説明

モダルメトリック・ファイバセンサ

モダルメトリック・ファイバセンサは、マルチモード・センサファイバ(26)と、前記マルチモードファイバ(26)に光を出射して、前記ファイバ(26)の端部における光のマルチモードのスペックルパターンを生成する光源(14)と、前記マルチモードのスペックルパターンから光を受けるシングルモードファイバ(22)と、前記シングルモードファイバ(22)に結合され、前記マルチモードのスペックルパターンから受けた前記光を検出する検出器(18)と、を備える。コネクタ(33)は、前記マルチモードファイバ(26)とシングルモードファイバ(22)との前記端部を、互いに鋭角に配置された前記2つのファイバの端面(31,32)で接続する。光源(14)からの光は、前記シングルモードファイバ(22)を通って前記マルチモードファイバ(26)に伝送され得、そして、シングルモードファイバ(22)から離れたマルチモードファイバ(26)の端部は鏡面であり得、それにより光を反射して前記マルチモードファイバに沿って前記シングルモードファイバに戻し、そのシングルモードファイバは受け取った光を前記検出器(18)に伝送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響または振動センサ、患者監視センサおよび侵入検知システムなどのような、幅広い物理的センサで用いられるモダルメトリック(modalmetric)・ファイバセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
モダルメトリック・ファイバセンサ又はモダルドメイン(modal domain)・センサは、マルチモード(MM)ファイバのスペックルパターン出力の変化を測定することに基づいている。コヒーレント光が標準的なMMファイバに入れられる時、ファイバを下って伝播する多数のモードが励起される(excited)。ファイバの出力にて、モードの干渉がスペックルパターンとして知られるパターンを生成する。位相、偏光およびモードの分布の何れかの変化を引き起こし得るファイバへの任意の外乱は、スペックルパターンを変化させるであろう。この変化を測定することにより、振動または歪み(strain)のような、ファイバへの物理的な摂動(perturbation)が検出され得る。モダルメトリック・センサは、従って、各ビームが伝播モードの1つによって表され得る、1つのファイバ内に封入されたマルチ・ビーム干渉計である。
【0003】
モダルメトリック効果を用いる摂動の検知は、全体のスペックルパターンの一部のみをサンプリングまたは調べることにより、スペックルパターンの変化を検出することを、通常、含む。これは、スペックルパターンの一部のみが検出される物理的な制限手段の使用を通じて、又は、要求範囲若しくはスペックルパターンの分割区域を電気的にサンプルするCCD検出器の使用を通じて行われ得る。このことは、もしMMファイバへの摂動の間に全部のスペックルパターンが解析されれば、パワーの強さのわずかな変化が検出されるからである。
【0004】
(従来技術)
複数のモダルメトリック・ファイバセンサの構造が文献に記載されている。これらのほとんどは、光がセンシング・マルチモードファイバに入射され、そして、マルチモードファイバの出力におけるスペックルパターンが調べられる、透過型の構造である。他の構造は、光が、MMファイバにシングルモード(SM)ファイバを介して入射され、MMファイバの第2の端部における鏡面の端部に反射され、且つ、スペックルパターンがMMファイバの第1の端部にて調べられる、シングルエンドである。調べる手段は、変化することができ、且つ、シングルモードファイバを用いてスペックルパターンの少なくとも一部を見ること、従来の空間フィルタ(spatial filter)を用いること、又は、CCDカメラを用いてスペックルパターンの一部のみを処理すること、の1つを含む。このようなセンサは、通常、レーザー光源と、レーザー光源からの光を、センシング・マルチモードファイバに融着接続されているリードイン・シングルモードファイバにカップリングするカプラーと、を備える。
【0005】
1つの反射型の構成において、マルチモードファイバは、光を反射してカプラーに、そして次に信号処理部に戻し、スペックルパターンの変化を検出する鏡面の端部を有し得る。光がレーザー源からカプラー及びシングルモードファイバを通ってMMファイバに入射される時、それは基本的に複数のコア・ガイドモード(core-guided modes)及びいくつかのクラッディング・ガイドモード(cladding-guided modes)を励起するであろう。何れのクラッディング・ガイドモードも、数十メートルを超えて素早く減衰されるであろう、ということが推測される。光は、MMファイバの離れた鏡面の端面から反射されて、そして次に、ファイバのこの点に存在する全てのモードの干渉によって形成されるスペックルパターンが存在するであろうMMファイバの入力に戻る。
