説明

モダフィニル組成物

ラセミ、エナンチオマー的に純粋、およびエナンチオマー的に混合されたモダフィニルの多形および溶媒和物が形成され、そして検討されている。加えて、該形態は限定するわけではないがナルコレプシーを含む多くの状態の処置に有用であると説明されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
本発明はモダフィニルを含有する組成物、モダフィニルを含んでなる製薬学的組成物、およびその調製方法に関する。
【0002】
発明の背景
製薬学的組成物中の活性な製薬学的成分(active pharmaceutical ingredients:APIまたはAPIs(複数))は、様々な異なる形態に調製することができる。そのようなAPIは化学的誘導体、溶媒和物、水和物、共結晶または塩を含む種々の異なる化学的形態を有するように調製することができる。またそのようなAPIは異なる物理的形態を有するように調製することができる。例えばAPIは無定形であることができ、異なる結晶多形を有することができ、または異なる溶媒和もしくは水和状態で存在することができる。APIの形態を変動させることにより、それらの物理的特性を変化させることが可能である。例えば結晶多形は典型的には互いに異なる溶解性を有するので、より熱力学的に安定な多形は、熱力学的に安定性が低い多形よりも溶解性が低い。また製薬学的多形は寿命、生物学的利用性、形態、蒸気圧、密度、色および圧縮性のような特性にも差異を有することができる。したがってAPIの結晶状態の変化は、それらの物理的特性を調節するための多くの方法のうちの1つである。
【0003】
特に経口製剤として改善された特性を有するこれらAPIの新規形態を有することは有利である。具体的には上昇した水溶性および安定性を含め、有意に改善された特性を現すAPIの改善された形態を同定することが望ましい。さらに加工性、すなわち製薬学的製剤の調製を改善することが望ましい。例えばAPIの針状結晶形または晶癖は、APIが他の物質と混合されている組成物中でも凝集を生じる恐れがあるので、不均一な混合物が得られる。針状形態は濾過の問題も生じる恐れがある(例えば非特許文献1を参照にされたい)。また、API含有の製薬学的組成物の水中での溶解速度を上げ、経口的に投与される組成物の生物学的利用性を上げ、そして治療効果のさらに迅速な始まりを提供することが望まれている。また個体に投与した時、現在知られている形態のAPIの均等量と比べて、ピーク血漿レベルに早く達し、長く持続する治療的血漿濃度、および高い全体的な暴露量を有するAPI形態を有することが望ましい。
【0004】
ナルコレプシーの個体を処置するために使用するAPIであるモダフィニルは、特に水に不溶性である。モダフィニル(CAS登録番号:68693−11−8)は、構造(I)
【0005】
【化1】

【0006】
により表される。
【0007】
モダフィニルはキラルなS=O基によるキラル分子である。したがってモダフィニルは2つの異性体、R−(−)−モダフィニルおよびS−(+)−モダフィニルとして存在する。特に経口製剤として改善された特性を有するモダフィニルの新規形成を有することは有利である。具体的には有意に上昇した水溶性、および化学的および形態の安定性の両方を現すモダフィニルの改善された形態を同定することが望ましい。また、API含有の製薬学的組成物の水中での溶解速度を上げ、経口的に投与される組成物の生物学的利用性を上げ、そして治療効果のさらに迅速な始まりを提供することが望まれている。また個体に投与した時、現在知られている形態のAPIの均等量と比べて、ピーク血漿レベルに早く達し、かつ/または長く持続する血漿濃度、および高用量でより高い全体的な暴露量を有するAPI形態を有することが望ましい。
【非特許文献1】Mirmehrabi et al.J.Pharm.Sci.Vol.93,No.7,pp.1692−1700,2004
【発明の開示】
【0008】
発明の要約
今ここに、モダフィニルの多形および溶媒和物を得られることが分かった。その幾つかは遊離形のAPIに比べて異なる特性を有することができる。
【0009】
本発明の態様は限定するわけではないが、多形および溶媒和物を含め、ラセミモダフィニル、エナンチオマー的に純粋なモダフィニル(すなわちR−(−)−モダフィニルまたはS−(+)−モダフィニル)、または濃縮モダフィニル(例えば約55から約90パーセントeeの間)を含んでなることができる。同様に本発明の態様では、溶媒分子(例えば溶媒和物)も、ラセミ、エナンチオマー的に純粋、または濃縮された形態として存在することができる。
【0010】
別の態様では、本発明は以下のモダフィニル溶媒和物を提供する:クロロホルム、クロロベンゼン、酢酸エチルおよび酢酸。
【0011】
本発明の方法は、生産されたモダフィニルの多形または溶媒和物を製薬学的組成物に包含するさらなる工程(1もしくは複数)を含んでなることができる。
【0012】
さらなる態様では、本発明はR−(−)−モダフィニルの新規多形を提供する。具体的
な態様では、本発明はR−(−)−モダフィニルのIII、IVおよびV形を提供する。また本発明はR−(−)−モダフィニルの多形の作成法も提供する。
【0013】
さらなる態様では、本発明はR−(−)−モダフィニルの多形の作成法を提供し、この方法は:
(a)R−(−)−モダフィニルを準備し;
(b)R−(−)−モダフィニルの多形を適切な溶媒から結晶化する、
ことを含んでなる。
【0014】
さらなる態様では、R−(−)−モダフィニルの多形は有機溶媒から結晶化される。特定の態様では、有機溶媒はアセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、メタノール、メチルエチルケトン、N−メチルピロリドン、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、ホルムアミド、イソブチルアセテート、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、−キシレン、イソプロピルアセテート、ジクロロメタン、プロピレングリコール、酢酸、水、アセトン、ニトロメタン、トルエンおよびベンジルアルコールであることができる。純粋な溶媒および混合溶媒の両方が本発明に従い有機溶媒と考えられる。特定の態様では、有機溶媒はエタノールである。別の態様では混合溶媒系を使用してR−(−)−モダフィニルの多形を結晶化する。混合溶媒系は、例えばエタノールおよびイソプロピルアルコール、または酢酸エチルおよびエタノールであることができる。さらなる態様では、工程(b)の結晶化は熱的結晶化(thermal crystallization)を介して完了する。さらなる態様では、工程(b)の結晶化は溶媒の蒸発を介して完了する。
【0015】
別の態様では、製薬学的組成物は1もしくは複数のラセミモダフィニル、R−(−)−モダフィニルおよびS−(+)−モダフィニルの改変された放出プロファイルを含んでなる。改変された放出プロファイルは例えば、2重放出プロファイルのような2以上の最大血漿濃度を含んでなることができる。
【0016】
本発明はさらにモダフィニルの多形または溶媒和物を含んでなる薬、およびその作成法を提供する。典型的には薬はさらに1もしくは複数の製薬学的に許容され得る担体、希釈剤または賦形剤を含んでなる。本発明の薬剤を以下にさらに詳細に記載する。
【0017】
本発明の方法は各々、薬剤に包含されるモダフィニル多形または溶媒和物が生産されるさらなる工程(1もしく複数)を含んでなることができる。
【0018】
本発明のさらなる観点では、個体、好ましくはナルコレプシーに伴う過剰な日中の眠気、多発性硬化症に関連する疲労、不妊症、摂食障害、注意欠陥過活動性障害(ADHD)、パーキンソン病、失禁、睡眠時無呼吸、またはミオパシーに罹患しているヒト個体を処置する方法を提供し、ここでモダフィニルは該障害の効果的な活性薬剤である。この方法は個体に治療に有効な量のモダフィニルの多形または溶媒和物を投与することを含んでなる。
【0019】
別の態様では、限定するわけではないがナルコレプシーのような睡眠障害を含む1もしくは複数の上記状態または障害に罹患している個体を処置するための方法を提供し、この方法は個体に治療に有効な量のR−(−)−モダフィニルIII形、R−(−)−モダフィニル形IV形またはR−(−)−モダフィニルV形を投与することを含んでなる。
【0020】
発明の詳細な記述
モダフィニルの構造には立体中心を含むので、ラセミ体、2つの純粋な異性体の1つ、または任意の比率の2つの異性体対として存在することができる。ラセミモダフィニルの
化学名は、(±)−2−[(ジフェニルメチル)スルフィニル]アセトアミドである。ラセミモダフィニルの異性体対は、R−(−)−2−[(ジフェニルメチル)スルフィニル]アセトアミドまたはR−(−)−モダフィニル、およびS−(+)−2−[(ジフェニルメチル)スルフィニル]アセトアミドまたはS−(+)−モダフィニルである。
【0021】
本明細書で使用する場合には、そして他に特定しない限り、用語「エナンチオマー的に純粋」には実質的にエナンチオマー的に純粋である組成物を含み、そして例えば約90、91、92、93、94、95、96、97、98もしくは99パーセント以上のエナンチオマー過剰の組成物を含む。エナンチオマー過剰はエナンチオマーAのパーセント−エナンチオマーBのパーセントにより、または式:
eeパーセント=100*([R]−[S]/[R]+[S])により定められ、式中、RはR−(−)−モダフィニルのモル数であり、そしてSはS−(+)−モダフィニルのモル数である。
【0022】
本明細書で使用する用語「モダフィニル」には、ラセミ体、R−およびS−異性体の他の混合物、および単一エナンチオマーを含むが、ラセミ体、R−異性体、S−異性体、または両R−およびS−異性体の混合物として具体的に説明することができる。
【0023】
本明細書で使用する場合には、そして他に特定しない限り、用語「ラセミ」はモダフィニル、溶媒または両方のエナンチオマーの等モル混合物を含んでなる物質(例えば多形または溶媒和物)を指す。例えばモダフィニルおよび非立体異性体溶媒分子を含んでなる溶媒和物は、モダフィニルエナンチオマーの等モル混合物が存在する場合のみ、「ラセミ溶媒和物(racemic solvate)」である。同様に、モダフィニルおよび立体異性体溶媒分子を含んでなる溶媒和物は、モダフィニルエナンチオマーおよび溶媒分子のエナンチオマーの等モル混合物が存在する場合のみ「ラセミ溶媒和物」である。
【0024】
本明細書で使用する場合には、そして他に特定しない限り、用語「エナンチオマー的に純粋」とは、モダフィニルそして場合により立体異性体もしくは非立体異性体溶媒分子を含んでなる物質を指し、ここで立体異性体種のエナンチオマー過剰は、約90パーセントee(エナンチオマー過剰)以上である。
【0025】
本発明の目的に関し、溶媒和物または多形の形態のモダフィニルの化学的および物理的特性は、異なる形態のモダフィニルである参照化合物と比較することができる。参照化合物は遊離形、またはさらに具体的には遊離形の無水物もしくは水和物、またはさらに具体的には例えば半水和物(hemihydrate)、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物、五水和物;または遊離形態の溶媒和物と特定することができる。また参照化合物は結晶または無定形と特定することもできる。また参照化合物は参照化合物の特別な形態として知られている最も安定な多形と特定してもよい。
【0026】
