説明

モータドライブ

【課題】簡単且つ低コストで実現できる自動車用フラップドライブを提供する。
【解決手段】フラップを駆動する電気モータ2と、動作電圧VBと、電気モータ2を駆動するエネルギー蓄積器6と、電気モータ2を起動する起動回路5と、動作電圧VBの電圧を変換してエネルギー蓄積器6を充電する充電電源8と、エネルギー蓄積器6に充電された電圧を昇圧するステップアップ変換器9とを備え、動作電圧VBの電圧が通常の電圧であるときに、エネルギー蓄積器6が充電電源8によって充電され、動作電圧VBに電圧エラーが生じたときには、ステップアップ変換器9が、エネルギー蓄積器6の電圧を昇圧し起動回路5に供給して、電気モータ2を駆動する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常用機能を備えたモータドライブ、特に、エンジンルームへの空気供給量を制御するための、自動車のラジエータグリルに設けられたフラップを駆動するモータドライブであって、電気モータと、動作電圧入力端子と、エネルギー蓄積器と、起動回路とを備え、且つ、上記エネルギー蓄積器が、通常の動作状態では動作電圧から充電されて、動作電圧エラーが生じた場合、上記電気モータが、非常位置に向かって動く目的で上記エネルギー蓄積器からエネルギーの供給を受けるようになっている、モータドライブに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の自動車用エンジンは、殆どの場合、効率が非常に高いため、部分負荷或いは少量負荷の状態では、必要冷却量は僅かである。従って、ラジエータグリルには、エンジンルームへの空気供給量を制御するフラップが配設されている。
【0003】
フラップの位置調整をする役目を担うのは、自動車の車載電源によって動作電圧が供給される電気モータである。必要冷却量が少ないときは、フラップを閉じて、エンジンルームへの空気供給を止めればよい。そうすると、空気は全面的にボンネットの上若しくは車両の下を流れるので、車両の空気抵抗は少なくなる。それによって、その車両の燃料消費量も自ずと少なくなる。従って、全体として燃料消費量を抑えるには、それらのフラップを、とりわけ閉じた状態にしておくことが有効である。
【0004】
フラップドライブへの電圧供給が喪失したときにエンジンがオーバーヒートするのを阻止するため、非常時には、フラップを自動的に開く必要がある。そのことは、通常、バネ或いはその他の機械的な非常用解放手段によって実行される。
【0005】
その場合、バネは、通常動作時では、フラップが閉じられるときにそのフラップドライブの電気モータによって引っ張られた状態になるよう配設されている。電気モータに動作電圧が印加されている限り、当該電気モータはバネの反力を発生させることができる。動作電圧が喪失したとき、或いは一定の値以下に下がったとき、バネ力の方が大きくなって、フラップは開かれる。
【0006】
このことは、特に、当該車両のエンジンが停止されたときにも起こる。これは、当該車両のエンジンを停止したとき、フラップが非常用機能を介して自動的に開かれてエンジンルームが通気されることを意味する。それによってその車両のエンジンを冷やすことが可能になる。
【0007】
当該車両のエンジンを、長期間の休止状態を経て再始動させるとき、そのエンジンが、先ずは、動作温度に達するようにすることが必要である(冷始動)。その温度に達するまでは、エンジン及び、特に、触媒は最適に作動しないので、その間は燃料消費が多くなり、それに伴って、有害物質の排出量が多くなる。
【0008】
冷始動による負の影響を避けるため、エンジンルームを多かれ少なかれ気密密閉して、ラジエータフラップによって制御された空気供給のみを可能とするといった着想がある。その着想には、とりわけ、エンジンの停止状態での冷却がより少なく、それによって、当該エンジンを再始動したとき、より速やかに動作温度に達するといった利点がある。これは、特に、寒冷地帯では、顕著な効率の上昇をもたらす可能性がある。というのは、その場合、極端な冷始動がなくなるからである。
【0009】
但し、その際は、ラジエータフラップは、車両エンジンを停止させたとき、従来のように非常用機能に乗じて開かれてはならない。但し、他の非常事態に於いては、その非常用解放機能は維持されなければならない。それに対して、温暖な環境又はエンドユーザーの要求によっては、ラジエータフラップを、少なくとも部分的に開くことが有効であることも考えられる。何れの場合でも、ラジエータフラップを、耐用年数、又は、例えば、周囲温度、エンジン温度又は風の強さといったパラメータに応じて調整し、場合によっては、耐用期間の中で調整し直すことも好ましいと考えられる。そのような、外部の状況に応じた非常用機能を公知の機械的解放機能に於いて実施することは技術的に大掛かりであり、コストも高い。
【0010】
