説明

モノエチレングリコール(MEG)からのエチレンアミン及びエタノールアミンの製造方法

触媒の存在でモノエチレングリコール及びアンモニアの水素化アミノ化によるエチレンアミン及びエタノールアミンの製造方法において、この方法を2つの方法工程で実施し、第1の方法工程の場合に、ヒドロアミノ化触媒で最大40%のモノエチレングリコール転化率までアミノ化を実施し、第2の方法工程において、ルテニウム及びコバルトを含有する活性材料を有し、その他に第VIII族の他の金属並びに第IB族の金属を含有しない含浸された触媒を触媒成形体の形で使用し、前記触媒成形体は、球形又はストランド形の場合にそれぞれ<3mmの直径を有し、タブレット形の場合に<3mmの高さを有し、及び他の全ての形状の場合には、それぞれ<0.70mmの相当直径L=1/a′を有することを特徴とする、エチレンアミン及びエタノールアミンの製造方法が記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒の存在でモノエチレングリコール(以後:MEG)及びアンモニアの水素化アミノ化によるエチレンアミン及びエタノールアミンの製造方法に関する。
【0002】
公知の方法の場合に、一般にエタノールアミンとエチレンアミンとの混合物が得られ、この混合物の中で、特にエチレンジアミン(以後:EDA)及びジエチレントリアミン(ビス(2−アミノエチル)アミン;以後:EDTA)が、特に、溶剤として、安定剤として使用するために、キレート生成剤、プラスチック、医薬品、阻害剤及び界面活性剤の合成のために重要な材料である。
【0003】
EDAは、特に殺菌剤及び殺虫剤の原料として使用される。
【0004】
DETAは、特に、着色剤のための溶媒として使用され、かつ、イオン交換体、有害生物駆除剤、酸化防止剤、腐食保護剤、錯形成剤、テキスタイル助剤及び(酸性)ガスのための吸着剤の製造のための出発材料である。
【0005】
エチレンアミン及びエタノールアミンの生成物混合物中の非線状のアミン、特に環状アミン、主にピペラジン及びピペラジン誘導体は、それに対してあまり望ましくない乃至不所望である。
【0006】
エチレンアミンの製造のために、文献中には多数の方法が記載されている。
【0007】
PEP Report No. 138, "Alkyl Amines", SRI International, 03/1981、特に7, 8, 13-16, 43-107, 113, 117頁によれば、ジクロロエタンとアンモニアとのモル比1:15での反応は、形成されたエチレンアミンに関して20質量%より多い割合を有するDETAを提供する。しかしながら、EDA 40質量%の他に40質量%のより高級なエチレンアミンが生じる。
【0008】
モノエタノールアミン(以後:MEOA)のアンモニアを用いたアミノ化(例えば、前述のPEP Report, US 4,014,933 (BASF AG)参照)により、このより高級なエチレンアミンの形成(つまり、トリエチレンテトラミン(以後:TETA)の沸点よりも高い沸点を有するエチレンアミン)は、EDAのために大幅に抑えることができる。しかしながら副生成物として、上記反応の場合にはアミノエチルエタノールアミン(以後:AEEA)及びピペラジン(以後:PIP)が生じる。
【0009】
Ind. Eng. Chem. Prod. Res. Dev. 1981 , 20, 399-407頁(CM. Barnes et al.)は、SiO2−Al23混合担体上のニッケル触媒に対するMEOAのEDAへのアンモノリシスを記載する。水及びこの粉末化された触媒の添加は、EDAに関する収率の向上の際に有利であるとされていた。
【0010】
この技術の欠点は、この懸濁触媒作用の場合に、特に、必要な触媒/生成物の分離から生じる。更に、選択率、例えばDETAの形成についての選択率は改善されるべきである。
【0011】
WO-A-05/014523 (BASF AG)は、触媒の存在下でのMEOAとアンモニアとの、反応器(1)中での反応及び生じる反応搬出物の分離によるエチレンアミン(例えばDETA)の製造方法に関し、その際この分離の際に得られるEDAは別個の反応器(2)中で触媒の存在下でDETAへと反応させられ、生じる反応搬出物は、反応器1から生じる反応搬出物の分離に供給される。
【0012】