本発明のモダフィニルおよび数種の溶媒分子は、1もしくは複数のキラル中心を有し、そして種々の立体異性体の立体配置で存在することができる。これらのキラル中心の結果として、本発明のモダフィニルおよび幾つかの溶媒和物はラセミ体、エナンチオマーの混合物として、および個々のエナンチオマーとして、ならびにジアステレオマーおよびジアステレオマーの混合物として存在する。すべてのそのようなラセミ体、エナンチオマーおよびジアステレオマーは本発明の範囲内にあり、そして例えばシス−およびトランス−異性体、R−およびS−エナンチオマー、および(D)−および(L)−異性体を含む。本発明の溶媒和物は、モダフィニルまたは溶媒分子または両方のいずれかの異性体を含むことができる。モダフィニルおよび溶媒分子の異性体には、限定するわけではないがエナンチオマーおよびジアステレオマーのような立体異性体を含む。1つの態様では、溶媒和物はラセミモダフィニルおよび溶媒分子を含んでなる。別の態様では、溶媒和物はエナンチ
オマー的に純粋なR−またはS−モダフィニルおよび溶媒分子を含んでなる。別の態様では、本発明の溶媒和物は、約1パーセント、2パーセント、3パーセント、4パーセント、5パーセント、10パーセント、15パーセント、20パーセント、25パーセント、30パーセント、35パーセント、40パーセント、45パーセント、50パーセント、55パーセント、60パーセント、65パーセント、70パーセント、75パーセント、80パーセント、85パーセント、90パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセント、99パーセントより高いか、またはその任意の中間値のエナンチオマー過剰のモダフィニルおよび/または溶媒分子を含んでなる。別の態様では、本発明の多形または溶媒和物は、約1パーセント、2パーセント、3パーセント、4パーセント、5パーセント、10パーセント、15パーセント、20パーセント、25パーセント、30パーセント、35パーセント、40パーセント、45パーセント、50パーセント、55パーセント、60パーセント、65パーセント、70パーセント、75パーセント、80パーセント、85パーセント、90パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセント、99パーセントより高いか、またはその任意の中間値のエナンチオマー過剰のモダフィニルを含んでなることができる。
【0027】
本発明に従えば、「濃縮された」モダフィニルはモダフィニルの両R−(−)−およびS−(+)−異性体を約5、6、7、8、9または10重量パーセント以上、そして約90、91、92、93、94または95重量パーセント以下の量で含んでなる。例えば67重量パーセントのR−(−)−モダフィニルおよび33重量パーセントのS−(+)−モダフィニルを含んでなる組成物は、濃縮されたモダフィニル組成物である。そのような例では、組成物はラセミ体でもエナンチオマー的に純粋でもない。用語「濃縮されたR−(−)−モダフィニル」は50パーセントより高いR−(−)−モダフィニルおよび50パーセント未満のS−(+)−モダフィニルを含むモダフィニルの組成物を記載するために使用することができる。同様に、用語「濃縮されたS−(+)−モダフィニル」は、50パーセントより高いS−(+)−モダフィニルおよび50パーセント未満のR−(−)−モダフィニルを含むモダフィニルの組成物を記載するために使用することができる。
【0028】
用語「R−(−)−モダフィニル」および「S−(+)−モダフィニル」は、濃縮されたモダフィニル、エナンチオマー的に純粋なモダフィニル、または実質的にエナンチオマー的に純粋なモダフィニルを記載するために使用することができるが、濃縮されたモダフィニル、エナンチオマー的に純粋なモダフィニルおよび/または実質的にエナンチオマー的に純粋なモダフィニルを特異的に排除するためにも使用することができる。
【0029】
エナンチオマー的に純粋かつ/またはエナンチオマー的に濃縮された成分(例えばモダフィニルまたは溶媒分子)を含んでなる溶媒和物および多形は、ラセミ成分を含んでなる対応する形態に関して調節された化学的かつ/または物理的特性を生じることができる。
【0030】
モダフィニルの多形および溶媒和物は、ラセミモダフィニル、エナンチオマー的に純粋なモダフィニルを用いて、またはR−(−)−およびS−(+)−モダフィニルの混合物(例えば濃縮されたモダフィニル)を用いて、本発明に従い調製することができる。
【0031】
別の態様では、本発明の溶媒和物および多形を含む組成物または薬は、PROVIGIL(商標)(セファロン社:Cephalon Inc.)に見いだされるような遊離形のモダフィニルと比較することができる。(米国再発効特許RE第37,516号明細書を参照にされたい)。
【0032】
別の態様では、本発明は以下の溶媒のモダフィニル溶媒和物を提供する:クロロホルム、クロロベンゼン、酢酸エチルおよび酢酸。
【0033】
製薬学的に許容され得る形態は、制御型(controlled)または遅延型(delayed)の放出手段により投与することができる。制御型放出の製薬学的生成物は、薬物療法の改善において非制御型放出のものにより達成される目標に優る共通した目標を有する。理想的には、薬物処置において最適に設計された制御型放出の調製物を使用することは、最短時間で状態を治癒または制御するために使用する薬剤物質が最少であることを特徴とする。制御型放出の製剤の利点には:1)薬剤の延長活性(extended activity);2)低下した投薬頻度;3)患者のコンプライアンスの上昇;4)少ない総薬剤の利用;5)局所的または全身的副作用の減少;6)薬剤蓄積の最少化;7)血中レベルの変動の減少;8)処置効力の改善;9)薬剤活性の強化または損失の減少;および10)疾患または状態の制御の速度の改善を含む。(Kim,Cherng−ju,制御型放出剤形の設計(Controlled Release Dosaga Form Design)、2テクノミック(Technomic)出版、ランカスター、ペンシルバニア州:2000)。
【0034】
通例の剤形は一般に、製剤から迅速または即座の薬剤放出を提供する。薬剤の薬理学および薬物動態学に依存して、従来の剤形の使用は患者の血中および他の組織中で薬剤濃度に広い変動を導く可能性がある。これらの変動は、投与頻度、作用の開始、効力期間、治療的血中レベルの維持、毒性、副作用等のような多くのパラメーターに影響を及ぼすことができる。有利なことには、制御型放出製剤は薬剤作用の開始、作用期間、治療ウインド内での血漿レベル、およびピーク血中レベルを制御するために使用することができる。特に制御型または延長型放出剤形または製剤は、薬剤の最大効力が達成されると同時に、薬剤の投与下(すなわち最少の治療レベル未満になる)、ならびに薬剤の毒性レベルを越える両方から起こり得る潜在的な悪影響および安全性の懸念を確実に最少にする。
【0035】
ほとんどの制御型放出製剤は、所望の治療効果を即座に生じる薬剤(有効成分)の量を最初に放出し、そして次第に、かつ連続的に長期間にわたりこの治療的または予防的効果のレベルを維持するための薬剤量を放出するように設計されている。体内でこの薬剤の一定レベルを維持するために、薬剤は体で代謝され、そして排出される薬剤の量に置き換わる速度で剤形から放出されなければならない。有効成分の制御型放出は、限定するわけではないがpH、イオン強度、浸透圧、温度、酵素、水および他の生理学的条件または化合物を含む種々の条件により刺激することができる。
【0036】
種々の知られている制御型または延長型−放出剤形、製剤およびデバイスは、本発明の溶媒和物、多形および組成物を用いた使用に適合させることができる。例には限定するわけではないが米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号;同第3,536,809号;同第3,598,123号;同第4,008,719号;同第5,674,533号;同第5,059,595号;同第5,591,767号;同第5,120,548号;同第5,073,543号;同第5,639,476号;同第5,354,556号;同第5,733,566号;および同第6,365,185B1号明細書(各々、引用により本明細書に編入する)に記載されているものを含む。これらの剤形は、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマー性物質、ゲル、透過性膜、浸透系(OROS(商標)(アルザコーポレーション(ALZA Corporation)、マウンテンビュー、カリフォルニア州、米国)のような)、多層コーティング、ミクロ粒子、リポソームまたは微小球、あるいはそれらの組み合わせを使用して、1もしくは複数の有効成分の遅延型または制御型放出を提供するために使用して、変動する比率で所望する放出プロファイルを提供する。加えて、イオン交換物質を使用して、固定化された、吸着した多形を調製することができ、すなわち薬剤の制御型送達を行うことができる。具体的なアニオン交換体の例には、限定するわけではないがDuolite(商標)A568およびDuolite(商標)AP143(ローム アンド ハース(Rohm & Haas)、スプリングハウス、ペンシルバニア州、米国)がある。
【0037】
本発明の一態様は、製薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物、脱水物、無水物またはそれらの無定形、および1もしくは複数の製薬学的に許容され得る賦形剤もしくは希釈剤を含んでなる単位剤形を包含し、ここで製薬学的組成物、薬または剤形は、制御型放出用に製剤される。特別な剤形は浸透性薬剤送達系を利用する。
【0038】
特に、そして周知な浸透性薬剤送達系にはOROS(商標)(アルザコーポレーション、マウンテンビュー、カリフォルニア州、米国)が挙げられる。この技術は本発明の化合物および組成物を送達するために容易に適合させることができる。この技術の様々な観点が米国特許第6,375,978B1号;同第6,368,626B1号;同第6,342,249B1号;同第6,333,050B2号;同第6,287,295B1号;同第6,283,953B1号;同第6,270,787B1号;同第6,245,357B1号;および6,132,420号明細書(各々、引用により本明細書に編入する)に開示されている。本発明の化合物および組成物を投与するために使用することができるOROS(商標)の具体的な適合例には、限定するわけではないがOROS(商標)Push−Pull(商標)、遅延型Push−Pull(商標)、多層Push−Pull(商標)、およびPush−Stick(商標)系を含み、このすべてが周知である。例えばhttp://www.alza.comを参照にされたい。さらに本発明の化合物および組成物の制御型経口送達用に使用できるOROS(商標)系には、OROS(商標)−CTおよびL−OROS(商標)がある。Id;また送達時間(Delivery Times)、第II巻、第II刷(アルザコーポレーション)も参照にされたい。
【0039】
通例のOROS(商標)経口剤形は、薬剤粉末を硬質の錠剤に圧縮し、錠剤をセルロース誘導体でコーティングして半透膜を形成し、次いでコーティングに出口を穴空けする(例えばレーザーによる)ことにより作成される。Kim,Cherng−ju、制御型放出剤形の設計(Controlled Release Dosaga Design)、231−238(テクノミック出版、ランカスター 、ペンシルバニア州:2000)。そのような剤形の利点は、薬剤の送達速度が生理学的または実験的条件により影響を受けない点である。たとえpH依存的溶解性の薬剤でも、送達媒質のpHには関係なく一定速度で送達され得る。しかしこれらの利点は投与後の剤形内に形成される浸透圧により提供されるので、通例のOROS(商標)薬剤送達系は、低い水溶性の薬剤を効果的に送達するために使用できない。Id.234.
