説明

モノエチレングリコールの回収方法

触媒ブリード流からモノエチレングリコールを回収する方法が開示される。この方法は、触媒ブリード流を、ジエチレングリコールを少なくとも40重量%含む重質成分流と混ぜて混合流とする工程、および混合流を蒸留してモノエチレングリコールを含む第一流およびジエチレングリコールを含む第二流とする工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、触媒ブリード流からモノエチレングリコールを回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
モノエチレングリコールは、ポリエステル繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)プラスチック、および樹脂の製造において原料として用いられる。モノエチレングリコールは、自動車の不凍液にも組み込まれている。
【0003】
モノエチレングリコールは、代表的にはエチレンオキシドから調製されるが、このエチレンオキシドはエチレンから調製されるものである。エチレンと酸素を酸化銀触媒に通して、エチレンオキシド、二酸化炭素、エチレン、酸素、および水を含む生成物流とする。この生成物流をエチレンオキシド吸収器に供給し、エチレンオキシドを再循環溶媒流に吸収させる。
【0004】
エチレンオキシド吸収器を出る溶媒流は、エチレンオキシドストリッパーに供給され、エチレンオキシドは蒸気流として取り出される。エチレンオキシドストリッパーから得られたエチレンオキシドは、精製して貯蔵または販売することも可能であるし、さらに反応させてモノエチレングリコールとすることも可能である。
【0005】
US6,080,897、およびUS6,187,972に記載の方法では、エチレンオキシドを、触媒的に二酸化炭素と反応させて、炭酸エチレンを生成する。続いてこの炭酸エチレンを加水分解する。炭酸エチレンと水の反応により、エチレングリコール生成物流が生成する。加水分解工程からの生成物流を脱水に供して水を除去する。脱水した生成物流を蒸留して、蒸留カラムの頂部からグリコール流を取り出し、蒸留カラムの底部から触媒溶液を取り出す。触媒溶液は、カルボキシル化反応器に戻して再利用される。
【0006】
EP776890も同様な方法を開示するが、この方法では、加水分解反応器からの生成物流をグリコール流と触媒溶液とに分割する。触媒溶液はエチレンオキシド吸収器に戻して再利用される。触媒溶液の一部は触媒ブリード流として放出することにより、ジエチレングリコールなどの重質成分の蓄積を回避する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,080,897号明細書
【特許文献2】米国特許第6,187,972号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第776890号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
触媒ブリード流は、ジエチレングリコールの他にも、触媒分解生成物、その他の不純物、およびモノエチレングリコールを含むと思われる。触媒ブリード流からモノエチレングリコールを回収して生成物の収率を上げることが望ましい。本発明者らは、触媒ブリード流からモノエチレングリコールを回収するのに用いることができる方法を提供しようと努めてきた。望ましくは、この方法は、モノエチレングリコール製造方法に組み込まれるものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
従って、本発明は、触媒ブリード流からモノエチレングリコールを回収する方法であって:
a)触媒ブリード流、および任意にさらなるブリード流を、ジエチレングリコールを少なくとも40重量%含む重質成分流と混ぜて混合流とする工程、
b)混合流を必要に応じて脱水する工程、および
c)工程(a)または工程(b)の混合流を蒸留カラムに送り、蒸留カラムからモノエチレングリコールを含む第一流およびジエチレングリコールを含む第二流を取り出す工程
を含む方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
