説明

モータ

【課題】本発明はモータに関する。
【解決手段】本発明の一実施例によるモータは、第1マグネットが提供される回転部材と、上記回転部材を支持し、上記第1マグネットと磁気ベアリング部を構成する第2マグネットが提供される固定部材とを含み、上記第1マグネットと上記第2マグネット間のギャップは上記回転部材と上記固定部材の間に形成される接触防止ギャップ及びシャフトと上記シャフトを支持するスリーブ間の間隙のうち少なくとも1つより大きく形成されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモータに関し、より詳細には磁気ベアリング部を構成するマグネットの破損を防止して性能を向上させるモータに関する。
【背景技術】
【0002】
情報保存装置の1つであるハードディスクドライブ(HDD;Hard Disk Drive)は記録再生ヘッド(read/write head)を使用してディスクに保存されたデータを再生、またはディスクにデータを記録する装置である。
【0003】
このようなハードディスクドライブは、ディスクを駆動させるためのディスク駆動装置が必要で、上記ディスク駆動装置としては小型モータが使用される。
【0004】
小型モータには流体動圧ベアリングアセンブリーが利用されており、上記流体動圧ベアリングアセンブリーの回転部材の1つであるシャフトと固定部材の1つであるスリーブとの間にはオイルが介在され、上記オイルにより発生する流体圧力でシャフトを支持するようになる。
【0005】
このような従来のモータは回転部材であるハブが回転すると、オイルによる摩擦が発生し、上記摩擦はモータの駆動のための消費電力を増加させるという問題がある。
【0006】
また、従来のモータは外部衝撃が加わると、シャフトとスリーブが接触される現象が発生する可能性があり、上記のような現象はシャフト又はスリーブの摩耗を促進し、モータ性能に悪影響を及ぼす。
【0007】
従って、ハードディスクドライブのディスクを駆動させることができるモータにおいて、モータ駆動のための電力消耗を最小化し、外部衝撃に対する耐久性を向上させて性能及び寿命を極大化させる研究が急がれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は駆動のための電力消耗を最小化するとともに、耐久性を向上させ、ベアリングを構成するマグネットの破損を防止し、性能及び寿命を極大化させるモータに関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施例によるモータは、第1マグネットが提供される回転部材と、上記回転部材を支持し、上記第1マグネットと磁気ベアリング部を構成する第2マグネットが提供される固定部材とを含み、上記第1マグネットと上記第2マグネット間のギャップは上記回転部材と上記固定部材の間に形成される接触防止ギャップ及びシャフトと上記シャフトを支持するスリーブの間の間隙のうち少なくとも1つより大きく形成されることができる。
【0010】
本発明の一実施例によるモータの上記接触防止ギャップは、上記固定部材と上記回転部材上から突出する周壁部との間に形成されることができる。
【0011】
本発明の一実施例によるモータの上記周壁部は、上記シャフトと連動するハブから突出することができる。
【0012】
本発明の一実施例によるモータの上記周壁部は上記スリーブとベース間の空間を区画し、上記接触防止ギャップは区画された上記空間のうち少なくとも1つであることができる。
【0013】
本発明の一実施例によるモータの上記周壁部は上記第2マグネットの外周面を支持する支持部とコイルが巻線されるコアが結合する結合部の間の空間を区画し、上記接触防止ギャップは区画された上記空間のうち少なくとも1つであることができる。
【0014】
本発明の一実施例によるモータの上記第1マグネットと上記第2マグネット間のギャップは、上記シャフトと上記スリーブ間の間隙と同一軸に配置されるか、上記シャフトと上記スリーブ間の間隙より半径方向の外側または内側に配置されることができる。
【0015】
本発明の一実施例によるモータの上記第1マグネット及び上記第2マグネットは、軸方向または半径方向に着磁されることができる。
【0016】
本発明の一実施例によるモータの上記第1マグネットと上記第2マグネット間のギャップは、軸方向から所定角度傾くように形成されることができる。
【0017】
