを排出するためのポンプ、廃液経路、廃液タンクが必要となり、メンテナンス装置5の省スペース化を図ることができないという問題点がある。そこで本実施形態では、メンテナンス動作中の空吐出をクリーニング手段36によって受け止め、受容部、ポンプ、廃液経路、廃液タンク等を省略する構成を採用している。
【0032】
以下に、本発明におけるメンテナンス動作を図26(A)(B)に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、このメンテナンス動作中において、記録ヘッド1は記録紙に対して印字を行う記録位置、記録位置よりも上方に位置しキャップ手段8によりキャッピングされると共にブレード手段11によりワイピングされるメンテナンス位置、メンテナンス位置よりも上方に位置し空吐出を行う空吐出位置の3つの位置を占める。ハウジング12は、各キャップ手段8が各記録ヘッド1をキャッピングする位置、この位置よりも下方に移動し各キャップ手段8が各記録ヘッド1と対応する位置、各キャップ手段8が記録ヘッド1の下方より退避する退避位置の3つの位置を占める。クリーニング手段36は、各記録ヘッド1のノズル面2とそれぞれ対応する位置である4つの位置、記録ヘッド1のノズル面2より退避する退避位置の5つの位置を占める。
【0033】
画像形成動作を行っていない待機状態において、図17に示すように各記録ヘッド1はメンテナンス位置を、ハウジング12は各キャップ手段8が各記録ヘッド1と対応する位置を占め、各キャップ手段8によって各記録ヘッド1がキャッピングされており、クリーニング手段36は退避位置を占めている。この状態からジョブのスタート信号が送られる(ST01)と、制御手段42は空吐出が必要であるか否かを判断する(ST02)。この判断は、装置の放置日数や放置時間によって適宜判断される。
【0034】
ST02において空吐出が必要であると判断されると、記録ヘッド1がメンテナンス位置から空吐出位置へと上昇すると共に、各キャップ手段8が下降された後にハウジング12が下降し、さらにハウジング12が退避位置へと移動されて(ST03)図19に示す状態となる。次に制御手段42から指令が送られてクリーニング移動手段41が作動し、クリーニング手段36が指定された記録ヘッド1(本形態では最も左の記録ヘッド1)のノズル面2と対応する位置へと移動して、図20に示すように指定した記録ヘッド1からの空吐出が行われる(ST04)。記録ヘッド1から空吐出されたインクは直接ウェブ吸収体37に吸収されるため、空吐出されたインクを受容する受容部、ポンプ、廃液経路、廃液タンク等を省略することができる。空吐出が完了すると、モータ40が作動してウェブ吸収体37が所定量巻き取られ(ST05)、新たなウェブ吸収体37が次の空吐出に備えられる。
【0035】
指定された記録ヘッド1からの空吐出後、制御手段42は次に空吐出する記録ヘッド1があるか否かを判断する(ST06)。次に空吐出する記録ヘッド1があると判断されると、ST04に戻りクリーニング手段36を次の記録ヘッド1のノズル面2と対応する位置へと移動させて空吐出が行われる。空吐出後にはウェブ吸収体37が所定量巻き取られ、次の空吐出に備えられる。この動作が繰り返し行われ、図21に示すように最後の記録ヘッド1(本形態では最も右の記録ヘッド1)からの空吐出が行われると、クリーニング手段36が退避位置へと戻される(ST07)。その後、記録ヘッド1がメンテナンス位置から記録位置へと下降され(ST08)、記録開始信号が送られることにより画像形成動作が開始される(ST09)。
【0036】
ST02において空吐出が不要であると判断されると、クリーニング動作のワイピングが必要であるか否かが判断される(ST10)。ワイピングが必要であると判断されると、キャップ手段8が下降してワイパであるブレード手段11が上昇し(ST11)記録ヘッド1内のインクが加圧される(ST12)。そして上述したクリーニング動作と同様に、図22においてハウジング12を所定量右方に移動させてワイピングが行われる(ST13)。ワイピングが完了するとブレード手段11が下降すると共にハウジング12が初期位置に戻され、記録ヘッド1がメンテナンス位置から空吐出位置へと上昇し(ST14)、ハウジング12が下降されて図23に示す状態となる。
【0037】
次に、クリーニング手段36が指定されたキャップ手段8及びブレード手段11(本形態では最も左)と対応する図24に示す位置に移動され(ST15)、上述と同様にキャップ手段8及びブレード手段11を上昇させて所定時間停止させた後に下降させる(ST16)。その後、モータ40が作動してウェブ吸収体37が所定量巻き取られ(ST17)、新たなウェブ吸収体37が次のクリーニングに備えられる。指定されたキャップ手段8及びブレード手段11のクリーニング後、制御手段42は次にクリーニングするキャップ手段8及びブレード手段11があるか否かを判断する(ST18)。次にクリーニングするキャップ手段8及びブレード手段11があると判断されると、ST15に戻り図25に示すようにクリーニング手段36を次のキャップ手段8及びブレード手段11と対応する位置へと移動させてクリーニングが行われる。クリーニング後にはウェブ吸収体37が所定量巻き取られ、次のクリーニングに備えられる。この動作が繰り返し行われ、最後のキャップ手段8及びブレード手段11(本形態では最も右)のクリーニングが行われると、クリーニング手段36及びハウジング12が退避位置へと戻されて(ST19)ST08へと移行する。
【0038】
ST10においてワイピングが不要であると判断されると、キャップ手段8が下降されてハウジング12が退避位置へと戻された後(ST20)、記録ヘッド1がメンテナンス位置から記録位置へと下降され(ST21)てST09へと移行する。
【0039】
ジョブスタート後、紙間空吐出が必要であるか否かが判断され(ST22)、必要であると判断されると紙間で空吐出が行われる(ST23)。そして印字中断(ST24)後に空吐出が必要であるか否かが判断され(ST25)、必要であると判断されると記録ヘッド1が記録位置から空吐出位置へと上昇する(ST26)。そして、図20と同様にクリーニング手段36が指定された記録ヘッド1のノズル面2と対応する位置に移動されて空吐出が行われ(ST27)、空吐出後にウェブ吸収体37が所定量巻き取られて(ST28)次の空吐出に備えられる。
【0040】
指定された記録ヘッド1からの空吐出後、制御手段42は次に空吐出する記録ヘッド1があるか否かを判断する(ST29)。次に空吐出する記録ヘッド1があると判断されると、ST27に戻りクリーニング手段36を次の記録ヘッド1のノズル面2と対応する位置へと移動させて空吐出が行われる。空吐出後にはウェブ吸収体37が所定量巻き取られ、次の空吐出に備えられる。この動作が繰り返し行われ、最後の記録ヘッド1からの空吐出が行われると、クリーニング手段36が退避位置へと戻され(ST30)、記録ヘッド1が空吐出位置から記録位置へと下降され(ST31)て画像形成動作が再開される(ST32)。そして、全てのジョブが終了したか否かが判断され(ST33)、終了したと判断されると記録ヘッド1が記録位置からメンテナンス位置へと移動すると共にハウジング12が記録ヘッド1と対応する位置に移動し、キャップ手段8が上昇して図17に示す待機状態となる(ST34)。ジョブが終了していないと判断されるとST02に移行する。
【0041】
ST25において空吐出が必要でないと判断されると、ワイピングが必要であるか否かが判断される(ST35)。ワイピングが必要であると判断されると、キャップ手段8及びブレード手段11が記録ヘッド1と対応する位置へハウジング12が移動され、ブレード手段11が上昇する(ST36)。その後、記録ヘッド1内のインクが加圧され(ST37)、上述したクリーニング動作と同様に、図22においてハウジング12を所定量右方に移動させてワイピングが行われる(ST38)。ワイピングが完了するとブレード手段11が下降すると共にハウジング12が初期位置に戻され、記録ヘッド1がメンテナンス位置から空吐出位置へと上昇し(ST39)、ハウジング12が下降されて図23に示す状態となる。
【0042】
次に、クリーニング手段36が指定されたキャップ手段8及びブレード手段11と対応する位置に移動され(ST40)、上述と同様にキャップ手段8及びブレード手段11を上昇させて所定時間停止させた後に下降させる(ST41)。その後、モータ40が作動してウェブ吸収体37が所定量巻き取られ(ST42)、新たなウェブ吸収体37が次のクリーニングに備えられる。指定されたキャップ手段8及びブレード手段11のクリーニング後、制御手段42は次にクリーニングするキャップ手段8及びブレード手段11があるか否かを判断し(ST43)、次にクリーニングするキャップ手段8及びブレード手段11があると判断されると、ST40に戻りクリーニング手段36を次のキャップ手段8及びブレード手段11と対応する位置へと移動させてクリーニングが行われる。クリーニング後にはウェブ吸収体37が所定量巻き取られ、次のクリーニングに備えられる。この動作が繰り返し行われ、最後のキャップ手段8及びブレード手段11のクリーニングが行われると、クリーニング手段36及びハウジング12が退避位置へと戻されて(ST44)ST31へと移行する。ST35においてワイピングが不要であると判断されるとST33に移行する。
【0043】
上述の構成によれば、各記録ヘッド1から空吐出が行われる際に、制御手段42によりクリーニング移動手段41の作動を制御してクリーニング手段36を指定された記録ヘッド1のノズル面2と対応する位置に位置させ、ノズル面2より吐出されるインクをクリーニング手段36に設けられたウェブ吸収体37によって受け止めるので、空吐出されたインクを受容する受容部、インクを送出するポンプ、送出されるインクの廃液経路、送出されたインクを貯留する廃液タンク等の構成を省略することができ、装置の簡易化及び小型化を達成すると共に低コスト化を図ることができる。
【0044】