触媒ブリード流を、ジエチレングリコールを少なくとも40重量%含む「重質成分」流と混ぜ、続いて蒸留することにより、蒸留カラムの頂部から第一流としてモノエチレングリコールを回収すること、ならびに蒸留カラムの底部に第二流として重質不純物、塩、および触媒を濃縮することが可能になる。主にモノエチレングリコールである触媒流を液体に流出(および廃棄)させるのに比べたら、主に重質不純物である触媒流を液体に流出(および廃棄)させる方が望ましい。なぜならモノエチレングリコールは重質不純物より価値が高いからである。エチレングリコール製造プラントで、本発明のモノエチレングリコール回収方法を行なうことにより、エチレングリコール製造プラントでのモノエチレングリコールの全体収率が改善できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態による方法を示す模式図である。
【図2】本発明の代替実施形態による方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(発明の詳細な記述)
エチレングリコール製造プラントでは、エチレンオキシドを反応させ、必要に応じて炭酸エチレンを経由して、モノエチレングリコールとする。1種以上の均一触媒を用いて、この反応工程を触媒する。1種以上の均一触媒は、グリコール生成物流から分離されて、触媒再利用流を介して反応ゾーンに戻される。モノエチレングリコールを含む触媒ブリード流は、触媒再利用流から取り分けられる。触媒再利用流の重量パーセントで表して、触媒再利用流のうち好ましくは0.0001重量%から10重量%、より好ましくは0.001から1重量%が、触媒ブリード流として取り出される。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、モノエチレングリコールの回収方法は、実質的にUS6,080,897およびUS6,187,972に記載されるとおりのエチレングリコール製造プラントにおいて行なわれる。このプラントは、エチレンオキシド反応器(ここでエチレンは酸素と反応して、エチレンオキシドを含む生成物流となる。)、エチレンオキシド吸収器(ここでエチレンオキシドは再循環溶媒流により吸収される。)、エチレンオキシドストリッパー(ここでエチレンオキシドは、蒸気流として取り出される。)、カルボキシル化反応器(ここでエチレンオキシドは、均一触媒の存在下、二酸化炭素と反応して、炭酸エチレンとなる。)、加水分解反応器(ここで炭酸エチレンは、均一触媒の存在下、水と反応して、エチレングリコールとなる。)、およびグリコール生成物流の精製装置を含む。カルボキシル化用および加水分解用の均一触媒は、グリコール生成物流から分離されて、カルボキシル化反応器および加水分解反応器に戻して再利用される。(好ましくは、触媒は、カルボキシル化反応器に戻して再利用され、従って、カルボキシル化反応器を出る流れ中に存在し、この流れが加水分解反応器に供給される。)
【0014】
本発明の別の実施形態において、モノエチレングリコールの回収方法は、概要が上記のとおりの、エチレンオキシド反応器、エチレンオキシド吸収器、およびエチレンオキシドストリッパーを含むエチレングリコール製造プラントで行なわれる。しかしながら、ストリッパーを出るエチレンオキシドは、直接加水分解反応器に送られ、ここでエチレンオキシドが、均一触媒の存在下、水と反応して、エチレングリコールとなる(反応は、炭酸エチレンを経由しては進行しない。)。このプラントはさらに、グリコール生成物流の精製装置を含む。加水分解触媒は、グリコール生成物流から分離されて加水分解反応器に戻され再利用される。この実施形態は、好ましくはない。なぜなら反応が炭酸エチレン中間体を経由して進行した場合にこそ選択性が高くなるからである。
【0015】
本発明のさらに別の実施形態において、方法は、エチレンオキシド吸収器が、再循環溶媒流中のエチレンオキシドを吸収する吸収器として、および一種以上の均一触媒の存在下でエチレンオキシドを炭酸エチレンおよび/またはエチレングリコールに変換する反応器としての両方で作用する、エチレングリコール製造プラントで行なわれる。このプラントは、エチレンオキシド反応器、エチレンオキシド吸収器、追加のカルボキシル化および加水分解が起こる随意のさらなる反応器、ならびに反応生成物の精製装置を含む。カルボキシル化および加水分解の触媒は、グリコール生成物流から分離されて、エチレンオキシド吸収器に戻され再利用される。
【0016】
カルボキシル化を促進すると知られている均一触媒として、アルカリ金属ハロゲン化物(ヨウ化カリウムおよび臭化カリウムなど)、およびハロゲン化有機ホスホニウム塩またはアンモニウム塩(ヨウ化トリブチルメチルホスホニウム、ヨウ化テトラブチルホスホニウム、ヨウ化トリフェニルメチルホスホニウム、臭化トリフェニルプロピルホスホニウム、塩化トリフェニルベンジルホスホニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化ベンジルトリエチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、およびヨウ化トリブチルメチルアンモニウムなど)が挙げられる。加水分解を促進すると知られている均一触媒として、塩基性アルカリ金属塩(炭酸カリウム、水酸化カリウム、および重炭酸カリウムなど)、およびアルカリ金属の金属酸塩(モリブデン酸カリウムなど)が挙げられる。触媒はカルボキシル化と加水分解の両方を促進してもよいが、カルボキシル化および加水分解を促進するのに異なる触媒を用いることが好ましい。好適な均一触媒系として、ヨウ化カリウムと炭酸カリウムの組合せ、およびヨウ化カリウムとモリブデン酸カリウムの組合せが挙げられる。