【0040】
本発明の具体的な剤形は:壁に限定された空洞、壁は中に形成された、または形成可能な出口を有し、そして少なくとも壁の一部は半透性である;出口から離れた空洞内に位置し、そして壁の半透性部分と流路でつながる膨張可能な層;出口に隣接し、そして膨張可能な層と直接的または間接的に接する関係にある乾燥または実質的に乾燥した状態の薬剤層;および壁の内面と空洞内に位置する薬剤層の少なくとも外部表面との間に挿入された流動促進層を含んでなり、ここで薬剤層は多形、または溶媒和物、水和物、脱水物、無水物またはそれらの無定形を含んでなる。米国特許第6,368,626号明細書(これは引用により本明細書に編入する)を参照にされたい。
【0041】
本発明の別の具体的剤形は:壁に限定された空洞、壁は中に形成された、または形成可能な出口を有し、そして少なくとも壁の一部は半透性である;出口から離れた空洞内に位置し、そして壁の半透性部分と流路でつながる膨張可能な層;出口に隣接し、そして膨張可能な層と直接的または間接的に接する関係にある薬剤層;薬剤層は多孔性粒子に吸着した液体の活性製剤を含んでなり、多孔性粒子は液体の有意な滲出無しに圧縮した薬剤層を形成するために十分な圧縮力に耐えるように適合しており、剤形は場合により出口と薬剤層との間にプラセボ層を有し、ここで活性製剤は多形、または溶媒和物、水和物、脱水物、無水物またはそれらの無定形を含んでなる。米国特許第6,342,249号明細書(これは引用により本明細書に編入する)を参照にされたい。
【0042】
別の態様では、製薬学的組成物または薬は、本発明のモダフィニルの新規形態(例えば多形または溶媒和物)およびラセミモダフィニルの混合物を含んでなる。この態様は、例えば制御型の、徐放性の、または延長型の放出剤形として使用することができる。別の態様では、延長型放出剤形は、本発明のラセミモダフィニルおよび多形または溶媒和物を含んでなる。
【0043】
別の態様では、製薬学的組成物または薬は、1もしくは複数のラセミモダフィニル、R−(−)−モダフィニルおよびS−(+)−モダフィニルの修飾された放出プロファイルを含んでなる。修飾された放出プロファイルは、例えば二重放出プロファイルのような最大2以上の血漿濃度を含んでなることができる。そのような修飾された放出プロファイルは、例えば午後に起きていられない(loss of wakefulness)患者を、本発明の組成物または薬で処置する助けになり得る。投与から少なくとも2、3、4、5または6時間後のAPIの第2の「バースト」または放出は、そのような効果を克服する手助けとなり得る。別の態様では、投与直後に少量の負荷用量が放出される製薬学的組成物または薬を使用し、続いて2、3、4、5または6時間後にわたりおよそゼロ次の放出プロファイルを使用することができる。そのような組成物では、およそ正午にピーク血漿レベルに達する。
【0044】
別の態様では、モダフィニルの修飾された放出プロファイルを含んでなる製薬学的組成物または薬は、R−(−)−モダフィニルおよびS−(+)−モダフィニルを含んでなることができ、ここでR−(−)−モダフィニルが血漿濃度に初期の上昇を提供し(R−(−)−モダフィニルによる初期Cmax)、そしてS−(+)−モダフィニルが血漿濃度に遅れた上昇を提供する(S−(+)−モダフィニルによる後のCmax)。S−(+)−モダフィニルによる遅れたCmaxの上昇は、R−(−)−モダフィニルによる初期Cmaxの2、3、4、5、6時間以上後であることができる。別の態様では、遅れたCmaxはおよそ初期Cmaxに等しい。別の態様では遅れたCmaxは初期Cmaxよりも大きい。別の態様では遅れたCmaxは初期Cmaxよりも少ない。別の態様では遅れたCmaxは、S−(+)−モダフィニルの代わりにラセミモダフィニルに因る。別の態様では、遅れたCmaxは、S−(+)−モダフィニルの代わりにR−(−)−モダフィニルに因る。別の態様では、初期CmaxはR−(−)−モダフィニルの代わりにラセミモダフィニルに因る。
【0045】
別の態様では、初期CmaxはR−(−)−モダフィニルの代わりにS−(+)−モダフィニルに因る。別の態様では、修飾された放出プロファイルは血漿濃度に3、4、5以上の「バースト」を有する。
【0046】
別の態様では、モダフィニルの改変された放出プロファイルを含んでなる製薬学的組成物または薬剤、ここで1もしくは複数のラセミモダフィニル、R−(−)−モダフィニル、またはS−(+)−モダフィニルが溶媒和物または多形の状態で存在する。
【0047】
別の態様では、改変された放出プロファイルを含んでなる製薬学的組成物または薬、ここでR−(−)−モダフィニルが経口製剤中に使用されている。そのような組成物は、モダフィニルのスルホンへの初回通過代謝を最少にすることができる。別の態様では、改変された放出プロファイルを含んでなる製薬学的組成物または薬、ここでラセミモダフィニルが経口製剤中に使用されている。別の態様では、改変された放出プロファイルを含んでなる製薬学的組成物または薬剤、ここでS−(+)−モダフィニルが経口製剤中に使用されている。別の態様では、改変された放出プロファイルを含んでなる製薬学的組成物または薬剤、ここでラセミモダフィニルおよびR−(−)−モダフィニルが経口製剤中に使用
されている。別の態様では、改変された放出プロファイルを含んでなる製薬学的組成物または薬剤、ここでラセミモダフィニルおよびS−(+)−モダフィニルが経口製剤中に使用されている。別の態様では、改変された放出プロファイルを含んでなる製薬学的組成物または薬剤、ここでS−(+)−モダフィニルおよびR−(−)−モダフィニルが経口製剤中に使用されている。別の態様では、改変された放出プロファイルを含んでなる製薬学的組成物または薬剤、ここでラセミモダフィニル、S−(+)−モダフィニルおよびR−(−)−モダフィニルが経口製剤中に使用されている。
【0048】
別の態様では、モダフィニルの改変された放出プロファイルを含んでなる製薬学的組成物または薬剤が経皮的に投与される。そのような経皮的(TD)送達は、初回通過代謝を回避することができる。さらにピルおよび貼布法をとることができ、ここで毎日の用量の一部分のみが皮膚を通して送達され、基本となる全身レベルを生成し、これに経口治療が加わって覚醒効果を確実とする。
【0049】
本発明の製薬学的組成物および薬剤に用いられる賦形剤は固体、半固体、液体またはそれらの組み合わせであることができる。好ましくは、賦形剤は固体である。賦形剤を含む本発明の組成物および薬剤は、賦形剤とAPIまたは治療薬との混合を含んでなる、公知の製薬技術によって調製することができる。本発明の製薬学的組成物または薬剤は、用量単位あたりにAPIの所望量を含み、経口投与用を意図する場合には、例えば、錠剤、キャプレット、ピル、ハードまたはソフトカプセル、トローチ剤、カシェ剤、分包、顆粒、懸濁剤、エリキシル剤、分散剤、液体またはそのような投与に合理的に適合したその他のいずれかの形態とすることができる。非経口投与を意図する場合には、例えば、懸濁剤または経皮貼布の形態とすることができる。直腸内投与を意図する場合には、例えば、坐薬の形態とすることができる。現在、好適であるのは各用量単位が、それぞれ錠剤またはカプセルのように所定量のAPIを含む経口剤形である。
【0050】
本発明の製薬学的組成物または薬剤を調製するために使用することができる賦形剤を以下に例示するが、限定するものではない。
【0051】
本発明の製薬学的組成物および薬剤は、賦形剤として場合により1もしくは複数の製薬学的に許容される担体または希釈剤を含んでなる。適当な担体または希釈剤には、限定するわけではないが、例として単独でまたは組合せて無水ラクトースおよびラクトース一水和物を含むラクトース;直接圧縮できるデンプンおよび加水分解デンプン(例えば、Celutab(商標)およびEmdex(商標))を含むデンプン;マンニトール;ソルビトール;キシリトール;デキストロース(例えば、Cerelose(商標)2000)およびデキストロース一水和物;二塩基性リン酸水素カルシウム二水和物;シュクロース系希釈剤;粉糖;一塩基性硫酸カルシウム一水和物;硫酸カルシウム二水和物;硫酸カルシウム2水和物;粒状乳酸カルシウム三水和物;デキストレート(dextrates);イノシトール;加水分解穀類固体;アミロース;微晶質セルロース、αおよび非晶質セルロースの食品等級源(例えば、Rexce1J)、粉末セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含むセルロース;炭酸カルシウム;グリシン;ベントナイト;ブロックコポリマー;ポリビニルピロリドン;等を含む。そのような担体または希釈剤は、使用するならば、組成物の総重量の、合計約5%〜約99%、好ましくは約10%〜約85%、さらに好ましくは約20%〜約80%を構成する。選択された担体(1もしくは複数)、希釈剤(1もしくは複数)は適当な流動性を示すことが好ましく、錠剤が望まれる場合には、圧縮性を示すことが好ましい。
【0052】
ラクトース、マニトール、二塩基性リン酸水素ナトリウムおよび微晶質セルロース(特に、アビセルPH101等のアビセルPH微晶質セルロース)は、単独または組み合わせ
て好ましい希釈剤である。これらの希釈剤は、化学的にAPIと適合性である。極顆粒微晶質セルロース(すなわち微晶質セルロースを顆粒組成物に添加した)は硬度(錠剤に)および/または崩壊時間を改善するために使用することができる。ラクトース、とりわけラクトース一水和物が特に好ましい。一般にラクトースは、比較的低い希釈コストで、APIの適当な放出速度、安定性、予圧流動性および/または乾燥性を備えた組成物を提供する。それは造粒(湿式造粒法が用いられる場合)における緻密化を促進する高密度基質を与え、しだかって混合流動性および錠剤特性を改善することができるからである。
【0053】
本発明の製薬学的組成物および薬は、特に錠剤形成のために、賦形剤として場合により1もしくは複数の製薬学的に許容される崩壊剤を含んでいてもよい。適当な崩壊剤には、限定するわけではないが、単独でまたは組み合わせて、グリコール酸ナトリウムデンプン(例えば、PenWestのExplotab(商標))および糊化−コーンスターチ(例えば、ナショナル スターチ アンド ケミカル カンパニー(National Starch and Chemical Company)のNational(商標)1551、National(商標)1550およびColocorn(商標)1500)を含むデンプン;クレー(例えば、R.T. VanderbiltのVeegum(商標) HV)、精製セルロース、微結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムなどを含むセルロース、クロスカルメロースナトリウム(例えば、FMCのAc−Di−Sol(商標))、アルギン酸エステル、クロスポビドンおよびアガー、ガラナ、ローカストビーンガム、カラヤゴム、ペクチンゴムおよびトラガカントゴム等のゴムを含む。
【0054】
崩壊剤は、組成物の精製中、適当な工程で添加することができ、特に造粒の前または圧縮前の潤滑化工程中に添加することができる。そのような崩壊剤は、存在する場合には組成物の総重量の合計約0.2%〜約30%、好ましくは約0.2%〜約10%、さらに好ましくは約0.2%〜約5%を構成する。
【0055】
クロスカルメロースナトリウムは、錠剤またはカプセル崩壊のための崩壊剤として好ましい。存在する場合は、好ましくは組成物の総重量の約0.2%〜約10%、好ましくは約0.2%〜約7%、そしてさらに好ましくは約0.2%〜約5%を構成する。クロスカルメロースナトリウムは、本発明の顆粒状製薬学的組成物および薬剤に優れた顆粒間崩壊能を与える。
【0056】