図21は本実施形態の変形例を示しており、2つの記録ヘッド1からの空吐出を同時に受け止めると共に、2組のキャップ手段8及びブレード手段11を同時にクリーニングする場合を示している。クリーニング手段73はクリーニング手段36とほぼ同様に構成されており、ガイド部34に代えて2つの記録ヘッド1からの空吐出を受け止めることが可能であると共に、2組のキャップ手段8及びブレード手段11をクリーニング可能となるように領域が拡大されたガイド部74を用い、このガイド部74に沿ってウェブ吸収体37を配置している点、及び補助ローラ75を有する点においてのみクリーニング手段36と相違している。
【0045】
以下にこの変形例におけるメンテナンス動作を説明する。図27に示す待機状態から空吐出が必要であると判断されると、記録ヘッド1がメンテナンス位置から空吐出位置へと上昇すると共に、各キャップ手段8が下降された後にハウジング12が下降し、さらにハウジング12が退避位置へと移動されて図28に示す状態となる。次にクリーニング手段73が指定された2つの記録ヘッド1のノズル面2と対応する位置へと移動して、図29に示すように指定した2つの記録ヘッド1から同時に空吐出が行われる。各記録ヘッド1から空吐出されたインクは直接ウェブ吸収体37に吸収され、空吐出が完了するとウェブ吸収体37が所定量巻き取られて新たなウェブ吸収体37が次の空吐出に備えられる。
【0046】
指定された2つの記録ヘッド1からの空吐出後、次に空吐出する記録ヘッド1があると判断されると、図30に示すようにクリーニング手段73を次の2つの記録ヘッド1のノズル面2と対応する位置へと移動させて空吐出が行われる。空吐出後にはウェブ吸収体37が所定量巻き取られ、次の空吐出に備えられる。この動作が繰り返し行われ、最後の2つの記録ヘッド1からの空吐出が行われると、クリーニング手段73が退避位置へと戻される。
【0047】
空吐出後、クリーニング動作のワイピングが必要であるか否かが判断され、ワイピングが必要であると判断されると、図31に示すようにキャップ手段8が下降してブレード手段11が上昇して記録ヘッド1内のインクが加圧される。そして上述したクリーニング動作と同様に、図31においてハウジング12を所定量右方に移動させてワイピングが行われる。ワイピングが完了するとブレード手段11が下降すると共にハウジング12が初期位置に戻され、記録ヘッド1がメンテナンス位置から空吐出位置へと上昇し、ハウジング12が下降されて図32に示す状態となる。
【0048】
次に、クリーニング手段73が指定された2組のキャップ手段8及びブレード手段11と対応する図33に示す位置に移動され、上述と同様にキャップ手段8及びブレード手段11を上昇させて所定時間停止させた後に下降させる。その後、モータ40が作動してウェブ吸収体37が所定量巻き取られ、新たなウェブ吸収体37が次のクリーニングに備えられる。指定された2組のキャップ手段8及びブレード手段11のクリーニング後、次にクリーニングする2組のキャップ手段8及びブレード手段11があると判断されると、クリーニング手段73を次のキャップ手段8及びブレード手段11と対応する位置へと移動させてクリーニングが行われる。クリーニング後にはウェブ吸収体37が所定量巻き取られ、次のクリーニングに備えられる。この動作が繰り返し行われ、最後の2組のキャップ手段8及びブレード手段11のクリーニングが行われると、クリーニング手段73及びハウジング12が退避位置へと戻される。
【0049】
上述の構成によれば、2つの記録ヘッド1からの空吐出を同時に受け止め、かつ2組のキャップ手段8及びブレード手段11を同時にクリーニングすることができるので、上記実施形態に比してメンテナンス動作の作業効率を2倍とすることができ、メンテナンス動作時間を半分に減らして画像形成動作の効率を格段に向上することができる。
【0050】
上記実施形態及び変形例では、空吐出後及びクリーニング動作後にウェブ吸収体37を単に巻き取る構成としたが、ウェブ吸収体37の空吐出されたインクを受け止める部位とクリーニング動作時に使用される部位とはガイド部34,74の上面と下面とで異なるため、クリーニング動作で使用したウェブ吸収体37の部位を空吐出時にインクを受け止める部位となるようにモータ40の作動を制御する構成としてもよい。これによりウェブ吸収体37を効率よく使用することができ、ウェブ吸収体37に係るコストを低減することができる。
【0051】
図34は、上述したクリーニング手段36(あるいはクリーニング手段73)を有するメンテナンス装置55を搭載した画像形成装置を示している。同図において画像形成装置43は、図35に示すように記録ヘッド1が記録媒体44のほぼ全幅にわたり複数列配列されてライン構成されている。図示しない前後側板及びステーにより構成された装置本体45の右方には記録媒体44を積載する給紙トレイ46が配設されており、記録媒体44は分離ローラ47及び給紙ローラ48の作動により分離給送される。
【0052】
給紙トレイ46の左方には、記録媒体44を搬送する搬送部49が配設されている。搬送部49は搬送駆動ローラ50、搬送従動ローラ51、各ローラ50,51に掛け渡された無端ベルト52等を有しており、無端ベルト52には複数の孔が形成されている。無端ベルト52の下方には記録媒体44を吸引する吸引ファン53が配設されており、無端ベルト52上の記録媒体44が吸引ファン53の吸引力により無端ベルト52に吸着された状態で左方へと搬送される。各ローラ50,51の上方にはそれぞれ搬送ガイドローラ54が配設されており、各ガイドローラ54は図示しないガイド部材によって支持され自重により各ローラ50,51に当接している。搬送駆動ローラ50が図示しない駆動手段の作動により回転駆動されると、無端ベルト52が走行して記録媒体44が搬送される。無端ベルト52として、孔を有さず静電吸着により記録媒体44を吸着するものを用いてもよい。
【0053】
搬送部49の上方には、記録媒体44に対して液滴を吐出するヘッド部56が配設されている。ヘッド部56は記録媒体44の搬送方向と直交する図において上下方向に移動自在であり、記録ヘッド1のノズル面2のメンテナンス時にメンテナンス装置55がヘッド部56の下方に進入可能となるスペースを確保すべく上昇する。
【0054】
ヘッド部56には、図35に示すように液滴を吐出する記録ヘッド1が記録媒体44のほぼ全幅にわたるように配置されている。記録ヘッド1は、千鳥状となるように4列(1a,1b,1c,1d)配置され、各列5個(1a1〜1a5,1b1〜1b5,1c1〜1c5,1d1〜1d5)配置されている。本形態では、記録ヘッド1aにはイエロ(Y)が、記録ヘッド1bマゼンタ(M)が、記録ヘッド1cにはシアン(C)が、記録ヘッド1dにはブラック(K)がそれぞれ割り付けられ、千鳥状に配列されることにより150dpiの画像1ラインを形成している。各色のライン構成はこれに限られず、各色の配置もこれに限定されない。記録ヘッド1の構成もこれに限られず、記録ヘッドを2個並設して各記録ヘッドに1色のインクを入れた構成とし、画像解像度を向上させてもよい。ヘッド部56には、各記録ヘッド1a1〜1d5にインクをそれぞれ供給する分岐管が各色毎に配列され、分岐管の上部にはサブタンクが配設されている。サブタンクとヘッドとの水頭差により、記録ヘッド1のノズル3のメニスカスを保持するために適切な負圧が形成される。サブタンクの上流側には、インクを貯容するインクタンクが配設されている。
【0055】
搬送部49の左方には、記録媒体44を排紙する搬送ガイド部57が配設されており、搬送ガイド部57にて搬送された記録媒体はその左方に配設された排紙トレイ58上に排出される。排紙トレイ58には、記録媒体44の幅方向の揃えを行う1対のサイドフェンス59及び記録媒体44の搬送方向の揃えを行う1つのエンドフェンス60が設けられている。
【0056】
搬送部49の上方であってヘッド部56の右方には、記録ヘッド1のノズル面2をメンテナンスするメンテナンス装置5とほぼ同様に構成されたメンテナンス装置55が配設されている。メンテナンス装置55は、図36及び図37に示すように、各記録ヘッド1a1〜1d5に対応したキャップ手段8と同様のキャップ手段8a1〜8d5を有しており、各キャップ手段8a1〜8d5は各記録ヘッド1a1〜1d5と同様に千鳥状に5個4列配置されている。各キャップ手段8a1〜8d5は各記録ヘッド1a1〜1d5のノズル面2を覆うキャップ6をそれぞれ有しており、各キャップ手段8a1〜8a5―8b1〜8b5間及び8b1〜8b5−8c1〜8c5間にはブレード手段11と同様のブレード手段11a1〜11b5が配設されている。各キャップ手段8a1〜8d5は、キャップ6によりノズル面2を密閉した状態で図示しない吸引手段により液滴を吸引し、記録ヘッド1の吐出性能を回復させる。各キャップ手段8a1〜8a5,8b1〜8b5の下部には図示しない流路、吸引手段、圧力室等が配置されているが、これ等の配置はこれに限られず、コンパクト化を図るべくハウジング12の後側板の外側に配置し、チューブ等の経路を介して接続する構成等を採用してもよい。
【0057】
メンテナンス装置55には、メンテナンス装置5におけるキャップ手段8及びブレード手段11を上下動させる機構と同様の昇降機構部72が配置されており、この昇降機構部72の作動により各キャップ手段8a1〜8d5及び各ブレード手段11a1〜11b5が上下動される。また、メンテナンス装置55はメンテナンス装置5と同様にハウジング12が用紙搬送方向に沿ってスライド移動可能であり、記録ヘッド1のメンテナンス時にはハウジング12がヘッド部56の下方に位置し、記録動作時にはハウジング12は図22に示す位置に退避する。
【0058】
ハウジング12が退避位置を占めた際の上方にはクリーニング手段36が配設されている。記録ヘッド1のメンテナンス動作が完了してハウジング12が退避位置に位置した状態において、メンテナンス装置5と同様のキャップ手段8a1〜8d5及びブレード手段11a1〜11b5を上下動させる昇降機構部72が作動し、各キャップ手段8a1〜8d5及び各ブレード手段11a1〜11b5を上下動させてクリーニングを行う。クリーニング手段36には液滴を除去するためのウェブ吸収体37が設けられ、このウェブ吸収体37はメンテナンス装置55の各キャップ手段8a1〜8d5及び各ブレード手段11a1〜11b5が用紙幅方向である主走査方向に複数並べられていることに対応し、全領域以上の長さを有するように構成されている。