本発明の一実施例によるモータの上記第1マグネット及び上記第2マグネットの上部面及び下部面のうち少なくとも1つは、高さが同一、又は異なることができる。
【0018】
本発明の一実施例によるモータは上記シャフト及び上記スリーブのうち少なくとも1つに形成され、上記シャフトと上記スリーブの間に充填されるオイルにより上記シャフトにラジアル動圧を提供する流体動圧ベアリング部をさらに含むことができる。
【0019】
本発明の他の一実施例によるモータは第1マグネットが提供されるシャフトと、上記シャフトと結合して上記シャフトと連動するハブと、上記シャフトを支持し、上記第1マグネットと磁気ベアリング部を構成する第2マグネットが提供されるスリーブと、上記シャフト及び上記スリーブのうち少なくとも1つに形成される流体動圧ベアリング部と、上記スリーブとコイルが巻線されるコアが結合されるように軸方向の上側に突出する結合部を備えるベースと、上記スリーブの上記第2マグネットの外周面を支持する支持部と上記結合部の間の空間を区画するように上記ハブから突出する周壁部とを含み、上記第1マグネットと上記第2マグネット間のギャップは区画された上記空間のうち少なくとも1つの接触防止ギャップ及び上記シャフトと上記スリーブの間の間隙のうち少なくとも1つより大きく形成されることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によるモータによると、駆動のための消耗電力を最小化するとともに、耐久性を向上することができる。
【0021】
また、外部衝撃によってベアリングを構成するマグネット間の接触を防止して上記マグネットの破損を防止することができる。
【0022】
また、ベアリングにより回転部材の回転を安定的に支持し、性能及び寿命を極大化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施例によるモータを示した概略断面図である。
【図2】図1のAの概略拡大断面図である。
【図3】図1のAの変形例を示した概略拡大断面図である。
【図4】本発明の他の一実施例によるモータを示した概略断面図である。
【図5】図4のBの概略拡大断面図である。
【図6】図4のBの第1変形例を示した概略拡大断面図である。
【図7】図4のBの第2変形例を示した概略拡大断面図である。
【図8】図4のBの第3変形例を示した概略拡大断面図である。
【図9】本発明によるモータに提供される第1マグネットの位置関係を示した概略断面図である。
【図10】本発明によるモータに提供される第2マグネットの位置関係を示した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、図面を参照して本発明の具体的な実施例を詳細に説明する。但し、本発明の思想は提示される実施例に制限されず、本発明の思想を理解する当業者は同じ思想の範囲内で他の構成要素の追加、変更、削除などを通じて、退歩的な他の発明や本発明の思想の範囲内に含まれる他の実施例を容易に提案することができ、これも本願発明の思想の範囲内に含まれる。
【0025】
また、各実施例の図面に示した同じ思想の範囲内の機能が同一の構成要素は同じ参照符号を使って説明する。
【0026】
図1は本発明の一実施例によるモータを示した概略断面図であり、図2は図1のAの概略拡大断面図である。
【0027】
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施例によるモータ400はシャフト110を含む回転部材100と、上記回転部材100の回転を支持する固定部材200と、上記回転部材100から突出形成される周壁部125を含むことができる。
【0028】
ここで、方向に対する用語を定義すると、軸方向は図1からみてシャフト110を基準にして上下方向を意味し、半径方向の外側または内側方向はシャフト110を基準にしてハブ120の外側端方向または上記ハブ120の外側端を基準にしてシャフト110の中心方向を意味する。
【0029】
一方、本発明の一実施例によるモータ400は記録ディスクを回転させる記録ディスク駆動装置に適用できるモータであることができ、上記モータ400の回転部材100は固定部材200を除く全構成要素を意味することができる。
【0030】
具体的には、上記回転部材100は第1マグネット115が提供されるシャフト110及び上記シャフト110と結合され、上記シャフト110と連動して回転するハブ120を含むことができる。