【0006】
反射型の構成において、光をMMファイバに入射させた同じシングルモードファイバは、戻って来る光の受信部としても機能し得る。マルチモードファイバに対して相対的に小さいそれのコアサイズによって、SMファイバは効果的にスペックルパターンのごく中心部分を見るだけであるので、それは空間フィルタとしても機能するであろう。このスペックルパターンの中心部からのパワーは、次に、カプラーを介して検出器で受け取られるであろう。
【0007】
スペックルパターンの何れの変化または再分配も、強さの変化として検出されるであろう。SMファイバはシングルモードだけをサポートするので、それはセンシングシステムの敏感ではないリードインとしても機能し得る。双方向デバイスであるカプラーは、同時のセンサファイバへの送信及びセンサファイバからの受信をそれぞれ可能にする。
【0008】
MMファイバが振動により摂動された時に、全体のスペックルパターンの全パワーが、変化を示さない又は無視できる変化を示すので、空間フィルタリングは好ましい。全体のスペックルパターンの一部を測定することのみにより、スペックルの位置の変化は、強さの変化として、検出器において容易に検出されるであろう。この信号は、次に処理され得、摂動の存在を決定及び測定する。この扱い方を用いて、MMファイバは、進入検知システムにおけるセンサとして用いられ得る。
【0009】
複数の空間フィルタリングまたは制限技術が、LovelyによるSMとMMファイバ間の特注のスペーサ手段の使用(米国特許US 5,144,689)、SpillmanによるCCD検出器の使用(米国特許US 7,189,958)、TapanesによるSMからMMへの融着接続の使用(オーストラリア特許No. 688113)、および、Fuhrらによる、より基本の自由空間の空間フィルタの使用のように、モダルメトリック・センサに関して以前に報告されている。本発明は、改善された感度を提供するファイバからファイバへの接続を通じて、空間フィルタリングを実現する。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、
マルチモード・センサファイバと、
前記マルチモードファイバに光を出射して、前記マルチモード・センサファイバの端部において光のマルチモードのスペックルパターンを生成する光源と、
前記マルチモード・センサファイバの前記端部に接続されている端部を有して、前記マルチモードのスペックルパターンから光を受けるシングルモードファイバと、
前記シングルモードファイバに接続されて、前記マルチモードのスペックルパターンから受けた前記光を検出する検出器と、を備え、
前記マルチモードファイバおよび前記シングルモードファイバの前記端部の端面は、互いに鋭角に配置されている、
モダルメトリック・ファイバセンサを提供し得る。
【0011】
前記マルチモードファイバの前記端面は、前記マルチモードファイバの軸に垂直であり得、且つ、前記シングルモードファイバの前記端面は、前記シングルモードファイバの軸に対して垂直から前記鋭角を介して離れて角度付けられ得る。
【0012】
代替的に、前記シングルモードファイバの前記端面は、前記シングルモードファイバの軸に垂直であり得、且つ、前記マルチモードファイバの前記端面は、前記マルチモードファイバの軸に対して垂直から前記鋭角を介して離れて角度付けられ得る。
【0013】
他の代替では、前記マルチモードファイバの前記端面と、前記シングルモードファイバの前記端面の両方は、前記各ファイバの軸に対して垂直から離れて角度付けられ得る。
【0014】
前記鋭角は、5°から10°の範囲にあり得る。特に、それは、6°から9°の範囲に低下し得る。
【0015】
反射型の構成において、前記光源は、前記シングルモードファイバを通って前記マルチモードファイバの前記端部に光を出射するように、前記シングルモードファイバに接続され得、且つ、前記マルチモードファイバの他の端部は、光を反射して前記マルチモードファイバを通って戻す鏡面であり得、それにより前記スペックルパターンを前記マルチモードファイバの最初の前記端部にて生成する。この構成では、前記光源および前記検出器は、前記シングルモードファイバに、カプラーにより接続されている得る。
【0016】