【0017】
触媒ブリード流は、ジエチレングリコールを少なくとも40重量%含む重質成分流と混ぜられて、混合流となる。重質成分流は、好ましくはジエチレングリコールを少なくとも60重量%含む。重質成分流は、高級グリコール(トリエチレングリコールなど)、金属塩、触媒分解生成物、エステル、およびアルデヒドも含んでもよい。重質成分流は、好ましくはモノエチレングリコール再利用カラムを出る底部流である。典型的なモノエチレングリコール精製方法において、粗グリコール流はモノエチレングリコール精製カラムに送られ、ここで仕上げられたモノエチレングリコールは側流として取り出され、頂部流は再利用される。底部流は、モノエチレングリコールをさらに回収するためにモノエチレングリコール再利用カラムに供給される。この再利用カラムを出る底部流が、望ましくは、本発明の方法において触媒ブリード流と混ぜられる。
【0018】
触媒ブリード流および重質成分流の一方または両方を分割して触媒ブリード流の一部のみまたは重質成分流の一部のみが混合流に組み込まれるようにすることが可能であるものの、好ましくは、触媒ブリード流全部が重質成分流全部と混ぜられて混合流となる。
【0019】
本発明の実施形態において、モノエチレングリコールを含むさらなるブリード流が、触媒ブリード流および重質成分流と混ぜられて混合流となる。このさらなるブリード流は、好ましくは、クエンチブリード流および/またはグリコールブリード流である。
【0020】
クエンチブリード流は、エチレングリコール製造プラントのクエンチセクションから来るものである。エチレンオキシド反応器中のエチレンと酸素の反応により生成したエチレンオキシドを含む生成物ガス流は、好ましくは、エチレンオキシド吸収器に供給される前に、クエンチセクションに送られる。クエンチセクションにおいて、生成物ガス流は、冷却された再循環水性クエンチ流と接触させられ、好ましくは塩基性溶液が再循環クエンチ流に連続して加えられる。クエンチブリードは、クエンチセクションから、好ましくは再循環水溶液から抜き出される。クエンチブリードは、典型的には、水、エチレンオキシド、エチレングリコール、塩、およびその他の不純物(エステル、酸、およびアルデヒドなど)を含む。クエンチブリードは、触媒ブリード流および重質成分流と混ぜられる前に、クエンチブリード流中のエチレンオキシドがエチレングリコールに変換されるように好ましくは加水分解に供せられ、好ましくは続いて濃縮または脱水に供せられる。クエンチブリード流の一部を混合流に組み込むことが可能であるものの、好ましくは脱水したクエンチブリード流全部を触媒ブリード流および重質成分流と混ぜて混合流とする。
【0021】
エチレンオキシド吸収器が吸収器としてのみ機能する(即ち反応器としては機能しない)エチレングリコール製造プラントでは、リーン吸収液が吸収器に供給されてエチレンオキシドを吸収し、エチレンオキシドを含んだリッチ吸収液が吸収器から抜き出される。好ましくはリーン吸収液からスリップ流が取り分けられ、リーン吸収液でのグリコール集積を回避する。これは、グリコールブリード流として既知である。グリコールブリード流の一部を混合流に組み込むことが可能であるものの、好ましくはグリコールブリード流全部を濃縮または脱水して触媒ブリード流および重質成分流と混ぜて混合流とする。
【0022】
本発明の1つの実施形態において、混合流は脱水されてから、工程(c)の蒸留カラムに送られる。脱水は、混合流が水を相当量(例えば40重量%を超える水を)含む場合に、特には脱水されていないクエンチブリードまたはグリコールブリードを混合流に組み込む場合に、好適である。
【0023】
混合流は、蒸留カラムに送られる。好ましくは、蒸留カラムは、圧力範囲が0.1から500mbarの真空カラムである。モノエチレングリコールを含む第一流は、蒸留カラムの頂部またはこの近くから取り出される。好ましくは第一流は実質的に純粋なモノエチレングリコール(例えば、少なくともモノエチレングリコール95重量%)である。第一流は、好ましくはエチレングリコール製造プラントのグリコール精製セクション、例えば脱水カラムまたはモノエチレングリコール精製カラムに送られる。または、第一流は生成物槽に送られてもよい。ジエチレングリコールを含む第二流は、蒸留カラムの底部またはこの近くから取り出される。第二流は、ジエチレングリコールの他に、高級グリコール(例えばトリエチレングリコール)、触媒分解生成物、およびその他の不純物を含むと思われる。好ましくは、第二流は、後処理されてジエチレングリコールおよび重質グリコールが回収されるか、焼却処分される。
