説明

モノアミン神経伝達物質再取り込み阻害薬としての8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン誘導体及びそれらの使用

本発明は、モノアミン神経伝達物質再取り込み阻害薬として有用な新規8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン誘導体に関する。他の態様において、本発明は、治療法におけるこれらの化合物の使用及び本発明の化合物を含む医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノアミン神経伝達物質再取り込み阻害薬として有用な新規8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン誘導体に関する。
【0002】
他の態様において、本発明は、治療法におけるこれらの化合物の使用及び本発明の化合物を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、セロトニン選択的再取り込み阻害薬(SSRI)は、うつ病及びパニック障害を含むいくつかのCNS障害の治療において有効性を提供している。一般的に、SSRIは、医師及びプライマリーケア医師によって有効で耐容性が高く投与が容易であると考えられている。しかしながら、SSRIは、多くの望ましくない特徴を伴う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、セロトニン再取り込みのノルアドレナリン及びドーパミン再取り込み活性に対する比などのモノアミン神経伝達物質セロトニン、ドーパミン及びノルアドレナリンの再取り込みに対する活性に関して最適化された薬理学的プロファイルを持つ化合物が依然として強く必要である。
【0005】
WO2004/113334(NeuroSearch A/S)は、モノアミン神経伝達物質再取り込み阻害薬として有用な8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン誘導体を開示している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その第一の態様において、本発明は、式Iの化合物、
【化1】


その異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、又は薬学的に許容できるそれらの塩を提供し、
式中、Rは、以下で定義する通りである。
【0007】
その第二の態様において、本発明は、少なくとも1種の薬学的に許容できる担体、賦形剤又は希釈剤と一緒に、治療有効量の本発明の化合物、その異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、又は薬学的に許容できるそれらの塩を含む医薬組成物を提供する。
【0008】
他の態様において、本発明は、ヒトを含む哺乳動物の疾患又は障害又は状態を治療、予防又は軽減するための医薬組成物を製造するための、本発明の化合物、その異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、又は薬学的に許容できるそれらの塩の使用であって、その疾患、障害又は状態が、中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に反応性である使用を提供する。
【0009】
さらに他の態様において、本発明は、ヒトを含む、動物の生体の疾患又は障害又は状態を治療、予防又は軽減するための方法であって、その障害、疾患又は状態が、中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に反応性であり、その方法が、それを必要としているそのような動物の生体に、治療有効量の本発明の化合物、その異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、又は薬学的に許容できるそれらの塩を投与することを含む方法に関する。
【0010】
本発明の他の目的は、以下の詳細な説明及び実施例から、当業者には明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン誘導体
その第一の態様において、本発明は、式Iの化合物、
【化2】


その異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、
又は薬学的に許容できるそれらの塩を提供し、
式中、
は、ナフチル基を表し、
ナフチル基は、−O−Rで置換されており、
は、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル又はアルキニルを表し、
ナフチル基は、
ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、オキソ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル及びアルキニルからなる群から独立して選択される1個又は複数の置換基でさらに置換されていてもよい。
【0012】
一実施形態において、Rは、−O−Rで置換されているナフチル基を表す。
【0013】
他の実施形態において、Rは、
【化3】


を表す。
【0014】
さらに他の実施形態において、Rは、
【化4】


を表す。
【0015】
他の実施形態において、Rは、水素を表す。
【0016】
さらに他の実施形態において、Rは、メチル、エチル又はイソプロピルなどのアルキルを表す。
【0017】
特別な実施形態において、本発明の化合物は、
エキソ−3−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン、
エキソ−6−(8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イルオキシ)−ナフタレン−2−オール、
エキソ−3−(6−エトキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン、