透過型の構成において、前記光源は、光を、前記マルチモードファイバの、そのファイバの最初の前記端部から離れた端部に出射し得、前記マルチモードファイバ及び前記シングルモードファイバを介して前記検出器に伝送する。この構成では、前記光源は、前記マルチモードファイバの前記離れた端部に第2のシングルモードファイバを介して接続され得、それにより光を前記マルチモードファイバの前記離れた端部に出射する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明がさらに十分に説明され得るように、いくつかの特定の実施形態が添付の図面を参照して説明されるであろう。
【図1】図1は、従来の反射型モダルメトリック・センサの略図である。
【図2】図2は、本発明の反射型モダルメトリック・センサの略図である。
【図3】図3は、本発明の透過型モダルメトリック・センサの略図である。
【図4】図4は、反射型モダルメトリック・センサにおけるファイバ間の接続の1つの構造を説明し、且つ、図4aは、その接続におけるマルチモードのスペックルパターンの伝達を示す。
【図5】図5は、平坦な端面を有するシングルモードファイバからの光の投射を説明する。
【図6】図6は、角度付けられた端面を有するシングルモードファイバからの光の投射を説明する。
【図7】図7は、角度付けられた端面を有するシングルモードファイバから、平坦な端面を有するマルチモードファイバへの光の投射を説明する。
【図8】図8は、平坦な端部を有するシングルモードファイバと、角度付けられた端面を有するマルチモードファイバとの間の接続を説明する。
【図9】図9は、角度付けられた端面を有するマルチモードファイバからのスペックルパターンの投射を説明する。
【図10】図10は、シングルモードファイバとマルチモードファイバとの間の接続を説明し、それらの両方は角度付けられた端面を有し、且つ、図10Aは、このような接続におけるスペックルパターンの投射を説明する。
【図11】図11は、標準のSCコネクタ及びSCアダプタを用いた1つのタイプのファイバ接続を説明する。
【図12】図12は、組み立てられた図11のコンポーネントを説明する。
【図13】図13は、別のタイプのコネクタのコンポーネントを説明する。
【図14】図14は、図13のコネクタの組み立て品を説明する。
【図15】図15は、図13のコネクタの組み立て品を説明する。
【図16】図16は、図13から図15のコネクタを通る概略断面図である。
【図17】図17は、異なる端面の角度を有するシングルモード端面を、平坦な端面を有するマルチモードファイバに接続するファイバコネクタを用いる信号対ノイズ比測定のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
従来技術の構成を示している図1を参照すると、制御部12は、レーザー光源14、カプラー16、光検出器18及び信号処理部20を有する。
【0019】
レーザー光源14からの光は、カプラー16に提供されて、そして、シングルモードファイバ22に出射される。シングルモードファイバは、鏡面の端部28を有するマルチモードファイバ26に、24において融着接続されている。光は、リードイン及びリードアウトファイバの両者として機能するシングルモードファイバ22から、先端部の鏡面の端部28を有するマルチモードセンシングファイバ26に進む。マルチモードファイバを下る(travel down)光は、鏡面の端部に反射して、そして、シングルモードファイバ22に向かって戻る。マルチモードファイバ26の任意の振動又は摂動は、マルチモードファイバの出射端(launch end)に存在している光のスペックルパターンの変化を引き起こす。その光は、カプラーに戻り、そして検出器18に進む。検出器18は、マルチモードファイバ26における干渉モードにより生成されたスペックルパターンの変化を示す信号を、解析用の信号処理部20に出力する。
【0020】
図1の構造において、マルチモードファイバ26及びシングルモードファイバ22は、同心に位置合わせされるように、24において融着接続されている。シングルモードファイバ22はマルチモードファイバ26より非常に小さいコアサイズを有しているので、それは、検出器に届くパワーがスペックルパターンのごく中心部から来るように、空間フィルタとして機能する。スペックルパターンのこの部分は、そのパターンの外側の部分よりも、マルチモードセンシングファイバへの外部の摂動に応答して小さい量の空間的な変化または再分配を示す。このことは、スペックルパターンのこの部分が、マルチモードファイバ内に導かれた、より低次のモードによって支配されていて、それは最大感度を同様に制限し得る、という事実に関係され得る。
【0021】