【0031】
ここで、上記第1マグネット115は、本発明によるモータ400における、後述する第2マグネット215とともに磁気ベアリング部300を構成することができ、回転するシャフト110の外周面に結合され、機能的には回転マグネットであることができる。
【0032】
上記第1マグネット115はスリーブ210に結合される上記第2マグネット215と対向するように配置されることができ、これにより、上記第2マグネット215との間で反発力が作用することができる。
【0033】
このような反発力は上記第1マグネット115が結合されるシャフト110の回転を安定的に支持する半径方向の力であることができ、これは上記シャフト110が軸中心から偏心して回転することを防ぎ、本発明によるモータ400の性能を向上させることができる。
【0034】
ここで、上記第1マグネット115の着磁方向は図1に示されているように軸方向であることができるが、これに限定されず、半径方向に着磁されてもかまわない。
【0035】
また、上記第1マグネット115と上記シャフト110の結合方式はシャフト110の外周面または上記第1マグネット115の内周面のうち少なくとも1つに接着剤を塗布してボンディング結合することができ、上記接着剤により上記第1マグネット115と上記シャフト110は非接触状態を保持することができる。
【0036】
また、接着剤とともに、または別途に上記第1マグネット115を上記シャフト110に圧入する方式でも結合することができる。
【0037】
この場合には、上記第1マグネット115の内周面の直径を上記シャフト110の外周面の直径より小さく形成することができる。
【0038】
また、図示しなかったが、上記第1マグネット115の底面の一部を上記シャフト110が支持するように上記シャフト110の外周面が段差を有するように形成し、段差が形成された部分に上記第1マグネット115の底面を装着させることで、より安定的に結合することもできる。
【0039】
ハブ120はスリーブ210を含む固定部材200に対し、回転可能に備えられる回転構造物であることができ、コイル230が巻線されるコア240と一定間隔を置いて対応する環状の駆動マグネット130を内周面に備えることができる。
【0040】
具体的には、上記ハブ120はシャフト110の上端に固定されるようにする第1円筒状壁部121と、上記第1円筒状壁部121の端部から半径方向の外側に延長形成される円板部122と、上記円板部122の半径方向の外側端部から軸方向の下側に突出形成される第2円筒状壁部123とを含むことができる。
【0041】
ここで、上記駆動マグネット130は第2円筒状壁部123の内周面に結合されることができ、上記駆動マグネット130とコア240に巻線されるコイル230の相互作用により本発明によるモータ400の回転駆動力を得ることができる。
【0042】
また、上記ハブ120は一面から軸方向の下側に突出形成される周壁部125を備えることができる。上記周壁部125は固定部材200であるスリーブ210またはベース220との接触防止ギャップG1を形成させる。これに対しては固定部材200の説明後、詳しく説明する。
【0043】
本発明によるモータ400の固定部材200は、シャフト110及びハブ120を含む回転部材100の回転を支持し、具体的にはスリーブ210及びベース220を含むことができる。
【0044】
スリーブ210にはシャフト110を支持するように第1マグネット115と対向するように配置される第2マグネット215が提供されることができ、上記第2マグネット215は上述のように上記第1マグネット115との反発力による磁気ベアリング部300を構成することができる。
【0045】
上記磁気ベアリング部300は、回転部材100の回転時の摩擦を最小化し、回転駆動のための消耗電力を最小化することができる。
【0046】
ここで、磁気ベアリング部300を構成する上記第2マグネット215は上記第1マグネット115と同様に軸方向または半径方向に着磁されることができる。
【0047】
但し、上記第1マグネット115の着磁方向と同じ方向に着磁される時、上記第1マグネット115との間での反発力を極大化することができる。
【0048】
上記第2マグネット215とスリーブ210の結合方式は上述した上記第1マグネット115とシャフト110の結合方式と同一であってもよく、上記スリーブ210の内周面を段差を有するように形成し、上記第2マグネット215の底面を装着することもできる。