エキソ−3−(6−イソプロポキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン、
エキソ−3−(7−メトキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン、
その異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、又は薬学的に許容できるそれらの塩である。
【0018】
上記に記載したような実施形態のうちの2つ以上の任意の組合せは、本発明の範囲内にあると見なされる。
【0019】
置換基の定義
本発明との関連において、ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを表す。
【0020】
本発明との関連において、アルキル基は、一価の飽和した直線又は分岐炭化水素鎖を指定する。炭化水素鎖は、1〜6個の炭素原子を含有することが好ましく(C1〜6−アルキル)、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、第三ペンチル、ヘキシル及びイソヘキシルを含む。好ましい実施形態において、アルキルは、C1〜4−アルキル基を表し、ブチル、イソブチル、第二ブチル、及び第三ブチルを含む。本発明の別の好ましい実施形態において、アルキルは、C1〜3−アルキルを表し、特に、メチル、エチル、プロピル又はイソプロピルであってよい。
【0021】
本発明との関連において、アルケニル基は、1個又は複数の二重結合を含有する炭素鎖を指定し、ジ−エン、トリ−エン及びポリ−エンを含む。好ましい実施形態において、本発明のアルケニル基は、2〜6個の炭素原子を含み(C2〜6−アルケニル)、少なくとも1個の二重結合を含む。最も好ましい実施形態において、本発明のアルケニル基は、エテニル、1−若しくは2−プロペニル、1−、2−若しくは3−ブテニル、又は1,3−ブタジエニル、1−、2−、3−、4−若しくは5−ヘキセニル、若しくは1,3−ヘキサジエニル、又は1,3,5−ヘキサトリエニルである。
【0022】
本発明との関連において、アルキニル基は、1個又は複数の三重結合を含有する炭素鎖を指定し、ジ−イン、トリ−イン及びポリ−インを含む。好ましい実施形態において、本発明のアルキニル基は、2〜6個の炭素原子を含み(C2〜6−アルキニル)、少なくとも1個の三重結合を含む。その最も好ましい実施形態において、本発明のアルキニル基は、エチニル、1−若しくは2−プロピニル、1−、2−若しくは3−ブチニル、又は1,3−ブタジイニル、1−、2−、3−、4−ペンチニル、若しくは1,3−ペンタジイニル、1−、2−、3−、4−若しくは5−ヘキシニル、若しくは1,3−ヘキサジイニル、又は1,3,5−ヘキサトリイニルである。
【0023】
本発明との関連において、シクロアルキル基は、環状アルキル基を指定し、好ましくは3〜7個の炭素原子を含有し(C3〜7−シクロアルキル)、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルを含む。
【0024】
アルコキシは、O−アルキルであり、アルキルは、上記で定義した通りである。
【0025】
シクロアルコキシは、O−シクロアルキルを意味し、シクロアルキルは、上記で定義した通りである。
【0026】
シクロアルキルアルキルは、上記のようなシクロアルキル及び上記のようなアルキルを意味し、例えば、シクロプロピルメチルを意味する。
【0027】
アミノは、NH又はNH−アルキル又はN−(アルキル)であり、アルキルは、上記で定義した通りである。
【0028】
薬学的に許容できる塩
本発明の化合物は、意図した投与に適している任意の形態で提供することができる。適当な形態には、薬学的に(すなわち、生理学的に)許容できる本発明の化合物の塩、及びプレドラッグ又はプロドラッグ形態が含まれる。
【0029】
薬学的に許容できる付加塩の例には、塩酸塩、臭化水素塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコネート(aconate)、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、桂皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩、エナンテート(enantate)、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トルエン−p−スルホン酸塩などの無毒性の無機及び有機酸付加塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。そのような塩は、よく知られ、当技術分野において記載されている手順によって形成させることができる。
【0030】
シュウ酸などの他の酸は、薬学的に許容できると見なされないこともあるが、本発明の化合物及びその薬学的に許容できる酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製において有用であることがある。
【0031】
本発明の化合物の薬学的に許容できるカチオン性塩の例には、アニオン性基を含有する本発明の化合物のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、リチウム、コリン、リシニウム、及びアンモニウム塩などが含まれるが、これらに限定されるものではない。そのようなカチオン性塩は、よく知られ、当技術分野において記載されている手順によって形成させることができる。
【0032】
本発明との関連において、N含有化合物の「オニウム塩」も、薬学的に許容できる塩として企図される。好ましい「オニウム塩」には、アルキル−オニウム塩、シクロアルキル−オニウム塩、及びシクロアルキルアルキル−オニウム塩が含まれる。
【0033】