従って、その非常用解放機構をも、その電気モータによって実現することは意義深い。しかしながら、そのためには、通常の電圧供給が止まったときにフラップを定められた非常位置に動かすために、電気モータが電流供給を受けられるようにする、別個の電流供給機構が必要になる。
【0011】
特許文献1に示される通り、家庭用技術の分野で使用されるフラップ或いはバルブのための安全用ドライブが知られている。そのドライブは、AC230V、AC110V、AC/DC24V又はDC72Vに対応するものになっている。その安全用ドライブは、通常の動作状態では充電されて、エラーが発生したときに電気モータのためのエネルギーが取り出されて非常時位置が確保されるようになっている、容量型エネルギー蓄積器を備える。その容量型エネルギー蓄積器は、基本的には、小さな動作電圧で作動するので、そのエネルギー蓄積器を充電するために、高い入力電圧を下げる必要がある。逆に、エラーが発生したときは、そのエネルギー蓄積器の低い電圧を、当該電気モータの動作電圧にまで引き上げる必要がある。この点に関しては、ここでは、二つの動作モードを持つ電圧変換器によって実行される。その場合、スイッチング調整器として実行されているステップアップ調整器とステップダウン調整器との間で交換を行うことができる。しかしながら、そのために必要とされる回路は比較的大掛かりであって、それゆえ高価である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2007―134471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の課題は、従来の技術から公知の解決策よりも簡単且つ低コストで実現できる、自動車用フラップドライブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は、本発明では、請求項1に記載された特徴を持つドライブによって解決される。動作電圧が低いゆえ、エネルギー蓄積器を充電するために簡素な充電電源(例えば定電流源)を使うことが可能である。その際は、エラーが発生したときに、エネルギー蓄積器の僅かな充電電圧をより高い動作電圧に変換するためのステップアップ変換器だけが必要である。その場合、上述した充電電源は、従来の技術による、スイッチ可能なステップダウン変換器よりも遥かに簡素且つ低コストである。
【0015】
しかしながら、そのような充電電源により、更なるエネルギーが消費される。本発明の好適な実施態様では、エネルギー蓄積器の充電状態を監視する監視機構と、当該充電電源をオン又はオフするためのスイッチとが具備され、その場合、その充電電源は、上記エネルギー蓄積器が満充電されるまでの間だけオンされるようになっている。そのエネルギー蓄積器は、通常、充電時間が非常に短いゆえ、充電時に於ける充電電源によるエネルギー損失は無視してよい。
【0016】
上述したエネルギー蓄積器は、好適には、少なくとも1個のコンデンサ、特に、高い容量を持つコンデンサを備える。従って、より効果的には、そのコンデンサは、二重層コンデンサになっている。
【発明の効果】
【0017】
以上述べたとおり、本発明にかかるモータドライブは、低い動作電圧で動作する簡素な充電電源によって、エネルギー蓄積器を充電することができるとともに、動作電圧にエラーが発生したときに電気モータを駆動する電圧をエネルギー蓄積器の充電電圧からより高い動作電圧に変換するためのステップアップ変換器を備えているから、電圧変換のためのステップダウン変換器をスイッチしなければならない従来の技術を用いるよりも遥かに簡素且つ低コストを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施態様におけるモータドライブの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の別な実施態様におけるモータドライブの概略構成を示す図である。
【図3】本発明の更に別の実施態様におけるモータドライブの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明によるモータドライブ1のブロック線図である。モータドライブ1は、電気モータ2を介して動作させられる、自動車のラジエータグリル(図示せず)の中の通気フラップを駆動する働きをする。そのドライブを他の用途、例えば、バルブ又は他種の調節又は調整機構を起動する目的に利用してもよいことはあえて言うまでもない。
【0020】
図示したフラップドライブは、自動車の車載電源に接続された動作電圧入力端子3を備える。従って、動作電圧VBはDC6VとDC16Vの間である。動作電圧入力端子3には逆電圧保護ダイオードとしての働きをして電流が車載電源に逆流するのを阻止する保護ダイオード4が配設されている。それに代えて、PチャンネルMOS−FETを用いて逆電圧保護を実現してもよい。
【0021】