【0049】
ここで、上記スリーブ210は上記第2マグネット215の外周面を支持する支持部212を備えることができる。
【0050】
但し、上記支持部212の高さは上記第2マグネット215と比べ、一定の高さに制限されず、設計者の意図により多様に変更されることができる。
【0051】
また、上記スリーブ210の軸方向の下部はベースカバー250により密閉されることができ、上記ベースカバー250は上記スリーブ210と別途の部材で形成されることができる。
【0052】
しかし、上記ベースカバー250は上記スリーブ210と一体に形成され、上記スリーブ210とともに一側が開口されて他側が閉鎖されたカップ状となることができる。
【0053】
ベース220はスリーブ210の外周面と結合して上記スリーブ210とともに回転部材100を支持することができ、コイル230が巻線されるコア240が結合される結合部222及び上記結合部222の端部から半径方向の外側に延長される胴体部224を含むことができる。
【0054】
ここで、上記結合部222の外周面は段差を有するように形成され、上記コア240との結合をガイドするとともに上記コア240の底面を装着させることができる。
【0055】
このとき、上記スリーブ210及び上記コア240と上記ベース220の結合方式はボンディング、溶接または圧入などの方式を適用することができるが、これに限定されない。
【0056】
周壁部125は回転部材100であるハブ120の一面から突出形成され、固定部材200との間で接触防止ギャップG1を形成することができる。
【0057】
具体的には、上記周壁部125はスリーブ210の支持部212とベース220の結合部222との間に突出形成されることができ、上記支持部212と上記結合部222間の空間を区画することができる。
【0058】
ここで、上記接触防止ギャップG1は区画された上記空間のうち少なくとも1つであることができ、具体的には、上記周壁部125と上記ベース220の結合部222間の空間であることができる。
【0059】
上記接触防止ギャップG1は、本発明によるモータ400の磁気ベアリング部300を構成する第1マグネット115と第2マグネット215間のギャップMより小さく形成されることができる。
【0060】
上記ギャップMと上記接触防止ギャップG1との関係を、上記第1マグネット115と上記第2マグネット215間のギャップMを基準に再度説明すると、上記第1マグネット115と上記第2マグネット215間のギャップMは上記接触防止ギャップG1より大きく形成されることができる。
【0061】
上記のような上記第1マグネット115と上記第2マグネット215間のギャップMと上記接触防止ギャップG1との関係によって、外部衝撃などによる上記第1マグネット115と上記第2マグネット215の破損を防ぐことができる。
【0062】
これを具体的に説明すると、一般的に磁気ベアリング部を構成するマグネットは焼結材質であることができ、焼結材質であるため、上記マグネットは脆性に弱いという特性がある。
【0063】
従って、外部衝撃により上記マグネット同士の接触すると、上記マグネットにクラックが発生し破損する可能性がある。
【0064】
しかし、本発明によるモータ400は磁気ベアリング部300を構成する第1マグネット115と第2マグネット215が外部衝撃などにより正常の位置からずれようとする場合、上記第1マグネット115と上記第2マグネット215間のギャップMより相対的に小さな接触防止ギャップG1により周壁部125と結合部222が先に接触し、上記第1マグネット115と上記第2マグネット215の接触を未然に遮断する。
【0065】
ここで、上記接触防止ギャップG1のサイズには制限がなく、外部衝撃などにより上記第1マグネット115と上記第2マグネット215の位置が変わる場合、周壁部125と結合部222が先に接触できるサイズであれば、全て適用可能である。
【0066】
さらに、磁気ベアリング部300を構成する第1マグネット115と第2マグネット215間のギャップにはオイル(不図示)が充填されることができ、上記オイル(不図示)により外部衝撃などによる上記第1マグネット115と上記第2マグネット215の接触をさらに効果的に防止することができる。
【0067】
また、上記オイル(不図示)は外部衝撃を吸収するダムピング機能も行うことができ、上記オイル(不図示)により磁気ベアリング部300の性能を一層向上させることができる。