本発明の化合物のプレドラッグ又はプロドラッグ形態の例、例えば本発明による物質の適当なプロドラッグの例には、親化合物の1個又は複数の反応性の、又は誘導体化可能な基において修飾された化合物が含まれる。特に興味深いのは、カルボキシル基、ヒドロキシル基、又はアミノ基において修飾された化合物である。適当な誘導体の例は、エステル又はアミドである。
【0034】
本発明の化合物は、水、エタノールなどの薬学的に許容できる溶媒と一緒に、溶解性の、又は不溶解性の形態で提供することができる。溶解性の形態には、一水和物、二水和物、半水和物、三水和物、四水和物などの水和形態も含まれていてよい。一般に、溶解性の形態は、本発明の目的にとって不溶解性の形態と同等であると見なされる。
【0035】
立体異性体
当業者には当然のことながら、本発明の化合物は、鏡像異性体、ジアステレオマー及びシス−トランス−異性体を含む様々な立体異性の形態で存在することがある。
【0036】
本発明には、すべてのそのような異性体及びラセミ混合物を含むそれらの任意の混合物が含まれる。
【0037】
さらに、式Iの8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン骨格の3位にある置換基−O−Rは、特に、エキソ又はエンド立体配置であってよい。本発明の一実施形態において、3位における置換基は、エキソ立体配置である。本発明の別の実施形態において、3位における置換基は、エンド立体配置である。
【0038】
本発明には、すべてのそのような異性体及びラセミ混合物を含むそれらの任意の混合物が含まれる。
【0039】
ラセミ体は、知られている方法及び技法により、光学対掌体に分割することができる。異性体の塩を分離する1つの方法は、光学活性な酸の使用によるもので、塩基で処理することにより光学活性なアミン化合物を遊離させる。ラセミ化合物を光学対掌体に分割するための別の方法は、光学活性なマトリクス上のクロマトグラフィーに基づいている。したがって、本発明のラセミの化合物は、例えば、d−又はl−(酒石酸塩、マンデル酸塩、又はカンファースルホン酸塩)塩の分別結晶により、それらの光学対掌体に分割することができる。
【0040】
本発明の化合物は、本発明の化合物と、(+)又は(−)フェニルアラニン、(+)又は(−)フェニルグリシン、(+)又は(−)カンファン酸から誘導されるような光学活性な活性化されたカルボン酸との反応によるジアステレオマーのアミドの形成によって、又は本発明の化合物と光学活性なクロロギ酸エステルなどとの反応によるジアステレオマーのカルバメートの形成によっても分割することができる。
【0041】
光学異性体を分割するための追加の方法は、当技術分野において知られている。そのような方法には、「鏡像異性体、ラセミ化合物、及び分割(Enantiomers,Racemates,and Resolutions)」、John Wiley and Sons、New York(1981)にJaques J、Collet A、及びWilen Sによって記載されている方法が含まれる。
【0042】
光学活性化合物は、光学活性な出発材料又は中間体からも調製することができる。
【0043】
標識化合物
本発明の化合物は、それらの標識又は非標識形態で使用することができる。本発明との関連において、標識化合物は、天然において通常見出される原子量又は質量数と異なる原子量又は質量数を有する原子によって置換された1個又は複数の原子を有する。標識化は、前記化合物の容易な定量的検出を可能にするであろう。
【0044】
本発明の標識化合物は、様々な診断法における診断ツール、ラジオトレーサー、又はモニタリング剤(monitoring agents)として、及びin vivo受容体イメージングに有用であることがある。
【0045】
本発明の標識異性体は、少なくとも1個の、標識としての放射性核種を含有することが好ましい。陽電子放出核種は、すべて使用の候補である。本発明との関連において、放射性核種は、H(重水素)、H(三重水素)、13C、14C、131I、125I、123I、及び18Fから選択されることが好ましい。
【0046】
本発明の標識異性体を検出するための物理的方法は、ポジション放出断層撮影法(Position Emission Tomography(PET))、単一光子イメージングコンピューター断層撮影法(SPECT)、磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)、磁気共鳴画像法(MRI)、及びコンピューター体軸X線断層撮影法(CAT)、又はそれらの組合せから選択することができる。
【0047】
調製の方法
本発明の化合物は、化学合成のための従来の方法、例えば、実施例に記載されている方法によって調製することができる。本出願に記載されているプロセスのための出発材料は、知られているか、又は市販の化学物質から従来の方法によって調製することができる。
【0048】
また、本発明のある化合物は、従来の方法を用いて本発明の別の化合物に変換することができる。
【0049】
本明細書に記載されている反応の最終生成物は、従来の技法により、例えば、抽出、結晶化、蒸留、クロマトグラフィーなどによって単離することができる。
【0050】
生物学的活性
本発明の化合物は、例えばWO97/30997に記載されているように、シナプトソームにおけるモノアミンドーパミン、ノルアドレナリン及びセロトニンの再取り込みを阻害するそれらの能力について試験することができる。これらの試験において観察されたバランスのとれた活性を根拠にして、本発明の化合物は、ヒトを含む哺乳動物の疾患又は障害又は状態を治療、予防又は軽減するのに有用であると見なされ、その疾患、障害又は状態は、中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に反応性である。
【0051】
