説明

モジュール式型枠構造を用いたコンクリートブロックの製造方法

本発明はコンクリートブロックの製造方法に関しており、一つのベースフレームに複数の個別に選択可能な個別型枠を装着可能であり、前記ベースフレームXに選択された複数の個別型枠A、B、C及びDが実装されて、前記各個別型枠A、B、C及びDをロックするために、前記各個別型枠A、B、C及びDが前記ベースフレームXに取外し可能であるように接続され、前記各個別型枠A、B、C及びDに液状コンクリート材料が充填され、硬化後のコンクリートブロックが前記各個別型枠A、B、C及びDから取り出されて、前記各個別型枠A、B、C及びDが前記ベースフレームXから切り離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュール式型枠構造を用いたコンクリートブロックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、特許文献1から、一まとめのコンクリートブロックを製造するための頑丈な型枠が知られている。そのような型枠を用いた場合は、この頑丈な型枠により大きさが規定されてしまうコンクリートブロックを一つずつ製造することしかできない。頑丈な型枠全体を新たに製作しない限り、大きさが異なるコンクリートブロックを製造することはできない。
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0274344号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、多数の異なるコンクリートブロックの低コストでの製造を可能にする、コンクリートブロックの製造方法を提示することにある。他にも、そのような製造方法を実施するための型枠要素を提示することも本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題は、方法については請求項1の各特徴により解決される。方法の有利な変形例は従属請求項2〜7に説明される。型枠要素については、請求項8、9及び10の各特徴により上述の課題が解決される。
【0006】
本発明に従った方法により、顧客や製造業者の要望に応じて、大きさが異なるコンクリートブロックを製造することができる。これは、コンクリートブロックの製造に必要な型枠が、モジュール式に構成されると共に、一方ではベースフレームを、他方ではこのベースフレームに装着することができる個別に選択可能な複数の個別型枠を有することにより、実現される。
【0007】
顧客や製造業者の要望に応じて、作業工程の都度、全く異なる個別型枠が選択されて、所定のベースフレームに装着される。
本発明に従った方法は、このように異なる個別型枠を受け入れることによって、大きさが異なるコンクリートブロックの可変生産を可能とするものである。従来の材料が流し込まれる複数の所定の内型を有する金属製の頑丈な型枠(例:金属製、木製、ペゴプラン(Pegoplan)製、プラスチック製、合成材料製、白土製、又はセラミクス製)とは対照的に、本発明に従った方法により、所定のベースプレートに複数の異なる内側枠を実装することによって、直接的に連続する生産順序で異なるコンクリートブロックを製造することが可能となる。
【0008】
本発明に従った方法は、液状コンクリート、流動コンクリート、自己充填コンクリートを使用する作業、特にウェットキャスト法による作業において、非常に有利に使用することができる。そこでは、準備が整った型枠全体、即ち複数の個別型枠が装着されているその時々のベースフレームに、材料が流し込まれる。その後、製造されたコンクリートブロックは夫々の個別型枠から取り出され、最後にこれらの個別型枠がベースフレームから再び切り離される。要するに本発明に従った方法により、特に液状コンクリートを使用して製造されるコンクリートブロックの、極めてフレキシブルな生産が実現されるようになる。
【0009】
本発明に従った製造方法の有利な変形例においては、木製又は金属製のガロースフレームとして構成されるとよいベースフレームが備えられるようになっている。このベースフレームには、―モジュール式の組立キットの場合と同様に―ベースフレームが満杯になる迄、硬さも弾力もまちまちな複数の個別型枠をセットできるようになっている。ベースフレームを個別型枠だけで満杯にする代わりに、スペーサを装着するようにしてもよい。
【0010】
ベースフレームが個別型枠で満杯になった後は、液状コンクリートの装填時、及び他にも場合によっては輸送時及び積み重ね時の、個別型枠の望ましくない運動を防止するために、ベースフレームと夫々の個別型枠は、対応する接続要素(例:ピンと穴、溝とばね、さねはぎ、はめ合い、締め付け、引張り、ボルト等)により取外し可能であるように互いに接続されるようになっている。
【0011】
装填される液状コンクリートは、個別型枠の中空室を充填し、その硬化後に夫々の個別型枠から、その個別型枠の大きさを有するコンクリートブロックが取り出される。
その次の作業工程において、ベースフレームに複数の別の個別型枠を実装して、別の大きさのコンクリートブロックを製造することができる。
【0012】
所望されるのであれば、ベースフレームに個別型枠を装着する都度、常に複数の異なる個別型枠を装着するようにするとよく、それにより、頑丈な型枠の組セットを多数用意する必要なく―顧客や製造業者の要望に応じて―大きさ、形状、及び模様が異なるコンクリートブロックを製造できるようになる。
【0013】
本発明に従った方法の非常に有利な変形例においては、その時々に個別に選択可能な複数の個別型枠が、保管エリア(例:高層ラック倉庫)にいつでも使用できるように保管されるようになっている。これらの個別型枠は、それ自体としては公知である通常の取出しロボットにより取り出されて、準備が整ったベースフレームに実装するために搬送される。
【0014】
ベースフレームと各個別型枠は、製造後には再び互いから切り離されて、それ以上使用されない個別型枠は再び保管エリアに搬送される。ベースフレームは、繰り返して再使用して、新しい個別型枠を実装できるようになっている。
【0015】