【0068】
図3は図1のAの変形例を示した概略拡大断面図である。
【0069】
図3を参照すると、周壁部125'はハブ120の一面から突出形成され、スリーブ210の支持部212とベース220の結合部222間の空間を区画することができる。
【0070】
ここで、接触防止ギャップG2は区画された上記空間のうち上記周壁部125'とスリーブ210の支持部212間の空間であることができ、磁気ベアリング部300を構成する第1マグネット115と第2マグネット215間のギャップMより小さく形成されることができる。
【0071】
従って、磁気ベアリング部300を構成する第1マグネット115と第2マグネット215が外部衝撃などにより正常の位置からずれようとする場合、上記第1マグネット115と上記第2マグネット215間のギャップMより相対的に小さな接触防止ギャップG2により周壁部125'と支持部212が先に接触し、上記第1マグネット115と上記第2マグネット215の接触を未然に遮断する。なお、接触防止ギャップは、支持部212と周壁部125との間、及び結合部222と周壁部125の間の両方に形成されていてもよい。この場合、支持部212と周壁部125との間に形成された接触防止ギャップと、結合部222と周壁部125の間に形成された接触防止ギャップとは同じ大きさであってもよい。
【0072】
図4は本発明の他の一実施例によるモータを示した概略断面図であり、図5は図4のBの概略拡大断面図である。
【0073】
図4及び図5を参照すると、本発明の他の一実施例によるモータ600には上側及び下側にそれぞれ磁気ベアリング部300'及び流体動圧ベアリング部500が同時に形成されることができる。
【0074】
ここで、磁気ベアリング部300'は図1から図3を参照して説明した第1マグネット115及び第2マグネット215で構成された磁気ベアリング部300の全構成を含み、結合方式だけが異なることができる。
【0075】
即ち、第1マグネット115'はシャフト110'の外周面に段差を有するように形成された収容部111に装着されることができ、具体的には上記第1マグネット115'の底面は上記収容部111に結合されることができる。
【0076】
従って、上記第1マグネット115'は上記シャフト110'により堅固に結合されることができ、上記シャフト110'との結合面積が増加し上記第1マグネット115'の抜去力を一層向上させることができる。
【0077】
ここで、スリーブ210'は上記第2マグネット215'の外周面を支持する支持部212'及び上記第2マグネット215'の底面を支持する装着部214を含むことができ、上記支持部212'及び上記装着部214により上記第2マグネット215'の結合力を増大させることができる。
【0078】
流体動圧ベアリング部500は磁気ベアリング部300'の下側に位置するシャフト110'及びスリーブ210'のうち少なくとも1つに形成されることができる。
【0079】
また、上記流体動圧ベアリング部500は上記シャフト110'と上記スリーブ210'間の間隙に充填されるオイルOにより上記シャフト110'の回転をさらに滑らかに支持することができる。
【0080】
即ち、上記流体動圧ベアリング部500はヘリングボーン状、スパイラル状及び螺旋状のうち何れか1つの溝に形成されることができるが、これに限定されず、上記シャフト110'にラジアル動圧を発生させる形状であれば、その形状は制限されない。
【0081】
ここで、本発明の他の一実施例によるモータ600に提供されるベアリングについて整理すると、上記ベアリングは第1マグネット115'及び第2マグネット215'による磁気ベアリング部300'とラジアル動圧を発生させる流体動圧ベアリング部500を含み、ハイブリッドベアリングを構成することができる。
【0082】
また、上記流体動圧ベアリング部500の下側にはスラスト動圧部(不図示)が形成されることができる。
【0083】
具体的には、スラスト動圧部(不図示)はシャフト110'の下側に形成されるスラストプレート140の上面、スラストプレート140の下面、上記スラストプレート140の上面と対応する上記スリーブ210'の下面及び上記スラストプレート140の下面と対応するベースカバー250'の上面のうち少なくとも1つに形成されることができる。
【0084】