特別な実施形態において、本発明の化合物は、気分障害、うつ病、非定型うつ病、疼痛に続発したうつ病、大うつ病性障害、気分変調性障害、双極性障害、双極I型障害、双極II型障害、気分循環性障害、一般医学的状態に起因する気分障害、物質誘発性気分障害、偽認知症、ガンザー症候群、強迫性障害、パニック障害、広場恐怖症を伴わないパニック障害、広場恐怖症を伴うパニック障害、パニック障害の病歴のない広場恐怖症、パニック発作、記憶障害、記憶喪失、注意欠陥多動性障害、肥満症、不安症、全般性不安障害、摂食障害、パーキンソン病、パーキンソン症、認知症、加齢の認知症、老年性認知症、アルツハイマー病、後天性免疫不全症候群認知症複合、加齢における記憶機能障害、特定恐怖症、社会恐怖症、社会不安障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、薬物依存症、薬物乱用、コカイン乱用、ニコチン乱用、タバコ乱用、アルコール依存症、アルコール中毒、窃盗癖、疼痛、慢性疼痛、炎症性疼痛、神経障害性疼痛、片頭痛疼痛、緊張性頭痛、慢性緊張性頭痛、うつ病に伴う疼痛、線維筋痛、関節炎、骨関節炎、関節リウマチ、背痛、癌性疼痛、過敏性腸疼痛、過敏性腸症候群、術後疼痛、乳房切除後疼痛症候群(PMPS)、脳卒中後疼痛、薬物誘発性神経障害、糖尿病性神経障害、交感神経依存性疼痛、三叉神経痛、歯痛、筋筋膜痛、幻肢痛、過食症、月経前症候群、月経前不快気分障害、後期黄体期症候群、心的外傷後症候群、慢性疲労症候群、尿失禁、緊張性尿失禁、急迫性尿失禁、夜間尿失禁、性機能障害、早漏、勃起困難、勃起機能障害、早期女性オルガスム、脚不穏症候群、周期性四肢運動障害、摂食障害、拒食症、睡眠障害、広汎性発達障害、自閉症、アスペルガー障害、レット障害、小児期崩壊性障害、学習不能症、運動技能障害、無言症、抜毛癖、ナルコレプシー、脳卒中後うつ病、脳卒中誘発性脳損傷、脳卒中誘発性神経損傷、ジルドラトゥレット病、耳鳴、チック障害、身体醜形障害、反抗的行為障害又は脳卒中後不能症を治療、予防又は軽減するのに有用であると見なされる。好ましい実施形態において、化合物は、うつ病の治療、予防又は軽減に有用であると見なされる。
【0052】
今のところ、活性医薬品成分(API)の適当な用量は、1日当たりAPI約0.1〜約1000mg、より好ましくは1日当たりAPI約10〜約500mg、最も好ましくは1日当たりAPI約30〜約100mgの範囲内であると企図されているが、投与の正確な様式、それが投与される形態、考慮される適応症、対象及び、特に関係する対象の体重、さらに担当する医師又は獣医師の優先度及び経験によって決まる。
【0053】
本発明の好ましい化合物は、マイクロモル以下及びマイクロモル、すなわち1未満から約100μMの範囲で生物学的活性を示す。
【0054】
医薬組成物
別の態様において、本発明は、治療有効量の本発明の化合物を含む新規医薬組成物を提供する。
【0055】
治療で使用するための本発明の化合物は、未加工の化合物の形態で投与することができるが、1種又は複数のアジュバント、賦形剤、担体、緩衝液、希釈剤、及び/又は他の慣習的な医薬品補助剤と一緒の医薬組成物に、活性成分を、場合により生理学的に許容できる塩の形態で導入することが好ましい。
【0056】
好ましい実施形態において、本発明は、1種又は複数の薬学的に許容できる担体、及び、場合により、知られていて当技術分野において使用される他の治療的及び/又は予防的成分と一緒に、本発明の化合物、又は薬学的に許容できるその塩若しくは誘導体を含む医薬組成物を提供する。1種又は複数の担体は、製剤の他の成分と適合しているという意味で「許容でき」、そのレシピエントに対して無害でなければならない。
【0057】
本発明の医薬組成物は、経口、直腸、気管支、鼻、肺、局所(口腔及び舌下を含む)、経皮、膣又は非経口(皮膚、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、動脈内、脳内、眼内注射又は注入)投与に適している医薬組成物、又は散剤及び液体エアロゾル投与を含む吸入又は吹送による、又は持続放出システムによる投与に適している形態の医薬組成物であってよい。持続放出システムの適当な例には、本発明の化合物を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスが含まれ、そのマトリクスは、成形品、例えば、フィルム剤又はマイクロカプセル剤の形態であってよい。
【0058】
したがって、本発明の化合物は、従来のアジュバント、担体、又は希釈剤と一緒に、医薬組成物及びその単位用量の形態に入れることができる。そのような形態には、すべてが経口使用のための固形剤、特に錠剤、充填カプセル剤、粉末及びペレット形態、及び液剤、特に水性又は非水性液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、及びそれを充填したカプセル剤、直腸投与のための坐剤、及び非経口使用のための無菌注射用液剤が含まれる。そのような医薬組成物及びそれらの単位剤形は、追加の活性な化合物又は成分の有無にかかわらず、従来の比率で従来の成分を含むことができ、そのような単位剤形は、用いるべき意図した1日用量範囲に見合った任意の適当な有効量の活性成分を含有することができる。
【0059】
本発明の化合物は、多種多様な経口及び非経口剤形で投与することができる。以下の剤形は、活性成分として、本発明の化合物か薬学的に許容できる本発明の化合物の塩のどちらかを含むことができることは当業者には明白であろう。
【0060】
本発明の化合物から医薬組成物を調製する場合、薬学的に許容できる担体は、固体か液体のどちらかであってよい。固体形態の調製物には、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、及び分散性顆粒剤が含まれる。固体担体は、希釈剤、矯味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、又は封入材料としての機能も果たすことができる1種又は複数の物質であってよい。
【0061】
散剤において、担体は、微粉化した固体であり、微粉化した活性成分との混合物中にある。
【0062】
錠剤において、活性成分は、適当な比率で必要な結合能力を有する担体と混合され、望ましい形及びサイズに圧縮される。
【0063】