図2は、本発明に従って作られたシングルエンド(反射型)モダルメトリック・センサを示す。このセンサは、レイアウトにおいて図1の従来技術のセンサに似ており、そして、それは、同様の参照符号により特定される多数の同じコンポーネントを備える。本質的な相違は、シングルモードファイバ22及びマルチモードファイバ26が、互いに鋭角に配置され且つファイバコネクタ33内に保持された、端面31,32を有していることである。ファイバ端面31,32が互いに関連して角度付けられているという方法は、以下に説明される効果によって、モダルメトリック・ファイバセンサの感度を高めるようにする。
【0022】
図3は、本発明に従って構成された透過型モダルメトリック・センサを示す。この透過型センサも、図1の従来技術の反射型モダルメトリック・センサのものと同じコンポーネントを用いており、同様のコンポーネントは同様の参照符号により特定される。本質的に、透過型の構成における相違は、シングルモードファイバ22から離れているマルチモードファイバ26の端部が、鏡面では無く、接続部40を介して、スペックルパターンからの光がそれを通って検出器18に導かれる第2のシングルモードファイバ36に接続されている、ことである。本発明によれば、接続部40内のマルチモードファイバ26及びシングルモードファイバ36の端面41,42は、以下に説明されるように、互いに鋭角に配置されている。
【0023】
図4及び4Aは、シングルモードファイバ及びマルチモードファイバの端面が互いに鋭角に配置され得る一つの方法と、どのようにこのことがマルチモードファイバの端部におけるスペックルパターンからの光のシングルモードファイバへの受け入れに影響するかと、を図式的に示す。シングルモードファイバ及びマルチモードファイバは、図2に示される反射型モダルメトリック・センサのファイバ22,26であり得、且つ、ファイバは各端面31,32に応じて特定されている。
【0024】
図4から明らかなように、シングルモードファイバのコア22aは、マルチモードファイバ26のコア26aよりはるかに小さい直径であり、そして、それは、その結果、マルチモードファイバの端面32におけるスペックルパターンの中心部分から光を受け取り、従って、空間フィルタリングを提供する。図4及び4Aに図示された構成において、マルチモードファイバ26の端面32は、マルチモードファイバの軸に垂直であり、且つ、シングルモードファイバの端面31は、シングルモードファイバの軸に対して垂直から鋭角θを介して離れて角度付けられており、それにより2つのファイバの端面31,32は互いに鋭角θに配置される。以下に論じられるように、角度θは5°から10°の範囲および一般的に7−8°のオーダーにあり得る。
【0025】
マルチモードファイバ26の端面32から放たれる光は、図4Aにおける円錐43により示されるように、空気中に発散する(diverge)ので、ファイバ22の角度付けられた端部は、全体のスペックルパターンの非対象に発散した又は広がった中心領域を受け取り、それは“広がった”領域におけるスペックルの再分配の任意の動きを強調する。このことは、図示されているようにスペックルパターンの上側の部分は、それがシングルモードファイバ22の角度付けられた端部に入る前に、本質的に下側の部分よりもより発散し、その結果、上側のスペックルは下側のものより相対的に大きくなるため、起こる。このことは、検出器で調べられるパワーにおける改善された変化、及び、従って、モダルメトリック・ファイバセンサの感度の増加を引き起こすであろう。
【0026】
図4及び4Aに図示された構成は、図2に示された反射型モダルメトリック・ファイバセンサに適用されるように説明されたが、同じ構成は図3に示された透過型モダルメトリック・センサにおけるマルチモードファイバ26とシングルモードファイバ36との間の接続部40に組み込まれ得る。その場合、マルチモードファイバの端面は、シングルモードファイバ22から離れた端面41であり得、そして、シングルモードファイバの角度付けられた端面は、ファイバ36のそれぞれの端面であろう。
【0027】
平坦な端面および角度付けられた端面から出力される光を示す図5及び6を参照して、光を当てられたシングルモード光ファイバの平坦な端面から出る導かれた光は、発散するであろう。光の発散する円錐の角度は、それのコアとクラッディングとの間の屈折率差に関係し得る光ファイバの開口数に依存するであろう。もし図5に示されるようにファイバの端面がファイバ軸に垂直であると、発散の円錐は、ファイバの軸に沿って外側に導かれるであろう。もし光ファイバの端面が角度付けられていると、それが存在する時に、光の円錘はファイバの一方に曲がっているか偏っているということが分かる。このことは、端面が角度付けられている時に、どのように光の光線が光ファイバの端面を出るか単に検討することにより、説明され得る。スネルの法則を用いると、図6に示す様に光の円錐は実際に一方に曲がっているであろう、ということが分かり得る。傾斜の量は、端面の角度に依存するであろう。角度が大きいほど、傾斜は大きい。