26.04.05付けの先願のドイツ国特許出願Nr. 102005019373.0(BASF AG)は、エチレンアミンの製造方法に関し、その際第一の反応工程においてエチレンオキシドをアンモニアと、水不含の条件下で無機イオン交換体で連続的に反応させ、その際、生じる反応生成物はモノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンを特定の質量比で含有し、この反応生成物を引き続き連続的に第二の反応工程においてアンモニアと、水素及び水素化触媒の存在下で反応させる。
【0013】
しかしながら、この方法は、高い純度の酸化エチレンから出発しなければならないという欠点を有する。
【0014】
DE 102005047464.0からは、次の定義による触媒成形体の形状を有する、アルミニウム、銅、ニッケル及びコバルトの化合物を含有する不均一系触媒を使用することにより、非環式アミン、特にEDA及びDETAを高い収率及び選択率で、MEOAから出発して水素化アミノ化により得られることは公知である。
【0015】
この触媒成形体は、球形又はストランド形の場合にはそれぞれ<3mmの直径、タブレット形の場合には<3mmの高さ及び他の全ての形状の場合にはそれぞれ<0.70mmの相当直径L=1/a′を有するべきであり、その際、a′は外部表面積/体積の単位(mms2/mmp3)であり、次の式を有する:
【数1】

[式中、Apは、触媒粒子の外部表面積(mms2)及びVpは触媒粒子の体積(mmp3)である]。
【0016】
WO 96/38226からは、担体材料上にレニウム、ニッケル、コバルト、ホウ素及び銅及び/又はルテニウムを含有し、ニッケル対レニウムの1〜30の範囲内の質量比で及びニッケル対コバルト、ニッケル対ホウ素並びにニッケル対銅及び/又はルテニウムのそれぞれ1対20の質量比での触媒は公知である。この触媒は、アルカン又はアリールアルカン誘導体の、例えばアンモニアを用いた水素、特にMEOAの存在での還元アミノ化のために使用される。例えば、多くの他のアルカン誘導体も出発物質として挙げられていて、その中でもエチレングリコールが挙げられている。この文献から、記載された触媒が、モノエチレングリコールからモノエタノールアミンへの反応の方法工程のために、モノエタノールアミンの後続反応に比べてより高められた選択率を有することを推知することはできない。
【0017】
US 4,855,505からは、例えばモノエチレングリコールを例えばアンモニアと、ニッケル又はコバルト4〜40質量%、ルテニウムハロゲン化物の溶液として導入されたルテニウム0.1〜5質量%を、活性化された酸化アルミニウム少なくとも50質量%を含有する多孔性金属酸化物担体上に含有する触媒の存在で、ヒドロアミノ化する方法は公知である。この触媒は、例えば、約3mmの長さ及び直径を有するタブレットの形で使用される。この文献中には、明らかに、非ハロゲン化物、例えば酸化ルテニウム、硫酸ルテニウム、硝酸ルテニウム、ニトロシル硝酸ルテニウム、アンモニウム硝酸ルテニウム、ルテニウムアセチルアセトナート及び過ルテニウム酸カリウムが、ニッケル触媒又はコバルト触媒の活性を強化するが、しかしながらルテニウムを添加しない相応する触媒と比較して有機水素化における僅かな選択率の改善も生じないことが強調されている。Journal of Catalysis 161, p. 96 - 106 (1996)には、特にニトリル化合物の水素化のための担持型並びに非担持型のルテニウム−コバルト触媒の使用が記載されている。この文献は、しかしながら、モノエチレングリコールのアンモニアを用いた水素化アミノ化のための、ルテニウム及びコバルトを含有する触媒の使用を示唆していない。
【0018】
EP-A 0 839 575からは、触媒の全質量に対して、コバルト、ニッケル又はこれらの混合物6より大〜50質量%、ルテニウム0.001〜25質量%、銅0〜10質量%及び助触媒0〜5質量%を多孔質金属酸化物担体上に有し、前記担体はハロゲン化化合物で含浸されていないアミノ化触媒は公知である。前記触媒は、特に、良好な耐久性及びアンモニアを用いたモノエタノールアミンのアミノ化の際にエチレンジアミンに対して高い選択率と同時に、腐食を引き起こさない。
【0019】
従って、本発明の課題は、線状エチレンアミン及びエタノールアミンに対して比較的高い選択率を有する、MEGの水素化アミノ化によるエチレンアミン及びエタノールアミンの製造方法を提供することであった。
【0020】
この解決策は、触媒の存在でのモノエチレングリコールとアンモニアとの水素化アミノ化によるエチレンアミン及びエタノールアミンの製造方法において、前記方法は2つの方法工程で実施され、その際、