本発明の製薬学的組成物および薬剤は、場合により賦形剤として特に錠剤製剤のために、1もしくは複数の製薬学的に許容される結合剤または接着剤を含む。そのような結合剤および接着剤は、好ましくは、錠剤にされる粉末が、分粒、潤滑、圧縮および包装等の通常の製造作業を可能とするのに十分な粘着を与えるが、それでも錠剤の崩壊を可能にし、摂取時に組成物の吸収を可能にする。またそのような結合剤は、いったん塩が溶液に溶解されれば、本発明のAPI塩の結晶化または再結晶化を防止または阻害することができる。適当な結合剤および接着剤には、限定するわけではないが、単独でまたは組み合わせて、アラビアゴム;スクロース;トラガカント;ゼラチン;グルコース;限定するわけではないが、糊化−デンプン(例えば、National(商標) 1511およびNational(商標)1500)等のデンプン;限定するわけではないが、メチルセルロースおよびカルメロースナトリウム(例えば、Tylose(商標))のようなセルロース;アルギン酸およびアルギン酸の塩;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;PEG;グアゴム;ポリサッカリドアシッド;ベントナイト;ポビドン、例えば、ポビドンK−15、K−30およびK−29/32;ポリメタクリレート;HPMC;ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、アクアロン(Aqualon)のKlucel(商標));およびエチルセルロース(例えば、ダウケミカルカンパニー(Dow Chemical Company)のEthocel(商標))がある。そのような結合剤および/または接着剤は、存在する場合には好ましくは組成物または薬の総重量の合計約0.5%〜約25%、好ましくは約0.75%〜約15%、そしてさらに好ましくは約1%〜約10%を構成する。
【0057】
多くの結合剤は、アミド、エステル、エーテル、アルコールまたはケトン基を含んでなるポリマーであり、そしてそのまま本発明の製薬学的組成物および薬剤に含まれることが好ましい。ポビドンK−30のようなポリビニルピロリドンが特に好ましい。ポリマー性結合剤は、分子量、架橋の程度およびポリマーグレードを変化させることができる。またポリマー性結合剤は、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド単位の混合物を含むブロックコポリマー等のような共重合体であることができる。得られるポリマーにおけるこれら単位の割合が変化することにより、性質および性能が影響を受ける。ブロック単位の組成変化を伴うブロックコポリマーの例には、ポロキサマー188およびポロキサマー237(BASFコーポレーション(Corporation))がある。
【0058】
本発明の製薬学的組成物および薬剤は、場合により賦形剤として、1もしくは複数の製薬学的に許容される湿潤剤を含んでいてもよい。そのような湿潤剤は、組成物の生物学的利用性を改善すると思われる条件で、水に密接に関連して、APIを維持するために、好ましく選択される。
【0059】
本発明の製薬学的組成物および薬剤において湿潤剤として使用することができる界面活性剤の例には、限定するわけではないが、第4アンモニウム化合物(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムおよび塩化セチルピリジニウム)、ジオクチルナトリウムスルホスクシネート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(例えば、ノンオキシノール9、ノンオキシノール10およびオクトキシノール9)、ポロキサマー(ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンブロック共重合体)、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリドならびに油(例えば、ポリオキシエチレン(8)カプリル/カプリン モノおよびジグリセリド(例えば、ガッテフォッセ(Gattefosse)のLabrasol(商標))、ポリオキシエチレン(35)ヒマシ油およびポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油);ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレン(20)セトステアリルエーテル)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えば、ポリソルべート20およびポリソルベート80(例えば、ICIのTween(商標)80))、プロピレングリコール脂肪酸エステル(例えば、プロピレングリコールラウリン酸エステル(例えば、ガッテフォッセのLauroglycol(商標))、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸およびそれらの塩(例えば、オレイン酸、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミン)、グリセリル脂肪酸エステル(例えば、モノステアリン酸グリセリル)、ソルビタンエステル(例えば、モノラウリル酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタンおよびモノステアリン酸ソルビタン)、チロキサポールならびにそれらの混合物が挙げられる。そのような湿潤剤は、存在するならば、製薬学的組成物または薬剤の総重量の合計約0.25%〜約15%、好ましくは約0.4%〜約10%およびさらに好ましくは約0.5%〜約5%を構成する。
【0060】
アニオン性界面活性剤である湿潤剤が好ましい。ラウリル硫酸ナトリウムは、特に好ましい湿潤剤である。ラウリル硫酸ナトリウムが存在する場合は、製薬学的組成物または薬剤の総重量の、約0.25%〜約7%、好ましくは約0.4%〜約4%、およびさらに好ましくは約0.5%〜約2%を構成する。
【0061】
本発明の製薬学的組成物および薬剤は、場合により1もしくは複数の製薬学的的に許容される潤滑剤(付着防止剤および/または流動促進剤(glidant)を含む)を賦形剤として含んでなる。適当な潤滑剤には、限定するわけではないが、単独でまたは組み合
わせて、グリセリルベハペート(behapate)(例えば、ガッテフォッセのCompritol(商標)888);ステアリン酸およびそれらの塩(マグネシウム、カルシウムおよびステアリン酸ナトリウムを含む);水素化植物油(例えば、アビテックのSterotex(商標));コロイドシリカ;タルク;ワックス;ホウ酸;安息香酸ナトリウム;酢酸ナトリウム;フマル酸ナトリウム;塩化ナトリウム;DL−ロイシン;PEG(例えば、ダウケミカルカンパニーのCarbowax(商標)4000およびCarbowax(商標)6000)、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム;およびラウリル硫酸マグネシウムを含む。そのような潤滑剤が存在する場合、製薬学的組成物または薬の総重量の合計約0.1%〜約10%、好ましくは約0.2%〜約8%およびさらに好ましくは約0.25%〜約5%を構成する。
【0062】
ステアリン酸マグネシウムは、例えば錠剤製剤の圧縮中、装置と顆粒状混合物との間の摩擦を減らすために使用される好ましい潤滑剤である。
【0063】
適当な付着防止剤には、限定するわけではないがタルク、コーンスターチ、DL−ロイシン、ラウリン硫酸ナトリウムおよび金属ステアリン酸塩を含む。タルクは、例えば、装置の表面に付着する製剤を減少させるため、および混合物中の静電気を減少させるためにも使用される好ましい付着防止剤または流動促進剤である。タルクが存在する場合、製薬学的組成物または薬の総重量の約0.1%〜約10%、より好ましくは約0.25%〜約5%、さらに好ましくは約0.5%〜約2%を構成する。
【0064】
流動促進剤は、固形製剤の紛体流を促進させるために使用することができる。適当な流動促進剤には、限定するわけではないが、コロイド状二酸化ケイ素、デンプン、タルク、三塩基性リン酸カルシウム、粉末化セルロースおよび三ケイ酸マグネシウムを含む。コロイド状二酸化ケイ素は、特に好ましい。
【0065】
着色剤、香料および甘味料等の他の賦形剤が製薬学的分野で知られており、そして本発明の製薬学的組成物および薬にも使用することができる。錠剤は、例えば、腸溶性コーティングで被覆してもよいし、被覆しなくてもよい。本発明の組成物は、さらに緩衝剤を含んでなることができる。
【0066】
場合により、1もしくは複数の発泡剤を崩壊剤として用いることができ、かつ/または本発明の製薬学的組成物および薬剤の感覚受容性を高めるために使用してもよい。本発明の製薬学的組成物および薬剤に、剤形の崩壊を促進するために存在する場合、1もしくは複数の発泡剤は製薬学的組成物または薬剤の総重量の、合計約30%〜約75%、そして好ましくは約45%〜約70%、例えば約60%の量で存在することが好ましい。
【0067】
本発明の特に好ましい態様では、発泡剤が剤形の崩壊を促進するために有効な量よりも少ない量で固体剤形中に存在すると、水性媒質におけるAPIの分散が改善される。理論に拘束されることなく、発泡剤は消化管で剤形からのAPIの分散を加速させるのに効果的であると考えられ、これによりさらに吸収を高め、迅速に治療効果を発現させることができる。崩壊を高めることなく胃腸内での分散を促進させるために、本発明の製薬学的組成物または薬剤に存在する場合、発泡剤は好ましくは製薬学的組成物または薬剤の総重量の約1%〜約20%、さらに好ましくは約2.5%〜約15%、さらに好ましくは約5%〜10%の量で存在することが好ましい。
【0068】
本明細書で「発泡剤」は、一緒にまたは単独で作用して、水との接触でガスを生じさせる1もしくは複数の化合物を含んでなる作用物質である。その発生したガスは一般に酸素であり、また最も多くは二酸化炭素である。好ましい発泡剤は、水の存在下で反応して二酸化炭素ガスを発生させる酸および塩基を含んでなる。好ましくは、塩基はアルカリ金属
またはアルカリ土類金属炭酸塩または重炭酸塩であり、そして酸は脂肪族カルボン酸を含んでなる。
【0069】
本発明で有用な発泡剤成分として適当な塩基の非限定的例には、炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム)、重炭酸塩(例えば、重炭酸塩ナトリウム)、セスキ炭酸塩およびそれらの混合物を含む。炭酸カルシウムは好ましい塩基である。
【0070】
本発明で有用な発泡剤および/または固形酸の成分として適当な非限定的な酸には、クエン酸、酒石酸(D−、L−またはD/L−酒石酸のような)、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸、それらの酸の酸無水物、そのような酸の酸性塩およびそれらの混合物を含む。クエン酸が好ましい酸である。
【0071】
本発明の好ましい態様では、発泡剤が酸および塩基を含む場合、酸:塩基の重量比は、約1:100から約100:1、より好ましくは約1:50から約50:1、さらに好ましくは約1:10から約10:1である。本発明のさらに好ましい態様では、発泡剤が酸および塩基を含んでなる場合には、酸:塩基の比はほぼ化学量論的である。
【0072】
APIの金属塩を可溶化する賦形剤は、一般に親水性および疎水性部位の双方を有するか、または好ましくは両親媒性であるか、または両親媒性部位を有するものである。両親媒性または部分的に両親媒性である賦形剤の1種は、両親媒性ポリマーを含むか、両親媒性ポリマーである。特定の両親媒性ポリマーはポリアルキレングリコールであり、これは通常、エチレングリコールおよび/またはプロピレングリコールサブユニットから構成される。そのようなポリアルキレングリコールは、その末端でカルボン酸、エステル、酸無水物または他の適当な分子でエステル化され得る。そのような賦形剤の例には、ポロキサマー(エチレングリコールおよびプロピレングリコールの対称ブロック共重合体、例えば、ポロキサマー237)、トコフェロールのポリアルキレングリコール化エステル(ジ−または多−官能性カルボン酸から形成されるエステル、例えば、d−α−トコフェロールポリエチレングリコール−1000コハク酸エステルを含む)およびマクロゴールグリセリド(モノ、ジおよびトリグリセリドおよびモノおよびジエステルの混合物を生成するために、油のアルコール分解およびポリアルキレングリコールのエステル化により形成されたもの、例えば、ステアロイルマクロゴール−32グリセリド)を含む。そのような製薬学的組成物および薬剤は経口投与に有利である。
【0073】