即ち本発明に従った方法のこの変形例は、生産プロセスの全自動制御を可能とするものである。最初の工程では、コンピュータのユーザステーション(例:パーソナルコンピュータ)で顧客や製造業者が所望する個別型枠が選択される。続いて当該する実行ジョブが出力されて、個別型枠が保管エリアから取り出され、準備が整ったベースフレームに搬送され、これに装着され(例:はめ込まれ)、取外し可能であるようにこれに接続される。 本発明に従ったベースフレーム及び個別型枠は、特にモジュール式に構成され、それ自体としては公知であるように脱着自在(例:ピン接続)に構成されるとよい、差込式のロック及びロック解除が可能なモジュール式型枠システムを形成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に本発明を図面に示される実施例に基づき詳しく説明する。
図1には四つの異なる型枠A、B、C及びD(特に、材料を流し込むことができる、底面を有するフレーム要素であって、これらのフレーム要素は例えば方形の断面を有している)が示されている。このような個別型枠A、B、C及びDは、保管エリア3、特に自動ラック倉庫に保管されるとよい。個別型枠A、B、C及びDは、例えばプラスチック製フレームや木製フレーム等のフレーム要素から成るとよい。要するにこれらの個別型枠A、B、C及びDは、各個別型枠A、B、C及びDの内部空間1の大きさと等しいコンクリートブロックを製造する目的で、特に液状コンクリート材料を充填するために使用されるものである。
【0017】
図2には、図1に示される個別型枠A、B、C及びDを装着可能なベースフレームXが示されている。そのためにベースフレームXは、これを開くことができるようにする分割地点2を有しているとよい。各個別型枠A、B、C及びDには、夫々隣接する個別型枠A、B、C及びD、又はベースフレームXの穴の中に、組立キットの場合のように押し込むことができるピンが備えられるとよい。
【0018】
図3には、そのようにして図1に示される固定型枠A、B、C及びDを図2に示されるベースフレームXに取り付けた状態が示されている。そこでは形状全体がモジュール構造により形成されている。ベースフレームXには、次の生産順序で、個別型枠の全在庫の中から選択できるようになっている(詳細には図示されない)新たな個別型枠E、F、G、H、I、等々が実装されるとよい。
【0019】
図4には、保管エリア3からベースフレームXに実装6される所定の個別型枠A、B、C、D、E、F、等々を選択5するための、コンピュータのユーザステーション4(例:パーソナルコンピュータ)が示されている。製造後に個別型枠は、場合によっては清浄後に保管エリア3に再び戻される(工程7)。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】選択された四つの型枠A、B、C及びDの例を示した図である。
【図2】ベースフレームXの例を示した図である。
【図3】モジュール式に構成された型枠全体を示した図である。
【図4】コンクリートブロック製造方法を示す略図である。
【符号の説明】
【0021】
1 内部空間
2 分割地点
3 保管エリア
4 コンピュータ・ユーザステーション
5 選択工程
6 実装工程
7 戻し工程
A 個別型枠
B 個別型枠
C 個別型枠
D 個別型枠
E 個別型枠
F 個別型枠
X ベースフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートブロックの製造方法において、
一つのベースフレームに、個別に選択可能な複数の個別型枠を装着可能であり、
−前記ベースフレームに、選択された複数の個別型枠を実装する工程、
−前記各個別型枠をロックするために、前記各個別型枠を取外し可能であるように前記ベースフレームに接続する工程、
−前記各個別型枠に液状コンクリート材料を充填する工程、
−前記各個別型枠から硬化後のコンクリートブロックを取り出す工程、
−前記各個別型枠を前記ベースフレームから取り外す工程、
から成る、方法。
【請求項2】
前記ベースフレームが外側枠として構成される、請求項1の記載の方法。
【請求項3】
前記外側枠の内側に、複数の個別型枠が取外し可能であるように装着される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記各個別型枠が、取外し可能であるように互いに接続される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
異なる個別型枠の取り合わせが保管エリアに貯蔵される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
自動取出し装置により、個別に選択可能な複数の個別型枠が、実装のために前記保管エリアから前記ベースフレームに搬送される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記各個別型枠が、使用後には前記ベースフレームから切り離されて、再び前記保管エリアに搬送される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
コンクリートブロックの製造に用いられる、特に請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法によるコンクリートブロックの製造に用いられるベースフレームにおいて、前記ベースフレームが、内型に液状コンクリート材料を充填するために、複数の個別型枠と取外し可能であるように接続可能である、ベースフレーム。
【請求項9】
ベースフレーム、特に請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法によるコンクリートブロックの製造に用いられる特に請求項8に記載のベースフレームに装着される、個別型枠において、前記各個別型枠が、前記ベースフレームの対応する各接続要素に取外し可能であるように接続するための接続要素を有している、個別型枠。
【請求項10】
液状コンクリートが充填される一つ又は複数の個別に選択可能な個別型枠を取外し可能であるように装着可能な一つのベースフレームを有している、コンクリートブロック製造用のモジュール式型枠システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−518598(P2007−518598A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548110(P2006−548110)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【国際出願番号】PCT/DE2005/000061
【国際公開番号】WO2005/068144
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(506243219)
【Fターム(参考)】