− 第1の方法工程ではヒドロアミノ化触媒でのアミノ化を最大40%のモノエチレングリコール転化率まで実施し、かつ
− 第2の方法工程では、ルテニウム及びコバルトを含有する活性材料を有し、その他に第VIII族の他の金属並びに第IB族の金属を含有しない触媒を、触媒成形体の形状で使用し、前記触媒成形体は、球形又はストランド形の場合にはそれぞれ<3mmの直径、タブレット形の場合には<3mmの高さ、及び他の全ての形状の場合には、それぞれ<0.70mmの相当直径L=1/a′を有し、その際、a′は外部表面積/体積の単位(mms2/mmp3)であり、式:
【数2】

[その際、Apは、触媒成形体の外部表面積(mms2)及びVpは触媒成形体の体積(mmp3)である]を有し、第2の方法工程は第1の方法工程よりも少なくとも10℃高い温度で実施されることを特徴とする、エチレンアミン及びエタノールアミンの製造方法にある。
【0021】
有利に、第1の工程は最大30%のモノエチレングリコール転化率まで実施される。
【0022】
前記触媒成形体の表面積及び体積は、公知の数学式に応じた、この成形体の幾何学的な寸法から明らかになる。
【0023】
体積は以下の方法により計算されることもできる:
1. 成形体の内部多孔率を決定(例えば、室温及び1barの全体圧での、[ml/g Kat(触媒)]での吸水量の測定により)、
2. 液体中への浸漬の際の成形体の排除量(例えば、ヘリウムピクノメーターを用いたガス排除量)を決定、及び
3. 両方の体積の合計を形成。
【0024】
この表面積は以下の方法によって理論的に計算されることもでき、その際この成形体の包絡線(Umhuellende)を定義し、その曲線半径は最大で5μmであり(この細孔中への包絡線の「侵入」による内部細孔表面積を連行しないように)、及び、この包絡線はこの成形体に可能な限り密接に接する(担体との断面積(Schnittflaeche)無し)。具体的には、これは、成形体周囲に配置され、次いで中から真空を適用した極めて薄いシートに相応するものであり、この結果前記シートは可能な限り密に成形体周囲に配置される。
【0025】
出発材料として使用されるMEGは、公知の方法により、例えば酸化エチレンと水との反応により確認することができる。
【0026】
本発明による反応は、一般に第1の方法工程において130〜230℃、有利に150〜170℃の範囲内の温度で行われ、第2の反応工程において150〜240℃、有利に160〜190℃の範囲内の温度で行われ、その際、第2の反応工程中の温度は、第1の反応工程中での温度と比較して常に少なくとも10℃高くなければならない。本発明による反応は、一般に1〜250bar、有利に100〜200bar、特に150〜200barの範囲内の絶対圧で行われる。
【0027】
MEGとアンモニアとは、第1の工程で、有利に3〜30、有利に7〜15の範囲内のモル比で使用される。
【0028】
本発明は、第1の工程で使用される触媒に関して制限はなく;公知の全てのヒドロアミノ化触媒、例えばニッケル、コバルト及び銅を活性材料として含有する触媒を使用することができる。第1の方法工程での反応は、最大40%のモノエチレングリコール、有利に30%に制限されるのが重要である。
【0029】
この場合、MEOAが優勢の混合物が得られ、これを直接、特にアンモニアの中間分離なしに、第2の方法工程に導入する。
【0030】
第2の方法工程において、一般に含浸された触媒は、触媒作用する活性材料及び場合により成形助剤、例えば黒鉛又はステアリン酸だけからなる形で使用されるか又は含浸された触媒として、つまり触媒作用する活性材料は十分に不活性の担体上に設けられた形で使用される。含浸された触媒を使用する場合に、触媒(活性材料+担体)の全質量に対する担体の割合は10〜90質量%である。
【0031】
担体として公知の全ての適当な担体、例えば活性炭、炭化ケイ素又は金属酸化物を使用することができる。金属酸化物の使用が有利である。この金属酸化物の中でも、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、二酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム又はそれらの混合物を使用するのが有利であり、これらは場合によりアルカリ金属酸化物及び/又はアルカリ土類金属酸化物でドープされている。特に、γ−酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、二酸化セリウム又は二酸化チタン又はこれらの混合物が有利である。