本発明の製薬学的組成物および薬剤は、APIを重量で約10%から約50%、約25%から約50%、約30%から約45%または約30%から約35%;結晶化を阻害する賦形剤を重量で約10%から約50%、約25%から約50%、約30%から約45%、約30%から約35%;結合剤を重量で約5%から約50%、約10%から約40%、約15%から約35%または約30%から約35%を含む。一つの例では、APIと、結晶化を阻害する賦形剤と、結合剤との重量比は約1:1:1である。
【0074】
本発明の固体剤形は、本明細書に記載の方法に限定されることなく、いずれかの適当な方法によって調製することができる。
【0075】
例示される方法は、(a)本発明のAPI塩を、1もしくは複数の賦形剤と混合してブレンドを形成する工程、および(b)ブレンドを打錠またはカプセル化して、錠剤またはカプセルをそれぞれ形成する工程を含む。
【0076】
好ましい方法では、固体剤形は、(a)本発明のAPI塩を1もしくは複数の賦形剤とブレンドする工程、(b)ブレンドを造粒し、顆粒を形成する工程、そして(c)ブレンドを打錠またはカプセル化して、錠剤またはカプセルをそれぞれ形成する工程を含む方法
により調製される。工程(b)は、当該技術分野で知られる他の乾燥または湿式造粒法によって行うことができるが、好適であるのは乾燥造粒工程である。本発明の塩は、約1ミクロメーターから約100ミクロメーター、約5ミクロメーターから約50ミクロメーターまたは約10ミクロメーターから約25ミクロメーターの粒子を有利に形成するために造粒される。1もしくは複数の希釈剤、1もしくは複数の崩壊剤および1もしくは複数の結合剤を、例えばブレンド工程で加え、湿潤剤を場合により例えば造粒工程で加えることができ、そして1もしくは複数の崩壊剤を、造粒後、しかし打錠またはカプセル化する前に加える。潤滑剤は、好ましくは打錠する前に加える。ブレンドおよび造粒は低いまたは高い剪断下、別々に行うことができる。カプセル充填または打錠中に重量ばらつきを容易に制御することができるように、API含量が均一な顆粒を形成する方法;容易に崩壊する顆粒を形成する方法;十分容易に流動する顆粒を形成する方法;および選択された装置でバッチを処理することができ、それぞれの用量が特定のカプセルまたは錠剤金型に適合するように、嵩が十分に高密度である顆粒を形成する方法;を選択することが好ましい。
【0077】
別の態様では、固体剤形は、噴霧乾燥工程を含む方法により調製され、ここでAPIは、1もしくは複数の噴霧可能な液体中、好ましくは、非プロトン性(例えば、非水性または非アルコール性)の噴霧可能な液体中に、1もしくは複数の賦形剤とともに懸濁され、次いで、温かい空気の流れで迅速に噴霧乾燥される。
【0078】
上記の具体的説明のいずれかから生成される顆粒または噴霧乾燥粉末は、錠剤を調製するため圧縮または成形することができ、あるいはカプセルを製造するためにカプセル化することができる。当該技術分野で知られる通常の打錠またはカプセル化技術を用いることができる。被覆された錠剤が所望される場合、通常のコーティング技術が適当である。
【0079】
本発明の錠剤組成物用の賦形剤は、標準崩壊試験において、約30分未満、好ましくは約25分以下、さらに好ましくは約20分以下、さらに好ましくは約15分以下の崩壊時間を与えるように選択されることが好ましい。
【0080】
本発明の別の態様では、モダフィニルおよび付加的なAPIを含んでなる製薬学的組成物または薬を調製することができる。モダフィニルおよび付加的なAPIは混合物として、または活性な製薬学的成分の組み合わせとして含むことができる。例えば組成物は組み合わせ物としてモダフィニルおよびカフェインを含んでなることができる。モダフィニルおよびカフェインを含んでなる組成物は、モダフィニルと同じ状態を処置するための治療薬として使用することができる。モダフィニルおよびカフェインを含んでなるそのような組成物では、カフェインは溶解プロファイルに即座に放出される特性(モダフィニルに比べて小さいTmax)を生じることができると同時に、モダフィニルは投与後、数時間存在する治療効果を生じる。例えばカフェインのTmaxはモダフィニルの0.001、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7または0.8倍となり得る。併用療法(combination therapy)は、同じ製剤中に2以上のAPIの投与を含んでなるか、または2以上の同時に投与される製剤を含んでなる。APIは同時に一緒に、または特定間隔で個別に投与されることができる。
【0081】
さらなる態様では、本発明はR−(−)−モダフィニルの新規多形を提供する。具体的態様では、本発明はR−(−)−モダフィニルのIII、IVおよびV形を提供する。また本発明はR−(−)−モダフィニルの多形の作成法も提供する。
【0082】
さらなる態様では、本発明はR−(−)−モダフィニルの多形の作成法を提供し、この方法は
(a)R−(−)−モダフィニルを準備し;そして
(b)R−(−)−モダフィニルの多形を適切な溶媒から結晶化する、
ことを含んでなる。
【0083】
さらなる態様では、R−(−)−モダフィニルの多形を有機溶媒から結晶化する。特定の態様では、有機溶媒はエタノールである。別の態様では、混合溶媒系を使用してR−(−)−モダフィニルの多形を結晶化する。混合溶媒系は、例えばエタノールおよびイソプロピルアルコール、または酢酸エチルおよびエタノールであることができる。さらなる態様では、工程(b)の結晶化は熱的再結晶化を介して完成される。さらなる態様では、工程(b)の結晶化は溶媒の蒸発を介して完成される。
【0084】
モダフィニルの用途は当該技術分野では周知であり、そしてナルコレプシー、多発性硬化症に関連する疲労、不妊症、摂食障害、注意欠陥過活動性障害(ADHD)、パーキンソン病、失禁、睡眠時無呼吸またはミオパシーの処置を含む。別の態様では、本発明の1もしくは複数のモダフィニル組成物を、上記の1もしくは複数の状態の処置に使用することができる。本発明のモダフィニル組成物に関する投薬用量および投与は、当該技術分野での日常的な方法を使用して決定することができるが、一般に約50から約700mg/日の間である。
【0085】
別の態様では、限定するわけではないがナルコレプシーのような睡眠障害を含む上に挙げた1もしくは複数の状態または障害に罹患している個体の処置法を提供し、この方法は個体に治療に有効な量のR−(−)−モダフィニルIII形、R−(−)−モダフィニルIV形またはR−(−)−モダフィニルV形を投与することを含んでなる。
【0086】
別の態様では、本発明の組成物は注射を介して哺乳動物に投与することができる。注射には限定するわけではないが、静脈内、皮下および筋肉内注射を含む。別の態様では、本発明の組成物は治療効果を必要としている哺乳動物への注射用に配合される。
【実施例】
【0087】
分析法
サンプルの示差走査熱量(DSC)分析は、Q1000示差走査熱量計(TAインストゥルメンツ(Instruments)、ニューキャッスル、デラウエア州、米国)を使用して行い、これはアドバンテイジ フォー QW−シリーズ(Advantage for QW−Series)、バージョン1.0.0.78、サーマル アドバンテージ リリース(Thermal Advantage Release)2.0(2001 TAインストゥルメンツ−ウォーター(Water)LLC)を使用する。加えて、使用した分析ソフトウェアは、ウィンドウズ95/98/2000/NT用のユニバーサルアナリシス(Universal Analysis)2000、バージョン3.1E:ビルド(Build)3.1.0.40(2001 TAインストゥルメンツ−ウォーターLLC)であった。
【0088】
DSC分析に関して、使用したパージガスは乾燥窒素であり、参照物質は両端をかしめた(crimp)空のアルミニウムパンであり、そしてサンプルパージは50mL/分であった。
【0089】
サンプルのDSC分析は、モダフィニルサンプルをかしめたパンクロージャーを用いてアルミニウムパンの中に配置することにより行った。出発温度は典型的には20度Cであり、加熱速度は10度C/分であり、そして終了温度は200度Cであった。すべての報告されたDSC転移は、特に示さない限り、+/−2度Cの誤差で各々のピークでの吸熱または発熱転移の温度を表す。
【0090】
サンプルの熱重量分析(TGA)はQ500熱重量分析機(TAインストゥルメンツ、
ニューキャッスル、デラウエア州、米国)を使用して行い、これはアドバンテイジ フォー QW−シリーズ、バージョン1.0.0.78、サーマル アドバンテージ リリース(Thermal Advantage Release)2.0(2001 TAインストゥルメンツ−ウォーターLLC)を使用する。加えて、使用した分析ソフトウェアは、ウィンドウズ95/98/2000/NT用のユニバーサルアナリシス2000、バージョン3.1E:ビルド3.1.0.40(2001 TAインストゥルメンツ−ウォーターLLC)であった。
【0091】
TGA実験に関して、使用したパージガスは乾燥窒素であり、バランスパージは40mL/分Nであり、そしてサンプルパージは60mL/分Nであった。
【0092】
サンプルのTGAは、モダフィニルサンプルを白金のパン中に配置して行った。出発温度は典型的には20度Cであり、加熱速度は10度C/分であり、そして終了温度は300度Cであった。
【0093】
サンプルに関する粉末X線回折(powder X−ray diffraction:PXRD)パターンは、D/Maxラピッド(Rapid)、コンタクト(Contact)(Rigaku/MSC、ウッドランド、テキサス州、米国)を使用して得、これはその制御ソフトウェアとしてRINTラピッドコントロールソフトウェア、Rigaku Rapid/XRD、バージョン1.0.0(1999、リガク社(Rigaku Co.)を使用する。加えて、使用した分析ソフトウェアはRINTラピッドディスプレイソフトウェア、バージョン1.18(Rigaku/MSC)、およびJADE XRDパターンプロセッシング、バージョン5.0および6.0((1995−2002、マテリアルデータ社(Material Data,Inc.))であった。
【0094】
PXRD分析に関して、獲得パラメーターは以下の通りであった:源(source)は1.5406ÅにKラインを有するCuであった:x−yステージはマニュアルであった;コリメーターサイズは0.3mmであった;毛細管(チャールズ サパー カンパニー(Charles Supper Company)、ナチック、マサチューセッツ州、米国)は0.3mmIDであった;反射モードを使用した;X線管に対する電力は46kVであった;X線管に対する電流は40mAであった;オメガ−軸は1度/分の速度で0〜5度の範囲で振動していた;フィ−軸は2度/秒の速度で360度の角度で回転していた;0.3mmコリメーター;回収時間は60分であった;温度は室温であった;そしてヒーターは使用しなかった。サンプルはホウ素がリッチなガラスキャピラリー中でX線源に提示された。
【0095】
さらに分析パラメーターは以下の通りであった;積分の2−シータ範囲は2〜60度であった;積分のカイ範囲は0〜360度であった;カイセグメントの数は1であった;使用したステップサイズは0.02であった;積分の有用性はシリント(cylint)であった;標準化を使用した;ダークカウントは8であった;オメガオフセットは180であった;そしてカイおよびフィーオフセットは0であった。
【0096】
またPXRD回折図もブルカー(Bruker)AXS D8 Discover X線回折計を介して得た。この装置はGADDS(商標)(一般面積回折検出システム:General Area Diffraction Detection System)、システムのカリブレーション毎に15.05cmの距離でブルカーAXS HI−STAR面積検出器(Area Detector)、銅源(Cu/Kα1.54056オングストローム)、自動化x−y−zステージ、および0.5mmのコリメーターを備えていた。サンプルをペレット形に圧縮し、そしてx−y−zステージに乗せた。サンプルを静止させたまま、回折図は周囲条件(25度C)下で、反射モードにおいて40kVおよび40mAの電力設定で得た。露出時間を変動させ、そして各サンプルについて特定した。得られた回折図は、面積検出器の幾何学的な糸巻き形ひずみを説明するために空間的リマッピング(remapping)法を受け、次いでカイに沿って−118.8から−61.8度、および2−シータ2.1−37度を、0.02度のステップサイズで積分し、ビンノーマライズ(bi normalize)に対して標準化を設定した。