散剤及び錠剤は、5又は10〜約70パーセントの活性化合物を含有することが好ましい。適当な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオ脂などである。用語「調製物」には、活性成分が、担体の有無にかかわらず、担体によって囲まれ、したがって、担体と共同しているカプセルを提供する担体としての封入材料との活性化合物の製剤が含まれることが意図されている。同様に、カシェ剤及びロゼンジ剤が含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤及びロゼンジ剤は、経口投与に適している固体形態として使用することができる。
【0064】
坐剤を調製する場合、脂肪酸グリセリド又はカカオ脂の混合物などの低融点ワックスを先ず融解し、活性成分を、撹拌することにより、その中へ均一に分散させる。次いで、融解した均一混合物を好都合な大きさの鋳型に注ぎ、冷却し、それによって凝固させる。
【0065】
膣投与に適している組成物は、活性成分の他に当技術分野において適切であることが知られているような担体を含有する膣坐剤、タンポン剤、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤又はスプレー剤として提供することができる。
【0066】
液体調製物には、液剤、懸濁剤、及び乳剤、例えば、水又は水−プロピレングリコール液剤が含まれる。例えば、非経口注射液体調製物は、水性ポリエチレングリコール溶液中の液剤として製剤化することができる。
【0067】
したがって、本発明による化合物は、非経口投与(例えば、注射、例えば、ボーラス注射又は持続注入による)のために製剤化することができ、アンプル剤、プレフィルドシリンジ剤、小容量注入液中の単位剤形で、又は保存剤が添加されたマルチドーズ容器で提供することができる。組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤、又は乳剤などの形態をとることができ、懸濁化剤、安定化剤及び/又は分散剤などの製剤化試剤を含有することができる。代替方法として、活性成分は、使用前に適当なビヒクル、例えば、無菌の発熱物質を含まない水で構成するための、無菌固体の無菌単離によって、又は溶液からの凍結乾燥によって得られる粉末形態であってよい。
【0068】
経口使用に適している水性液剤は、活性成分を水に溶解し、望ましい場合に、適当な着色剤、香料、安定化剤及び粘稠剤を加えることにより調製することができる。
【0069】
経口使用に適している水性懸濁剤は、天然又は合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、又は他のよく知られている懸濁化剤などの粘稠な材料と一緒に、微粉化した活性成分を水に分散させることにより製造することができる。
【0070】
使用直前に経口投与のための液体形態の調製物に変換することを意図した固体形態の調製物も含まれる。そのような液体形態には、液剤、懸濁剤、及び乳剤が含まれる。そのような調製物は、活性成分の他に、着色剤、香料、安定化剤、緩衝液、人工及び天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含むことができる。
【0071】
表皮への局所投与の場合、本発明の化合物は、軟膏剤、クリーム剤若しくはローション剤として、又は経皮パッチとして製剤化することができる。軟膏剤及びクリーム剤は、例えば、適当な粘稠剤及び/又はゲル化剤を添加した水性又は油性基剤で製剤化することができる。ローション剤は、水性又は油性基剤で製剤化することができ、一般に、1種又は複数の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤、粘稠剤、又は着色剤も含有するであろう。
【0072】
口内の局所投与に適している組成物には、味の付いた基剤、通常はスクロース及びアカシア又はトラガカント中に活性剤を含むロゼンジ剤、ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシアなどの不活性基剤中に活性成分を含む香錠(pastilles)、並びに適当な液体担体中に活性成分を含むうがい薬が含まれる。
【0073】
液剤又は懸濁剤は、従来の手段により、例えば、点滴器、ピペット又はスプレーで鼻腔に直接塗布される。組成物は、単一又はマルチドーズ形態で提供することができる。
【0074】
気道への投与も、活性成分が、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、又はジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、又は他の適当なガスなどの適当な噴射剤と共に加圧パックで提供されるエアロゾル製剤によって行うことができる。好都合なことに、エアロゾルも、レシチンなどの界面活性剤を含有することができる。薬物の投与量は、定量バルブの提供により制御することができる。
【0075】
代替方法として、活性成分は、乾燥粉末、例えば、ラクトース、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのデンプン誘導体及びポリビニルピロリドン(PVP)などの適当な粉末基剤中の化合物の粉末ミックスの形態で提供することができる。好都合なことに、粉末担体は、鼻腔内でゲルを形成するであろう。粉末組成物は、例えば、ゼラチンのカプセル剤若しくはカートリッジ剤、又は粉末を吸入器によって投与することができるブリスターパック中の単位剤形で提供することができる。
【0076】
鼻腔内組成物を含む気道への投与を意図した組成物において、化合物は、一般的に、例えばほぼ5ミクロン以下程度の小さな粒径を有するであろう。そのような粒径は、当技術分野において知られている手段によって、例えば、微粉化によって得ることができる。
【0077】
望ましい場合、活性成分の持続放出を得るように適応された組成物を用いることができる。
【0078】