【0032】
有利に、担体はγ−酸化アルミニウムである。
【0033】
前記担体は、任意の形状で、例えば押出物(ストランドの形状)、ペレット、タブレット、モノリス、織物、編物として又は粉末状で使用することができる。
【0034】
前記担持触媒は、一般に公知の方法により製造することができる。これには、例えば、使用される金属成分の化合物の溶液を用いた担体の含浸が挙げられる。溶剤として、通常の全ての溶剤、例えば、水、メタノール、エタノール又はアセトンが適しており、有利に水が使用される。更に、触媒は、触媒成分を一緒に又は順番に沈殿させ、引き続き濾過し、この濾過ケークを洗浄することにより製造することができる。含浸又は沈殿に引き続き、乾燥工程(50〜200℃)及びか焼工程(200〜500℃)が行われる。前記触媒は、次いで200〜400℃の最終温度で還元され、引き続き不動態化することができる、それというのも還元された金属は発火性であるためである。触媒を合成反応器内へ組み込んだ後に、前記触媒は、反応の運転開始の前に、100〜300℃の温度で水素で還元することにより再活性化することができる。
【0035】
前記触媒は、活性材料としてルテニウム及びコバルトを元素の形で含有し、その他に第VIII族の他の金属並びに第IB族の金属を含有しない。
【0036】
前記触媒の製造のために、前記金属の化合物、有利に酸化物、同様に硝酸塩、炭酸塩又は酢酸塩を使用することができる。この金属化合物は、触媒を完成させるために、水素化アミノ化において前記金属化合物を使用する前に有利に水素で処理することにより還元される。前記金属を元素状で微細に分散した形で含有する触媒が得られる。この場合、触媒の活性材料の全質量に対してそれぞれ、触媒のルテニウムの割合は有利に0.1〜10質量%、コバルトの割合は0.1〜50質量%の割合である。
【0037】
前記組成を有する触媒の製造のために多様な方法が可能であり;前記触媒は、例えば当業者に公知の沈殿法により、及び有利に含浸法により得ることができる。
【0038】
この場合、前記触媒を小さな触媒成形体の形状で使用することが重要である。この小さな触媒成形体は、前記触媒の直径が球形又はストランド形の場合にはそれぞれ<3mmの直径、タブレット形の場合には<3mmの高さ及び他の全ての形状の場合にはそれぞれ<0.70mmの相当直径L=1/a′を有するものが考えられ、その際、a′は外部表面積/体積の単位(mms2/mmp3)であり、式:
【数3】

[その際、Apは、触媒成形体の外部表面積(mms2)及びVpは触媒成形体の体積(mmp3)である]を有する。
【0039】
球形又はストランド形の場合にはそれぞれ直径<2.5mm、タブレット形の場合には高さ<2.5mm及び他の全ての形状の場合には<0.65mmの相当直径L=1/a′を有する触媒成形体が特に有利である。
【0040】
本発明による方法において、触媒粒子の小さい特別な寸法により、この反応体及び生成物の拡散経路は比較的少ない。細孔中での前記分子の平均滞留時間及び不所望な後続反応の確率はこれにより、減少される。この定義された滞留時間の結果としてこれにより、特に、所望のEDA及びDETAの方向への高められた選択率を達成することができる。
【0041】
有利に、第1の方法工程は第1の反応器領域又は第1の反応器中で実施され、第2の反応工程は第2の反応器領域又は第2の反応器中で実施される。この場合、それぞれの反応器領域又は反応器中で触媒はそれぞれ有利に固定床として存在する。第1の反応工程及び第2の反応工程は、例えばそれぞれ別々の管型反応器又は管束型反応器中で、又は1つの管型反応器又は管束型反応器のそれぞれ一つの領域で、有利にそれぞれ直線的な通路で実施することができる。
【0042】
この触媒床は有利には、反応器の入口側でもまた同様に出口側でも不活性材料により包囲される。不活性材料として、例えば、不活性材料(例えばセラミック、ステアタイト、アルミニウム)からのポールリング、球を使用することができる。
【0043】
前記反応器は、上昇流式(Sumpfweise)でも流下式でも運転することができる。有利な細流式の場合には有利には、反応器フィードのための液体分配器は、反応器の入口で使用される。2つの反応器を使用する場合に、この両方は上昇流式又は流下式で運転することができる。これとは別に、第1の反応器を上昇流式で、第2の反応器を流下式で運転するか、この逆で運転することもできる。