【0028】
図2に示される反射型モダルメトリック・センサにおいて、角度付けられた端面31を有するシングルモードファイバ22は、より高次のモード(両方のコア・ガイド及びクラッディング・ガイド)が優先的に励起され得るように、光をマルチモードファイバ26に入れるであろう。より短いセンサ長に関して、このことは、外部の摂動へのマルチモードファイバセンサのより高い感度を導くであろう。しかしながら、この効果はマルチモードセンシングファイバ26がより長く(>50m)なると減少することに留意するのが重要である。このことは、マルチモードファイバ26におけるガイドモード(guided mode)の分布が、高次のモードが減衰され又は取り去られる定常状態又は平衡に最終的に到達し、且つ、低次のモードのみが伝播し続ける、ためである。実際には、このことはスペックルパターンをコアの中心部分に集める。
【0029】
図7は、光の円錘がファイバ22の角度付けられた面31からファイバ26に出射する構造を示す。この場合も、光Cの円錐が斜めにされていることが分かり得る。
【0030】
図8は、シングルモードファイバ22の端面31がファイバの軸に垂直であると共に、マルチモードファイバ26の端面32がファイバの軸に対して垂直から離れて角度付けられている構造を示す。この構成では、円錐Cにおけるスペックルパターンは、図9に示されるように、ファイバ26の実際の中心から垂直のオフセットを有して放射する。中心からさらに離れているスペックルの動きは、ファイバセンサ上の外部の摂動に、より敏感であり、且つ、空間的により大きな動きを受けることが知られているように、このことは、感度に関して重要である。このことは、スペックルがそれら自身を再分配するので、検出器におけるより大きなパワーの変化を表す。
【0031】
図10および10Aは、ファイバ22と26の両方の端面31と32が角度付けられている実施形態を示す。明らかなように、角度付けることは同一ではなく、それにより、端面は平行ではなく、互いに鋭角を限定する。図10Aは、マルチモードファイバ26から下側にオフセットして来て、そして、非対称に上部に向って延びて改善された感度を生成するシングルモードファイバ22の角度付けられた端面31により受けられる、スペックルパターンを示す。
【0032】
本発明による角度付けられたコネクタ又は端面を用いることの他の重要な側面は、このことが、エアギャップにより形成され得る寄生の反射による、このシステムにおける任意のノイズを除去することである。特に、これらの本タイプの様なコヒーレント・レーザー源を用いるシステムにおいて、平行な端面を有するファイバコネクタ間における小さなエアギャップは、不要な干渉信号の原因となる寄生のファブリーペロ・エタロン(Fabry-Perot etalons)を生成し得る。角度付けられたコネクタを用いることにより、このような寄生の干渉効果は除去され得る。
【0033】
モダルメトリック・センサ接続の1つの実際的な実現は、コネクタ付き(connectorised)ファイバ端を用いることである。1つの例は、図11及び12に示されるSCコネクタの様な市販のコネクタを用いることである。図11は接続前のコンポーネントを示し、図12は完成した接続を示す。シングルモードファイバ22は、適切な角度、例えば8°、を有する角度付けられたSCコネクタ51において終端処理され、一方、マルチモードファイバ26は、フラットSCコネクタ52において終端処理されている。2つのファイバは、SC−SCスルー・アダプタ53を介して接続され得る。
【0034】
図13から15は、柔軟性と、マルチモードファイバからシングルモードファイバの端面への異なるパッケージの形と、を可能にする、代わりの実現を示す。この配列は、ベア・フェルール(bare ferrules)54,55又はSCコネクタの類似物を用いてファイバ端を収容し、さらに、セラミック又はプラスチックのスロット・スリーブ(slotted sleeve)56が用いられてシングルモードおよびマルチモードファイバを一致させて、そして、一致したファイバはステンレス製のハウジング59に保護のために収容される。このことは、接合部をより小さいフォームファクター(form factor)とすることを可能とし、それはスプライストレイ(splice tray)内に組み込まれ得、又は、屋外環境に組み込まれるために密閉され得る。