【0059】
上述のメンテナンス装置55では、各記録ヘッド1a1〜1d5に対応して各キャップ手段8a1〜8d5が配置されており、ノズル面2をキャッピングして保湿している。また、メンテナンス動作時には、先ず記録ヘッド1a1〜1a5からの空吐出インクを受け止めるべくクリーニング手段36が移動し、ウェブ吸収体37によって空吐出インクを直接吸収する。その後、同様に記録ヘッド1b1〜1b5,1c1〜1c5,1d1〜1d5からの空吐出が順次行われ、空吐出により吐出されたインクは全てウェブ吸収体37によって吸収される。次に記録ヘッド1a1〜1a5,1b1〜1b5をメンテナンスするためにキャップ手段8a1〜8a5,8b1〜8b5が記録ヘッド1a1〜1a5,1b1〜1b5と対応する位置までハウジング12が移動し、次に昇降機構部72が作動してキャップ手段8a1〜8a5,8b1〜8b5が上昇してキャッピングを行い、吸引動作に移る。その後、ブレード手段11a1〜11a5,11b1〜11b5が上昇した後にハウジング12がワイピング方向に移動してノズル面2のワイピングが行われる。その後、クリーニング手段36側にハウジング12が移動し、上述と同様にクリーニング動作が行われる。クリーニング動作後、記録ヘッド1c1〜1c5,1d1〜1d5のメンテナンス動作を行うべくキャップ手段8a1〜8a5,8b1〜8b5が記録ヘッド1c1〜1c5,1d1〜1d5と対応する位置までハウジング12が移動し、上述と同様にクリーニング動作が行われる。
【0060】
図38は、画像形成装置43の制御部を示すブロック図である。制御部61は、画像形成装置全体の制御を行うCPU62、CPU62が実行するプログラムやその他の固定データ等を格納するROM63、画像データ等を一時的に格納するRAM64、画像形成装置43の電源が遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリ(NVRAM)65、その他装置全体を制御するための入出力を処理するASIC66、ホスト側とのデータ及び信号の受信を行うためのホストI/F67、各ヘッドを駆動制御するためのヘッド駆動制御部及びヘッドドライバ、ヘッドアレイユニットを駆動するためのヘッドアレイユニット移動駆動部、搬送ベルト駆動モータを駆動するための搬送ベルト駆動部、吸引ファンモータを駆動するための吸引駆動部、メンテナンス装置移動モータ31を駆動するためのメンテナンス装置移動駆動部68、ブレード手段及びキャップ手段の昇降移動モータ24を駆動するためのブレード/キャップ昇降移動駆動部69、クリーニング装置巻取モータ40を駆動するためのクリーニング装置巻取駆動部70、制御手段42、環境温度及び湿度を検出する環境センサからの検知信号を入力するためのI/O等を備えている。
【0061】
この画像形成装置43によっても、クリーニング手段36に設けられたウェブ吸収体37が各記録ヘッド1から空吐出されるインクを直接吸収するので、空吐出されたインクを受容する受容部、インクを送出するポンプ、送出されるインクの廃液経路、送出されたインクを貯留する廃液タンク等の構成を省略することができ、画像形成装置の簡易化及び小型化を達成すると共に低コスト化を図ることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 記録ヘッド
2 ノズル面
5,55 メンテナンス装置
8 キャップ手段
11 ブレード手段
13 液滴
33,36,73 クリーニング手段
37 ウェブ吸収体
41 クリーニング移動手段
42 制御手段
43 画像形成装置
44 記録媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開平10−100450号公報
【特許文献2】特開2008−290400号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に液滴を吐出する記録ヘッドのメンテナンス装置及びこれを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴を吐出する記録ヘッドのノズル面をメンテナンスするメンテナンス装置として、ブレードにより記録ヘッドのノズル面をワイピングするものが知られている。このメンテナンス装置には記録ヘッドの乾燥を防止するためのキャップが設けられており、長期間記録を行わない際には記録ヘッドをキャップで覆うように構成されている。しかし、長期間の放置後には記録ヘッドのノズル面近傍のインク粘度が上昇してしまい画像不良が発生してしまう。このため、長期間の放置後には記録前にインクを吐出する空吐出(予備吐出)を行い、粘度が上昇したインクを捨てて新たなインクにより記録を行う方法が一般的に用いられている。
【0003】
このような空吐出を行う記録装置として、ごみの発生やインクミストによる不良を生じさせることなくインクの空吐出を行う技術が、例えば「特許文献1」に開示されている。また、増粘インクの堆積による装置寿命の短命化を防止すべく、空吐出動作の種類に応じて空吐出先を変更して空吐出インクの分散を図る技術が、例えば「特許文献2」に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した各技術では、空吐出したインクを受容する受容部を有しており、この受容部からインクを排出するためのポンプ、廃液経路、廃液タンクが必要となり、省スペース化を図ることができないという問題点がある。
【0005】
本発明は上述した問題点を解決し、空吐出インクの廃液経路等のスペースを必要とせず、省スペース化を図ることが可能なメンテナンス装置及びこれを有する画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、記録媒体に液滴を吐出する記録ヘッドのノズル面をワイピングする移動可能なブレード手段と、前記ブレード手段と接触して前記ブレード手段に付着した液滴を除去するクリーニング手段とを有するメンテナンス装置において、前記ブレード手段と接触可能な第1の位置と前記ノズル面と対応する第2の位置とに前記クリーニング手段を移動させるクリーニング移動手段と、前記クリーニング移動手段の作動を制御する制御手段とを有し、前記ノズル面より記録に関与しない液滴が吐出される空吐出が行われる際に、前記制御手段により前記クリーニング移動手段の作動を制御して前記クリーニング手段を第2の位置に位置させ、前記ノズル面より吐出される液滴を前記クリーニング手段により受け止めることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のメンテナンス装置において、さらに前記クリーニング手段は液滴を吸収するウェブ吸収体を有することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のメンテナンス装置において、さらに前記ウェブ吸収体は移動可能であり、移動により新たな液滴吸収面が供給されることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のメンテナンス装置において、さらに前記ウェブ吸収体は前記ブレード手段と接触した部分によって前記ノズル面から吐出される液滴を吸収するように移動されることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか1つに記載のメンテナンス装置において、さらに前記ノズル面を覆う移動可能な前記キャップ手段を有し、前記制御手段は前記クリーニング移動手段の作動を制御して前記クリーニング手段を前記キャップ手段の前記ノズル面との接触部位と接触可能な位置に位置させ、前記キャップ手段に付着した液滴を除去することを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項5記載のメンテナンス装置において、さらに前記キャップ手段の前記接触部位を前記ブレード手段と同じ高さに位置させ、前記クリーニング手段が第1の位置を占めた際に前記キャップ手段及び前記ブレード手段と前記クリーニング手段とがそれぞれ接触することを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6の何れか1つに記載のメンテナンス装置を有する画像形成装置であることを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の画像形成装置において、さらに前記記録ヘッドが記録媒体の幅方向に複数配列されていることを特徴とする。
【0014】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の画像形成装置において、さらに前記クリーニング手段が前記各記録ヘッドの何れか1つと対応する大きさに構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項10記載の発明は、請求項8記載の画像形成装置において、さらに前記クリーニング手段が前記各記録ヘッドの少なくとも2つと対応する大きさに構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、各記録ヘッドから空吐出が行われる際に、制御手段によりクリーニング移動手段の作動を制御してクリーニング手段を指定された記録ヘッドのノズル面と対応する位置に位置させ、ノズル面より吐出されるインクをクリーニング手段によって受け止めるので、空吐出されたインクを受容する受容部、インクを送出するポンプ、送出されるインクの廃液経路、送出されたインクを貯留する廃液タンク等の構成を省略することができ、装置の簡易化及び小型化を達成すると共に低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に適用可能な記録ヘッドの概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に用いられる記録ヘッド及びメンテナンス装置の概略図である。