【0097】
回折図におけるピークの相対的強度は、ピーク強度が例えば結晶の不純物によりサンプル毎に変動する可能性があるので、あながちPXRDパターンの限界とはならない。さらに各ピークの角度は、約+/−0.1度、好ましくは約+/−0.05度まで変動することができる。全パターンまたはパターンのピークのほとんどは、カリブレーション、設定における差異、および装置毎および操作者毎の他の変動により約+/−0.1度〜約+/−0.2度までシフトする可能性がある。図面、実施例および本明細書のいたるところにおいて報告されたすべてのPXRDピークは、約±0.1度2−シータの誤差で報告されている。
【0098】
表および図面を含む本明細書中のPXRDデータに関して、本発明の各組成物は、任意の1、2、3、4、5、6、7または8以上の2シータ角のピークを特徴とすることができる。任意の1、2、3、4、5または6個のDSC転移も本発明の組成物を特徴付けるために使用することができる。PXRDピークおよびDSC転移の種々の組み合わせも、組成物を特徴付けるために使用することができる。
【0099】
熱(ホットステージ)顕微鏡は、メットラー(Mettler)のToledo FP90コントローラーを備えたツァイス(Zeiss)のAxioplan2顕微鏡で行った。使用したホットステージは、メットラーのToledo FP82HTであった。すべての融点測定は、サンプルを顕微鏡のスライドに置き、カバースリップで覆って行った。初期温度は30度Cに設定し、そして温度を10度C/分の速度で上げた。融解は、5xの顕微鏡対物レンズを介して観察した。
【0100】
HPLC法:(Donovan et al.Therapeutic Drug Monitoring 25:197−202から適用した。
【0101】
カラム:アステック(Astec)のCyclobond I 2000 RSP 250×4.6mm(PartNo.411121)
移動相A:20mM リン酸ナトリウム、pH3.0
B:70:30の移動相A:アセトニトリル
流速:1.0mL/分(〜1500PSI)
溶出プログラム:勾配
実施時間:35分
検出:UV@225nm
注入容量:10マイクロリットル
カラム温度:30+/−1度C
標準希釈:90:10(容量/容量)移動相A:アセトニトリル
針洗浄:アセトニトリル
パージ溶媒&シール溶媒:90:10(容量/容量)水:アセトニトリル
【0102】
移動相の調製:
1.1Mの一塩基性リン酸ナトリウムの調製;120gの一塩基性リン酸ナトリウムを水に溶解し、そして1000mLとする;濾過
2.移動相A(20mM リン酸ナトリウム、pH3.0の調製):1リットルにつき、20mLの1Mリン酸ナトリウムを1000mLに水で希釈する;pHはリン酸で3.0
に調整する。
3.移動相B(70:30(容量/容量)の20mMリン酸ナトリウム、pH3.0:アセトニトリル)の調製:1リットルにつき、700mLの移動相Aおよび300mLのアセトニトリルを混合する。
【0103】
サンプル調製:
1.サンプルを90:10(容量/容量)の20mM リン酸ナトリウム、pH3.0:アセトニトリルに、約20マイクログラム/mLの濃度で溶解する
ラマンデータの獲得(Raman Acquisitions)
【0104】
サンプルは処理したガラスバイアルに残すか、またはサンプルのアリコートをガラススライドに移すかのいずれかを行った。ガラスバイアルまたはスライドをサンプルチャンバーに配置した。測定は、785nmのレーザー源を備えたAlmega(商標)Dispersive Raman(Almega(商標)Dispersive Raman、Thermo−Nicolet、5225、ベロナロード、マジソン、ウィスコンシン州、 53711−4495)システムを使用して作成した。サンプルは10x倍率の対物レンズ(特に記さない限り)を備えた装置の顕微鏡部分を使用して手で焦点を合わせ、すなわちレーザーをサンプルの表面に向けた。スペクトルは表Aに概説するパラメーターを使用して得た。(露出時間および露出回数は変動してよい;パラメーターに対する変化は各獲得データについて示す)。
【0105】
【表1】

【0106】
IRデータの獲得
IRスペクトルはNexusTM470FT−IR、Thermo−Nicolet、5225、ベロナロード、マジソン、ウィスコンシン州53711−4495を使用して得、そしてコントロールおよび分析ソフトウェアを用いて分析した:OMNIC、バージョン6.0a、(C)Thermo−Nicolet,1995−2004。
【0107】
実施例1
2:1のR−(−)−モダフィニル:S−(+)−モダフィニル
無水アンモニアガスを、R−ベンズヒドリルスルフィニルメチルエステル(8.62g、0.0299モル、重量で約80:20のR−異性体:S−異性体)を含有する溶液(125mLのメタノール中)に、10分間通気した。反応から生じた圧により、重炭酸ナトリウムの逆流がトラップから反応混合物への流れを生じた。反応を止め、そして沈殿を集めた。濾液を減圧下で濃縮し、黄色い固体残渣(2.8g)を得た。黄色い固体をカラムに通した(シリカゲル、9385等級、230〜400、メッシュ60オングストローム)、溶出液として3:1容量/容量の酢酸エチル:ヘキサン)。次いで濾液を合わせ、そして減圧下で濃縮し、わずかに黄色い固体を得た(ほとんどの黄色い色はカラムに残った)。次いで固体は、混合物が沸騰するまで加熱し、そして室温に冷却することによりエタノールから再結晶化して、2:1のR−(−)−モダフィニル:S−(+)−モダフィニルを無色の固体として得た(580mg)。得られた固体についてPXRDおよびDSC分析を行い、そして固体が重量で約2:1のR−(−)−モダフィニル:S−(+)−モダフィニルの純粋な状態であると決定した。
【0108】
上で得られた2:1のR−(−)−モダフィニル:S−(+)−モダフィニル固体は、限定するわけではないが8.97、10.15、12.87、14.15、15.13、15.77、18.19および20.39度の2−シータを含め、図1における任意の1、2、3、4、5または6個以上のピークにより特徴付けることができる(集めたデータ)。
【0109】
上に記載した固体のDSCは約167度Cで吸熱転移を示した(図2を参照にされたい)。
【0110】
実施例2
R−(−)−モダフィニルの多形
R−(−)−モダフィニルの数種の多形を観察し、各々をPXRDにより特性決定した。図3、6および9は、多形III、IVおよびVのPXRD回折図を示す(集めたデータ)。
【0111】
再結晶化は、R−(−)−モダフィニルの多形の形成および獲得に効果的技法であることが証明された。1もしくは複数のR−(−)−モダフィニルの多形の結晶化用に適当な溶媒には、限定するわけではないがアセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、メタノール、メチルエチルケトン、N−メチルピロリドン、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、ホルムアミド、イソブチルアセテート、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、−キシレン、イソプロピルアセテート、ジクロロメタン、プロピレングリコール、酢酸、水、アセトン、ニトロメタン、トルエンおよびベンジルアルコールを含む。純粋な溶媒および溶媒混合物は、1もしくは複数のR−(−)−モダフィニルの多形を結晶化するために使用することができる。
【0112】
R−(−)−モダフィニルIII形
無水アンモニアガスを、R−ベンズヒドリルスルフィニルメチルエステル(8.3g、0.0288モル)を含有する溶液(75mLのメタノール中)に、10分間通気した。次いで反応物を5度Cの氷浴中で1時間撹拌し、そしてアンモニアガスをさらに10分間通気した。さらに2時間撹拌を続け、そしてアンモニアガスを再度、10分間通気した。さらに1時間撹拌した後、沈殿が形成し(575mg)、そして集めた。次いで濾液を濃HClを使用して中和し、そしてさらに形成した沈殿を集めた。次いで固体残渣を1:1容量/容量のエタノールとイソプロピルアルコールの混合物から、混合物が沸騰するまで加熱し、次いで室温に冷却することにより再結晶化して、R−(−)−モダフィニルIII形を無色の固体として得た(1.01g)。
【0113】
R−(−)−モダフィニルIII形は、限定するわけではないが7.21、10.37、17.73、19.23、21.17、21.77および23.21度の2−シータを含め、図3における任意の1、2、3、4、5または6個以上のピークにより特徴付けることができる(Rigaku PXRD、集めたデータ)。
【0114】
図4で特徴付けたR−(−)−モダフィニルIII形のDSCは、約161度Cで吸熱転移を示した。
【0115】
熱顕微鏡およびPXRDを介するさらなる分析用に、第2バッチのR−(−)−モダフィニルIII形を調製した。溶解性のデータも得た。これらのデータを以下で検討する。
【0116】
R−(−)−モダフィニルIII形の溶解性は、約6.1〜7.0mg/mLに等しかった。溶解性は25度Cで撹拌したイソプロピルアセテートスラリーから測定した。溶解性の測定は、HPLCを介して行った。溶解性サンプルからの固体を窒素下で乾燥させ、PXRDおよび熱顕微鏡で特性決定した。形態の転換は、この手順の間に観察されなかった。
【0117】
熱(ホットステージ)顕微鏡は、10度C/分の加熱速度で使用してR−(−)−モダフィニルIII形の融点を測定し、これは約156〜158度Cと決定された。
【0118】
R−(−)−モダフィニルIII形は、限定するわけではないが7.19、10.37、12.11、14.41、17.73、19.17、21.71、23.17、24.39、25.17、26.07および27.91度の2−シータを含め、図5における任意の1、2、3、4、5または6個以上のピークにより特徴付けることができる(Rigaku PXRD、バックグラウンドを除いたデータ)。
【0119】
R−(−)−モダフィニルIV形
無水アンモニアガスを、R−ベンズヒドリルスルフィニルメチルエステル(8.3g、0.0288モル)を含有する溶液(75mLのメタノール中)に、10分間通気した。次いで反応物を5度Cの氷浴中で1時間撹拌し、そしてアンモニアガスをさらに10分間通気した。さらに撹拌を4時間続けた。さらに1時間撹拌した後、沈殿が形成し(422mg)、そして集めた。次いで濾液を濃HClを使用して中和し、そしてさらに形成した沈殿を集めた。固体物質(3g)はカラム(シリカゲル、9385等級、230〜400、メッシュ60オングストローム)を通し、3:1の容量/容量の酢酸エチルおよびヘキサンを溶出液とした)。次いでカラムに酢酸エチル(250mL)を流した。濾液を合わせ、そして減圧下で濃縮して、R−(−)−モダフィニルIV形を無色の固体として得た(590mg)。
【0120】
R−(−)−モダフィニルIV形は、限定するわけではないが7.79、10.31、11.77、16.49、17.33、19.47および23.51度の2−シータを含め、図6における任意の1、2、3、4、5または6個以上のピークにより特徴付けることができる(Rigaku PXRD、集めたデータ)。
【0121】
図7で特性決定されたR−(−)−モダフィニルIV形のDSCは、約147度Cで吸熱転移を示した。
【0122】
熱顕微鏡およびPXRDを介するさらなる分析用に、第2バッチのR−(−)−モダフィニルIV形を調製した。溶解性のデータも得た。これらのデータを以下で検討する。
【0123】
R−(−)−モダフィニルIV形の溶解性は、約3.5〜4.0mg/mLに等しかった。溶解性は25度Cで撹拌したイソプロピルアセテートスラリーから測定した。溶解性の測定は、HPLCを介して行った。溶解性サンプルからの固体を窒素下で乾燥させ、PXRDおよび熱顕微鏡で特性決定した。形の転換は、この手順の間に観察されなかった。
【0124】