医薬調製物は、単位剤形であることが好ましい。そのような形態において、調製物は、適切な量の活性成分を含有する単位投与量に細分される。単位剤形は、包装した調製物であってよく、包装した錠剤、カプセル剤、及びバイアル又はアンプル中の散剤などの離散量の調製物を含有する包装であってよい。また、単位剤形は、カプセル、錠剤、カシェ、又はロゼンジそれ自体であってよく、これらの包装形態中のこれらのうちのいずれかの適切な数であってよい。
【0079】
経口投与のための錠剤又はカプセル剤並びに静脈内投与及び持続注入のための液剤は、好ましい組成物である。
【0080】
製剤化及び投与についての技法に関する他の詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.、Easton、PA)の最新版に見出すことができる。
【0081】
治療に有効な投与量は、症状又は状態を改善する活性成分の量を指す。治療効力及び毒性、例えば、ED50及びLD50は、細胞培養又は実験動物における標準的な薬理学的手順によって決定することができる。治療効果と毒性効果の間の投与量比は、治療係数であり、比LD50/ED50によって表すことができる。大きな治療係数を示す医薬組成物が好ましい。
【0082】
投与される投与量は、治療されている個人の年齢、体重及び状態、並びに投与経路、剤形及び投与計画、及び望まれる結果に注意深く調整されなければならないことは言うまでもなく、正確な用量は、開業医によって決定されるべきであることは言うまでもない。
【0083】
実際の用量は、治療されている疾患の性質及び重症度に左右され、医師の裁量内にあり、望ましい治療効果を生み出すための本発明の特定の環境に用量を設定することにより変化させることができる。しかしながら、今のところ、個々の投与当たり活性成分約0.1〜約500mg、好ましくは約1〜約100mg、最も好ましくは約1〜約10mgを含有する医薬組成物が治療的処置に適していることが企図されている。
【0084】
活性成分は、1日当たり1つ又はいくつかの投与量で投与することができる。満足な結果は、特定の場合に、0.1μg/kgi.v.及び1μg/kgp.o.という低い用量で得ることができる。用量範囲の上限は、今のところ約10mg/kgi.v.及び100mg/kgp.o.であると見なされる。好ましい範囲は、約0.1μg/kg〜約10mg/kg/日i.v.及び約1μg/kg〜約100mg/kg/日p.o.である。
【0085】
治療の方法
別の態様において、本発明は、ヒトを含む動物の生体の疾患又は障害又は状態を治療、予防又は軽減するための方法であって、その疾患、障害又は状態が、中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に反応性であり、その方法が、それを必要としているヒトを含むそのような動物の生体に、有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0086】
今のところ、適当な用量範囲は、1日0.1〜1000ミリグラム、1日10〜500ミリグラム、特に1日30〜100mgであり、従来どおり、投与の正確な様式、投与される形態、投与が対象としている適応症、関係する対象及び関係する対象の体重、さらに担当する医師又は獣医師の好み及び経験に左右されることが企図されている。疾患を治療するため当技術分野において知られている化合物と組み合わせて投与される場合、投与計画を軽減することができる。
【実施例】
【0087】
本発明は、以下の実施例を参照してさらに例示されるが、それらの実施例は、特許請求の範囲に記載されているような本発明の範囲を限定することを決して意図していない。
【0088】
一般:空気に敏感な試薬又は中間体が関与するすべての反応は、窒素下及び無水溶媒中で行った。硫酸マグネシウムは、後処理手順における乾燥剤として使用し、溶媒は、減圧下で蒸発させた。
【0089】
エンド−安息香酸8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イルエステル
塩化ベンゾイル(84.3g、600mmol)を、トロピン(70.6g、500mmol)、カリウムtert−ブトキシド(67.3g、600mmol)及びTHF(500ml)の混合物に30℃未満にて30分の間に加えた。混合物を室温にて2時間撹拌した。水(1L)を加え、続いてジエチルエーテル(2×500ml)で抽出した。有機相を、水で2回(2×200ml)、続いて飽和水性塩化ナトリウムの溶液(200ml)で洗浄した。エーテル相を乾燥し、エタノール中の塩酸(170ml、3M)を加えた。沈殿した塩酸塩を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄した。遊離塩基は、過剰の水性アンモニアを加え、続いて酢酸エチルとジエチルエーテルの混合物で抽出することにより得られた。収量66.8g(54%)。
【0090】
エンド−安息香酸8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イルエステル
クロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル(75.0ml、544mmol)を、エンド−安息香酸8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イルエステル(66.8g、272mmol)と乾燥トルエン(500ml)の混合物に滴加した。混合物を、室温にて1時間、続いて100℃にて15時間撹拌させた。水(250ml)を加え、続いて1時間撹拌した。相を分離し、有機相を水で2回(2×200ml)洗浄した。中間体3−ベンゾイルオキシ−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸トリクロロメチルエステルの混合物を乾燥し、蒸発させた。酢酸(350ml)を加え、続いて亜鉛(53.4g、817mmol)を3時間かけて加えた。水(100ml)を加え、氷を加えることにより冷却し、濃水性アンモニア(約400ml)を加えることによりアルカリ性にし、混合物をジクロロメタン(2×300ml)で抽出した。収量44.5g(61%)。
【0091】