【図3】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置のメンテナンス動作を説明する概略図である。
【図4】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置のメンテナンス動作を説明する概略図である。
【図5】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置のメンテナンス動作を説明する概略図である。
【図6】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置の移動機構を説明する概略図である。
【図7】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置の移動機構を説明する概略図である。
【図8】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置の移動機構を説明する概略図である。
【図9】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置の移動機構を説明する概略図である。
【図10】本発明の一実施形態に用いられるクリーニング手段を有するメンテナンス装置を説明する概略図である。
【図11】本発明の一実施形態に用いられるクリーニング手段を有するメンテナンス装置を説明する概略図である。
【図12】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置のクリーニング動作を説明する概略図である。
【図13】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置のクリーニング動作を説明する概略図である。
【図14】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置のクリーニング動作を説明する概略図である。
【図15】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置のクリーニング動作を説明する概略図である。
【図16】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置の基本的なクリーニング動作を説明するフローチャートである。
【図17】本発明の一実施形態におけるメンテナンス動作の初期状態を示す概略正面図である。
【図18】本発明の一実施形態におけるメンテナンス装置を示す概略側面図である。
【図19】本発明の一実施形態におけるメンテナンス動作時にハウジングが退避位置を占めた状態を示す概略図である。
【図20】本発明の一実施形態におけるメンテナンス動作時にクリーニング手段が記録ヘッドと対応する位置を占め空吐出が行われている状態を示す概略図である。
【図21】本発明の一実施形態におけるメンテナンス動作時にクリーニング手段が記録ヘッドと対応する位置を占め空吐出が行われている状態を示す概略図である。
【図22】本発明の一実施形態におけるメンテナンス動作時にブレード手段が上昇してノズル面に接触してワイピングする状態を示す概略図である。
【図23】本発明の一実施形態におけるメンテナンス動作時にワイピングが完了してキャップ手段及びブレード手段に液滴が付着した状態を示す概略図である。
【図24】本発明の一実施形態におけるメンテナンス動作時にクリーニング手段によりキャップ手段及びブレード手段がクリーニングされる状態を示す概略図である。
【図25】本発明の一実施形態におけるメンテナンス動作時にクリーニング手段によりキャップ手段及びブレード手段がクリーニングされる状態を示す概略図である。
【図26(A)】本発明の一実施形態におけるメンテナンス動作を示すフローチャートである。
【図26(B)】本発明の一実施形態におけるメンテナンス動作を示すフローチャートである。
【図27】本発明の一実施形態の変形例におけるメンテナンス動作の初期状態を示す概略正面図である。
【図28】本発明の一実施形態の変形例におけるメンテナンス動作時にハウジングが退避位置を占めた状態を示す概略図である。
【図29】本発明の一実施形態の変形例におけるメンテナンス動作時にクリーニング手段が記録ヘッドと対応する位置を占め空吐出が行われている状態を示す概略図である。
【図30】本発明の一実施形態の変形例におけるメンテナンス動作時にクリーニング手段が記録ヘッドと対応する位置を占め空吐出が行われている状態を示す概略図である。
【図31】本発明の一実施形態の変形例におけるメンテナンス動作時にブレード手段が上昇してノズル面に接触してワイピングする状態を示す概略図である。
【図32】本発明の一実施形態の変形例におけるメンテナンス動作時にワイピングが完了してキャップ手段及びブレード手段に液滴が付着した状態を示す概略図である。
【図33】本発明の一実施形態の変形例におけるメンテナンス動作時にクリーニング手段によりキャップ手段及びブレード手段がクリーニングされる状態を示す概略図である。
【図34】本発明の一実施形態に用いられるクリーニング手段を有するメンテナンス装置を搭載した画像形成装置の概略図である。
【図35】本発明の一実施形態に用いられる記録ヘッドを示す概略図である。
【図36】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置を説明する概略平面図である。
【図37】本発明の一実施形態に用いられるメンテナンス装置を説明する概略正面図である。
【図38】本発明の一実施形態に用いられるクリーニング手段を有するメンテナンス装置を搭載した画像形成装置の制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、記録媒体に対して液滴を吐出して画像形成を行う画像形成装置に用いられる記録ヘッド1を示しており、記録ヘッド1の液滴吐出面であるノズル面2には液滴を吐出するノズル3が複数個並設されている。この記録ヘッド1は、図2に示すように記録ヘッドホルダ4に支持されており、記録ヘッドホルダ4は図2において左右方向及び上下方向に移動自在に構成されている。
【0019】
図2において記録ヘッドホルダ4の下方近傍には、記録ヘッド1のメンテナンスを行うメンテナンス装置5が配設されている。メンテナンス装置5は、記録ヘッド1のノズル面2を覆うキャップ6及びこれを支持するキャップホルダ7を有するキャップ手段8、ノズル面2をワイピングするブレード9及びこれを支持するブレードホルダ10を有するブレード手段11を有しており、キャップ手段8及びブレード手段11はメンテナンス装置5のハウジング12にそれぞれ図2において上下方向に移動可能に支持されている。またキャップ6の下部には、記録ヘッド1から吐出された液滴を吸引する図示しない吸引手段が設けられている。
【0020】
次に、このメンテナンス装置5を用いた記録ヘッド1のメンテナンス動作について説明する。先ず、図3に示すように記録ヘッドホルダ4がメンテナンス装置5に接近すると共にキャップ手段8が後述するキャップ移動手段の作動により記録ヘッド1に接近し、キャップ6により記録ヘッド1のノズル面2を覆う。そして、図示しない吸引手段が作動することにより、記録ヘッド1内の液滴や気泡等を排出してメンテナンスが行われる。本実施形態では吸引手段を使用して吸引によりメンテナンスを行う方法を示したが、吸引手段を使用せずに図示しない加圧手段を使用し、記録ヘッド1内の液滴や気泡等を排出する構成でもよい。排出された廃液はキャップ6内に排出されて吸引手段により吸引される。キャップ6には記録ヘッド1内の液滴の乾燥を防止するための保湿機能もあり、記録ヘッド1のノズル3を覆うようにノズル面2に当接してキャッピングすることで記録ヘッド1内の液滴の乾燥を防止することができる。さらに、本発明の特徴部である空吐出(予備吐出)を行うことにより記録ヘッド1内の乾燥がさらに防止される。この空吐出動作については後述する。
【0021】
図4は、吸引(加圧)動作終了後に記録ヘッド1のノズル面2に液滴13が付着している状態を示している。この状態において、ブレード手段11によりノズル面2のワイピングを行う。ここで、ノズル面2とブレード9との間にはある程度の食い込み量が必要であるため、キャップ6の上面とブレード9の上面9aとの間には高低差hが設けられている。図5は、ワイピング後の状態を示している。メンテナンス装置5のハウジング12が後述する機構により図に矢印Aで示すワイピング方向に移動され、ノズル面2に付着していた液滴13がブレード9によって拭き取られる。このとき、ブレード9にはその上面9aと払拭面9bとの双方に液滴13が付着しており、この状態で次のワイピングを行うとブレード9に付着している液滴13がノズル面2に再転移してメンテナンス不良が発生する虞がある。また、ノズル面2と当接したキャップ6の上面にも記録ヘッド1から排出された液滴13が付着しており、この状態で次のキャッピングを行うとノズル面2にキャップ痕が付着し、キャップ痕の液滴が増粘乾燥して次のメンテナンス時でのワイピングにてキャップ痕を引きずり、適正なワイピングが行えずに吐出不良が発生する虞がある。そこで、クリーニング手段によりブレード9及びキャップ6に付着した液滴13を除去する必要がある。
【0022】