上記スラスト動圧部(不図示)は流体動圧ベアリング部500と同様に、ヘリングボーン状、スパイラル状及び螺旋状のうち何れか1つの溝に形成されることができるが、これに限定されず、オイルOのスラスト動圧による軸方向への剛性及びダムピング効果を増大させることができる形状であれば、全て適用可能である。
【0085】
ここで、上記流体動圧ベアリング部500によりラジアル動圧を発生させる上記オイルOは、磁気ベアリング部300'を構成する第1マグネット115'及び第2マグネット215'間のギャップMまで充填されることができ、上記オイルOの界面は上記第1マグネット115'及び第2マグネット215'との間に形成されることができる。
【0086】
但し、上記オイルOの界面は上記第1マグネット115'及び第2マグネット215'の間に形成されることに限定されず、上記第1マグネット115'及び第2マグネット215'の下面の下側に位置することもできる。
【0087】
ここで、磁気ベアリング300'を構成する第1マグネット115'と第2マグネット215'間のギャップMは流体動圧ベアリング部500に対応するシャフト110'とスリーブ210'間の間隙G3より大きく形成されることができる。
【0088】
上記のような上記第1マグネット115'と上記第2マグネット215'間のギャップMと流体動圧ベアリング部500に対応するシャフト110'とスリーブ210'間の間隙G3との関係によって、外部衝撃などによる上記第1マグネット115'と上記第2マグネット215'の破損を防止することができる。
【0089】
具体的に説明すると、図1から図3を参照して説明したように、磁気ベアリング部300'を構成する第1マグネット115'と第2マグネット215'が外部衝撃などにより正常の位置からずれようとする場合、上記第1マグネット115'と上記第2マグネット215'間のギャップMより相対的に小さなシャフト110'とスリーブ210'間の間隙G3により上記シャフト110'と上記スリーブ210'が先に接触し、上記第1マグネット115'と上記第2マグネット215'の接触を未然に遮断する。
【0090】
従って、焼結材質であるため、脆性に弱いという特性のある第1マグネット115'及び第2マグネット215'の接触による破損を防ぎ、磁気ベアリング部300'の性能を向上させることができる。
【0091】
また、上記第1マグネット115'と上記第2マグネット215'間のギャップMは周壁部125と結合部222の間の接触防止ギャップG1より大きく形成されることができる。上記第1マグネット115'と上記第2マグネット215'間のギャップMは上記特徴のうち少なくとも1つ以上を備えて形成されることができる。
【0092】
ここで、上記第1マグネット115'と上記第2マグネット215'間のギャップMが周壁部125と結合部222間の接触防止ギャップG1より大きく形成される構成及び効果は図1から図3を参照して説明したものと同一であることができる。
【0093】
さらに、磁気ベアリング部300'を構成する上記第1マグネット115'と上記第2マグネット215'間のギャップMは流体動圧ベアリング部500に対応するシャフト110'とスリーブ210'間の間隙G3より半径方向の外側に形成されることができる。
【0094】
従って、シャフト110'を含む回転部材100が回転する場合、流体動圧ベアリング部500に対応するシャフト110'とスリーブ210'間の間隙G3の直径が小くなり、オイルOによる摩擦を減らすことができるという効果がある。
【0095】
図6から図8は、図4のBの第1から第3変形例を示した概略拡大断面図である。
【0096】
図6を参照すると、磁気ベアリング部300'を構成する第1マグネット115'と第2マグネット215'間のギャップMはスリーブ210'の支持部212'と周壁部125'間の接触防止ギャップG2より大きく形成されることができる。
【0097】
また、第1マグネット115'と第2マグネット215'間のギャップMは流体動圧ベアリング部500に対応するシャフト110'とスリーブ210'間の間隙G3より大きく形成されることができる。上記第1マグネット115'と上記第2マグネット215'間のギャップMは上記特徴のうち少なくとも1つ以上を備えて形成されることができる。
【0098】
第1マグネット115'と第2マグネット215'間のギャップM、上記接触防止ギャップG2及びシャフト110'とスリーブ210'の間の間隙G3の関係によって、外部衝撃などによる上記第1マグネット115'と上記第2マグネット215'の破損を防止することができる。