熱(ホットステージ)顕微鏡は、10度C/分の加熱速度で使用してR−(−)−モダフィニルIV形の融点を測定し、これは約147〜158度Cと決定された。
【0125】
R−(−)−モダフィニルIV形は、限定するわけではないが7.77、10.33、11.75、16.53、19.43、19.89、21.87、23.49および26.69度の2−シータを含め、図8における任意の1、2、3、4、5または6個以上のピークにより特徴付けることができる(Rigaku PXRD、バックグラウンドを除いたデータ)。
【0126】
R−(−)−モダフィニルV形
R−(−)−モダフィニルのIV形(上記手順で調製)は、エタノール溶液中で混合物が沸騰するまで加熱し、次いで室温に冷却した。固体物質を集め、そしてR−(−)−モダフィニルのV形と特徴付けた。
【0127】
R−(−)−モダフィニルのV形は、限定するわけではないが6.61、10.39、13.99、16.49、17.73、19.03、20.87、22.31および25.99度の2−シータを含め、図9における任意の1、2、3、4、5または6個以上のピークにより特徴付けることができる(Rigaku PXRD、集めたデータ)。
【0128】
熱顕微鏡およびPXRDを介するさらなる分析用に、第2バッチのR−(−)−モダフィニルV形を調製した。溶解性のデータも得た。これらのデータを以下で検討する。
【0129】
R−(−)−モダフィニルV形の溶解性は、約2.1〜2.6mg/mLに等しかった。溶解性は25度Cで撹拌したイソプロピルアセテートスラリーから測定した。溶解性の測定は、HPLCを介して行った。溶解性サンプルからの固体を窒素下で乾燥させ、PXRDおよび熱顕微鏡で特性決定した。形態の転換は、この手順の間に観察されなかった。
【0130】
熱(ホットステージ)顕微鏡は、10度C/分の加熱速度で使用してR−(−)−モダフィニルV形の融点を測定し、これは約159度Cと決定された。
【0131】
R−(−)−モダフィニルV形は、限定するわけではないが6.53、10.19、13.90、16.56、17.35、17.62、18.99、20.93、22.08、23.36および25.91度の2−シータを含め、図10における任意の1、2、3、4、5または6個以上のピークにより特徴付けることができる(Rigaku PXRD、集めたデータ)。
【0132】
R−(−)−モダフィニルの多形は、2002年、4月18日に公開された米国特許出願第20020043207号明細書中の対応するラセミモダフィニルIII、IVおよびV形に関する回折図で見いだされるものに対するPXRD回折図における類似性に基づきIII、IVおよびV形と命名した。
【0133】
実施例3
2:1のR−(−)−モダフィニル:S−(+)−モダフィニル
R−(−)−モダフィニル(80.16mg、0.293ミリモル)およびラセミモダフィニル(20.04mg、0.0366ミリモル)を含有する溶液(2mLのエタノール中)を調製した。混合物は全固体を溶解するために沸騰するまで加熱し、そして室温(25度C)に冷却した。室温で15分間置いた後、溶液を一晩5度Cに置いた。次いで溶液をデカントし、そして残る結晶を窒素ガス流の下で乾燥させ、そしてHPLC、PXDR、DRCおよび熱顕微鏡を使用して特徴付けた。
【0134】
得られた結晶は、約63から67パーセントの間のR−(−)−モダフィニルを含み、そして残りの結晶はS−(+)−モダフィニルであった。HPLC分析は、結晶が各S−(+)−モダフィニルにつき2個のR−(−)−モダフィニル分子を含む2:1の相であることを示した。
【0135】
PXDRは、2:1のR−(−)−モダフィニル:S−(+)−モダフィニルの単一結晶サンプルについて行った。2:1のR−(−)−モダフィニル:S−(+)−モダフィニルは、限定するわけではないが8.95、10.17、11.87、14.17、15.11、17.39、18.31、20.39、21.09、24.41および26.45度の2−シータを含め、図11における任意の1、2、3、4、5または6個以上のピークにより特徴付けることができる(集めたデータ)。
【0136】
図12に特徴付けた2:1のR−(−)−モダフィニル:S−(+)−モダフィニルのDSCは、約168度Cで吸熱転移を示した。
【0137】
熱(ホットステージ)顕微鏡は、5度C/分の加熱速度で使用して2:1のR−(−)−モダフィニル:S−(+)−モダフィニルの融点を測定し、これは約160〜166度Cと決定された。
【0138】
実施例4
R−(−)−モダフィニルIV形
105.9mgのR−(−)−モダフィニルを1.5mLのエタノール中で2日間スラリーとした。液体を濾過し、次いで窒素ガス流下で乾燥させた。生じた固体はPXRDを介して分析し、そしてR−(−)−モダフィニルIV形と決定した(図13)。
【0139】
R−(−)−モダフィニルIV形は、限定するわけではないが7.64、10.17、11.61、16.41、19.34、21.71、22.77および23.36度の2−シータを含め、図13における任意の1、2、3、4、5または6個以上のピークにより特徴付けることができる(Bruker PXRD、集めたデータ)。
【0140】
またR−(−)−モダフィニルIV形は、エタノールからの熱再結晶化を介して、およびエタノールから溶媒のゆっくりした蒸発を介して回収した。
【0141】
実施例5
R−(−)−モダフィニルV形
107.7mgのR−(−)−モダフィニルを3mLの酢酸エチルに分配した。懸濁液をホットプレート上で加熱して(60度C)固体を溶解した。およそ1/3から1/2の加熱溶媒が窒素ガス流で蒸発した。次いで混合物を室温に冷却した(25度C)。遠心フィルターを使用して液体から固体を分離した。生じた固体はPXRDおよびDSCを介して分析し、そしてR−(−)−モダフィニルV形と決定した(図14および15)。
【0142】
R−(−)−モダフィニルV形は、限定するわけではないが6.52、10.23、13.93、16.37、17.61、18.97、20.74、22.21、23.36および25.90度の2−シータを含め、図14における任意の1、2、3、4、5または6個以上のピークにより特徴付けることができる(Bruker PXRD、集めたデータ)。
【0143】
R−(−)−モダフィニルV形のDSCを行った。図15は約161〜162(161.57)度Cの吸熱転移を示した。
【0144】
実施例6
R−(−)−モダフィニルクロロホルム溶媒和物
200マイクロリットルのクロロホルムを30.5mgのR−(−)−モダフィニルに加えた。混合物を75度Cで30分間加熱し、次いでさらに200マイクロリットルのクロロホルムを加えた。さらに30分後、固体が完全に溶解した。サンプルをさらに2時間加熱した。加熱後、サンプルを5度Cに約1度/分の速度で冷却した。5度Cに達した時、サンプルは未だ均一な液状溶液であった。次いでサンプルを窒素流下に1分間置き、結晶が形成し始めるようにした。サンプルを再び5度Cでインキュベーションし、そしてさらなる固体が析出した。次いでサンプルを窒素流下で乾燥させ、そしてPXRDおよびTGAにより特性決定した。
【0145】
PXRDはR−(−)−モダフィニルクロロホルム溶媒和物について行った。R−(−)−モダフィニルクロロホルム溶媒和物は、限定するわけではないが8.97、12.07、14.20、16.91、17.49、18.56、20.87、21.45、23.11および25.24度の2−シータを含め、図16における任意の1、2、3、4、5または6個以上のピークにより特徴付けることができる(Bruker PXRD、集めたデータ)。
【0146】
R−(−)−モダフィニルクロロホルム溶媒和物のTGAを行った。図17は、約25から約150度Cの間で約15パーセントの重量損失を示した。
【0147】
実施例7
R−(−)−モダフィニルクロロベンゼン溶媒和物
R−(−)−モダフィニル(102.6mg、0.375ミリモル)をクロロベンゼン(5mL)に懸濁し、そして60度Cのホットプレートで加熱した。混合物を約25度Cに冷却した。次いでスラリーを再加熱し、そしてTHFを固体が溶解するまで加えた。次いで溶液を冷却しながら、室温で4日間、密閉容器中で保存した。保存後、生じた固体を真空濾過により集め、そしてPXRDにより特性決定した。
【0148】
PXRDはR−(−)−モダフィニルクロロベンゼン溶媒和物について行った。R−(−)−モダフィニルクロロベンゼン溶媒和物は、限定するわけではないが4.51、6.25、7.77、10.37、11.43、11.97、16.61、17.95、20.19、20.89、23.41および30.43度の2−シータを含め、図18における任意の1、2、3、4、5または6個以上のピークにより特徴付けることができる(Rigaku PXRD、集めたデータ)。
【0149】
実施例8
ラセミモダフィニルの酢酸エチルチャンネル溶媒和物(channel solvate)
ラセミモダフィニルの酢酸エチルチャンネル溶媒和物は、ラセミモダフィニル(53.7mg、0.196ミリモル)および1−ヒドロキシ−2−ナフト酸(75.5mg、0.401ミリモル)の60度Cのホットプレートで溶解した溶液(2.4mLの酢酸エチル中)から作成した。いったん冷却すれば、溶液に挽いたR−(−)−モダフィニル:1−ヒドロキシ−2−ナフト酸の共結晶を播いた(出願番号PCT/US2004/29013明細書の実施例17を参照にされたい)。
【0150】
PXRDはラセミモダフィニルの酢酸エチルチャンネル溶媒和物について行った。ラセミモダフィニルの酢酸エチルチャンネル溶媒和物は、限定するわけではないが8.88、14.09、19.83、21.59、23.04および25.94度の2−シータを含め、図19における任意の1、2、3、4、5または6個以上のピークにより特徴付けることができる(Bruker PXRD、集めたデータ)。
【0151】
ラセミモダフィニルの酢酸エチルチャンネル溶媒和物のTGAを行った。図20は、約25から約150度Cの間で約3.6パーセントの重量損失を示した。
【0152】
実施例9
R−(−)−モダフィニル酢酸溶媒和物
R−(−)−モダフィニル酢酸溶媒和物は、R−(−)−モダフィニル(105.5mg)を0.066mLの酢酸中で10分間、ステンレス鋼製のシリンダー中でWig−Bugグラインダー/ミキサーで挽くことにより形成した。次いで粉末をDSC、TGAおよびPXRDにより分析した。
【0153】
PXRDはR−(−)−モダフィニル酢酸溶媒和物について行った。この溶媒和物は、限定するわけではないが9.17、10.20、16.61、17.59、18.90、21.11および24.11度の2−シータを含め、図21における任意の1、2、3、4、5または6個以上のピークにより特徴付けることができる(Bruker PXRD、集めたデータ)。
【0154】
R−(−)−モダフィニル酢酸溶媒和物のTGAを行った。図22は、約25から約125度Cの間で約11パーセントの重量損失を示した。
【0155】
R−(−)−モダフィニル酢酸溶媒和物のDSCを行った。図23は、約56度Cでの吸熱転移を示した。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】2:1のR−(−)−モダフィニル:S−(+)−モダフィニルの多形のPXRD回折図である。
【図2】2:1のR−(−)−モダフィニル:S−(+)−モダフィニルの多形のDSCサーモグラムである。
【図3】R−(−)−モダフィニルの多形(III形)のPXRD回折図である。
【図4】R−(−)−モダフィニルの多形(III形)のDSCサーモグラムである。
【図5】R−(−)−モダフィニルの多形(III形)のPXRD回折図である。
【図6】R−(−)−モダフィニルの多形(IV形)のPXRD回折図である。
【図7】R−(−)−モダフィニルの多形(IV形)のDSCサーモグラムである。
【図8】R−(−)−モダフィニルの多形(IV形)のPXRD回折図である。
【図9】R−(−)−モダフィニルの多形(V形)のPXRD回折図である。
【図10】R−(−)−モダフィニルの多形(V形)のPXRD回折図である。
【図11】2:1のR−(−)−モダフィニル:S−(+)−モダフィニルのPXRD回折図である。
【図12】2:1のR−(−)−モダフィニル:S−(+)−モダフィニルのDSCサーモグラムである。