図6、図7、図8は、キャップ手段8及びブレード手段11を上下方向に移動させる移動機構を説明する図である。キャップ手段8のキャップホルダ7にはカムピン14が、ブレード手段11のブレードホルダ10にはカムピン15がそれぞれ取り付けられており、各ホルダ7,10はそれぞれハウジング12に設けられた図示しないスライドレールによって図の上下方向に移動可能に支持され、バネ18によって下方に付勢されている。キャップホルダ7の下方にはカムピン14と当接するカム16が支軸16aを中心としてハウジング12に回転自在に支持されており、ブレードホルダ10の下方にはカムピン15と当接するカム17が支軸17aを中心としてハウジング12に回転自在に支持されている。支軸16aの一端にはプーリ19が、支軸17aの一端にはプーリ20がそれぞれ取り付けられており、プーリ19にはタイミングベルト21が、プーリ20にはタイミングベルト22がそれぞれ掛けられている。各タイミングベルト21,22は、2個のプーリを同軸上に有しハウジング12に回転自在に支持されたダブルプーリ23にそれぞれ掛けられており、ダブルプーリ23の支軸には図示しないウォームホイールが設けられ、このウォームホイールには正逆転可能なモータ24の出力軸に取り付けられたウォーム25が噛合している。ダブルプーリ23の内部にはワンウェイクラッチが介装されており、たとえばモータ24が正転した際にカム16が回転してキャップ手段8が上下動し、モータ24が逆転した際にカム17が回転してブレード手段11が上下動するように構成されている。モータ24はハウジング12に支持されたステッピングモータであり、パルス制御により回転制御されている。
【0023】
図9は、ハウジング12を図9に矢印Bで示すワイピング方向に移動させる移動機構を説明する図である。同図においてハウジング12には2個のスライダ26が固定されており、各スライダ26にはタイミングベルト27が固定されている。タイミングベルト27はその一端をプーリ28に掛けられており、他端は2個のプーリを同軸上に有するダブルプーリ29の一方に掛けられている。ダブルプーリ29の他方にはタイミングベルト30の一端が掛けられており、タイミングベルト30の他端は正逆転可能なモータ31の出力軸に固定されたプーリ32に掛けられている。モータ31はステッピングモータであってパルス制御により回転制御されており、モータ31が正逆転することによりハウジング12が矢印B方向に往復移動される。
【0024】
図10は、メンテナンス動作を行って図5に示す状態のように液滴13によって汚れたキャップ6及びブレード9のクリーニングを行うクリーニング手段の一例を示している。同図においてクリーニング手段33は、ガイド部34とウェブ吸収体35とを有している。ポリエチレンタレフタラート等の液滴13を吸収可能な不織布からなるウェブ吸収体35はガイド部34に沿って配設されており、ウェブ吸収体35にはブレード9の上面9a及びキャップ6をクリーニングする水平面35aと、ブレード9の払拭面9bをクリーニングする垂直面35bとが形成されている。ウェブ吸収体35の図10における奥行き方向の長さL1は、図11に示すようにキャップ6及びブレード9の長さL2よりも大きくなるように形成されており、キャップ6及びブレード9の全長を一度にクリーニング可能となるように構成されている。
【0025】
上述のクリーニング手段33によるメンテナンス動作後におけるメンテナンス装置5の基本的なクリーニング動作を図12ないし図15に示す動作図及び図16に示すフローチャートを用いて説明する。
記録ヘッド1のメンテナンスが終了した信号が図示しない制御手段に入力される(ST01)と、液滴13が付着したキャップ6及びブレード9のクリーニングに移行する。メンテナンス動作終了後、キャップ6とブレード9とは図10に示すようにほぼ同じ高さに保たれている。先ず、ブレード9の払拭面9bをクリーニングするためにモータ24が逆転してブレード9が図12に矢印Cで示すように上昇する(ST02)。次にモータ31が作動してハウジング12が図12に矢印Dで示す方向に移動され(ST03)、払拭面9bが吸収体35の垂直面35bに接触して払拭面9bに付着していた液滴13が吸収体35によって除去される。この払拭面9bと垂直面35bとが当接した状態を所定時間維持させ、この間に液滴13を吸収体35に吸収させる(ST04)。
【0026】
次に、モータ24が逆転してブレード9が図10に示す位置まで戻された後(ST05)、モータ31が作動してハウジング12がさらに矢印D方向に移動され(ST06)、キャップ6及びブレード9が吸収体35の水平面35aの下方に位置するとモータ31の作動が停止される。モータ31の停止後にモータ24が逆転し、図13に矢印Eで示すようにブレード9が上昇して(ST07)ブレード9の上面9aが水平面35aに接触する。この上面9aと水平面35aとが当接した状態を所定時間維持させ、この間に液滴13を吸収体35に吸収させる(ST08)。ここでブレード9の上昇量は、先の払拭面9bのクリーニング時よりも低くキャップ6の上面よりも高い中間地点である。所定時間が経過するとブレード9の上面9a及び払拭面9bに付着した液滴13のクリーニングが完了する。
【0027】
ブレード9のクリーニングが完了すると、モータ24が逆転してブレード9が図10に示す位置まで戻された後(ST09)、モータ24が正転して図14に矢印Fで示すようにキャップ6が上昇して(ST10)キャップ6の上面が水平面35aに接触する。この上面と水平面35aとが当接した状態を所定時間維持させ、この間に液滴13を吸収体35に吸収させる(ST11)。所定時間が経過して液滴13が吸収体35に吸収されてキャップ6のクリーニングが完了する。キャップ6のクリーニングが完了すると、モータ24が正転して図15に矢印Gで示すようにキャップ6が下降し(ST12)、キャップ6が図10に示す位置まで戻されてメンテナンス装置5のクリーニングが完了する。上述の説明ではブレード9をクリーニングした後にキャップ6をクリーニングしているが、この順に限られることはなく両者を同時にクリーニングしてもよい。
【0028】
上述した基本構成では、メンテナンス装置5のハウジング12をモータ31によってワイピング方向に移動させクリーニング手段33を固定しているが、本発明の一実施形態ではクリーニング手段にワイピング方向への移動手段を搭載した構成を採用している。図17、図18は本発明の一実施形態に用いられるクリーニング手段36を示しており、このクリーニング手段36はガイド部34を覆うように数メートルあるいは数十メートルの長尺の不織布からなるウェブ吸収体37を配置し、ウェブ吸収体37の一端側を供給ローラ38に巻成して他端側を巻取ローラ39に固着させ、巻取ローラ39をモータ40によって回転させる構成としている。
【0029】
クリーニング手段33のウェブ吸収体35では、キャップ6及びブレード9に付着した液滴13を繰り返し吸収させるとやがて吸収可能な許容量を超え、クリーニング不良及びワイピング不良等の不具合が発生してしまう。これを防止するためにクリーニングする領域のウェブ吸収体35を更新する必要があり、クリーニング手段36では巻取可能なウェブ吸収体37によって液滴13を吸収する。クリーニング手段36は、予め設定された所定回数のクリーニングを実施してウェブ吸収体37の液滴吸収許容量が一杯になったと判断されると、モータ40が作動して巻取ローラ39が図18に矢印Iで示す方向に回転し、一定量のウェブ吸収体37が巻き取られて新たなウェブ吸収体37がクリーニング領域に配置される。この構成により、次のクリーニング時には更新されたウェブ吸収体37によりクリーニングを行うことができ、常にキャップ6及びブレード9のクリーニング性を維持することができる。
【0030】
クリーニング手段36は1つのユニットとして構成されており、図示しない画像形成装置の装置本体に設けられた図示しないレール部材によって図17の左右方向に移動自在に支持されていて、図示しないモータ及びボールねじ等を有する周知の構成であるクリーニング移動手段41によって図17の左右方向に移動される。クリーニング移動手段41の作動は、メンテナンス装置5の作動を制御する制御手段42によって制御される。またハウジング12には図示しない上下動機構が設けられており、ハウジング12は図17に示すようにキャップ手段8によって記録ヘッド1をキャッピング可能となる位置と、図23に示すように記録ヘッド1とキャップ手段8との間にクリーニング手段36が介入可能となる位置との間で上下方向に移動可能に構成されている。
【0031】
クリーニング手段36によるキャップ6及びブレード9のクリーニング動作は、基本的にはメンテナンス動作後に実施される。メンテナンス動作には、上述したように記録ヘッド1内の液滴13を吸引あるいは加圧して排出してノズル面2に付着した液滴13をブレード9で拭き取るワイピング動作と、記録ヘッド1内の液滴13の乾燥を防止するために定期的に行われる空吐出(予備吐出)とがある。吸引あるいは加圧により記録ヘッド1内から液滴13が排出されたときにはキャップ6に液滴13が付着して汚れ、その後ブレード9にてノズル面2をワイピングするとブレード9の上面9a及び払拭面9bが汚れる。空吐出は、従来ではキャップ6内に行われるが、キャップ6内に空吐出インクが吐出されるとこのインクを受け止める受容部、受容部からインクを排出するためのポンプ、廃液経路、廃液タンクが必要となり、メンテナンス装置5の省スペース化を図ることができないという問題点がある。そこで本実施形態では、メンテナンス動作中の空吐出をクリーニング手段36によって受け止め、受容部、ポンプ、廃液経路、廃液タンク等を省略する構成を採用している。
【0032】
以下に、本発明におけるメンテナンス動作を図26(A)(B)に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、このメンテナンス動作中において、記録ヘッド1は記録紙に対して印字を行う記録位置、記録位置よりも上方に位置しキャップ手段8によりキャッピングされると共にブレード手段11によりワイピングされるメンテナンス位置、メンテナンス位置よりも上方に位置し空吐出を行う空吐出位置の3つの位置を占める。ハウジング12は、各キャップ手段8が各記録ヘッド1をキャッピングする位置、この位置よりも下方に移動し各キャップ手段8が各記録ヘッド1と対応する位置、各キャップ手段8が記録ヘッド1の下方より退避する退避位置の3つの位置を占める。クリーニング手段36は、各記録ヘッド1のノズル面2とそれぞれ対応する位置である4つの位置、記録ヘッド1のノズル面2より退避する退避位置の5つの位置を占める。