【0099】
図7を参照すると、磁気ベアリング部300'を構成する第1マグネット115'と第2マグネット215'間のギャップMは流体動圧ベアリング部500に対応するシャフト110'とスリーブ210'間の間隙G3と同一軸上に形成されることができる。
【0100】
また、第1マグネット115'と第2マグネット215'間のギャップM、上記接触防止ギャップG1、G2及びシャフト110'とスリーブ210'間の間隙G3の関係は図4から図6を参照して説明したものと同一であることができる。
【0101】
図8を参照すると、磁気ベアリング部300'を構成する第1マグネット115'と第2マグネット215'間のギャップMは流体動圧ベアリング部500に対応するシャフト110'とスリーブ210'間の間隙G3より半径方向の内側に形成されることができる。
【0102】
従って、シャフト110'を含む回転部材100が回転する場合、流体動圧ベアリング部500に対応するシャフト110'とスリーブ210'間の間隙G3の直径が大きくなり、オイル0によるラジアル剛性を増加させることができるという効果がある。
【0103】
また、第1マグネット115'と第2マグネット215'間のギャップM、上記接触防止ギャップG1、G2及びシャフト110'とスリーブ210'間の間隙G3の関係は図4から図6を参照して説明したものと同一であることができる。
【0104】
図9及び図10は、本発明によるモータに提供される第1マグネット及び第2マグネットの位置関係を示した概略断面図である。
【0105】
図9を参照すると、本発明によるモータ400、600で磁気ベアリング部300、300'を構成する第1マグネット115、115'と第2マグネット215、215'間のギャップMは、軸方向から所定角度傾くように形成されることができる。
【0106】
但し、図9では上記間隙の傾く方向が上記間隙の下側を基準にして上側に向うほど半径方向の内側方向であるが、これに限定されず、半径方向の外側方向に傾くこともできる。
【0107】
また、上述したように上記第1マグネット115、115'と上記第2マグネット215、215'の着磁方向が半径方向の場合にも適用できる。
【0108】
図10を参照すると、本発明によるモータ400、600で磁気ベアリング部300、300'を構成する第1マグネット115、115'と第2マグネット215、215'の上部面の高さは異なることができる。
【0109】
即ち、図10に示されたように第2マグネット215、215'の上部面の高さが第1マグネット115、115'の上部面の高さより高く形成されることができ、その逆も可能である。
【0110】
また、上記第1マグネット115、115'の上部面は上記第2マグネット215、215'の上部面より高く形成され、下部面は低く形成されることができ、その逆もできる。
【0111】
さらに、上記第1マグネット115、115'と上記第2マグネット215、215'の着磁方向が半径方向の場合にも上記実施例の全てを適用することができる。
【0112】
上記のような第1マグネット115、115'と第2マグネット215、215'の位置関係は上記第1マグネット115、115'と上記第2マグネット215、215'間に発生する反発力の方向を半径方向の他に、軸方向にも形成させることで、シャフト110、110'を含んだ回転部材100の過浮上を防止することができる。
【0113】
以上の実施例を通じて、本発明によるモータ400、600は磁気ベアリング部300、300'を構成する第1マグネット115、115'と第2マグネット215、215'の間のギャップMを接触防止ギャップG1、G2及びシャフト110、110'とスリーブ210、210'間の間隙G3のうち少なくとも1つより大きく形成して外部衝撃などによる上記第1マグネット115、115'と上記第2マグネット215、215'の接触による破損を未然を防止することができる。
【0114】
上記では本発明による実施例を基準にして本発明の構成と特徴を説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の思想と範囲内で多様に変更または変形できることは本発明が属する技術分野の当業者には明白なことである。従って、このような変更または変形は添付の特許請求の範囲に属する。
【符号の説明】
【0115】
100 回転部材
110、110' シャフト
115、115' 第1マグネット