【0024】
図1は、本発明の方法の好適な実施形態を示す。酸素(1)およびエチレン(2)は、再利用ガス流(3)に供給される。再利用ガス流(3)は、エチレンオキシド反応器(4)に供給され、ここでエチレンは酸素と反応してエチレンオキシドとなる。エチレンオキシド含有ガス状生成物流(5)はクエンチセクション(6)に供給され、ここでガスが冷やされて、ガス流を再循環水性流と接触させることにより不純物が除去される。クエンチされたガス状流(7)はクエンチセクションからエチレンオキシド吸収およびストリッピングセクション(8)に供給され、ここでエチレンオキシドが水性吸収液に吸収されてその後蒸気流として取り出される。エチレンオキシド吸収器を出る塔頂ガス(9)は二酸化炭素除去ユニット(10)に供給される。二酸化炭素は二酸化炭素ブリード流(11)として取り出され、必要に応じてカルボキシル化反応の補給二酸化炭素(12)として供給される。二酸化炭素除去セクション(10)で取り出されなかった塔頂ガスは、再利用ガス流(3)としてエチレンオキシド反応器(4)に戻して再利用される。
【0025】
エチレンオキシドと水の流れ(13)は、ストリッピングセクションから抜き出されて、カルボキシル化および加水分解反応器(14)に供給される。補給二酸化炭素(12)は、必要に応じてカルボキシル化反応器に供給される。カルボキシル化反応器内で、均一カルボキシル化触媒の存在下、エチレンオキシドは二酸化炭素と反応して、炭酸エチレンとなる。加水分解反応器内で、均一加水分解触媒の存在下、炭酸エチレン(および可能であればエチレンオキシドも)は水と反応してモノエチレングリコールとなる。二酸化炭素ブリード流(15)は、反応器(14)から取り出される。モノエチレングリコールを含む反応器生成物流(16)は、グリコール脱水ユニット(17)に供給される。水(18)は、脱水ユニットから取り出される。主にグリコールと均一触媒からなる脱水された流れ(19)は、触媒分離ユニット(20)に供給される。主にグリコールからなる生成物流(21)は、グリコール精製ユニット(22)に供給される。モノエチレングリコール生成物(23)は、グリコール精製ユニット(22)から抜き出される。
【0026】
触媒再利用流(24)は、触媒分離ユニット(20)から抜き出され、カルボキシル化反応器に供給される。新たな触媒(25)もカルボキシル化反応器に供給することができる。触媒ブリード流(26)は、触媒再利用流(24)から抜き出される。主にジエチレングリコールからなる重質成分流(27)は、グリコール精製ユニット(22)から抜き出される。
【0027】
クエンチブリード流(29)は、クエンチユニット(6)から抜き出されて加水分解ユニット(30)に供給され、ここでクエンチブリード流中のエチレンオキシドがエチレングリコールに変換される。加水分解されたクエンチブリード流(31)は、脱水器(32)に供給され、ここで水(37)が除去される。グリコールブリード流(33)は、吸収およびストリッピングユニット(8)から、具体的にはエチレンオキシド吸収器に供給されたリーン吸収液から抜き出される。グリコールブリード流(33)も脱水器(32)に供給される。脱水器(32)を出るグリコールブリード流は、触媒ブリード流(26)および重質成分流(27)と混ぜられて、混合流(28)を形成する。
【0028】
混合流(27)は、蒸留カラム(34)に供給される。モノエチレングリコール(35)は、カラムの頂部から取り出される。ジエチレングリコール、塩、不純物、および触媒分解生成物を含む流れ(36)は、カラムの底部から取り出される。
【0029】
図2は、本発明の方法の別の好適な実施形態を示す。特徴はほとんど図1に示すものと同様である。ただし、クエンチされたガス状流(7)は、クエンチセクションからエチレンオキシド吸収および反応ユニット(8a)に供給され、ここでエチレンオキシドは水性吸収液に吸収されて、カルボキシル化触媒および加水分解触媒の存在下反応して炭酸エチレンおよびエチレンオキシドとなる。エチレンオキシド、炭酸エチレン、およびエチレングリコールを含む流れ(13a)は、カルボキシル化および加水分解仕上げ反応器(14a)に供給され、ここでエチレンオキシドから炭酸エチレンへ、および炭酸エチレンからエチレングリコールへの反応がさらに起こる。補給二酸化炭素(12a)は、必要に応じてエチレンオキシド吸収および反応ユニット(8a)に供給される。二酸化炭素ブリード流(15a)は、仕上げ反応器(14a)から取り出される。触媒再利用流(24a)は、触媒分離ユニット(20)からエチレンオキシド吸収および反応ユニット(8a)に供給される。新たな触媒(25a)も、エチレンオキシド吸収および反応ユニットに供給される。