【0033】
画像形成動作を行っていない待機状態において、図17に示すように各記録ヘッド1はメンテナンス位置を、ハウジング12は各キャップ手段8が各記録ヘッド1と対応する位置を占め、各キャップ手段8によって各記録ヘッド1がキャッピングされており、クリーニング手段36は退避位置を占めている。この状態からジョブのスタート信号が送られる(ST01)と、制御手段42は空吐出が必要であるか否かを判断する(ST02)。この判断は、装置の放置日数や放置時間によって適宜判断される。
【0034】
ST02において空吐出が必要であると判断されると、記録ヘッド1がメンテナンス位置から空吐出位置へと上昇すると共に、各キャップ手段8が下降された後にハウジング12が下降し、さらにハウジング12が退避位置へと移動されて(ST03)図19に示す状態となる。次に制御手段42から指令が送られてクリーニング移動手段41が作動し、クリーニング手段36が指定された記録ヘッド1(本形態では最も左の記録ヘッド1)のノズル面2と対応する位置へと移動して、図20に示すように指定した記録ヘッド1からの空吐出が行われる(ST04)。記録ヘッド1から空吐出されたインクは直接ウェブ吸収体37に吸収されるため、空吐出されたインクを受容する受容部、ポンプ、廃液経路、廃液タンク等を省略することができる。空吐出が完了すると、モータ40が作動してウェブ吸収体37が所定量巻き取られ(ST05)、新たなウェブ吸収体37が次の空吐出に備えられる。
【0035】
指定された記録ヘッド1からの空吐出後、制御手段42は次に空吐出する記録ヘッド1があるか否かを判断する(ST06)。次に空吐出する記録ヘッド1があると判断されると、ST04に戻りクリーニング手段36を次の記録ヘッド1のノズル面2と対応する位置へと移動させて空吐出が行われる。空吐出後にはウェブ吸収体37が所定量巻き取られ、次の空吐出に備えられる。この動作が繰り返し行われ、図21に示すように最後の記録ヘッド1(本形態では最も右の記録ヘッド1)からの空吐出が行われると、クリーニング手段36が退避位置へと戻される(ST07)。その後、記録ヘッド1がメンテナンス位置から記録位置へと下降され(ST08)、記録開始信号が送られることにより画像形成動作が開始される(ST09)。
【0036】
ST02において空吐出が不要であると判断されると、クリーニング動作のワイピングが必要であるか否かが判断される(ST10)。ワイピングが必要であると判断されると、キャップ手段8が下降してワイパであるブレード手段11が上昇し(ST11)記録ヘッド1内のインクが加圧される(ST12)。そして上述したクリーニング動作と同様に、図22においてハウジング12を所定量右方に移動させてワイピングが行われる(ST13)。ワイピングが完了するとブレード手段11が下降すると共にハウジング12が初期位置に戻され、記録ヘッド1がメンテナンス位置から空吐出位置へと上昇し(ST14)、ハウジング12が下降されて図23に示す状態となる。
【0037】
次に、クリーニング手段36が指定されたキャップ手段8及びブレード手段11(本形態では最も左)と対応する図24に示す位置に移動され(ST15)、上述と同様にキャップ手段8及びブレード手段11を上昇させて所定時間停止させた後に下降させる(ST16)。その後、モータ40が作動してウェブ吸収体37が所定量巻き取られ(ST17)、新たなウェブ吸収体37が次のクリーニングに備えられる。指定されたキャップ手段8及びブレード手段11のクリーニング後、制御手段42は次にクリーニングするキャップ手段8及びブレード手段11があるか否かを判断する(ST18)。次にクリーニングするキャップ手段8及びブレード手段11があると判断されると、ST15に戻り図25に示すようにクリーニング手段36を次のキャップ手段8及びブレード手段11と対応する位置へと移動させてクリーニングが行われる。クリーニング後にはウェブ吸収体37が所定量巻き取られ、次のクリーニングに備えられる。この動作が繰り返し行われ、最後のキャップ手段8及びブレード手段11(本形態では最も右)のクリーニングが行われると、クリーニング手段36及びハウジング12が退避位置へと戻されて(ST19)ST08へと移行する。
【0038】
ST10においてワイピングが不要であると判断されると、キャップ手段8が下降されてハウジング12が退避位置へと戻された後(ST20)、記録ヘッド1がメンテナンス位置から記録位置へと下降され(ST21)てST09へと移行する。
【0039】
ジョブスタート後、紙間空吐出が必要であるか否かが判断され(ST22)、必要であると判断されると紙間で空吐出が行われる(ST23)。そして印字中断(ST24)後に空吐出が必要であるか否かが判断され(ST25)、必要であると判断されると記録ヘッド1が記録位置から空吐出位置へと上昇する(ST26)。そして、図20と同様にクリーニング手段36が指定された記録ヘッド1のノズル面2と対応する位置に移動されて空吐出が行われ(ST27)、空吐出後にウェブ吸収体37が所定量巻き取られて(ST28)次の空吐出に備えられる。
【0040】
指定された記録ヘッド1からの空吐出後、制御手段42は次に空吐出する記録ヘッド1があるか否かを判断する(ST29)。次に空吐出する記録ヘッド1があると判断されると、ST27に戻りクリーニング手段36を次の記録ヘッド1のノズル面2と対応する位置へと移動させて空吐出が行われる。空吐出後にはウェブ吸収体37が所定量巻き取られ、次の空吐出に備えられる。この動作が繰り返し行われ、最後の記録ヘッド1からの空吐出が行われると、クリーニング手段36が退避位置へと戻され(ST30)、記録ヘッド1が空吐出位置から記録位置へと下降され(ST31)て画像形成動作が再開される(ST32)。そして、全てのジョブが終了したか否かが判断され(ST33)、終了したと判断されると記録ヘッド1が記録位置からメンテナンス位置へと移動すると共にハウジング12が記録ヘッド1と対応する位置に移動し、キャップ手段8が上昇して図17に示す待機状態となる(ST34)。ジョブが終了していないと判断されるとST02に移行する。
【0041】
ST25において空吐出が必要でないと判断されると、ワイピングが必要であるか否かが判断される(ST35)。ワイピングが必要であると判断されると、キャップ手段8及びブレード手段11が記録ヘッド1と対応する位置へハウジング12が移動され、ブレード手段11が上昇する(ST36)。その後、記録ヘッド1内のインクが加圧され(ST37)、上述したクリーニング動作と同様に、図22においてハウジング12を所定量右方に移動させてワイピングが行われる(ST38)。ワイピングが完了するとブレード手段11が下降すると共にハウジング12が初期位置に戻され、記録ヘッド1がメンテナンス位置から空吐出位置へと上昇し(ST39)、ハウジング12が下降されて図23に示す状態となる。
【0042】
次に、クリーニング手段36が指定されたキャップ手段8及びブレード手段11と対応する位置に移動され(ST40)、上述と同様にキャップ手段8及びブレード手段11を上昇させて所定時間停止させた後に下降させる(ST41)。その後、モータ40が作動してウェブ吸収体37が所定量巻き取られ(ST42)、新たなウェブ吸収体37が次のクリーニングに備えられる。指定されたキャップ手段8及びブレード手段11のクリーニング後、制御手段42は次にクリーニングするキャップ手段8及びブレード手段11があるか否かを判断し(ST43)、次にクリーニングするキャップ手段8及びブレード手段11があると判断されると、ST40に戻りクリーニング手段36を次のキャップ手段8及びブレード手段11と対応する位置へと移動させてクリーニングが行われる。クリーニング後にはウェブ吸収体37が所定量巻き取られ、次のクリーニングに備えられる。この動作が繰り返し行われ、最後のキャップ手段8及びブレード手段11のクリーニングが行われると、クリーニング手段36及びハウジング12が退避位置へと戻されて(ST44)ST31へと移行する。ST35においてワイピングが不要であると判断されるとST33に移行する。
【0043】
上述の構成によれば、各記録ヘッド1から空吐出が行われる際に、制御手段42によりクリーニング移動手段41の作動を制御してクリーニング手段36を指定された記録ヘッド1のノズル面2と対応する位置に位置させ、ノズル面2より吐出されるインクをクリーニング手段36に設けられたウェブ吸収体37によって受け止めるので、空吐出されたインクを受容する受容部、インクを送出するポンプ、送出されるインクの廃液経路、送出されたインクを貯留する廃液タンク等の構成を省略することができ、装置の簡易化及び小型化を達成すると共に低コスト化を図ることができる。
【0044】
図21は本実施形態の変形例を示しており、2つの記録ヘッド1からの空吐出を同時に受け止めると共に、2組のキャップ手段8及びブレード手段11を同時にクリーニングする場合を示している。クリーニング手段73はクリーニング手段36とほぼ同様に構成されており、ガイド部34に代えて2つの記録ヘッド1からの空吐出を受け止めることが可能であると共に、2組のキャップ手段8及びブレード手段11をクリーニング可能となるように領域が拡大されたガイド部74を用い、このガイド部74に沿ってウェブ吸収体37を配置している点、及び補助ローラ75を有する点においてのみクリーニング手段36と相違している。
【0045】
以下にこの変形例におけるメンテナンス動作を説明する。図27に示す待機状態から空吐出が必要であると判断されると、記録ヘッド1がメンテナンス位置から空吐出位置へと上昇すると共に、各キャップ手段8が下降された後にハウジング12が下降し、さらにハウジング12が退避位置へと移動されて図28に示す状態となる。次にクリーニング手段73が指定された2つの記録ヘッド1のノズル面2と対応する位置へと移動して、図29に示すように指定した2つの記録ヘッド1から同時に空吐出が行われる。各記録ヘッド1から空吐出されたインクは直接ウェブ吸収体37に吸収され、空吐出が完了するとウェブ吸収体37が所定量巻き取られて新たなウェブ吸収体37が次の空吐出に備えられる。