【0044】
有利に、第1の反応器領域及び第2の反応器領域は、不活性材料層によって相互に隔てられ、前記不活性材料層は特に20〜200cm、有利に30〜70cmの範囲内の厚さ、特に有利に30cmの厚さを有する。
【0045】
触媒活性の維持のために、有利に、水素0.01〜2.00質量%、特に0.20〜0.60質量%(反応器フィードMEG+NH3に対して)が反応器中に導通される。
【0046】
有利に連続的運転の場合に、0.05〜1.25kg/kg・h、有利に0.1〜0.4kg/kg・h(触媒1kg当たり1時間当たりのMEG kg)の触媒負荷量WHSV(weight hourly space velocity)で、MEGに対する40〜50%の転化率範囲で、MEOAに対する10%〜50%の選択率及びEDA及びDETAの合計に対する30%〜90%の選択率が達成される。
【0047】
他の生成物として、本発明の方法の場合に、少量のジエタノールアミン、DEOA(SDEOA、一般に0〜5質量%)、トリエタノールアミン、TEOA(STEOA、一般に0〜2質量%)及び高級アミン(S高級アミン、一般に2〜12質量%)が生じる。
【0048】
一般的に、本発明による方法の反応粗生成物は、反応生成物として少ない量のみの環式アミンを含有する(通常は、<20質量%、特に<15質量%、特にとりわけ6〜12質量%の量で)。
【0049】
一般に、本発明による方法の反応粗製生成物は、反応副生成物として少量の第三級アミンだけを含有する(通常は、<10質量%、特に<7質量%、特にとりわけ0〜4質量%の量で)。
【0050】
本発明による方法の場合に生じる、とりわけ特に所望のEDA及びDETAを含有するが、アミノエチルエタノールアミン(AEEA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)、ピペラジン(PIP)、N−(2−アミノエチル)ピペラジン(AE−PIP)MEOA及び未反応のMEGも含有する生成物流の後処理は、当業者に公知の蒸留法によって行うことができる(例えば、PEP Report No. 138, 「Alkyl Amines」、SRI International, 03/1981, 81-99, 117頁及びDE-A-10349059 (BASF-AG)参照)。
【0051】
個々の生成物、とりわけ特に所望のEDA及びDETAの蒸留による回収のために必要な蒸留塔は、当業者により周知の方法で設計することができる(例えば分離段数、還流比など)。
【0052】
この反応から生じる反応搬出物の分離は、特に多工程蒸留により行われる。
【0053】
例えば、この反応から生じる反応搬出物の分離は、2つの分離順序で、多工程の蒸留により行われ、その際第一の分離順序でまずアンモニア及び場合により存在する水素が分離され、第二の分離順序において未反応のMEG並びにMEOA、EDA、PIP、DETA、AEEA、AE−PIP、TETA及びより高級エチレンアミンへの分離が行われる。
【0054】
反応から生じる反応搬出物の後処理の際に生じるアンモニアは、有利に反応に返送される。
【0055】
有利にこのアミノ化は水の存在で実施することができる;水の添加はMEOAに対する選択率を改善する。
【0056】
有利に、モノエタノールアミンはモノエチレングリコールの水素化アミノ化の生成物混合物から前記反応に、特に第2の反応器領域又は第2の反応器にリサイクルされる。
【0057】
本発明を次に実施例に基づき詳細に説明する:
第1の反応器中で、それぞれ質量%で、酸化ニッケル49.5、酸化銅16.5、二酸化ジルコニウム29.5、酸化モリブデン1.5及び黒鉛3を含有する5×3mmのタブレットの形の標準触媒83gを充填し、第2の直列に接続された反応器中で、次に記載するように製造された触媒30gを充填した:
直径1.5mmのAl23ストランド151gを、ニトロシル硝酸Ru148g及び硝酸コバルト6水和物46.5gを含有する含浸水溶液128mlと共に、複数回良好に混合しながら室温で60分間放置した。引き続き120℃で4時間動かさずに乾燥させ、600℃で2時間150L/hの空気でか焼させた。この触媒は、触媒の全質量に対してそれぞれ金属コバルト4.1質量%及び金属ルテニウム7.1質量%を含有する。
【0058】