モータドライブ1は、起動回路5によって起動される電気モータ2を備える。起動回路5は、例えば、その電気モータの動作電圧を切り替えるためのマイクロコントローラと高性能スイッチを備えていてもよい。そのような起動回路5は公知であって、使用される電気モータ2に応じてそれぞれ異なった形に形成されている。従って、そのような起動回路の正確な機能については、ここでは説明しない。
【0022】
通常の動作状態では、動作電圧入力端子3に、起動回路5及び電気モータ2が動作させる動作電圧VBが印加されている。モータドライブ1の非常用機能は、電気モータ2が、動作電圧VBの喪失時に予め定められた非常位置に向かって動くようになっている。そのためには、少なくとも、要求された動きを可能にする非常電流供給機構が必要になる。
【0023】
そのために、本発明によるフラップモータドライブ1は、容量型のエネルギー蓄積器6を備える。エネルギー蓄積器6は、好適には、高容量のコンデンサ、特に、二重層コンデンサとして形成されている。それらの二重層コンデンサは、およそ2.5Vである、低い充電電圧で作動する。そのコンデンサは、通常の動作状態では、すなわち、動作電圧があるとき、その動作電圧によって充電される。
【0024】
エネルギー蓄積器6の充電電圧VLと動作電圧VBには差があるため、エネルギー蓄積器6を動作電圧VBに直結することは不可能である。そのため、モータドライブ1は、スイッチ7を介して接続できる定電流源8を備え、その定電流源8は動作電圧VBから電圧の供給を受けるようになっている。
【0025】
これで、エネルギー蓄積器6は充電電源としての定電流源8に接続され、その定電流源8から充電されることになる。更に、モータドライブ1は、エネルギー蓄積器6の充電状態を監視する充電状態監視線20を備える。定電流源8は効率が低いため、エネルギー蓄積器6が満充電されると同時にスイッチ7を介してオフされるようになっている。
【0026】
非常事態を認識できるよう、モータドライブ1は動作電圧VBの動作電圧監視線22を備える。動作電圧VBが喪失すると同時に、或いは、最低電圧以下に落ちるや否や、それが必要な場合は、非常用プログラムが起動する。その際、電気モータ2は、定められた非常位置に向けた動きをするべく、エネルギー蓄積器6からエネルギーを供給される。しかしながら、モータドライブは、LINバス27を介して相応の信号を適切に受け取る場合には、非常用プログラムを実行しないようにされる(図3も参照されたい)。そのような状況は、例えば、自動車のエンジン停止によって、動作電圧VBがオフされるものの、非常用プログラムが起動されてはならないような場合に起こる。そのときは、モータドライブを休止位置に持っていくことができる。動作電圧VBがオフされてから長い時間が経過した後でも、その休止位置に持っていったり、その休止位置を変更したりすることができる。例えば、自動車エンジン及び/又は周囲の、温度又は温度推移を測定して、クーラーグリルのフラップ位置を相応に調整し直すことができる。
【0027】
エネルギー蓄積器6の充電電圧VLが、電気モータ2を直接駆動させるには低すぎるため、本モータドライブはステップアップ変換器9を持つ。そのステップアップ変換器9は、その僅かなエネルギー蓄積器6の充電電圧VLを動作電圧VBに変換する。ステップアップ変換器9は、非常用プログラムでは活性化制御線23の制御指令によって起動される。
【0028】
ステップアップ変換器9としては、インダクタンス10が、一方では、エネルギー蓄積器6に接続され、他方ではスイッチ11によってアースに対して接続され、ダイオード18によって動作電圧VBに対して接続され、且つ、スイッチ11が変換器モジュール12によって制御可能であり、しかも、スイッチ11が更なるダイオード21によってオーバーブリッジされている。
【0029】
変換器モジュール12は、動作電圧VBを監視する独自の電圧監視線24をフィードバックとして持っている。変換器モジュール12は、そのフィードバックにより、ステップアップ変換器9の出力電圧が正確に調整されるよう、スイッチ11を起動する。
【0030】
かくして、その電子式非常用機能に見られる利点は、大掛かりで、しかも摩耗にさらされるような機械的機構が必要とされない点である。さらに、指向非常位置を、周囲パラメータに依存させるようにしてもよい。そうすることで、例えば、簡単なプログラムで、温度が非常に低いときにはラジエータグリルのエアーフラップが開かないようにする一方で周囲温度が高いときにはエアーフラップが開くようにすることができる。例の中で説明したエアーフラップの用途とは別に、非常位置を様々に変化させる用途としては様々なものが考えられるが、それらは、本発明によるドライブを用いることで問題なく実現できる。
【0031】
動作電圧監視線22と、充電状態監視線20と、定電流源8の起動制御線19並びにステップアップ変換器9の活性化制御線23の各々による各監視機能及び各制御機能は、例では、モータ制御機構5に集積されている。それは、それらの機能がそのモータ制御機構5に具備されているマイクロコントローラによって簡単に実現できるからである。上述した機能の一つ若しくは複数が、分離した形で実現されてもよいことはあえて言うまでもない。