【0046】
指定された2つの記録ヘッド1からの空吐出後、次に空吐出する記録ヘッド1があると判断されると、図30に示すようにクリーニング手段73を次の2つの記録ヘッド1のノズル面2と対応する位置へと移動させて空吐出が行われる。空吐出後にはウェブ吸収体37が所定量巻き取られ、次の空吐出に備えられる。この動作が繰り返し行われ、最後の2つの記録ヘッド1からの空吐出が行われると、クリーニング手段73が退避位置へと戻される。
【0047】
空吐出後、クリーニング動作のワイピングが必要であるか否かが判断され、ワイピングが必要であると判断されると、図31に示すようにキャップ手段8が下降してブレード手段11が上昇して記録ヘッド1内のインクが加圧される。そして上述したクリーニング動作と同様に、図31においてハウジング12を所定量右方に移動させてワイピングが行われる。ワイピングが完了するとブレード手段11が下降すると共にハウジング12が初期位置に戻され、記録ヘッド1がメンテナンス位置から空吐出位置へと上昇し、ハウジング12が下降されて図32に示す状態となる。
【0048】
次に、クリーニング手段73が指定された2組のキャップ手段8及びブレード手段11と対応する図33に示す位置に移動され、上述と同様にキャップ手段8及びブレード手段11を上昇させて所定時間停止させた後に下降させる。その後、モータ40が作動してウェブ吸収体37が所定量巻き取られ、新たなウェブ吸収体37が次のクリーニングに備えられる。指定された2組のキャップ手段8及びブレード手段11のクリーニング後、次にクリーニングする2組のキャップ手段8及びブレード手段11があると判断されると、クリーニング手段73を次のキャップ手段8及びブレード手段11と対応する位置へと移動させてクリーニングが行われる。クリーニング後にはウェブ吸収体37が所定量巻き取られ、次のクリーニングに備えられる。この動作が繰り返し行われ、最後の2組のキャップ手段8及びブレード手段11のクリーニングが行われると、クリーニング手段73及びハウジング12が退避位置へと戻される。
【0049】
上述の構成によれば、2つの記録ヘッド1からの空吐出を同時に受け止め、かつ2組のキャップ手段8及びブレード手段11を同時にクリーニングすることができるので、上記実施形態に比してメンテナンス動作の作業効率を2倍とすることができ、メンテナンス動作時間を半分に減らして画像形成動作の効率を格段に向上することができる。
【0050】
上記実施形態及び変形例では、空吐出後及びクリーニング動作後にウェブ吸収体37を単に巻き取る構成としたが、ウェブ吸収体37の空吐出されたインクを受け止める部位とクリーニング動作時に使用される部位とはガイド部34,74の上面と下面とで異なるため、クリーニング動作で使用したウェブ吸収体37の部位を空吐出時にインクを受け止める部位となるようにモータ40の作動を制御する構成としてもよい。これによりウェブ吸収体37を効率よく使用することができ、ウェブ吸収体37に係るコストを低減することができる。
【0051】
図34は、上述したクリーニング手段36(あるいはクリーニング手段73)を有するメンテナンス装置55を搭載した画像形成装置を示している。同図において画像形成装置43は、図35に示すように記録ヘッド1が記録媒体44のほぼ全幅にわたり複数列配列されてライン構成されている。図示しない前後側板及びステーにより構成された装置本体45の右方には記録媒体44を積載する給紙トレイ46が配設されており、記録媒体44は分離ローラ47及び給紙ローラ48の作動により分離給送される。
【0052】
給紙トレイ46の左方には、記録媒体44を搬送する搬送部49が配設されている。搬送部49は搬送駆動ローラ50、搬送従動ローラ51、各ローラ50,51に掛け渡された無端ベルト52等を有しており、無端ベルト52には複数の孔が形成されている。無端ベルト52の下方には記録媒体44を吸引する吸引ファン53が配設されており、無端ベルト52上の記録媒体44が吸引ファン53の吸引力により無端ベルト52に吸着された状態で左方へと搬送される。各ローラ50,51の上方にはそれぞれ搬送ガイドローラ54が配設されており、各ガイドローラ54は図示しないガイド部材によって支持され自重により各ローラ50,51に当接している。搬送駆動ローラ50が図示しない駆動手段の作動により回転駆動されると、無端ベルト52が走行して記録媒体44が搬送される。無端ベルト52として、孔を有さず静電吸着により記録媒体44を吸着するものを用いてもよい。
【0053】
搬送部49の上方には、記録媒体44に対して液滴を吐出するヘッド部56が配設されている。ヘッド部56は記録媒体44の搬送方向と直交する図において上下方向に移動自在であり、記録ヘッド1のノズル面2のメンテナンス時にメンテナンス装置55がヘッド部56の下方に進入可能となるスペースを確保すべく上昇する。
【0054】
ヘッド部56には、図35に示すように液滴を吐出する記録ヘッド1が記録媒体44のほぼ全幅にわたるように配置されている。記録ヘッド1は、千鳥状となるように4列(1a,1b,1c,1d)配置され、各列5個(1a1〜1a5,1b1〜1b5,1c1〜1c5,1d1〜1d5)配置されている。本形態では、記録ヘッド1aにはイエロ(Y)が、記録ヘッド1bマゼンタ(M)が、記録ヘッド1cにはシアン(C)が、記録ヘッド1dにはブラック(K)がそれぞれ割り付けられ、千鳥状に配列されることにより150dpiの画像1ラインを形成している。各色のライン構成はこれに限られず、各色の配置もこれに限定されない。記録ヘッド1の構成もこれに限られず、記録ヘッドを2個並設して各記録ヘッドに1色のインクを入れた構成とし、画像解像度を向上させてもよい。ヘッド部56には、各記録ヘッド1a1〜1d5にインクをそれぞれ供給する分岐管が各色毎に配列され、分岐管の上部にはサブタンクが配設されている。サブタンクとヘッドとの水頭差により、記録ヘッド1のノズル3のメニスカスを保持するために適切な負圧が形成される。サブタンクの上流側には、インクを貯容するインクタンクが配設されている。
【0055】
搬送部49の左方には、記録媒体44を排紙する搬送ガイド部57が配設されており、搬送ガイド部57にて搬送された記録媒体はその左方に配設された排紙トレイ58上に排出される。排紙トレイ58には、記録媒体44の幅方向の揃えを行う1対のサイドフェンス59及び記録媒体44の搬送方向の揃えを行う1つのエンドフェンス60が設けられている。
【0056】
搬送部49の上方であってヘッド部56の右方には、記録ヘッド1のノズル面2をメンテナンスするメンテナンス装置5とほぼ同様に構成されたメンテナンス装置55が配設されている。メンテナンス装置55は、図36及び図37に示すように、各記録ヘッド1a1〜1d5に対応したキャップ手段8と同様のキャップ手段8a1〜8d5を有しており、各キャップ手段8a1〜8d5は各記録ヘッド1a1〜1d5と同様に千鳥状に5個4列配置されている。各キャップ手段8a1〜8d5は各記録ヘッド1a1〜1d5のノズル面2を覆うキャップ6をそれぞれ有しており、各キャップ手段8a1〜8a5―8b1〜8b5間及び8b1〜8b5−8c1〜8c5間にはブレード手段11と同様のブレード手段11a1〜11b5が配設されている。各キャップ手段8a1〜8d5は、キャップ6によりノズル面2を密閉した状態で図示しない吸引手段により液滴を吸引し、記録ヘッド1の吐出性能を回復させる。各キャップ手段8a1〜8a5,8b1〜8b5の下部には図示しない流路、吸引手段、圧力室等が配置されているが、これ等の配置はこれに限られず、コンパクト化を図るべくハウジング12の後側板の外側に配置し、チューブ等の経路を介して接続する構成等を採用してもよい。
【0057】
メンテナンス装置55には、メンテナンス装置5におけるキャップ手段8及びブレード手段11を上下動させる機構と同様の昇降機構部72が配置されており、この昇降機構部72の作動により各キャップ手段8a1〜8d5及び各ブレード手段11a1〜11b5が上下動される。また、メンテナンス装置55はメンテナンス装置5と同様にハウジング12が用紙搬送方向に沿ってスライド移動可能であり、記録ヘッド1のメンテナンス時にはハウジング12がヘッド部56の下方に位置し、記録動作時にはハウジング12は図22に示す位置に退避する。
【0058】
ハウジング12が退避位置を占めた際の上方にはクリーニング手段36が配設されている。記録ヘッド1のメンテナンス動作が完了してハウジング12が退避位置に位置した状態において、メンテナンス装置5と同様のキャップ手段8a1〜8d5及びブレード手段11a1〜11b5を上下動させる昇降機構部72が作動し、各キャップ手段8a1〜8d5及び各ブレード手段11a1〜11b5を上下動させてクリーニングを行う。クリーニング手段36には液滴を除去するためのウェブ吸収体37が設けられ、このウェブ吸収体37はメンテナンス装置55の各キャップ手段8a1〜8d5及び各ブレード手段11a1〜11b5が用紙幅方向である主走査方向に複数並べられていることに対応し、全領域以上の長さを有するように構成されている。
【0059】
上述のメンテナンス装置55では、各記録ヘッド1a1〜1d5に対応して各キャップ手段8a1〜8d5が配置されており、ノズル面2をキャッピングして保湿している。また、メンテナンス動作時には、先ず記録ヘッド1a1〜1a5からの空吐出インクを受け止めるべくクリーニング手段36が移動し、ウェブ吸収体37によって空吐出インクを直接吸収する。その後、同様に記録ヘッド1b1〜1b5,1c1〜1c5,1d1〜1d5からの空吐出が順次行われ、空吐出により吐出されたインクは全てウェブ吸収体37によって吸収される。次に記録ヘッド1a1〜1a5,1b1〜1b5をメンテナンスするためにキャップ手段8a1〜8a5,8b1〜8b5が記録ヘッド1a1〜1a5,1b1〜1b5と対応する位置までハウジング12が移動し、次に昇降機構部72が作動してキャップ手段8a1〜8a5,8b1〜8b5が上昇してキャッピングを行い、吸引動作に移る。その後、ブレード手段11a1〜11a5,11b1〜11b5が上昇した後にハウジング12がワイピング方向に移動してノズル面2のワイピングが行われる。その後、クリーニング手段36側にハウジング12が移動し、上述と同様にクリーニング動作が行われる。クリーニング動作後、記録ヘッド1c1〜1c5,1d1〜1d5のメンテナンス動作を行うべくキャップ手段8a1〜8a5,8b1〜8b5が記録ヘッド1c1〜1c5,1d1〜1d5と対応する位置までハウジング12が移動し、上述と同様にクリーニング動作が行われる。