水素を用いた活性化の後に、MEG14.8g/h、アンモニア42.4g/h及び水素14.6Nl/hを200bar(絶対)の圧力で連続的に第1の反応器に供給した。第1の反応器中での温度は等温的に150℃に調節し、第2の反応器は170℃に調節した。ガスクロマトグラフィーにより、42.6%のMEG転化率が測定され、成分EDA、MEOA、DEOA、PIP、DETA及びAEEAの次の表中に記載された割合が得られた。
【0059】
【表1】

* 第1の方法工程において
** 第2の方法工程において
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒の存在でのモノエチレングリコールとアンモニアとの水素化アミノ化によるエチレンアミン及びエタノールアミンの製造方法において、前記方法は2つの方法工程で実施され、その際、
− 第1の方法工程ではヒドロアミノ化触媒でのアミノ化を最大40%のモノエチレングリコール転化率まで実施し、
− 第2の方法工程では、ルテニウム及びコバルトを含有する活性材料を有し、その他に第VIII族の他の金属並びに第IB族の金属を含有しない含浸された触媒を、触媒成形体の形状で使用し、前記触媒成形体は、球形又はストランド形の場合にはそれぞれ<3mmの直径、タブレット形の場合には<3mmの高さ、及び他の全ての形状の場合には、それぞれ<0.70mmの相当直径L=1/a′を有し、その際、a′は外部表面積/体積の単位(mms2/mmp3)であり、式:
【数1】

[その際、Apは、触媒成形体の外部表面積(mms2)及びVpは触媒成形体の体積(mmp3)である]を有し、前記第2の方法工程は前記第1の方法工程よりも少なくとも10℃高い温度で実施されることを特徴とする、エチレンアミン及びエタノールアミンの製造方法。
【請求項2】
第1の方法工程において、アミノ化を最大30%のモノエチレングリコール転化率まで実施することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第2の方法工程で使用される触媒は、触媒の全質量に対してそれぞれ、ルテニウム0.1〜10質量%の割合及びコバルト0.1〜50質量%の割合を含有することを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
第2の方法工程において使用される触媒のための触媒担体はγ−酸化アルミニウムを含有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
第2の方法工程において使用される含浸された触媒は触媒成形体の形で使用され、前記触媒成形体は、球形又はストランド形の場合にはそれぞれ<2.5mmの直径、タブレット形の場合には<2.5mmの高さ、及び他の全ての形状の場合にはそれぞれ<0.65mmの相当直径L=1/a′を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
第1の方法工程は、第1の反応器領域又は第1の反応器中で実施され、第2の反応工程は、第2の反応器領域又は第2の反応器中で実施されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
第1の反応器領域及び第2の反応器領域は不活性材料層により相互に隔てられていることを特徴とする、請求項6記載の方法。
【請求項8】
不活性材料層の厚さは、20〜200cm、有利に30〜70cm、特に有利に30cmであることを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
モノエタノールアミンを、モノエチレングリコールの水素化アミノ化の生成物混合物から前記反応にリサイクルすることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
モノエタノールアミンを水素化アミノ化の反応生成物から、第2の反応器領域又は第2の反応器中にリサイクルすることを特徴とする、請求項9記載の方法。

【公表番号】特表2009−526801(P2009−526801A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554726(P2008−554726)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【国際出願番号】PCT/EP2007/051061
【国際公開番号】WO2007/093514
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】