120 ハブ
130 駆動マグネット
200 固定部材
210、210' スリーブ
215、215' 第2マグネット
230 コイル
240 コア
300、300' 磁気ベアリング部
500 流体動圧ベアリング部
M 第1マグネットと第2マグネット間のギャップ
G1、G2 接触防止ギャップ
G3 シャフトとスリーブ間の間隙
400、600 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1マグネットが提供される回転部材と、
前記回転部材を支持し、前記第1マグネットと磁気ベアリング部を構成する第2マグネットが提供される固定部材と
を含み、
前記第1マグネットと前記第2マグネット間のギャップは、前記回転部材と前記固定部材との間に形成される接触防止ギャップの少なくとも1箇所より大きく形成されるモータ。
【請求項2】
前記回転部材の上から周壁部が突出し、
前記接触防止ギャップは、前記固定部材と前記周壁部との間に形成される請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記周壁部は、前記回転部材に備わるシャフトと連動するハブから突出する請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記固定部材は、前記回転部材に備わるシャフトを支持するスリーブと、ベースとを有し、
前記周壁部は前記スリーブと前記ベースとの間の空間を区画し、前記接触防止ギャップは、区画された前記空間のうち少なくとも1つである請求項2または3に記載のモータ。
【請求項5】
前記周壁部は、前記第2マグネットの外周面を支持する支持部と、コイルが巻線されるコアが結合する結合部との間の空間を区画し、
前記接触防止ギャップは、区画された前記空間のうち少なくとも1つである請求項2または3に記載のモータ。
【請求項6】
前記回転部材は、シャフトを有し、
前記固定部材は、前記シャフトを支持するスリーブを有し、
前記第1マグネットと前記第2マグネットとの間のギャップは、前記シャフトと前記スリーブとの間の間隙を基準とした場合、前記間隙の中心と中心を同一にして配置される、前記間隙より回転半径方向の外側に配置される、または前記間隙より回転半径方向の内側に配置される請求項1から5の何れか1項に記載のモータ。
【請求項7】
前記第1マグネット及び前記第2マグネットは、回転軸方向または回転半径方向に着磁される請求項1から6の何れか1項に記載のモータ。
【請求項8】
前記第1マグネットと前記第2マグネットとの間のギャップは、回転軸方向から所定角度傾くように形成される請求項1から7の何れか1項に記載のモータ。
【請求項9】
前記第1マグネット及び前記第2マグネットの上部面及び下部面のうち少なくとも1つは高さが同一、又は異なる請求項1から8の何れか1項に記載のモータ。
【請求項10】
前記回転部材に備わるシャフト及び当該シャフトを支持するスリーブのうち少なくとも1つに形成され、前記シャフトと前記スリーブの間に充填されるオイルにより前記シャフトにラジアル動圧を提供する流体動圧ベアリング部をさらに含む請求項1から9の何れか1項に記載のモータ。
【請求項11】
第1マグネットが提供されるシャフトと、
前記シャフトと結合して前記シャフトと連動するハブと、
前記シャフトを支持し、前記第1マグネットと磁気ベアリング部を構成する第2マグネットが提供されるスリーブと、
前記シャフト及び前記スリーブのうち少なくとも1つに形成される流体動圧ベアリング部と、
前記スリーブ及びコイルが巻線されるコアが結合されるように回転軸方向の上側に突出する結合部を備えるベースと、
前記スリーブの前記第2マグネットの外周面を支持する支持部と前記結合部との間の空間を区画するように前記ハブから突出する周壁部と
を含み、
区画された前記空間のうち少なくとも1つは接触防止ギャップであり、
前記第1マグネットと前記第2マグネット間のギャップは、前記接触防止ギャップより大きく形成されるモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−253996(P2012−253996A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184013(P2011−184013)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】