【0032】
モータドライブ1の別の態様を図2に示す。ここでは、動作電圧入力端子3に、更に、EMVフィルター(EMCフィルター)を成すコンデンサ13が配設され、そのコンデンサ13は高周波の妨害が自動車の車載電源に入り込むのを防ぐ働きをする。
【0033】
定電流源8は、例では、バイポーラトランジスタ14によって実現されているが、そのベースは、抵抗15とツェナーダイオード16から成る分圧器を介して、起動制御線19により送られる信号によって起動される。かくして、バイポーラトランジスタ14は起動制御線19を介してモータ制御機構5から切り替えできるゆえ、スイッチを追加することは必要ない。但し、定電流源8の態様としては、上記以外のものも可能である。
【0034】
本実施態様では、ステップアップ変換器9として、インダクタンス10が、一端では、エネルギー蓄積器6に接続され、他端ではMOS−FETスイッチ17によってアースに対して、及びダイオード18によって動作電圧VBに対して接続されていて、且つ、MOS−FETスイッチ17がパルス幅ジェネレータ25によって制御できるようになっている。パルス幅ジェネレータ25も、MOS−FETスイッチ17の制御用変数としての電圧フィードバックのための、電圧監視線24を持つ。
【0035】
通常の動作状態では、エネルギー蓄積器6は、定電流源8を介して充電される。それに加えて、エネルギー蓄積器6の充電状態が充電状態監視線20を介して監視される。エネルギー蓄積器6が満充電されるとすぐに、定電流源8が起動制御線19を介してオフされる。エネルギー蓄積器6の充電時間は、非常に短く、例えば、僅か数秒であるため、定電流源8によって失われるエネルギーは非常に僅かである。
【0036】
更に、通常の動作状態では、動作電圧VBが監視される。そのために、モータ制御機構5は、動作電圧監視線22を備える。動作電圧VBが喪失すると、EMVコンデンサ13が、短時間に、活性化制御線23を介してステップアップ変換器9を起動してエネルギー蓄積器6からの電流供給を開始できるよう、モータ制御機構のために十分なエネルギーを供給する。その非常用電圧がモータ制御機構に印加されたところで、モータは、その電圧によって、定められた非常位置に動かされる。
【0037】
後の時点で、動作電圧VBが再び印加されたならば、モータ制御機構5は、通常の動作状態に於いて、改めてエネルギー蓄積器6を充電するところから動作を始める。
【0038】
図3は、本発明の、別の選択肢による実施態様であって、二つの別個の制御機構、すなわち、モータ制御機構5’と、蓄積器制御機構26が具備されたものを示す。この実施態様では、モータ制御機構5’は、電気モータ2を起動する役目だけを担う。動作電圧監視線22の監視、エネルギー蓄積器6の充電状態監視線20の監視及び電圧変換器28の活性化制御線23の監視といった、その他のすべての機能は、蓄積器制御機構26によって実行される。ブロック回路図に図示された電圧変換器28は、例えば、図1又は2による定電流源と電圧変換器を含む。
【0039】
このように分離されていることで得られる利点は、例えば、モータ制御機構5’が一体化された電気モータ2を利用できる点である。その場合、そのモータ制御機構5’が蓄積器制御機能26を含むことは必要ない。
【0040】
それにしても、モータ制御機構5’と蓄積器制御機構26との間の通信接続は必要である。その通信接続を介して、蓄積器制御機構26からモータ制御機構5’に、例えば、動作電圧VBのエラーに関する警告が発せられて、それによって、電気モータ2を非常位置又は休止位置に持っていくことができる。図1に係る説明の中で既に述べたように、上記通信接続は、非常用プログラムが起動されなかった場合、休止位置に持っていったり、休止位置を変更したりするきっかけを引き起こすために用いることができる。
【0041】
その通信接続は、自動車においては、既に搭載されているLINバス27を介して実行されるようにするのが効果的である。その他の用途では、その通信接続は、直接接続又はその他のバス接続を介して実行されてもよい。その直接接続は、例えば、I/O信号或いはPWM信号のようなデジタル信号を伝達するようになっていてもよい。
【0042】
具体的な実施態様とは無関係に、本発明に見られる更なる利点は、車載電源システムに見られる、いわゆるクランク-インパルスを補償できる点である。それらのクランク-インパルスは、車載電源システムに見られる短時間の電圧ディップであって、その場合、車載電圧はおよそ5Vに落ちる。そのようなクランク-インパルスは、例えば、内燃機関のスタート-ストップ機能を備える車両に於いて、エンジンを停止及び始動する際に発生し、通常、1秒より少ない時間しか続かない。
【0043】