【0035】
図16は、図11から13又は図14及び15に示された方法で接続された時の、接続されたファイバ端の構成を示す。それぞれの場合において、シングルモードファイバ22の端部はフェルール57内に組み込まれ、マルチモードファイバ26の端部はフェルール58に組み込まれている。フェルールは、標準的に2.5mmの直径であり得、且つ、端部のチャンファー(end chamfers)60,61を有し得る。標準的にシングルモードファイバ22は、9μmのファイバコアの直径および125μmのクラッディングの直径を有し得る。フェルール57,58は、位置62にて物理的に互いに接触するが、小さなギャップ63が2つのファイバ端の間に存在する。上述した大きさの、及び、8°の切断角(cleave angle)を有する、ファイバ及びフェルールを用いる接続に関して、ファイバの中心から中心への間隔は、約70μmであり得、且つ、それらの最も近い点において、光ファイバは61.5μmであり得る。ロスを最小にすると共に効果的な空間的フィルタリングを維持するために、ファイバ端の間のギャップを出来るだけ小さく維持すると共に、何れにしても、ファイバにおける中心から中心への間隔が100μmを超えないことを確保するのが好ましい。
【0036】
シングルモードファイバとマルチモードファイバの端面間の適切な角度の選択は、それがセンシングシステムの感度に影響を及ぼし得るので、重要である。このことをテストするために、異なるシングルモードファイバの端面の角度を用いる図2に示されたシングルエンド(反射型)モダルメトリック・センサを用いて、実験が実行される。SM及びMMファイバ端を制御された方法で接近するようにさせるために、融着接続機(fusion splicer)が用いられた。上述したコネクタ付きの実施をシミュレートするために、角度付けられたSMファイバ端と、フラットMMファイバ端との間の中心から中心への間隔は、約70μmに保持された。用いられたセンシングシステムは、1mのSMファイバ長と、鏡面の端部を有する425mのMMファイバセンシング長とを有していた。レーザーの波長は1310nmであった。
【0037】
感度をテストするため、異なるSMファイバ端面の角度に関して、センシングファイバが摂動を与えられた時に、検出された信号の変化する部分の信号対ノイズ比が測定された。角度範囲テストは、0から12.6°であった。大きな信号対ノイズ比は、検出器においてパワーの大きな変化を引き起こすスペックルパターンの変化に対応する。信号対ノイズ比は、どのようにスペックルパターンが角度付けられたSMファイバ端のコアに放たれたかと、スペックルパターンがMMファイバ上への物理的な摂動の結果として動く時、どのようにそれが変化するかと、を組み合わせて、MMファイバから角度付けられたSMファイバに行く光の発散によるパワーロスの組み合わせに依存する。
【0038】
以上のテストの結果は、測定された信号対ノイズ比をSMファイバ切断角に対してプロットした、図17に示されている。信号対ノイズ比が最大にあるように用いる最適な角度は、約7.5°であることが分かる。好ましくは、信号対ノイズ比は、5°から9°の角度範囲にほぼ対応する20という因数より大きく保たれるべきである。これは、SMおよびMMファイバが一緒につなぎ合わせられ、又は、それらのコアが接触して接続されている、従来技術のモダルメトリック・センサに対して少なくとも2という因数の改善である。
【0039】
説明された本発明の実施形態は例のみの目的で提案され、様々な変形が、添付の請求項の範囲から外れることなく行え得るということが理解される。
【0040】
次の請求項および上記本発明の説明において、明白な言語又は必要な暗示によって文脈が別の方法を必要とする場合を除き、単語“備える(comprise)”、又は、“comprises”若しくは“comprising“のような変形は、包括的な意味で、即ち、記載された特長の存在を特定し、しかし、本発明の様々な実施形態の更なる特長の存在又は追加を除外しないように、用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチモード・センサファイバと、
前記マルチモードファイバに光を出射して、前記マルチモード・センサファイバの端部において光のマルチモードのスペックルパターンを生成する光源と、
前記マルチモード・センサファイバの前記端部に接続されている端部を有して、前記マルチモードのスペックルパターンから光を受けるシングルモードファイバと、
前記シングルモードファイバに接続されて、前記マルチモードのスペックルパターンから受けた前記光を検出する検出器と、を備え、