【図13】R−(−)−モダフィニルIV形のPXRD回折図である。
【図14】R−(−)−モダフィニルV形のPXRD回折図である。
【図15】R−(−)−モダフィニルV形のDSCサーモグラムである。
【図16】R−(−)−モダフィニルクロロホルム溶媒和物のPXRD回折図である。
【図17】R−(−)−モダフィニルクロロホルム溶媒和物のTGAサーモグラムである。
【図18】R−(−)−モダフィニルクロロベンゼン溶媒和物のPXRD回折図である。
【図19】ラセミモダフィニル酢酸エチルチャンネル溶媒和物のPXRD回折図である。
【図20】ラセミモダフィニル酢酸エチルチャンネル溶媒和物のTGAサーモグラムである。
【図21】R−(−)−モダフィニル酢酸溶媒和物のPXRD回折図である。
【図22】R−(−)−モダフィニル酢酸溶媒和物のTGAサーモグラムである。
【図23】R−(−)−モダフィニル酢酸溶媒和物のDSCサーモグラムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2:1のR−(−)−モダフィニル:S−(+)−モダフィニルを含んでなる組成物。
【請求項2】
(a)組成物が2−シータ角により表されるピークを含んでなる粉末X−線回折パターンを特徴とし、ここで:
(i)該組成物が2:1のR−(−)−モダフィニル:S−(+)−モダフィニルであり、そして該X線回折パターンが8.97、10.15および20.39度のピークを含んでなる;
(ii)該組成物が2:1のR−(−)−モダフィニル:S−(+)−モダフィニルであり、そして該X線回折パターンが8.97および18.19度のピークを含んでなる;
(iii)該組成物が2:1のR−(−)−モダフィニル:S−(+)−モダフィニルであり、そして該X線回折パターンが10.15および20.39度のピークを含んでなる;
(iv)該組成物が2:1のR−(−)−モダフィニル:S−(+)−モダフィニルであり、そして該X線回折パターンが15.77および19.25度のピークを含んでなる;
もしくは
(v)該組成物が2:1のR−(−)−モダフィニル:S−(+)−モダフィニルであり、そして該X線回折パターンが8.97度のピークを含んでなる;または
(b)組成物がDSCサーモグラムを特徴とし、ここで該組成物が2:1のR−(−)−モダフィニル:S−(+)−モダフィニルであり、そして該DSCサーモグラムが約167度Cの吸熱転移を含んでなる、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物が製薬学的組成物である請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
R−(−)−モダフィニルIII形を含んでなる組成物。
【請求項5】
(a)組成物が多形であり、そして2−シータ角により表されるピークを含んでなる粉末X線回折パターンを特徴とし、ここで:
(i)該組成物がモダフィニル多形であり、そして該X線回折パターンが7.21、10.37および17.73度のピークを含んでなる;
(ii)該組成物がモダフィニル多形であり、そして該X線回折パターンが7.21および10.37度のピークを含んでなる;
(iii)該組成物がモダフィニル多形であり、そして該X線回折パターンが17.73および19.23度のピークを含んでなる;
(iv)該組成物がモダフィニル多形であり、そして該X線回折パターンが10.37および21.77度のピークを含んでなる;もしくは
(v)該組成物がモダフィニル多形であり、そして該X線回折パターンが7.21度のピークを含んでなる;または
(b)組成物がDSCサーモグラムを特徴とし、ここで該組成物がモダフィニル多形であり、そして該DSCサーモグラムが約161度Cの吸熱転移を含んでなる、
請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
組成物が製薬学的組成物である請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
R−(−)−モダフィニルV形を含んでなる組成物。
【請求項8】
組成物が多形であり、そして2−シータ角により表されるピークを含んでなる粉末X線
回折パターンを特徴とし、ここで:
(a)該組成物がモダフィニル多形であり、そして該X線回折パターンが6.61、10.39および16.49度のピークを含んでなる;
(b)該組成物がモダフィニル多形であり、そして該X線回折パターンが6.61および10.39度のピークを含んでなる;
(c)該組成物がモダフィニル多形であり、そして該X線回折パターンが13.99および17.73度のピークを含んでなる;もしくは
(d)該組成物がモダフィニル多形であり、そして該X線回折パターンが20.87および22.31度のピークを含んでなる;もしくは
(e)該組成物がモダフィニル多形であり、そして該X線回折パターンが6.61度のピークを含んでなる、
請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
組成物が製薬学的組成物である請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
R−(−)−モダフィニルIV形を含んでなる組成物。
【請求項11】
(a)組成物が多形であり、そして2−シータ角により表されるピークを含んでなる粉末X線回折パターンを特徴とし、ここで:
(i)該組成物がモダフィニル多形であり、そして該X線回折パターンが7.79、10.31および11.77度のピークを含んでなる;
(ii)該組成物がモダフィニル多形であり、そして該X線回折パターンが7.79および10.31度のピークを含んでなる;
(iii)該組成物がモダフィニル多形であり、そして該X線回折パターンが16.49および17.33度のピークを含んでなる;
(iv)該組成物がモダフィニル多形であり、そして該X線回折パターンが19.47および23.51度のピークを含んでなる;もしくは
(v)該組成物がモダフィニル多形であり、そして該X線回折パターンが7.79度のピークを含んでなる;または
(b)組成物がDSCサーモグラムを特徴とし、ここで組成物がモダフィニル多形であり、そして該DSCサーモグラムが約147度Cの吸熱転移を含んでなる、
請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
組成物が製薬学的組成物である請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
(a)R−(−)−モダフィニルを準備し;そして
(b)R−(−)−モダフィニルの多形を適切な溶媒から結晶化する、
ことを含んでなるR−(−)−モダフィニルの多形の作成方法。
【請求項14】
(a)R−(−)−モダフィニルおよびモダフィニルのS−異性体形を準備し;そして
(b)2:1のR−(−)−モダフィニル:S−(+)−モダフィニルを溶媒もしくは溶媒混合物から結晶化する、
ことを含んでなる2:1のR−(−)−モダフィニル:S−(+)−モダフィニルの作成方法。
【請求項15】
(a)R−(−)−モダフィニルを準備し;そして
(b)R−(−)−モダフィニルIII形を溶媒もしくは溶媒混合物から結晶化する、ことを含んでなるR−(−)−モダフィニルIII形の作成方法。
【請求項16】
(a)R−(−)−モダフィニルを準備し;そして
(b)R−(−)−モダフィニルIV形を溶媒もしくは溶媒混合物から結晶化する、
ことを含んでなるR−(−)−モダフィニルIV形の作成方法。
【請求項17】
(a)R−(−)−モダフィニルを準備し;そして
(b)R−(−)−モダフィニルV形を溶媒もしくは溶媒混合物から結晶化する、
ことを含んでなるR−(−)−モダフィニルV形の作成方法。
【請求項18】
上記組成物がさらに希釈剤、賦形剤または担体を含んでなる請求項2に記載の組成物。
【請求項19】
上記組成物が製薬学的組成物である請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
個体に治療に有効な量のR−(−)−モダフィニルのIII形、IV形またはV形を投与することを含んでなる、ナルコレプシーに伴う過剰な日中の眠気、ナルコレプシー、多発性硬化症に関連する疲労、不妊症、摂食障害、注意欠陥過活動性障害(ADHD)、パーキンソン病、失禁、睡眠時無呼吸、またはミオパシーに罹患している個体の処置方法。
【請求項21】
個体がヒト個体である請求項20に記載の方法。
【請求項22】
R−(−)−モダフィニルIII形が投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
溶媒分子がクロロホルム、クロロベンゼンおよび酢酸からなる群から選択される、R−(−)−モダフィニルの溶媒和物。
【請求項24】
溶媒和物が2−シータ角により表されるピークを含んでなる粉末X線回折パターンを特徴とし、ここで:
(a)該溶媒和物がクロロホルム溶媒和物であり、そして該X線回折パターンが8.97、12.07および14.20度のピークを含んでなる;
(b)該溶媒和物がクロロホルム溶媒和物であり、そして該X線回折パターンが17.49、18.56および20.87度のピークを含んでなる;
(c)該溶媒和物がクロロホルム溶媒和物であり、そして該X線回折パターンが8.97および12.07度のピークを含んでなる;または
(d)該溶媒和物がクロロホルム溶媒和物であり、そして該X線回折パターンが20.87および23.11度のピークを含んでなる;または
(e)該溶媒和物がクロロホルム溶媒和物であり、そして該X線回折パターンが8.97度のピークを含んでなる、
請求項23に記載の溶媒和物。
【請求項25】
溶媒和物が2−シータ角により表されるピークを含んでなる粉末X線回折パターンを特徴とし、ここで:
(a)該溶媒和物がクロロベンゼン溶媒和物であり、そして該X線回折パターンが4.51、6.25および7.77度のピークを含んでなる;
(b)該溶媒和物がクロロベンゼン溶媒和物であり、そして該X線回折パターンが10.37、16.61および17.95度のピークを含んでなる;
(c)該溶媒和物がクロロベンゼン溶媒和物であり、そして該X線回折パターンが4.51および7.77度のピークを含んでなる;または
(d)該溶媒和物がクロロベンゼン溶媒和物であり、そして該X線回折パターンが10.37および17.95度のピークを含んでなる;または
(e)該溶媒和物がクロロベンゼン溶媒和物であり、そして該X線回折パターンが4.51度のピークを含んでなる、
請求項23に記載の溶媒和物。
【請求項26】
溶媒和物が2−シータ角により表されるピークを含んでなる粉末X線回折パターンを特徴とし、ここで:
(a)該溶媒和物が酢酸溶媒和物であり、そして該X線回折パターンが9.17、10.20および16.61度のピークを含んでなる;
(b)該溶媒和物が酢酸溶媒和物であり、そして該X線回折パターンが6.53、6.94および17.59度のピークを含んでなる;
(c)該溶媒和物が酢酸溶媒和物であり、そして該X線回折パターンが9.17および10.20度のピークを含んでなる;または
(d)該溶媒和物が酢酸溶媒和物であり、そして該X線回折パターンが16.61および17.59度のピークを含んでなる;または
(e)該溶媒和物が酢酸溶媒和物であり、そして該X線回折パターンが9.17度のピークを含んでなる、
請求項23に記載の溶媒和物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2007−522147(P2007−522147A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552169(P2006−552169)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/002782
【国際公開番号】WO2005/077894
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
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【出願人】(505158024)セフアロン・インコーポレーテツド (21)
【Fターム(参考)】