エンド−3−ベンゾイルオキシ−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸tert−ブチルエステル
THF(100ml)に溶かした二炭酸ジ−tert−ブチル(39.9g、183mmol)を、室温にて0.5時間の間にエンド−安息香酸8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イルエステル(44.5g、166.4mmol)、トリエチルアミン(67.4g、666mmol)及びTHF(250ml)の撹拌した混合物に加え、続いて1時間撹拌した。水(1L)を加え、混合物をジエチルエーテル(2×300ml)で抽出した。集めたエーテル相を、水で2回(2×200ml)洗浄し、乾燥し、蒸発させた。収量60.1g(100%)。
【0092】
エンド−3−ヒドロキシ−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸tert−ブチルエステル
エンド−3−ベンゾイルオキシ−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸tert−ブチルエステル(55.0g、166mmol)、水酸化カリウム(11.2g 199mmol)及びエタノール(99%、400ml)の混合物を、室温にて3日間撹拌した。安息香酸カリウムを濾過により分離し、濾液を蒸発させた。ジエチルエーテル(200ml)を加え、残存する安息香酸カリウムを濾過により分離し、濾液を蒸発させた。生成物を石油とトリチュレートした。収量30.0g(80%)。融点139.5〜140.8℃。
【0093】
エキソ−3−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸tert−ブチルエステル
トリフェニルホスフィン(13.8g、52.8mmol)をジオキサン(100ml)に溶かし、8℃まで冷却した。アゾジカルボン酸ジエチル(9.2g、52.8mmol)を15℃未満で混合物に加え、続いて15分間撹拌した。エンド−3−ヒドロキシ−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸tert−ブチルエステル(10.0g、44.0mmol)及び6−メトキシ−2−ナフトール(8.4g、48.4mmol)を混合物に加えた。温度は、発熱反応によって32℃まで上昇した。混合物を室温にて15時間撹拌させた。塩酸(300ml、1M)を加え、続いてジエチルエーテル(2×200ml)で抽出した。混合物を乾燥し、蒸発させた。溶媒としてのジクロロメタン及び5%メタノールによるシリカゲル上のクロマトグラフィー。粗生成物をジエチルエーテル(500ml)に溶かし、水性水酸化ナトリウム(3×200ml、1M)で洗浄した。生成物を乾燥し、蒸発させた。収量11.0g(65%)。
【0094】
方法A
エキソ−3−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩
酢酸中のエキソ−3−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸tert−ブチルエステル(11.0g、24.7mmol)と塩化水素(60ml、1M)の混合物を、室温にて3時間撹拌した。ジエチルエーテル(200ml)を加え、生成物を濾過により分離した。収量7.2g(91%)。融点237〜239℃。
【0095】
エキソ−6−(8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イルオキシ)−ナフタレン−2−オール塩酸塩は、方法Aに従って調製した。融点293.5〜293.9℃。
【0096】
エキソ−3−(6−エトキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩は、方法Aに従って調製した。融点211〜219℃。
【0097】
エキソ−3−(6−イソプロポキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩は、方法Aに従って調製した。融点235〜239℃。
【0098】
エキソ−3−(7−メトキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩は、方法Aに従い、3−(7−メトキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸tert−ブチルエステルから調製した。融点225℃。
【0099】
試験例
In vitro阻害活性
多くの化合物を、WO97/16451に記載されているように、シナプトソームにおけるモノアミン神経伝達物質ドーパミン(DA)ノルアドレナリン(NA)及びセロトニン(5−HT)の再取り込みを阻害するそれらの能力について試験した。
【0100】
試験値を、IC50H−DA、H−NA、又はH−5−HTの特異的結合を50%阻害する試験物質の濃度(μM))として示す。
【0101】
選択された本発明の化合物を試験することによって得られた試験結果は、下表から明白である。
【0102】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン誘導体、
【化1】


その異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、
又は薬学的に許容できるそれらの塩
[式中、
は、ナフチル基を表し、
ナフチル基は、−O−Rで置換されており、
は、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル又はアルキニルを表し、
ナフチル基は、
ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、オキソ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル及びアルキニルからなる群から独立して選択される1個又は複数の置換基でさらに置換されていてもよい]。
【請求項2】