前記マルチモードファイバおよび前記シングルモードファイバの前記端部の端面は、互いに鋭角に配置されている、
モダルメトリック・ファイバセンサ。
【請求項2】
前記マルチモードファイバの前記端面は、前記マルチモードファイバの軸に垂直であり、且つ、前記シングルモードファイバの前記端面は、前記シングルモードファイバの軸に対して垂直から前記鋭角を介して離れて角度付けられている、
請求項1のモダルメトリック・ファイバセンサ。
【請求項3】
前記シングルモードファイバの前記端面は、前記シングルモードファイバの軸に垂直であり、且つ、前記マルチモードファイバの前記端面は、前記マルチモードファイバの軸に対して垂直から前記鋭角を介して離れて角度付けられている、
請求項1のモダルメトリック・ファイバセンサ。
【請求項4】
前記マルチモードファイバの前記端面と、前記シングルモードファイバの前記端面の両方は、前記各ファイバの軸に対して垂直から離れて角度付けられている、
請求項1のモダルメトリック・ファイバセンサ。
【請求項5】
前記鋭角は、5°から10°の範囲にある、
請求項1から4の何れかのモダルメトリック・ファイバセンサ。
【請求項6】
前記鋭角は、6°から9°の範囲にある、
請求項5のモダルメトリック・ファイバセンサ。
【請求項7】
前記シングルモードファイバの前記端部は、前記マルチモードファイバの前記端部に、前記2つのファイバの端面の中心間の100μm未満のギャップが存在するように接続されている、
請求項1から請求項6の何れかのモダルメトリック・ファイバセンサ。
【請求項8】
前記シングルモードファイバと前記マルチモードファイバの前記端部は、コネクタにより接続されていて、前記コネクタは、前記シングルモードファイバの前記端部を支える第1のホルダーと、前記マルチモードファイバの前記端部を支える第2のホルダーと、前記第1および第2のホルダーを相互接続するコネクタ構造と、を備えている、
請求項7のモダルメトリック・ファイバセンサ。
【請求項9】
前記第1および第2のホルダーは、前記コネクタ構造により、互いに係合して支えられている、
請求項8のモダルメトリック・ファイバセンサ。
【請求項10】
前記コネクタ構造は、前記接続されたファイバの端部用の保護ハウジングを有する、
請求項8又は請求項9のモダルメトリック・ファイバセンサ。
【請求項11】
前記光源は、前記シングルモードファイバを通って前記マルチモードファイバの前記端部に光を出射するように、前記シングルモードファイバに接続されていて、且つ、前記マルチモードファイバの他の端部は、光を反射して前記マルチモードファイバを通って戻す鏡面であり、それにより前記スペックルパターンを前記マルチモードファイバの最初の前記端部にて生成する、
請求項1から10の何れかのモダルメトリック・ファイバセンサ。
【請求項12】
前記光源および前記検出器は、前記シングルモードファイバに、カプラーにより接続されている、
請求項11のモダルメトリック・ファイバセンサ。
【請求項13】
前記光源は、光を、前記マルチモードファイバの、そのファイバの最初の前記端部から離れた端部に出射して、前記マルチモードファイバ及び前記シングルモードファイバを介して前記検出器に伝送する、
請求項1から10の何れかのモダルメトリック・ファイバセンサ。
【請求項14】
前記光源は、前記マルチモードファイバの前記離れた端部に第2のシングルモードファイバを介して接続されていて、それにより光を前記マルチモードファイバの前記離れた端部に出射する、
請求項13のモダルメトリック・ファイバセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図10A】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2011−515662(P2011−515662A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−549996(P2010−549996)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【国際出願番号】PCT/AU2009/000279
【国際公開番号】WO2009/111820
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(501220145)フューチャー ファイバー テクノロジーズ ピーティーワイ リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】FUTURE FIBRE TECHNOLOGIES PTY LTD
【Fターム(参考)】