本発明によるモータドライブは、そのようなクランク-インパルスを自動的に補償する。それは、動作電圧VBが低下すると、電気モータ2が、短時間、エネルギー蓄積器6から引き続きエネルギー供給を受けるようになっているからである。上述したクランク-インパルスは、夫々、短時間しか継続しないので、エネルギー蓄積器6に蓄積されたエネルギーは、何れにしても、そのようなクランク-インパルスをバイパスするのに十分である。
【0044】
電気モータ2及びその電気モータに割り当てられたモータ制御機構には、電圧が持続的に供給されているため、動作パラメータ、特に、キャリブレーションデータが失われることはなく、かくして、機能性はいつでも保持される。従って、電圧ディップが発生するごとに、すなわち、内燃機関のスタート或いはストップに従って、モータドライブを再度キャリブレーションすることは必要ない。
【0045】
なお本発明に係るモータドライブは、上述した実施形態に限定されず、その趣旨を変更することなく、適宜変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 モータドライブ
2 電気モータ
3 動作電圧入力端子
5、5’ 起動回路(モータ制御機構)
6 エネルギー蓄積器
8 充電電源(定電流源)
9 ステップアップ変換器
11 スイッチ
12 変換器モジュール
19 起動制御線
20 充電状態監視手段(充電状態監視線)
22 動作電圧監視手段(動作電圧監視線)
23 活性化制御手段(活性化制御線、電圧変換器の制御手段)
24 電圧監視手段(電圧監視線)
25 パルス幅ジェネレータ
26 蓄積器制御機構
27 LINバス
28 電圧変換器
VB 動作電圧
VL 充電電圧


【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気供給を制御するためのフラップを駆動する電気モータと、
動作電圧入力端子と、
前記電気モータを駆動するためのエネルギーを蓄積するエネルギー蓄積器と、
前記電気モータを起動するための起動回路と、
前記動作電圧入力端子に入力された電圧を変換して前記エネルギー蓄積器を充電することができる充電電源と、
前記エネルギー蓄積器に充電された電圧を昇圧するためのステップアップ変換器とを備え、
前記動作電圧入力端子に入力された電圧が通常の電圧であるときに、前記エネルギー蓄積器が前記充電電源によって充電され、
動作電圧入力端子に電圧エラーが生じたときには、前記ステップアップ変換器が、前記エネルギー蓄積器の電圧を昇圧し少なくとも前記起動回路に供給して、前記電気モータの駆動をすることができることを特徴とするモータドライブ。
【請求項2】
前記エネルギー蓄積器が少なくとも1個のコンデンサを備えていることを特徴とする、請求項1に記載のモータドライブ。
【請求項3】
請求項1に記載のモータドライブにおいて、
さらに前記エネルギー蓄積器の充電状態を監視するための充電状態監視手段を備え、
前記充電状態監視手段により充電状態が所定の状態に達したことが検出されると、前記充電電源の充電動作を停止させることを特徴とするモータドライブ。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1項に記載のモータドライブにおいて、
さらに、前記ステップアップ変換器のスイッチング動作を規定するパルス幅ジェネレータを備え、前記パルス幅ジェネレータが発生するパルス幅を制御することで、前記エネルギー蓄積器の電圧昇圧を制御することができることを特徴とするータドライブ。
【請求項5】
前記起動回路が、
前記エネルギー蓄積器の充電状態を監視するための充電状態監視手段と、
前記動作電圧入力端子に入力された電圧を監視するための動作電圧監視手段と、前記充電電源による充電動作を起動するための起動手段と、ステップアップ変換器による昇圧動作を起動するための活性化制御手段とを備えたこと
を特徴とする請求項1に記載のモータドライブ。
【請求項6】
請求項1に記載のモータドライブにおいて、
さらに、前記充電電源とステップアップ変換器とを有する電圧変換器を備えるとともに、前記動作電圧監視手段、前記充電状態監視手段、および前記電圧変換器を制御するための制御手段の何れか、またはすべてを有する蓄積器制御手段を備え、
かつ前記起動回路と前記蓄積器制御手段とが通信回線によって接続されて制御信号の伝達が交換可能であることを特徴とするモータドライブ。
【請求項7】
前記通信回線が、LINバスであることを特徴とする請求項6に記載のモータドライブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−1393(P2013−1393A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−132864(P2012−132864)
【出願日】平成24年6月12日(2012.6.12)
【出願人】(000114215)ミネベア株式会社 (846)
【Fターム(参考)】