が、−O−Rで置換されているナフチル基を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、
【化2】


を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、
【化3】


を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、水素を表す、請求項1から4までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
が、アルキルを表す、請求項1から4までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
エキソ−3−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン、
エキソ−6−(8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イルオキシ)−ナフタレン−2−オール、
エキソ−3−(6−エトキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン、
エキソ−3−(6−イソプロポキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン、
エキソ−3−(7−メトキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン、
又は薬学的に許容できるそれらの塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
少なくとも1種の薬学的に許容できる担体、賦形剤又は希釈剤と一緒に、治療有効量の請求項1から7までのいずれか一項に記載の化合物、その異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、又は薬学的に許容できるそれらの塩を含む医薬組成物。
【請求項9】
医薬品を製造するための、請求項1から7までのいずれか一項に記載の化合物、その異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、又は薬学的に許容できるそれらの塩の使用。
【請求項10】
ヒトを含む哺乳動物の疾患又は障害又は状態を治療、予防又は軽減するための医薬組成物を製造するための請求項9に記載の使用であって、その疾患、障害又は状態が、中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に反応性である、上記使用。
【請求項11】
疾患、障害又は状態が、気分障害、うつ病、非定型うつ病、疼痛に続発したうつ病、大うつ病性障害、気分変調性障害、双極性障害、双極I型障害、双極II型障害、気分循環性障害、一般医学的状態に起因する気分障害、物質誘発性気分障害、偽認知症、ガンザー症候群、強迫性障害、パニック障害、広場恐怖症を伴わないパニック障害、広場恐怖症を伴うパニック障害、パニック障害の病歴のない広場恐怖症、パニック発作、記憶障害、記憶喪失、注意欠陥多動性障害、肥満症、不安症、全般性不安障害、摂食障害、パーキンソン病、パーキンソン症、認知症、加齢の認知症、老年性認知症、アルツハイマー病、後天性免疫不全症候群認知症複合、加齢における記憶機能障害、特定恐怖症、社会恐怖症、社会不安障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、薬物依存症、薬物乱用、コカイン乱用、ニコチン乱用、タバコ乱用、アルコール依存症、アルコール中毒、窃盗癖、疼痛、慢性疼痛、炎症性疼痛、神経障害性疼痛、片頭痛疼痛、緊張性頭痛、慢性緊張性頭痛、うつ病に伴う疼痛、線維筋痛、関節炎、骨関節炎、関節リウマチ、背痛、癌性疼痛、過敏性腸疼痛、過敏性腸症候群、術後疼痛、乳房切除後疼痛症候群(PMPS)、脳卒中後疼痛、薬物誘発性神経障害、糖尿病性神経障害、交感神経依存性疼痛、三叉神経痛、歯痛、筋筋膜痛、幻肢痛、過食症、月経前症候群、月経前不快気分障害、後期黄体期症候群、心的外傷後症候群、慢性疲労症候群、尿失禁、緊張性尿失禁、急迫性尿失禁、夜間尿失禁、性機能障害、早漏、勃起困難、勃起機能障害、早期女性オルガスム、脚不穏症候群、周期性四肢運動障害、摂食障害、拒食症、睡眠障害、広汎性発達障害、自閉症、アスペルガー障害、レット障害、小児期崩壊性障害、学習不能症、運動技能障害、無言症、抜毛癖、ナルコレプシー、脳卒中後うつ病、脳卒中誘発性脳損傷、脳卒中誘発性神経損傷、ジルドラトゥレット病、耳鳴、チック障害、身体醜形障害、反抗的行為障害又は脳卒中後不能症である、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
ヒトを含む、動物の生体の疾患又は障害又は状態を治療、予防又は軽減するための方法であって、その障害、疾患又は状態が、中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に反応性であり、その方法が、それを必要としているそのような動物の生体に、治療有効量の請求項1から7までのいずれか一項に記載の化合物、その異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、又は薬学的に許容できるそれらの塩を投与することを含む上記方法。

【公表番号】特表2009−515850(P2009−515850A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539435(P2008−539435)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際出願番号】PCT/EP2006/068275
【国際公開番号】WO2007/054531
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(505377201)ノイロサーチ アクティーゼルスカブ (135)
【Fターム(参考)】