【0060】
図38は、画像形成装置43の制御部を示すブロック図である。制御部61は、画像形成装置全体の制御を行うCPU62、CPU62が実行するプログラムやその他の固定データ等を格納するROM63、画像データ等を一時的に格納するRAM64、画像形成装置43の電源が遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリ(NVRAM)65、その他装置全体を制御するための入出力を処理するASIC66、ホスト側とのデータ及び信号の受信を行うためのホストI/F67、各ヘッドを駆動制御するためのヘッド駆動制御部及びヘッドドライバ、ヘッドアレイユニットを駆動するためのヘッドアレイユニット移動駆動部、搬送ベルト駆動モータを駆動するための搬送ベルト駆動部、吸引ファンモータを駆動するための吸引駆動部、メンテナンス装置移動モータ31を駆動するためのメンテナンス装置移動駆動部68、ブレード手段及びキャップ手段の昇降移動モータ24を駆動するためのブレード/キャップ昇降移動駆動部69、クリーニング装置巻取モータ40を駆動するためのクリーニング装置巻取駆動部70、制御手段42、環境温度及び湿度を検出する環境センサからの検知信号を入力するためのI/O等を備えている。
【0061】
この画像形成装置43によっても、クリーニング手段36に設けられたウェブ吸収体37が各記録ヘッド1から空吐出されるインクを直接吸収するので、空吐出されたインクを受容する受容部、インクを送出するポンプ、送出されるインクの廃液経路、送出されたインクを貯留する廃液タンク等の構成を省略することができ、画像形成装置の簡易化及び小型化を達成すると共に低コスト化を図ることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 記録ヘッド
2 ノズル面
5,55 メンテナンス装置
8 キャップ手段
11 ブレード手段
13 液滴
33,36,73 クリーニング手段
37 ウェブ吸収体
41 クリーニング移動手段
42 制御手段
43 画像形成装置
44 記録媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開平10−100450号公報
【特許文献2】特開2008−290400号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に液滴を吐出する記録ヘッドのノズル面をワイピングする移動可能なブレード手段と、前記ブレード手段と接触して前記ブレード手段に付着した液滴を除去するクリーニング手段とを有するメンテナンス装置において、
前記ブレード手段と接触可能な第1の位置と前記ノズル面と対応する第2の位置とに前記クリーニング手段を移動させるクリーニング移動手段と、前記クリーニング移動手段の作動を制御する制御手段とを有し、前記ノズル面より記録に関与しない液滴が吐出される空吐出が行われる際に、前記制御手段により前記クリーニング移動手段の作動を制御して前記クリーニング手段を第2の位置に位置させ、前記ノズル面より吐出される液滴を前記クリーニング手段により受け止めることを特徴とするメンテナンス装置。
【請求項2】
請求項1記載のメンテナンス装置において、
前記クリーニング手段は液滴を吸収するウェブ吸収体を有することを特徴とするメンテナンス装置。
【請求項3】
請求項2記載のメンテナンス装置において、
前記ウェブ吸収体は移動可能であり、移動により新たな液滴吸収面が供給されることを特徴とするメンテナンス装置。
【請求項4】
請求項3記載のメンテナンス装置において、
前記ウェブ吸収体は前記ブレード手段と接触した部分によって前記ノズル面から吐出される液滴を吸収するように移動されることを特徴とするメンテナンス装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか1つに記載のメンテナンス装置において、
前記ノズル面を覆う移動可能な前記キャップ手段を有し、前記制御手段は前記クリーニング移動手段の作動を制御して前記クリーニング手段を前記キャップ手段の前記ノズル面との接触部位と接触可能な位置に位置させ、前記キャップ手段に付着した液滴を除去することを特徴とするメンテナンス装置。
【請求項6】
請求項5記載のメンテナンス装置において、
前記キャップ手段の前記接触部位を前記ブレード手段と同じ高さに位置させ、前記クリーニング手段が第1の位置を占めた際に前記キャップ手段及び前記ブレード手段と前記クリーニング手段とがそれぞれ接触することを特徴とするメンテナンス装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1つに記載のメンテナンス装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7記載の画像形成装置において、
前記記録ヘッドが記録媒体の幅方向に複数配列されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8記載の画像形成装置において、
前記クリーニング手段が前記各記録ヘッドの何れか1つと対応する大きさに構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項8記載の画像形成装置において、
前記クリーニング手段が前記各記録ヘッドの少なくとも2つと対応する大きさに構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
記録媒体に液滴を吐出する記録ヘッドのノズル面をワイピングする移動可能なブレード手段と、前記ブレード手段と接触して前記ブレード手段に付着した液滴を除去するクリーニング手段とを有するメンテナンス装置において、
前記ブレード手段と接触可能な第1の位置と前記ノズル面と対応する第2の位置とに前記クリーニング手段を移動させるクリーニング移動手段と、前記クリーニング移動手段の作動を制御する制御手段とを有し、前記ノズル面より記録に関与しない液滴が吐出される空吐出が行われる際に、前記制御手段により前記クリーニング移動手段の作動を制御して前記クリーニング手段を第2の位置に位置させ、前記ノズル面より吐出される液滴を前記クリーニング手段により受け止めることを特徴とするメンテナンス装置。
【請求項2】
請求項1記載のメンテナンス装置において、
前記クリーニング手段は液滴を吸収するウェブ吸収体を有することを特徴とするメンテナンス装置。
【請求項3】
請求項2記載のメンテナンス装置において、
前記ウェブ吸収体は移動可能であり、移動により新たな液滴吸収面が供給されることを特徴とするメンテナンス装置。
【請求項4】
請求項3記載のメンテナンス装置において、
前記ウェブ吸収体は前記ブレード手段と接触した部分によって前記ノズル面から吐出される液滴を吸収するように移動されることを特徴とするメンテナンス装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか1つに記載のメンテナンス装置において、
前記ノズル面を覆う移動可能な前記キャップ手段を有し、前記制御手段は前記クリーニング移動手段の作動を制御して前記クリーニング手段を前記キャップ手段の前記ノズル面との接触部位と接触可能な位置に位置させ、前記キャップ手段に付着した液滴を除去することを特徴とするメンテナンス装置。
【請求項6】
請求項5記載のメンテナンス装置において、
前記キャップ手段の前記接触部位を前記ブレード手段と同じ高さに位置させ、前記クリーニング手段が第1の位置を占めた際に前記キャップ手段及び前記ブレード手段と前記クリーニング手段とがそれぞれ接触することを特徴とするメンテナンス装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1つに記載のメンテナンス装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7記載の画像形成装置において、
前記記録ヘッドが記録媒体の幅方向に複数配列されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8記載の画像形成装置において、
前記クリーニング手段が前記各記録ヘッドの何れか1つと対応する大きさに構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項8記載の画像形成装置において、
前記クリーニング手段が前記各記録ヘッドの少なくとも2つと対応する大きさに構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26(A)】
【図26(B)】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26(A)】
【図26(B)】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【公開番号】特開2011−240532(P2011−240532A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112571(P2010−112571)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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