【0030】
必要に応じて、二酸化炭素(38)を、仕上げ反応器(14a)からエチレンオキシド吸収および反応ユニット(8a)に戻して再利用することができる。吸収液(39)は、仕上げ反応器からエチレンオキシド吸収および反応ユニット(8a)に戻して再利用される。
【0031】
この実施形態にはグリコールブリード流がないので、混合流(28)は、触媒ブリード流(26)、重質成分流(27)、ならびに加水分解および脱水に供されたクエンチブリードからなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒ブリード流からモノエチレングリコールを回収する方法であって:
a)触媒ブリード流、および任意にさらなるブリード流を、ジエチレングリコールを少なくとも40重量%含む重質成分流と混ぜて混合流とする工程、
b)混合流を必要に応じて脱水する工程、および
c)工程(a)または工程(b)の混合流を蒸留カラムに送り、蒸留カラムからモノエチレングリコールを含む第一流およびジエチレングリコールを含む第二流を取り出す工程、
を含む、方法。
【請求項2】
触媒ブリード流および少なくとも1つのさらなるブリード流が重質成分流と混ぜられ、少なくとも1つのさらなるブリード流はクエンチブリード流および/またはグリコールブリード流である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
蒸留カラムは、圧力範囲が0.1から500mbarの真空カラムである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第一流は、第一流の重量を基準として、少なくとも95重量%がモノエチレングリコールである、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
エチレンオキシドは、1種以上の均一触媒の存在下、反応ゾーンで反応して、任意に炭酸エチレンを経由して、モノエチレングリコールとなり、1種以上の均一触媒は、グリコール生成物流から分離されて触媒再利用流を介して反応ゾーンに戻され、モノエチレングリコールを含む触媒ブリード流は触媒再利用流から取り分けられ、およびモノエチレングリコールは、請求項1から4のいずれかに記載の方法により触媒ブリード流から回収される、モノエチレングリコールの製造方法。
【請求項6】
モノエチレングリコールはモノエチレングリコール再利用カラムで精製され、重質成分流はモノエチレングリコール再利用カラムを出る底部流である、請求項5に記載のモノエチレングリコールの製造方法。
【請求項7】
エチレンオキシド反応器中のエチレンと酸素の反応により生成したエチレンオキシドを含む生成物流を、クエンチセクションに送ってからエチレンオキシド吸収器に供給し、クエンチブリードはクエンチセクションから抜き出されて加水分解に供されて加水分解されたクエンチブリード流となり、加水分解されたクエンチブリード流は必要に応じて濃縮または脱水されて、触媒ブリード流および重質成分流と混ぜられる、請求項5または6に記載のモノエチレングリコールの製造方法。
【請求項8】
リーン吸収液をエチレンオキシド吸収器に供給し、グリコールブリード流はリーン吸収液から抜き出され、グリコールブリード流は必要に応じて濃縮または脱水されて、触媒ブリード流および重質成分流と混ぜられる、請求項5から7のいずれか一項に記載のモノエチレングリコールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−505180(P2012−505180A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530478(P2011−530478)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063022
【国際公開番号】WO2010/040773
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(590002105)シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー (301)
【Fターム(参考)】